【文献】
OPTICAL PROPERTIES OF CH3NH3PBX3 (X = HALOGEN) AND THEIR MIXED-HALIDE CRYSTALS,JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE,2002年,Vol.37,P.3585-3587
【文献】
Organometal Halide Perovskites as Visible-Light Sensitizers for Photovoltaic Cells,JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2009年,vol. 131,p.6050-6051
【文献】
Novel Photoelectrochemical Cell with Mesoscopic Electrodes Sensitized by Lead-halide Compounds (11),214th ECS Meeting Abstract #27,2008年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
増感剤材料として混合アニオンペロブスカイトを含む光起電力デバイスであって、前記混合アニオンペロブスカイトが、ハロゲン化物アニオンから選択される2種以上の異なるアニオンを含む、前記光起電力デバイス。
n−型半導体の前記多孔質層が、チタン、スズ、亜鉛、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ガリウム、ネオジム、パラジウム、又はカドミウムの酸化物を含む、請求項29、30、及び37のいずれか一項に記載の光起電力デバイス。
混合アニオンペロブスカイトが、ハロゲン化物アニオンから選択される2種以上の異なるアニオンを含む、光起電力デバイスでの増感剤としての混合アニオンペロブスカイトの使用。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、混合アニオンペロブスカイトを含む光電子デバイスであって、この混合アニオンペロブスカイトがハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオンから選択される2種以上の異なるアニオンを含む、光電子デバイスを提供する。
【0021】
光電子デバイスは、光エネルギーを電気エネルギーに変換し又は電気エネルギーを光エネルギーに変換することが可能なデバイスである。
【0022】
本明細書で使用される「ペロブスカイト」という用語は、CaTiO
3の構造に関連した3次元結晶構造を有する材料、又はCaTiO
3の構造に関連した構造を有する材料層を含む材料を指す。CaTiO
3の構造は、式ABX
3によって表すことができ、式中A及びBは、異なるサイズのカチオンであり、Xはアニオンである。単位格子では、Aカチオンが(0,0,0)にあり、Bカチオンが(1/2,1/2,1/2)にあり、Xアニオンが(1/2,1/2,0)にある。Aカチオンは、通常Bカチオンよりも大きい。当業者なら、A、B、及びXが変化すると、イオンサイズが異なることによって、ペロブスカイト材料の構造が、CaTiO
3により採用される構造から離れてより低い対称性の歪み構造へと歪むことが理解されよう。対称性は、材料が、CaTiO
3の構造に関連した構造を有する層を含む場合にも低くなる。ペロブスカイト材料の層を含む材料が周知である。例えば、K
2NiF
4型構造を採用する材料の構造は、ペロブスカイト材料の層を含む。当業者なら、ペロブスカイト材料は式[A][B][X]
3により表すことができ、式中Aは少なくとも1つのカチオンであり、Bは少なくとも1つのカチオンであり、Xは少なくとも1つのアニオンであることも理解されよう。ペロブスカイトが複数のAカチオンを含む場合、種々のAカチオンは、順序に従った又は無秩序な方法でA部位上に分布されてもよい。ペロブスカイトが複数のBカチオンを含む場合、種々のBカチオンは、順序に従った又は無秩序な方法でB部位上に分布されてもよい。ペロブスカイトが複数のXアニオンを含む場合、種々のXアニオンは、順序に従った又は無秩序な方法でX部位上に分布されてもよい。複数のAカチオン、複数のBカチオン、又は複数のXカチオンを含むペロブスカイトの対称性は、CaTiO
3の対称性よりも低くなる。
【0023】
本明細書で使用される「混合アニオン」という用語は、少なくとも2種の異なるアニオンを含む化合物を指す。
【0024】
「ハロゲン化物」という用語は、7族元素、即ちハロゲンのアニオンを指す。典型的には、ハロゲン化物は、フッ化物アニオン、塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、又はアスタタイドアニオンを指す。
【0025】
本明細書で使用される「カルコゲナイドアニオン」という用語は、6族元素、即ちカルコゲンのアニオンを指す。典型的にはカルゴゲナイドは、酸化物アニオン、硫化物アニオン、セレン化物アニオン、又はテルル化物アニオンを指す。
【0026】
本発明の光電子デバイスにおいて、混合アニオンペロブスカイトは、第1のカチオン、第2のカチオン、及び前記2種以上の異なるアニオンを含んでいてもよい。
【0027】
当業者なら、混合アニオンペロブスカイトは、他のカチオン又は他のアニオンを含んでいてもよいことが理解されよう。例えば、混合アニオンペロブスカイトは、2、3、若しくは4種の異なるカチオン、又は2、3、若しくは4種の異なるアニオンを含んでいてもよい。
【0028】
一実施形態では、ペロブスカイトは、ハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオンから選択される2種の異なるアニオンを含む。2種の異なるアニオンは、ハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオン、2種の異なるハロゲン化物アニオン、又は2種の異なるカルコゲナイドアニオンであってもよい。
【0029】
典型的には、本発明の光電子デバイスにおいて、混合アニオンペロブスカイト中の第2のカチオンが金属カチオンである。より典型的には、第2のカチオンが2価の金属カチオンである。例えば第2のカチオンは、Ca
2+、Sr
2+、Cd
2+、Cu
2+、Ni
2+、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Pd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Sn
2+、Yb
2+、及びEu
2+から選択されてもよい。通常、第2のカチオンは、Sn
2+及びPb
2+から選択される。
【0030】
本発明の光電子デバイスにおいて、混合アニオンペロブスカイト中の第1のカチオンは、通常、有機カチオンである。
【0031】
「有機カチオン」という用語は、炭素を含むカチオンを指す。カチオンは、他の元素を含んでいてもよく、例えばカチオンは、水素、窒素、又は酸素を含んでいてもよい。
【0032】
ペロブスカイト内の有機カチオン(又は複数の有機カチオン)への変更は、通常、ペロブスカイトの構造及び/又は物理的性質に影響を及ぼすことになる。使用される有機カチオンを制御することにより、材料の電子的性質及び光学的性質を制御してもよい。ペロブスカイトにより示される性質の、この柔軟な制御は、前記ペロブスカイトを含む光電子デバイスの性質を調整するのに特に有用である。例えば、有機カチオンを変更することにより、材料の伝導率を増大させ又は低下させてもよい。さらに有機カチオンの変更は、材料のバンド構造を変えることができ、したがって例えば、半導体材料のバンドギャップの制御が可能になる。
【0033】
通常、本発明の光電子デバイスにおいて、有機カチオンは式(R
1R
2R
3R
4N)
+を有し、式中、R
1は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
2は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
3は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
4は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールである。
【0034】
本明細書で使用されるアルキル基は、置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖飽和ラジカルとすることができ、これはしばしば置換又は非置換直鎖飽和ラジカルであり、より頻繁には非置換直鎖飽和ラジカルである。C
1〜C
20アルキル基は、1から20個の炭素原子を有する、非置換又は置換の直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素ラジカルである。典型的にはC
1〜C
10アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、若しくはデシルであり、又はC
1〜C
6アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、若しくはヘキシルであり、又はC
1〜C
4アルキル、例えばメチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル、t−ブチル、s−ブチル、若しくはn−ブチルである。
【0035】
アルキル基が置換されている場合、典型的には、置換又は非置換C
1〜C
20アルキル、置換又は非置換アリール(本明細書で定義される通り)、シアノ、アミノ、C
1〜C
10アルキルアミノ、ジ(C
1〜C
10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C
1〜C
20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、スルフヒドリル(即ち、チオール、−SH)、C
1〜C
10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、及びホスホン酸エステルから選択される1個又は複数の置換基を持つ。置換アルキル基の例には、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、及びアルカリール基が含まれる。本明細書で使用されるアルカリールという用語は、少なくとも1個の水素原子がアリール基に置き換えられているC
1〜C
20アルキル基に関する。そのような基の例には、ベンジル(フェニルメチル、PhCH
2−)、ベンズヒドリル(Ph
2CH−)、トリチル(トリフェニルメチル、Ph
3C−)、フェネチル(フェニルエチル、Ph−CH
2CH
2−)、スチリル(Ph−CH=CH−)、シンナミル(Ph−CH=CH−CH
2−)が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0036】
典型的には、置換アルキル基は、1、2、又は3個の置換基、例えば1又は2個の置換基を保持する。
【0037】
アリール基は、環部分に典型的には6から14個の炭素原子、好ましくは6から10個の炭素原子を含有する、置換又は非置換の単環式又は2環式芳香族基である。その例には、フェニル、ナフチル、インデニル、及びインダニル基が含まれる。アリール基は、置換されていないか、或いは置換されている。上記にて定義されたアリール基が置換されている場合、典型的には、(アラルキル基を形成するため)置換されていないC
1〜C
6アルキル、置換されていないアリール、シアノ、アミノ、C
1〜C
10アルキルアミノ、ジ(C
1〜C
10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C
1〜C
20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルフヒドリル(即ち、チオール、−SH)、C
1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホン酸、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、及びホスホン酸エステル、及びスルホニルから選択される1個又は複数の置換基を持つ。典型的には、この基は、0、1、2、又は3個の置換基を保持する。置換アリール基は、単一のC
1〜C
6アルキル基で、又は式−X−(C
1〜C
6)アルキレン若しくは−X−(C
1〜C
6)アルキレン−X−であってXがO、S、及びNRから選択され且つRがH、アリール、若しくはC
1〜C
6アルキルである式によって表される2座基で、2つの位置が置換されてもよい。したがって置換アリール基は、シクロアルキル基又はヘテロシクリル基と縮合したアリール基であってもよい。アリール基の環原子は、(ヘテロアリール基における通り)1個又は複数のヘテロ原子を含んでいてもよい。そのようなアリール基(ヘテロアリール基)は、典型的には、1個又は複数のヘテロ原子を含む環部分に6から10個の原子を含有する、置換又は非置換の単環式又は2環式複素芳香族基である。これは一般に、O、S、N、P、Se、及びSiから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5又は6員環であり、例えば1、2、又は3個のヘテロ原子を含有していてもよい。ヘテロアリール基の例には、チオフェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チエニル、ピラゾリジニル、ピロリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、キノリル、及びイソキノリルが含まれる。ヘテロアリール基は、置換されていなくても置換されていてもよく、例えばアリールに関して上記にて指定されたものである。典型的には、この基は0、1、2、又は3個の置換基を保持する。
【0038】
主として、本発明の光電子デバイスでは、有機カチオンのR
1が水素、メチル、又はエチルであり、R
2が水素、メチル、又はエチルであり、R
3が水素、メチル、又はエチルであり、R
4が水素、メチル、又はエチルである。例えばR
1は、水素であってもメチルであってもよく、R
2は水素であってもメチルであってもよく、R
3は水素であってもメチルであってもよく、R
4は水素であってもメチルであってもよい。
【0039】
或いは有機カチオンは、式(R
5NH
3)
+[式中、R
5は水素、又は非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキルである]を有していてもよい。例えば、R
5はメチルであってもエチルであってもよい。典型的には、R
5はメチルである。
【0040】
いくつかの実施形態では、有機カチオンは、式(R
5R
6N=CH−NR
7R
8)
+を有し、式中、
R
5は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
6は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
7は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
8は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールである。
【0041】
典型的には、有機カチオン中のR
5は、水素、メチル、又はエチルであり、R
6は、水素、メチル、又はエチルであり、R
7は、水素、メチル、又はエチルであり、R
8は、水素、メチル、又はエチルである。例えばR
5は、水素であってもメチルであってもよく、R
6は、水素であってもメチルであってもよく、R
7は、水素であってもメチルであってもよく、R
8は水素であってもメチルであってもよい。
【0042】
有機カチオンは、例えば、式(H
2N=CH−NH
2)
+を有していてもよい。
【0043】
本発明の光電子デバイスにおいて、ペロブスカイトは通常、混合ハロゲン化物ペロブスカイトであり、前記2種以上の異なるアニオンは2種以上の異なるハロゲン化物アニオンである。典型的には、これらは2又は3種のハロゲン化物アニオンであり、より典型的には2種の異なるハロゲン化物アニオンである。通常、ハロゲン化物アニオンは、フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物から選択され、例えば塩化物、臭化物、及びヨウ化物である。
【0044】
典型的には、本発明の光電子デバイスでは、ペロブスカイトは、式(I)
[A][B][X]
3 (I)
[式中、
[A]は少なくとも1つの有機カチオンであり、
[B]は少なくとも1つの金属カチオンであり、
[X]は、前記2つ以上の異なるアニオンである]
のペロブスカイト化合物である。
【0045】
例えば、式(I)のペロブスカイトは、1、2、3、又は4種の異なる金属カチオン、典型的には1又は2種の異なる金属カチオンを含んでいてもよい。式(I)のペロブスカイトは、例えば、1、2、3、又は4種の異なる有機カチオン、典型的には1又は2種の異なる有機カチオンを含んでいてもよい。式(I)のペロブスカイトは、例えば、2、3、又は4種の異なるアニオン、典型的には2又は3種の異なるアニオンを含んでいてもよい。
【0046】
しばしば、本発明の光電子デバイスでは、[X]がハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオン、2種の異なるハロゲン化物アニオン又は2種の異なるカルコゲナイドアニオンである。
【0047】
典型的には、本発明の光電子デバイスにおいて、混合アニオンペロブスカイト中の[B]は、少なくとも1つの金属カチオンである。より典型的には、[B]は、少なくとも1つの2価の金属カチオンである。例えば[B]は、Ca
2+、Sr
2+、Cd
2+、Cu
2+、Ni
2+、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Pd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Sn
2+、Yb
2+、及びEu
2+から選択されてもよい少なくとも1つの2価の金属カチオンである。通常、[B]は、Sn
2+及びPb
2+から選択される少なくとも1つの2価の金属カチオンである。
【0048】
通常、本発明の光電子デバイスでは、[A]は、式(R
1R
2R
3R
4N)
+を有する少なくとも1つの有機カチオンであり、
式中、
R
1は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
2は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
3は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
4は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールである。
【0049】
しかし、[A]は、式(R
5R
6N=CH−NR
7R
8)
+を有する少なくとも1つの有機カチオンであってもよく、式中、R
5は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
6は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
7は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
8は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールである。
【0050】
一実施形態では、ペロブスカイトは、式(IA)
AB[X]
3 (IA)
[式中。
Aは有機カチオンであり、
Bは金属カチオンであり、
[X]は、前記2つ以上の異なるアニオンである]
のペロブスカイト化合物である。
【0051】
通常、[X]は、2種以上の異なるハロゲン化物アニオンである。好ましくは、[X]は2又は3種の異なるハロゲン化物アニオンである。より好ましくは、[X]は2種の異なるハロゲン化物アニオンである。別の実施形態では、[X]は3種の異なるハロゲン化物アニオンである。
【0052】
しばしば、本発明の光電子デバイスにおいて[X]はハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオン、2種の異なるハロゲン化物アニオン又は2種の異なるカルコゲナイドアニオンである。
【0053】
典型的には、本発明の光電子デバイスにおいて、Bは2価の金属カチオンである。例えばBは、Ca
2+、Sr
2+、Cd
2+、Cu
2+、Ni
2+、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Pd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Sn
2+、Yb
2+、及びEu
2+から選択されてもよい2価の金属カチオンである。通常Bは、Sn
2+及びPb
2+から選択される2価の金属カチオンである。
【0054】
通常、本発明の光電子デバイスでは、Aは、式(R
1R
2R
3R
4N)
+を有する有機カチオンであり、
式中、
R
1は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
2は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
3は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
4は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールである。
【0055】
しかしAは、式(R
5R
6N=CH−NR
7R
8)
+を有する少なくとも1種の有機カチオンであってもよく、式中、R
5は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
6は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
7は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
8は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールである。
【0056】
典型的には、本発明の光電子デバイスでは、ペロブスカイトは式(II)
ABX
3−yX’
y (II)
[式中、
Aは有機カチオンであり、
Bは金属カチオンであり、
Xは第1のハロゲン化物アニオンであり、
X’は、第1のハロゲン化物アニオンとは異なる第2のハロゲン化物アニオンであり、
yは0.05から2.95である]
のペロブスカイト化合物である。
【0057】
通常、yは0.5から2.5であり、例えば0.75から2.25である。典型的には、yは1から2である。
【0058】
しばしば、本発明の光電子デバイスにおいて、Xはハロゲン化物アニオンであり且つX’はカルコゲナイドアニオンであり、又はX及びX’は2種の異なるハロゲン化物アニオン若しくは2種の異なるカルコゲナイドアニオンである。
【0059】
典型的には、本発明の光電子デバイスにおいて、Bは2価の金属カチオンであってもよい。例えばBは、Ca
2+、Sr
2+、Cd
2+、Cu
2+、Ni
2+、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Pd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Sn
2+、Yb
2+、及びEu
2+から選択されてもよい2価の金属カチオンである。通常Bは、Sn
2+及びPb
2+から選択される2価の金属カチオンである。
【0060】
通常、本発明の光電子デバイスでは、Aは、式(R
1R
2R
3R
4N)
+を有する有機カチオンであり、
式中、
R
1は、 水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
2は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
3は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
4は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールである。
【0061】
本発明の光電子デバイスのいくつかの実施形態において、[B]が、Pb
2+である単一の金属カチオンである場合、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンの1種はヨウ化物又はフッ化物であり;[B]が、Sn
2+である単一の金属カチオンである場合、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンの1種はフッ化物である。通常、本発明の光電子デバイスのいくつかの実施形態では、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンの1種はヨウ化物又はフッ化物である。典型的には、本発明の光電子デバイスのいくつかの実施形態において、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンの1種がヨウ化物であり、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンのもう1種がフッ化物又は塩化物である。しばしば、本発明の光電子デバイスのいくつかの実施形態では、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンの1種がフッ化物である。典型的には、本発明の光電子デバイスのいくつかの実施形態では、(a)前記2種以上の異なるアニオンの1種がフッ化物であり、前記2種以上の異なるアニオンのもう1種が塩化物、臭化物、若しくはヨウ化物であり、又は(b)前記2種以上の異なるアニオンの1種がヨウ化物であり、前記2種以上の異なるアニオンのもう1種がフッ化物若しくは塩化物である。
【0062】
通常、本発明の光電子デバイスにおいて、[X]は2種の異なるハロゲン化物アニオンX及びX’である。
【0063】
しばしば、本発明の光電子デバイスにおいて、前記2価の金属カチオンはSn
2+である。或いは、本発明の光電子デバイスのいくつかの実施形態において、前記2価の金属カチオンはPb
2+であってもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、本発明の光電子デバイスにおいて、ペロブスカイトは式(IIa)
ABX
3zX’
3(1−z) (IIa)
[式中、
Aは、式(R
5R
6N=CH−NR
7R
8)
+の有機カチオンであり、ここで、R
5は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
6は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
7は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
8は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
Bは金属カチオンであり、
Xは、第1のハロゲン化物アニオンであり、
X’は、第1のハロゲン化物アニオンとは異なる第2のハロゲン化物アニオンであり、
zは、0より大きく1未満である]
のペロブスカイト化合物である。
【0065】
通常、zは0.05から0.95である。
【0066】
好ましくは、zは0.1から0.9であり、zは例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、若しくは0.9であってもよく、又はzは、これらの値のいずれか1つからこれらの値のいずれか他の値までに及んでもよい(例えば、0.2から0.7又は0.1から0.8)。
【0067】
典型的には、Xがハロゲン化物アニオンであり且つX’がカルコゲナイドアニオンであり、又はX及びX’が2種の異なるハロゲン化物アニオン若しくは2種の異なるカルコゲナイドアニオンである。通常、X及びX’は2種の異なるハロゲン化物アニオンである。例えば前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンの1種がヨウ化物であってもよく、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンのもう1種が臭化物であってもよい。
【0068】
通常、Bは2価の金属カチオンである。例えばBは、Ca
2+、Sr
2+、Cd
2+、Cu
2+、Ni
2+、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Pd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Sn
2+、Yb
2+、及びEu
2+から選択される2価の金属カチオンであってもよい。通常Bは、Sn
2+及びPb
2+から選択される2価の金属カチオンである。例えば、BはPb
2+であってもよい。
【0069】
有機カチオンは、例えば(R
5R
6N=CH−NR
7R
8)
+[式中、R
5、R
6、R
7、及びR
8は独立して、水素、及び非置換又は置換C
1〜C
6アルキルから選択される]であってもよい。例えば、有機カチオンは(H
2N=CH−NH
2)
+であってもよい。
【0070】
本発明の光電子デバイスにおいて、ペロブスカイトは、典型的には、CH
3NH
3PbBrI
2、CH
3NH
3PbBrCl
2、CH
3NH
3PbIBr
2、CH
3NH
3PbICl
2、CH
3NH
3PbClBr
2、CH
3NH
3PbI
2Cl、CH
3NH
3SnBrI
2、CH
3NH
3SnBrCl
2、CH
3NH
3SnF
2Br、CH
3NH
3SnIBr
2、CH
3NH
3SnICl
2、CH
3NH
3SnF
2I、CH
3NH
3SnClBr
2、CH
3NH
3SnI
2Cl、及びCH
3NH
3SnF
2Clから選択される。典型的には、ペロブスカイトは、CH
3NH
3PbBrI
2、CH
3NH
3PbBrCl
2、CH
3NH
3PbIBr
2、CH
3NH
3PbICl
2、CH
3NH
3PbClBr
2、CH
3NH
3PbI
2Cl、CH
3NH
3SnF
2Br、CH
3NH
3SnICl
2、CH
3NH
3SnF
2I、CH
3NH
3SnI
2Cl、及びCH
3NH
3SnF
2Clから選択される。より典型的には、ペロブスカイトは、CH
3NH
3PbBrI
2、CH
3NH
3PbBrCl
2、CH
3NH
3PbIBr
2、CH
3NH
3PbICl
2、CH
3NH
3PbClBr
2、CH
3NH
3PbI
2Cl、CH
3NH
3SnF
2Br、CH
3NH
3SnF
2I、及びCH
3NH
3SnF
2Clから選択される。通常、ペロブスカイトは、CH
3NH
3PbBrI
2、CH
3NH
3PbBrCl
2、CH
3NH
3PbIBr
2、CH
3NH
3PbICl
2、CH
3NH
3SnF
2Br、及びCH
3NH
3SnF
2Iから選択される。
【0071】
いくつかの実施形態では、ペロブスカイトは式(H
2N=CH−NH
2)PbI
3zBr
3(1−z)のペロブスカイトであってもよく、式中、zは0よりも大きく1未満である。zは、先にさらに定義された通りであってもよい。
【0072】
本発明の光電子デバイスは、前記ペロブスカイト及び単一アニオンペロブスカイトを含んでいてもよく、前記単一アニオンペロブスカイトは、第1のカチオンと、第2のカチオンと、ハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオンから選択されるアニオンとを含み、第1及び第2のカチオンは、前記混合アニオンペロブスカイトに関して本明細書で定義された通りである。例えば光電子デバイスは:CH
3NH
3PbICl
2及びCH
3NH
3PbI
3;CH
3NH
3PbICl
2及びCH
3NH
3PbBr
3;CH
3NH
3PbBrCl
2及びCH
3NH
3PbI
3;又はCH
3NH
3PbBrCl
2及びCH
3NH
3PbBr
3を含んでいてもよい。
【0073】
光電子デバイスは、式(H
2N=CH−NH
2)PbI
3zBr
3(1−z)のペロブスカイトを含んでいてもよく、式中、zは、本明細書で定義された通りであり且つ(H
2N=CH−NH
2)PbI
3又は(H
2N=CH−NH
2)PbBr
3などの単一のアニオンペロブスカイトである。
【0074】
或いは、本発明の光電子デバイスは、複数のペロブスカイトを含んでいてもよく、各ペロブスカイトは混合アニオンペロブスカイトであり、前記混合アニオンペロブスカイトは本明細書で定義された通りである。例えば光電子デバイスは、2又は3種の前記ペロブスカイトを含んでいてもよい。本発明の光電子デバイスは、例えば2種のペロブスカイトを含んでいてもよく、両方のペロブスカイトが混合アニオンペロブスカイトである。例えば、光電子デバイスは:CH
3NH
3PbICl
2及びCH
3NH
3PbIBr
2;CH
3NH
3PbICl
2及びCH
3NH
3PbBrI
2;CH
3NH
3PbBrCl
2及びCH
3NH
3PbIBr
2;又はCH
3NH
3PbBrCl
2及びCH
3NH
3PbIBr
2を含んでいてもよい。
【0075】
光電子デバイスは、2種の異なるペロブスカイトを含んでいてもよく、各ペロブスカイトは式(H
2N=CH−NH
2)PbI
3zBr
3(1−z)のペロブスカイトであり、式中、zは本明細書で定義された通りである。
【0076】
本発明の光電子デバイスは、典型的には:光起電力デバイス;光ダイオード;光トランジスタ;光電子増倍管;光抵抗器;光検出器;感光性検出器;固体トライオード;バッテリー電極;発光デバイス;発光ダイオード;トランジスタ;太陽電池;レーザ;及びダイオード注入型レーザから選択される光電子デバイスである。
【0077】
通常、本発明の光電子デバイスは、光起電力デバイスである。より通常には、デバイスは太陽電池である。
【0078】
或いは本発明の光電子デバイスは、発光デバイス、例えば発光ダイオードであってもよい。
【0079】
一実施形態では、本発明の光電子デバイスは、
第1の電極と、
第2の電極と、
第1及び第2の電極間に配置された、
(a)前記ペロブスカイトと
を含む光電子デバイスである。
【0080】
第1及び第2の電極は、アノード及びカソードであり、その一方又は両方は光を進入させるように透明である。本発明の光電子デバイスの第1及び第2の電極に何を選択するかは、構造型に依存する可能性がある。典型的には、n−型層が酸化スズ上に堆積され、より典型的には、フッ素がドープされた酸化スズ(FTO)アノード上に堆積されるが、これは通常、透明又は半透明材料である。したがって第1の電極は、通常は透明又は半透明であり、典型的にはFTOを含む。通常、第1の電極の厚さは200nmから600nmであり、より通常には300から500nmである。例えば、厚さは400nmであってもよい。典型的には、FTOはガラス板上にコーティングされる。通常、第2の電極は、高い仕事関数の金属、例えば金、銀、ニッケル、パラジウム、又は白金を含み、典型的には銀である。通常、第2の電極の厚さは50nmから250nmであり、より通常には100nmから200nmである。例えば、第2の電極の厚さは150nmであってもよい。
【0081】
本明細書で使用される「厚さ」という用語は、光電子デバイスの構成要素の平均厚さを指す。
【0082】
典型的には、本発明の光電子デバイスは、
第1の電極と、
第2の電極と、
第1及び第2の電極間に配置された、
(a)前記ペロブスカイトを含む薄膜と
を含む光電子デバイスである。
【0083】
一実施形態では、本発明の光電子デバイスは、
第1の電極と、
第2の電極と、
第1及び第2の電極間に配置された、
(a)半導体の層、及び
(b)前記ペロブスカイトと
を含む光電子デバイスである。
【0084】
本明細書で使用される「半導体」という用語は、大きさが導体と絶縁体との中間である電気伝導率を有する材料を指す。半導体は、真性半導体、n−型半導体、又はp−型半導体であってもよい。半導体の例には、ペロブスカイト;チタン、ニオブ、スズ、亜鉛、カドミウム、銅、又は鉛の酸化物;アンチモン、銅、亜鉛、鉄、又はビスマスのカルコゲナイド(例えば、硫化銅及び硫化鉄);銅亜鉛スズカルコゲナイド、例えばCu
2ZnSnS
4(CZTS)などの銅亜鉛スズ硫化物、及びCu
2ZnSn(S
1−xSe
x)
4(CZTSSe)などの銅亜鉛スズ硫黄セレン化物;銅インジウムセレン化物(CIS)などの銅インジウムカルコゲナイド;銅インジウムガリウムセレン化物(CuIn
1−xGa
xSe
2)(CIGS)などの銅インジウムガリウムカルコゲナイド;及び銅インジウムガリウム二セレン化物が含まれる。さらなる例は、IV族化合物半導体(例えば、炭化ケイ素);III−V族半導体(例えば、ヒ化ガリウム);II−VI族半導体(例えば、セレン化カドミウム);I−VII族半導体(例えば、塩化第一銅);IV−VI族半導体(例えば、セレン化鉛);V−VI族半導体(例えば、テルル化ビスマス);及びII−V族半導体(例えば、ヒ化カドミウム);三元又は四元半導体(例えば、銅インジウムセレン化物、銅インジウムガリウム二セレン化物、銅亜鉛スズ硫化物、又は銅亜鉛スズ硫化セレン化物(CZTSSe)である。
【0085】
通常、本発明の光電子デバイスは、第1の電極と、第2の電極と、第1及び第2の電極間に配置された(a)n−型層及び(b)前記ペロブスカイトとを含む、光電子デバイスである。
【0086】
本明細書で使用される「n−型層」という用語は、n−型又は電子輸送材料を含む層を指す。
【0087】
或いは、本発明の光電子デバイスは、第1の電極と、第2の電極と、第1及び第2の電極間に配置された(a)p−型層及び(b)前記ペロブスカイトとを含む、光電子デバイスである。
【0088】
本明細書で使用される「p−型層」という用語は、p型又は正孔輸送材料を含む層を指す。
【0089】
一実施形態では、本発明の光電子デバイスは、
第1の電極と、
第2の電極と
第1及び第2の電極間に配置された、
(a)n−型層
(b)前記ペロブスカイト、及び
(c)p−型層と
を含む、光電子デバイスである。
【0090】
この実施形態の光電子デバイスは、上記列挙されたもののいずれかであってもよく、例えば光起電力デバイスである。ペロブスカイトは、典型的には増感剤材料である。
【0091】
本明細書で使用される「増感剤」という用語は、光誘発性の電荷生成、光電子放出、又は電子放出を行うことが可能な材料を指す。
【0092】
しばしば、増感剤は、電荷(正孔又は電子)を輸送することも可能である。例えば、増感剤が前記ペロブスカイトである場合、増感剤は電荷を輸送することも可能である。
【0093】
通常、n−型層は金属酸化物半導体を含み、p−型層は正孔輸送材料を含む。金属酸化物半導体及び正孔輸送材料は、本明細書で定義された通りである。
【0094】
或いは、p−型層は金属酸化物半導体を含み、n−型層は電子輸送材料を含む。例えば金属酸化物半導体は、ニッケル、モリブデン、銅、若しくはバナジウムの酸化物、又はこれらの混合物を含んでいてもよい。しばしば電子輸送材料は、フラーレン若しくはペリレン又はこれらの誘導体、ポリ{[N,N0−ビス(2−オクチルドデシル)−ナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)−2,6−ジイル]−alt−5,50−(2,20−ビチオフェン)}(P(NDI2OD−T2))、又は電解質を含む。
【0095】
一実施形態では、光電子デバイスは薄膜デバイスであってもよい。通常、n−型層は、金属酸化物、金属硫化物、金属セレン化物、又は金属テルル化物を含むことになる。しばしば、金属酸化物は、チタン、スズ、亜鉛、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ガリウム、ネオジム(neodinium)、パラジウム、若しくはカドミウムの酸化物、又はこれらの混合物となる。例えばn−型層は、TiO
2、SnO
2、ZnO、Nb
2O
5、Ta
2O
5、WO
3、W
2O
5、In
2O
3、Ga
2O
3、Nd
2O
3、PbO、又はCdOを含んでいてもよい。しばしば金属酸化物は、TiO
2である。典型的には、硫化物は、カドミウム、スズ、銅、亜鉛、又はこれらの混合物の硫化物となる。例えば硫化物は、FeS
2、CdS、又はCu
2ZnSnS
4であってもよい。通常、セレン化物は、カドミウム、亜鉛、インジウム、若しくはガリウムのセレン化物、又はこれらの混合物となる。例えばセレン化物は、Cu(In,Ga)Se
2であってもよい。典型的には、テレナイド(tellenide)は、カドミウム、亜鉛、カドミウム、又はスズのテレナイドである。例えばテレナイドは、CdTeであってもよい。
【0096】
光電子デバイスは、トンネル接合を含んでいてもよい。例えば光電子デバイスは、マルチ接合太陽電池又はタンデムセルであってもよい。
【0097】
一実施形態では、本発明の光電子デバイスは、
第1の電極と、
第2の電極と、
第1及び第2の電極間に配置された、
(a)半導体の多孔質層、及び
(b)前記ペロブスカイトを含む増感剤材料と
を含む、光電子デバイスである。
【0098】
典型的には、本発明の光電子デバイスは、第1の電極と、第2の電極と、第1及び第2の電極間に配置された、(a)半導体の多孔質層、(b)前記ペロブスカイトを含む増感剤材料及び(c)電荷輸送材料とを含む、光電子デバイスである。
【0099】
本発明の光電子デバイスは、例えば、
第1の電極と、
第2の電極と、
第1及び第2の電極間に配置された、
(a)p−型半導体の多孔質層である、半導体の多孔質層、
(b)前記ペロブスカイトを含む増感剤材料、及び
(c)電子輸送材料である、電荷輸送材料と
を含む光電子デバイスであってもよい。
【0100】
通常、半導体の多孔質層がp−型半導体の多孔質層である場合、多孔質層は、ニッケル、バナジウム、銅、又はモリブデンの酸化物を含む。例えば多孔質層は、NiO、V
2O
5、MoO
3、又はCuOを含んでいてもよい。
【0101】
典型的には、p−型半導体の多孔質層は、p−型半導体の緻密層に接触する。例えばp−型半導体の緻密層は、ニッケル、バナジウム、銅、又はモリブデンの酸化物を含んでいてもよい。通常、p−型半導体の緻密層は、NiO、V
2O
5、MoO
3、又はCuOを含む。
【0102】
しばしば、電荷輸送材料が電子輸送材料である場合、電荷輸送材料はフラーレン若しくはペリレン又はこれらの誘導体、即ちP(NDI2OD−T2)を含む。例えば電荷輸送材料はP(NDI2OD−T2)であってもよい。
【0103】
或いは、本発明の光電子デバイスは、
第1の電極と、
第2の電極と
第1及び第2の電極間に配置された、
(a)n−型半導体の多孔質層である、半導体の多孔質層、
(b)前記ペロブスカイトを含む増感剤材料、及び
(c)正孔輸送材料である、電荷輸送材料と
を含む、光起電力デバイスであってもよい。
【0104】
典型的には、半導体の多孔質層がn−型半導体の多孔質層である場合、n−型半導体の多孔質層は、チタン、スズ、亜鉛、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ガリウム、ネオジム、パラジウム、若しくはカドミウムの酸化物、又はこれらの混合物を含む。例えば、半導体の多孔質層は、TiO
2、SnO
2、ZnO、Nb
2O
5、Ta
2O
5、WO
3、W
2O
5、In
2O
3、Ga
2O
3、Nd
2O
3、PbO、又はCdOを含んでいてもよい。しばしば、n−型半導体の多孔質層は、チタン、スズ、亜鉛、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ガリウム、ネオジム、パラジウム、若しくはカドミウムのメソポーラス酸化物、又はこれらの混合物を含む。
【0105】
本明細書で使用される「メソポーラス」という用語は、多孔質層の細孔が微視的であり且つ通常はナノメートル(nm)の単位で測定されるサイズを有することを意味する。「メソポーラス」構造内の細孔の平均細孔サイズは、例えば1nmから100nmの範囲のいずれか、又は例えば2nmから50nmの範囲であってもよい。個々の細孔は、異なるサイズであってもよく、任意の形状であってもよい。本明細書で使用される「細孔サイズ」という用語は、細孔のサイズを定義する。球状の細孔の場合、細孔サイズは球の直径に等しい。球状ではない細孔の場合、細孔サイズは球の直径に等しく、前記球の体積は非球状細孔の体積に等しい。細孔サイズのこの定義は、前記メソポーラス単結晶内の細孔、及び前記多孔質鋳型内の細孔に当て嵌まる。
【0106】
通常、半導体の多孔質層がn−型半導体の多孔質層である場合、半導体の多孔質層は、TiO
2を含む。より通常には、多孔質層はメソポーラスTiO
2を含む。
【0107】
しばしばn−型半導体の多孔質層は、n−型半導体の緻密層に接触する。通常、n−型半導体の緻密層は、チタン、スズ、亜鉛、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ガリウム、ネオジム、パラジウム、若しくはカドミウムの酸化物、又はこれらの混合物を含む。典型的には、n−型半導体の緻密層は、TiO
2を含む。通常、n−型半導体の緻密層は、50nmから200nmの厚さ、典型的には約100nmの厚さを有する。
【0108】
電荷輸送材料が正孔輸送材料である場合、本発明の光電子デバイスの正孔輸送材料は、任意の適切なp−型又は正孔輸送半導体材料であってもよい。典型的には、正孔輸送材料は、小分子又はポリマーをベースにした正孔伝導体である。
【0109】
典型的には、電荷輸送材料が正孔輸送材料である場合、電荷輸送材料は、固体正孔輸送材料又は液体電解質である。
【0110】
しばしば、電荷輸送材料が正孔輸送材料である場合、電荷輸送材料は、ポリマー又は分子正孔輸送体である。典型的には、正孔輸送材料は、スピロ−OMeTAD(2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)9,9’−スピロビフルオレン))、P3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))、PCPDTBT(ポリ[2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル[4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−2,6−diyl]])、PVK(ポリ(N−ビニルカルバゾール))、HTM−TFSI(1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)、Li−TFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、又はtBP(tert−ブチルピリジン)を含む。通常、正孔輸送材料は、スピロ−OMeTAD、P3HT、PCPDTBT、及びPVKから選択される。好ましくは、正孔輸送材料がスピロ−OMeTADである。
【0111】
電荷輸送材料が正孔輸送材料である場合、電荷輸送材料は、例えば分子正孔輸送体又はポリマー若しくはコポリマーである。しばしば、電荷輸送材料は、分子正孔輸送材料であり、ポリマー又はコポリマーは、下記の部分:チオフェニル、フェネレニル(phenalenyl)、ジチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ジケトピロロピロリル、エトキシジチオフェニル、アミノ、トリフェニルアミノ、カルボゾリル、エチレンジオキシチオフェニル、ジオキシチオフェニル、又はフルオレニルの1種又は複数を含む。
【0112】
或いは、電荷輸送材料が正孔輸送材料である場合、電荷輸送材料は、無機正孔輸送体、例えばCuI、CuBr、CuSCN、Cu
2O、CuO、又はCISであってもよい。
【0113】
一実施形態では、本発明の光電子デバイスにおいて、半導体の多孔質層は、50nmから3μmの厚さを有し、例えば厚さは100nmから2μmであってもよい。しばしばn−型半導体の多孔質層は、0.6μmの厚さを有する。
【0114】
典型的には、本発明の光電子デバイスは、第2の電極とn−型半導体の多孔質層との間の距離が、50nmから400nmであり、より典型的には150nmから250nmである。しばしば、第2の電極とn−型半導体の多孔質層との間の距離は、200nm程度である。
【0115】
しばしば、本発明の光電子デバイスは、デバイスのAM1.5G 100mWcm
−2電力変換効率が7.3%以上の光起電力デバイスである。典型的には、デバイスのAM1.5G 100mWcm
−2電力変換効率は11.5%以上である。
【0116】
典型的には、本発明の光電子デバイスは、光電流が15mAcm
−2以上の光起電力デバイスである。より典型的には、本発明の光電子デバイスは、光電流が20mAcm
−2以上の光起電力デバイスである。
【0117】
通常、本発明の光電子デバイスにおいて、ペロブスカイトは、10分以上の時間にわたり酸素又は水分に曝された場合、分解しない。典型的には、ペロブスカイトは、24時間以上にわたって酸素又は水分に曝された場合、分解しない。
【0118】
本発明はさらに、式(I)
[A][B][X]
3 (I)
[式中、
[A]は、式(R
1R
2R
3R
4N)
+の少なくとも1種の有機カチオンであり、ここで、
(i)R
1は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(ii)R
2は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(iii)R
3は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(iv)R
4は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
[B]は、少なくとも1種の2価の金属カチオンであり、
[X]は、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンである]
の混合ハロゲン化物ペロブスカイトを提供する。
【0119】
通常、下記の但し書きが適用される:
(i)Aが(CH
3NH
3)
+である有機カチオンであり、且つBがSn
2+である2価の金属カチオンである場合、混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、(a)塩化物イオン及び臭化物イオン、又は(b)臭化物イオン及びヨウ化物イオンを含まず、
(ii)Aが(CH
3NH
3)
+である有機カチオンであり、且つBがPb
2+である2価の金属カチオンである場合、混合ハロゲン化物ペロブスカイトは塩化物イオン及び臭化物イオンを含まない。
【0120】
しばしば、混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、式(I)
[A][B][X]
3 (I)
[式中、
[A]は、式(R
1R
2R
3R
4N)
+の少なくとも1種の有機カチオンであり、ここで
(i)R
1は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(ii)R
2は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(iii)R
3は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(iv)R
4は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
[B]は、少なくとも1種の2価の金属カチオンであり、
[X]は、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンである]
の混合ハロゲン化物ペロブスカイトである。
【0121】
通常、下記の但し書きが適用される:
(i)Aが(CH
3NH
3)
+である有機カチオンであり、且つBがSn
2+である2価の金属カチオンである場合、混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、(a)塩化物イオン及び臭化物イオン、(b)臭化物イオン及びヨウ化物イオン又は(c)塩化物イオン及びヨウ化物イオンを含まず、
(ii)Aが、(CH
3NH
3)
+である有機カチオンであり、且つBが、Pb
2+である2価の金属カチオンである場合、混合ハロゲン化物ペロブスカイトは塩化物イオン及び臭化物イオンを含まない。
【0122】
しばしば、混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、式(I)
[A][B][X]
3 (I)
[式中、
[A]は、式(R
1R
2R
3R
4N)
+の少なくとも1種の有機カチオンであり、ここで、
(i)R
1は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(ii)R
2は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(iii)R
3は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(iv)R
4は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
[B]は、少なくとも1種の2価の金属カチオンであり、
[X]は、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンであり、
但し、(i)[A]が(CH
3NH
3)
+である単一の有機カチオンであり、且つ[B]がSn
2+である単一の金属カチオンである場合、混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、(a)塩化物イオン及び臭化物イオン、又は(b)臭化物イオン及びヨウ化物イオンを含まず、(ii)[A]が、(CH
3NH
3)
+である単一の有機カチオンであり且つ[B]が、Pb
2+である単一の金属カチオンである場合、混合ハロゲン化物ペロブスカイトは塩化物イオン及び臭化物イオンを含まないことを前提とする]
の混合ハロゲン化物ペロブスカイトである。
【0123】
式(I)のペロブスカイトは、1、2、3、又は4種の異なる2価の金属カチオン、典型的には1又は2種の異なる2価の金属カチオンを含んでいてもよい。式(I)のペロブスカイトは、例えば、式(R
1R
2R
3R
4N)
+の1、2、3、又は4種の異なる有機カチオン、典型的には式(R
1R
2R
3R
4N)
+の1又は2種の異なる有機カチオンを含んでいてもよい。式(I)のペロブスカイトは、例えば、2、3、又は4種の異なるハロゲン化物アニオン、典型的には2又は3種の異なるハロゲン化物アニオンを含んでいてもよい。
【0124】
しばしば、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトにおいて、[B]がPb
2+である単一の金属カチオンである場合、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンの1種はヨウ化物又はフッ化物であり;[B]が、Sn
2+である単一の金属カチオンである場合、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンの1種はフッ化物である。
【0125】
典型的には、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトにおいて、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンの1種はヨウ化物又はフッ化物である。
【0126】
通常、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトにおいて、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンの1種はフッ化物である。
【0127】
典型的には、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトにおいて、[X]は2種の異なるハロゲン化物アニオンX及びX’である。典型的には、これらは2又は3種のハロゲン化物アニオンであり、より典型的には、2種の異なるハロゲン化アニオンである。通常、ハロゲン化物アニオンは、フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物から選択され、例えば塩化物、臭化物、及びヨウ化物である。或いは、[X]は3種の異なるハロゲン化物イオンであってもよい。
【0128】
通常、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトにおいて、[B]は、Ca
2+、Sr
2+、Cd
2+、Cu
2+、Ni
2+、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Pd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Sn
2+、Yb
2+、及びEu
2+から選択される少なくとも1種の2価の金属カチオンである。より通常には、[B]は、Sn
2+及びPb
2+から選択される少なくとも1種の2価の金属カチオンである。
【0129】
典型的には、[B]は、単一の2価の金属カチオンである。単一の2価の金属カチオンは、Ca
2+、Sr
2+、Cd
2+、Cu
2+、Ni
2+、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Pd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Sn
2+、Yb
2+、及びEu
2+から選択されてもよい。より通常には、[B]は、Sn
2+又はPb
2+である、単一の2価の金属カチオンである。
【0130】
主に、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトにおいて、有機カチオン中のR
1は、水素、メチル、又はエチルであり、R
2は、水素、メチル、又はエチルであり、R
3は、水素、メチル、又はエチルであり、R
4は、水素、メチル、又はエチルである。例えば、R
1は水素であってもメチルであってもよく、R
2は水素であってもメチルであってもよく、R
3は水素であってもメチルであってもよく、R
4は水素であってもメチルであってもよい。
【0131】
典型的には、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトにおいて、有機カチオンは式(R
5NH
3)
+を有し、式中、R
5は、水素、又は非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキルである。R
5は、例えばメチルであってもエチルであってもよい。典型的には、R
5はメチルである。
【0132】
一実施形態では、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、式(II)
ABX
3−yX’
y (II)
[式中、
Aは有機カチオンであり、
Bは2価の金属カチオンであり、
Xは第1のハロゲン化物アニオンであり、
X’は、第1のハロゲン化物アニオンとは異なる第2のハロゲン化物アニオンであり、
yは、0.05から2.95であり、
但し、
(i)Aが、(CH
3NH
3)
+である有機カチオンであり且つBが、Sn
2+である2価の金属カチオンである場合、混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、(a)塩化物イオン及び臭化物イオン、又は(b)臭化物イオン及びヨウ化物イオンを含まず、
(ii)Aが(CH
3NH
3)
+である有機カチオンであり、且つBがPb
2+である2価の金属カチオンである場合、混合ハロゲン化物ペロブスカイトは塩化物イオン及び臭化物イオンを含まないことを前提とする]
のペロブスカイト化合物である。
【0133】
通常、yは0.5から2.5であり、例えば0.75から2.25である。典型的には、yは1から2である。
【0134】
典型的には、Xはヨウ化物であり且つX’はフッ化物若しくは塩化物であり、又はXはフッ化物であり且つX’は塩化物、臭化物、若しくはヨウ化物である。
【0135】
しばしば、X又はX’はヨウ化物である。
【0136】
典型的には、Bは、Sn
2+以外である。
【0137】
通常、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトにおいて、Xはヨウ化物であり、X’はフッ化物又は塩化物である。
【0138】
より通常には、X又はX’はフッ化物である。
【0139】
典型的には、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトにおいて、BはSn
2+である。
【0140】
或いは、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトにおいて、BはPb
2+である。
【0141】
本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、しばしば、CH
3NH
3PbBrI
2、CH
3NH
3PbIBr
2、CH
3NH
3PbICl
2、CH
3NH
3PbI
2Cl、CH
3NH
3SnF
2Br、CH
3NH
3SnICl
2、CH
3NH
3SnF
2I、CH
3NH
3SnI
2Cl、及びCH
3NH
3SnF
2Clから選択される。より頻繁には、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、しばしば、CH
3NH
3PbBrI
2、CH
3NH
3PbIBr
2、CH
3NH
3PbICl
2、CH
3NH
3PbI
2Cl、CH
3NH
3SnF
2Br、CH
3NH
3SnF
2I、及びCH
3NH
3SnF
2Clから選択される。通常、ペロブスカイトは、CH
3NH
3PbBrI
2、CH
3NH
3PbIBr
2、CH
3NH
3PbICl
2、CH
3NH
3SnF
2Br、及びCH
3NH
3SnF
2Iから選択される。
【0142】
通常、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、10分以上にわたって酸素又は水分に曝された場合に分解しない。典型的には、ペロブスカイトは、24時間以上にわたって酸素又は水分に曝された場合に分解しない。
【0143】
本発明はさらに、式(I)
[A][B][X]
3 (I)
[式中、
[A]は、式(R
5R
6N=CH−NR
7R
8)
+の少なくとも1種の有機カチオンであり、ここで、
(i)R
5は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(ii)R
6は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(iii)R
7は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(iv)R
8は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
[B]は、少なくとも1種の2価の金属カチオンであり、
[X]は、2種以上の異なるハロゲン化物アニオンである]
の混合ハロゲン化物ペロブスカイトを提供する。
【0144】
式(I)のペロブスカイトは、1、2、3、又は4種の異なる2価の金属カチオン、典型的には1又は2種の異なる2価の金属カチオンを含んでいてもよい。式(I)のペロブスカイトは、例えば、式(R
5R
6N=CH−NR
7R
8)
+の1、2、3、又は4種の異なる有機カチオン、典型的には式(R
5R
6N=CH−NR
7R
8)
+の1又は2種の異なる有機カチオンを含んでいてもよい。式(I)のペロブスカイトは、例えば、2、3、又は4種の異なるハロゲン化物アニオン、典型的には2又は3種の異なるハロゲン化物アニオンを含んでいてもよい。
【0145】
典型的には、[X]は2種の異なるハロゲン化物アニオンX及びX’である。典型的には、これらは2又は3種のハロゲン化物アニオン、より典型的には2種の異なるハロゲン化物アニオンである。通常、ハロゲン化物アニオンは、フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物から選択され、例えば塩化物、臭化物、及びヨウ化物である。ハロゲン化物アニオンは、例えば、ヨウ素であっても臭素であってもよい。或いは[X]は、3種の異なるハロゲン化物イオンであってもよい。
【0146】
通常[B]は、Ca
2+、Sr
2+、Cd
2+、Cu
2+、Ni
2+、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Pd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Sn
2+、Yb
2+、及びEu
2+から選択される少なくとも1種の2価の金属カチオンである。より通常には、[B]は、Sn
2+及びPb
2+から選択される少なくとも1種の2価の金属カチオン、例えばPb
2+である。
【0147】
典型的には、[B]は、単一の2価の金属カチオンである。単一の2価の金属カチオンは、Ca
2+、Sr
2+、Cd
2+、Cu
2+、Ni
2+、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Pd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Sn
2+、Yb
2+、及びEu
2+から選択されてもよい。より通常には、[B]は、Sn
2+又はPb
2+である単一の2価の金属カチオン、例えばPb
2+である。
【0148】
主に、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトにおいて、有機カチオン中のR
5は、水素、メチル、又はエチルであり、R
6は、水素、メチル、又はエチルであり、R
7は、水素、メチル、又はエチルであり、R
8は、水素、メチル、又はエチルである。例えば、R
5は水素であってもメチルであってもよく、R
6は水素であってもメチルであってもよく、R
7は水素であってもメチルであってもよく、R
8は水素であってもメチルであってもよい。
【0149】
典型的には、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトにおいて、有機カチオンは式(H
2N=CH−NH
2)
+を有する。
【0150】
一実施形態では、混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、式(IIa)
ABX
3zX’
3(1−z) (IIa)
[式中、
Aは、式(R
5R
6N=CH−NR
7R
8)
+の有機カチオンであり、ここで、
(i)R
5は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(ii)R
6は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(iii)R
7は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
(iv)R
8は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
Bは、Sn
2+及びPb
2+から選択される金属カチオンであり、
Xは、第1のハロゲン化物アニオンであり、
X’は、第1のハロゲン化物アニオンとは異なる第2のハロゲン化物アニオンであり、
zは、0より大きく1未満である]
のペロブスカイト化合物である。
【0151】
通常、zは0.05から0.95であり、例えば0.1から0.9である。zは、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、若しくは0.9であってもよく、又はzは、これらの値のいずれか1つからこれらの値のいずれか他の値までの範囲であってもよい(例えば、0.2から0.7、又は0.1から0.8)。
【0152】
典型的には、Xがヨウ化物であり且つX’がフッ化物、臭化物、又は塩化物であり、例えばXがヨウ化物であり且つX’が臭化物である。
【0154】
通常、有機カチオンは(R
5R
6N=CH−NR
7R
8)
+[式中、R
5、R
6、R
7、及びR
8は独立して、水素、及び非置換又は置換C
1〜C
6アルキルから選択される]である。例えば、有機カチオンは(H
2N=CH−NH
2)
+であってもよい。
【0155】
混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、例えば、式(H
2N=CHNH
2)PbI
3zBr
3(1−z)を有し、式中、zは0より大きく1未満である。通常、zは0.05から0.95であり、例えば0.1から0.9である。zは、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、若しくは0.9であり、又はzは、これらの値のいずれか1つからこれらの値のいずれか他の値までの範囲であってもよい(例えば、zは0.2から0.7、又は0.1から0.8であってもよい。)。
【0156】
通常、本発明の混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、10分以上にわたって酸素又は水分に曝された場合に分解しない。典型的には、ペロブスカイトは、24時間以上にわたって酸素又は水分に曝された場合に分解しない。
【0157】
本発明はさらに、光電子デバイスでの増感剤としての混合アニオンペロブスカイトの使用を提供し、この混合アニオンペロブスカイトは、ハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオンから選択される2種以上の異なるアニオンを含む。ペロブスカイトは、本明細書に定義されるようなペロブスカイトである。
【0158】
しばしば、本発明の使用では、光電子デバイスが光起電力デバイスである。
【0159】
或いは、本発明の使用では、光電子デバイスが発光デバイスであり、例えば発光ダイオードである。
【0160】
通常、本発明の光電子デバイスは、光起電力デバイスであり、デバイスのAM1.5G 100mWcm
−2電力変換効率が7.3%以上である。典型的には、デバイスのAM1.5G 100mWcm
−2電力変換効率は11.5%以上である。
【0161】
典型的には、本発明の光電子デバイスは、光電流が15mAcm
−2以上の光起電力デバイスである。より典型的には、本発明の光電子デバイスは、光電流が20mAcm
−2以上の光起電力デバイスである。
【0162】
本発明は、混合アニオンペロブスカイトを含む光電子デバイス用の光増感材料も提供し、この混合アニオンペロブスカイトは、ハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオンから選択される2種以上の異なるアニオンを含む。ペロブスカイトは、本明細書に定義されるようなペロブスカイトである。
【0163】
本発明の光電子デバイスは、さらに、包封された金属ナノ粒子を含んでいてもよい。例えば、本発明の光電子デバイスは、第1及び第2の電極間に配置された、包封された金属ナノ粒子をさらに含んでいてもよい。
【0164】
本発明のデバイスで使用される混合アニオンペロブスカイト、即ち、ハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオンから選択される2種以上の異なるアニオンを含むペロブスカイトは、
(i)第1のカチオン及び(ii)第1のアニオンを含む(a)第1の化合物と、
(i)第2のカチオン及び(ii)第2のアニオンを含む(b)第2の化合物と
を混合するステップであって、
第1及び第2のカチオンが本明細書で定義された通りであり、
第1及び第2のアニオンが、ハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオンから選択される異なるアニオンであるステップ
を含む方法によって生成することができる。典型的には、第1及び第2のアニオンは、ハロゲン化物アニオンから選択される異なるアニオンである。
【0165】
或いは、この方法は、(1)(i)第1のカチオン及び(ii)第1のアニオンを含む(a)第1の化合物を、(i)第2のカチオン及び(ii)第1のアニオンを含む(b)第2の化合物で処理して、第1の生成物を生成するステップであって、この第1及び第2のカチオンは本明細書に定義された通りであり、第1のアニオンはハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオンから選択されるステップと、(2)(i)第1のカチオン及び(ii)第2のアニオンを含む(a)第1の化合物を、(i)第2のカチオン及び(ii)第2のアニオンを含む(b)第2の化合物で処理して、第2の生成物を生成するステップであって、この第1及び第2のカチオンが本明細書に定義された通りであり、第2のアニオンがハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオンから選択されるステップとを含んでいてもよい。通常、第1及び第2のアニオンは、ハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオンから選択される異なるアニオンである。典型的には、第1及び第2のアニオンは、ハロゲン化物アニオンから選択される異なるアニオンである。この方法は、通常、第1の量の第1の生成物を、第2の量の第2の生成物で処理するステップであって、第1及び第2の量が同じでも異なっていてもよいステップをさらに含む。
【0166】
この方法によって生成された混合アニオンペロブスカイトは、他のカチオン又は他のアニオンを含んでいてもよい。例えば、混合アニオンペロブスカイトは、2、3、若しくは4種の異なるカチオン、又は2、3、若しくは4種の異なるアニオンを含んでいてもよい。したがって、混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法は、他のカチオン又は他のアニオンを含む他の化合物を混合するステップを含んでいてもよい。追加として又は代替として、混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法は、(a)及び(b)と、(i)第1のカチオン及び(ii)第2のアニオンを含む(c)第3の化合物、又は(i)第2のカチオン及び(ii)第1のアニオンを含む(d)第4の化合物とを混合するステップを含んでいてもよい。
【0167】
典型的には、混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法において、混合アニオンペロブスカイト中の第2のカチオンは金属カチオンである。より典型的には、第2のカチオンは2価の金属カチオンである。例えば、第1のカチオンは、Ca
2+、Sr
2+、Cd
2+、Cu
2+、Ni
2+、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Pd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Sn
2+、Yb
2+、及びEu
2+から選択されてもよい。通常、第2のカチオンは、Sn
2+及びPb
2+から選択される。
【0168】
しばしば、混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法では、混合アニオンペロブスカイト中の第1のカチオンが有機カチオンである。
【0169】
通常、有機カチオンは、式(R
1R
2R
3R
4N)
+を有し、
式中、
R
1は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
2は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
3は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、
R
4は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールである。
【0170】
主に、有機カチオンにおいて、R
1は水素、メチル、又はエチルであり、R
2は水素、メチル、又はエチルであり、R
3は水素、メチル、又はエチルであり、R
4は、水素、メチル、又はエチルである。例えばR
1は、水素であってもメチルであってもよく、R
2は、水素であってもメチルであってもよく、R
3は、水素であってもメチルであってもよく、R
4は、水素であってもメチルであってもよい。
【0171】
或いは、有機カチオンは式(R
5NH
3)
+[式中、R
5は、水素、又は非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキルである]を有していてもよい。例えばR
5は、メチルであってもエチルであってもよい。典型的には、R
5はメチルである。
【0172】
別の実施形態では、有機カチオンは式(R
5R
6N=CH−NR
7R
8)
+を有し、式中、R
5は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
6は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
7は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、R
8は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールである。有機カチオンは、例えば、(R
5R
6N=CH−NR
7R
8)
+であって、式中、R
5、R
6、R
7、及びR
8が独立して、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールから選択されるものであってもよい。例えば有機カチオンは、(H
2N=CH−NH
2)
+であってもよい。
【0173】
混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法において、ペロブスカイトは通常、前記2種以上の異なるアニオンが2種以上の異なるハロゲン化物アニオンである、混合アニオンペロブスカイトである。
【0174】
典型的には、混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法では、ペロブスカイトは式(I)
[A][B][X]
3 (I)
[式中、
[A]は少なくとも1種の有機カチオンであり、
[B]は少なくとも1種の金属カチオンであり、
[X]は、前記2種以上の異なるアニオンである]
のペロブスカイト化合物であり、
この方法は、
(i)金属カチオン及び(ii)第1のアニオンを含む(a)第1の化合物と、
(i)有機カチオン及び(ii)第2のアニオンを含む(b)第2の化合物と
を混合するステップを含み、
第1及び第2のアニオンは、ハロゲン化物アニオン又はカルコゲナイドアニオンから選択される異なるアニオンである。
【0175】
式(I)のペロブスカイトは、例えば、1、2、3、又は4種の異なる金属カチオン、典型的には1又は2種の異なる金属カチオンを含んでいてもよい。式(I)のペロブスカイトは、例えば、1、2、3、又は4種の異なる有機カチオン、典型的には1又は2種の異なる有機カチオンを含んでいてもよい。式(I)のペロブスカイトは、例えば、2、3、又は4種の異なるアニオン、典型的には2又は3種の異なるアニオンを含んでいてもよい。したがって、この方法は、カチオン及びアニオンを含む他の化合物を混合するステップを含んでいてもよい。
【0176】
典型的には、[X]は、2種以上の異なるハロゲン化物アニオンである。したがって第1及び第2のアニオンは、典型的にはハロゲン化物アニオンである。或いは、[X]は、3種の異なるハロゲン化物イオンであってもよい。したがって、この方法は、第3の化合物と、第1及び第2の化合物とを混合するステップを含んでいてもよく、この第3の化合物は、(i)カチオン及び(ii)第3のハロゲン化物アニオンを含み、この第3のアニオンは、第1及び第2のハロゲン化物アニオンとは異なるハロゲン化物アニオンである。
【0177】
しばしば、混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法では、ペロブスカイトは、式(IA)
AB[X]
3 (IA)
[式中、
Aは有機カチオンであり、
Bは金属カチオンであり、
[X]は、前記2種以上の異なるアニオンである]
のペロブスカイト化合物であり、
この方法は、
(i)金属カチオン及び(ii)第1のハロゲン化物アニオンを含む(a)第1の化合物と、
(i)有機カチオン及び(ii)第2のハロゲン化物アニオンを含む(b)第2の化合物と
を混合するステップを含み、
第1及び第2のハロゲン化物アニオンは異なるハロゲン化物アニオンである。
【0178】
通常、[X]は、2種以上の異なるハロゲン化物アニオンである。好ましくは、[X]は、2又は3種の異なるハロゲン化物アニオンである。より好ましくは、[X]は、2種の異なるハロゲン化物アニオンである。別の実施形態では、[X]は、3種の異なるハロゲン化物アニオンである。
【0179】
典型的には、混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法では、ペロブスカイトは、式(II)
ABX
3−yX’
y (II)
[式中、
Aは有機カチオンであり、
Bは金属カチオンであり、
Xは第1のハロゲン化物アニオンであり、
X’は、第1のハロゲン化物アニオンとは異なる第2のハロゲン化物アニオンであり、
yは、0.05から2.95である]
のペロブスカイト化合物であり、
この方法は、
(i)金属カチオン及び(ii)Xを含む(a)第1の化合物と、
(i)有機カチオン及び(ii)X’を含む(b)第2の化合物と
を混合するステップを含み、
X’はXとは異なり、
混合物中のXとX’との比は、(3−y):yに等しい。
【0180】
(3−y):yに等しいXとX’との前記比を実現するために、この方法は、他の化合物と、第1及び第2の化合物とを混合するステップを含んでいてもよい。例えば、この方法は、第3の化合物と、第1及び第2の化合物とを混合するステップを含んでいてもよく、但しこの第3の化合物は、(i)金属カチオン及び(ii)X’を含むものである。或いは、この方法は、第3の化合物と、第1及び第2の化合物とを混合するステップであって、この第3の化合物が(i)有機カチオン及び(ii)Xを含むステップを含んでいてもよい。
【0181】
通常、yは0.5から2.5であり、例えば0.75から2.25である。典型的には、yは1から2である。
【0182】
典型的には、混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法において、第1の化合物はBX
2であり、第2の化合物はAX’である。
【0183】
しばしば、第2の化合物は、式(R
5NH
2)の化合物であって、式中R
5が水素、又は非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキルである化合物と、式HX’の化合物とを反応させることによって、生成される。典型的には、R
5はメチルであってもエチルであってもよく、しばしばR
5はメチルである。
【0184】
通常、式(R
5NH
2)の化合物と式HX’の化合物は、1:1のモル比で反応する。しばしば反応は、窒素雰囲気下で生じ、通常は無水エタノール中で生じる。典型的には、無水エタノールは約200プルーフである。より典型的には、式(R
5NH
2)の化合物15から30mlと、HX’約15から15mlとを、通常は50から150mlの無水エタノール中窒素雰囲気下で反応させる。この方法は、前記混合アニオンペロブスカイトを回収するステップを含んでいてもよい。ロータリーエバポレータが、結晶質AX’を抽出するのにしばしば使用される。
【0185】
通常、第1及び第2の化合物を混合するステップは、第1及び第2の化合物を溶媒に溶解するステップである。第1及び第2の化合物は、1:20から20:1の比で、典型的には1:1の比で溶解させてもよい。典型的には、溶媒がジメチルホルムアミド(DMF)又は水である。金属カチオンがPb
2+である場合、溶媒は通常ジメチルホルムアミドである。金属カチオンがSn
2+である場合、溶媒は通常、水である。溶媒としてのDMF又は水の使用は、これらの溶媒があまり揮発性ではないので有利である。
【0186】
しばしば、混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法では、[B]は、Pb
2+の単一の金属カチオンであり、前記2種以上の異なるハロゲン化物アニオンの1種はヨウ化物又はフッ化物であり;[B]が、Sn
2+の単一の金属カチオンである場合、前記2種以上の異なるハロゲン化アニオンの1種はフッ化物である。
【0187】
典型的には、混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法では、X又はX’がヨウ化物である。或いは、X又はX’はフッ化物である。
【0188】
しばしば、混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法では、ペロブスカイトは、CH
3NH
3PbBrI
2、CH
3NH
3PbBrCl
2、CH
3NH
3PbIBr
2、CH
3NH
3PbICl
2、CH
3NH
3PbClBr
2、CH
3NH
3PbI
2Cl、CH
3NH
3SnBrI
2、CH
3NH
3SnBrCl
2、CH
3NH
3SnF
2Br、CH
3NH
3SnIBr
2、CH
3NH
3SnICl
2、CH
3NH
3SnF
2I、CH
3NH
3SnClBr
2、CH
3NH
3SnI
2Cl、及びCH
3NH
3SnF
2Clから選択されるペロブスカイトである。典型的には、ペロブスカイトは、CH
3NH
3PbBrI
2、CH
3NH
3PbBrCl
2、CH
3NH
3PbIBr
2、CH
3NH
3PbICl
2、CH
3NH
3PbClBr
2、CH
3NH
3PbI
2Cl、CH
3NH
3SnF
2Br、CH
3NH
3SnICl
2、CH
3NH
3SnF
2I、CH
3NH
3SnI
2Cl、及びCH
3NH
3SnF
2Clから選択される。より典型的には、ペロブスカイトは、CH
3NH
3PbBrI
2、CH
3NH
3PbBrCl
2、CH
3NH
3PbIBr
2、CH
3NH
3PbICl
2、CH
3NH
3PbClBr
2、CH
3NH
3PbI
2Cl、CH
3NH
3SnF
2Br、CH
3NH
3SnF
2I、及びCH
3NH
3SnF
2Clから選択される。通常、ペロブスカイトは、CH
3NH
3PbBrI
2、CH
3NH
3PbBrCl
2、CH
3NH
3PbIBr
2、CH
3NH
3PbICl
2、CH
3NH
3SnF
2Br、及びCH
3NH
3SnF
2Iから選択される。
【0189】
いくつかの実施形態では、混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法において、ペロブスカイトは式(IIa)
ABX
3zX’
3(1−z) (IIa)
[式中、
Aは、式(R
5R
6N=CH−NR
7R
8)
+の有機カチオンであり、ここで、(i)R
5は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、(ii)R
6は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、(iii)R
7は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであり、(iv)R
8は、水素、非置換若しくは置換C
1〜C
20アルキル、又は非置換若しくは置換アリールであるカチオンであり、
Bは、Sn
2+及びPb
2+から選択される金属カチオンであり、
Xは、第1のハロゲン化物アニオンであり、
X’は、第1のハロゲン化物アニオンとは異なる第2のハロゲン化物アニオンであり、
zは、0より大きく1未満である]
ペロブスカイト化合物であり、
この方法は、
(1)(i)金属カチオン及び(ii)Xを含む(a)第1の化合物を、(i)有機カチオン及び(ii)Xを含む(b)第2の化合物で処理して、第1の生成物を生成するステップと、
(2)(i)金属カチオン及び(ii)X’を含む(a)第1の化合物を、(i)有機カチオン及び(ii)X’を含む(b)第2の化合物で処理して、第2の生成物を生成するステップと、
(3)第1の量の第1の生成物を、第2の量の第2の生成物で処理するステップであり、第1及び第2の量が同じであっても異なっていてもよいステップと
を含む。
【0190】
通常、zは0.05から0.95であり、zは、上記にてさらに定義された通りであってもよい。
【0191】
混合アニオンペロブスカイトを生成するための方法において、ペロブスカイトは例えば、式(H
2N=CH−NH
2)PbI
3zBr
3(1−z)を有し、式中zは上記にて定義されている通りである。
【0192】
光電子デバイスを生成するための方法は、通常:光起電力デバイス;光ダイオード;光トランジスタ;光電子増倍管;光抵抗器;光検出器;感光性検出器;固体トライオード;バッテリー電極;発光デバイス;発光ダイオード;トランジスタ;太陽電池;レーザ;及びダイオード注入型レーザから選択されるデバイスを生成するための方法である。典型的には、光電子デバイスは、光起電力デバイスである。
【0193】
通常、光電子デバイスを生成するための方法は、光起電力デバイスを生成するための方法である。より通常には、デバイスは太陽電池である。
【0194】
或いは、光電子デバイスを生成するための方法は、発光デバイス、例えば発光ダイオードを生成するための方法であってもよい。
【0195】
光電子デバイスを生成するための方法であって、光電子デバイスが、
第1の電極と、
第2の電極と、
第1及び第2の電極間に配置された、
(a)前記ペロブスカイトと
を含む方法は、通常、
(i)第1の電極を設けるステップと、
(ii)前記ペロブスカイトを堆積するステップと、
(iii)第2の電極を設けるステップと
を含む方法である。
【0196】
当業者に理解されるように、光電子デバイスを生成するための方法は、作製される光電子デバイスに応じて様々に変化することになり、特にデバイスの種々の構成要素に応じて変化することになる。以下に論じられ且つ具体化される方法は、第1の電極と、第2の電極と、第1及び第2の電極間に配置された、(a)n−型層と(b)前記ペロブスカイトと(c)p−型層とを含む、光電子デバイスを生成するための方法である。しかし、当業者に理解されるように、同じ方法を、異なる構成要素及び異なるレーザ構造を有する本発明のその他のデバイスを生成するのに使用してもよい。これらには、例えば、第1の電極と、第2の電極と、第1及び第2の電極間に配置された、(a)前記ペロブスカイトを含む薄膜とを含む、本発明の光電子デバイスが含まれる。また、本明細書に記述される方法は、第1の電極と、第2の電極と、第1及び第2の電極間に配置された、(a)半導体の層及び(b)前記ペロブスカイトとを含む、光電子デバイス、又は第1の電極と、第2の電極と、第1及び第2の電極間に配置された、(a)n−型層及び(b)前記ペロブスカイトとを含む、光電子デバイスを生成するのに使用することができ、又は光電子デバイスは、第1の電極と、第2の電極と、第1及び第2の電極間に配置された、(a)p−型層及び(b)前記ペロブスカイトとを含んでいてもよい。
【0197】
光電子デバイスを生成するための方法であって、光電子デバイスが、
第1の電極と、
第2の電極と
第1及び第2の電極間に配置された、
(a)n−型層、
(b)前記ペロブスカイト、及び
(c)p−型層と
を含む方法は、通常、
(i)第1の電極を設けるステップと、
(ii)n−型材料の層を堆積するステップと、
(iii)前記ペロブスカイトを堆積するステップと、
(iv)p−型材料の層を堆積するステップと、
(v)第2の電極を設けるステップと
を含む方法である。
【0198】
第1及び第2の電極は、アノード及びカソードであり、それらの一方又は両方は、光を進入させるように透明である。本発明の光電子デバイスの第1及び第2の電極に何を選択するかは、構造型に依存する可能性がある。典型的には、n−型層は酸化スズ上に堆積され、より典型的にはフッ素がドープされた酸化スズ(FTO)アノード上に堆積され、これは通常、透明又は半透明の材料である。したがって第1の電極は、通常、透明又は半透明であり、典型的にはFTOを含む。通常、第1の電極の厚さは200nmから600nm、より通常には300から500nmである。例えば、厚さは400nmであってもよい。典型的には、FTOがガラス板上にコーティングされる。しばしば、TFOでコーティングされたガラス板は、亜鉛粉末及び酸でエッチングされて、必要な電極パターンを生成する。通常、酸はHClである。しばしば、HClの濃度は約2モルである。典型的には、これらのガラス板を清浄化し、次いで通常は酸素プラズマの下で処理して、あらゆる有機残留物を除去する。通常、酸素プラズマの下での処理は、1時間以下にわたり、典型的には約5分である。
【0199】
通常、第2の電極は、高い仕事関数の金属、例えば金、銀、ニッケル、パラジウム、又は白金を含み、典型的には銀を含む。通常、第2の電極の厚さは50nmから250nmであり、より通常には100nmから200nmである。例えば、第2の電極の厚さは150nmであってもよい。
【0200】
通常、n−型層は金属酸化物半導体を含み、p−型層は正孔輸送材料を含む。金属酸化物半導体及び正孔輸送材料は、本明細書で定義した通りである。
【0201】
或いは、p−型層は金属酸化物半導体を含み、n−型層は電子輸送材料を含む。例えば金属酸化物半導体は、ニッケル、モリブデン、銅、若しくはバナジウムの酸化物、又はこれらの混合物を含んでいてもよい。しばしば、電子輸送材料は、フラーレン若しくはペリレン、又はこれらの誘導体、即ちP(NDI2OD−T2)を含む。例えば電子輸送材料は、P(NDI2OD−T2)であってもよい。
【0202】
一実施形態では、光電子デバイスは薄膜デバイスであってもよい。通常、n−型層は、金属酸化物、硫化物、セレン化物、又はテルル化物を含むことになる。しばしば、金属酸化物は、チタン、スズ、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ガリウム、ネオジム、パラジウム、若しくはカドミウムの酸化物、又はこれらの混合物となる。例えばn−型層は、TiO
2、SnO
2、ZnO、Nb
2O
5、Ta
2O
5、WO
3、W
2O
5、In
2O
3、Ga
2O
3、Nd
2O
3、PbO、又はCdOを含んでいてもよい。しばしば、金属酸化物はTiO
2である。典型的には、硫化物は、カドミウム、スズ、銅、又はこれらの混合物の硫化物となる。例えば硫化物は、FeS
2、CdS、又はCu
2ZnSnS
4であってもよい。通常、セレン化物は、カドミウム、亜鉛、インジウム、若しくはガリウムのセレン化物、又はこれらの混合物となる。例えば、セレン化物はCu(In,Ga)Se
2であってもよい。典型的には、テレナイドは、カドミウム、亜鉛、カドミウム、又はスズのテレナイドである。例えばテレナイドはCdTeであってもよい。
【0203】
光電子デバイスは、トンネル接合を含んでいてもよい。例えば光電子デバイスは、マルチ接合太陽電池又はタンデムセルであってもよい。
【0204】
光起電力デバイスを生成するための方法の一実施形態では、デバイスが、
第1の電極と、
第2の電極と
第1及び第2の電極間に配置された、
(a)半導体の多孔質層、
(b)前記ペロブスカイトを含む増感剤材料、及び
(c)電荷輸送材料と
を含み、この方法は、
(i)第1の電極を設けるステップと、
(ii)半導体の多孔質層を堆積するステップと、
(iii)前記ペロブスカイトを含む増感剤を堆積するステップと、
(iv)電荷輸送材料を堆積するステップと、
(v)第2の電極を設けるステップと
を含む。
【0205】
通常、半導体の多孔質層は、チタン、アルミニウム、スズ、亜鉛、又はマグネシウムの酸化物を含む。多孔質層は、チタン、アルミニウム、スズ、亜鉛、又はマグネシウムの酸化物の混合物を含んでいてもよい。典型的には、多孔質層は、チタン、スズ、亜鉛、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ガリウム、ネオジム、パラジウム、若しくはカドミウムの酸化物、又はこれらの混合物を含む。例えば、層は、TiO
2、SnO
2、ZnO、Nb
2O
5、Ta
2O
5、WO
3、W
2O
5、In
2O
3、Ga
2O
3、Nd
2O
3、PbO、又はCdOを含んでいてもよい。典型的には、半導体の多孔質層は、TiO
2を含む。より典型的には、半導体の多孔質層は、メソポーラスTiO
2を含む。
【0206】
金属酸化物ペーストが、金属酸化物の多孔質層を生成するのに典型的に使用される。より典型的には、TiO
2ナノ粒子ペーストが使用される。半導体の多孔質層の体積は、通常、ペーストをドクターブレードコーティング、スクリーン印刷、又はスピンコーティングするステップを含む。半導体の多孔質層は、通常、50nmから3μmの厚さを有し、例えば厚さは、200nmから2μmであってもよい。しばしば、層の厚さは0.6μmであってもよい。通常、n−型半導体の多孔質層を堆積するステップにおいて、層は400から600℃の第1の温度まで加熱され、典型的には約500℃の温度に加熱される。半導体の多孔質層の温度を、典型的には15から45分間にわたり、典型的には約30分間にわたり、第1の温度までゆっくり上昇させる。
【0207】
典型的には、半導体の多孔質層を堆積するステップは、半導体の層を表面処理するステップをさらに含む。表面処理ステップは、半導体の層の前記増感剤のパッキングを改善するのに使用されてもよい。追加として又は代替として、表面処理ステップは、半導体の層の前記増感剤の間に遮断層を設けることであってもよい。C
60の自己集合した単層を、前記遮断層として使用してもよい。しばしば、表面処理ステップで使用される組成物は、C
60、金属塩化物、金属酸化物、色素、及びCDCAから選択されてもよい。金属酸化物は、例えば、MgO、SiO
2、NiO、及びAl
2O
3から選択されてもよい。しばしば、金属塩化物は、式MY
4を有し、式中Mは金属カチオンであり、典型的にはTi
4+であり、Xはハロゲン化物アニオンであり、典型的には塩化物である。通常、半導体の層は、金属塩化物の溶液中に配置される。しばしば溶液は、TiCl
4の水溶液の、0.005から0.03Mの溶液である。さらにしばしば、溶液は、TiCl
4の水溶液の約0.015Mの溶液である。通常、n−型半導体の層は、30分から2時間、典型的には約1時間、溶液中に配置される。通常、溶液は、50から100℃の第1の温度、通常は約70℃の温度にある。しばしば、半導体の層が式MY
4の溶液中に配置された後、層を、典型的には脱イオン水で洗浄する。次いで半導体の層を空気中で乾燥し、且つ/又は少なくとも500℃の第2の温度、典型的には500から600℃の第2の温度に加熱してもよい。例えば半導体の層は、約500℃の第2の温度に加熱されてもよい。n−型半導体の層は、少なくとも30分間にわたり、第2の温度で滞留させたままであってもよい。典型的には、滞留時間は30分から2時間であり、通常は約45分である。しばしば、半導体の層は第2の温度にあり、層は空気の流れに曝される。次いで通常、半導体の層を、50から150℃の第3の温度、典型的には約70℃の第3の温度まで冷却する。次いで通常、半導体の層を5時間から24時間にわたり、典型的には約12時間にわたり、色素溶液中に入れたままにする。
【0208】
半導体の層は、典型的には半導体の緻密層上に堆積される。通常、半導体の緻密層は、チタン、スズ、亜鉛、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ガリウム、ネオジム、パラジウム、若しくはカドミウムの酸化物、又はこれらの混合物を含む。例えば層は、TiO
2、SnO
2、ZnO、Nb
2O
5、Ta
2O
5、WO
3、W
2O
5、In
2O
3、Ga
2O
3、Nd
2O
3、PbO、又はCdOを含んでいてもよい。典型的には、半導体の緻密層はTiO
2を含む。しばしば緻密層は、第1の電極上に堆積される。したがって光起電力デバイスを生成するための方法は、通常、半導体の緻密層を堆積するステップを含む。
【0209】
半導体の緻密層を堆積するステップは、例えば、エアロゾルスプレー熱分解堆積によって、半導体の緻密層を堆積するステップを含んでいてもよい。典型的には、エアロゾルスプレー熱分解堆積は、通常は200から300℃の温度での、しばしば約250℃の温度での、チタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトナート)を含んだ溶液の堆積を含む。通常、溶液は、チタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトナート)及びエタノールを、典型的には1:5から1:20の比で、より典型的には約1:10の比で含む。
【0210】
しばしば、半導体の緻密層を堆積するステップは、50nmから200nmの厚さ、典型的には約100nmの厚さの半導体の緻密層を堆積するステップである。
【0211】
前記ペロブスカイトを含む増感剤を堆積するステップにおいて、前記ペロブスカイトは本明細書に記述されるペロブスカイトである。前記ペロブスカイトを含む増感剤を堆積するステップは、通常、半導体の多孔質層上に増感剤を堆積するステップを含む。しばしば、前記ペロブスカイトを含む増感剤を堆積するステップは、前記ペロブスカイトをスピンコーティングするステップを含む。スピンコーティングは、通常、空気中で、典型的には1000から2000rpmの速度で、より典型的には約1500rpmの速度で、且つ/又はしばしば15から60秒間にわたり、通常は約30秒間にわたって行われる。増感剤は、通常、スピンコーティング前に溶媒中に置かれる。通常、溶媒はDMFであり、典型的には、使用される溶液の体積は1から200μlであり、より典型的には20から100μlである。溶液の濃度は、しばしばペロブスカイトが1から50体積%であり、通常は5から40体積%である。溶液は、例えば、前記スピンコーティング前に半導体の多孔質層の層上に計量分配され、約5から50秒間にわたり、典型的には約20秒間にわたってそのままにされる。増感剤をスピンコーティング後、前記ペロブスカイトを含む増感剤の層は、典型的には75から125℃の温度で配置され、より典型的には約100℃の温度で配置される。次いで前記ペロブスカイトを含む増感剤の層は、通常この温度で少なくとも30分間にわたり、より通常には30から60分間にわたってそのままにされる。しばしば、前記ペロブスカイトを含む増感剤の層は、この温度で約45分間にわたってそのままにされる。典型的には、前記ペロブスカイトを含む増感剤の層は、例えば薄黄色から濃褐色に変色することになる。変色は、所望の増感剤層の形成を示すのに使用されてもよい。
【0212】
通常、前記増感剤中のペロブスカイトは、10分以上にわたって酸素又は水分に曝された場合、分解しない。典型的には、ペロブスカイトは、24時間以上にわたって酸素又は水分に曝された場合に分解しない。
【0213】
しばしば、前記ペロブスカイトを含む増感剤を堆積するステップは、前記ペロブスカイト及び単一アニオンペロブスカイトを堆積するステップを含んでいてもよく、前記単一アニオンペロブスカイトは、第1のカチオンと、第2のカチオンと、ハロゲン化物アニオン及びカルコゲナイドアニオンから選択されるアニオンとを含み、第1及び第2のカチオンは、前記混合アニオンペロブスカイトに関して本明細書で定義された通りである。例えば増感剤は、CH
3NH
3PbICl
2及びCH
3NH
3PbI
3;CH
3NH
3PbICl
2及びCH
3NH
3PbBr
3;CH
3NH
3PbBrCl
2及びCH
3NH
3PbI
3;又はCH
3NH
3PbBrCl
2及びCH
3NH
3PbBr
3を含んでいてもよい。
【0214】
或いは、前記ペロブスカイトを含む増感剤を堆積するステップは、複数のペロブスカイトを堆積するステップを含んでいてもよく、各ペロブスカイトは混合アニオンペロブスカイトであり、前記混合アニオンペロブスカイトは本明細書で定義された通りである。例えば増感剤は、2又は3種の前記ペロブスカイトを含んでいてもよい。増感剤は、2種のペロブスカイトを含んでいてもよく、これらのペロブスカイトは両方とも混合アニオンペロブスカイトである。例えば増感剤は、CH
3NH
3PbICl
2及びCH
3NH
3PbIBr
2;CH
3NH
3PbICl
2及びCH
3NH
3PbBrI
2;CH
3NH
3PbBrCl
2及びCH
3NH
3PbIBr
2;又はCH
3NH
3PbBrCl
2及びCH
3NH
3PbIBr
2を含んでいてもよい。
【0215】
他の代替例として、前記ペロブスカイトを含む増感剤を堆積するステップは、少なくとも1種のペロブスカイト、例えば式(H
2N=CH−NH
2)PbI
3zBr
3(1−z)を有する少なくとも1種のペロブスカイトを含んでいてもよい。
【0216】
電荷輸送材料を堆積するステップは、通常、固体正孔輸送材料又は液体電解質である、電荷輸送材料を堆積するステップを含む。本発明の光電子デバイスの正孔輸送材料は、任意の適切なn−型若しくは電子輸送半導体材料、又は任意のp−型若しくは正孔輸送半導体材料であってもよい。
【0217】
電荷輸送材料が電子輸送材料である場合、電荷輸送材料は、フラーレン若しくはペリレン又はこれらの誘導体、ポリ{[N,N0−ビス(2−オクチルドデシル)−ナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)−2,6−ジイル]−alt−5,50−(2,20−ビチオフェン)}(P(NDI2OD−T2))、又は電解質を含んでいてもよい。
【0218】
電荷輸送材料が正孔輸送材料である場合、本発明の光電子デバイスの正孔輸送材料は、小分子又はポリマーをベースにした正孔伝導体であってもよい。
【0219】
典型的には、電荷輸送材料が正孔輸送材料である場合、電荷輸送材料は固体正孔輸送材料又は液体電解質である。
【0220】
しばしば、電荷輸送材料が正孔輸送材料である場合、電荷輸送材料はポリマー又は分子状の正孔輸送体である。典型的には、正孔輸送材料は、スピロ−OMeTAD(2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)9,9’−スピロビフルオレン))、P3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))、PCPDTBT(ポリ[2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル[4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル]])、PVK(ポリ(N−ビニルカルバゾール))、HTM−TFSI(1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)、Li−TFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、又はtBP(tert−ブチルピリジン)を含む。通常、正孔輸送材料は、スピロ−OMeTAD、P3HT、PCPDTBT、及びPVKから選択される。好ましくは、正孔輸送材料はスピロ−OMeTADである。
【0221】
電荷輸送材料が正孔輸送材料である場合、電荷輸送材料は、例えば、分子状正孔輸送体又はポリマー若しくはコポリマーであってもよい。しばしば、電荷輸送材料は分子状正孔輸送材料であり、ポリマー又はコポリマーは、下記の部分:チオフェニル、フェネレニル、ジチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ジケトピロロピロリル、エトキシジチオフェニル、アミノ、トリフェニルアミノ、カルボゾリル、エチレンジオキシチオフェニル、ジオキシチオフェニル、又はフルオレニルの1種又は複数を含む。
【0222】
或いは、電荷輸送材料が正孔輸送材料である場合、電荷輸送材料は無機正孔輸送体、例えばCuI、CuBr、CuSCN、Cu
2O、CuO、又はCISであってもよい。
【0223】
電荷輸送材料を堆積するためのステップの前に、電荷輸送材料はしばしば溶媒に、典型的にはクロロベンゼンに溶解される。通常、クロロベンゼンの濃度は150から225mg/mlであり、より通常には濃度が約180mg/mlである。典型的には、電荷輸送材料は、75から125℃の温度で、より典型的には約100℃の温度で溶媒に溶解される。通常、電荷輸送材料は、25分から60分間にわたり、より通常には約30分間にわたって溶解される。添加剤を電荷輸送材料に添加してもよい。添加剤は、例えば、tBP、Li−TFSi、イオン性液体、又は混合ハロゲン化物を有するイオン性液体であってもよい。
【0224】
通常、電荷輸送材料はスピロ−OMeTADである。しばしば、tBPも、電荷輸送材料を堆積するステップの前に電荷輸送材料に添加される。例えば、tBPは、tBP:スピロ−OMeTADの体積対質量比が1:20から1:30 (μl/mg)になるように添加されてもよい。典型的には、tBPは、tBP:スピロ−OMeTADの体積対質量比が1:26 (μl/mg)になるように添加されてもよい。追加として又は代替として、Li−TFSiを、電荷輸送材料を堆積するステップの前に正孔輸送材料に添加してもよい。例えばLi−TFSiは、Li−TFSi:スピロ−OMeTADの比が1:5から1:20 (μl/mg)になるように添加されてもよい。通常、Li−TFSiは、Li−TFSi:スピロ−OMeTADの比が1:12 (μl/mg)になるように添加されてもよい。
【0225】
電荷輸送材料を堆積するステップは、しばしば、電荷輸送材料を含む溶液を、前記ペロブスカイトを含む増感剤材料上にスピンコーティングするステップを含む。通常、スピンコーティングの前に、電荷輸送材料を含む少量の溶液を、前記ペロブスカイトを含む増感剤上に堆積する。少量とは、通常5から100 μlであり、より通常には20から70 μlである。電荷輸送材料を含む溶液は、スピンコーティング前に、典型的には少なくとも5秒間にわたり、より典型的には5から60秒間にわたり、そのままにされる。例えば、電荷輸送材料を含む溶液は、スピンコーティング前に約20秒間にわたってそのままにされる。電荷輸送材料のスピンコーティングは、通常500から3000rpmで、典型的には約1500rpmで実施される。スピンコーティングは、空気中でしばしば10から40秒間、より頻繁には約25秒間実施される。
【0226】
第2の電極を生成するステップは、通常、第2の電極を電荷輸送材料上に堆積するステップを含む。典型的には、第2の電極は、銀を含む電極である。しばしば、第2の電極を生成するステップは、電荷輸送材料を含む被膜を熱蒸発器内に置くステップを含む。通常、第2の電極を生成するステップは、高真空の下でシャドウマスクを通して第2の電極を堆積するステップを含む。典型的には、真空は約10
−6mBarである。第2の電極は、例えば、厚さが100から300nmの電極であってもよい。典型的には、第2の電極は、厚さが200nmからの電極である。
【0227】
典型的には、第2の電極と半導体の多孔質層との間の距離は、50nmから400nmであり、より典型的には150nmから250nmである。しばしば、第2の電極と半導体の多孔質層との間の距離は、200nm程度である。
【0228】
しばしば、本発明の光電子デバイスを生成するための方法は、光起電力デバイスのAM1.5G 100mWcm
−2電力変換効率が7.3%以上である光起電力デバイスを生成するための方法である。典型的には、AM1.5G 100mWcm
−2電力変換効率は、11.5%以上である。
【0229】
典型的には、本発明の光電子デバイスを生成するための方法は、光起電力デバイスの光電流が15mAcm
−2以上である光起電力デバイスを生成するための方法である。より典型的には、光電流は、20mAcm
−2以上である。
【0230】
本発明について、以下に続く実施例でさらに記述する。
【実施例】
【0231】
実験に関する記述:
1.有機金属ハロゲン化物ペロブスカイトの合成:
1.1.ヨウ化メチルアンモニウム前駆体の調製
メチルアミン(CH
3NH
2)を無水エタノール(Sigma−Aldrich)に溶かした33重量%溶液と、ヨウ化水素酸を水(Sigma−Aldrich)に溶かした57重量%溶液とを、無水エタノール200プルーフ(Sigma−Aldrich)中、窒素雰囲気下で1:1のモル比で反応させた。典型的な量は、メチルアミン24ml、ヨウ化水素酸10ml、及びエタノール100mlであった。ヨウ化メチルアンモニウム(CHNH
3I)の結晶化が、ロータリーエバポレータを使用して実現し、白色沈殿物が形成されたが、これは結晶化が首尾良くなされたことを示している。
【0232】
メチルアミンは、後に続くペロブスカイトの性質を変化させるために、エチルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、オクチルアミンなどのその他のアミンの代わりに使用することができる。さらに、ヨウ化水素酸の代わりに、塩酸など、異なるペロブスカイトが形成されるようにその他の酸を使用することができる。
【0233】
1.2.ヨウ化メチルアンモニウム塩化鉛(II)(CH3NH3PbCl2I)ペロブスカイト溶液の調製
ヨウ化メチルアンモニウム(CHNH
3I)沈殿物及び塩化鉛(II)(Sigma−Aldrich)を、ジメチルホルムアミド(C
3H
7NO)(Sigma−Aldrich)に1:1のモル比で、20体積%で溶解した。
【0234】
異なるペロブスカイトを作製するために、異なる前駆体、例えば異なるハロゲン化鉛(II)、又はヨウ化Snなどの全く異なる金属ハロゲン化物は全て一緒である。
【0235】
1.3.有機金属ハロゲン化物ペロブスカイト構造の一般化
ペロブスカイト構造は、ABX
3[式中、A=カチオン(0,0,0)−アンモニウムイオン、B=カチオン(1/2,1/2,1/2)−2価の金属イオン、及びX=アニオン(1/2,1/2,0)−ハロゲンイオンである]と定義される。以下の表は、可能性ある混合アニオンペロブスカイトを示す。
固定:[A]=メチルアンモニウム、[B]=Pb、様々な[X]=任意のハロゲン
【表1】
固定:[A]=メチルアンモニウム、[B]=Sn、様々な[X]=任意のハロゲン
【表2】
固定:[A]=メチルアンモニウム、[B]=Sn、様々な[X]=任意のハロゲン
【0236】
[A]は、例えばLiangらの米国特許第5,882,548号(1999)及びMitziらの米国特許第6,429,318号(2002)のように、異なる有機元素を使用して変えてもよい。
【0237】
1.4 ブレンドされたペロブスカイト
【表3】
【0238】
1.5 単一ハロゲン化物ペロブスカイトに対する混合ハロゲン化物ペロブスカイトの安定性
本発明者らは、混合ハロゲン化物ペロブスカイトを含む光起電力デバイスが、光を吸収し且つ太陽電池として動作することを見出した。単一ハロゲン化物ペロブスカイトから被膜を製作する場合、周囲条件下にある。ペロブスカイトは形成されるが、急速に退色する。この退色は、ペロブスカイト表面での水の吸着に起因するようであり、これは材料を退色させることがわかっている。完全な太陽電池を、これらの単一ハロゲン化物ペロブスカイトを使用して周囲条件で構築すると、この電池は、1%よりも低い完全太陽光電力変換効率で、非常に不十分な状態で機能する。対照的に、混合ハロゲン化物ペロブスカイトは空気中で加工することができ、デバイス製作プロセス中は無視できるほどの退色状態を示す。混合ハロゲン化物ペロブスカイトを組み込んだ完全な太陽電池は、周囲条件で予想外に十分機能し、完全太陽電力変換効率は10%を超える。
【0239】
1.6 ホルムアミニジウムカチオンを含むペロブスカイトの調製
ヨウ化ホルムアミジニウム(FOI)及び臭化ホルムアミジニウム(FOBr)を、酢酸ホルムアミジニウムをエタノールに溶かした0.5Mモル溶液と、3倍モル過剰なヨウ化水素酸(FOI用)又は臭化水素酸(FOBr用)と反応させることによって合成した。酸を、室温で撹拌しながら滴下し、次いでさらに10分間撹拌したままにした。100℃で乾燥すると、黄−白粉末が形成され、次いでこの粉末を、使用前に真空炉内で一晩乾燥した。FOPbI
3及びFOPbBr
3前駆体溶液を形成するために、FOI及びPbI
2又はFOBr及びPbBr
2を、無水N,N−ジメチルホルムアミドに1:1のモル比で、ml当たりそれぞれ0.88ミリモルで溶解することにより、0.88Mのペロブスカイト溶液が得られた。FOPbI
3zBr
3(1−z)ペロブスカイト前駆体を形成するために、混合物を、必要な比でFOPbI
3及びFOPbBr
3の0.88M溶液から作製した[式中、zは0から1に及ぶ]。
【0240】
特徴付け又はデバイス製作のための被膜を、窒素で満たされたグローブボックス内でスピンコートし、170℃で25分間、窒素雰囲気中でアニールした。
【0241】
2.電極の清浄化及びエッチング:
これらの実施例で使用され提示されるペロブスカイト太陽電池を、下記の通り製作した:フッ素ドープ型酸化スズ(F:SnO
2/FTO)がコーティングされたガラス板(TEC 15、15Ω/square、Pilkington USA)を、亜鉛粉末及びHCl(2M)でエッチングして、必要な電極パターンを得た。これらのガラス板を引き続き石鹸(Hellemanexの2%水溶液)、蒸留水、アセトン、エタノールで清浄化し、最後に酸素プラズマの下で5分間処理することにより、あらゆる有機残留物を除去した。
【0242】
3.緻密TiO2層の堆積:
次いでパターニングされたFTOシートを、キャリアガスとして空気を使用した250℃でのチタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトン)エタノール溶液(チタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトン)とエタノールとの体積比1:10)のエアロゾルスプレー熱分解堆積によって(Kavan,L.及びGratzel,M.、エアロゾル熱分解によって調製された非常に効率的な半導体TiO
2光電極(Highly efficient semiconducting TiO
2 photoelectrodes prepared by aerosol pyrolysis)、Electrochim.Acta 40、643(1995);Snaith,H.J.及びGratzel,M.、固体色素増感太陽電池の電子−収集電極での「ショットキー障壁」の役割(The Role of a “Schottky Barrier” at an Electron−Collection Electrode in Solid−State Dye−Sensitized Solar Cells)、Adv.Mater.18、1910(2006)参照)、TiO
2(100nm)の緻密層でコーティングした。
【0243】
4.メソポーラスTiO2被膜の堆積:
市販のdyesol 18NR−Tなど、標準のTiO
2ナノ粒子ペーストを、緻密TiO
2上にドクターブレードでコーティングし、スクリーン印刷し、又はスピンコートして、ドクターブレードの高さによって支配される200nmから2μmの間の乾燥膜厚を得た。次いでこれらのシートをゆっくり500℃に加熱し(30分かけて上昇させた。)、この温度で30分間、酸素流の下でベークした。冷却後、シートを、必要なサイズのスライドに切断し、さらに使用されるまで暗所で保存した。
【0244】
デバイスの各セットを製作する前に、ナノポーラス被膜をTiCl
4の0.015M水溶液中に70℃で1時間浸漬した。この手順を、メソポーラスTiO
2上でTiO
2の薄いシェルを成長させるのに利用した。TiCl
4処理後、被膜を脱イオン水で濯ぎ、空気中で乾燥し、もう一度500℃で45分間、空気流の下でベークした。70℃まで冷却したら、それらを色素溶液中に一晩置いた。
【0245】
5.ペロブスカイト前駆体溶液の堆積及びメソポーラスペロブスカイト半導体電極の形成:
体積濃度が5から40体積%である、ペロブスカイト前駆体溶液をDMFに溶かした溶液(ヨウ化メチルアンモニウム塩化鉛(II)(CH
3NH
3PbCl
2I))の、20から100μlの間の小体積を、それぞれ調製されたメソポーラス電極被膜上に計量分配し、20秒間そのままにした後に、1500rpmで30分間空気中でスピンコーティングした。次いでコーティングされた被膜を、摂氏100度に設定されたホットプレート上に置き、45分間、この温度で、空気中で放置した後に、冷却した。100度での乾燥手順中、コーティングされた電極は薄黄色から濃褐色に変色したが、これは半導体の性質を有する所望のペロブスカイト被膜が形成されたことを示している。
【0246】
6.正孔輸送体の堆積及びデバイスの組立て:
使用される正孔輸送材料は、180mg/mlの典型的な濃度でクロロベンゼンに溶解したスピロ−OMeTAD(Lumtec、台湾)であった。スピロ−OMeTADを100℃で30分間完全に溶解した後、溶液を冷却し、tertブチルピリジン(tBP)を、1:26 (μl/mg)のtBP:スピロ−MeOTADの体積対質量比で溶液に直接添加した。リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミン塩(Li−TFSI)イオンドーパントを、170mg/mlでアセトニトリルに事前に溶解し、次いで正孔輸送体溶液に、Li−TFSI溶液:スピロ−MeOTADが1:12(μl/mg)になるように添加した。少量(20から70μl)のスピロ−OMeTAD溶液を、ペロブスカイトがコーティングされたメソポーラス被膜のそれぞれに計量分配し、20秒間そのままにし、その後、1500rpmで、空気中で30秒間スピンコーティングした。次いで被膜を熱蒸発器内に置き、そこで200nmの厚さの銀電極を、高真空(10
−6mBar)の下でシャドウマスクを通して堆積した。
【0247】
7.FOPbI3zBr3(1−z)を含むデバイスの製作
デバイスを、フッ素ドープ型酸化スズでコーティングされたガラス基板上に製作した。これらを、hallmanex、アセトン、プロパン−2−オール、及び酸素プラズマで順次清浄化した。TiO
2の緻密層は、エタノールにチタンイソプロポキシドを溶かした緩酸性溶液をスピンコーティングすることによって堆積した。これを150℃で10分間乾燥した。TiO
2メソポーラス層は、エタノール中にDyesol 18NR−Tペーストを重量比1:7で希釈にしたものを、2000rpmでスピンコーティングすることによって堆積し、約150nmの層が形成された。次いで層を、空気中500℃で30分間焼結した。冷却後、ペロブスカイト前駆体を、窒素で満たされたグローブボックス内で2000rpmでスピンコートし、その後、170℃で25分間、窒素雰囲気中でアニールした。正孔輸送層は、tert−ブチルピリジン(tBP)及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li−TFSI)が添加された、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−pメトキシフェニルアミン)9,9’−スピロビフルオレン(スピロ−OMeTAD)をクロロベンゼンに溶かした8重量%溶液を、スピンコーティングすることによって堆積した。デバイスは、60nmのAuコンタクトの蒸着によって完成した。
【0248】
実験結果
図1には、固体ペロブスカイト増感太陽電池の断面の概略図が示されている。光は底面から入射する。デバイスは、ガラス基板上にコーティングされたフルオレンドープ型酸化スズ(FTO)の平らな被膜を含む。FTOは、提示される構成においてはアノードである。FTOの最上部では、緻密TiO
2の薄(約50nmの厚さ)層が正孔遮断及び電子収集中間層として機能し、このアノードでの電子の選択的収集が確実に行われる。緻密TiO
2上には、TiO
2のメソポーラス被膜がコーティングされ、高表面積n−型アノードとして機能する働きをする。このメソポーラスTiO
2には、増感剤として機能するペロブスカイト材料がコーティングされる。増感剤の役割は、太陽光を吸収し、光励起した電子をTiO
2に移送し且つ正孔を正孔輸送体に移送することである。ペロブスカイト増感型メソポーラスTiO
2被膜の細孔は、主に、正孔輸送体で満たされる。正孔輸送体の役割は、ペロブスカイト増感剤の価電子帯(valance band)から光生成正孔を受容し、デバイスから出たこれらの正孔を外部回路に輸送することである。デバイスを金属電極でキャップして、太陽電池を完成させる。太陽電池の構造及び構成要素の組成の更なる例示を、
図3及び
図4に示す。
【0249】
図2には、単一ハロゲン化物ペロブスカイトに関するUV−Vis吸収スペクトルが示されている。
図2aでは、目には黄色に見える臭化鉛ペロブスカイト(CH
3NH
3PbBr
3)が示される。
図2bでは、目には濃褐色に見えるUV−Vis−NIR(紫外‐可視‐近赤外)のヨウ化鉛ペロブスカイト(CH
3NH
3PbI
3)が示される。ヨウ化鉛ペロブスカイトは、太陽電池での潜在的な使用に関し、非常に良好な吸収スペクトルを有する。しかし材料の不安定性により、固体ペロブスカイト増感太陽電池の増感剤として用いられる場合には、十分作用しない。
【0250】
図5には、混合ハロゲン化物ペロブスカイトのUV−Vis−NIR吸収スペクトルが示されている。ヨウ化鉛塩化物ペロブスカイト(CH
3NH
3PbCl
2I)は、目に濃褐色に見え、これは濃い線で示されており、臭化鉛塩化物ペロブスカイト(CH
3NH
3PbCl
2Br)は、目には赤に見え、これは薄い線で示されている。本発明者らは、CH
3NH
3PbCl
2IペロブスカイトをK330、CH
3NH
3PbCl
2BrをK331と名付ける。ヨウ化鉛塩化物ペロブスカイトは、太陽スペクトルの可視光全体から近赤外領域にわたって非常に強力に吸収するので、特に将来性がある。
【0251】
ペロブスカイト吸収体の光電力を最初に試験するために、平らな層の太陽電池を構成した。
図6には、平らな層のK330太陽電池に関する電流電圧曲線が示されている。3.5mAcm
−2の光電流は、平らな層の増感太陽電池としてはかなり高い。
【0252】
正孔−輸送体としてスピロ−OMeTADを用い、ペロブスカイト吸収体としてCH
3NH
3PbCl
2Iを用いる、
図1で記述され例示された、完成した太陽電池に関する、AM1.5のシミュレートされた太陽光100mWcm
−2放射照度の下で測定された電流電圧曲線を、
図7に示す。光電流は20mAcm
−2を超え、全体的な電力変換効率は11.5%である。このレベルの性能は、固体増感太陽電池としては予想外に高く、この技術における性能の絶対的なブレークスルーを示す。比較すると、固体色素増感太陽電池に関して報告された最高効率は、7%を超えただけであり、液体電解質色素増感太陽電池に関して検証された最高効率は、11.4%である。
【0253】
図8には、正孔輸送体としてP3HTを用い、ペロブスカイト吸収体としてCH
3NH
3PbCl
2Iを用いる、
図1に記述され例示された、完成した太陽電池に関する、AM1.5のシミュレートされた太陽光100mWcm
−2放射照度の下で測定された電流電圧曲線が、示されている。このデバイスも同様に機能するが、正孔輸送体としてスピロ−OMeTADを用いたデバイスほどではない。
【0254】
図9には、正孔輸送体としてスピロ−OMeTADを用いたK330増感太陽電池に関する、外部量子効率(EQE)作用スペクトルが示される。ピークで80%という予想外に高いEQEと、吸収範囲全体にわたって幅広く機能することは、シミュレートされた太陽光の下で測定された高い光電流を証明するものである。
【0255】
図10には、正孔輸送体として、半導体ポリマー、P3HT及びPCPDTBTを用いたK330増感太陽電池に関する、外部量子効率作用スペクトルが示される。EQEスペクトルは、ポリマーが光を吸収する窪み部分を有し、P3HT吸収最大値が500から600nmの間にあり、PCPDTBT吸収最大値が700nmにある。EQEスペクトルのこれらの窪み部分は、ポリマーが、通常ならペロブスカイト増感剤に吸収されたと考えられる光を実際に吸収していることを示す。光がポリマーに吸収されると、電荷を非常に効率的に生成するようには見えない。この「光フィルタリング効果」は、光電流が、小分子の広いバンドギャップを有する正孔伝導体スピロ−OMeTADよりも、ポリマー正孔伝導体P3HTを用いたペロブスカイト増感太陽電池でより低いことを証明する。
【0256】
図11は、K330及びスピロ−OMeTADを含んだ完全な光活性を有する太陽電池の、UV−Vis−NIR吸収スペクトルを示す。被膜を窒素中で封止する。100mWcm
−2放射照度でのAM1.5太陽光からの1000時間にわたる一定の照明では、吸収スペクトルに無視できるほどの変化がある。これは、ペロブスカイトが、太陽電池の光活性層において安定であることを示す。
【0257】
図12は、
図11のデータから抽出された、Am1.5照明の下で時間の関数としての、500nmでの光学密度を示す。
【0258】
図13に示されるX線回折パターンは、X’pert Pro X線回折計を使用することにより、スライドガラス上にコーティングされたCH
3NH
3PbCl
2I薄膜から室温で抽出した。
【0259】
図13は、ガラス基板上の、メチルアンモニウムジクロロモノヨード鉛酸塩(II);CH
3NH
3PbCl
2I被膜の、典型的なX線回折パターンを示す。X線回折パターンは、ABX
3型の立方晶(a=b=c=90)ペロブスカイト構造(Pm3m)を確認する。CH
3NH
3PbCl
2Iは、格子定数がa)8.835Å、b)8.835、及びc)11.24Åである、立方晶ペロブスカイト構造のそれぞれ(100)、(200)、及び(300)平面として割り当てられた回折ピークを14.20、28.58、及び43.27°で与えた。(h00:但しh=1〜3)の鋭い回折ピークAは、ガラス基板上に製作された被膜が主に単相であり、a軸自己集合により高度に配向していることを示唆している[「光起電力セル用の可視光増感剤としての有機金属ハロゲン化物ペロブスカイト(Organometal Halide perovskites as Visible−Light Sensitizers for Photovoltaic Cells)」、Akihiro Kojima、Kenjiro Teshima、Yasuo Shirai、及びTsutomu Miyasaka、J.Am.Chem.Soc.2009、131、6050]。
【0260】
CH
3NH
3+カチオンは、その動的配向が与えられたX線で割り当てることはできず、CH
3NH
3+は、分子対称性に適合せず、したがってカチオンは室温で、この相内では無秩序なままである。したがって、全回折強度に対するC及びN原子の有効な関与は、Pb及びX(Cl及びI)からの関与よりも非常に小さい[「アルキルアンモニウム鉛ハロゲン化物 パート2 CH
3NH
3PbX
3(X=Cl、Br、I)ペロブスカイト:等方性カチオン再配向を有する立方八面体ハロゲン化物ケージ(Alkylammonium lead halides.Part 2.CH
3NH
3PbX
3(X=C1,Br,I)perovskites:cuboctahedral halide cages with isotropic cation reorientation)」、Osvaldkn OP及びRodericke Wasylishenmら、Can.J.Chem.1990、68、412.]。
【0261】
(h,0,0)にある、合成された混合CH
3NH
3PbCl
2Iのピーク位置は、より低い2θに向かってシフトし、且つ純粋なメチルアンモニウムトリハロゲン鉛酸塩、即ちCH
3NH
3PbI
3とCH
3NH
3PbCl
3との間にそれぞれ位置決めされ[「ミリメートル波分光法により観察されたメチルアンモニウムトリハロゲン鉛酸塩(II)における動的無秩序(Dynamic disorder in methylammoniumtrihalogenoplumbates(II) observed by millimeter−wave spectroscopy)」、A.Poglitsch及びD.Weber、J.Chem.Phys.1987、87、6373.]、また、「I」分の添加による、純粋な「Cl」ベースのペロブスカイト、即ちCH
3NH
3PbCl
3(a=5.67Å)と比べて、CH
3NH
3PbCl
2I被膜の高い格子定数(a=8.835Å)は、混合ハロゲン化物ペロブスカイトが形成されたことの証明を与える[「CH
3NH
3PbX
3(X=ハロゲン)及びそれらの混合ハロゲン化物結晶の光学的性質(Optical properties of CH
3NH
3PbX
3(X=halogen) and their mixed−halide crystals)」、N.Kitazawa、Y.Watanabe、及びY Nakamura、J.Mat Sci.2002、37、3585.]。
【0262】
数個の未確認のピークに含有される生成物の回折パターンでは、それらはいくらかの不純物(例えば、Pb(OH)Cl、CH
3NH
3X;X=Cl及び/又はI、又は僅かに過剰な反応物が使用される場合であっても合成中に生成され得る関連ある化合物)の存在を含めた様々の因子に関与する可能性があり、また、結果的に望ましくない不純物を形成する可能性がある化合物の吸湿性にも関与する可能性がある[「アルキルアンモニウム鉛ハロゲン化物 パート2 CH
3NH
3PbX
3(X=Cl、Br、I)ペロブスカイト:等方性カチオン再配向を有する立方八面体ハロゲン化物ケージ(Alkylammonium lead halides.Part 2.CH
3NH
3PbX
3(X=C1,Br,I)perovskites:cuboctahedral halide cages with isotropic cation reorientation)」、Osvaldkn OP及びRodericke Wasylishenmら、Can.J.Chem.1990、68、412.]。さらに、純粋な「I」ベースのペロブスカイト(CH
3NH
3PbI
3)が正方晶構造を形成するという事実を踏まえ、格子中に存在する「I」イオンは室温でピークのいくつかを分割する可能性がある[「アルキルアンモニウム鉛ハロゲン化物 パートI(Alkylammonium lead halides.Part 1) Isolated〜b 1 6 i〜on−s in(CH
3NH
3)
4Pb
16−2H
2O」、Beverlyr Vincent K、Robertsont、Stanlecya merona、N Dosvaldk、Can.J.Chem.1987、65、1042.;「光起電力セル用可視光増感剤としての有機金属ハロゲン化物ペロブスカイト(Organometal Halide perovskites as Visible−Light Sensitizers for Photovoltaic Cells)、Akihiro Kojima、Kenjiro Teshima、Yasuo Shirai、及びTsutomu Miyasaka、J.Am.Chem.Soc.2009、131、6050]。
【0263】
図14には、FTO電極上にコーティングされたメソポーラスTiO
2被膜の、走査型電子顕微鏡法(SEM)断面画像が示される。ペロブスカイト前駆体溶液は、スピンコーティングを介して多孔質TiO
2内にコーティングされる。このコーティング法について詳述するために、溶液−キャスト材料がメソポーラス酸化物中にどのように浸潤するかを調査した、先の広範な研究がある(H.J.Snaithら、Nanotechnology 19、424003〜424015(2008);T.Leijtensら、ACS Nano 6、1455〜1462(2012);J.Melas−Kyriaziら、Adv.Energy.Mater.1、407〜414(2011);I−K.Dingら、Adv.Funct.Mater.19、2431〜2436(2009);A.Abrusciら、Energy Environ.Sci.4、3051〜3058(2011))。溶液の濃度が十分低く、キャスト材料の溶解度が十分高い場合、材料は、溶媒が蒸発するにつれて細孔内に完全に浸透するようになる。通常の結果は、材料が、メソポーラス被膜の内面上に「湿潤」層を形成し、均一にしかし不完全に、電極の厚み全体にわたって細孔を満たすことである。「細孔充填」の程度は、溶液濃度を変えることによって制御される。キャスト溶液の濃度が高い場合、細孔充填の程度が高いことに加えて「キャッピング層」がメソポーラス酸化物の最上部に形成されることになる。
図15には、ペロブスカイト吸収体でコーティングされたメソポーラスTiO
2被膜の断面SEM画像が示される。キャッピング層は見えず、これは、ペロブスカイトが主にメソポーラス被膜内にあることを示唆している。光活性層を完成させるには、正孔輸送体、スピロ−OMeTADを、ペロブスカイトがコーティングされた電極の最上部にスピンコートする。
図16には、完全な光活性被膜の断面SEM画像が示され、スピロ−OMeTADがキャッピング層を形成したことがここでは明らかである。
【0264】
図17から
図19は、ホルムアミジニウムカチオンを含むペロブスカイト、及びFOPbI
3yBr
3(1−y)を含むデバイスに関する。一般に、より大きいエキシトン結合エネルギーを必然的に有することになる層状ペロブスカイトを生成するのとは対照的に、ペロブスカイトでは3D結晶構造を保つことが有利と見なされる(Journal of Luminescence 60&61(1994)269 274)。ペロブスカイトのバンドギャップを調整できることも有利である。バンドギャップは、金属カチオン又はハロゲン化物のいずれかを変えることによって、変えることができ、これは電子軌道と結晶構造の両方に直接影響を及ぼすものである。或いは、有機カチオンを変える(例えば、メチルアンモニウムカチオンからホルムアミジニウムカチオンに変える)ことによって、結晶構造を変化させることができる。しかし、ペロブスカイト結晶に適合させるために、下記の幾何学的条件:(R
A+R
x=t√2(R
B+R
X)[式中、R
A、B、及びXは、ABXイオンのイオン半径である]を満たさなければならない。本発明者らは、予期せず、ホルムアミジニウムカチオン(FO)が確かに、FOPbBr
3又はFOPbI
3ペロブスカイト及びこれらの混合ハロゲン化物ペロブスカイト中において立方構造でペロブスカイト構造を形成することを見出した。