(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外部の正式なアクティベーションキー発行システムで発行されたアクティベーションキーである基本キーを記憶するとともに、前記基本キーに基づき前記アクティベーションキーを追加発行するためのキー発行プログラムを記憶する記憶部と、
アクティベーションが未だなされていないアプリケーションがインストールされた画像形成装置であり、自機が属するローカルネットワーク内に設置された前記自機以外の画像形成装置である他機で使用可能な前記アクティベーションキーの発行指示を受け付ける受付部と、
前記アクティベーションキーの発行指示を前記受付部が受け付けると、前記基本キーと前記キー発行プログラムとに基づき、前記他機で使用可能な前記アクティベーションキーを生成する制御部と、
前記制御部により生成された前記アクティベーションキーを前記他機で使用する際に前記他機に入力すべき生成キー情報をシートに印刷して出力する印刷部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
前記制御部は、前記自機が属するローカルネットワーク外に設置された画像形成装置で使用される前記アクティベーションキーの発行指示を前記受付部が受け付けても、前記アクティベーションキーを生成しないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<画像形成システムの概要>
図1に示すように、本実施形態の画像形成システム1は、複数台の画像形成装置2(画像形成装置2A、2Bおよび2C)を備える。たとえば、画像形成システム1に含まれる画像形成装置2は、コピー機能や送信機能(FAX機能)などの機能を搭載する複合機である。なお、画像形成システム1に含まれる画像形成装置2の設置台数は特に限定されず、2台以上であればよい(4台以上でもよい)。また、画像形成システム1に含まれる画像形成装置2の各構成については、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。以下の説明では、一例として、画像形成システム1に含まれる画像形成装置2の各構成が互いに同じであるものとする。
【0020】
複数台の画像形成装置2は、ローカルネットワークLN内で通信可能に接続される(たとえば、イーサネット(登録商標)方式)。言い換えると、複数台の画像形成装置2は、LANによって相互に通信可能に接続される。
【0021】
ローカルネットワークLNは、ゲートウェイ(あるいは、ルーター)のような接続機器N1を介して、外部ネットワーク(一例として、IPネットワークNWとする)に接続される。言い換えると、接続機器N1より末端側がローカルネットワークLNに相当する。
【0022】
ここで、画像形成装置2の機能を拡張するためのアプリケーションAP(
図3参照)が画像形成装置2にインストールされる場合がある。たとえば、画像形成装置2は、アプリケーションAPのインストールが予めなされた状態で出荷される。あるいは、画像形成装置2の出荷後に、画像形成装置2にアプリケーションAPがインストールされる場合もある。しかし、このアプリケーションAPは、画像形成装置2にインストールしただけでは利用できない。画像形成装置2にてアプリケーションAPを利用するには、アプリケーションAPをアクティベーションするためのアクティベーションキー(アプリケーションAPのプロテクトを解除するためのプロテクト解除キー)が必要となる。このため、画像形成装置2は、IPネットワークNWを介して、アクティベーションキー発行システムASと通信可能に接続される。
【0023】
アクティベーションキー発行システムASは、たとえば、アプリケーションAPの開発者や販売者が設置する公式のライセンス管理用サーバーであり、アクティベーションキーの発行元となる。アクティベーションキー発行システムASは、画像形成装置2(その使用者)からアクティベーションキーの発行申請を受け付けると、その発行申請の内容を確認する。そして、アクティベーションキー発行システムASは、アクティベーションキーの発行申請に不正が認められなければ(たとえば、不正と見做す予め定められた条件に合致していなければ)、アクティベーションキーを生成し、申請元の画像形成装置2に発行する。これにより、申請元の画像形成装置2では、アクティベーションキー発行システムASから発行されたアクティベーションキーにより、アプリケーションAPをアクティベーションすることができる。
【0024】
<画像形成装置の構成>
図2に示すように、画像形成装置2は、画像読取部201、印刷部202および操作パネル203を備える。なお、操作パネル203は「受付部」に相当する。
【0025】
画像読取部201は、コンタクトガラス201aを有し、そのコンタクトガラス201a上の原稿を読み取り、原稿の画像データを生成する。たとえば、画像読取部201の読み取りによって得られた原稿の画像データは、後述する主制御部210(
図3参照)により各種画像処理が施される。そして、その画像データは、印刷部202による印刷画像の基データとなる。あるいは、画像データは、ファクシミリデータの基データとなる。
【0026】
印刷部202は、給紙部21、用紙搬送部22、画像形成部23および定着部24によって構成される。給紙部21は、用紙カセットPCに収容された用紙を用紙搬送路PPに供給する。用紙搬送部22は、用紙搬送路PPに沿って用紙を搬送する。画像形成部23は、感光体ドラム23a、帯電装置23b、露光装置23c、現像装置23d、転写ローラー23eおよびクリーニング装置23fを含む。そして、画像形成部23は、画像データに基づきトナー像を形成し、そのトナー像を用紙に転写する。定着部24は、用紙に転写されたトナー像を加熱および加圧して定着させる。
【0027】
操作パネル203は、タッチパネル付きの表示パネル31を含む。表示パネル31は、各種設定などを受け付けるためのソフトキーやメッセージを表示する。また、操作パネル203には、スタートキー32やテンキー33などのハードキーが設けられる。
【0028】
また、
図3に示すように、画像形成装置2は、主制御部210を備える。なお、主制御部210は「制御部」に相当する。主制御部210は、画像形成装置2の各部(画像読取部201、印刷部202および操作パネル203など)の動作を制御する。また、主制御部210は、画像データに対して各種画像処理(拡大/縮小、濃度変換およびデータ形式変換など)を行う。
【0029】
この主制御部210には、記憶部220および通信部230が接続される。記憶部220は、制御用のプログラムやデータを記憶する。また、記憶部220には、機能拡張用のアプリケーションAPが記憶される。そして、主制御部210は、記憶部220に記憶されたプログラムやデータに基づき、画像形成装置2の各部の動作を制御する。
【0030】
通信部230は、ローカルネットワークLN内の画像形成装置2(自機以外の他機)と通信可能に接続され、主制御部210からの指示に基づき、各種データを送受信する。あるいは、通信部230は、ローカルネットワークLN外の外部機器との間で通信する。
【0031】
たとえば、通信部230は、IPネットワークNWを介して、外部機器としてのアクティベーションキー発行システムASと通信する(
図1参照)。これにより、画像形成装置2は、アクティベーションキー発行システムASから、アクティベーションキーの提供を受けることができる。また、画像形成装置2の出荷後に画像形成装置2にアプリケーションAPをインストールする場合には、アプリケーションAPを格納するアプリサーバー(図示せず)と通信部230との間で通信が行われ、アプリサーバーから画像形成装置2に対してアプリケーションAPがダウンロードされる。なお、USBメモリーなどの携帯型記憶媒体にアプリケーションAPを格納しておき、その携帯型記憶媒体から画像形成装置2に対してアプリケーションAPのダウンロードがなされてもよい。
【0032】
ここで、画像形成システム1内の複数台の画像形成装置2のうち、いずれかの画像形成装置2(その使用者)がアクティベーションキー発行システムASに対してアクティベーションキーの発行申請を行い、それによってアクティベーションキー発行システムASがアクティベーションキーを生成し発行すると、そのアクティベーションキー(キーファイル)が申請元の画像形成装置2の記憶部220に格納される。以下、アクティベーションキー発行システムASで発行されたアクティベーションキーを基本キーK1と称する場合がある。
図3では、一例として、画像形成装置2Aに基本キーK1が格納された状態を図示している。
【0033】
なお、基本キーK1には、アプリケーションAPのプロテクトを解除するためのキー本体(プロテクト解除キー)の他に、基本キーK1に関する情報である基本キー情報が含まれる。たとえば、基本キー情報は、基本キーK1がアクティベーションキー発行システムASから正式に発行されたものであることを示す署名や、基本キーK1の発行日時などを含む。また、基本キーK1に対応するアプリケーションAPのライセンスに有効期限がある場合には、アプリケーションAPのライセンスの有効期限も基本キー情報に含まれる。
【0034】
また、複数台の画像形成装置2の各記憶部220には、基本キーK1に基づきアクティベーションキーを追加発行するためのキー発行プログラムKPが記憶される。このキー発行プログラムKPは、アクティベーションキー発行システムASがキー発行時に行う演算と同様の演算を行うためのプログラムである。
【0035】
そして、複数台の画像形成装置2のうち基本キーK1を保有する画像形成装置2は、アクティベーションキーの発行指示を受けると、基本キーK1とキー発行プログラムKPとに基づき、ローカルネットワークLN内の自機以外の他機で使用可能なアクティベーションキーを生成し発行する。これにより、ローカルネットワークLN内のいずれかの画像形成装置2が基本キーK1を保有して以降は、アクティベーションキー発行システムASにアクセスしなくても、ローカルネットワークLN内の画像形成装置2で使用可能なアクティベーションキーを入手することができる。以下、ローカルネットワークLN内の画像形成装置2で生成され発行されるアクティベーションキーを内部生成キーK2と称する場合がある。
図3では、一例として、画像形成装置2Bおよび2Cに内部生成キーK2が格納された状態を図示している。
【0036】
<アクティベーションキー発行システムによるアクティベーションキーの発行>
以下に、
図4に示すフローチャートを参照し、アクティベーションキー発行システムASによりアクティベーションキーが発行されるときの流れを説明する。
【0037】
図4に示すフローチャートのスタートは、アクティベーションの作業者によってアクティベーションキー発行システムASに対してアクティベーションキーの発行申請が行われたときである。なお、アクティベーションの作業者は、アクティベーションキーの発行を申請するとき、複数台の画像形成装置2のうち最初にアプリケーションAPのアクティベーションを行う画像形成装置2の操作パネル203に対してアクティベーションキーの発行申請に必要な入力操作を行う。この入力操作の対象となった申請元の画像形成装置2の通信部230は、IPネットワークNWを介して、アクティベーションキーの発行申請に関する申請データをアクティベーションキー発行システムASに送信する。
【0038】
申請データには、アプリケーションAPの種類やID、申請元の画像形成装置2のシリアル番号SN(製造番号)など種々の情報が含まれる。たとえば、画像形成装置2のシリアル番号SNは、装置間で互いに異なる番号であり、各装置の記憶部220に記憶される(
図3参照)。なお、これら以外の情報が申請データに含まれてもよい。
【0039】
アクティベーションの作業者によりアクティベーションキーの発行申請が行われると、ステップS1において、アクティベーションキー発行システムASは、申請元の画像形成装置2から申請データを受信する。
【0040】
そして、ステップS2において、アクティベーションキー発行システムASは、申請データに含まれる申請元の画像形成装置2のシリアル番号SNを用いて、予め定められた演算式に基づき、申請元の画像形成装置2でのみ使用可能なアクティベーションキー(基本キーK1)を生成する。なお、基本キーK1の発行申請は複数台の画像形成装置2のうちいずれからでも行えるが、各装置のシリアル番号SNは互いに異なる。したがって、複数台の画像形成装置2からそれぞれ基本キーK1の発行申請を行った場合には、基本キーK1は複数台の画像形成装置2ごとに異なったものとなる。すなわち、画像形成装置2Aが申請元となった場合に生成される基本キーK1は、画像形成装置2Bまたは2Cが申請元となった場合に生成される基本キーK1とは別物となる。
【0041】
基本キーK1を生成した後、ステップS3において、アクティベーションキー発行システムASは、基本キーK1を申請元の画像形成装置2に送信する。そして、ステップS4において、申請元の画像形成装置2の主制御部210は、通信部230が受信した基本キーK1を記憶部220に記憶させる。
【0042】
その後、ステップS5において、申請元の画像形成装置2の主制御部210は、記憶部220に記憶された基本キーK1に基づき、そのキーに対応するアプリケーションAPのアクティベーションを行う。これにより、申請元の画像形成装置2にてアプリケーションAPの利用が可能となる。
【0043】
<画像形成装置によるアクティベーションキーの発行>
複数台の画像形成装置2のうち基本キーK1を使用できる画像形成装置2は、その基本キーK1を保有する画像形成装置2(以下、第1画像形成装置2と称する場合がある)だけである。したがって、複数台の画像形成装置2のうち第1画像形成装置2以外の画像形成装置2(以下、第2画像形成装置2と称する場合がある)でアプリケーションAPのアクティベーションを行うには、第2画像形成装置2で使用可能なアクティベーションキーを別途入手しなければならない。
【0044】
たとえば、複数台の画像形成装置2ごとにアクティベーションキー発行システムASに対して基本キーK1の発行申請を行えば、各装置用の基本キーK1をそれぞれ入手することができる。しかし、このようにして複数台の画像形成装置2ごとに基本キーK1の発行を申請する場合には、複数台の画像形成装置2をそれぞれ外部ネットワークと接続させたり、複数台の画像形成装置2ごとに基本キーK1の発行申請を行うための入力操作を行ったりしなければならず、アクティベーションの作業者にとっては手間がかかり煩わしい。また、外部ネットワークで通信障害などが発生していると、アクティベーションキー発行システムASに対して基本キーK1の発行を申請しても、その申請から発行までに時間がかかる。あるいは、発行申請そのものが受け付けられないこともある。
【0045】
そこで、本実施形態では、基本キーK1を保有する第1画像形成装置2において、第2画像形成装置2で使用可能なアクティベーションキーの発行が行えるようになっている。
【0046】
以下、
図5〜
図7を参照して、第1画像形成装置2にてアクティベーションキーを発行し、第2画像形成装置2でアプリケーションAPをアクティベーションするときの流れを説明する。なお、
図7には、画像形成装置2Aを第1画像形成装置2とするとともに、画像形成装置2Bおよび2Cを第2画像形成装置2とする場合を一例として図示している。
【0047】
まず、
図5および
図7を参照し、第2画像形成装置2でのアプリケーションAPのアクティベーションに必要なライセンスシートRS(RS1)を印刷出力するときの流れを説明する。
図5に示すフローチャートのスタートは、第1画像形成装置2の操作パネル203に対して、第2画像形成装置2で使用可能なアクティベーションキーの発行を指示するための入力操作(キー発行要求操作)が行われたときである。このとき、第1画像形成装置2の操作パネル203は、各種情報を入力するための画面(図示せず)を表示する。この画面では、たとえば、アクティベーションキーの発行先となる第2画像形成装置2の識別名(アドレス)や、アクティベーション対象となるアプリケーションAPの種類あるいはIDなどの情報が入力される。
【0048】
アクティベーションキーの発行指示を受け付けると、ステップS11において、第1画像形成装置2の主制御部210は、入力識別名(アドレス)に対応する画像形成装置がローカルネットワークLN内に設置されているか否か、すなわち、入力識別名に対応する画像形成装置が第2画像形成装置2であるか否かを判断する。たとえば、複数台の画像形成装置2の各記憶部220には、ローカルネットワークLNのネットワークアドレスの範囲が記憶される。そして、第1画像形成装置2の主制御部210は、記憶部220に記憶されたネットワーク範囲を参照し、入力識別名に対応する画像形成装置がローカルネットワークLN内に設置されているか否かを判断する。
【0049】
この判断の結果、入力識別名に対応する画像形成装置がローカルネットワークLN内に設置されていない場合(入力識別名に対応する画像形成装置が第2画像形成装置2でない場合)には、本フローは終了する。すなわち、第1画像形成装置2の主制御部210は、自機が属するローカルネットワークLN外に設置された画像形成装置で使用されるアクティベーションキーの発行指示を受け付けても、アクティベーションキーを生成しない。一方で、入力識別名に対応する画像形成装置がローカルネットワークLN内に設置されている場合(入力識別名に対応する画像形成装置が第2画像形成装置2である場合)には、ステップS12に移行する。
【0050】
ステップS12に移行すると、第1画像形成装置2の主制御部210は、通信部230に指示し、第2画像形成装置2と通信させる。そして、第2画像形成装置2から、アクティベーションキーの発行に必要な情報を取得させる。ここで取得する情報は、たとえば、第2画像形成装置2のシリアル番号SNなどである。
【0051】
そして、ステップS13において、第1画像形成装置2の主制御部210は、第2画像形成装置2のシリアル番号SNを用いて、予め定められた演算式(キー発行プログラムKP)に基づき演算を行って、アルファベットや数字などの文字列からなるアクティベーションキーを生成する。
【0052】
続いて、ステップS14において、第1画像形成装置2の主制御部210は、ライセンスシートRS(RS1)の印刷出力を印刷部202に行わせる。このとき、印刷部202は、主制御部210で生成されたアクティベーションキーに関する情報である生成キー情報が印刷されたライセンスシートRS1を出力する。なお、生成キー情報は、第1画像形成装置2で生成されたアクティベーションキーを第2画像形成装置2で使用する際に第2画像形成装置2に入力すべき情報(キー本体を成す文字列など)を含む。また、生成キー情報は、たとえば、バーコードやQRコード(登録商標)の形態で印刷される。
【0053】
第1画像形成装置2からライセンスシートRS1が印刷出力された後、第2画像形成装置2で対象アプリケーションAPをアクティベーションするには、生成キー情報を第2画像形成装置2に入力する必要がある。
【0054】
次に、
図6および
図7を参照して、第2画像形成装置2でアプリケーションAPをアクティベーションするときの流れを説明する。
【0055】
図6に示すフローチャートのスタート時点では、第2画像形装置2の画像読取部201のコンタクトガラス201a上にライセンスシートRS1がセットされているとする。そして、第2画像形成装置2の操作パネル203に対して、アプリケーションAPのアクティベーションを指示するための入力操作(アクティベーション要求操作)が行われたとき、
図6に示すフローチャートがスタートする。なお、アクティベーション要求操作というのは、たとえば、スキャンを開始するときの操作(操作パネル203のスタートキー32を押す操作)と略同じである。ただし、操作パネル203のスタートキー32に対する押下操作に先立って、操作パネル203に対して、当該スキャンがライセンスシートRS1のスキャンであることを認識させるための操作がなされる。
【0056】
ステップS21において、第2画像形成装置2の主制御部210は、ライセンスシートRS1の読み取りを画像読取部201に行わせる。そして、ステップS22において、第2画像形成装置2の主制御部210は、画像読取部201によるライセンスシートRS1の読み取りによって生成キー情報を取得する。すなわち、ここで行われるライセンスシートRS1の読み取りにより、第2画像形成装置2に生成キー情報が入力され、生成キー情報に基づくアクティベーションキー(内部生成キーK2)が第2画像形成装置2の記憶部220に格納された状態となる。
【0057】
その後、ステップS23において、第2画像形成装置2の主制御部210は、記憶部220に記憶されたアクティベーションキーに基づき、アプリケーションAPのアクティベーションを行う。これにより、第2画像形成装置2でアプリケーションAPの利用が可能となる。
【0058】
なお、アクティベーションキー(キー本体)を成す文字列そのものがライセンスシートRS1に印刷されてもよい。この場合には、第2画像形成装置2の操作パネル203に対してアクティベーションキー(キー本体)を成す文字列を入力することにより、アプリケーションAPのアクティベーションが行われてもよい。
【0059】
ここで、第1画像形成装置2が保有する基本キーK1には、追加発行可能なアクティベーションキーのライセンス数を示すライセンス情報なども含まれる。たとえば、ライセンス情報で示されるライセンス数が2ライセンス分であれば、2ライセンス分のアクティベーションキーを追加で発行できる。この場合、第1画像形成装置2が画像形成装置2Aであり、第2画像形成装置2が画像形成装置2Bおよび2Cであったとすると、画像形成装置2Aでは、画像形成装置2B用のアクティベーションキーおよび画像形成装置2C用のアクティベーションキーの発行が可能となる。
【0060】
仮に、ライセンス情報で示されるライセンス数が1ライセンス分であるとする。この場合、画像形成装置2Bおよび2Cのうち、一方で使用可能なアクティベーションキーが発行済みであれば、他方で使用可能なアクティベーションキーの発行はできない。すなわち、第1画像形成装置2の主制御部210は、ライセンス情報で示されるライセンス数分のアクティベーションキーを生成して以降、アクティベーションキーの発行指示を受け付けても、アクティベーションキーを生成しない。
【0061】
<基本キーの委譲>
ローカルネットワークLN内の複数台の画像形成装置2のうち、基本キーK1を保有できるのは1台だけである。しかし、基本キーK1を保有する画像形成装置2が故障などすると、その画像形成装置2がローカルネットワークLNから除かれる場合がある。あるいは、ローカルネットワークLNの再構築などにより、基本キーK1を保有する画像形成装置2がローカルネットワークLNから除かれる場合もある。このような場合、ローカルネットワークLN内でのアクティベーションキーの発行が行えなくなる。
【0062】
このため、本実施形態では、第1画像形成装置2から第2画像形成装置2へ基本キーK1の委譲を行えるようになっている。このような基本キーK1の委譲が行われた場合、基本キーK1の委譲元が第1画像形成装置2から第2画像形成装置2となり、基本キーK1の委譲先が第2画像形成装置2から第1画像形成装置2となる。また、たとえば、第1画像形成装置2から第2画像形成装置2への基本キーK1の委譲は、第2画像形成装置2でのアプリケーションAPのアクティベーションと合わせて行われる。
【0063】
以下、
図8〜
図10を参照して、第1画像形成装置2から第2画像形成装置2へ基本キーK1を委譲するとともに、第2画像形成装置2でアプリケーションAPをアクティベーションするときの流れを説明する。なお、
図10には、画像形成装置2Aを第1画像形成装置2とするとともに、画像形成装置2Bおよび2Cを第2画像形成装置2とし、画像形成装置2Aから画像形成装置2Cへ基本キーK1を委譲する場合を一例として図示している。ただし、便宜上、第2画像形成装置2としての画像形成装置2Bは図示しない。
【0064】
まず、
図8および
図10を参照し、第1画像形成装置2から第2画像形成装置2への基本キーK1の委譲に必要なライセンスシートRS(RS2)を印刷出力するときの流れを説明する。
図8に示すフローチャートのスタートは、第1画像形成装置2の操作パネル203に対して、第1画像形成装置2から第2画像形成装置2への基本キーK1の委譲を指示するための入力操作(キー委譲要求操作)が行われたときである。このとき、第1画像形成装置2の操作パネル203は、各種情報を入力するための画面(図示せず)を表示する。この画面では、たとえば、基本キーK1の委譲先となる第2画像形成装置2の識別名(アドレス)や、基本キーK1に対応するアプリケーションAPの種類あるいはIDなどの情報が入力される。なお、これら各種情報は、キー発行要求操作(第2画像形成装置2で使用可能なアクティベーションキーの発行を指示するための入力操作)にて入力される情報と略同じである。
【0065】
基本キーK1の委譲指示を受け付けると、ステップS31において、第1画像形成装置2の主制御部210は、入力識別名(アドレス)に対応する画像形成装置がローカルネットワークLN内に設置されているか否か、すなわち、入力識別名に対応する画像形成装置が第2画像形成装置2であるか否かを判断する。ここでの判断手法は、たとえば、
図5に示したフローチャートのステップS11と同じである。
【0066】
この判断の結果、入力識別名に対応する画像形成装置がローカルネットワークLN内に設置されていない場合(入力識別名に対応する画像形成装置が第2画像形成装置2でない場合)には、本フローは終了する。一方で、入力識別名に対応する画像形成装置がローカルネットワークLN内に設置されている場合(入力識別名に対応する画像形成装置が第2画像形成装置2である場合)には、ステップS32に移行する。
【0067】
ステップS32に移行すると、第1画像形成装置2の主制御部210は、通信部230に指示し、第2画像形成装置2と通信させる。そして、第2画像形成装置2から、基本キーK1の委譲に必要な情報(たとえば、第2画像形成装置2のシリアル番号SNなど)を取得させる。ここで取得する情報は、たとえば、
図5に示したフローチャートのステップS12と略同じである。
【0068】
そして、ステップS33において、第1画像形成装置2の主制御部210は、第2画像形成装置2のシリアル番号SNを用いて、予め定められた演算式(キー発行プログラムKP)に基づき演算を行って、アルファベットや数字などの文字列からなるアクティベーションキー(第2画像形成装置2で使用可能な基本キーK1)を生成する。
【0069】
続いて、ステップS34において、第1画像形成装置2の主制御部210は、ライセンスシートRS(RS2)の印刷出力を印刷部202に行わせる。このとき、印刷部202は、記憶部220に記憶された基本キーK1に関する情報である基本キー情報と生成キー情報とを合わせた情報が印刷(たとえば、バーコードやQRコード(登録商標)の形態で印刷)されたライセンスシートRS2を出力する。なお、基本キー情報は、第1画像形成装置2に格納された基本キーK1を第2画像形成装置2へ委譲する際に第2画像形成装置2に入力すべき情報を含む。たとえば、基本キー情報には、基本キーK1が正式に発行されたことを示す署名などが含まれる。
【0070】
その後、ステップS35において、第1画像形成装置2の主制御部210は、記憶部220から基本キーK1を削除させる。
【0071】
第1画像形成装置2からライセンスシートRS2が印刷出力された後、第2画像形成装置2で対象アプリケーションAPをアクティベーションし、かつ、第2画像形成装置2へ基本キーK1を委譲するには、基本キー情報および生成キー情報を第2画像形成装置2に入力する必要がある。
【0072】
次に、
図9および
図10を参照して、第2画像形成装置2へ基本キーK1を委譲するとともに、第2画像形成装置2でアプリケーションAPをアクティベーションするときの流れを説明する。
【0073】
図9に示すフローチャートのスタート時点では、第2画像形装置2の画像読取部201のコンタクトガラス201a上にライセンスシートRS2がセットされているとする。そして、第2画像形成装置2の操作パネル203に対して、基本キーK1の受領を指示するための入力操作(キー受領要求操作)が行われたとき、
図9に示すフローチャートがスタートする。なお、キー受領要求操作というのは、たとえば、スキャンを開始するときの操作(操作パネル203のスタートキー32を押す操作)と略同じである。ただし、操作パネル203のスタートキー32に対する押下操作に先立って、操作パネル203に対して、当該スキャンがライセンスシートRS2のスキャンであることを認識させるための操作がなされる。
【0074】
ステップS41において、第2画像形成装置2の主制御部210は、ライセンスシートRS2の読み取りを画像読取部201に行わせる。そして、ステップS42において、第2画像形成装置2の主制御部210は、画像読取部201によるライセンスシートRS2の読み取りによって基本キー情報および生成キー情報を取得する。すなわち、ここで行われるライセンスシートRS2の読み取りにより、基本キー情報および生成キー情報が第2画像形成装置2に入力され、基本キー情報および生成キー情報に基づくアクティベーションキーが第2画像形成装置2の記憶部220に格納された状態となる。なお、このようにして第2画像形成装置2の記憶部220に格納されるアクティベーションキーは基本キーK1となる。結果として、第1画像形成装置2から第2画像形成装置2へ基本キーK1が委譲される。
【0075】
その後、ステップS43において、第2画像形成装置2の主制御部210は、記憶部220に記憶されたアクティベーションキーに基づき、アプリケーションAPのアクティベーションを行う。これにより、第2画像形成装置2でアプリケーションAPの使用が可能となる。
【0076】
なお、基本キーK1の委譲先となる第2画像形成装置2にて基本キーK1に対応するアプリケーションAPが既にアクティベーションされている場合には、第2画像形成装置2に対して基本キーK1の委譲だけを行える。この場合には、たとえば、基本キー情報だけを示すライセンスシートRSが印刷出力される。そして、このライセンスシートRSの読み取りを第2画像形成装置2で行うことにより、第2画像形成装置2に格納済みのアクティベーションキー(内部生成キーK2)を基本キーK1として扱える。すなわち、第1画像形成装置2から第2画像形成装置2へ基本キーK1が委譲されたことになる。
【0077】
本実施形態の画像形成システム1に含まれる第1画像形成装置2は、外部の正式なアクティベーションキー発行システムASで発行されたアクティベーションキーである基本キーK1を記憶するとともに、基本キーK1に基づきアクティベーションキーを追加発行するためのキー発行プログラムKPを記憶する記憶部220と、アクティベーションが未だなされていないアプリケーションがインストールされた画像形成装置2であり、第1画像形成装置2が属するローカルネットワークLN内に設置された第1画像形成装置2以外の画像形成装置2である第2画像形成装置2で使用可能なアクティベーションキーの発行指示を受け付ける操作パネル203(受付部)と、アクティベーションキーの発行指示を操作パネル203が受け付けると、基本キーK1とキー発行プログラムKPとに基づき、第2画像形成装置2で使用可能なアクティベーションキーを生成する主制御部210と、主制御部210により生成されたアクティベーションキーを第2画像形成装置2で使用する際に第2画像形成装置2に入力すべき生成キー情報をライセンスシートRS(シート)に印刷して出力する印刷部202と、を備える。
【0078】
本実施形態の構成では、アクティベーションキー発行システムASからアクティベーションキー(基本キーK1)の発行を受けて以降、その基本キーK1を格納する画像形成装置2にて、同一のローカルネットワークLN内に設置された他の画像形成装置2で使用可能なアクティベーションキーを発行することができる。このため、ローカルネットワークLN内の複数台の画像形成装置2にそれぞれインストールされたアプリケーションAPをアクティベーションする場合、1台目のアプリケーションAPのアクティベーションにはアクティベーションキー発行システムASとの間の通信が必要となるが、2台目のアプリケーションAPのアクティベーションからは、1台目の画像形成装置2(基本キーK1を格納する画像形成装置2)にてアクティベーションキーを発行することができるので、アクティベーションキー発行システムASとの間の通信が不要となる。これにより、複数台の画像形成装置2のうち少なくとも1台だけを外部ネットワークに接続可能にしておくだけでよく、複数台の画像形成装置2の全てを外部ネットワークに接続させることができる環境を整える必要はない。
【0079】
また、複数台の画像形成装置2の全てでアプリケーションAPのアクティベーションを行う場合であっても、アクティベーションキー発行システムASに対するアクティベーションキーの発行申請が1台分だけでよくなる。そして、アクティベーションキーの発行申請が1台分だけでよくなれば、その分、アクティベーションの作業時間を短くすることができる。これにより、アクティベーションの作業者の負担が小さくなる。
【0080】
さらに、この場合には、アクティベーションキー発行システムASに対するアクセスが減るので、アクティベーションキー発行システムASへのアクセス集中に起因するシステムダウンが発生し難くなる。したがって、アクティベーションキーの提供者にとっては、アクティベーションキー発行システムASの処理能力を向上させるための設備投資を軽減することができ、費用的な負担が小さくなる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、第1画像形成装置2の主制御部210は、ローカルネットワークLN外に設置された画像形成装置で使用されるアクティベーションキーの発行指示を操作パネル203が受け付けても、アクティベーションキーを生成しない。さらに、本実施形態では、第1画像形成装置2が保有するアクティベーションキー(基本キーK1)には、追加発行可能なアクティベーションキーのライセンス数を示すライセンス情報が含まれる。そして、そのライセンス情報で示されるライセンス数分のアクティベーションキーを生成して以降、第1画像形成装置2の主制御部210は、アクティベーションキーの発行指示を操作パネル203が受け付けても、アクティベーションキーを生成しない。これにより、アクティベーションキーが無制限に発行されるのを防止することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、第1画像形成装置2の通信部230は、アクティベーションキーの発行指示を操作パネル203が受け付けると、第2画像形成装置2から第2画像形成装置2のシリアル番号SNを取得する。そして、第1画像形成装置2の主制御部210は、第2画像形成装置2のシリアル番号SNを用いて、予め定められた演算式に基づき演算を行って第2画像形成装置2で使用可能なアクティベーションキーを生成する。これにより、容易に、アクティベーションキーの発行先となる第2画像形成装置2でのみ使用可能なアクティベーションキーを生成することができる。すなわち、第1画像形成装置2で生成したアクティベーションキーが意図しない画像形成装置で使用されるのを防止することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、第1画像形成装置2の操作パネル203が基本キーK1の第2画像形成装置2への委譲指示を受け付けると、第1画像形成装置2の印刷部202は、基本キーK1を第2画像形成装置2に委譲する際に第2画像形成装置2に入力すべき基本キー情報をライセンスシートRSに印刷して出力する。また、第1画像形成装置2の印刷部202による基本キー情報の印刷出力が終わった後、第1画像形成装置2の主制御部210は、第1画像形成装置2の記憶部220から基本キーK1を削除させる。これにより、ローカルネットワークLNから第1画像形成装置2を外す場合、基本キーK1を第1画像形成装置2から第2画像形成装置2に委譲しておけば、引き続き、ローカルネットワークLN内の画像形成装置2(基本キーK1の委譲を受けて第2画像形成装置2から第1画像形成装置2になった装置)でアクティベーションキーを発行することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、第1画像形成装置2の印刷部202は、ライセンスシートRSを印刷出力する。そして、第2画像形成装置2の画像読取部201は、ライセンスシートRSに印刷された画像(生成キー情報や基本キー情報)を読み取ることによって、生成キー情報や基本キー情報を第2画像形成装置2に入力する。これにより、第2画像形成装置2でアクティベーションキーを使用するとき(あるいは、第2画像形成装置2に基本キーK1を委譲するとき)、第2画像形成装置2に対して各種情報を手入力する手間が省けるので、アクティベーションの作業者にとっては利便性が良い。
【0085】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる