特許第6182538号(P6182538)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6182538ハイブリッド勾配送達システムおよび動作
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182538
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ハイブリッド勾配送達システムおよび動作
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/34 20060101AFI20170807BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20170807BHJP
   G01N 30/32 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   G01N30/34 A
   G01N30/26 M
   G01N30/32 C
   G01N30/34 E
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-547318(P2014-547318)
(86)(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公表番号】特表2015-503107(P2015-503107A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】US2012068520
(87)【国際公開番号】WO2013090147
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年12月4日
(31)【優先権主張番号】61/570,446
(32)【優先日】2011年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509131764
【氏名又は名称】ウオーターズ・テクノロジーズ・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルオンゴ,ジョージフ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ドブス,クレイグ・ハミルトン
【審査官】 高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−138413(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/068273(WO,A1)
【文献】 実開昭57−190463(JP,U)
【文献】 特開昭62−266459(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0209766(US,A1)
【文献】 米国特許第04981597(US,A)
【文献】 特開2000−356629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/34
G01N 30/26
B01D 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体クロマトグラフィシステムで使用するための溶媒送液システムであって、
第一の複数の溶媒源と流体連通してそこから第一低圧勾配ストリームを生成する第一勾配比例弁と、
第一低圧勾配ストリームを受けてこれを加圧し、加圧第一低圧勾配ストリームを流れ結合装置まで移動させるための、第一勾配比例弁と流体連通している第一ポンプと、
第一ポンプと並行して動作し、高圧勾配ストリームを生成するために加圧溶媒ストリームが加圧第一低圧勾配ストリームと結合する流れ結合器まで加圧溶媒ストリームを移動させる、第二ポンプとを含み、
第一勾配比例弁および第二の複数の溶媒源と流体連通している第二勾配比例弁であって、第二勾配比例弁は第二の複数の溶媒源から第二低圧勾配ストリームを生成し、第一低圧勾配ストリームを生成するために第一勾配比例弁によって使用される第一の複数の溶媒源のうちの1つの溶媒源は第二低圧勾配ストリームを含む、第二勾配比例弁をさらに含み、
第三の複数の溶媒源と流体連通してそこから第三低圧勾配ストリームを生成する第三勾配比例弁であって、第二ポンプは第三低圧勾配ストリームを受けてこれを加圧するために第三勾配比例弁と流体連通しており、第二ポンプによって流れ結合装置まで移動させられた加圧溶媒ストリームは第三低圧勾配ストリームを含む、第三勾配比例弁をさらに含む、
溶媒送液システム。
【請求項2】
第四の複数の溶媒源と流体連通してそこから第四低圧勾配ストリームを生成する、第四勾配比例弁をさらに含み、第二ポンプは第四低圧勾配ストリームを受けてこれを加圧するために第四勾配比例弁と流体連通しており、第二ポンプによって流れ結合装置まで移動させられた加圧溶媒ストリームは加圧第四低圧勾配ストリームを含む、請求項1に記載の溶媒送液システム。
【請求項3】
第三勾配比例弁および第四の複数の溶媒源と流体連通している第四勾配比例弁であって、第四勾配比例弁は第四の複数の溶媒源から第四低圧勾配ストリームを生成し、第三低圧勾配ストリームを生成するために第三勾配比例弁によって使用される第三の複数の溶媒源のうちの1つの溶媒源は第四低圧勾配ストリームを含む、第四勾配比例弁をさらに含む、請求項1に記載の溶媒送液システム。
【請求項4】
第一ポンプ、第二ポンプ、および第一勾配比例弁と連絡しているコントローラをさらに含み、時間をかけて第一低圧勾配ストリームの組成および高圧勾配ストリームの組成を決定するために、適切な時点で各ポンプおよび第一勾配比例弁の動作をコントローラにより集中的に制御する、請求項1に記載の溶媒送液システム。
【請求項5】
液体クロマトグラフィシステム内で溶媒を配合する方法であって、
第一の複数の溶媒源から第一低圧勾配ストリームを生成するステップと、
高圧勾配ストリームを生成するために加圧溶媒ストリームが加圧第一低圧勾配ストリームと結合する流れ結合装置まで加圧溶媒ストリームを移動させる間に、第一低圧勾配ストリームを加圧して流れ結合装置まで移動させるステップと、
第二の複数の溶媒源から第二低圧勾配ストリームを生成するステップであって、第一低圧勾配ストリームを生成するために使用される第一の複数の溶媒源のうちの1つの溶媒源は、第二低圧勾配ストリームを含む、ステップと、
第三の複数の溶媒源から第三低圧勾配ストリームを生成するステップであって、流れ結合装置までポンプ圧送されて第一低圧勾配ストリームと結合した加圧溶媒ストリームは、第三低圧勾配ストリームを含む、ステップと、
を含む方法。
【請求項6】
第四の複数の溶媒源から第四低圧勾配ストリームを生成するステップであって、流れ結合装置までポンプ圧送されて加圧第一低圧勾配ストリームと結合した加圧溶媒ストリームは、第四低圧勾配ストリームを含む、ステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第四の複数の溶媒源から第四低圧勾配ストリームを生成するステップであって、流れ結合装置までポンプ圧送されて第一低圧勾配ストリームと結合する第三低圧勾配ストリームを生成するために使用される第三の複数の溶媒源のうちの1つの溶媒源は、第四低圧勾配ストリームを含む、ステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
経時的に第一低圧勾配ストリームの組成および高圧勾配ストリームの組成を決定するために、適切な時点で各ポンプおよび第一勾配比例弁の動作を集中的に制御するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
第一の複数の溶媒源と、
溶媒送液システムであって、
第一の複数の溶媒源と流体連通してそこから第一低圧勾配ストリームを生成する第一勾配比例弁と、
第一低圧勾配ストリームを受けてこれを加圧し、加圧第一低圧勾配ストリームを流れ結合装置まで移動させるための、第一勾配比例弁と流体連通している第一ポンプと、
第一ポンプと並行して動作し、高圧勾配ストリームを生成するために加圧溶媒ストリームが加圧第一低圧勾配ストリームと結合する流れ結合器まで加圧溶媒ストリームを移動させる、第二ポンプと、
第一勾配比例弁および第二の複数の溶媒源と流体連通している第二勾配比例弁であって、第二勾配比例弁は第二の複数の溶媒源から第二低圧勾配ストリームを生成し、第一低圧勾配ストリームを生成するために第一勾配比例弁によって使用される第一の複数の溶媒源のうちの1つの溶媒源は第二低圧勾配ストリームを含む、第二勾配比例弁と、
第三の複数の溶媒源と流体連通してそこから第三低圧勾配ストリームを生成する第三勾配比例弁であって、第二ポンプは第三低圧勾配ストリームを受けてこれを加圧するために第三勾配比例弁と流体連通しており、第二ポンプによって流れ結合装置まで移動させられた溶媒ストリームは第三低圧勾配ストリームを含む、第三勾配比例弁と
を含む、溶媒送液システムと、
を含む液体クロマトグラフィシステム。
【請求項10】
溶媒送液システムが、第四の複数の溶媒源と流体連通してそこから第四低圧勾配ストリームを生成する、第四勾配比例弁をさらに含み、第二ポンプは第四低圧勾配ストリームを受けてこれを加圧するために第四勾配比例弁と流体連通しており、第二ポンプによって流れ結合装置まで移動させられた溶媒ストリームは加圧第四低圧勾配ストリームを含む、請求項9に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項11】
溶媒送液システムが、
第三勾配比例弁および第四の複数の溶媒源と流体連通している第四勾配比例弁であって、第四勾配比例弁は第四の複数の溶媒源から第四低圧勾配ストリームを生成し、第三低圧勾配ストリームを生成するために第三勾配比例弁によって使用される第三の複数の溶媒源のうちの1つの溶媒源は第四低圧勾配ストリームを含む、第四勾配比例弁をさらに含む、請求項9に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項12】
第一ポンプ、第二ポンプ、および第一勾配比例弁と連絡しているコントローラをさらに含み、時間をかけて第一低圧勾配ストリームの組成および高圧勾配ストリームの組成を決定するために、適切な時点で各ポンプおよび第一勾配比例弁の動作をコントローラにより集中的に制御する、請求項9に記載の液体クロマトグラフィシステム。
【請求項13】
液体クロマトグラフィシステムで使用するための溶媒送液システムであって、
複数の溶媒源と流体連通してそこから低圧勾配ストリームを生成する勾配比例弁と、
低圧勾配ストリームを受けてこれを加圧し、加圧低圧勾配ストリームを流れ結合装置まで移動させるための、勾配比例弁と流体連通している第一ポンプと、
第一ポンプと並行して動作し、高圧勾配ストリームを生成するために加圧溶媒ストリームが加圧低圧勾配ストリームと結合する流れ結合器まで加圧溶媒ストリームを移動させる、第二ポンプと、
勾配比例弁および第二の複数の溶媒源と流体連通している切替弁であって、第二の複数の溶媒源のうちの選択された源への流体路を提供するように構成されており、低圧勾配ストリームを生成するために勾配比例弁によって使用される第一の複数の溶媒源のうちの1つの源は第二の複数の溶媒源のうちの選択された源を含む、切替弁と
を含む、溶媒送液システム。
【請求項14】
液体クロマトグラフィシステム内で溶媒を配合する方法であって、
複数の溶媒源から低圧勾配ストリームを生成するステップと、
高圧勾配ストリームを生成するために加圧溶媒ストリームが加圧低圧勾配ストリームと結合する流れ結合装置まで加圧溶媒ストリームを移動させる間に、低圧勾配ストリームを加圧して流れ結合装置まで移動させるステップと、
切替弁に接続される第二の複数の溶媒源のうちの1つの溶媒源を選択するように切替弁を構成するステップと、
第二の複数の溶媒源の選択された溶媒源から溶媒を引き込み、低圧勾配ストリームを生成するために使用される第一の複数の溶媒源の溶媒源のうちの1つとして引き込まれた溶媒を供給するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
複数の溶媒源と、
溶媒送液システムであって、
複数の溶媒源と流体連通してそこから低圧勾配ストリームを生成する勾配比例弁と、
低圧勾配ストリームを受けてこれを加圧し、加圧低圧勾配ストリームを流れ結合装置まで移動させるための、勾配比例弁と流体連通している第一ポンプと、
第一ポンプと並行して動作し、高圧勾配ストリームを生成するために加圧溶媒ストリームが加圧低圧勾配ストリームと結合する流れ結合器まで加圧溶媒ストリームを移動させる、第二ポンプとを含む、
溶媒送液システムと、
勾配比例弁および第二の複数の溶媒源と流体連通している切替弁であって、第二の複数の溶媒源のうちの選択された溶媒源への流体路を提供するように構成されており、低圧勾配ストリームを生成するために勾配比例弁によって使用される第一の複数の溶媒源のうちの1つの溶媒源は、第二の複数の溶媒源のうちの選択された溶媒源を含む、切替弁と、
を含む液体クロマトグラフィシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる、「Hybrid Gradient Delivery System and Operation」と題された、2011年12月14日出願の、同時係属米国仮出願第61/570,446号明細書の恩典および優先権を主張する。
【0002】
本発明は、主に液体クロマトグラフィシステムに関する。より具体的には、本発明は、高圧勾配システムおよび低圧勾配システムの態様を組み合わせた、ハイブリッド勾配送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
クロマトグラフィは、混合物をその成分に分離するための一連の技術である。液体クロマトグラフィシステムにおいて、一般的に、1つ以上の高圧ポンプが溶媒を取り込み、液体溶媒組成物をサンプルマネージャに送達し、そこでサンプルは混合物への注入を待つ。サンプルは分析対象の物質であり、その例は一部を挙げただけでも、タンパク質、タンパク質前駆体、タンパク質断片、反応生成物、およびその他の化合物の複雑な混合物を含む。サンプルマネージャから、溶媒と注入サンプルとの混合物を含む結果的に得られる液体組成物は、粒子状物質のカラムなどの使用点まで移動する。組成物をカラムに通すことにより、サンプル中の様々な成分が異なる速度で互いに分離し、こうして異なる時点でカラムから溶離する。検出器は、カラムから溶出液を受け取り、アナライトの同定および量が判定される元になり得る出力を生成する。
【0004】
高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)は、2つの基本的溶離モードを使用する:定組成溶離および勾配溶離である。定組成溶離モードでは、純粋溶媒または溶媒の混合物のいずれかを含む移動相は、クロマトグラフィの実行中ずっと同じままである。勾配溶離モードでは、移動相の組成は分離の間に変化する。勾配の形成(すなわち、移動相組成の変化)は複数の溶媒の混合を引き起こすが、その割合は所定の時間割にしたがって経時的に変化する。いくつかのHPLCシステムは、ポンプの下流で溶媒を混合することによって、高圧の下で勾配を生じる。このようなHPLCシステムは、本明細書において高圧勾配システムとも称される。その他のHPLCシステムは、最大4つの溶媒から選択するために勾配比例弁を使用し、単一の吸引ポンプの前で複数の溶媒を混合し、時間をかけて溶媒の比率を変化させることによって、低圧の下で勾配を生じる。このようなHPLCシステムは、本明細書において低圧勾配システムとも称される。
【0005】
高圧および低圧勾配システムの間での判断は様々なトレードオフを伴うが、そのうちの一部のみが本明細書において言及される。1つには、溶媒混合は、ポンプの吸入側の前ではなくポンプの後に行われるので、高圧勾配システムは低圧勾配システムよりも少ないドエル容積を有する。しかしながら、混合の場所のため、低圧勾配システムは1つのポンプのみで勾配を生じることができるが、その一方で高圧勾配システムは一般的に溶媒ごとに1つのポンプを必要とする。したがって、低圧勾配システムは高圧勾配システムよりも三成分および四成分勾配の影響を受けやすく、このため圧倒的にこのようなクロマトグラフィ用途に使用されており、その一方で高圧勾配システムは一般的に、二成分勾配に使用される。
【0006】
しかしながら、3種類以上の溶媒を勾配中に配合し、第三溶媒をTFA(トリフルオロ酢酸)などの改質剤として、一定のパーセンテージで導入することが望ましい場合が多い。さらに、所望の低濃度でその他の溶媒の各々に改質剤を添加するよりも、全組成に対してより濃縮された改質剤の混合物を配合する方が容易である。たとえば、0.1%TFAが望ましい濃度であるとき、1%濃度のTFAを生成してこれをその他2つの溶媒に10%の割合で導入する方が、その他2つの溶媒の各々に0.1%濃度のTFAを混合するよりも、はるかに容易である。したがって、低圧勾配システムは、高圧勾配システムの代わりに第三改質剤溶媒を導入するためにクロマトグラフィの実行に一般的に使用される。ただし、この目的での低圧勾配システムの使用は、ドエル容積の増加(高圧勾配システムと比較した場合)および2つのその他の溶媒のうちの1つの最大パーセンテージを90%に限定するという不都合を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、液体クロマトグラフィシステムで使用するための溶媒送液システムを特徴とする。溶媒送液システムは、複数の溶媒源と流体連通してそこから低圧勾配ストリームを生成する、勾配比例弁を含む。第一ポンプは、低圧勾配ストリームを受けてこれを加圧し、加圧低圧勾配ストリームを流れ結合装置まで移動させるために、勾配比例弁と流体連通している。第二ポンプは第一ポンプと並行して動作する。第二ポンプは加圧溶媒ストリームを流れ結合装置まで移動させ、そこで加圧溶媒ストリームは高圧勾配ストリームを生成するために加圧低圧勾配ストリームと結合する。
【0008】
別の態様において、本発明は、液体クロマトグラフィシステム内で溶媒を配合する方法を特徴とする。低圧勾配ストリームは、加圧溶媒ストリームが流れ結合装置まで移動させられる間に、複数の溶媒源から生成され、加圧され、そして流れ結合装置まで移動させられる。流れ結合装置において、加圧溶媒ストリームは、高圧勾配ストリームを生成するために加圧低圧勾配ストリームと混合する。
【0009】
さらに別の態様において、本発明は、溶媒送液システムを含む液体クロマトグラフィシステムを特徴とする。溶媒送液システムは、複数の溶媒源と流体連通して低圧勾配ストリームをそこから生成する、勾配比例弁を含む。第一ポンプは、低圧勾配ストリームを受けてこれを加圧し、加圧低圧勾配ストリームを流れ結合装置まで移動させるために、勾配比例弁と流体連通している。第二ポンプは第一ポンプと並行して動作する。第二ポンプは加圧溶媒ストリームを流れ結合装置まで移動させ、そこで加圧溶媒ストリームは高圧勾配ストリームを生成するために加圧低圧勾配ストリームと結合する。
【0010】
本発明の上記のおよびさらなる利点は、様々な図面において類似の番号が類似の構造要素および特徴を示す添付図面と併せて、以下の説明を参照することによって、より良く理解されるだろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、むしろ本発明の原理を図解する上で強調されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】液体クロマトグラフィシステム用のハイブリッド溶媒送液システムの実施形態の機能ブロック図であり、ハイブリッド溶媒送液システムは高圧勾配システムおよび低圧勾配システムの特徴を組み合わせている。
図2】ハイブリッド溶媒送液システムの別の実施形態の機能ブロック図である。
図3】ハイブリッド溶媒送液システムの別の実施形態の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載される溶媒送液システムは、高圧勾配システムの特徴と低圧勾配システムの特徴とを組み合わせているので、ハイブリッドシステムと見なすことができる。ハイブリッドとして、溶媒送液システムは第一に、最小化されたドエル容積および溶媒選択に対する柔軟性を有する、二成分勾配システムとして機能する。
【0013】
図1は、溶媒組成物を生成して、サンプルが溶媒組成物に導入される、オートサンプラとしても知られるサンプルマネージャ(図示せず)に移動させるための、ハイブリッド溶媒送液システム10の実施形態を示す。破線ボックス16で囲まれた、ハイブリッド溶媒送液システム10による使用に適した高圧勾配システムの特徴は、並行して動作する2つのポンプ14−1、14−2(全体として、14)を含む。簡単にまとめると、各ポンプ14−1、14−2は、直列に接続された主ポンピングアクチュエータおよび蓄積器ポンピングアクチュエータを含む。ポンプ14は、マサチューセッツ州ミルフォードのウォーターズ社(Waters Corporation)で製造された2545Binary Gradient Moduleで使用されるタイプであってもよい。
【0014】
ポンプ14−1、14−2の出口は、ここでは流れ結合装置(FCD)20として表される、同じかまたは実質的に同じ機械的位置で接続されている。流れ結合装置20の実施例は、Tセクションおよびミキサを含むが、これらに限定されるものではない。各ポンプ14−1、14−2は溶媒ストリーム18−1、18−2をそれぞれ高圧でこの流れ結合装置20まで移動させ、そこで加圧溶媒ストリーム18−1、18−2が結合して、時間をかけてサンプルマネージャに送達される加圧溶媒組成物22を生成する。勾配コントローラ24は、分離過程の間に各溶媒ストリーム18−1、18−2をある程度送達するために、各ポンプ14の速度を管理するためにポンプ14と連絡している。
【0015】
低圧勾配システムからのハイブリッド溶媒送液システム10の特徴は、破線ボックス26の中に示されており、並行して動作する2つの勾配比例弁(GPV)28−1、28−2(全体として、28)を含む。各GPV28は、最大で4つの溶媒リザーバ30と流体連通している(ここではGPVあたり2つのリザーバしか示されていない:GPV28−1は溶媒リザーバ30−1、30−2と流体連通し、GPV28−2は溶媒リザーバ30−3、30−4と流体連通している)。加えて、各GPV28はポンプ14のうちの1つと流体連通している:ポンプ14−1はGPV28−1から低圧勾配ストリーム32−1を取得し、ポンプ14−2はGPV28−2から低圧勾配ストリーム32−2を取得する。
【0016】
各GPV28は、各リザーバ30の入口と、入口の1つに引き込まれる流体の各流れを制御するための入口弁(図示せず)と、GPV28からポンプ14のうちの1つまでその中を流体が流れる共通出口と、を含む。たとえば管などの、流体を搬送するための導管は、各リザーバ30からGPV28の入口の1つまで、およびGPV28の出口からポンプ14の吸入側まで、延在する。勾配比例弁の実施例は、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる、1999年1月26日発行の米国特許第5,862,832号明細書に記載されている。
【0017】
勾配コントローラ24は、適切な時点で連続的にその個別の弁を作動させるためにGPV28と連絡しており、それによって、所望の比率で混合して時間をかけて低圧勾配ストリーム32を生成するために、リザーバ30からの流体の吸入を管理する。溶媒リザーバ30−1、30−2から、GPV28−1は低圧勾配ストリーム32−1を生成し、溶媒リザーバ30−3、30−4から、GPV28−2は低圧勾配ストリーム32−2を生成する。これらの勾配ストリーム32は、ポンプ14の前に、したがって低圧で、生成される。
【0018】
動作中、ポンプ14−1は、GPV28−1によって生成された低圧勾配ストリーム32−1を引き込んで加圧し、結果的に得られた加圧低圧勾配ストリーム18−1を流れ結合装置20まで移動させ、その一方でポンプ14−2はGPV28−2によって生成された低圧勾配ストリーム32−2を引き込んで加圧し、結果的に得られた加圧低圧勾配ストリーム18−2を流れ結合装置20まで移動させ、そこで2つの加圧低圧勾配ストリーム18−1、18−2は加圧溶媒ストリーム22を生成するために結合する。流れ結合装置20はポンプ14の下流にあるので、溶媒ストリーム22は高圧で生成される(たとえば、5000から15000psiの範囲で)。本明細書において使用される際に、「加圧低圧勾配ストリーム」というフレーズは、GPVによって生成されて引き続きポンプ14によって高圧に加圧される低圧勾配ストリームを指す。
【0019】
動作の説明として、たとえば溶媒リザーバ30−1が水を収容し、溶媒リザーバ30−2が1%のTFA水溶液を収容し、溶媒リザーバ30−3が溶媒Bを収容し、溶媒リザーバ30−4が1%のTFAを含む溶媒Bを収容する場合を検討する。0.1%のTFA改質剤を含む溶媒組成を実現するためには、勾配コントローラ24は、0.1%のTFA水溶液の低圧勾配ストリーム32−1を生成するために、90%の割合の溶媒リザーバ30−1(水)および10%の割合の溶媒リザーバ30−2(1%TFA水溶液)を取るように、GPV28−1を制御することができる。加えて、勾配コントローラ24は、0.1%TFAを含む溶媒Bの低圧勾配ストリーム32−2を生成するために、90%の割合の溶媒リザーバ30−3(溶媒B)および10%の割合の溶媒リザーバ30−4(1%TFAを含む溶媒B)を取るように、GPV28−2を制御することができる。ポンプ14は、低圧勾配ストリーム32−1、32−2を引き込んで加圧し、水、溶媒B、および0.1%TFAを含む加圧溶媒ストリーム22を生成するために、結果的に得られた加圧低圧勾配ストリーム18−1、18−2を結合させる。溶媒Bの最大達成可能比率は100%である。
【0020】
代替実施形態において、ハイブリッド溶媒送液システムは1つのGPV28のみを有することができる。たとえば、GPV28−2および溶媒30−3、30−4が図1に示されるハイブリッド溶媒送液システム10の一部ではなく、ポンプ14−2が代わりに溶媒リザーバ30−5と直接流体連通している場合を検討する。この実施形態の動作中、ポンプ14−1はGPV28−1によって生成された低圧勾配ストリーム32−1を引き込んで加圧し、結果的に得られた加圧低圧勾配ストリーム32−1を流れ結合装置20まで移動させ、その一方でポンプ14−2はリザーバ30−5からの溶媒を引き込み、加圧し、そして流れ結合装置20まで移動させ、そこで加圧低圧勾配ストリーム18−1は溶媒30−5と結合する。ポンプ14−2が停止された場合、ハイブリッド溶媒送液システム10のいずれの実施形態も、従来の低圧勾配システムのように動作するようになっていてもよい。
【0021】
図2は、図1のハイブリッド溶媒送液システム10に第二段のGPV52を追加した、ハイブリッド溶媒送液システム50の別の実施形態を示す。より具体的には、ハイブリッド溶媒送液システム50は、複数の溶媒リザーバ54−1、54−2と流体連通しているGPV52−1と、複数の溶媒リザーバ54−3、54−4と流体連通しているGPV52−2とを含む。GPV52−1の出口はGPV28−1の入口の1つと流体連通しており、GPV52−2の出口はGPV28−2の入口の1つと流体連通している。勾配コントローラ24は、所望の比率で混合して時間をかけて低圧勾配ストリーム56−1、56−2(全体として、56)を生成するためにリザーバ54からの流体の吸入を管理するため、GPV52と連絡している。溶媒リザーバ54−1、54−2からGPV52−1は低圧勾配ストリーム56−1を生成し、溶媒リザーバ54−3、54−4からGPV52−2は低圧勾配ストリーム56−2を生成する。
【0022】
動作中、GPV28−1によって生成された低圧勾配ストリーム32−1は、GPV52−1によって生成された低圧勾配ストリーム56−1の一部を含む。ポンプ14−1は低圧勾配ストリーム32−1を引き込んで加圧し、結果的に得られた加圧低圧勾配ストリーム18−1を流れ結合装置20まで移動させる。同時に、GPV28−2は低圧勾配ストリーム32−2を生成するが、これはGPV56−2によって生成された低圧勾配ストリーム56−2の一部を含む。ポンプ14−2は低圧勾配ストリーム32−2を引き込んで加圧し、結果的に得られた加圧低圧勾配ストリーム18−2を流れ結合装置20まで移動させ、そこで2つの加圧低圧勾配ストリーム18−1、18−2は加圧溶媒ストリーム22を生成するために結合する。一実施形態において、勾配コントローラ24は、各低圧勾配ストリーム32、56および結果的に得られる高圧勾配ストリーム(すなわち、溶媒ストリーム22)の様々な組成を、集中的に制御する。別の実施形態において勾配コントローラ24は、相互連絡して、様々な組成物形式を管理する、複数の分散型コントローラを含む。
【0023】
代替実施形態において、ハイブリッド溶媒送液システム50は、1つの第二段GPV52のみ、または1つの第二段GPV52および1つの第一段GPV28を有することができる。たとえば、1つの代替例として、GPV52−2および溶媒54−3、54−4は図2に示されるハイブリッド溶媒送液システム50の一部ではない。別の代替例では、GPV52−2およびGPV28−2の両方ともハイブリッド溶媒送液システム50の一部ではない。繰り返すが、ポンプ14−2が停止された場合、ハイブリッド溶媒送液システム50のいずれの実施形態も、従来の低圧勾配システムのように動作するようになっていてもよい。
【0024】
図3は、図1のハイブリッド溶媒送液システム10のGPV28のうちの1つに切替弁62を流体的に接続する、ハイブリッド溶媒送液システム60の別の実施形態を示す。より具体的には、ハイブリッド溶媒送液システム60は、複数の溶媒ボトル(またはリザーバ)64−1、64−2、64−3、64−4、64−5、および64−6と流体連通している切替弁62を含む。この例において、切替弁62の出口はGPV28−2の入口の1つと流体連通している。勾配コントローラ24は、切替弁62の入口の1つ、したがってそこから溶媒を引き込む特定の溶媒ボトル64を選択するために、切替弁62と連絡している。
【0025】
切替弁62を通じて溶媒リザーバ30−3、30−4から引き込まれた溶媒から、GPV28−2は低圧勾配ストリーム32−2を生成する。ポンプ14−1はGPV28−1によって生成された低圧勾配ストリーム32−1を引き込んで加圧し、結果的に得られた加圧低圧勾配ストリーム18−1を流れ結合装置20まで移動させ、その一方でポンプ14−2は低圧勾配ストリーム32−2を引き込んで加圧し、選択された溶媒ボトル64からの溶媒を含む結果的に得られた加圧低圧勾配ストリーム18−2を流れ結合装置20まで移動させ、そこで加圧低圧勾配ストリーム18−1、18−2が結合する。
【0026】
同じように、別の切替弁および1組の溶媒ボトルが、GPV28−2に接続された切替弁62および溶媒ボトル64の代わりに、またはこれらと組み合わせて、GPV28−1の入口に流体的に接続されることも可能である。図3の実施形態は、ハイブリッド溶媒送液システムに組み込まれることが可能な様々な複雑性の、単なる説明例である。
【0027】
本発明は特定の好適な実施形態を参照して図示および説明されてきたが、以下の請求項によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形式および詳細について様々な変更がなされてもよいことは、当業者によって理解されるべきである。
図1
図2
図3