(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に吸塵通路が形成されたドリルビットを保持するハンマードリルを用いて削孔したコンクリートの削孔粉を、前記吸塵通路を介して吸引装置の吸引力により回収するコンクリート削孔粉回収装置であって、
一端が前記吸塵通路、他端が前記吸引装置にそれぞれ接続されて前記削孔粉が流通する流通路が形成されたベースと、
前記流通路の途中に接続され、前記流通路を流通する前記削孔粉を貯留する貯留空間を有し、前記ベースに接続された貯留ケースと、
前記流通路における前記貯留ケースよりも上流側にある上流側領域と下流側にある下流側領域とをそれぞれ横断するように、前記ベースにスライド可能に組み合わされるスライド部材と、を備え、
前記スライド部材には、前記上流側領域と前記下流側領域とを前記貯留空間にそれぞれ接続させる一対の接続路と、前記上流側領域と前記下流側領域とを前記貯留空間を介さずに短絡させる短絡路とが形成され、
前記スライド部材と前記ベースとを相対的にスライドさせることにより、前記上流側領域と前記下流側領域とが前記一対の前記接続路を介して前記貯留空間に接続され、前記上流側領域を流通した前記削孔粉が前記貯留空間に貯留されて前記貯留空間内の空気が前記下流側領域に排気される第1モードと、前記上流側領域と前記下流側領域とが前記短絡路を介して短絡され、前記上流側領域と前記下流側領域とに前記短絡路を介して空気が流通する第2モードとに切り替えられる、コンクリート削孔粉回収装置。
前記スライド部材は、前記ベースから外部露出するように長手方向一端に設けられた操作部を有し、前記操作部を前記ベースに対して押し込みまたは引き出すことにより、前記第1モードと前記第2モードとが切り替えられる、請求項2に記載のコンクリート削孔粉回収装置。
前記ベースと前記貯留ケースとの間に配置されて前記ベースと前記貯留ケースとに接続され、前記流通路から前記貯留空間に前記削孔粉を流通させる内部空間が形成された接続部材をさらに備え、
前記接続部材は、前記内部空間の断面が前記ベースから前記貯留ケースに向かって小さくなる漏斗状に形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンクリート削孔粉回収装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンクリートの成分分析の精度を高めるためには、分析対象のコンクリートの削孔粉に、分析対象外のもの(例えば、分析対象外のコンクリートの削孔粉やその他全般の粉塵等を指す。以下、これらを「不純物」と称する。)が混合するのを防止し、削孔粉を適切に採取する必要がある。
【0005】
そこで本発明は、ハンマードリルを用いたコンクリート削孔粉回収システムにおいて、簡易な構造で、コンクリートの削孔粉に不純物が混合するのを適切に防止し、削孔粉を適切に採取可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様におけるコンクリート削孔粉回収装置は、内部に吸塵通路が形成されたドリルビットを保持するハンマードリルを用いて削孔したコンクリートの削孔粉を、前記吸塵通路を介して吸引装置の吸引力により回収するコンクリート削孔粉回収装置であって、一端が前記吸塵通路、他端が前記吸引装置にそれぞれ接続されて前記削孔粉が流通する流通路が形成されたベースと、前記流通路の途中に接続され、前記流通路を流通する前記削孔粉を貯留する貯留空間を有し、前記ベースに接続された貯留ケースと、前記流通路における前記貯留ケースよりも上流側にある上流側領域と下流側にある下流側領域とをそれぞれ横断するように、前記ベースにスライド可能に組み合わされるスライド部材と、を備え、前記スライド部材には、前記上流側領域と前記下流側領域とを前記貯留空間にそれぞれ接続させる一対の接続路と、前記上流側領域と前記下流側領域とを前記貯留空間を介さずに短絡させる短絡路とが形成され、前記スライド部材と前記ベースとを相対的にスライドさせることにより、前記上流側領域と前記下流側領域とが前記一対の前記接続路を介して前記貯留空間に接続され、前記上流側領域を流通した前記削孔粉が前記貯留空間に貯留されて前記貯留空間内の空気が前記下流側領域に排気される第1モードと、前記上流側領域と前記下流側領域とが前記短絡路を介して短絡され、前記上流側領域と前記下流側領域とに前記短絡路を介して空気が流通する第2モードとに切り替えられる。
【0007】
上記構成によれば、第1モードにおいて、上流側領域と下流側領域とが一対の接続路を介して貯留空間に接続され、上流側領域を流通した削孔粉が貯留空間に貯留されて貯留空間内の空気が下流側領域に排気される。また、第2モードにおいて、上流側領域と下流側領域とが短絡路を介して短絡され、上流側領域と下流側領域とに短絡路を介して空気が流通し、流通路内の残留物が除去されて、流通路が清掃される。このように、第1モードと第2モードとの両方において、流通路を流通する空気の流通方向が、上流側領域から下流側領域に向かう同一方向に保たれる。従って、第1モードと第2モードとを繰り返し交互に行っても、例えば、流通路の下流側領域に付着していた不純物が貯留空間に混入しにくい。また、第1モードと第2モードとは、スライド部材とベースとを組み合わせた簡易な構造において、スライド部材とベースとを相対的にスライドさせることにより、簡単に切り替えることができる。よって、ハンマードリルを用いたコンクリート削孔粉回収システムにおいて、簡易な構造で、コンクリートの削孔粉に不純物が混合するのを適切に防止し、削孔粉を適切に採取できる。なお、本願で言う「コンクリート」とは、養生後に硬化したコンクリートを指す。
【0008】
また、前記スライド部材は、長尺状であり、前記ベースの内部には、前記流通路と、前記スライド部材が挿入される挿通路とが形成され、前記スライド部材の内部において、前記短絡路は、前記スライド部材の長手方向に延びて形成され、前記一対の接続路は、前記短絡路と交差する方向に延びて形成され、前記スライド部材と前記ベースとを前記挿通路の延びる方向に相対的にスライドさせることにより、前記第1モードと前記第2モードとが切り替えられるようにしてもよい。
【0009】
上記構成によれば、長尺状のスライド部材と、ベースとを挿通路の延びる方向に相対的にスライドさせる簡単な操作で、第1モードと第2モードとを容易に切り替えることができる。従って、例えば、オペレータがコンクリートの削孔作業中であっても、片手でスライド部材を操作することにより、一人で容易かつ迅速に削孔粉を回収できる。
【0010】
また、前記スライド部材は、前記ベースから外部露出するように長手方向一端に設けられた操作部を有し、前記操作部を前記ベースに対して押し込みまたは引き出すことにより、前記第1モードと前記第2モードとが切り替えられるようにしてもよい。
【0011】
上記構成によれば、例えば、オペレータがドリルビットを用いてコンクリートを削孔しながら、操作部をベースに対して押し込みまたは引き出すことにより、第1モードと第2モードとを容易に切り替えることができる。
【0012】
また、前記スライド部材のその長手方向に垂直な断面の形状と、前記挿通路のその延びる方向に垂直な断面の形状とは、ともに同一の非真円形状であり、前記スライド部材が、前記挿通路に対して気密に挿入されていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、スライド部材の長手方向に垂直な断面の周方向において、スライド部材が挿通路の内部で回転するのが防止され、ベースの流通路に対する短絡路または一対の接続路の位置関係を安定して保つことができる。また、スライド部材が挿通路に対して気密に挿入されているので、スライド部材と挿通路との隙間から不純物が入り込み、貯留ケース内に貯留される削孔粉に混入するのを防止できる。
【0014】
また、前記ベースと前記貯留ケースとの間に配置されて前記ベースと前記貯留ケースとに接続され、前記流通路から前記貯留空間へ前記削孔粉を流通させる内部空間が形成された接続部材をさらに備え、前記接続部材は、前記内部空間の断面が前記ベースから前記貯留ケースに向かって小さくなる漏斗状に形成されていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、ベースから接続部材に送られる削孔粉を貯留ケース内に効率よく貯留させることができる。
【0016】
また、前記ハンマードリルに取り付けられる取付部材をさらに備え、前記取付部材は、前記貯留ケースと前記ハンマードリルとの間に配置されて前記貯留ケースと前記ハンマードリルとに接続されるボールジョイント部を有してもよい。
【0017】
上記構成によれば、取付部材のボールジョイント部によって、コンクリートの削孔方向とは無関係に、貯留ケースの底部を鉛直方向下方に配向できる。従って、削孔粉を安定して貯留ケース内に貯留できる。
【0018】
また、本発明の一態様に係るコンクリート削孔粉回収システムは、前記ドリルビットと、前記ハンマードリルと、上記したいずれかのコンクリート削孔粉回収装置とを備える。
【0019】
上記構成によれば、簡易な構造で、コンクリートの削孔粉に不純物が混合するのを適切に防止し、削孔粉を適切に採取可能なコンクリート削孔粉回収システムを実現できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ハンマードリルを用いたコンクリート削孔粉回収システムにおいて、簡易な構造で、コンクリートの削孔粉に不純物が混合するのを適切に防止し、削孔粉を適切に採取できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、各図を参照して説明する。
【0023】
図1は、実施形態に係るコンクリート削孔粉回収システム1を上方から見た図である。
図2は、実施形態に係るコンクリート削孔粉回収システム1を後方から見た図である。
図1及び2に示すように、コンクリート削孔粉回収システム1(以下、単にシステム1ともいう。)は、ピストルグリップ型のハンマードリル(振動型電動ドリル装置)2、ハンマードリル2のチャック部2aに保持され、かつ内部に吸塵通路3eが形成されたドリルビット3、及び、ドリルビット3に取着されたアダプタ4を備える。また、システム1は、ドリルビット3の長手方向と交差する方向に延びてハンマードリル2に固定された長尺状の固定具5、固定具5の長手方向一端5aに取着されたコンクリート削孔粉回収装置6(以下、単に回収装置6ともいう。)、及び、固定具5の長手方向他端5bに取着されたハンドル7を備える。また、システム1は、ドリルビット3の長手方向に延びて固定具5に固定され、コンクリートの表面と当接してドリルビット3の削孔深さを規定するスタンド8、コンクリートの削孔時に発生する削孔粉をドリルビット3の吸塵通路3eを介して吸引する吸引装置(吸塵装置)9、及び、アダプタ4と回収装置6との間と、回収装置6と吸引装置9との間とをそれぞれ接続する接続ホース10A、10Bを備える。
【0024】
図3は、ドリルビット3と回収装置6との断面図である。
図3では便宜上、回収装置6及び接続ホース10A、10Bをドリルビット3に対して大きく図示し、回収装置6のボールジョイント部20を省略している(後述する
図7及び8も同様に図示する)。また、
図3では、第1モード時の回収装置6を図示している。ドリルビット3は、長手方向Xに延び、かつ円形の径方向断面を有する長尺状の軸体であって、長手方向一端に設けられてコンクリートの削孔に挿入されるシャフト先端部3a、シャフト先端部3aからハンマードリル2側に延びるシャフト主部3b、及び、シャフト主部3bからハンマードリル2側に延びる延設部3cを有する。シャフト先端部3aには、ドリルビット3の軸周りに並設され、かつコンクリートを削孔する複数の切刃部3dが形成されている。ドリルビット3の長手方向他端側における延設部3cの位置には、ハンマードリル2のチャック部2aに保持されるシャンク部(不図示)が形成されている。シャフト主部3bは、シャフト先端部3aよりも太い外径を有する。シャフト主部3bの外表面は平滑であり、シャフト主部3bの外径は、長手方向Xで離隔する複数の位置で互いに異なっている。吸塵通路3eは、シャフト先端部3aとシャフト主部3bとの各内部にわたって長手方向Xに延びている。各切刃部3dの間には、吸塵通路3eと連通する連通孔3fが形成されている。シャフト主部3bは、内部に吸塵通路3eの長手方向一端からドリルビット3を径方向に貫通して延びる一対の連通路3gを有する。シャフト主部3bの外表面には、一対の連通路3gの各々と連通する開口3hが形成されている。
【0025】
図3に示すように、アダプタ4は、ドリルビット3を回転可能に、シャフト主部3bにおいてドリルビット3を軸支する。アダプタ4は、シャフト主部3bを周方向から覆ってドリルビット3を軸支するアダプタ本体部4aと、アダプタ本体部4aから長手方向Xと交差する方向に延びるアダプタ延設部4bとを有する。アダプタ本体部4aは、その内表面とドリルビット3の開口3hとの間に形成された第1通路4cを有する。アダプタ延設部4bは、その内部を貫通して第1通路4cと連通するように形成された第2通路4dを有する。第2通路4dの一端に形成された開口4eには、接続ホース10Aの一端とアダプタ4とを接続するためのソケット11が接続される。アダプタ4は、一例として一対の樹脂部材からなり、この一対の樹脂部材でシャフト主部3bを周方向から挟むように組み合わせて構成される。
【0026】
回収装置6は、ドリルビット3により削孔されたコンクリートの削孔粉を回収する。回収装置6は、削孔粉の流通路Rが形成されたベース12、ベース12にスライド可能に組み合わされるスライド部材13、ベース12に接続される接続部材14、削孔粉を貯留する貯留空間15cを有し、かつ接続部材14に接続される貯留ケース15、及び、固定具5を介して回収装置6をハンマードリル2に取り付けるための取付部材16を有する。以下では便宜上、ベース12の開口12a1、12b1が設けられた面側を上方向、ベース12の開口12a2、12b2が設けられた面側を下方向とする。
【0027】
図4は、
図3のIV−IV矢視断面図である。
図3及び4に示すように、ベース12は、一例として、外径寸法に比べて高さ寸法が小さい円柱状に形成される。流通路Rは、ベース12の内部に形成されている。流通路Rは、ベース12を上下に貫通するように形成された第1流通路12a及び第2流通路12bを含む。第1流通路12aは、流通路Rにおける貯留ケース15よりも上流側にある上流側領域に相当し、第2流通路12bは、下流側にある下流側領域に相当する。ベース12は、第1流通路12a及び第2流通路12bの各途中を横断し、かつ径方向を貫通するように延びて形成された挿通路12cをさらに有する。
図4に示すように、一例として、第1流通路12a及び第2流通路12bの各流路断面は円形である。また、挿通路12cの流路断面は矩形である(
図5参照)。
【0028】
図3に示すように、ベース12の上方の面には、第1流通路12aの開口12a1と第2流通路12bの開口12b1とが形成されている。開口12a1には、接続ホース10Aの他端が接続され、開口12b1には、接続ホース10Bの一端が接続される(
図1参照)。これにより流通路Rの一端は、接続ホース10Aを介してドリルビット3の吸塵通路3eに接続され、流通路Rの他端は、接続ホース10Bを介して吸引装置9に接続される。接続ホース10Aの他端は、開口12a1から下方に向かって一定の深さまで第1流通路12aに差し込まれ、第1流通路12aの内周面に対して気密に接している。接続ホース10Aの流路と第1流通路12aとは、滑らかに接続される。同様に、接続ホース10Bの一端も、開口12b1から下方に向かって一定の深さまで第2流通路12bに差し込まれ、第2流通路12bの内周面に対して気密に接している。接続ホース10Bの流路と第2流通路12bとは、滑らかに接続される。
【0029】
ベース12の下部には、下方に突出して接続部材14のネジ部14a2と螺合するネジ部12dが形成される。ネジ部12dで囲まれた下面領域12eは、接続部材14の内部空間14dに面している。下面領域12eにおけるベース12の下方の面には、第1流通路12aの開口12a2と第2流通路12bの開口12b2とが形成されている。開口12a2には、内部空間14dでの削孔粉の流通方向が接続部材14の内表面に沿った方向となるように、接続部材14の内表面に沿って屈曲した曲管状のガイド部材17が接続される。ガイド部材17は、上下方向及び接続部材14の内周方向のそれぞれと交差する方向に延びている。ガイド部材17は、開口12a2から上方に向かって一定の深さまで第1流通路12aに差し込まれ、第1流通路12aの内周面に対して気密に接している。ガイド部材17の流路と第1流通路12aとは、滑らかに接続される。第2流通路12bの開口12b2の中心位置は、接続部材14の筒軸を通る線上に位置している。第1流通路12a及び第2流通路12bは、接続部材14の内部空間14dを介して貯留ケース15の貯留空間15cと接続されている。
【0030】
図3に示すように、スライド部材13は、ベース12の外径寸法よりも長く延びる軸部13aと、軸部13aの長手方向一端に設けられた操作部13bとを有する。軸部13aは、第1流通路12a及び第2流通路12bを横断するように、ベース12の外周から挿通路12cにスライド可能に差し込まれている。これによりスライド部材13は、貯留ケース15の貯留空間15cを挟んで流通路Rの上流側領域と下流側領域とをそれぞれ横断し、スライド部材13とベース12とが相対的にスライド可能となる。軸部13aの長手方向他端には、軸部13aの長手方向における他の部分よりも大きい断面積を有するストッパー部13a1が形成される。ストッパー部13a1は、挿通路12cの外部に露出し、かつ挿通路12cの開口周縁から外部に突出している。オペレータが操作部13bを摘まんでスライド部材13を挿通路12cから一定量引き出すことにより、ストッパー部13a1は、挿通路12cの開口周縁のベース12の外周面と当接し、それ以上のスライド部材13の引き出し方向への移動が規制される。操作部13bは、軸部13aの長手方向における全ての部分よりも大きい断面積を有して形成され、ベース12の外周面から外部露出している。オペレータが操作部13bを摘まんでスライド部材を挿通路12cに一定量押し込むことにより、操作部13bは、挿通路12cの開口周縁のベース12の外周面と当接し、それ以上のスライド部材13の押し込み方向への移動が規制される。
【0031】
図3に示すように、スライド部材13は、第1流通路12a及び第2流通路12bを貯留ケース15の貯留空間15cを介さずに短絡させる短絡路13cと、第1流通路12a及び第2流通路12bを貯留ケース15の貯留空間15cにそれぞれ接続する一対の接続路13d、13eとを内部に有する。短絡路13cは、軸部13aの上部で上方に開放され、かつ軸部13aの下面に達しない深さで、軸部13aの長手方向に一定の長さで延びている。軸部13aの長手方向における短絡路13cの長さは、ベース12の径方向における第1流通路12a及び第2流通路12bの間隔に相当する長さよりも長い。一例として、短絡路13cの長さは、第1流通路12a及び第2流通路12bの各流路断面をそれぞれ完全に横断する長さに設定されている。接続路13dは、短絡路13cの延びる方向と直交して、軸部13aを上下に貫通し、かつ接続路13dと連通している。接続路13eは、軸部13aの長手方向で短絡路13cと離隔する位置において、接続路13dと平行に、軸部13aを上下に貫通している。軸部13aの長手方向における一対の接続路13d、13eの間隔は、ベース12の径方向における第1流通路12a及び第2流通路12bの間隔と一致する。
【0032】
ベース12の外周面にストッパー部13a1が当接する位置まで、スライド部材13を挿通路12cの延びる方向に沿ってベース12から引き出すと、接続路13dが第1流通路12aと接続され、かつ接続路13eが第2流通路12bと接続される。このとき、第1流通路12a及び第2流通路12bは、一対の接続路13d、13eを介して接続部材14の内部空間14dと連通する。このときの回収装置6の状態を、第1モードと称する。また、ベース12の外周面に操作部13bが当接する位置まで、スライド部材13を挿通路12cの延びる方向に沿ってベース12に押し込むと、短絡路13cは、第1流通路12a及び第2流通路12bと接続される(
図8参照)。このとき、第1流通路12a及び第2流通路12bは、短絡路13cを介して短絡されるとともに、接続部材14の内部空間14dと遮断される。このときの回収装置6の状態を、第2モードと称する。このように回収装置6では、スライド部材13が流路切替部として機能し、オペレータが操作部13bをベース12から引き出せば第1モードとなり、オペレータが操作部13bをベース12に押し込めば第2モードとなる。オペレータが操作部13bを摘まんでスライド部材13を操作することで、第1モード及び第2モードは、相互に切り替えられる。
【0033】
なお、操作部13bは、スライド部材13の長手方向両端に設けてもよい。この場合、第2モードに切り替える際に一方の操作部13bを操作すると、他方の操作部13bがストッパー部として機能する。
【0034】
図5は、
図3のV−V矢視断面図である。
図6は、
図3のVI−VI矢視断面図である。
図5及び6に示すように、スライド部材13のその長手方向に垂直な断面の形状と、挿通路12cのその延びる方向に垂直な断面の形状とは、ともに同一の非真円形状に設定されている。具体的には、軸部13aのその長手方向に垂直な断面の形状と、挿通路12cのその延びる方向に垂直な断面の形状とが、ともに同一の矩形の断面形状に設定されている。また、第1流通路12a、第2流通路12b、及び、一対の接続路13d、13eの各流路断面は、形状が同一でサイズも同一である。また、スライド部材13の長手方向から見て、ベース12の径方向における第1流通路12a、第2流通路12b、及び、一対の接続路13d、13eの各幅と、短絡路13cの幅とは同一である。これにより第1モードでは、第1流通路12aが短絡路13c及び接続路13dと滑らかに接続され、第2流通路12bが接続路13eと滑らかに接続される。また、第2モードでは、第1流通路12a及び第2流通路12bが短絡路13cと滑らかに接続される。軸部13aは、挿通路12cに対して気密に挿入されている。従って、例えば、第1モード中に回収装置6外の不純物が貯留ケース15の貯留空間15cに混入したり、第2モード中に第1流通路12a、短絡路13c及び第2流通路12bを流通する削孔粉が貯留ケース15の貯留空間15cに混入するおそれは小さい。
【0035】
図3に示すように、接続部材14は、ベース12と貯留ケース15との間に配置され、ベース12と貯留ケース15とに接続される。接続部材14は、上下方向を筒軸方向とし、内部に削孔粉の内部空間14dが形成された筒体であり、上端14aでベース12と接続され、下端14bで貯留ケース15と接続される。上端14aに形成された開口14a1の周縁には、ベース12のネジ部12dと螺合するネジ部14a2が形成され、ネジ部12d、14a2が螺合することで、接続部材14の内部空間14dと第1流通路12a及び第2流通路12bとが気密に接続される。接続部材14は、内部空間14dを介して、第1流通路12aから貯留空間15cに削孔粉を流通させる。内部空間14dは、接続部材14の筒軸方向に垂直な断面が円形であり、かつ前記断面がベース12から貯留ケース15に向かって減少している。これにより、接続部材14は、全体として漏斗状に形成されている。内部空間14dには、接続部材14の内表面に沿って、ベース12から延びるガイド部材17の下端が位置している。
【0036】
システム1の駆動時には、吸引装置9の吸引力によって、ベース12からガイド部材17を介して接続部材14に送られた削孔粉が、接続部材14の内表面に沿って螺旋状に回転しながら貯留空間15cに貯留される。このように接続部材14は、回収装置6において、削孔粉を貯留空間15cに貯留するためのサイクロン部として機能する。下端14bに形成された開口14b1の周縁には、上下方向に垂直な板面を有する円板部14cが設けられている。円板部14cの外周には、貯留ケース15のネジ部15a2と螺合するネジ部14c1が形成されている。
【0037】
貯留ケース15は、上方に解放された開口15a1を有し、かつ内部に貯留空間15cを有する有底円筒状のケース本体部15aと、ケース本体部15aの開口15a1を閉塞する蓋部15bとを有する。ケース本体部15aと蓋部15bとは、一例として、樹脂材料からなる射出成形品であり、一体的に成形されている。開口15a1の周縁には、接続部材14のネジ部14c1と螺合するネジ部15a2が形成され、ネジ部14c1、15a2が螺合することで、ケース本体部15aの貯留空間15cと接続部材14の内部空間14dとが気密に接続される。貯留ケース15は、流通路Rの途中(第1流通路12aと第2流通路12bとの間)に内部空間14dを介して貯留空間15cが接続されるように、接続部材14を介してベース12に接続される。
【0038】
図1及び2に示すように、取付部材16は、ハンマードリル2に固定具5を介して回収装置6を取り付けるために用いられる。具体的に、取付部材16は、カップ部材18と、カップ部材18と組み合わされるボール部材19とを有する。カップ部材18は、ベース12の外周部に固定される軸部18aと、軸部18aと一体的に形成されたカップ部18bとを有する。ボール部材19は、固定具5に固定される軸部19aと、軸部19aと一体的に形成された球状のボール部19bとを有する。カップ部18bは、ボール部19bの表面に球面接触するように、ボール部19bと組み合わされている。これにより取付部材16は、カップ部18bとボール部19bとを組み合わせてなるボールジョイント部20を有する。ボールジョイント部20は、貯留ケース15とハンマードリル2との間に配置され、固定具5を介してハンマードリル2に接続されるとともに、ベース12と接続部材14とを介して貯留ケース15に接続される。カップ部18bとボール部19bとが相対的に移動することで、貯留ケース15はその自重により、ケース本体部15aの底部が常に鉛直方向下方に配向される。なお、カップ部材18の軸部18aを固定具5に固定し、ボール部材19の軸部19aをベース12の外周部に固定してもよい。
【0039】
図7は、第1モード時におけるドリルビット3と回収装置6との様子を示す断面図である。
図8は、第2モード時におけるドリルビット3と回収装置6との様子を示す断面図である。
図7に示すように、システム1の使用時には、オペレータは、調査対象のコンクリートをドリルビット3で削孔し、スタンド8の先端がコンクリートの表面に当接して削孔内の目的の深さに切刃部3dが達したタイミングで、スライド部材13の操作部13bをベース12から引き出すようにスライドさせる。これにより、回収装置6は第1モードとなる。このとき回収装置6では、流通路R(第1流通路12a及び第2流通路12b)が、一対の接続路13d、13eを通じ、内部空間14dを介して貯留空間15cに接続される。切刃部3dで削孔されたコンクリートの削孔粉は、吸引装置9(
図1参照)の吸引力により、連通孔3f、吸塵通路3e、連通路3g、第1通路4c、第2通路4d、接続ホース10Aの流路、第1流通路12a、接続路13d、ガイド部材17の流路、及び、内部空間14dを介し、貯留空間15cに貯留される。貯留空間15cに削孔粉とともに送られた空気は、接続部材14を筒軸方向に沿って流通し、開口12b2から第2流通路12b及び接続路13eに送られ、接続ホース10Bの流路を介して吸引装置9に吸引される。
【0040】
図8に示すように、連通孔3fを外気中に配置した状態で、オペレータがスライド部材13の操作部13bをベース12に押し込むようにスライドさせる。これにより、回収装置6は第2モードとなる。このとき回収装置6では、流通路R(第1流通路12a及び第2流通路12b)が、短絡路13cを通じて短絡される。連通孔3fから吸い込まれた外気は、吸引装置9の吸引力により、吸塵通路3e、連通路3g、第1通路4c、第2通路4d、接続ホース10Aの流路、第1流通路12a、短絡路13c、及び、第2流通路12bを流通し、接続ホース10Bの流路を介して吸引装置9に吸引される。これにより、連通孔3f、吸塵通路3e、連通路3g、第1通路4c、第2通路4d、接続ホース10Aの流路、流通路R、及び、接続ホース10Bの流路がそれぞれ清掃されて、残留物が除去される。貯留ケース15は、第2モード中または吸引装置9の停止時において、接続部材14から取り外すことができる。
【0041】
このようにシステム1では、第1モードと第2モードとの両方において、流通路Rにおける削孔粉及び空気の流通方向が、第1流通路12aから第2流通路12bに向かう同一方向に保たれる。従って、第1モードと第2モードとを繰り返し交互に行っても、例えば、流通路Rの第2流通路12bに付着していた不純物が貯留空間15cに混入しにくい。また、第1モードと第2モードとは、スライド部材13とベース12とを組み合わせた簡易な構造において、スライド部材13とベース12とを相対的にスライドさせることで簡単に切り替えることができる。これにより、簡易な構造で、削孔粉に不純物が混合するのを適切に防止し、削孔粉を適切に採取できる。
【0042】
なお、第2モードでは、連通孔3fから吸い込まれた外気は、ガイド部材17の流路と接続部材14の内部空間14dとには流通しないが、貯留ケース15を接続部材14から取り外した状態において、回収装置6を第1モードに設定すると、連通孔3fから吸い込まれた外気をガイド部材17の流路と接続部材14の内部空間14dとに流通させ、下端14bの開口14b1から排気することができる。これにより、ガイド部材17の流路と接続部材14の内部空間14dとの清掃も良好に行うことができる。
【0043】
また、回収装置6では、ベース12の挿通路12cの延びる方向に沿って、スライド部材13とベース12とを相対的にスライドさせることにより、簡単な操作で第1モードと第2モードとを切り替えることができる。これにより、例えば、オペレータがコンクリートの削孔作業中であっても、一方の手でハンドル7を握りながら他方の手で操作部13bを操作することにより、一人で容易かつ迅速に削孔粉を貯留ケース15に回収できる。
【0044】
また、スライド部材13の長手方向に垂直な断面の形状と、挿通路12cの延びる方向に垂直な断面の形状とを、ともに同一の非真円形状とすることにより、挿通路12cの内部で、スライド部材13が、その長手方向に垂直な断面の周方向(軸部13aの軸周り)に回転するのが防止される。これにより、第1流通路12a及び第2流通路12bに対する短絡路13cまたは一対の接続路13d、13eの各位置関係を安定して保つことができ、回収装置6を安定して駆動できる。また、スライド部材13が挿通路12cに対して気密に挿入されているので、第1モード中に、軸部13aと挿通路12cとの隙間から不純物が入り込み、貯留空間15cに貯留される削孔粉に混入するのを防止できる。
【0045】
また、接続部材14は、内部空間14dの流路断面積がベース12から貯留ケース15に向かって減少する漏斗状に形成され、第1モードでは、吸引装置9の吸引力によって、削孔粉が接続部材14の内表面に沿って螺旋状に回転しながら貯留空間15cに貯留される。これにより回収装置6において、ベース12から貯留ケース15へ向けて、削孔粉の流通状態を安定に保ち、削孔粉を貯留空間15cに効率よく貯留できる。
【0046】
また、取付部材16が貯留ケース15の底部を鉛直方向下方に配向させるためのボールジョイント部20を有しているので、ドリルビット3のコンクリートの削孔方向とは無関係に、削孔粉を貯留空間15cに安定して貯留できる。これにより、例えば、ハンマードリル2の削孔姿勢を横向き姿勢と上向き姿勢との間で相互に変えたとしても、貯留空間15c内に削孔粉を貯留した状態を適切に保つことができる。
【0047】
また、接続ホース10Aの流路と第1流通路12a、接続ホース10Bの流路と第2流通路12b、及び、第1流通路12aとガイド部材17の流路は、それぞれ滑らかに接続され、第1流通路12a、第2流通路12b、及び、一対の接続路13d、13eの各流路断面形状と各流路断面のサイズとが同一に設定されるとともに、スライド部材13の長手方向から見て、ベース12の径方向における第1流通路12a、第2流通路12b、及び、一対の接続路13d、13eの各幅と、短絡路13cの幅とが同一に設定されている。よってシステム1では、接続ホース10A、第1流通路12a、第2流通路12b、短絡路13c、一対の接続路13d、13e、ガイド部材17、及び、接続ホース10Bの各内部に削孔粉が残留しにくい。このため第2モードでは、システム1で削孔粉が流通する各経路を効率よく清掃することができる。
【0048】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その構成を変更、追加、又は削除することができる。
【0049】
ベース12の形状は円柱状に限定されず、例えば直方体状など、円柱状以外の形状であってもよい。軸部13aの長手方向に垂直な断面の形状と、挿通路12cの延びる方向に垂直な断面の形状とは、ともに同一の非真円形状であればよく、矩形状に限定されない。従って、例えば、楕円状、三角形状、及び、五角形以上の多角形状のいずれかであってもよい。