(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
アテローム切除術は、動脈硬化性プラーク(動脈壁の内層に蓄積する脂肪および他の物質の沈着)を切り取るために、または削り取るために、カテーテルの端の上のデバイスを使用することによって、閉塞した冠状動脈または静脈移植片を開口する非外科的手技である。本願の目的で、「研磨」という用語は、そのようなアテローム切除術用ヘッドの研削および/または擦過作用を説明するために使用される。
【0003】
アテローム切除術は、心臓への酸素を豊富に含む血液流を修復し、胸痛を緩和し、および心臓発作を予防するために行われる。他の内科的治療に応答しなかった胸痛がある患者に、および、バルーン血管形成術(動脈壁に対するプラークを平坦にするためにバルーンカテーテルが使用される手術手技)または冠状動脈バイパス移植手術、抹消動脈治療の候補者である特定の患者に行われ得る。冠状動脈バイパス移植手術後に蓄積したプラークを除去するように行われることもある。
【0004】
アテローム切除術は、プラークを薄く切り取る、または破壊するために、カテーテルの端に定置された回転シェーバまたは他のデバイスを使用する。手技の開始時に、血圧を制御し、冠状動脈を拡張し、血栓を予防する薬剤が投与される。患者は、覚醒しているが、鎮静状態である。カテーテルは、鼠径部、脚、または腕の動脈に挿入され、血管を通して閉塞した冠状動脈に入れられる。切断ヘッドが、プラークに対して位置付けられて起動され、プラークが挽き砕かれるか、または吸い出される。
【0005】
アテローム切除術の種類は、回転式、指向性、および経腔的摘出である。回転式アテローム切除術は、プラークを挽き砕くために高速回転シェーバを使用する。指向性アテローム切除術は、最初に承認された種類であったが、もはや一般的に使用されておらず、カテーテルの一側面の開口部の中へプラークを擦り取るものである。経腔的摘出冠状アテローム切除術は、血管壁からプラークを切り取り、それをボトルの中へ吸い込むデバイスを使用する。バイパス移植片から不要物を除去するために使用される。
【0006】
心臓カテーテル法実習で行われる、アテローム切除術は、冠状動脈からのプラークの除去とも呼ばれる。バルーン血管形成術の代わりに、またはバルーン血管形成術とともに使用することができる。
【0007】
回転式アテローム切除術を行う、いくつかのデバイスが開示されている。例えば、1994年11月1日にLeonid Shturmanに発行され、「Abrasive driving shaft device for directional rotational atherectomy」と題された特許文献1は、動脈から狭窄組織を除去するための研磨駆動シャフトアテローム切除術用デバイスを開示している(参照することによりその全体で本明細書に組み込まれる)。デバイスは、中心管腔と、研磨区分を画定するように研磨材で被覆された、その遠位端付近の区分とを有する、可撓性細長い駆動シャフトを有する回転式アテローム切除術用装置を含む。十分に高い回転速度で、研磨区分は、半径方向に拡張し、その静止直径よりも大きい研磨直径を掃引することができ
る。このように、アテローム切除術用デバイスは、カテーテル自体よりも大きい妨害物を除去し得る。拡張型ヘッドの使用は、非拡張型ヘッドを使用するアテローム切除術用デバイスと比べた改良であり、そのような非拡張型デバイスは、典型的には、段階的に特定の妨害物の除去を必要とし、各段階が異なるサイズのヘッドを使用する。
【0008】
特許文献2(Shturman)は、拡大直径を有する駆動シャフトの一区分を伴う回転可能駆動シャフトを有する別のアテローム切除術用デバイスを示し、この拡大直径区分の少なくとも一区分は、駆動シャフトの研磨部分を画定するように研磨材で被覆される。高速で回転させると、研磨区分は、狭窄組織を動脈から除去することができる。
【0009】
典型的なアテローム切除術用デバイスは、非使い捨て制御ユニット(コントローラとも呼ばれる)から脱着することができる、単回使用の使い捨て部分を含む。使い捨て部分は、生理食塩水および患者の体液に曝露される要素、例えば、ハンドル、カテーテル、回転駆動シャフト、および研磨ヘッド等を含む。ハンドルは、駆動シャフトを回転させるタービンと、駆動シャフトをカテーテルに沿って縦方向に前後させることができるノブとを含む。多くの場合、デバイスは、ハンドルを起動するフットスイッチを有する。
【0010】
典型的なアテローム切除術用デバイスは、空気動力を使用し、ハンドル内のタービンに送達される圧縮空気の量を管理するコントローラを用いて、駆動シャフトを駆動する。圧縮空気は、タービンをスピンさせ、順に、駆動シャフトをスピンさせて、駆動シャフトに取り付けられた研磨クラウンをスピンさせる。クラウンの軌道運動は、制限または遮断された血管のチャネル開口部を拡大および拡張する。
【0011】
そのようなデバイスのために必要とされる空気圧システムは、実質的である。例えば、典型的空気圧システムは、圧縮された空気または窒素を必要とし、最小圧力は、100ポンド/平方インチ(689,000パスカルまたは6.8気圧)であって、最小体積流量率は、4立方フィート/分(113リットル/分または1.9リットル/秒)である。そのような空気システムのためのコントローラは、機械的に複雑であって、非常に高価であり得る。
【0012】
故に、実質的空気圧システムを必要とすることなく、現在の機能性を維持する、アテローム切除術用デバイスの必要性が存在する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
電気モータによって、回転駆動される、アテローム切除術用デバイスが、開示される。いくつかの設計では、デバイスは、ハンドルの特定のモデルに対する低/中/高事前設定回転速度のメモリ内への記憶、IV内に残っている生理食塩水の量の計算および十分に低くなった時の関連付けられた警告、ならびにモータの回転速度が変更される時の所定または計算レベルへのIVポンプ速度の自動調節等、ガスタービン駆動システム上で利用不可能な特徴を含む。電気モータは、同等ガスタービンより遥かに大きい回転慣性を有し、したがって、システムは、駆動シャフトの遠位端に印加される過度のトルクからの損傷を防止するのを支援する、制御機構を含む。モータ回転速度の降下によって、遠位端に障害物が検出されると、モータは、解除され、フライホイールとして、自由にスピン可能となる。自由にスピンするモータは、システムの大きな角運動量が、駆動シャフトに過度のトルクを伴うことなく、迅速かつ安全に消失することを可能にする。
【0020】
前述のより高度な制御特徴のうちのいくつかを欠いた、低複雑性アテローム切除術用デバイスもまた、開示される。より単純な本デバイスは、電気モータとともに、内蔵ファームウェア、モータドライバ、および再使用可能生理食塩水ポンプを含み得るが、高度なソフトウェア制御を欠いている場合がある。そのようなデバイスは、製造費が安価であり得、より高度な制御を有するデバイスの低コスト代替として、市販され得る。
【0021】
前段落は、単に概要にすぎず、決して限定的として解釈されるべきではない。より詳細な記述が続く。
【0022】
図1は、典型的周知の回転式アテローム切除術用デバイスの概略図である。デバイスは、ハンドル部分10と、偏心拡大研磨ヘッド28を有する細長い可撓性駆動シャフト20と、ハンドル部分10から遠位に延在する細長いカテーテル13とを含む。駆動シャフト20は、当技術分野において周知のように、螺旋コイル状ワイヤから構築され、研磨ヘッド28が、そこに固定して取り付けられる。カテーテル13は、拡大研磨ヘッド28および拡大研磨ヘッド28の遠位の小区間を除き、駆動シャフト20の長さの大部分が配置される管腔を有する。駆動シャフト20はまた、内側管腔を含み、駆動シャフト20を、ガイドワイヤ15の上で前進および回転させる。流体供給ライン17は、冷却および潤滑溶液(典型的には、生理食塩水または別の生体適合性流体)をカテーテル13内に導入するために提供され得る。
【0023】
ハンドル10は、望ましくは、駆動シャフト20を高速で回転させるために、タービン(または、類似回転式駆動機構)を含む。ハンドル10は、典型的には、チューブ16を通して送達される、圧縮された空気等、動力源に接続され得る。一対の光ファイバケーブル25、代替として、単一光ファイバケーブルが使用され、また、タービンおよび駆動シャフト20の回転の速度を監視するために提供され得る(そのようなハンドルおよび関連付けられた器具に関する詳細は、業界において周知であって、例えば、Authに発行された米国特許第5,314,407号(参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる)に説明されている)。ハンドル10はまた、望ましくは、カテーテル13、および、ハンドルの本体に対して、タービンおよび駆動シャフト20を前進ならびに後退させるための制御ノブ11を含む。
【0024】
図1における研磨要素28は、駆動シャフト20の遠位端近傍の駆動シャフト20に取り付けられる偏心中実クラウンである。用語「偏心」は、本明細書では、クラウンの質量中心が、駆動シャフト20の回転軸から側方に変位されていることを示すために使用される。駆動シャフトが、急回転するのに伴って、クラウンの変位された質量中心は、クラウンが、その静止直径より大きな直径にわたって、研磨し得るように、スピンに伴って、クラウンの近傍において、駆動シャフトを半径方向外側に屈曲させる。偏心中実クラウンは、例えば、米国特許出願公開第US2008/0306498号(参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる)として、2008年12月11日に公開のThatcherらの2007年6月11日出願の米国特許出願第11/761,128号「Eccentricabrading head for high−speed rotational atherectomy devices」に詳細に開示される。
【0025】
本願は、主に、
図1の空気または窒素供給タービンを改良し得る、ハンドル内の電気モータを対象とする。この点において、
図1の周知のアテローム切除術用デバイスの他の要素の多くまたは全てが、カテーテル13、ガイドワイヤ15、ハンドル10上の制御ノブ11、螺旋コイル状駆動シャフト20、および偏心中実クラウン28を含み、本開示のヘッド設計と併用され得る。
【0026】
電気デバイスとともに含まれ得る、特徴の多くの組み合わせが存在する。そのような例のうちの2つが、図および以下の文に説明される。第1の例は、比較的に少ない特徴を有し、第2の例は、多くの特徴を有する。それぞれ、その利点を有する。例えば、比較的に少ない特徴を有するデバイスは、比較的に特徴を多く含むデバイスより生産が安価であり得、そのようなものとして、販売および市販され得る。同様に、多くの特徴を有するデバイスは、比較的に特徴が少ないデバイスより高額を必要とし得る、高性能デバイスとして、販売および市販され得る。両方について、以下に詳述するが、比較的に少ない特徴を有するデバイスから説明する。
【0027】
図12は、電気モータおよび比較的に少ない特徴を有するアテローム切除術用デバイスのブロック図である。
【0028】
制御ユニット140は、手技毎に再使用され得る、デバイスの非使い捨て部分である。制御ユニットは、
図12に注記されるように、スタンド上に搭載されてもよく、または甲板上に定置され得る、独立型デバイスとして機能し得る。
【0029】
制御ユニット140は、ハンドル110と電気接続150を有する。多くの場合、制御ユニット140は、ハンドル110内のモータのための電源として機能し、電気接続150は、電流のために必要とされる、2つ以下の伝導性要素である(または、随意に、別個の接地が使用される場合、3つ)。典型的には、制御ユニット140は、制御可能かつ可変DC電圧をハンドル110に供給し、電圧は、ハンドル110内のモータの回転速度を制御するように、開ループにおいて変動する。AC電圧もまた、使用され得ることに留意されたい。この単純な電気接続150の場合、ハンドル110と制御ユニット140との間の通信は、可能ではない。すなわち、制御ユニット140は、単に、ハンドル110内のモータに給電する。他の場合では、電気接続150は、より高度であり得、制御ユニット140とハンドル110との間の一方向または双方向通信を含み得ることに留意されたい。そのような例は、比較的に特徴を多く含むデバイスに関して、後述される。
【0030】
制御ユニット140はまた、再使用可能生理食塩水ポンプを含む。そのようなポンプは、生理食塩水を、所定の速度において、バッグまたは他の好適な源から、生理食塩水接続190を通して、ハンドル110内に方向づける。ハンドル110内側の好適な配管は、生理食塩水をカテーテル内に方向づけ、そこで、駆動シャフトを囲む空間を充填し、シス
テムを潤滑および清浄する役割を果たす。少なくとも、制御ユニット140は、生理食塩水が、ハンドル内に圧送される速度を調整する必要があり、オペレータに、ポンプの状態を通知する必要がある。これらの2つの機能は、後述される。
【0031】
少なくとも、生理食塩水ポンプは、一般に、「低」および「高」として指定される、2つのポンプ速度を使用する。典型的には、低および高速は、制御ユニット140のファームウェア内にハードコード化される。代替として、3つ以上の離散ポンプ速度が、使用されてもよく、および/または連続変動ポンプ速度が、使用され得る。典型的には、低ポンプ速度は、駆動シャフトが、その急回転を開始する前に、手技の開始時において、システムを洗浄するために使用される。高ポンプ速度は、典型的には、駆動シャフトが急回転する時、手技の間に使用される。ある場合には、制御ユニット電源設定および/またはハンドル内のモータの所望の回転速度に応じて、ポンプ速度は、高と低との間で自動的に変動される。ある場合には、各手技の開始時、ユーザは、低流速でポンプを回転させ、特定の時間の間、待機し、次いで、高速に流速を回転させるように命令される。
【0032】
デバイスは、重量センサを使用して、生理食塩水のレベルを監視し得る。そのような重量センサは、生理食塩水バッグが吊り下げられる、バネ状デバイスであり得る。バッグの吊り下げ重量およびその内容物が、所定の閾値を下回る場合、重量センサ内のスイッチがトリガされる。生理食塩水は、典型的には、200ミリリットル等の標準サイズのバッグ内において到着するが、任意のバッグサイズもまた、使用され得る。重量センサはまた、生理食塩水バッグが定置され得る、プラットフォーム状デバイス上で使用され得る。バッグの重量が、所定のレベルを下回る場合、ポンプは、オフにされ、モータの電源が切れ(生理食塩水を伴わずに、デバイスが運転することが生じ得る、デバイスおよび患者への損傷を防止するために)、オペレータに通知される。
【0033】
オペレータは、制御ユニットを通して、ポンプシステム状態を通知される。単純な通知システムの1つは、以下に詳述されるが、任意の好適な通知システムが使用され得る。
【0034】
本サンプル通知システムでは、状態は、3つの異なる色の発光ダイオード(LED)によって提供される。「緑色」光は、ポンプが正常に動作しており、ハンドルが、適切に給電されていることを示し得る。ハンドルのための48ボルト電源を監視する、内部回路が存在する。「黄色」光は、システムに何らかの正しくないことがあることを示し得る。すなわち、ドアが開放されている、またはシステムに関するいくつかの他の補正可能問題が存在し得る。「赤色」光は、バッグの生理食塩水が空であることを示し得る。他の指標システムも同様に使用され得ることを理解されるであろう。
【0035】
制御ユニット140は、典型的には、累積時間モニタを含み、デバイスの合計動作時間が、9分等の所定の閾値を超えないことを保証する。他の所定の時間閾値も同様に使用され得る。制御ユニット140は、典型的には、累積動作時間に達すると、警告を発する、および/またはモータを無効にする。
【0036】
いくつかの代替設計では、電気モータは、ハンドル110内ではなく、制御ユニット140内に含まれ、電気接続150は、モータの回転を駆動シャフトに伝達するための機械的接続によって置換される。
【0037】
本書の残りは、
図12のデバイス内に存在しない、多くの特徴に加え、
図12のデバイスの機能性の大部分または全部を含む、比較的に特徴を多く含むデバイスについて説明する。
【0038】
初めに、
図2は、電気モータを有するアテローム切除術用デバイスのブロック図を示す
。
【0039】
制御ユニット40(また、コントローラとも称される)は、デバイスの非使い捨て部分であって、モータの駆動に直接関連しない、デバイスの電気機能の大部分を含む。例えば、制御ユニット40は、どの種類のハンドルが、その中に差し込まれているかを認識することができ、モータの所望の速度を設定するための制御を含み、生理食塩水をカテーテルへと下方に送達する、ポンプのための制御を含む。
【0040】
制御ユニット40は、ハンドル10への電気接続50を有する。カテーテルに対して、研磨要素を前進および後退させることができる、制御ノブおよび関連付けられた機械的構造を有することに加え、ハンドル10は、実際の電気モータおよび駆動シャフト20へのモータの機械的連結を含む。
【0041】
駆動シャフト20は、ハンドル10内に位置するモータとの機械的連結から、患者の血管系内へ、カテーテルを通して延在する。駆動シャフト20の近位(近傍)端は、ハンドル10内にあって、駆動シャフト20の遠位(遠方)端は、血管内の妨害物へと延在する。研磨要素30は、駆動シャフト20に取り付けられるか、またはそれと一体型であって、駆動シャフトの遠位端またはその近傍に位置する。
【0042】
ハンドル10、カテーテル、および駆動シャフト20はすべて、単回使用のために設計され、典型的には、手技が完了すると、廃棄される。制御ユニット40は、将来の反復使用のために、施術者によって、維持される。
【0043】
代替として、電気モータ自体は、単回使用ハンドル10内ではなく、制御ユニット40内に位置し得る。制御ユニット40内にモータが位置することは、制御ユニット40とハンドル50との間の付加的機械的連結を必要とするであろう。ハンドルは、依然として、カテーテル内の研磨要素を前進および後退させる、制御ノブ11を含むであろう。
【0044】
図3は、例示的制御ユニット40およびハンドル10の平面図である。本実施例では、電気接続50は、制御ユニット40の正面から出て、
図3の図では、その右側のハンドル10に入る。カテーテルおよび駆動シャフトは、ハンドル10の左側に取り付くが、
図3の図では、明確に示されない。
【0045】
種々のデバイス特徴の多くは、後述されるが、これは、都合上、制御ユニット40上のそれらの対応する制御に関して行われる。任意の好適な制御が、制御ユニット40上の任意の好適なレイアウトとともに、説明される機能に対して、使用され得、図に示される制御は、単に、実施例に過ぎないことを理解されるであろう。
【0046】
図4は、制御ユニット40の正面図である。制御ユニットの背面は、甲板上に定置されるか、スタンドに挟着されるか、ポールに吊り下げられる、または別の好適な搭載を有し得る。ある場合には、制御ユニットは、IV生理食塩水が、同一ポール上のより高い所から吊り下げられ、制御ユニット40上のポンプに供給し得るように、IVポールによって支持される。
【0047】
上から下へと見て行くと、最上部要素は、通知画面41であって、テキストおよび文字メッセージを表示することができる。例えば、画面41は、「生理食塩水ポンプオフ」等の種々の構成要素の状態を表示し得る。別の実施例として、特定のハンドルが、差し込まれると、コントローラユニット40は、それを認識し、その名称および関連情報を通知画面41上に表示し得る。別の実施例として、通知画面41はまた、施術者のために、エラーおよびトラブルシューティング情報を表示し得る。
【0048】
運転速度42は、1,000RPM(毎分回転数)またはkRPM単位における、駆動シャフトの近位端の実際の回転速度である。運転速度42は、典型的には、毎分数回更新され、ある場合には、施術者に容易に可視である、比較的に大きなLEDに表示され得る。最大200kRPMの回転速度が、典型的である。
【0049】
回転速度は、電気モータ自体から取得され得る。例えば、モータは、モータが、特定の点を越えて、回転する度に、電気信号を発生する、1つ以上のホール効果センサを含み得る。回転速度は、信号の速度に比例する、または同等に、電気信号間の時間間隔に反比例する。代替として、任意の好適なセンサおよび信号が使用され得る。
【0050】
実際の運転速度42の下は、選択された速度43であって、また、kRPMにおいて表示される。動作中、制御ユニット40および/またはハンドル10内の制御回路(フィードバックループ)は、モータ電流および/または電圧を調節し、実際の運転速度42を可能な限り選択された速度43に近づくように維持する。
【0051】
事象時間44は、デバイスの特定の運転の間の経過時間である。事象時間44は、典型的には、分:秒において表示されるが、任意の好適なユニットが使用され得る。
【0052】
事象時間44の下は、合計時間45であって、特定のデバイスが動作されている、累積合計時間45である。そのような測定の動機は、以下に説明され得る。
【0053】
アテローム切除術用デバイスの場合、9分等の特定の時間の間のみ計測されるのが典型的であって、それを超えての使用は、推奨されない。言い換えると、デバイスは、手技全体の過程の間、反復的に、オフおよびオンにされ得る。そのようなオフおよびオンの切替は、デバイスが、実際に、オンである、合計累積時間が、9分等の特定の値を超えない限り、許容可能である。典型的には、ハンドル10は、累積オン時間を記憶する、電子機器を含むが、そのようなデータは、代替として、制御ユニット40内に記憶され得る。
【0054】
合計動作時間45が、閾値に到達する場合、制御ユニットは、電源を切るか、または施術者に、オン時間制限が到達されたことを忠告する、警告を発し得る。ある場合には、制限は、施術者によって、無効にすることができる。他の場合には、制限に到達すると、デバイスをもはや使用できないように、モータを無効にする。
【0055】
4つの速度および時間表示の右側には、生理食塩水を外部IVバッグ60から受け取り、ハンドル10内へと、流体供給ライン17(
図1参照)を通して、方向づける、ポンプ46がある。ハンドル10の内側に入ると、生理食塩水は、カテーテル13内へと方向づけられ、駆動シャフトを潤滑し、研磨ヘッドを冷却し、何らかの残骸を洗浄するのを支援する。
【0056】
一般に、流体供給ライン17からの生理食塩水は、ハンドル内側の相当量を漏出する傾向があることに留意されたい。本漏出は、制御しにくいが、モータおよびハンドルの内部機構を潤滑ならびに冷却するために有用であって、望ましい。漏出自体は、シールを形成する、ハンドル内側の同心かつ重複するチューブ間の若干の間隙から発生する。これらのチューブが、ぴったりと嵌わされ過ぎる場合、漏出は、減少し得るが、チューブと急回転する駆動シャフトとの間の摩擦は、非常に大きくなり得る。図および本明細書に説明される、電気モータデバイスに関して実証されるチューブは、旧世代デバイスのごく一部のみ漏出し得るが、依然として、有限量を漏出し、望ましくは、そうであるべきである。
【0057】
生理食塩水は、IVバッグ60から、チューブ61を通して、ポンプ47へと進行し、
中間チューブ62を通して、ポンプから出て、空隙検出器48を通過し、流体供給ライン17(
図1参照)として空隙検出器48から出る。
【0058】
空隙検出器48は、中間チューブ62を通して、光を照らす、発光ダイオード等の光放射体と、放射体からの光を受光する、放射体から直径方向に正反対の光検出器とを含む。正常動作中、生理食塩水が、継続的に、少しも泡を伴うことなく、中間チューブを通して流動すると、光検出器に到達する光は、略一定のままである、特定の強度を有する。泡の縁が、中間チューブ62内を通過する場合、光検出器に到達する光は、妨害され、光検出器出力は、値を変化させる。この値の変化は、生理食塩水ライン内にガス(「空隙」)が存在することを示し、コントローラ40によって、空隙が、患者へと進入するのを防止するために、ポンプ47をオフにするために使用される。
【0059】
「ポンプ電源」51のためのボタンは、オンからオフまたはオフからオンに、ポンプの電源をトグルする。ボタン上またはその近傍のLEDまたは他のインジケータは、ポンプがオンであるかどうかを示し得る。
【0060】
「呼水」52のためのボタンは、ポンプが、既にオンではない場合、ポンプをオンにし、ボタンが押下されている間、ポンプ流を高流量に設定する。「呼水」機能は、ポンプシステムを洗浄し、どんな空気もシステムから排出する。ポンプ呼水は、典型的には、必要に応じて、断続的に使用される。
【0061】
「速度選択」のための3つのボタンは、「低」、「中」、および「高」と標識され、選択された速度に対応する、それぞれ上にインジケータ灯を伴う。一般に、制御ユニット40に差し込まれる、ハンドル10の特定のモデルに対して、製造業者によって決定される、事前設定速度が存在する。これらの速度は、施術者が、手動で入力する必要がないように、自動的に、制御ユニット40によって、認識される。そのような認識は、例えば、ハンドル10上の事前設定速度の記憶、制御ユニット40上のルックアップテーブル内への事前設定速度の記憶、および/またはインターネット等を介した、中央データベースをとした事前設定速度の必要に応じた検索によって、行われ得る。
【0062】
施術者が、デフォルト低/中/高事前設定値によってもたらされるものより速度のより微妙な制御を所望する場合、増加ボタン54が、10kRPM等の所定の増加だけ、選択された速度を上方または下方に調節し得るが、任意の好適な増加がまた、使用され得る。
【0063】
「IVバッグリセット」ボタン55は、新しいIVバッグが、ポンプに接続されると、使用される。ある場合には、ユーザは、IVバッグのサイズを入力するよう指示される。他の場合には、標準的IVバッグサイズが、使用される。コントローラ40は、経時的に、ポンプ速度を監視し、時間に対するポンプ速度の積分を効果的に行い、生理食塩水が、どれだけバッグから送出されたかを計算し、同様に、生理食塩水が、どれだけバッグ内に残っているかを計算することができる。バッグ内に残っている生理食塩水の量が、所定の閾値を下回る時、コントローラ40は、音を発すること、光を点滅させること、または任意の他の好適な通知によって、ユーザに通知を送信し得る。
【0064】
ポンプ47のポンプ速度(または、流量)のための手動制御がないことに留意されたい。一般に、ポンプ速度は、工場で決定され、ハンドル10の各モデルのための各回転速度(低/中/高)に対して標準化される。本所定のポンプ速度は、ハンドル10内に内蔵された電子機器上のルックアップテーブル内に記憶され得、制御ユニット40内に内蔵された電子機器上のルックアップテーブル内に記憶され得、制御ユニット40内の電子機器によって、オンザフライで計算され、インターネット等を介して、中央データベースからリアルタイムで検索され、または前述の任意の組み合わせで行われ得る。
【0065】
「ブレーキ無効化」ボタン56は、典型的には、何かが詰まった時のみ、使用される。正常使用の間、ガイドワイヤは、ハンドルから、駆動シャフトの中心を通して、研磨要素を通過し、妨害物を越えて、延在したままである。次いで、駆動シャフトは、ガイドワイヤの上で回転する。使用中、ガイドワイヤは、回転静止のままであって、回転ロックし、その回転を阻止する、ハンドル10内の「ブレーキ」を有する。時として、カテーテル自体内に、駆動シャフトの遠位端に、または駆動シャフトの遠位端を越えて、何かが詰まる場合があり得る。何かが詰まると、ユーザは、「ブレーキ無効化」ボタン56を押下し、ガイドワイヤを超低回転速度で回転させ得る。ある場合には、ガイドワイヤは、駆動シャフトと同一低回転速度で回転する。他の場合には、ガイドワイヤ回転は、駆動シャフトの回転速度から独立する。典型的には、ガイドワイヤは、ブレーキ無効化ボタン56が押下される限り、回転する。
【0066】
図5は、典型的ハンドル10の平面図である。制御ユニット40からの電気接続50は、
図5の右側でハンドル10に入る。カテーテルおよび駆動シャフトは、
図5の左側でハンドル10から出る。コントローラと同様に、制御のレイアウトは、単なる例示であって、他の好適なレイアウトが使用され得る。
【0067】
制御ノブ11は、静止のままである、ガイドワイヤおよびカテーテルの両方に対して、駆動シャフトを縦方向に平行移動させる。ノブ11は、約15cmの移動範囲を伴って、チャネルに沿って摺動する。制御ノブ11は、施術者が、急スピンする研磨ヘッドを位置付けおよび再位置付けし、血管内の妨害物を完全に除去する、手技の間、広範囲にわたって使用される。
【0068】
制御ノブ11はまた、ハンドル内の電気モータをオンおよびオフにし得る、随意のオン/オフトグルボタンを含み得る。
【0069】
ハンドル10は、コントローラ上の対応するボタン53の機能性を繰り返すことができる、速度選択ボタン12の複製セットを含み得る。ハンドル10自体に速度選択ボタン12を有することは、施術者にとって、非常に便利である。
【0070】
レバー14は、ガイドワイヤのためのブレーキであって、係合されると、駆動シャフトが回転する場合に、ガイドワイヤの回転を防止する。ある場合には、ガイドワイヤブレーキ14は、レバーが水平になると、
図5におけるように、ロックされ、施術者によって、上方に引張されると、ロック解除される。
【0071】
図6は、
図5のハンドル10の上面図である。制御ノブ11、速度選択ボタン12、およびガイドワイヤブレーキ14を示すことに加え、
図6は、典型的には、14フィートの長さのケーブルである、電気接続50を示すが、他の好適な長さが使用されてもよく、典型的には、歪緩和を伴って、ハンドル10の本体に接続される、カテーテル13も示す。駆動シャフト20の遠位端は、
図6において可視であるが、
図7により詳細に示される。
【0072】
図7は、カテーテル13の遠位端を越えて延在する、駆動シャフト20の遠位端の上面図である。駆動シャフト20は、典型的には、ワイヤの螺旋巻線コイルであるが、トルクを電気モータから研磨要素28に送達するための任意の好適な機構が、駆動シャフトとして使用され得る。例えば、代替駆動シャフトは、プラスチックまたは金属の中実あるいはスロット付きチューブであり得る。
【0073】
図7に示される研磨要素28は、拡大部分の外部にコーティングされた研磨材を伴う、駆動シャフト20の拡大部分である。代替として、駆動シャフトの回転から側方に変位さ
れた質量中心(いわゆる「偏心」)を有し、かつ研磨外部を有する、要素(いわゆる「クラウン」)を含む、任意の好適な研磨要素が使用され得る。偏心中実クラウンは、典型的には、駆動シャフトに取り付けられるが、代替として、駆動シャフトと一体型であり得る。偏心中実クラウンは、典型的には、駆動シャフトの遠位端ではなく、その近傍に取り付けられるが、代替として、駆動シャフトの遠位端に取り付けられ得る。
【0074】
図8は、明確にするために開放された、ハンドルの10上面図である。
図9は、
図8のハンドル10の内側のキャリッジの拡大図である。実際は、ハンドルは、手技前、間、および後、閉鎖されたままである。
図5および6と同様に、カテーテル13および駆動シャフト20は、
図8の図におけるハンドル10の左縁から出る。
【0075】
電気モータ自体は、キャリッジ60内に常駐する。キャリッジ60の外部は、モータのための放熱板として機能する。モータは、電気接続50に接続され、順に、制御ユニット40に接続する、一連の電気接続61によって、給電される。
【0076】
モータは、15cmの移動範囲を伴って、縦方向に移動することができ、したがって、ハンドル内のそれぞれのトラックに係合する、ホイール62上に搭載される。代替として、他の平行移動機構が使用され得る。ハンドルは、典型的には、単一手技のための使用され、次いで、廃棄され、したがって、ホイールおよびトラックは、頑丈であるべきであるが、概して、特に、長寿命のために設計される必要はない。
【0077】
キャリッジは、その上部に、制御ノブ11のオン/オフボタンに対応する、随意のオン/オフトグルスイッチ63を有する。使用中、制御ノブ11は、トグルスイッチ63の直上にあって、施術者は、ノブ11を押下し、モータをオンおよびオフにし得る。
【0078】
モータと駆動シャフトとの間の回転を漸増または漸減する、1つ以上のギア64が存在し得る。例えば、モータ自体は、最大回転速度50kRPMのみ有してもよく、一連の異なるサイズのギアが、駆動シャフトに対して、4倍の200kRPMまで回転を漸増させ得る。
【0079】
ギア付きシステムを有する利点は、ガイドワイヤが、モータの中心を通ってではなく、ギアの中心を通って、配線され得ることである。これは、機械システムを簡略化する。
【0080】
要素65は、トグルスイッチ63によく似た別のオン/オフスイッチである。しかしながら、差異の1つは、スイッチ65が、ガイドワイヤブレーキレベル14にリンクされることである。ブレーキが解除されると、レベルは、上方位置にあって、スイッチ65は、任意の他のオン/オフスイッチの状態に関わらず、モータを遮断する。ブレーキが係合されると、スイッチ65は、任意の他のスイッチに、モータをオンおよびオフにさせる。また、
図8におけるハンドルの最右縁またはその近傍に位置する、スイッチ65のための付随の回路が存在する。
【0081】
要素66、67、および68は、急スピンする駆動シャフトが含まれ、かつ安定に維持し、機能的シールが、流体を適度に含まれたまま維持するように保証する、機械的側面を伴う。要素66および67は、適度な流体シールを提供するのに十分に緊密であって、かつ過度の摩擦によりトルクのシステムを損なわないように、十分に弛緩している、同心ハイポチューブ等の入れ子式機構である。
【0082】
前述のように、ハンドル10の内部は、完全に乾燥したシステムではない。水蒸気および少量の漏出した液体(生理食塩水)が、モータならびにハンドルおよびカテーテル内の他の可動部品を冷却する役割を果たす。システムの正面足部(
図8の最左足部)は、流体
が、その中に集まることができるように、中空かつ開放であり得る。システムの後面足部(
図8の最右足部)は、使用中、濡れないように、種々の発泡体と糊との間に密閉され得る、ハンドルのCPUを含み得る。
【0083】
駆動シャフトを最大200kRPMまでスピンさせる、モータおよびギアは、ハンドルの内側に相当な振動をもたらし得る。一般に、これらの振動は、望ましくなく、概して、可能な限り、これらの振動を減衰させることが好ましい。ハンドルの近位縁からキャリッジ、かつキャリッジからハンドルの遠位縁に延在する、入れ子式部分は、その自己共振周波数を有する。その部分の共振周波数は、移動範囲内において、キャリッジが、実際にある場所に応じて、変動し得る。その結果、使用中、共振周波数を完全に回避することは、概して、困難または不可能である。広範囲の共振周波数に対する振動を減衰させる方法の1つは、キャリッジと入れ子との間の連結内に、1つ以上の歪緩和68を使用することである。
【0084】
電気モータおよびコントローラの機械的構造が説明されたが、周知のガスタービンを電気モータと置換することの不測の障害、次に、不測の利点を考察する。
【0085】
周知のガスタービンは、概して、空気圧を使用して、最大200kRPMまで加速され得る、小型のプラスチック部品であった。タービン自体は、概して、小型であって、取り扱いが容易、かつ望ましい機械的特色を有していたが、タービンに供給する空気圧制御システムは、高価、扱いにくい、かつ機械的に非常に複雑であった。古いガスタービンを電気モータに交換することは、いくつかの設計および制御課題を呈する。
【0086】
第1に、電気モータの回転慣性は、小型のプラスチックガスタービンのものより最大10倍以上大きくなり得る。これは、モータを制御する、制御システムによって、深刻な課題を呈する。すなわち、タービンからの古い制御システムを単に使用しても、機能しないであろう。
【0087】
ガスタービンのための典型的制御システムは、以下の通りである。タービンにおける光ファイバが、実際の回転速度を制御システムに提供し、回転速度を所望の速度と一致するように、周期的に、ガスの圧力を調節する。制御システムは、64psi等、特定の閾値まで圧力を調節することができる。4秒等、特定の時間の長さ後、タービンが、その所望の回転速度でスピンしていない場合、制御システムは、研磨要素の回転を何かが妨害していると仮定し、したがって、圧力をゼロに設定し、タービンが停止する。同様に、光ファイバが、タービンが停止されたことを検出する場合、制御システムは、駆動シャフトの遠位端が、何かに引っ掛かっていると仮定し、したがって、圧力はまた、ゼロに設定される。
【0088】
そのような遮断が生じると、駆動シャフトの遠位端における研磨要素によって受けられるトルクを検査することは、有益である。特に、駆動シャフトの遠位端が、何かに引っ掛かり、突然停止する場合を想定すると、有益である。
【0089】
初めに、引っ掛かった直後、研磨要素には、トルクは存在しない。タービンおよび駆動シャフト全体が、回転している一方、先端の遠位端は、詰まったままであるので、ゼロ値から、トルクは、急上昇する。
【0090】
最終的に、トルクは、駆動シャフトが、瞬間的に、静止すると生じる、ピークに達する。本ピークでは、以前にスピンしていた駆動シャフト内に存在したすべての角運動量は、駆動シャフトをその最も圧縮された状態に角度圧縮することによって、トルクに変換される。
【0091】
本ピークを超えると、トルクは、角度圧縮の一部が、タービン上に押し返えされるのにつれて、降下し始める。この段階中、駆動シャフトの遠位端は、静止のままであって(詰まっているため)、タービンにおけるその近位端まで延在する駆動シャフトの残りは、前述の第1の段階と反対方向に回転する。
【0092】
最終的に、角度圧縮は、消失され、トルクは、停滞状態となる。本停滞状態では、駆動シャフトは、全体を通して、静止であるが、タービンの角度力(トルク)によって、安定状態に角度圧縮される。停滞状態トルク値は、ゼロより大きいが、前述の第1のピークより小さい前述の制御機構を使用して、トルクは、約4秒間(典型的には、ミリ秒範囲内である、上昇および下降時間を引く)、本停滞状態値のままであって、次いで、タービンへのガス圧は、遮断される。
【0093】
これはすべて、
図10のプロットに示される。大きなピークの下の斜線ハッチ面積は、モータの角運動量に、駆動シャフトおよび任意の介在構成要素の角運動量を足したものである。周知のガスタービンの場合、本値は、小さく許容可能であり、少しも問題を生じさせない。しかしながら、電気モータの場合、モータ自体が、システム内の任意の他の構成要素より遥かに多い角運動量を有し、本値は、10倍以上と、遥かに大きくなり得る。同じ制御システムが、電気モータと併用される場合、大きなピークは、モータの角運動量に対応する場合、約10倍以上と、遥かに大きくなるであろう。本トルクの大幅増加は、器具に損傷を及ぼし、さらに悪いことには、患者内の血管に損傷を及ぼす可能性があるであろう。これは許容できない。
【0094】
大きな角運動量の問題に対処する方法の1つは、妨害物が検出されると、モータが処理される方法を変更することである。周知のガスタービンの場合、4秒待機し、次いで、タービンに供給するガス圧を遮断することが、適切であった。しかしながら、電気モータの場合、その4秒以内に、多大な損傷となり得る。
【0095】
電気モータの角運動量を迅速に消失させるためのアプローチの1つが、
図11に図式的に示される。
【0096】
初めに、デバイスは、正常に、機能している。モータは、駆動シャフトの近位端にトルクを印加し、駆動シャフトは、モータとともにスピンし、駆動シャフトの遠位端は、スピンしている。
【0097】
次いで、デバイスは、駆動シャフトの遠位端を把持し、その回転を停止させる、障害物に遭遇する。
図11では、これは、「遠位端急停止」と標識された点である。
【0098】
駆動シャフトの遠位端は、停止されるが、モータは、駆動シャフトの近位端を回転させ続ける。駆動シャフトは、巻き上げ(回転圧縮)を開始し、そのような巻き上げを行うために必要とされるトルクが、徐々に、モータを減速させる。
【0099】
モータ回転が、所望の回転速度および/または所望の回転からの降下の割合を下回る、固定値であり得る、特定の閾値を下回ると、制御ユニットは、障害物が検出されたと決定する。制御ユニットは、モータを解除し、フライホイールとして、自由にスピンさせることによって、応答する。
図11では、これは、「妨害物検出、モータは、自由スピンに設定される(モータからトルクなし)」と標識される点において生じる。
【0100】
駆動シャフトは、自由スピンモータの角運動量の影響下、巻き上げ(回転圧縮)を継続する。ある時点において、角運動量からのすべての回転運動エネルギーが、回転ポテンシ
ャルエネルギーに変換され、駆動シャフトは、その最も緊密に巻き上げられた点に到達する。
【0101】
次いで、駆動シャフトは、巻き戻り、本質的に、その回転ポテンシャルエネルギーすべてを回転運動エネルギーに変換し、自由スピンモータを反対方向にスピンさせる。
図11では、これは、「駆動シャフト巻き戻り」と標識された領域内で生じる。
【0102】
本部分内にある程度の振動が存在する可能性があり、曲線は、経時的振幅低下に伴って、ゼロを中心として振動する(減衰振動)ことに留意されたい。最終的に、曲線は、ゼロにおいて、安定状態に定着し、駆動シャフトは、本質的に、巻き戻り、静止し、モータは、本質的に、静止し、駆動シャフトの遠位端の端部に印加されるトルクは存在しない。これは、弛緩された安定状態条件であって、運動およびポテンシャルエネルギーのすべてが、摩擦および他の損失を通して、消失されている。
【0103】
図11の水平時間軸は、必ずしも、
図10のものと同一ではないことに留意されたい。実際は、
図11の定着時間は、約数ミリ秒である。
【0104】
図11には、2つの着目量が存在する。
【0105】
1つ目は、実線曲線のピーク値が、駆動シャフトの遠位端に印加される、最大トルクであることである。本最大トルクが、特定の値を超える場合、器具への損傷、さらに悪いことには、患者の血管への損傷が生じ得る。実際は、
図10に図式的に示される、ガスタービンのピーク値は、少しの損傷も生じさせないように、十分に低いことが分かった。
図11に示される、電気モータの場合、制御アルゴリズムが、トルク値が、タービンに対して、少しの問題も生じさせない場合、電気モータも少しの問題も生じさせるはずはないという論理によって、ピークトルク値をガスタービンの場合の
図10に示されるもの以下に維持しようとする。
【0106】
2つ目は、斜線ハッチ領域は、電気モータ、駆動シャフト、および付随の連結要素の角運動量を表す。実際は、電気モータは、完全に、他の寄与より勝っている。本「曲線下面積」は、本質的に、特定のモータおよび回転速度に対する固定量であって、水平軸に沿って、その面積を「平滑化」する一方、ピークトルクが、特定の値を超えないように保証することが、制御アルゴリズムの仕事である。電気モータの課題は、斜線ハッチ面積が、10倍以上、ガスタービンの場合より有意に大きくなることである。
【0107】
角運動量の増加に対処する困難が解決されると、ガス供給タービンではなく、電気モータを有する多くの利点がある。
【0108】
例えば、利点の1つは、ハンドルの特定のモデルに対する低/中/高事前設定回転速度、電気モータの最大および/または最小回転速度(すなわち、それを超えると、デバイスが、損傷を生じる、または非効果的となる、閾値)、電気モータに供給される最大および/または最小電流(さらなる閾値)、電気モータによって送達される最大および/または最小トルク(なおもならなる閾値)、性能仕様(特定のハンドルに対する累積最大動作時間等)、ならびにIVバッグ量(バッグサイズ、回転速度の関数としての好ましいポンプ速度、バッグ内に残っている流体の量)等、種々の量が、制御ユニット40および/またはハンドル10の電子メモリ内に記憶され得ることである。
【0109】
周知のガスタービンと比較して、回転速度の関数としての好ましいポンプ速度等、現時点で利用可能な多くの付加的量が存在する。その結果、電気モータは、モータの回転速度が変更されると、自動的に、ポンプ速度を好ましいレベルに調節する等、多くの新しい付
加的機能性を提供する。新しい機能性の別の実施例は、ガスタービン駆動システムでは、完全に利用可能ではないであろう、前述の「ブレーキ無効化」特徴である。本付加的機能性は、周知のガスタービンではなく、電気モータを単に使用することによる、予想外の結果である。
【0110】
別の利点は、電気モータに対する制御ユニット40が、ガスタービンに供給されるガス圧を制御する、ユニットより、単純、かつ扱いにくくなく、安価であることである。加えて、電気モータを伴うデバイスは、高圧空気ラインを近くに伴うことなく、使用することができる。
【0111】
回転速度、モータに供給される電流、およびモータに印加される電圧はすべて、手技の過程にわたって、変動し得、すべて、手技中の特定の主要管理点を検出するために使用され得る。例えば、手技の初期部分では、妨害物の硬い部分は、剥離される場合に、大きな抵抗をもたらすため、モータは、研磨を開始するために、比較的に多量の電流を必要とする。本初期部分は、比較的に低回転速度と整合される、比較的に多量の電流を有する。手技が進行し、妨害物の一部が、剥離または研削されるのに伴って、モータは、研磨に対して、あまり電流を必要としない。本段階では、電流は、降下し、モータ回転速度は、本質的に、同一のままであるか、または増加する。アテローム切除術用ヘッドの先端が、妨害物に詰まると、回転速度は、急降下し、電流は、急上昇する。一般に、回転速度、モータ電流、およびモータ電圧のうちの少なくとも1つにおける変化は、手技中の特定の主要管理点を検出するために使用され得る。
【0112】
本明細書に記載される本発明およびその用途の説明は、例証的であり、本発明の範囲を限定することを目的としない。本明細書で開示される実施形態の変化例および修正が可能であり、実施形態の種々の要素の実用的代替案および同等物が、本特許文献を検討すると、当業者に理解されるであろう。本明細書で開示される実施形態のこれらおよび他の変化例および修正は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく行われ得る。