(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図29(b)及び
図29(c)から理解されるように、操作部材916が第1状態にあるか第2状態にあるかは見分け難い。このため、操作部材916を回転させた段階で操作を一時的に中断したような場合、レバー916がスライド済みであり操作が完了していると勘違いされる可能性がある。この場合、いつまでたっても通電が開始されない。
【0007】
そこで、本発明は、操作部材を2回以上操作することで互いに接続されるコネクタと相手側コネクタとを備えたコネクタ装置であって、操作部材の操作が完了しているか否かを視認し易いコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1のコネクタ装置として、
互いに接続可能なコネクタと相手側コネクタとを備えたコネクタ装置であって、
前記相手側コネクタは、相手側ハウジングと、相手側主端子と、相手側副端子とを備えており、
前記相手側主端子及び前記相手側副端子は、前記相手側ハウジングに保持されており、
前記コネクタは、ハウジングと、主端子と、副端子と、操作部材と、押戻し機構とを備えており、
前記主端子は、前記ハウジングに保持されており、
前記操作部材は、前記ハウジングに取り付けられており、
前記操作部材は、その全体又は一部を前記ハウジングに対して相対的に移動させることで、初期状態から第1状態に遷移可能であり、且つ、前記第1状態から第2状態に遷移可能であり、
前記操作部材が前記初期状態にあるとき、前記主端子は、前記相手側主端子に接続されておらず、且つ、前記副端子は、前記相手側副端子に接続されておらず、
前記操作部材が前記初期状態から前記第1状態に遷移すると、前記主端子は、前記相手側主端子に対して相対的に移動して前記相手側主端子と接続し、
前記操作部材が、前記第1状態から前記第2状態に遷移すると、前記副端子は、前記相手側前記副端子に対して相対的に移動して前記相手側副端子と接続し、
前記操作部材が前記第1状態に遷移すると、前記押戻し機構は、前記操作部材に対して、前記操作部材を前記初期状態に向けて押戻す押戻し力を加える
コネクタ装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、第2のコネクタ装置として、第1のコネクタ装置であって、
前記操作部材が前記第1状態にあり、且つ、前記操作部材が前記押戻し力に対抗する維持力を受けている場合、前記操作部材は、操作中姿勢をとり、
前記操作部材が前記第1状態にあり、且つ、前記操作部材が前記維持力を受けていない場合、前記操作部材は、前記操作中姿勢と異なる操作解除姿勢をとる
コネクタ装置を提供する。
【0010】
また、本発明は、第3のコネクタ装置として、第1又は第2のコネクタ装置であって、
前記押戻し機構は、前記操作部材に設けられており、
前記押戻し力は、前記操作部材が前記第1状態に遷移したとき前記押戻し機構が前記ハウジングを押圧することにより生じる
コネクタ装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、第4のコネクタ装置として、第1又は第2のコネクタ装置であって、
前記操作部材は、レバーと、スライダとを備えており、
前記レバーは、前記ハウジングに取り付けられており、第1位置と第2位置との間を、前記ハウジングに対して相対的に移動可能であり、
前記スライダは、前記レバーに取り付けられており、第1相対位置と第2相対位置との間を、前記レバーに対して相対的に移動可能であり、
前記操作部材が前記初期状態にあるとき、前記レバーは、前記第1位置にあり、且つ、前記スライダは、前記第1相対位置にあり、
前記操作部材が前記第1状態に遷移すると、前記レバーは、前記第2位置に移動し、
前記操作部材が前記第2状態に遷移すると、前記スライダは、前記第2相対位置に移動し、
前記押戻し機構は、前記レバーを前記第1位置に向けて押戻す前記押戻し力を、前記レバーに対して直接的又は間接的に加える
コネクタ装置を提供する。
【0012】
また、本発明は、第5のコネクタ装置として、第4のコネクタ装置であって、
前記押戻し機構は、前記スライダ及び前記ハウジングのうちの一方に設けられており、
前記押戻し力は、前記操作部材が前記第1状態に遷移したとき前記押戻し機構が前記スライダ及び前記ハウジングのうちの他方を押圧することにより生じる
コネクタ装置を提供する。
【0013】
また、本発明は、第6のコネクタ装置として、第5のコネクタ装置であって、
前記押戻し機構は、前記スライダに設けられている
コネクタ装置を提供する。
【0014】
また、本発明は、第7のコネクタ装置として、第6のコネクタ装置であって、
前記押戻し機構は、前記スライダと一体に形成されたバネ片である
コネクタ装置を提供する。
【0015】
また、本発明は、第8のコネクタ装置として、第7のコネクタ装置であって、
前記コネクタには、受容空間が設けられており、
前記操作部材が前記初期状態にあるとき、バネ片は、初期形状を有しており、
前記操作部材が前記第1状態に遷移すると、バネ片は、前記初期形状から弾性変形し、
前記第1状態にある前記操作部材の前記スライダを第2相対位置に移動すると、バネ片は、少なくとも部分的に前記受容空間に受容されて前記初期形状に戻る
コネクタ装置を提供する。
【0016】
また、本発明は、第9のコネクタ装置として、第7又は第8のコネクタ装置であって、
前記操作部材が、前記第1状態から前記第2状態に遷移するとき、前記スライダは、前後方向において前方に向かって、前記第1相対位置から前記第2相対位置に移動し、
前記ハウジングには、前記前後方向と直交する上下方向において上方に突出した突出部が設けられており、
前記操作部材が前記第1状態に遷移すると、前記バネ片は、前記突出部を下方に押圧し、
前記突出部には、前側に斜面が形成されており、
前記レバーは、斜面が形成された斜面部を有しており、
前記操作部材が前記第1状態に遷移すると、前記斜面部は、前記突出部の前記斜面の前方且つ下方に位置する
コネクタ装置を提供する。
【0017】
また、本発明は、第10のコネクタ装置として、第7乃至第9のいずれかのコネクタ装置であって、
前記バネ片は、係合部を有しており、
前記レバーは、被係合部を有しており、
前記操作部材が前記初期状態にあるとき、前記係合部は、前記被係合部に係合して、前記スライダの前記第1相対位置から前記第2相対位置への移動を防止し、
前記操作部材が、前記第1状態に遷移すると、前記係合部は、前記被係合部から外れ、前記スライダの前記第1相対位置から前記第2相対位置への移動を許容する
コネクタ装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、操作部材を、初期状態から第1状態を経由して第2状態に遷移させることで、操作部材の操作が完了する。操作部材が第1状態に遷移すると、押戻し機構は、操作部材に対して、操作部材を初期状態に向けて押戻す押戻し力を加える。このため、操作部材の操作を中断した場合、操作部材は、初期状態に向けて押戻される。これにより、操作部材の操作が完了しているか否かを容易に視認できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照すると、本発明の実施の形態によるコネクタ装置10は、電気自動車等の対象物(図示せず)に取り付けられ、電源システム(図示せず)から供給された電力を、例えばモーター(図示せず)に中継する。但し、本発明は、電源を中継するコネクタ装置10以外のコネクタ装置にも適用可能である。
【0021】
図1乃至
図7から理解されるように、本実施の形態によるコネクタ装置10は、互いに接続可能なコネクタ20と相手側コネクタ70とを備えている。
【0022】
図3を参照すると、相手側コネクタ70は、絶縁性材料からなる相手側ハウジング700と、導電性材料からなる2つの相手側主端子780と、導電性材料からなる2つの相手側副端子790とを備えている。相手側主端子780及び相手側副端子790は、相手側ハウジング700に保持されている。相手側主端子780は、ケーブル810を介して電源回路(図示せず)に接続されている。相手側副端子790は、ケーブル820を介して、電源回路のスイッチ(図示せず)に接続されている。
【0023】
図1乃至
図3から理解されるように、相手側ハウジング700は、前後方向(Y方向)に長く幅方向(X方向)に短い箱形状を有している。相手側ハウジング700の内部には、上下方向(Z方向)において上方に(+Z方向に向かって)開口した収容部(収容空間)710が形成されている。
図1を参照すると、相手側ハウジング700は、2つの第1カム突起760を有している。第1カム突起760は、収容部710のX方向における両側壁に夫々設けられており、X方向内側に突出している。
【0024】
図3を参照すると、コネクタ20は、絶縁性材料からなるハウジング300と、導電性材料からなる主端子390と、絶縁性材料からなる操作部材40と、絶縁性材料からなるサブコネクタ600と、導電性材料からなる副端子690とを備えている。サブコネクタ600は、ハウジング300に取り付けられている。主端子390は、ハウジング300に保持されており、副端子690は、サブコネクタ600に保持されている。
【0025】
図1、
図3及び
図4から理解されるように、操作部材40は、ハウジング300に取り付けられている。詳しくは、本実施の形態による操作部材40は、レバー400と、スライダ500とを備えている。レバー400は、ハウジング300に取り付けられており、スライダ500は、レバー400に取り付けられている。
【0026】
図1乃至
図7から理解されるように、操作部材40は、ハウジング300に対して相対的に移動可能である。詳しくは、
図1乃至
図5から理解されるように、レバー400は、スライダ500と共に、
図1乃至
図3に示される位置(第1位置)と
図4及び
図5に示される位置(第2位置)との間を、ハウジング300に対して相対的に移動可能である。また、
図4乃至
図7から理解されるように、スライダ500は、
図4乃至
図5に示される位置(第1相対位置)と
図6及び
図7に示される位置(第2相対位置)との間を、レバー400に対して相対的に移動可能である。
【0027】
図3、
図5及び
図7から理解されるように、ハウジング300は、操作部材40のハウジング300に対する相対的な移動によって、相手側ハウジング700に対して相対的に移動する。また、サブコネクタ600も、操作部材40のハウジング300に対する相対的な移動によって、相手側ハウジング700に対して相対的に移動する。
【0028】
以下、まず、上述した相対的な移動に関するコネクタ20の構造について、より具体的に説明する。
【0029】
図8を参照すると、ハウジング300は、Y方向に長くX方向に短い箱形状を有している。
図3から理解されるように、ハウジング300は、下方(−Z方向)に開口した内部空間を有している。
図8を参照すると、ハウジング300は、2つの側壁308を有している。側壁308は、ハウジング300のX方向における両側部に夫々位置している。側壁308の夫々には、支持軸370と、ガイド溝380とが形成されている。支持軸370は、X方向外側に突出している。ガイド溝380は、側壁308の下端(−Z側の端)から上方に延びており、側壁308をX方向に貫通している。
【0030】
図9乃至
図12に示されるように、レバー400は、前壁402と、2つの側壁408とを有している。側壁408は、レバー400のX方向における両側部に夫々位置している。前壁402は、2つの側壁408をX方向に連結している。側壁408の夫々には、支持孔460と、第1カム溝470と、スライド溝480とが形成されている。支持孔460は、側壁408をX方向に貫通している。第1カム溝470は、X方向内側に凹んだ凹みであり、スライド溝480は、側壁408をX方向に貫通する孔である。
図1及び
図9から理解されるように、レバー400が第1位置(
図1に示される位置)にあるとき、第1カム溝470は、下方に開口しており、斜め上方に向かって支持孔460の近傍まで延びている。
図4に示されるように、レバー400が第2位置にあるとき、スライド溝480は、Y方向に延びている。
【0031】
図13乃至
図15に示されるように、スライダ500は、連結部502と、2つの側壁508とを有している。側壁508は、スライダ500のX方向における両側部に夫々位置している。連結部502は、2つの側壁508をX方向に連結している。側壁508の夫々には、スライド突起570と、第2カム溝580とが形成されている。スライド突起570は、X方向外側に突出している。第2カム溝580は、側壁508をX方向に貫通している。
【0032】
図1及び
図4から理解されるように、スライダ500は、レバー400の2つの側壁408の間に取り付けられている。詳しくは、スライダ500の2つのスライド突起570は、レバー400の2つのスライド溝480に夫々挿入されている。これにより、スライダ500は、2つの側壁408の間に挟まれており、スライド突起570は、スライド溝480の一方の端(
図4における−Y側の端)に位置している。スライダ500は、後述する第2操作によって、この第1相対位置から第2相対位置に向かってスライド溝480に沿って移動可能である。
【0033】
図1及び
図4から理解されるように、スライダ500が取り付けられたレバー400は、ハウジング300をX方向に挟むようにしてハウジング300に取り付けられている。詳しくは、ハウジング300の2つの支持軸370は、レバー400の2つの支持孔460(
図9参照)に夫々挿入されている。これにより、ハウジング300は、レバー400の2つの側壁408の間に挟まれている。レバー400は、支持軸370を中心に回転可能である。特に、レバー400は、後述する第1操作によって、この第1位置から第2位置に向かって回転移動可能である。
【0034】
図1を参照すると、サブコネクタ600は、2つの第2カム突起670を有している。第2カム突起670は、サブコネクタ600のX方向における両側部に夫々位置している。第2カム突起670は、X方向外側に突出している。サブコネクタ600は、ハウジング300の内部空間に収容され取り付けられている。詳しくは、サブコネクタ600の2つの第2カム突起670は、ハウジング300の2つのガイド溝380に夫々挿入されている。これにより、サブコネクタ600は、ガイド溝380に沿って移動可能である。第2カム突起670は、ガイド溝380を通過してハウジング300の外部に突出している。
【0035】
図1及び
図2から理解されるように、コネクタ20の下部(−Z側の部位)のXY平面におけるサイズは、相手側ハウジング700の収容部710のXY平面におけるサイズよりも少し小さい。このため、コネクタ20は、接続方向(−Z方向)に沿って、収容部710に挿入可能である。
【0036】
以下、コネクタ20と相手側コネクタ70との接続方法について、より具体的に説明する。
【0037】
図1から理解されるように、まず、コネクタ20は、操作部材40(レバー400及びスライダ500)がハウジング300から上方に延びている状態で、相手側コネクタ70の上方に配置される。次に、コネクタ20を、XY平面において適切に位置合わせしつつ、−Z方向に沿って収容部710に挿入すると、相手側ハウジング700の第1カム突起760が、レバー400の第1カム溝470の下端に夫々受容される。このときの操作部材40の状態を初期状態という。初期状態にある操作部材40は、ハウジング300に対して直立している。操作部材40が初期状態にあるとき、レバー400は、第1位置にあり、且つ、スライダ500は、第1相対位置にある。
【0038】
図3から理解されるように、操作部材40が初期状態にあるとき、主端子390は、相手側主端子780に接続されていない。このため、相手側主端子780は互いに接続されておらず、電源回路(図示せず)は遮断されている。このとき、副端子690も、相手側副端子790に接続されていないため、相手側副端子790も互いに接続されていない。
【0039】
図1及び
図3乃至
図5から理解されるように、操作部材40が初期状態にあるとき、レバー400の前壁402を前方(+Y方向)及び下方に向かって倒すと(第1操作を行うと)、レバー400は、支持軸370を中心に回転する。このとき、相手側ハウジング700の第1カム突起760は、所定の位置にあり移動しない。このため、レバー400は、第1カム溝470の下縁(−Z側の縁)を第1カム突起760と接触させつつ下方に移動する。レバー400の下方への移動によって支持軸370が下方に押圧され、ハウジング300は、レバー400と共に下方に移動する。第1操作が終了すると、第1カム突起760は、第1カム溝470の端に位置する。第1操作が終了した後の操作部材40の状態を第1状態という。操作部材40が初期状態から第1状態に遷移すると、レバー400は、第2位置に移動し、スライダ500は、第1相対位置に留まる。
【0040】
図4に示されるように、第1操作が終了した時点で、操作部材40は、Y方向に沿って長く延びる。
図1及び
図4から理解されるように、このとき、サブコネクタ600の第2カム突起670が、スライダ500の第2カム溝580の上側(+Z側)の端に夫々受容される。
【0041】
図3及び
図5から理解されるように、主端子390は、第1操作によって下方に移動する。第1操作が終了したとき、主端子390は、相手側主端子780と接続している。換言すれば、操作部材40が初期状態から第1状態に遷移すると、主端子390は、相手側主端子780に対して相対的に移動して相手側主端子780と接続する。このため、相手側主端子780は互いに接続し、電源回路(図示せず)が形成される。但し、副端子690は、相手側副端子790に接続されていないため、相手側副端子790は互いに接続されていない。このため、通電は開始されない。
【0042】
以上の説明から理解されるように、本実施の形態によれば、操作部材40は、その全体(レバー400及びスライダ500)をハウジング300に対して相対的に移動させることで、初期状態(
図1乃至
図3に示された状態)から第1状態(
図4及び
図5に示された状態)に遷移可能である。
【0043】
図4及び
図6から理解されるように、操作部材40が第1状態にあるとき、スライダ500を前方にスライドさせると(第2操作を行うと)、スライド突起570がスライド溝480の後端(−Y側の端)から前端(+Y側の端)に移動する。
図1を併せて参照すると、第2操作の間、サブコネクタ600の第2カム突起670は、スライダ500の第2カム溝580に沿って移動する。これにより、
図5及び
図7から理解されるように、サブコネクタ600は下方に移動する。
図4及び
図6を参照すると、スライド突起570がスライド溝480の前端に到達したとき、第2操作が終了する。このときの操作部材40の状態を第2状態という。操作部材40が、第1状態から第2状態に遷移すると、スライダ500は、Y方向において前方に向かって第1相対位置から第2相対位置に移動する。一方、レバー400は、第2位置に留まる。即ち、操作部材40が第2状態に遷移するとき、レバー400は第2位置に留まり、スライダ500は第2相対位置に移動する。
【0044】
図5及び
図7から理解されるように、主端子390は、第2操作によって移動しない。このため、電源回路(図示せず)が維持される。一方、副端子690は、第2操作によって下方に移動する。第2操作が終了したとき、副端子690は、相手側副端子790と接続している。換言すれば、操作部材40が第1状態から第2状態に遷移すると、副端子690は、相手側副端子790に対して相対的に移動して相手側副端子790と接続する。このため、相手側副端子790は互いに接続し、電源回路(図示せず)のスイッチ(図示せず)が閉じる。これにより、通電が開始される。
【0045】
以上の説明から理解されるように、本実施の形態によれば、操作部材40は、その一部(スライダ500)をハウジング300に対して相対的に移動させることで、第1状態(
図4及び
図5に示された状態)から第2状態(
図6及び
図7に示された状態)に遷移可能である。
【0046】
図1乃至
図7から理解されるように、コネクタ20は、以上に説明した操作を逆に行うことで、相手側コネクタ70から抜去できる。詳しくは、まず、スライダ500を第2相対位置から第1相対位置に移動させ、操作部材40を第2状態から第1状態に遷移させる。これにより、副端子690と相手側副端子790との接続が解除され、通電が停止される。次に、レバー400を引き起こして第2位置から第1位置に移動させ、操作部材40を第1状態から初期状態に遷移させる。これにより、主端子390と相手側主端子780との接続が解除され、電源回路(図示せず)が遮断される。操作部材40が初期状態に戻ると、コネクタ20を相手側コネクタ70から上方に抜去できる。
【0047】
以上のように構成されたコネクタ装置10は、様々に変形できる。
【0048】
図3、
図5及び
図7を参照すると、レバー400とスライダ500とを互いに一体に形成してもよい。換言すれば、操作部材40は、第1操作及び第2操作の両方が可能なレバー400のみから形成されていてもよい。
図11を併せて参照すると、この場合、レバー400の側壁408の構造を少し変更すればよい。詳しくは、支持孔460及び第1カム溝470を、前方に向かって長く延ばせばよい。この構造により、ハウジング300(主端子390)を移動させることなく、操作部材40を第1状態から第2状態に遷移できる。この場合、操作部材40は、その全体をハウジング300に対して相対的に移動させることで、初期状態から第1状態に遷移可能であり、且つ、第1状態から第2状態に遷移可能である。
【0049】
操作部材40が初期状態にあるとき、スライダ500は、レバー400に取り付けられておらずサブコネクタ600に連結されていてもよい。例えば、操作部材40が第1状態に遷移したときに、スライド突起570がスライド溝480に挿入されるように構成してもよい。この場合、操作部材40を初期状態から第1状態に遷移させるとき、操作部材40の一部(レバー400)のみが、ハウジング300に対して相対的に移動する。また、操作部材40は、レバー400やスライダ500に代えて別の操作用部材を備えていてもよい。更に、操作部材40は、1つのみの部材から形成されていてもよいし、3つ以上の部材から形成されていてもよい。
【0050】
以上の説明から理解されるように、本発明によれば、操作部材40は、その全体又は一部をハウジング300に対して相対的に移動させることで、初期状態から第1状態に遷移可能であり、且つ、第1状態から第2状態に遷移可能である。換言すれば、コネクタ20は、2つの操作を得て相手側コネクタ70に接続される。但し、コネクタ20は、3つ以上の操作を得て相手側コネクタ70に接続されてもよい。また、操作部材40に対する操作は、前述した第1操作及び第2操作と異なっていてもよい。
【0051】
以下、本実施の形態によるハウジング300及び操作部材40について、更に詳しく説明する。
【0052】
図8に示されるように、ハウジング300は、上面302と、段差面304とを有している。上面302及び段差面304は、XY平面に平行な水平面である。上面302と段差面304との間には、段差が設けられている。詳しくは、段差面304は、上面302の下方に位置している。
図7及び
図8を参照すると、これにより、コネクタ20には、受容空間22が設けられている。本実施の形態において、受容空間22は、XY平面において開かれており、且つ上方に向かって開かれている。但し、受容空間22は、上方に向かって開かれている限り、XY平面において、壁によって囲まれていてもよい。
【0053】
ハウジング300の段差面304には、突出部310が設けられている。突出部310は、段差面304からZ方向において上方に突出している。突出部310には、上面312及び斜面314が形成されている。上面312は、突出部310の上端に位置する水平面である。斜面314は、突出部310の前側(+Y側)に形成されている。斜面314は、上面312から前方及び下方に向かって延びている。換言すれば、斜面314は、Y方向及びZ方向の双方と交差している。
【0054】
図9、
図10及び
図12に示されるように、レバー400は、支持片410を有している。支持片410は、四角い平板形状を有している。
図5に示されるように、レバー400が第2位置にあるとき、支持片410は、前壁402から後方(−Y方向)に延びている。以下、レバー400が第2位置にあるときの方向及び位置関係を使用しつつ、支持片410の部位について説明する。
【0055】
図9、
図10及び
図12に示されるように、支持片410には、受容部412が形成されている。受容部412は、支持片410をZ方向に貫通する四角い穴である。受容部412の後端には、斜面414が形成されている。斜面414は、Y方向及びZ方向の双方と交差している。
【0056】
図9及び
図12に示されるように、レバー400は、斜面部420、被係合部422及び斜面424を有している。斜面部420は、支持片410の後端に形成されており、斜面414の後方に位置している。被係合部422は、斜面部420の後側(−Y側)に形成されており、斜面424は、斜面部420の前側に形成されている。被係合部422は、Y方向と直交する垂直面であり、斜面424は、Y方向及びZ方向の双方と交差している。
【0057】
図10及び
図12に示されるように、レバー400は、被係合部430を有している。本実施の形態による被係合部430は、支持片410の後縁であり、Y方向と直交する垂直面である。
【0058】
図13乃至
図17に示されるように、スライダ500は、押戻し機構(バネ片)510を有している。換言すれば、コネクタ20は、押戻し機構510を備えている。本実施の形態による押戻し機構510は、スライダ500と一体に形成されたバネ片510であり、樹脂製である。一方、バネ片510は、スライダ500と別体に形成された後にスライダ500に固定されていてもよい。この場合、バネ片510は、金属製であってもよい。但し、部品点数の増加を防止するという観点からは、バネ片510は、スライダ500の一部であることが好ましい。以下、スライダ500が第2相対位置にあるときの方向及び位置関係を使用しつつ、バネ片510の部位について説明する。
【0059】
図14、
図16及び
図17に示されるように、バネ片510は、2つのバネ部530と、移動部540とを有している。
図18を参照すると、バネ部530の夫々は、YZ平面においてU字形状を有している。詳しくは、バネ部530は、連結部502に固定された被固定端520から前方に延びた後、下方に延び、更に後方に延びている。換言すれば、バネ部530は、連結部502によって弾性変形可能に支持されている。
図14、
図16及び
図17に示されるように、移動部540は、バネ部530の自由端をX方向に連結している。移動部540は、バネ部530の弾性変形によってZ方向に移動可能である。バネ部530が弾性変形していないとき、移動部540の下面(−Z側の面)は水平面である。
【0060】
図14及び
図17に示されるように、バネ片510は、係合部542を有している。係合部542は、移動部540の前端に形成されている。係合部542は、X方向において、2つのバネ部530の間に位置している。バネ部530が弾性変形していないとき、係合部542は垂直面である。
【0061】
図14、
図16及び
図17に示されるように、バネ片510は、2つの係合部552を有している。詳しくは、移動部540の下面には、2つの突出部550が形成されている。突出部550は、移動部540のX方向における両端に夫々位置している。突出部550は、移動部540から下方に突出している。係合部552は、突出部550に夫々形成されている。バネ部530が弾性変形していないとき、係合部552は垂直面である。
【0062】
移動部540の下面には、突出部560が更に形成されている。突出部560は、移動部540のX方向における中間部に位置している。突出部560は、移動部540から下方に突出している。突出部560には、前面562及び斜面566が形成されている。前面562は、突出部560の前側に位置しており、斜面566は、突出部560の後側に位置している。バネ部530が弾性変形していないとき、前面562は垂直面であり、斜面566は、Y方向及びZ方向の双方と交差している。
【0063】
図3及び
図20を参照すると、操作部材40が初期状態にあるとき、バネ片510のバネ部530は、弾性変形していない。このときのバネ片510の形状を初期形状という。換言すれば、操作部材40が初期状態にあるとき、バネ片510は、初期形状を有している。
【0064】
図20に示されるように、操作部材40が初期状態にあるとき、バネ片510の係合部542は、レバー400の被係合部422の下に位置している。スライダ500を第2相対位置に向かって上方に移動しようとすると、係合部542が被係合部422と突き当たる。これにより、スライダ500の第2相対位置への移動が防止されている。更に、
図12及び
図20から理解されるように、操作部材40が初期状態にあるとき、バネ片510の係合部552は、レバー400の被係合部430の下に位置している。これによっても、スライダ500の第2相対位置への移動が防止されている。換言すれば、操作部材40が初期状態にあるとき、係合部542及び係合部552は、被係合部422及び被係合部430に夫々係合して、スライダ500の第1相対位置から第2相対位置への移動を防止する。
【0065】
図5及び
図21から理解されるように、操作部材40が第1状態に遷移すると、バネ片510の突出部560は、ハウジング300の突出部310の上面312と突き当たる。このため、突出部560は、上方に押圧されて移動する。これにより、
図21及び
図22に示されるように、操作部材40が第1状態に遷移すると、バネ片510は、初期形状から弾性変形する。弾性変形したバネ片510は、突出部310を下方に押圧する。
【0066】
図5及び
図21から理解されるように、操作部材40が初期状態から第1状態に遷移すると、バネ片510は、操作部材40に対して、操作部材40を初期状態(
図3に示される状態)に向けて押戻す押戻し力を加える。但し、操作者が操作部材40を操作している際には、操作部材40に対して、この押戻し力に対抗可能な操作力(維持力)が加えられている。このため、操作部材40は、バネ片510を弾性変形させつつ、
図5に示される操作中姿勢(Y方向に沿って延びている姿勢)をとる。換言すれば、操作部材40が第1状態にあり、且つ、操作部材40が押戻し力に対抗する維持力を受けている場合、操作部材40は、操作中姿勢をとる。
【0067】
図24及び
図28から理解されるように、例えば、操作者が操作部材40の操作を中断して操作部材40から手を離すと、操作部材40は、維持力を受けなくなる。また、
図25を参照すると、操作部材40が第1状態にあるとき、相手側ハウジング700の第1カム突起760は、ハウジング300の支持軸370の近傍に位置しており、第1カム溝470の多少の回転移動を許容する。このため、操作部材40は、押戻し力によって初期状態(
図3参照)に向けて押戻される。
【0068】
図23乃至
図26を参照すると、第1状態にある操作部材40は、維持力を受けていないとき、ハウジング300から斜め上方に延びている。このときの操作部材40の姿勢を操作解除姿勢という。換言すれば、操作部材40が第1状態にあり、且つ、操作部材40が維持力を受けていない場合、操作部材40は、操作中姿勢と異なる操作解除姿勢をとる。
図25を参照すると、操作部材40は、操作解除姿勢をとっているとき、Y方向と所定の交差角度(θp)だけ交差している。この所定の交差角度(θp)は、バネ片510(
図22参照)のバネ力の強さや、レバー400の第1カム溝470の形状やサイズを変更することによって、様々に設定できる。
【0069】
図4及び
図23を参照すると、操作が中断された場合の操作部材40の姿勢(操作解除姿勢)は、操作中の操作部材40の姿勢(操作中姿勢)と明確に異なっている。このため、操作部材40の操作が完了しているか否かを容易に視認できる。
【0070】
図5及び
図24を参照すると、本実施の形態による押戻し機構510は、操作部材40に設けられている。特に、本実施の形態による押戻し機構510は、スライダ500に設けられたバネ片510である。また、上述した押戻し力は、操作部材40が第1状態に遷移したとき押戻し機構510がハウジング300を押圧することにより生じる。
【0071】
図5及び
図24を参照すると、本実施の形態によれば、押戻し機構510は、押戻し力を、スライダ500を介してレバー400に対して間接的に加える。一方、例えば操作部材40をレバー400のみから形成する場合、押戻し機構510は、押戻し力を、レバー400に対して直接的に加える。即ち、本発明によれば、押戻し機構510は、押戻し力をレバー400に対して直接的又は間接的に加える。
【0072】
図28から理解されるように、操作部材40が第1状態にあるときに操作を中断すると、スライダ500の係合部542及び係合部552は、レバー400の被係合部422及び被係合部430(
図12参照)に夫々係合して、スライダ500の第1相対位置から第2相対位置への移動を防止する。一方、
図21から理解されるように、操作中の操作部材40が第1状態にあるとき、係合部542及び係合部552は、上方に移動して被係合部422及び被係合部430から夫々外れる。このため、スライダ500は、第2相対位置に向かって移動できる。即ち、操作部材40が第1状態に遷移すると、係合部542及び係合部552は、スライダ500の第1相対位置から第2相対位置への移動を許容する。
【0073】
図21に示されるように、操作部材40が第1状態に遷移すると、レバー400の斜面部420は、ハウジング300の突出部310の斜面314の前方且つ下方に位置する。詳しくは、操作中の操作部材40が第1状態にあるとき、突出部310の斜面314と斜面部420の斜面424とは、短い水平面を挟んで概ね連続して延びている。このため、スライダ500が第2相対位置に向かって移動する際、スライダ500の突出部560は、徐々に下方に移動する。これにより、バネ部530が急激に大きく弾性変形することによる不要なクリック感の発生が防止される。特に、本実施の形態においては、斜面314及び斜面424の夫々は、Y方向と約45°の角度で交差している。このため、クリック感の発生が、より確実に防止できる。
【0074】
図21及び
図27から理解されるように、第1状態にある操作部材40のスライダ500を第2相対位置に移動すると、突出部560は、斜面部420を超え、受容部412に到達する。このとき、突出部560は、受容部412及びハウジング300の受容空間22に受容される。詳しくは、
図27に示されるように、スライダ500が第2相対位置にあるとき、突出部560の下端は、受容部412を通過して下方に突出している。本実施の形態によれば、受容部412の下方に受容空間22が設けられているため、バネ片510は、部分的に受容空間22に受容されて初期形状に戻る。このため、スライダ500が長期間にわたって第2相対位置に維持された場合でも、バネ片510のバネ部530のバネ性が維持される。換言すれば、バネ片510は、バネ性が維持できる程度に少なくとも部分的に受容空間22に受容されればよい。
【0075】
図21から理解されるように、斜面424と斜面414も、短い水平面を挟んで概ね連続して延びている。このため、突出部560が受容空間22に受容される際も、突出部560は、下方に大きく移動しない。これによっても不要なクリック感の発生が防止される。
【0076】
図21及び
図27を参照すると、スライダ500が第2相対位置にあるとき、突出部560の前面562は、斜面314、斜面424及び斜面414と同様に傾斜している。このため、スライダ500は、第2相対位置から第1相対位置にスムーズに戻せる。
【0077】
本発明によるコネクタ装置10は、既に説明した変形例に加えて、更に様々に変形可能である。例えば、押戻し機構510は、操作部材40全体を押し戻すのではなく、操作部材40の一部(例えば、スライダ500のみ)を押し戻してもよい。但し、操作部材40が第1状態にあることを視認し易くするという観点からは、操作部材40全体を押し戻すほうが好ましい。
【0078】
また、本実施の形態において支持片410に設けられていた受容部412等の部位は、支持片410以外の部位に設けてもよい。バネ片510の形状やサイズも様々に変形可能である。また、押戻し機構510は、操作部材40が第1状態に遷移したとき、操作部材40に対して押戻し力を加える限り、どのような構造を有していてもよい。即ち、押戻し機構510は、バネ片510でなくてもよい。
【0079】
押戻し機構510は、スライダ500以外の部材に設けられていてもよい。例えば、押戻し機構510は、レバー400の一部であってもよい。この場合も、バネ片510である押戻し機構510は、本実施の形態と同様に、操作部材40が第1状態に遷移したとき、ハウジング300に押圧されて弾性変形する。しかしながら、レバー400は、操作部材40の第1状態から第2状態への遷移に伴ってハウジング300に対して相対的に移動しない。このため、レバー400に設けられたバネ片510は、操作部材40が第2状態に維持されている間も、ハウジング300に押圧されて弾性変形し続ける。これによりバネ片510のバネ性が低下する恐れがある。押戻し機構510がバネ片510であり、且つ、そのバネ性の維持が重要である場合、バネ片510は、操作部材40の第1状態から第2状態への遷移に伴って互いの相対的な位置関係が変わるスライダ500及びハウジング300のいずれか一方に設けることが好ましい。即ち、押戻し力は、操作部材40が第1状態に遷移したときバネ片510がスライダ500及びハウジング300のうちの他方を押圧することにより生じる。