特許第6182513号(P6182513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182513
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】半導体装置の搬送用トレイ
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/86 20060101AFI20170807BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20170807BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B65D85/38 J
   B65D85/00 F
   H01L21/68 U
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-150890(P2014-150890)
(22)【出願日】2014年7月24日
(65)【公開番号】特開2016-22991(P2016-22991A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2016年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000176626
【氏名又は名称】三島光産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 洋次
(72)【発明者】
【氏名】原田 伸行
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−265871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/86
B65D 85/00
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に開放された掛止爪装着用の2つの切欠きをそれぞれ備える長尺の対となる横枠部材、及び、外方に突出する掛止部をそれぞれ備え、前記対となる横枠部材の両端部を連結する対となる縦枠部材を備えた平面視して矩形の枠体と、該枠体の内側に連接状態で縦横に設けられた複数の製品収納部とを備え、前記枠体は上部内側に突出部を有し、前記枠体の下部内側には前記突出部が嵌入可能な広さの空間部が形成され、更に隣り合う前記製品収納部の間には前記突出部と同一高さの間仕切り部を備え、前記掛止部を除く前記枠体の外側の横寸法が315mm±0.25mmの範囲にあり、前記枠体の外側の縦寸法が135.9mm±0.25mmの範囲にある、導電性樹脂からなる半導体装置の搬送用トレイにおいて、
前記突出部を含む該搬送用トレイの総高さcは4mm±0.25mmの範囲にあり、前記枠体の周縁部から突出する前記突出部の高さdは0.8〜1.2mmの範囲にあって、複数枚の該搬送用トレイの積層にあっては、下層の該搬送用トレイの前記突出部が、上層の該搬送用トレイの前記空間部に嵌入され、上下の該搬送用トレイの前記枠体同士が当接し、下層の該搬送用トレイの前記間仕切り部が、上層の該搬送用トレイの底部に当接して、上下隣り合う該搬送用トレイの積層ピッチが(c−d)mmであることを特徴とする半導体装置の搬送用トレイ。
【請求項2】
請求項記載の半導体装置の搬送用トレイにおいて、該搬送用のトレイの中央部には、該搬送用トレイを吸着搬送するパッドが載る平面部が設けられていることを特徴とする半導体装置の搬送用トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板等に装着前の半導体装置(IC)の搬送用トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
素子が樹脂封止され外側に端子が露出する半導体装置を複数同時に搭載する搬送用トレイについては、例えば、特許文献1、2等で開示されている。特に、特許文献2においては、半導体装置を収納する製品収納部より外側の周辺部分に少なくとも一組の嵌合可能な凹部と凸部を設けることや、搬送用トレイを重ねて配置し、上型の搬送用トレイが下側の搬送用トレイの蓋の役目を果たすことなどが開示されている。
一方、JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)の規格で、半導体装置の搬送用トレイは主要な外形、高さ等の寸法が決められ、複数の企業がその搬送用トレイを共通に使用できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開平6−40482号公報
【特許文献2】日本国特開2005−162307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年は半導体装置の小型化、薄型化が進み接続端子の形状も異なってきている。特に、JEDECの規格においては、搬送用トレイの全高さが12.19mm又は7.62mmと決められているので、従来の半導体装置の搬送用トレイの製品収納部に、薄型の半導体装置をガタなく積載することは困難であった。
従って、従来の半導体装置の搬送用トレイは、半導体装置の載置部分が必要以上の高さを有しているので、嵩張り、重量が大きくなり、半導体装置の収納効率も悪いという問題があった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、縦横寸法については従来の規格を用い、より軽量で、半導体装置の収納効率も高く、使用材料を減らした半導体装置の搬送用トレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る半導体装置の搬送用トレイは、下方に開放された掛止爪装着用の2つの切欠きをそれぞれ備える長尺の対となる横枠部材、及び、外方に突出する掛止部をそれぞれ備え、前記対となる横枠部材の両端部を連結する対となる縦枠部材を備えた平面視して矩形の枠体と、該枠体の内側に連接状態で縦横に設けられた複数の製品収納部とを備え、前記枠体は上部内側に突出部を有し、前記枠体の下部内側には前記突出部が嵌入可能な広さの空間部が形成され、更に隣り合う前記製品収納部の間には前記突出部と同一高さの間仕切り部を備え、前記掛止部を除く前記枠体の外側の横寸法が315mm±0.25mmの範囲にあり、前記枠体の外側の縦寸法が135.9mm±0.25mmの範囲にある、導電性樹脂からなる半導体装置の搬送用トレイにおいて、
前記突出部を含む該搬送用トレイの総高さcは4mm±0.25mmの範囲にあり、前記枠体の周縁部から突出する前記突出部の高さdは0.8〜1.2mmの範囲にあって、複数枚の該搬送用トレイの積層にあっては、下層の該搬送用トレイの前記突出部が、上層の該搬送用トレイの前記空間部に嵌入され、上下の該搬送用トレイの前記枠体同士が当接し、下層の該搬送用トレイの前記間仕切り部が、上層の該搬送用トレイの底部に当接して、上下隣り合う該搬送用トレイの積層ピッチが(c−d)mmである。
ここで搬送用トレイの総高さを3mm未満にすると、半導体装置の収納が困難となり、総高さを4mm±0.25mmより厚くすると、省スペース化、及び材料削減の効果が無くなる。
また、導電性樹脂には、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、その他の導体の微小粉末をPS、PP、ABS、PPE、PES、PEEK等の熱可塑性プラスチックに混入したものを使用するのがよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る半導体装置の搬送用トレイ(以下、「搬送用トレイ」とも称する)は、搬送用トレイの高さを従来より小さくしたので、以下の効果を奏する。
(1)製品収納部の高さを小さくして、近年の小型で薄い半導体装置を、効率的に収納できる。
(2)より多くの搬送用トレイを重ねても従来の搬送用トレイより高さが低くなって、同一高さ、同一重量では、更に多くの搬送用トレイを重ねることができ、空間の利用度が向上する。
(3)使用する材料が少なくて済むので、搬送用トレイの軽量化が達成でき、搬送用トレイを安価に製造できる。
(4)特に、突出部を含めた枠体の総高さcを4mm±0.25mmとし、枠体の周縁部から突出する突出部の高さdを0.8〜1.2mmとして、複数枚の搬送用トレイの積層にあっては、下層の搬送用トレイの突出部が、上層の搬送用トレイの空間部に嵌入され、上下の搬送用トレイの枠体同士が当接し、下層の搬送用トレイの間仕切り部が、上層の搬送用トレイの底部に当接して、上下隣り合う搬送用トレイの積層ピッチを(c−d)mmにすると、従来の搬送用トレイに比較して、同一高さで約2倍の搬送用トレイを積み重ねることができる。また、搬送用トレイの枠体のみでなく、中央にある間仕切り部も荷重を支持するので、複数枚重ねた搬送用トレイの全体強度が増し、撓みがなくなる。
(5)なお、搬送用トレイの縦横の寸法、厚み(高さ)はJEDECの規格によって決まっている。ここで、縦横の寸法を変更すると、従来の搬送機器等が使用できない場合が多いので、縦横の寸法については、そのままとしたが、厚みについては、従来の搬送機器も使用可能であることを発見し、半導体装置の小型化に合わせて薄くすることが、以上に記載のメリットがあることを確認して、本発明をなし得た。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係る半導体装置の搬送用トレイを示し、(A)は正面図、(B)は底面図、(C)は側面図である。
図2】同搬送用トレイの部分拡大図である。
図3】(A)は同搬送用トレイの部分断面図、(B)は同搬送用トレイを2枚重ねた状態の部分断面図である。
図4】(A)〜(D)は本発明の他の実施の形態に係る搬送用トレイの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施の形態について説明する。
図1(A)〜(C)、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る半導体装置の搬送用トレイ10は導電性を有する樹脂からなって、平面視(図1(A)においては正面視)して矩形の枠体11と、枠体11の内側に連接状態で縦横に並んで配置された複数の製品収納部12〜14とを有する。なお、この実施の形態に示す製品収納部12〜14は図2に示すように、中央に開口15を有する直受け型の製品搭載部となっている。ここで、開口15から搭載される半導体装置の下側端子が露出する。
【0010】
枠体11は、図1(A)〜(C)に示すように、下方に開放された掛止爪装着用の2つの切欠き16、17をそれぞれ備える長尺の対となる横枠部材18、19と、外方に突出する掛止部20、21をそれぞれ備え、対となる横枠部材18、19の両端を連結する対となる縦枠部材22、23とを備えている。
この枠体11の掛止部20、21を除く横寸法aが、JEDECの規格により、315mm±0.25mmの範囲にあり、枠体11の縦寸法bが135.9mm±0.25mmの範囲にある(いずれも外側寸法)。また、枠体11の高さ(即ち、搬送用トレイ10の総高さ)cは4mm±0.25mmの範囲にある。なお、以上の寸法において、±0.25mmは公差であり、この範囲の寸法誤差は許されることを意味する。
【0011】
図1図3(A)、(B)に示すように、枠体11は上部内側に、枠体11の周縁部11aより高さが1mm(なお、0.8〜1.2mmであってもよい)だけ高い突出部24を有している。この突出部24はこの実施の形態では連続する壁状となって、突出部24の内側には製品収納部12〜14が設けられている。ここで、製品収納部14は突出部24の角部に接する部位に、製品収納部13は直線状の突出部24に接する部位に、製品収納部12は突出部24から離れた部位にある。
また、枠体11の下部内側には空間部25が形成され、下層に位置する搬送用トレイ10の突出部24が嵌入することができる。突出部24が空間部25に嵌入した場合、上下の搬送用トレイ10の枠体11が当接する。これによって、上下隣り合う搬送用トレイ10の積層ピッチを約3mmとすることができる。
【0012】
隣り合う製品収納部12〜14の間には、突出部24と同一高さの間仕切り部26、27を備える。この面積の異なる間仕切り部26、27は、製品収納部12〜14に搭載された製品となる半導体装置の横移動を防止するためのもので、上端は上層に配置された搬送用トレイ10の底部28に当接させるのがよい(図3(B)参照)。隣り合う製品収納部12〜14の間仕切り部26、27は不連続となって、各製品収納部12〜14の角部には無壁部29が形成されている。なお、各搬送用トレイ10の底に間仕切り部26、27の上端部が嵌入する溝を設けることもでき、これによって、搬送用トレイ10の強度が更に向上すると共に、樹脂の使用量が減る。
搬送用トレイ10の中央にはこの搬送用トレイ10を一個ずつ吸着して搬送する吸着用のパッドが載る平面部30が複数(この実施の形態では6個)設けられている。
【0013】
この搬送用トレイ10を使用する場合は、各搬送用トレイ10の製品収納部12〜14に所定の半導体装置を入れ、この状態で搬送用トレイ10を重ねる。この場合、各搬送用トレイ10の突出部24を上層にある搬送用トレイ10の空間部25に入れ込む。これによって、上下の搬送用トレイ10の枠体11同士(正確には外側)が当接し、間仕切り部26、27の頂部も上方に設けた搬送用トレイ10の底部28に当接する。これによって、搬送用トレイ10が枠体11のみでなく、中央にある間仕切り部26、27も荷重を支持するので、複数枚重ねた搬送用トレイ10の全体強度が増し、撓みがなくなる。
なお、複数の搬送用トレイ10を搬送する場合は、枠体11の縦枠部材22、23に設けられている掛止部20、21に搬送手段の金具を装着するか、枠体11の横枠部材18、19に形成されている切欠き16、17に搬送手段の金具を掛止することによって行う。
【0014】
続いて、図4(A)〜(D)を参照しながら本発明の他の実施の形態に係る搬送用トレイ32〜35について説明する。なお、搬送用トレイ10と同一の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
図4(A)に示す搬送用トレイ32においては、中央に矩形の切欠き36が形成された載置台37を枠体11の内側に有する。切欠き36によって載置台37に搭載された半導体装置38の端子が下方に露出できる。
図4(B)に示す搬送用トレイ33は、棚受けタイプの製品収納部39を有し、周囲に縁40を有する。
図4(C)は中央受けタイプの製品収納部41を有し、半導体装置42の底に空間部43を有する。
図4(D)は斜面受けタイプの製品収納部44を有し、傾斜面46に沿って半導体装置47が載置されている(特許第3764173号参照)。
【0015】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。
例えば製品収納部の形状については、図2図4(A)〜(D)に示されたもの以外であっても、半導体装置を載置できるものであれば、本発明が適用される。
【符号の説明】
【0016】
10:半導体装置の搬送用トレイ、11:枠体、11a:周縁部、12〜14:製品収納部、15:開口、16、17:切欠き、18、19:横枠部材、20、21:掛止部、22、23:縦枠部材、24:突出部、25:空間部、26、27:間仕切り部、28:底部、29:無壁部、30:平面部、32〜35:半導体装置の搬送用トレイ、36:切欠き、37:載置台、38:半導体装置、39:製品収納部、40:縁、41:製品収納部、42:半導体装置、43:空間部、44:製品収納部、46:傾斜面、47:半導体装置
図1
図2
図3
図4