(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182528
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】構成コマンドを伝えるためのメモリシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 13/16 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
G06F13/16 510G
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-522930(P2014-522930)
(86)(22)【出願日】2012年7月23日
(65)【公表番号】特表2014-523600(P2014-523600A)
(43)【公表日】2014年9月11日
(86)【国際出願番号】US2012047864
(87)【国際公開番号】WO2013016291
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年7月13日
(31)【優先権主張番号】13/554,897
(32)【優先日】2012年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】102011108172.4
(32)【優先日】2011年7月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】インゴルフ イー フランク
【審査官】
後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−512749(JP,A)
【文献】
特表2007−507049(JP,A)
【文献】
特開平11−282591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/16
G06F 12/00
G11C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリシステムであって、
ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)の第1及び第2のセットであって、各DRAMが、少なくとも第1及び第2のアドレス可能モードレジスタを有し、前記第2のモードレジスタのバイナリアドレスが、前記第1のモードレジスタの反転されたバイナリアドレスである、前記DRAMの第1及び第2のセットと、
入力と、第1のアドレスラインを介してDRAMの前記第1のセットに結合される出力と、第2のアドレスラインを介してDRAMの前記第2のセットに結合される反転された出力とを有するシステムレジスタであって、前記システムレジスタが、アドレスビットと構成ビットとを含むモードレジスタセットコマンドを前記入力で受信するように構成され、前記モードレジスタセットコマンドを非反転で前記出力を介して前記DRAMの第1のセットに、及び反転された形式で前記反転された出力を介して前記DRAMの第2のセットに出力するように構成される、前記システムレジスタと、
前記システムレジスタの前記入力に結合されるように構成されるコントローラであって、各モードレジスタセットコマンドを前記システムレジスタに送るように構成され、各モードレジスタセットコマンドの後にそのコマンドの反転されたコピーが続く、前記コントローラと、
を含み、
前記DRAMが、前記第2のアドレス指定可能なモードレジスタに対する如何なるアクセスも無視するように構成される、メモリシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のメモリシステムであって、
各DRAMが、第1のアドレス可能モードレジスタと第2のアドレス指定可能なモードレジスタとの複数の対を含み、対において前記第2のモードレジスタのバイナリアドレスが前記第1のモードレジスタの反転されたバイナリアドレスである、メモリシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のメモリシステムであって、
前記第1又は第2のアドレス指定可能なモードレジスタの特定の1つへのアクセスが、前記DRAMによりオペレーションが実行されない(NOP)アクセスと考えられ、前記システムレジスタが、前記モードレジスタの前記特定の1つのアドレスを含むモードレジスタセットコマンドを前記システムレジスタのための構成情報として扱うように構成される、メモリシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のメモリシステムであって、
前記構成情報が、クロックイネーブル(CKE)とソフトリセットとソフトパワーダウンとのうちの1つを含む、メモリシステム。
【請求項5】
メモリシステムにおいてアドレス指定可能なモードレジスタにモードレジスタセットコマンドを伝えるための方法であって、前記メモリシステムがシステムレジスタとDRAMの第1及び第2のセットとを有し、各DRAMが第1及び第2のアドレス可能モードレジスタの少なくとも1つの対を有し、対における前記第2のモードレジスタのバイナリアドレスが前記第1のモードレジスタの反転されたバイナリアドレスであり、前記方法が、
前記システムレジスタによりアドレスビットと構成ビットとを含むモードレジスタセットコマンドを受け取る工程と、
前記システムレジスタから前記モードレジスタセットコマンドを非反転で前記DRAMの第1のセットに送る工程と、
前記システムレジスタから前記モードレジスタセットコマンドを反転された形式で前記DRAMの第2のセットに送る工程と、
前記システムレジスタにより前記モードレジスタセットコマンドを反転された形式で受け取る工程と、
前記反転されたモードレジスタセットコマンドを前記システムレジスタから前記DRAMの第1のセットに送る工程と、
前記反転されたモードレジスタセットコマンドを前記システムレジスタから反転された形式で前記DRAMの第2のセットに送る工程と、
アドレスされる前記第1のモードレジスタにおいて前記モードレジスタセットコマンドに含まれる前記構成ビットをストアする工程と、
を含む、方法。
【請求項6】
メモリシステムにおいてシステムレジスタにレジスタ制御ワードを送るための方法であって、前記メモリシステムが前記システムレジスタとDRAMの第1及び第2のセットとを有し、各DRAMが第1及び第2のアドレス可能モードレジスタの少なくとも1つの対を有し、対における前記第2のモードレジスタのバイナリアドレスが前記第1のモードレジスタの反転されたバイナリアドレスであり、前記方法が、
前記システムレジスタによりアドレスビットと構成ビットとを含むモードレジスタセットコマンドを受け取る工程であって、前記アドレスビットがアドレス指定可能なモードレジスタの特定の1つを指定し、前記アドレス指定可能なモードレジスタの前記特定の1つに対するアクセスがDRAMによりNOPアクセスと考えられ、前記構成ビットが前記システムレジスタのためのレジスタ制御ワードアドレスと構成データとを含む、前記受け取る工程と、
前記システムレジスタにおいて前記モードレジスタの前記特定の1つのアドレスを検出する工程と、
前記レジスタ制御ワードアドレスにおいて前記システムレジスタにおける構成データをストアする工程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、構成コマンドを伝えるためのメモリシステム及び方法に関連する。更に具体的には、本発明は、システムレジスタとダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)の2セット又は1セットとを含むメモリシステムに関連する。本発明は更に、アドレス指定可能なモードレジスタにモードレジスタセットコマンドを伝えるための方法、及びシステムレジスタにレジスタ制御ワードを送るための方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
メモリシステムは、例えば、コンピュータ、特に、大量のメモリを要するサーバーコンピュータ、において用いられる。このようなメモリシステムは更にメモリモジュールを含み得、これはデュアルインラインメモリモジュール(DIMM)として実現され得る。メモリコントローラがメモリモジュールを駆動し得る。コントローラ出力は、必要とされるコマンド/アドレス信号(CA)を、容量性及び抵抗性負荷及びクロック信号に関連して必要とされるタイミングを考慮して全ての関連するメモリモジュールに提供する必要がある。
【0003】
所謂レジスタードメモリモジュールは、更に、メモリコントローラに対する負荷要件を緩和するシステムレジスタを含む。RDIMMと呼ぶこともあるレジスタードDIMMが、幾つかのDRAMチップを保持し得、システムからの大量のアドレスライン静電容量を軽減するためアドレス/コマンドレジスタを用いる。
【0004】
レジスタードDIMMにおいて、全てのコマンドは、DRAMデバイスに進む前にDIMM上のシステムレジスタを通過する必要がある。このようなコマンドは、データを書き込むため又は読み出すためであり得る。
【0005】
従来技術に従って、レジスタードDIMMにおけるシステムレジスタは、スイッチングノイズを低減するため及びマザーボード終端電圧(VTT)レギュレータへの終端電流を低減するため、メモリモジュールの半分に対する、或いは、言い換えると、DRAMの1つのセット又は1つのバンクに対するDRAMアドレスラインにおけるアドレス反転を用いる。
【0006】
メモリシステムが構成コマンドにより構成され得る。従って、レジスタードDIMMにおいて、システムレジスタは、1つ又は複数の構成レジスタを含み、DRAMは1つ又は複数のモードレジスタを含む。
【0007】
DRAMのための構成コマンドは、モードレジスタセットコマンド(MRSコマンド)と呼ばれ、例えば、種々のモード、開始状態更新、を制御するため、及び他のオペレーションに実行するため、メモリに送られる。MRSコマンドが、構成データ自体のためのモードレジスタ及び構成ビットを示すアドレスビットを含む。DIMM又はRDIMMにおいて、DIMMに含まれる、及び同じモードレジスタアドレスに対する各DRAMに含まれる全てのDRAMに、同じMRSコマンドが送信されるべきである。
【0008】
そのため、レジスタードDIMMにおいてDRAMを構築するとき、コントローラはMRSコマンドをシステムレジスタに送信し、システムレジスタは、そのコマンドを全てのDRAMアドレスラインを介して全てのDRAMに送信する。アドレスが反転されたレジスタードDIMMの場合、MRSコマンドは、反転された及び非反転アドレスラインを介して送信され得る。同じ論理レベルを全てのDRAMに同時に(従来技術に従って)送るため、MRSコマンドを送るためアドレス反転がディセーブルにされる。
【0009】
従って、システムレジスタは、マザーボードコントローラホストからDRAMへ進むMRSコマンドを検出する必要がある。この検出又はデコードは、情報がレジスタを介して伝播される前にリアルタイムで成される必要がある。
【0010】
MRSコマンドが検出されると、システムレジスタは、3サイクルの第1のサイクルの間、関連するチップ選択信号がDRAMに伝播することを阻止し、これはその後、アドレス反転をディセーブルし、全ての信号を両方の側に対して同じレベルで駆動する。これは、スイッチングノイズを増大させ、DRAMに対するチップ選択信号を阻止するためレジスタからの高速アクションを必要とする。増大されるスイッチングノイズに起因して、レジスタは、信号に一層多くのセトリング時間を与えるためその出力タイミングをコマンド毎に1クロック(1Tタイミング)からコマンド毎に3クロック(3Tタイミング)に変える必要がある。このメカニズムは、レジスタ複雑性を増大させ、レジスタのレイテンシーに対する不利な点を有する。
【0011】
レジスタードDIMMにおけるシステムレジスタの構成が、通常オペレーションの間用いられないアクセスメカニズムを用いて、コントローラからレジスタまで情報を送信することにより(従来技術に従って)実行される。メモリモジュールに対する通常アクセスは概して、アドレス及びコマンド信号線のアドレス/コマンド情報と同時にチップ選択信号を低にプルすることにより開始される。この信号組み合わせは、システムレジスタにより捕捉され、DRAMに送信される。メモリモジュールが、各々それ自体のチップ選択信号を有する2つの所謂ランクで構成され得るため、各モジュールは、メモリコントローラに対する接続において2つのチップ選択信号のセットを必要とする。通常オペレーションの間、両方のチップ選択信号は、決して同時に低にプルされない。
【0012】
両方のチップ選択信号を同時に低にプルすることにより、コントローラは、システムレジスタに対する構成書き込みを開始する。このアクセスは、DRAMがそれを誤ってDRAMアクセスと解釈し得るため、DRAMまで通過されてはいけない。従って、システムレジスタは、チップ選択出力を高に保つことによりアクセスを阻止する。この阻止は、リアルタイムで成されるべきであり、レジスタ性能を制限する。
【発明の概要】
【0013】
1つの側面において、メモリシステムが提供される。メモリシステムは、システムレジスタとDRAMの第1及び第2のセットとを含む。各DRAMは、少なくとも第1及び第2のアドレス可能モードレジスタを含む。第2のモードレジスタのバイナリアドレスは、第1のモードレジスタの反転されたバイナリアドレスである。システムレジスタは、コントローラに結合されるように構成される入力を含む。システムレジスタは、出力と反転された出力とを含む。出力は、第1のアドレスラインを介してDRAMの第1のセットに結合される。反転された出力は、第2のアドレスラインを介してDRAMの第2のセットに結合される。
【0014】
システムレジスタは、入力でアドレスビット及び構成ビットを含むモードレジスタセットコマンドを受信するように構成される。システムレジスタは更に、モードレジスタセットコマンドを非反転出力を介してDRAMの第1のセットに出力するように、及び反転された形式でモードレジスタセットコマンドを反転された出力を介してDRAMの第2のセットに出力するように構成される。
【0015】
言い換えると、MRSコマンドを送信する間アドレス反転はオンに保たれる。従って、MRSコマンドのリアルタイムで伝送を検出することは必ずしも必要ではない。スイッチングノイズが低減され、終端電流が低減される。信号に一層多くのセトリング時間を与えるために出力タイミングがコマンド毎に3サイクル(3Tタイミング)に変えられることは必ずしも必要ではない。
【0016】
別の例として、メモリシステムはコントローラを更に含む。コントローラは、システムレジスタに、各モードレジスタセットコマンド、及びその後コマンドの反転されたコピーを送るように構成され得る。更に、DRAMは、第2のアドレス指定可能なモードレジスタに対する如何なるアクセスを無視するように構成され得る。
【0017】
これは、例えば、コントローラがまず、第1のモードレジスタを示すアドレスビットと構成ビットとを含むモードレジスタセット(MRS)コマンドを送ることを意味する。システムレジスタは、この第1のコマンドを非反転出力を介してDRAMの第1のセットに送り、第1のセットはMRSコマンドに含まれる構成ビットを受け取り、それらをアドレスビットにより指定される第1のモードレジスタにストアする。システムレジスタは、反転された出力を介して反転されたこの第1のコマンドをDRAMの第2のセットにも送り、第2のセットは、反転された形式でMRSコマンドに含まれる構成ビットを受け取る。しかし、反転されたアドレスビットを示す第2の(ダミー)モードレジスタ及び従って、第2のセットのDRAMSが、コマンドを無視する。
【0018】
コントローラはその後、コマンドの反転されたコピーを送る。そのため、コマンドが、第2のモードレジスタのバイナリアドレスは、第1のモードレジスタの反転されたバイナリアドレスであるため、第2のアドレス可能モードレジスタを示すアドレスビットを含む。システムレジスタは、反転されたコピーを非反転出力を介してDRAMの第1のセットに送る元の構成ビットの反転されたコピーを受け取る。しかし、アドレスビットも反転され、そのため第2の(ダミー)モードレジスタを示し、従って、第1のセットのDRAMSが、コマンドを無視する。システムレジスタは、反転されたコピーを反転された反転された出力を介してDRAMの第2のセットにも送る。第2のセットは、MRSコマンドに含まれる構成ビットを受け取る。それらの元の形式で(2回反転される)。アドレスビットに含まれるMRSコマンドも2回反転され、そのため、それらの元の形式で第1のモードレジスタを示す。第2のセットのDRAMは、従って、第1のモードレジスタで構成ビットをストアし得るアドレスビットにより指定される。
【0019】
2つのコマンドが送られた後、両方のセットのDRAMにおける第1のアドレス可能モードレジスタは、ストアされた同じ構成ビットを有し得る。第2のモードレジスタは両方のセットで無視される。
【0020】
アドレス反転が保たれ得、及びの代わりに3クロックタイミング(3Tタイミング)、2クロックタイミング(2Tタイミング)が達成される。
【0021】
別の例では、DRAMは、第2のアドレス指定可能なモードレジスタに対するアクセスを、反転された構成ビットを有する第1のアドレス可能モードレジスタに対するアクセスとして扱うように構成され得る。本発明のこの側面に従って、コントローラは、モードレジスタセットコマンドを1度のみ送る。
【0022】
これは、システムレジスタが、例えば、第1のモードレジスタ及び構成ビットを示すアドレスビットを含むモードレジスタセット(MRS)コマンドを受け取ることを意味する。システムレジスタは、出力を介して、アドレスビットにより指定される第1のモードレジスタにおいてそこに含まれる構成ビットをストアする第1のセットのDRAMに非反転コマンドを送る。
【0023】
システムレジスタは、反転された出力を介して、コマンドを反転された形式で第2のセットのDRAMに送る。反転されたアドレスビットは、第2のモードレジスタを示し、従って、第2のセットのDRAMは、コマンドを対応する第1のモードレジスタに対するアクセスとして扱い、MRSコマンドに含まれる構成ビットを反転された形式で、そのため元の形式で、ストアする。その後、DRAMの両方のセットの第1のモードレジスタは、同じ構成ビットを含む。
【0024】
アドレス変換が保たれ得、3クロックタイミング(3Tタイミング)の代わりに、1クロックタイミング(1Tタイミング)が達成される。
【0025】
別の例では、各DRAMは、第1及び第2のアドレス可能モードレジスタの複数の対を含み得、対の、第2のモードレジスタのバイナリアドレスは、第1のモードレジスタの反転されたバイナリアドレスであり得る。例えば、8つの対がある場合、第1の対において、第1のアドレス可能モードレジスタは、バイナリアドレス「0000」を有し、対応する第2のアドレス指定可能なモードレジスタは、アドレス「111T1」を有する。別の対は「0001」及び「1110」等となり得る。DRAM毎にモードレジスタの8つの対を備える例において、DRAM毎に8つの異なるモードレジスタが、異なるモードレジスタ設定に用いられ得、本発明の用語では、これらは第1のモードレジスタである。他の8つのモードレジスタは、構成データをストアするために用いられず、本発明の用語では、これらは第2のモードレジスタである。
【0026】
別の例では、第1のアドレス可能モードレジスタの特定の1つへのアクセスは、DRAMにより「オペレーションが実行されない(no operation performed)」アクセスと考えられ得る。代わりに、第1のアドレス可能モードレジスタの特定の一つのアドレスは、コントローラからシステムレジスタに構成情報を送るために用いられる。
【0027】
モードレジスタの8つの対を備える例において、DRAM毎に、MRSコマンドが、第1のアドレス可能モードレジスタ「0111」の8番目のアドレスを含み得る。DRAMはコマンドを「オペレーションが実行されない」と考えるこのアドレスを含むように構成され得る。このコマンドは、そのため、構成ビットの場所に、システムレジスタに対する構成データとしてレジスタ制御ワード(RCW)アドレス及びレジスタ制御ワードを含み得る。
【0028】
この構成情報が、例えば、クロックイネーブル、ソフトリセット、又はソフトパワーダウンのために用いられ得る。そのため、従来技術とは異なり、これらの機能のための専用ピンを提供することが必要ではなくなる。
【0029】
更に、モードレジスタセットコマンドを、メモリシステムにおけるアドレス指定可能なモードレジスタに伝えるための或る方法が提供される。メモリシステムは、システムレジスタとDRAMの第1及び第2のセットとを含む。各DRAMが、少なくとも一対の第1及び第2のアドレス可能モードレジスタを含み、第2のモードレジスタのバイナリアドレスは、第1のモードレジスタの反転されたバイナリアドレスである。
【0030】
システムレジスタは、アドレスビット及び構成ビットを含むモードレジスタセットコマンドを受け取る。システムレジスタは、モードレジスタセットコマンドを第1のセットのDRAMに送る。システムレジスタは、モードレジスタセットコマンドを反転された形式でDRAMの第2のセットに送る。
【0031】
一例として、システムレジスタは、モードレジスタセットコマンドを第2の時間反転された形式で受け取る。システムレジスタは、反転されたモードレジスタセットコマンドを第1のセットのDRAMに送り得る。システムレジスタは、反転されたモードレジスタセットコマンドを反転された形式で第2のセットのDRAMに送り得る。レジスタセットコマンドに含まれる構成ビットは、第1のモードレジスタにストアされ得、これらは、DRAMの両方のセットにおいてアドレスされる。
【0032】
別の例では、DRAMは、そこに含まれるアドレスが第2のモードレジスタのアドレスである場合、モードレジスタセットコマンドを反転するように構成される。反転の後、アドレスは、第1のモードレジスタのアドレスであり、構成ビットは、第1のモードレジスタアドレスされたにストアされる。
【0033】
1つの側面において、メモリシステムにおいてレジスタ制御ワードをシステムレジスタに送るための方法が提供される。メモリシステムは、システムレジスタ及びDRAMの第1及び第2のセットを含む。各DRAMが、第1及び第2のアドレス可能モードレジスタの少なくとも一つの対を含む。第2のモードレジスタ対のバイナリアドレスは、第1のモードレジスタの反転されたバイナリアドレスである。システムレジスタは、アドレスビット及び構成ビットを含むモードレジスタセットコマンドを受け取る。アドレスビットが、DRAMによりオペレーションが実行されない(NOP:no operation performed)アクセスであると考えられる、アドレス指定可能なモードレジスタの特定の1つを指定する。構成ビットが、システムレジスタのためのレジスタ制御ワードアドレス及び構成データを含む。システムレジスタは、モードレジスタの特定の一つのアドレスを検出する。システムレジスタは、レジスタ制御ワードアドレスにおいて構成レジスタに構成データをストアする。
【0034】
そのため、システムレジスタは、選択出力を高に保つことによりチップアクセスを阻止する必要がない。リアルタイム阻止が必要とされず、レジスタ性能が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
例示の実施例を添付の図面を参照して説明する。
【0036】
【
図1】
図1は、メモリシステムの簡略化した概略図の一例である。
【0037】
【
図2】
図2は、システムレジスタの簡略化した概略図の一例である。
【0038】
【
図3】
図3は、MRSコマンド及びMRSコマンドに対する変化の簡略化した例を示す例示の表である。
【0039】
【
図4】
図4は、MRSコマンド及びMRSコマンドに対する変化の簡略化した例を示す例示の表である。
【0040】
【
図5】
図5は、システムレジスタの構成に用いられるMRSコマンド及びコマンドに対する変化の簡略化した例を示す例示の表である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は概して、メモリシステム10及びメモリコントローラ12を含む電子デバイスを示す。例示の実施例において、メモリコントローラ12はメモリシステム10の一部ではない。他の実施例において、コントローラはメモリシステムに含まれ得る。
【0042】
メモリシステム10は、システムレジスタ14と、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)16A及び16BのDRAMの第1のセットと、DRAM16C及び16DのDRAMの第2のセットとを含む。各DRAM16A〜16Dは、それぞれ18A〜18Dの多数のモードレジスタを含む。各DRAMにおいて、例えば、16モードレジスタ、即ち、MR0〜MR15、があり得る。各DRAMに8モードレジスタのみ場合もあり得る。各DRAMにおいて少なくとも2つのモードレジスタがある。モードレジスタは、モードレジスタの対、及び更に具体的には、第1のアドレス可能モードレジスタ及び第2のアドレス指定可能なモードレジスタの対、を形成し得る。対において第2のモードレジスタのバイナリアドレスは、第1のモードレジスタの反転されたバイナリアドレスであり得る。各DRAMが、同じアドレス下でアドレス指定可能なモードレジスタを含むことを理解されたい。各DRAMにおいてMR0は、例えば、バイナリアドレス「0000」を有し得、MR15はバイナリアドレス「1111」を有し得る。
【0043】
メモリ16A〜16Dは、RDIMM(レジスタードDIMM)とも呼ばれるデュアルインラインメモリモジュール(DIMM)上でシステムレジスタ14と共に実現され得る。
図1に示すメモリシステム10は、メモリコントローラ12により制御される1つのRDIMMのみを含む。当業者であれば、メモリコントローラ12は複数のメモリモジュールを制御し得、複数のメモリモジュールは各々、システムレジスタと各々多数モードレジスタを備える複数のDRAMとを含むことが明らかであろう。
【0044】
システムレジスタ14は入力20を含み、入力20は、ライン22によりメモリコントローラ12と接続される。ライン22は更に、DRAMバンクアドレスラインを含み得る。メモリコントローラ12は更に、クロックが送信されるライン24によりシステムレジスタ14に接続される。当業者であれば、メモリコントローラ12が、データ及びストローブラインによりDRAM16A〜16Dに直に接続され得ることも理解されたい。これらの接続は本発明には重要ではなく、簡略化した表示では省略している。
【0045】
システムレジスタ14は、第1のアドレスライン27によりDRAM16A及び16Bの第1のセットに結合される出力26を含む。システムレジスタ14は更に、クロックライン28によりDRAM16A及び16Bと接続される。
【0046】
システムレジスタ14は更に、第2のアドレスライン31によりDRAM16C及び16Dの第2のセットに結合される、反転された出力30を含む。システムレジスタ14は更に、クロックライン32によりDRAM16C及び16Dと接続される。DRAMの各セットは更に、2つ以上のDRAMを含み得る。
【0047】
オペレーションにおいて、バイナリモードレジスタセット(MRS)コマンドが、ライン22を介して、いわゆるDB信号として、メモリコントローラ12からシステムレジスタ14に送られる。ライン22はDRAMバンクアドレスラインであり得る。システムレジスタ14は、受け取ったMRSコマンドを、出力26を介していわゆるQA信号として非反転形式でライン27でDRAM16A及び16Bに、及び更に具体的にはモードレジスタ18A及び18Bに、送るように構成され得る。ライン27はDRAMバンクアドレスラインであり得る。システムレジスタ14は受け取ったMRSコマンドを、反転された出力30を介していわゆるQB信号として反転された形式でライン31でDRAM16C及び16Dに、及び更に具体的にはモードレジスタ18C及び18Dに、送るように構成され得る。ライン31はDRAMバンクアドレスラインであり得る。
【0048】
図2は、システムレジスタ14を更に詳細に示す。クロックライン24、28及び32は示されていない。システムレジスタ14は、4つの増幅器34A、34B、34C、及び34Dと、4つの反転増幅器36A、36B、36C、及び36Dとを含む。システムレジスタ14は、
図1に示す入力20に対応する4つの入力20A、20B、20C、及び20Dを更に含む、これらは、
図1のライン22に対応するそれぞれ、ライン22A、22B、22C、及び22Dに接続される。DRAMバンクアドレス信号DBA0、DBA1、DBG0、及びDBG1が、それぞれ、ライン22A、22B、22C、及び22Dを介して送信される。
【0049】
システムレジスタ14は更に、
図1に示す出力26に対応する4つの出力26A、26B、26C、及び26Dを含み、これらは、
図1のライン27に対応する、それぞれ、ライン27A、27B、27C、及び27Dに接続される。出力信号QABA0、QABA1、QABG0、及びQABG1が、それぞれ、ライン27A、27B、27C、及び27Dを介して送信される。システムレジスタ14は更に、
図1に示す出力30に対応する4つの反転された出力30A、30B、30C、及び30Dを含み、これらは、それぞれ、ライン31A、3IB、31C、及び31Dに接続される。出力信号QBBA0、QBBA1、QBBG0、及びQBBG1は、それぞれ、ライン31A、3IB、31C、及び31Dを介して送信される。
【0050】
オペレーションにおいて、信号DBA0は、ライン22Aを介して、システムレジスタ14に入力され、出力信号QABA0として出力26Aで出力され、出力信号QABA0は、DRAMの第1のバンク又はセットのDRAM16A及び16Bに送信される。信号DBA0は更に、出力30Aにおいて信号QBBA0として反転された形式で出力され、DRAMの第2のセットのDRAM16C及び16Dに送信される。
【0051】
信号DBA1が、入力20Bにおいてレジスタ14に入力され、出力26Bを介して信号QABA1としてDRAM16A〜16Bに、及び反転された形式で出力30Bを介して信号QBBA1としてDRAM16C及び16Dに送信される。同様に、信号DBG0及びDBG1が、システムレジスタ14に入力され、非反転形式で信号QABG0及びQABG1としてDRAM16A及び16Bに、及び反転された形式で信号QBBG0及びQBBG1としてDRAM16C及び16Dに出力される。
【0052】
図3〜
図5は、本発明の一実施例に従ったMRSコマンドに対する変化を図示する。システムレジスタ14は、その入力20においてコントローラ12から第1のMRSコマンドを受け取る。MRSコマンドは、
図3の表の3番目のラインに示すように、アドレスビット「0001」及び構成ビット「111111111111」を含み得る。このコマンドは、表の次のラインに示すように出力26においてDRAM16A及び16Bの第1のセットに反転されずに出力され得る。このコマンドは更に、表の5番目のラインにアドレス「1000」及び構成ビット「000000000000」で示すように、反転された出力30においてDRAM16C及び16Dの第2のセットに反転された形式で出力され得る。
【0053】
その後コントローラ12は、第1のMRSコマンドの反転されたコピーである第2のMRSコマンドを送り得る。反転されたコピーのアドレスビット及び構成ビットを、
図3において「第2のコマンド」のヘッドラインの下に示す。このコマンドは、表の次のラインに示すように非反転出力26においてDRAM16A及び16Bの第1のセットに出力され得る。このコマンドは更に、
図3の表の最後のラインに示すように、反転された出力30においてDRAM16C及び16Dの第2のセットに反転された形式で出力され得る。
【0054】
コマンドに含まれる構成ビットは、第1のモードレジスタのアドレスでのみストアされ得る。アドレス「0001」は第1のモードレジスタのアドレスであり、アドレス「1110」は第2のモードレジスタのアドレスである。そのため、第1のコマンドの後、構成ビット「111111111111」が、第1のセットのDRAMのアドレス「0001」を有する全ての第1のモードレジスタにストアされ得る。アドレスビット「1110」が第2のモードレジスタを示すため、第2のセットのDRAMのモードレジスタには何もストアされない。
【0055】
第2のコマンドの後、構成ビット「111111111111」が、第2のセットのDRAMのアドレス「0001」を有する全ての第1のモードレジスタにストアされ得る。アドレスビット「1110」が第2のモードレジスタを示すため、第1のセットのDRAMのモードレジスタには何もストアされない。
【0056】
2つのコマンドの後、両方のセットの全てのDRAMにおけるアドレス「0001」を有する全ての第1のモードレジスタは、同じ構成ビットを含み得る。
【0057】
別の実施例において、MRSコマンドが、コントローラ12からシステムレジスタ14まで一度だけ送られ得る。MRSコマンドは、
図4の表の2番目のラインに示すように、アドレスビット「0001」及び構成ビット「111111111111」を含み得る。このコマンドは、表の次のラインに示すように、非反転出力26においてDRAM16A及び16Bの第1のセットに出力され得る。このコマンドは更に、表の最後から2番目のラインに示すように、反転された出力30においてDRAM16C及び16Dの第2のセットに反転された形式で出力され得る。
【0058】
本発明の実施例に従って、DRAMは、コマンドに含まれるアドレスが第2のモードレジスタのアドレスを含むか否かを検出するように構成される。この場合、コマンドは反転され得る。また、コマンドに含まれる構成ビットは、第1のモードレジスタのアドレスにおいてのみストアされ得る。
【0059】
そのため、構成ビット「111111111111」は、第1のセットのDRAMのアドレス「0001」を有する全ての第1のモードレジスタにストアされ得る。第2のセットのDRAMは、第2のモードレジスタを示すアドレス「1110」を検出し得、そのため、
図4の表の最後のラインに示すようにコマンドを反転し得る。その後、第2のセットのDRAMは、アドレス「0001」を有する全ての第1のモードレジスタにおける構成ビット「111111111111」をストアし得る。
【0060】
言い換えると、両方のセットの全てのDRAMにおいてアドレス「0001」を有する全ての第1のモードレジスタは、同じ構成ビットを含むことになる。
【0061】
本発明の別の実施例に従って、レジスタ制御ワードが、MRSコマンドを用いてシステムレジスタに送られ得る。コントローラ12は、
図5の2番目のラインに示すようにアドレスビット「0111」及び構成ビット「101011111111」を含むMRSコマンドを送り得る。このコマンドは、表の次のラインに示すように、非反転出力26においてDRAM16A及び16B第1のセットに出力され得る。このコマンドは更に、表の4番目のラインに示すように、反転された出力30においてDRAM16C及び16Dの第2のセットに反転された形式で出力され得る。アドレスビット「0111」は、第1のモードレジスタを示し得るが、全てのDRAMにより「オペレーションが実行されない」アクセスと考えられる。言い換えると、DRAMはこのコマンドに反応しない。(反転された)アドレスビット「1000」は、第2のモードレジスタを示し得、従って、DRAMにより考慮されない。しかし、システムレジスタ14は、アドレスビット「0111」を、レジスタワードが送られるという情報とみなすように構成され得、これは、システムレジスタ自体のための構成情報を意味する。そして、構成ビットの最初の4つのビット「0101」は、レジスタ制御ワードアドレスであり得、更なるビット「11111111」は、システムレジスタ自体のための構成データを表し得る。
【0062】
本発明に従って、メモリシステムは、MRSアクセスの間、アドレス反転をオンに保ち得る。そのため、VTTレギュレータのシグナルインテグリティ及び電流は阻害されない。電圧VTTは通常、動作電圧の半分であり、従って、例えば500mV〜600mVの範囲である。従来技術において、アドレス反転はオフにされる必要があり、タイミングは、コマンド毎に1クロックからコマンド毎に3クロックに変えられる必要があった。複数の連続するMRSコマンドの場合、従来技術に従ったメモリシステムは、VTTレギュレータが大量の出力スイッチングを同時に同じレベルにサポートするのに充分に強いことを確実にする必要があった。これに対し、本発明に従ったシステムでは、MRSコマンドの間大量の出力の同時スイッチングをサポートするためVTTレギュレータを大きくすることは必要とされない。
【0063】
当業者であれば、本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得ること、及び多くの他の実施例が可能であることが分かるであろう。