特許第6182573号(P6182573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182573
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】カートリッジケース及びカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20060101AFI20170807BHJP
   A47K 3/28 20060101ALI20170807BHJP
   E03C 1/10 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   C02F1/28 R
   A47K3/22
   E03C1/10
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-142955(P2015-142955)
(22)【出願日】2015年7月17日
(65)【公開番号】特開2017-23909(P2017-23909A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2016年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】515196137
【氏名又は名称】菊池 城二
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】菊池 城二
【審査官】 菊地 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−174374(JP,A)
【文献】 特開2006−187720(JP,A)
【文献】 特開2005−000768(JP,A)
【文献】 特開2005−334750(JP,A)
【文献】 特開2012−055880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/28
E03C 1/00−1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を流入可能な原水流入部と、前記原水流入部から流入した原水を浄水にする濾過材を装填可能な空間を画定した周壁を有する装填部と、前記濾過材を流体的に接続するための接続部を有し、前記濾過材によって浄化された浄水を吐出させるヘッド部とを備え、前記空間に装填された前記濾過材と前記周壁との間に前記原水流入部からの原水を流通させる直線状の流路が形成される吐水ヘッドに対して前記濾過材を装填するためのカートリッジケースであって、前記濾過材が出し入れ可能に装填されるケース本体と、前記ケース本体に内部を連通させて接続されたジョイント部であって、前記接続部に流体的に接続可能なジョイント部とを備え、前記ケース本体は、内外を連通させる連通孔を有し、
前記ケース本体内で前記濾過材と並んで配置され、前記流路の延長上に上流側の開口と下流側の開口とが連通する筒状の小型ケースであって、通水可能で且つ浄水の水質を変化させる鉱物を収容可能な小型ケースを配置可能に構成されることを特徴とするカートリッジケース。
【請求項2】
前記小型ケースは、前記濾過材の下流側端部と、カートリッジケース内部の下流側端部との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジケース。
【請求項3】
前記ケース本体は、前記流路の流れの方向に沿って前記連通孔を複数有することを特徴とする請求項1または2に記載のカートリッジケース。
【請求項4】
前記流路における上流側に位置する前記連通孔の開口面積が前記流路における下流側に位置する前記連通孔の開口面積よりも大きく構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のカートリッジケース。
【請求項5】
前記ケース本体は、前記濾過材を出し入れするための開口部を有する筒部と、前記開口部を閉塞する蓋部とを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のカートリッジケース。
【請求項6】
原水を流入可能な原水流入部と、前記原水流入部から流入した原水を浄水にする濾過材を装填可能な空間を画定した周壁を有する装填部と、前記濾過材を流体的に接続するための接続部を有し、前記濾過材によって浄化された浄水を吐出させるヘッド部とを備え、前記空間に装填された前記濾過材と前記周壁との間に前記原水流入部からの原水を流通させる流路が形成される吐水ヘッドに対して前記濾過材を装填するためのカートリッジであって、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のカートリッジケースと、該カートリッジケースに収容される濾過材とを備えることを特徴とするカートリッジ。
【請求項7】
浄水の水質を変化させる鉱物を備え、前記濾過材は筒状部材であり、前記鉱物は前記濾過材の中空部に配置されることを特徴とする請求項6に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水ヘッドに対して濾過材を装填するためのカートリッジケース及びカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、原水(例えば、水道水)を浄化する浄水機能を備えた吐水ヘッドの一つとして、原水を浄化する濾過材を備えたカートリッジを装填可能に構成されたものが提供されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この種の吐水ヘッドは、原水を流入可能な原水流入部と、原水流入部から流入した原水を浄水にする濾過材を装填可能な空間を画定した周壁を有する装填部と、濾過材を流体的に接続するための接続部を有し、濾過材によって浄化された浄水を吐出させるベッド部とを備え、装填部の空間に装填された濾過材と周壁との間に原水流入部からの原水を流通させる流路が形成されるようになっている。
【0004】
これに伴い、カートリッジは、図7に示すように、吐水ヘッド102の装填部104内に装填される濾過材106であって、軸方向に貫通孔を有する筒状の濾過材106と、吐水ヘッド102のヘッド部108の接続部110に接続されるジョイント部112であって、濾過材106の一端部に取り付けられたジョイント部112とを備える。
【0005】
濾過材106は、活性炭等の水質浄化材料を含み、水中に溶解した化学成分や浮遊している微細な固形物質を吸収又は濾過する。この種の濾過材106は、外周面から貫通孔に向けて透水させることで原水を浄化し、浄化された浄水が貫通孔を通水するように構成されている。ジョイント部112は、筒状に形成された樹脂成形品であり、内孔を濾過材106の貫通孔に連通させるように、濾過材106の一端部に接続されている。
【0006】
これにより、この種のカートリッジでは、濾過材106の貫通孔とジョイント部112の内孔とが浄水を流通させる通水路を形成している。
【0007】
上記構成のカートリッジ100は、ジョイント部112をヘッド部108の接続部110に差し込んだ状態で吐水ヘッド102に装填される。この状態で、カートリッジ100の通水路とヘッド部108内の流路とが繋がり、浄水がヘッド部108から吐出可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−55880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、カートリッジ100は、濾過材106とジョイント部112とが一体となって構成されているため、カートリッジ100を交換するときは、濾過材106だけでなくジョイント部112も一緒に交換される。すなわちカートリッジ100のうち原水の浄化に用いられる消費材は、濾過材106だけであるにも関わらず、カートリッジ100の交換に伴ってジョイント部112も廃棄されているのが実情である。
【0010】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑み、吐出ヘッドの機能を害することなく、消費材としての濾過材のみを交換可能に吐出ヘッドに装填できるカートリッジケース及びカートリッジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るカートリッジケースは、原水を流入可能な原水流入部と、前記原水流入部から流入した原水を浄水にする濾過材を装填可能な空間を画定した周壁を有する装填部と、前記濾過材を流体的に接続するための接続部を有し、前記濾過材によって浄化された浄水を吐出させるヘッド部とを備え、前記空間に装填された前記濾過材と前記周壁との間に前記原水流入部からの原水を流通させる直線状の流路が形成される吐水ヘッドに対して前記濾過材を装填するためのカートリッジケースであって、前記濾過材が出し入れ可能に装填されるケース本体と、前記ケース本体に内部を連通させて接続されたジョイント部であって、前記接続部に流体的に接続可能なジョイント部とを備え、前記ケース本体は、内外を連通させる連通孔を有し、前記ケース本体内で前記濾過材と並んで配置され、前記流路の延長上に上流側の開口と下流側の開口とが連通する筒状の小型ケースであって、通水可能で且つ浄水の水質を変化させる鉱物を収容可能な小型ケースを配置可能に構成されることを特徴とする。
【0012】
かかる構成のカートリッジケースによれば、濾過材がケース本体に出し入れ可能(交換可能)に装填される。そして、カートリッジケースは、ケース本体に濾過材が装填された状態で吐水ヘッドに装填される。すなわち濾過材を装填したカートリッジケースは、ジョイント部をヘッド部の接続部に接続した状態で吐水ヘッドの装填部(空間)に装填される。ジョイント部は、ケース本体の内部に連通するため、ケース本体に装填された濾過材とヘッド部とが流体的に繋がる。そして、ケース本体には、内外を連通する連通孔が形成されているため、濾過材と装填部の周壁との間に形成された流路を流れる原水は、ケース本体の連通孔を通過して濾過材へと流れる。濾過材へと流れた原水は浄化された後、浄水としてジョイント部、接続部を経てヘッド部に流入し、ヘッド部から吐出可能となる。
従って、上記構成のカートリッジケースは、吐出ヘッドの機能を害することなく、消費材としての濾過材のみを交換可能に吐出ヘッドに装填することができる。
また、濾過材で浄化された浄水又はケース本体内に流入した原水がケース本体内に配置された鉱物に触れつつ流通する。従って、原水を濾過材で濾過できるとともに、濾過材で浄化された浄水又はケース本体内に流入した原水の水質を鉱物によって変えることができ、水質を一層向上させることが可能となる。
また、濾過材を透過した原水又はケース本体内に流入した原水は、鉱物を収容した筒状の小型ケースを通過する。すなわち、原水は、小型ケースの上流側の開口から流入し、小型ケースを通過して下流側の開口から流出される。従って、濾過材で浄化された浄水又はケース本体内に流入した原水の水質を変えることができる。また、小型ケースに鉱物を収容すれば、鉱物を小型ケースごと交換できるので、鉱物を容易に交換することができる。すなわち鉱物は、一般的に粉状又は粒状であり、ハンドリングし難いものであるが、小型ケースに収容すれば、鉱物の交換を容易に行うことができる。
【0013】
また、前記小型ケースは、前記濾過材の下流側端部と、カートリッジケース内部の下流側端部との間に設けられる構成を採用することができる。
【0014】
また、本発明に係るカートリッジケースの一態様として、前記ケース本体は、前記流路の流れの方向に沿って前記連通孔を複数有するようにしてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、原水流入部からの原水が、流路の流れの方向に沿って形成された複数の連通孔からケース本体内に流入する。従って、流路を流通する原水が濾過材の装填されたケース本体内に流入する機会が多くなり、原水の流体圧が濾過材に到達するまでに上昇することを抑制できる。これにより、吐出ヘッド内での圧力損失を抑えることができ、浄水をヘッド部から適量で吐出させることができる。
【0016】
また、本発明に係るカートリッジケースの他の態様として、前記流路における上流側に位置する前記連通孔の開口面積が前記流路における下流側に位置する前記連通孔の開口面積よりも大きく構成されるようにしてもよい。
【0017】
かかる構成によれば、流路の下流側にある連通孔よりも流路の上流側にある連通孔に原水が流れ込み易くなる。そうすると、ケース本体内に流入した原水は濾過材に沿って下流側に流れつつ濾過材に透水することになる。このとき、流路の上流側ほど多くの原水がケース本体内に流れ込むため、濾過材における流路の上流域と対応する部分に原水が浸透し易くなり、濾過材における流路の上流域と対応する部分が積極的に濾過機能を発揮する。そうすると、濾過材における流路の上流域と対応する部分が目詰まり等によって濾過性能が低下しやすくなるが、該上流域と対応する部分の濾過性能が低下しても、濾過材における流路の下流域と対応する部分の濾過性能が上流域と対応する部分よりも低下し難いため、ケース本体内に流入した原水は、濾過材における流路の下流域と対応する部分で濾過される。従って、濾過材全体を原水の浄化に有効に使えるようになる。
【0022】
また、本発明に係るカートリッジケースの他の態様として、前記ケース本体は、前記濾過材を出し入れするための開口部を有する筒部と、前記開口部を閉塞する蓋部とを備えるようにしてもよい。
【0023】
かかる構成によれば、筒部の開口部は、蓋部によって閉塞される。従って、濾過材を交換するときは、蓋部を外して開口部から濾過材を出し入れすることができる。
【0024】
また、本発明に係るカートリッジは、原水を流入可能な原水流入部と、前記原水流入部から流入した原水を浄水にする濾過材を装填可能な空間を画定した周壁を有する装填部と、前記濾過材を流体的に接続するための接続部を有し、前記濾過材によって浄化された浄水を吐出させるッド部とを備え、前記空間に装填された前記濾過材と前記周壁との間に前記原水流入部からの原水を流通させる流路が形成される吐水ヘッドに対して前記濾過材を装填するためのカートリッジであって、上記何れかのカートリッジケースと、該カートリッジケースに収容される濾過材とを備えることを特徴とする。
【0025】
かかる構成によれば、上記何れかのカートリッジケースを備えているため、上記の作用及び効果が得られる。
【0026】
また、本発明に係るカートリッジの一態様として、浄水の水質を変化させる鉱物を備え、前記濾過材は筒状部材であり、前記鉱物は前記濾過材の中空部に配置されるようにしてもよい。
【0027】
かかる構成によれば、濾過材の中空部に鉱物が配置される。従って、鉱物を配置するのに濾過材の中空部を活用することができるため、例えば鉱物を配置するための特別なスペースなどを設ける必要もなく、カートリッジの大型化を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0028】
以上の如く、本発明によれば、吐水ヘッドの機能を害することなく、消費材としての濾過材のみを交換可能に吐水ヘッドに装填できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第一実施形態に係るカートリッジが収容される吐水ヘッドの断面図である。
図2】第一実施形態に係るカートリッジの側面図である。
図3】第一実施形態に係るカートリッジの断面図である。
図4】第一実施形態に係るカートリッジの分解斜視図である。
図5】本発明の第二実施形態に係るカートリッジの側面図である。
図6】第二実施形態に係るカートリッジの断面図である。
図7】従来のカートリッジが収容される吐水ヘッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の第一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0031】
まず、本実施形態に係るカートリッジの前提となる吐水ヘッドについて説明する。
【0032】
吐水ヘッド12は、水栓(図示せず)から供給される原水を流入可能な原水流入部20と、原水流入部20から流入した原水を浄化して浄水にする濾過材14を装填可能であって、濾過材14を装填する空間を画定する周壁を有する装填部22と、装填部22に装填される濾過材14を流体的に接続するための接続部24を有する。また、吐出ヘッド12は、濾過材14によって原水を浄化した浄水(以下、単に浄水という)を吐水口26aから吐出させるヘッド部26とを備える。
【0033】
吐水ヘッド12は、水栓に繋がるホース(図示せず)に接続される。具体的には、原水流入部20は、ホースを接続するためのホース接続部20aを備える。ホース接続部20aは、筒状をなし、ホースを外嵌可能に構成される。また、ホース接続部20aの内孔20bは、装填部22の空間(濾過材14を装填する空間)とを連通する。
【0034】
装填部22の周壁は、二重構造をなす。具体的には、装填部22の周壁は、外筒22aと、該外筒22aに内装された内筒22bとによって構成される。これに伴い、周壁を構成する内筒22bは、原水流入部20のホース接続部20aと連続し、内筒22b内に濾過材14(本実施形態に係るカートリッジ)が装填される。
【0035】
この種の吐水ヘッド12は、装填部22の周壁と該装填部22に装填された濾過材14との間に原水流入部20から流入した原水を流通させる原水流路28が形成されるようになっている。上記構成の吐水ヘッド12の周壁は、二重構造をなすため、内筒22bと濾過材14との間に原水流路28が形成されるようになっている。
【0036】
ヘッド部26は、装填部22に対して着脱可能に設けられる。すなわち、吐水ヘッド12は、ヘッド部26を装填部22から取り外すことで、装填部22内を開放するようになっている。これにより、吐水ヘッド12は、装填部22に対して濾過材14(カートリッジ16)を出し入れできるようになっている。
【0037】
ヘッド部26は、装填部22と接続するための嵌合部32と、カートリッジ16(より具体的にはカートリッジケース10)を接続するための接続部24と、浄水を吐出させる吐水口26aと、接続部24と吐水口26aとを流体的に接続する浄水系統と、装填部22の原水流路28と吐水口26aとを流体的に接続する原水系統とを備える。これに伴い、吐出ヘッド12は、通水系統を浄水系統と原水系統の何れか一方に切り換え可能な流路切換機構(図示せず)を備えている。
【0038】
嵌合部32は、環状に形成され、装填部22の外筒22aを内嵌可能に形成されている。接続部24は、嵌合部32内に配置されている。接続部24は、嵌合部32よりも小径な筒状に形成され、嵌合部32と同心で配置されている。接続部24の内孔は、浄水系統に連通されている。
【0039】
なお、詳細な説明は省略するが、ヘッド部26は、吐水口26a以外に、シャワー吐水口26bと、浄水系統及び原水系統の接続先を吐水口26aとシャワー吐水口26bとに切り換え可能に構成された接続先変更機構(図示せず)を備えている。
【0040】
以上が吐水ヘッド12の構成である。次に、カートリッジ16について説明する。
【0041】
カートリッジ16は、図3及び図4に示すように、カートリッジケース10と、カートリッジケース10に装填される濾過材14とを備える。本実施形態に係るカートリッジ16は、上記構成に加え、カートリッジケース10内で濾過材14と並んで配置される小型ケース34であって、水の水質を変化させるための鉱物(図示せず)を収容する小型ケース34を更に備える。
【0042】
カートリッジケース10は、濾過材14が出し入れ可能に装填されるケース本体10aと、ケース本体10aの内部をヘッド部26内の流路に連通させた状態で、ケース本体10aをヘッド部26に接続させるためのジョイント部10bとを備える。
【0043】
ここで、濾過材14は、軸方向に貫通孔30を有する筒状をなし、活性炭等の水質浄化材料などで構成される。濾過材14は、外周面から貫通孔30に向けて透水させることで原水を浄化する。そして、濾過材14で浄化された浄水は貫通孔30を通水するように構成される。
【0044】
ケース本体10aは、図3に示すように、下流側と上流側の両端部が開口した筒部10a1と、筒部10a1の上流側の開口を閉塞する蓋部10a2とを備える。蓋部10a2は、筒部10a1の上流側の開口に開閉可能に嵌合される。これにより、蓋部10a2を筒部10a1から取り外すことで、濾過材14が筒部10a1から出し入れ可能に構成される。
【0045】
ケース本体10aは、図2又は図4に示すように、外周面に内外を連通する連通孔10a3を有する。従って、カートリッジ16が装填部22に装填されるとき、連通孔10a3は原水流路28と濾過材14とを連通する。
【0046】
連通孔10a3は、原水流路28の流れの方向(ケース本体10aの軸方向)に沿って複数形成される。また、これら複数の連通孔10a3の列は、周方向にも所定間隔で複数形成される。このように、濾過材14の周りには多くの連通孔10a3が形成されるため、原水流路28を流れる原水は濾過材14にスムーズに流れ込む。すなわち濾過材14をカートリッジケース10で覆っていたとしても、カートリッジケース10によって濾過材14への原水の進入が妨げられることはない。
【0047】
軸方向に並ぶ複数の連通孔10a3は、それぞれ開口面積が異なるように構成される。具体的には、原水流路28における上流側に位置する連通孔10a3の開口面積が下流側に位置する連通孔10a3の開口面積よりも大きく構成される。本実施形態において、連通孔10a3の開口面積は、上流側から下流側にいくに従って除々に小さくなるように形成され、もっとも上流側に位置する連通孔10a3の開口面積がもっとも大きく、もっとも下流側に位置する連通孔10a3の開口面積がもっとも小さくなるように構成される。
【0048】
連通孔10a3の開口面積を上記の如く構成することで、原水流路28の下流側にある連通孔10a3よりも原水流路28の上流側にある連通孔10a3に原水が流れ込み易くなる。そうすると、ケース本体10a内に流入した原水は濾過材14に沿って下流側に流れつつ濾過材14に透水することになる。このとき、原水流路28の上流側ほど多くの原水がケース本体10a内に流れ込むため、濾過材14における原水流路28の上流域と対応する部分に原水が浸透し易くなり、濾過材14における原水流路28の上流域と対応する部分が積極的に濾過機能を発揮する。この場合、濾過材14における原水流路28の上流域と対応する部分が目詰まり等によって濾過性能が低下し易いが、該上流域と対応する部分の濾過性能が低下しても、原水は、濾過材14における流路の下流域と対応する部分で濾過される。
【0049】
また、ヘッド部26の流路切換機構によって浄水系統に切り換えられている場合、原水流路28は流路切換機構によって遮断されるため、給水圧によって原水流路28内の下流域で水圧が高い状態となることがある。そうすると、濾過材14には、原水流路28の下流域に対応する部分に多くの原水が流れ込み、この部分の濾過性能の低下が早まる。しかし、連通孔10a3の開口面積を上記のように構成することで、原水流路28の下流域より上流域の方が原水がより流れ込み易くなるため、濾過材14には、ほぼ全域にわたって均一に原水が流れ込むようになる。
【0050】
ジョイント部10bは、筒状をなし、内孔をケース本体10a内に連通させるように、ケース本体10aの一端部(下流側端部)に接続されている。これにより、カートリッジ16では、濾過材14の貫通孔30とジョイント部10bの内孔とが浄水を流通させる通水路を形成している。そして、ジョイント部10bをヘッド部26の接続部24に差し込むことによって、カートリッジ16(カートリッジケース10)は、吐水ヘッド12に装填される。
【0051】
本実施形態において、小型ケース34は、濾過材14の下流側端部と、カートリッジケース10内部の下流側端部との間に設けられる。また、小型ケース34は、図4に示すように、筒状をなし、両端部が開口して通水性を有する。従って、濾過材14を透過した浄水は、鉱物を収容した小型ケース34を通過する。小型ケース34内に収容される鉱物は、例えば、液中の硬度成分(カルシウムイオンなど)を吸着除去して軟水を生成したり、液中の陽イオン、陰イオンを吸着除去して純粋レベルの水を生成可能な鉱物を意味する。なお、鉱物は、例えば、粉状又は粒状であってもよいが、所定形状に成形したものでもよい。鉱物の形状が粉状又は粒状の場合には、鉱物をネット状の袋に入れるなどして小型ケース34に収容するか、または袋などに詰めずにそのまま小型ケース34に収容し、小型ケース34の両端部の開口をネットなどで塞ぐようにしてもよい。
【0052】
本実施形態に係るカートリッジ16(カートリッジケース10)は、以上の通り、原水を流入可能な原水流入部20と、原水流入部20から流入した原水を浄水にする濾過材14を装填可能な空間を画定した周壁を有する装填部22と、濾過材14を流体的に接続するための接続部24を有し、濾過材14によって浄化された浄水を吐出させるベッド部26とを備え、装填部22内の空間に装填された濾過材14と周壁との間に原水流入部20からの原水を流通させる原水流路28が形成される吐水ヘッド12に対して濾過材14を装填するためのカートリッジケース10であって、濾過材14が出し入れ可能に装填されるケース本体10aと、ケース本体10aに内部を連通させて接続されたジョイント部10bであって、接続部24に流体的に接続可能なジョイント部10bとを備え、ケース本体10aは、内外を連通させる連通孔10a3を有することを特徴とする。
【0053】
以上の構成のカートリッジケース10によれば、濾過材14がケース本体10aに出し入れ可能(交換可能)に装填される。そして、カートリッジケース10は、ケース本体10aに濾過材14が装填された状態で吐水ヘッド12に装填される。すなわち濾過材14を装填したカートリッジケース10は、ジョイント部10bをヘッド部26の接続部24に接続した状態で吐水ヘッド12の装填部22(空間)に装填される。ジョイント部10bは、ケース本体10aの内部に連通するため、ケース本体10aに装填された濾過材14とヘッド部26とが流体的に繋がる。そして、ケース本体10aには、内外を連通する連通孔10a3が形成されているため、濾過材14と装填部22の周壁との間に形成された原水流路28を流れる原水は、ケース本体10aの連通孔10a3を通過して濾過材14へと流れる。濾過材14へと流れた原水は浄化された後、浄水としてジョイント部10b、接続部24を経てヘッド部26に流入し、ヘッド部26から吐出可能となる。従って、上記構成のカートリッジケース10は、吐出ヘッド12の機能を害することなく、消費材としての濾過材14のみを交換可能に吐出ヘッド12に装填することができる。
【0054】
また、本実施形態に係るカートリッジケース10において、ケース本体10aは、原水流路28の流れの方向に沿って連通孔10a3を複数有するため、原水流入部20からの原水が、原水流路28の流れの方向に沿って形成された複数の連通孔10a3からケース本体10a内に流入する。従って、原水流路28を流通する原水が濾過材14の装填されたケース本体10a内に流入する機会が多くなり、原水の流体圧が濾過材14に到達するまでに上昇することを抑制できる。これにより、吐出ヘッド12内での圧力損失を抑えることができ、浄水をヘッド部26から適量で吐出させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係るカートリッジケース10において、原水流路28における上流側に位置する連通孔10a3の開口面積が下流側に位置する連通孔10a3の開口面積よりも大きく構成されるため、原水流路28の下流側にある連通孔10a3よりも原水流路28の上流側にある連通孔10a3に原水が流れ込み易くなる。そうすると、ケース本体10a内に流入した原水は濾過材14に沿って下流側に流れつつ濾過材14に透水することになる。このとき、原水流路28の上流側ほど多くの原水がケース本体10a内に流れ込むため、濾過材14における原水流路28の上流域と対応する部分に原水が浸透し易くなり、濾過材14における原水流路28の上流域と対応する部分が積極的に濾過機能を発揮する。そうすると、濾過材14における原水流路28の上流域と対応する部分が目詰まり等によって濾過性能が低下しやすくなるが、該上流域と対応する部分の濾過性能が低下しても、濾過材14における原水流路28の下流域と対応する部分の濾過性能が上流域と対応する部分よりも低下し難いため、ケース本体10a内に流入した原水は、濾過材14における流路の下流域と対応する部分で濾過される。従って、濾過材14全体を原水の浄化に有効に使えるようになる。
【0056】
また、本実施形態に係るカートリッジケース10において、ケース本体10aは、内部に水質を変化させる鉱物を配置可能に構成されるため、濾過材14で浄化された浄水又はケース本体10a内に流入した原水がケース本体10a内に配置された鉱物に触れつつ流通する。従って、原水を濾過材14で濾過できるとともに、濾過材14で浄化された浄水又はケース本体10a内に流入した原水の水質を鉱物によって変えることができ、水質を一層向上させることが可能となる。
【0057】
また、本実施形態に係るカートリッジケース10は、ケース本体10a内で濾過材14と並んで配置される小型ケース34であって、通水可能で且つ鉱物を収容可能な小型ケース34を備えるため、濾過材14を透過した原水又はケース本体10a内に流入した原水は、鉱物を収容した小型ケース34を通過する。従って、濾過材14で浄化された浄水又はケース本体10a内に流入した原水の水質を変えることができる。また、小型ケース34に鉱物を収容すれば、鉱物を小型ケースごと交換できるため、鉱物を容易に交換することができる。すなわち鉱物は、一般的に粉状又は粒状であり、ハンドリングし難いものであるが、小型ケース34に収容すれば、鉱物の交換を容易に行うことができる。
【0058】
また、本本実施形態に係るカートリッジケース10において、ケース本体10aは、濾過材14を出し入れするための開口部を有する筒部10a1と,開口部を閉塞する蓋部10a2とを備えるため、濾過材14を交換するときは、蓋部10a2を外して開口部から濾過材14を出し入れすることができる。
【0059】
次に、本発明の第二実施形態に係るカートリッジについて図5及び図6を参照して説明する。
【0060】
第二実施形態に係るカートリッジ50は、図6に示すように、カートリッジケース52のケース本体52a内部の上流側端部から下流側端部にかけて濾過材54が配置され、第一実施形態のように小型ケース34が配置されない。従って、ケース本体52a内部は、濾過材54にほぼ満たされた状態となる。ただし、第二実施形態では、濾過材54の中空部、すなわち貫通孔56内に鉱物(図示せず)を収容するようにしている。このため、濾過材54を透過して貫通孔56に流れ込んだ浄水は貫通孔56を流れる間に鉱物によってさらに変化させられる。
【0061】
第二実施形態に係るカートリッ50(カートリッジケース52)は、以上の通り、浄水の水質を変化させる鉱物を備え、該鉱物は濾過材54の中空部、すなわち貫通孔56に配置される。このため、鉱物を配置するのに濾過材14の貫通孔56を活用することができ、例えば鉱物を配置するための特別なスペースなどを設ける必要もなく、カートリッジ50の大型化を防ぐことができる。また、小型ケース34がない分、濾過材54の長手方向の寸法を長くとることができるので、濾過材54の表面積が増えて原水の浄化性能を向上させることができる。
【0062】
なお、貫通孔56に収容される鉱物の数又は形状や大きさ等は、浄水の流れが妨げられない程度に設定される。また、鉱物は、小型ケース34に収容される第一実施形態と同様、ネット状の袋に入れた状態で貫通孔56に配置するようにしてもよい。また、貫通孔56の下流側開口部が、鉱物が出ないように通水性のある素材、例えばネット(不織布)で塞がれてもよい。
【0063】
また、第二実施形態の濾過材54では、濾過材54がケース本体52a内の上流側端部から下流側端部にかけて配置されるため、図5に示すように、ケース本体52aに形成される連通孔52a1もケース本体52aの上流側端部からほぼ下流側端部にかけて形成される。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更を加えることができる。
【0065】
例えば、上記実施形態では、カートリッジケース10,52に形成された軸方向に並ぶ複数の連通孔10a3,52a1は、それぞれ開口面積が異なるように構成されていたが、これに限定されるものではなく、開口面積が一部又は全部において同一であってもよい。具体的には、上流側から下流側にかけて開口面積が小さくなるという傾向は変わらないものの、軸方向に並ぶ複数の連通孔10a3,52a1の開口面積をすべて相違させる必要は必ずしもない。さらに、軸方向に並ぶ複数の連通孔10a3,52a1の開口面積をすべて同一にしてもこの発明の効果を達成し得る。
【0066】
また、上記実施形態では、ほぼ平行四辺形状の連通孔10a3,52a1を示したが、連通孔10a3,52a1の形状はこれに限定されるものではない。すなわち連通孔10a3,52a1の形状は、例えば、正方形状、矩形状、円状、楕円状、台形状であってもよく、原水が濾過材14,54に流れ込むことができ、さらに望ましくは、原水が濾過材14,54全体にわたって均一に流れ込むようにすることができるのであれば、連通孔10a3,52a1の形状は特定の形状に限定されるものではない。
【0067】
また、上記実施形態では、軸方向に並ぶ複数の連通孔10a3の列が、さらに周方向に複数形成される例を示したが、連通孔10a3の数は特定の数に限定されものではない。例えば連通孔10aの数は少なくとも1個以上であればよく、たとえ連通孔10a3の数が1個であっても本発明の課題を解決し得る。すなわち連通孔10a3の数が少なくても、連通孔10a3の開口面積を大きくするなどして、原水がスムーズに濾過材14に流れるように構成できればよい。
【符号の説明】
【0068】
10,52・・・カートリッジケース、10a,52a・・・ケース本体、10a1・・・筒部、10a2・・・蓋部、10a3,52a1・・・連通孔、10b・・・ジョイント部、12・・・吐水ヘッド、14,54・・・濾過材、16,50・・・カートリッジ、20…原水流入部、24・・・接続部、26・・・ヘッド部、28・・・原水流路、30,56・・・貫通孔、34・・・小型ケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7