(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
二次電池として、例えばナトリウム−硫黄電池(以下、NaS電池と記す)が挙げられる。このNaS電池は、活物質である金属ナトリウム及び硫黄が固体電解質管により隔離収納された構造の高温二次電池であり、約300℃の高温に加熱されると、溶融された両活物質の電気化学反応により、所定のエネルギーが発生する。そして、通常、NaS電池は、複数の単電池を立設集合し、相互に接続した集合電池(モジュール)の形で用いられている。すなわち、集合電池は、複数の単電池を直列に接続した回路(ストリング)を、並列に接続してブロックを構成し、さらに該ブロックを少なくとも2以上直列に接続して集合電池とした上で集合電池用容器に収容した構造を有する。
【0003】
NaS電池の使用にあたっては、複数の断熱容器を鉛直方向にそれぞれ金属製の固定ラック(架台)を介して積載して1つのモジュール列を構成し、複数のモジュール列を横方向に配列させて1つの電力貯蔵装置(二次電池システム)を構成するようにしている。
【0004】
ところで、NaS電池等の使用に際しては、アースからの絶縁性は所定の性能を有していなければならず、例えば、発変電規程の絶縁耐力試験では「電池の最大使用電圧×1.5の直流電圧を10分間印加して絶縁性能に劣化のないこと」とされている。また、絶縁抵抗値の測定については「500Vまたは1000Vの絶縁抵抗計を用い、その1分値が0.4MΩ以上であること」とされている。
【0005】
そこで、従来では、上述の絶縁抵抗値を確保するために、単電池の周囲及びケースの側壁内面にセラミック又はマイカの平板を取り付けたり(実開平4−10956号公報参照)、集合電池を固定ラックに対して電気的に絶縁させるようにしている(特開2002−164081号公報参照)。また、他の構成では、断熱容器と単電池との間隙部に充填された粒状防火材と、単電池の側面全体を覆うように該単電池に巻き付けられた側面マイカカバーと、単電池の底面全体を覆うように該単電池に取り付けられた底面マイカカバーとを備えた例も提案されている(中国実用新案第201120527662.6号明細書参照)。
【発明の概要】
【0006】
二次電池システムを構築する場合、上述したように、複数のモジュールを組み合わせることになる。この場合、各架台がアース(グランド:GND)に接続されることから、等価回路として見た場合に、各モジュールとアースとの間に、モジュール毎の絶縁抵抗が並列に接続された形態となる。これにより、1個のモジュールの場合よりも絶縁抵抗が低下する。そのため、二次電池システムに接続されるモジュールの数を増やしたい場合、各モジュールの絶縁抵抗をより高める必要がある。
【0007】
そこで、集合電池と容器間に設置されるセラミックやマイカ等の平板の枚数を増やしたり、平板の厚みを大きくすることが考えられる。しかし、容器のサイズ、特に、高さ方向のサイズが大きくなることと、運転中にマイカに亀裂が生じやすくなるという問題がある(中国実用新案第201120527662.6号明細書参照)。
【0008】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、単電池1個当たりの絶縁抵抗を向上させることができ、マイカ等の絶縁部材の枚数や厚みを増加させることなく、モジュール毎の絶縁抵抗を高めることができ、二次電池システムに接続されるモジュールの数を増やすことができる二次電池を提供することを目的とする。
【0009】
[1] 本発明に係る二次電池は、金属製の容器と、前記容器の底面に積層された複数の絶縁シートと、前記絶縁シート上に載置された単電池とを有し、前記単電池の前記容器の底面に対する投影面積をAa、前記単電池と前記絶縁シートとの接触面積をAb、前記投影面積での前記絶縁シート間の接触面積をAcとしたとき、
Aa>Ab
Aa>Ac
のうち、少なくともいずれか1つを満足することを特徴とする。
【0010】
これにより、単電池当たりの絶縁抵抗を向上させることができ、絶縁シートの枚数や厚みを増加させることなく、多数の二次電池を組み合わせた集合電池の絶縁抵抗も大きくなる。そのため、複数の集合電池を例えば直列に接続して1つの二次電池システムとした場合、二次電池システムとアースとの間の絶縁抵抗も大きくなる。その結果、電力が同一レベルの二次電池システムを構築する場合に、接続する集合電池の数を増やすことが可能となる。
【0011】
[2] ここで、単電池は、筒状の電池本体と、前記電池本体を収容するカバー部材とを有し、前記カバー部材は、前記電池本体の少なくとも側面を被覆する筒状体と、前記電池本体の底面の少なくとも一部が接触する底部とを有し、前記底部は、前記複数の絶縁シートのうち、前記単電池毎に分離された最上層の絶縁シートに接触していてもよい。
【0012】
[3] この場合、前記底部は、前記電池本体の前記底面から離間する方向に張り出し、端面が前記最上層の絶縁シートと接触する張り出し部を有し、前記張り出し部の前記端面の面積が前記電池本体の前記底面の面積よりも小さいことが好ましい。これにより、上述のAa>Abを満足する。
【0013】
例えば二次電池とアースとの間の絶縁抵抗を考えた場合、電池本体の底面に絶縁板を接触させた場合と、カバー部材の底部における張り出し部の端面に絶縁シートを接触させた場合とでは、張り出し部の端面の面積が電池本体の底面の面積よりも小さいことから、張り出し部の端面に絶縁シートを接触させた方が絶縁抵抗が大きくなり、多数の二次電池を組み合わせた集合電池の絶縁抵抗も大きくなる。そのため、複数の集合電池を例えば直列に接続して1つの二次電池システムとした場合、二次電池システムとアースとの間の絶縁抵抗も大きくなる。その結果、電力が同一レベルの二次電池システムを構築する場合に、接続する集合電池の数を増やすことが可能となる。
【0014】
すなわち、マイカシート等の絶縁部材の枚数や厚みを増加させることなく、集合電池毎の絶縁抵抗を高めることができ、二次電池システムに接続される集合電池の数を増やすことができる。
【0015】
[4] 本発明において、前記張り出し部は、前記電池本体の前記底面と対向する面に少なくとも1つの段差を有してもよい。これにより、張り出し部の端面のうち、絶縁板と接触する面積を減らすことができ、二次電池とアース間の絶縁抵抗をさらに大きくすることができる。
【0016】
[5] この場合、前記段差は、前記張り出し部の張り出し方向に沿って延びていてもよい。
【0017】
[6] あるいは、前記段差は、前記張り出し部の張り出し方向とは反対方向に沿って延びていてもよい。
【0018】
[7] 本発明において、前記張り出し部は、前記電池本体の前記底面と対向する面に少なくとも1つの凸部を有してもよい。この場合、張り出し部の端面全体が絶縁板に接触するのではなく、凸部の端面が絶縁板に接触することになるため、絶縁板と接触する面積を減らすことができ、二次電池とアース間の絶縁抵抗をさらに大きくすることができる。
【0019】
また、絶縁板が張り出し部に設けられた凸部の端面に直接接触し、張り出し部が緩衝部材(サスペンション部材)として機能することから、集合電池を
支持する架台や筐体等に振動が生じても、その振動が張り出し部にてほとんど打ち消されるため、振動が直接電池本体に伝達することがない。これは二次電池の信頼性の向上につながる。
【0020】
また、張り出し部と絶縁板との接触面積が小さくなることで、絶縁板に対する応力が大きくなるが、絶縁板にて応力が分散され、下方に位置する別の絶縁部材である例えばマイカシート等に対して集中荷重としてではなく、分布荷重として作用することになり、マイカシート等に破壊(亀裂等)が発生しにくい。
【0021】
[8] この場合、前記凸部は、前記張り出し部の張り出し方向に沿って突出していてもよい。
【0022】
[9] あるいは、前記凸部は、前記張り出し部の張り出し方向とは反対方向に沿って突出していてもよい。
【0023】
[10] 本発明において、前記カバー部材は、前記筒状体と前記底部とが結合され、前記電池本体の軸方向に沿って、且つ、前記電池本体の前記底面から離間する方向に延びる結合部を有し、前記結合部の端面は、前記電池本体の前記底面に対応した位置と前記張り出し部の端面に対応した位置との間に位置されていてもよい。これにより、結合部の長さをある程度確保することができることから、溶接等によって結合部を強固に結合することができる。しかも、絶縁板と結合部との接触が回避されるため、結合部と絶縁板との接触による絶縁抵抗の
減少を防止することができる。
【0024】
[11] この場合、前記張り出し部の端面に接触する前記最上層の絶縁シート(絶縁板)の外周形状と、前記結合部の端面の外周形状とがほぼ一致していてもよい。この場合、絶縁板を張り出し部の端面全体に対向して配置することができ、絶縁板を凸部の端面全体に確実に接触させることが可能となる。
【0025】
[12] 本発明において、前記張り出し部の端面に接触する前記最上層の絶縁シートに加えて、カバー部材の筒状体と絶縁シートの外周部分を被覆する筒状の絶縁部材を有してもよい。これにより、複数の電池本体を並置した場合において、電池本体間の電気的絶縁を図ることができる。
【0026】
[13] 本発明において、前記筒状の絶縁部材の下端部は、前記最上層の絶縁シートの下方において内方に曲げられ、その内径は、前記絶縁シートの外径よりも小に設定されていてもよい。これにより、絶縁部材の下端部は、絶縁シートと別の絶縁物(例えばマイカシート)にて挟持された形となるため、筒状の絶縁部材が電池本体から外れたり、巻回状態が展開してしまうことを防止することができる。もちろん、筒状の絶縁部材の下端部は、絶縁抵抗の増加にも寄与する。
【0027】
[14] 本発明において、前記最上層の絶縁シートは、1以上の貫通孔が形成されていてもよい。
【0028】
[15] あるいは、前記最上層の絶縁シートは、幅が前記単電池の外径よりも小である複数の帯状のシートが配列されて構成されていてもよい。
【0029】
これら[14]及び[15]に示す構成においても、上述のAa>Abを満足させることができる。
【0030】
[16] 本発明において、前記複数の絶縁シートのうち、前記最上層の絶縁シート下に存する少なくとも1つの絶縁シートは、複数の貫通孔が設けられていてもよい。
【0031】
[17] あるいは、前記複数の絶縁シートのうち、前記最上層の絶縁シート下に存する少なくとも1つの絶縁シートは、幅が前記単電池の外径よりも小である複数の帯状のシートが配列されて構成されていてもよい。
【0032】
これら[16]及び[17]に示す構成においては、上述のAa>Acを満足させることができる。
【0033】
本発明に係る二次電池によれば、二次電池1個当たりの絶縁抵抗を向上させることができ、マイカ等の絶縁部材の枚数や厚みを増加させることなく、モジュール毎の絶縁抵抗を高めることができ、二次電池システムに接続されるモジュールの数を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本実施の形態に係る二次電池が適用される二次電池システムの一例を示す正面図である。
【
図2】
図2Aはモジュールの構成を示す断面図であり、
図2Bはモジュールの構成を一部破断して示す上面図である。
【
図3】モジュールに含まれる集合電池を示す等価回路図である。
【
図4】本実施の形態に係る単電池の構成を、カバー部材、絶縁板及び絶縁部材を破断して示す説明図である。
【
図5】
図5Aは本実施の形態に係るカバー部材の底部を示す断面図であり、
図5Bはカバー部材の底部を上面から見て示す平面図である。
【
図6】例えば電力がA(kW)のモジュールをn台直列に接続して構成したn×A(kW)の二次電池システムを示す等価回路図である。
【
図7】参考例に係る単電池の構成を、カバー部材、絶縁板及び絶縁部材を破断して示す説明図である。
【
図8】
図8Aは参考例に係るカバー部材の底部を示す断面図であり、
図8Bはカバー部材の底部を上面から見て示す平面図である。
【
図9】
図9Aは第1変形例に係るカバー部材の底部を示す断面図であり、
図9Bはカバー部材の底部を上面から見て示す平面図である。
【
図10】
図10Aは第2変形例に係るカバー部材の底部を示す断面図であり、
図10Bはカバー部材の底部を上面から見て示す平面図である。
【
図11】
図11Aは第3変形例に係るカバー部材の底部を示す断面図であり、
図11Bはカバー部材の底部を上面から見て示す平面図である。
【
図12】
図12Aは第4変形例に係るカバー部材の底部を示す断面図であり、
図12Bは第5変形例に係るカバー部材の底部を示す断面図である。
【
図13】
図13Aは第1変形例に係る二次電池の構成を、カバー部材、絶縁板及び絶縁部材を破断して示す説明図であり、
図13Bは絶縁板(リング状)を上面から見て示す平面図である。
【
図14】
図14Aは第2変形例に係る二次電池の構成を、カバー部材、絶縁板及び絶縁部材を破断して示す説明図であり、
図14Bは絶縁板(格子状)を上面から見て示す平面図である。
【
図15】
図15Aは第3変形例に係る二次電池の構成を、カバー部材、絶縁板及び絶縁部材を破断して示す説明図であり、
図15Bは絶縁板(帯状)を上面から見て示す平面図である。
【
図16】
図16Aは第4変形例に係る二次電池の構成を、カバー部材、絶縁板及び絶縁部材を破断して示す説明図であり、
図16Bはマイカシート(格子状)を上面から見て示す平面図である。
【
図17】
図17Aは第5変形例に係る二次電池の構成を、カバー部材、絶縁板及び絶縁部材を破断して示す説明図であり、
図17Bはマイカシート(帯状)を上面から見て示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る二次電池を例えばNaS電池に適用した実施の形態例を
図1〜
図17Bを参照しながら説明する。
【0036】
先ず、本実施の形態に係る二次電池が適用される二次電池システム10は、
図1に示すように、多数の単電池12(
図2A参照)が筐体14に収容された2以上のモジュール16を有する。具体的には、本実施の形態では、所定個数(
図1の例では5つ)のモジュール16が直列接続されて構成されたモジュール列18を2以上有する。各モジュール16は、それぞれ対応する架台20に設置されている。本実施の形態に係る二次電池は、単電池12のみを指す場合があるほか、モジュール16、あるいはモジュール列18、あるいは二次電池システム10を指す場合もある。
【0037】
ここで、モジュール16の構造、特に、筐体14の構造について
図2A及び
図2Bを参照しながら説明する。
【0038】
筐体14は、断熱容器であって、例えば鋼材で構成された基台21と、基台21上に載置固定された上面開口の箱体22と、箱体22の開口を閉塞する蓋体24とによって構成されている。
【0039】
箱体22は、例えばステンレスからなる板材によって構成し、それ自体が中空部を有する箱状に形成されている。中空部は、気密的に封止された密閉空間であり、図示されない真空バルブによって、中空部と外部空間とが連通し得る構造となっている。中空部には、ガラス繊維を接着剤で板状に固化させた多孔質の真空断熱ボード26を装填して、箱体22を真空断熱構造としている。
【0040】
蓋体24は、箱体22と同様に例えばステンレスからなる板材によって構成される。その内面側(下面側)には、必要最小限の断熱性を得るための断熱材層が配置され、中空部28に少なくとも2以上の脱着可能な断熱板30が積層充填される。これにより、蓋体24(上面)のみを大気断熱構造にして、且つ、筐体14の上面からの放熱量を制御可能にしている。
【0041】
なお、箱体22の底面22aには、図示しないが、例えば緩衝材、ヒータ、均熱板、電気絶縁用のマイカシート(絶縁シート)等が積層されて敷設されている。ヒータは箱体22の側面にも設置される。
【0042】
筐体14には、箱体22と蓋体24とによって形成される内部空間40に、多数の単電池12によって形作られた1つの集合電池42が立てた状態で収納されている。単電池12の破損、異常加熱、あるいは活物質の漏洩等に対応できるように、図示しないが、消
火砂として珪砂が箱体22と集合電池42との間隙に充填される。
【0043】
集合電池42は、
図3に示すように、複数のブロック44が直列接続されて構成され、各ブロック44は、複数の単電池12が直列接続した複数の回路(ストリング46)が並列に接続されて構成されている。
【0044】
そして、単電池12は、
図4に示すように、マイカシート47上に載置され、電池本体48と、電池本体48を収容する金属製のカバー部材50とを有する。
【0045】
電池本体48は、筒状(例えば円筒状)に形成され、上面48aの周辺部に正極端子52が取り付けられ、中央部に負極端子54が取り付けられている。
【0046】
カバー部材50は、電池本体48の少なくとも側面を被覆する筒状体56と、電池本体48の底面48bの少なくとも一部が接触する底部58と、筒状体56と底部58とが例えば溶接等によって結合された結合部60とを有する。結合部60は、電池本体48の軸方向に沿って、且つ、電池本体48の底面48bから離間する方向に延びて形成されている。
【0047】
筒状体56の上端部56aは、内方に曲げられ、この上端部56aと底部58とで電池本体48を上下方向から挟持した状態となっている。すなわち、このカバー部材50は、電池本体48の軸方向への伸びを抑える機能を有する。
【0048】
そして、カバー部材50の底部58は、
図4、
図5A及び
図5Bに示すように、電池本体48の底面48bから離間する方向に張り出した張り出し部62を有する。すなわち、底部58の外周部分58aは、電池本体48の底面48bに向かって断面逆U字状に屈曲変形されている。この外周部分58aのうち、外周側の端部が筒状体56の下端部に結合されて結合部60を構成し、内周側の部分が張り出し部62の第1の段差64aを構成している。この場合、電池本体48の底面48bの面積は、張り出し部62の端面の面積より大きい。
【0049】
張り出し部62は、電池本体48の底面48bと対向する面に少なくとも1つの凸部66を有する。
図4では、張り出し部62の中央部分に1つの凸部66を形成した例を示している。この凸部66の側壁部分が、張り出し部62の第2の段差64bを構成している。凸部66の平面形状は、
図5Bに示すように、円形でもよいし、三角形、四角形でもよい。もちろん、五角形、六角形、八角形等の多角形や、星形でもよい。
【0050】
カバー部材50の底部58、張り出し部62及び凸部66の寸法関係の一例を示す。
図5Aに示すように、底部58の外径Laeは例えば80〜100mmである。張り出し部62の外径Lbeと底部58の外径Laeとの比(Lbe/Lae)は例えば7.5/9〜8.5/9である。凸部66の外径Lceと張り出し部62の外径Lbeとの比(Lce/Lbe)は例えば1.5/8〜2.5/8である。また、底部58の上端から凸部66の端面までの高さHが6〜8mmである。第1の段差64aの大きさHaと高さHとの比(Ha/H)は例えば2.5/7〜3.5/7であり、第2の段差64bの大きさHbと高さHとの比(Hb/H)は例えば3.5/7〜4.5/7である。これらの各種寸法の比は、例えば単電池12の電力、モジュール16の電力、二次電池システム10の電力に応じて適宜変更することができる。
【0051】
上述した結合部60は、
図4に示すように、その端面が、電池本体48の底面48bに対応した位置と張り出し部62の端面に対応した位置との間に位置されている。
図4の例では、張り出し部62の第2の段差64bの部分に対応した位置に結合部60の端面が位置している。この場合、結合部60の長さをある程度確保することができることから、溶接等によって結合部60を強固に結合することができる。しかも、後述する絶縁板68と結合部60との接触が回避されるため、結合部60と絶縁板68との接触による絶縁抵抗の低下を防止することができる。
【0052】
さらに、本実施の形態では、張り出し部62の端面(
図4の例では、凸部66の端面)に接触する例えばマイカ製の絶縁板68(絶縁シート)と、カバー部材50の筒状体56と絶縁板68の外周部分を被覆する例えばマイカ製の筒状の絶縁部材70とを有する。これにより、並置された複数の電池本体48間の電気的絶縁を図ることができる。この場合、絶縁板68の外周形状は、結合部60の端面の外周形状とほぼ一致している。ほぼ一致とは、完全に一致する形状のほか、完全に一致する形状に対して±1mmの範囲で変動する形状(相似形等)を含む。これにより、絶縁板68を張り出し部62の端面全体に対向して配置することができ、絶縁板68を凸部66の端面全体に確実に接触させることが可能となる。
【0053】
筒状の絶縁部材70の下端部70aは、絶縁板68の下方において内方に曲げられ、その内径は、絶縁板68の外径よりも小に設定されている。そのため、絶縁部材70の下端部70aは、絶縁板68とマイカシート47にて挟持された形となり、筒状の絶縁部材70が単電池12から外れたり、巻回状態が展開してしまうことを防止することができる。もちろん、絶縁部材70の下端部70aは、絶縁抵抗の増加にも寄与する。
【0054】
ここで、張り出し部62に凸部66を設けた効果について
図6〜
図8Bも参照しながら説明する。
【0055】
例えば電力がA(kW)のモジュール16をn台直列に接続してn×A(kW)の二次電池システム10を構築した場合を想定する。この場合、各架台20(
図1参照)がアース(グランド:GND)に接続されることから、等価回路としては、
図6に示すように、各モジュール16とアースGNDの間にそれぞれ絶縁抵抗Rがn個だけ並列に接続された形態となる。二次電池システム10全体の絶縁抵抗Rgは、並列接続されたn個の絶縁抵抗Rの合成抵抗であるから、Rg=R/nとなる。二次電池システム10全体の絶縁抵抗Rgは、上述したように、0.4MΩ以上必要であることから、モジュール16単位の絶縁抵抗Rは、R≧(n×Rg)となる。例えばn=40(個)とした場合、モジュール16単位の絶縁抵抗Rとして、0.4MΩ×40個=16MΩ以上必要となる。
【0056】
そして、上述より大きな電力規模の二次電池システム10を構築する場合、モジュール16の台数nを増やす必要がある。例えばn=80(台)とした場合、モジュール16単位の絶縁抵抗Rとして、0.4MΩ×80台=32MΩ以上必要となる。
【0057】
そこで、集合電池42と箱体22間に設置されるマイカシート47等の枚数を増やしたり、マイカシート47の厚みを大きくすることが考えられる。しかし、筐体14のサイズ、特に、高さ方向のサイズが大きくなることと、運転中にマイカシート47に亀裂が生じやすくなるという問題がある。
【0058】
これに対して、本実施の形態では、張り出し部62のうち、電池本体48の底面48bと対向する面に少なくとも1つの凸部66を有する。このことから、張り出し部62のうち、絶縁板68と接触する部分は、張り出し部62の端面(絶縁板68と対向する面)全体ではなく、凸部66の端面(絶縁板68と対向する面)という小さな領域となる。張り出し部62に凸部66を設けない場合(参考例)は、
図7、
図8A及び
図8Bに示すように、絶縁板68と接触する部分は、張り出し部62の端面全体となる。
【0059】
本実施の形態並びに参考例共に、電池本体48の箱体22の底面22aに対する投影面積(電池本体48の底面の面積と同じ)をAa、単電池12のカバー部材50と絶縁板68との接触面積をAbとしたとき、
Aa>Ab
を満足する。
【0060】
本実施の形態における張り出し部62と絶縁板68との接触抵抗(電気抵抗)を、参考例と比較したとき、接触面積の減少による接触抵抗の増加と、単位面積当たりの荷重増加に伴う接触抵抗の低下とが挙げられる。しかし、接触面積の減少に伴う接触抵抗の増加が、荷重増加に伴う接触抵抗の低下よりも大きいことから、全体として見た場合、本実施の形態の上述の接触抵抗は参考例よりも大きくなる。
【0061】
なお、集合電池42と箱体22の底面22aとの間に設置される電気絶縁用の部材としては、単電池12の張り出し部62に接触する絶縁板68と、マイカシート47とが挙げられる。これら絶縁板68とマイカシート47の絶縁抵抗は、張り出し部62と絶縁板68との接触面積に拘わりなく、それぞれ固定値としてみることができる。
【0062】
このように、単電池12当たりの接触抵抗が参考例よりも大きくなるため、モジュール16全体として見た場合、本実施の形態における単電池12を収容したモジュール16の絶縁抵抗も、参考例を収容したモジュール16の絶縁抵抗よりも大きくなる。
【0063】
すなわち、本実施の形態においては、単電池12当たりの絶縁抵抗を向上させることができ、マイカシート47等の絶縁シートの枚数や厚みを増加させることなく、モジュール16毎の絶縁抵抗を高めることができ、二次電池システム10に接続されるモジュール16の数を増やすことができる。
【0064】
また、絶縁板68が張り出し部62に設けられた凸部66の端面に直接接触し、張り出し部62が緩衝部材(サスペンション部材)として機能する。このことから、架台20や箱体22に振動が生じても、その振動が張り出し部62にてほとんど打ち消されるため、振動が直接単電池12に伝達することがない。これは単電池12等の二次電池の信頼性の向上につながる。
【0065】
張り出し部62と絶縁板68との接触面積が小さくなることで、絶縁板68に対する応力が大きくなる。しかし、絶縁板68にて応力が分散され、下方に位置するマイカシート47等に対して集中荷重としてではなく、分布荷重として作用することになり、マイカシート47に破壊(亀裂等)が発生しにくい。
【0066】
次に、本実施の形態に係る二次電池のいくつかの変形例、特に、カバー部材50の底部58の変形例について
図9A〜
図12Bを参照しながら説明する。
【0067】
第1変形例に係るカバー部材50の底部58Aは、
図9A及び
図9Bに示すように、本実施の形態に係るカバー部材50の底部58とほぼ同じ構成を有するが、環状の凸部66が形成されている点で異なる。凸部66の外径Lceと張り出し部62の外径Lbeとの比(Lce/Lbe)は例えば3.5/8〜4.5/8である。凸部66の内径Lciと張り出し部62の外径Lbeとの比(Lci/Lbe)は例えば2.5/8〜3.5/8である。この場合、環状の凸部66を設けたので、凸部66から絶縁板68に対して、集中荷重としてではなく、分布荷重として作用することから、絶縁板68での応力分散がより広く行われ、マイカシート47に亀裂等がさらに生じにくくなる。
【0068】
第2変形例に係るカバー部材50の底部58Bは、
図10A及び
図10Bに示すように、凸部66が存在しない点で異なる。張り出し部62の外径Lbeと底部58Bの外径Laeとの比(Lbe/Lae)は例えば1.5/9〜2.5/9である。
【0069】
第3変形例に係るカバー部材50の底部58Cは、
図11A及び
図11Bに示すように、第2変形例に係るカバー部材50の底部58Bとほぼ同様の構成を有するが、張り出し部62の形状が環状である点で異なる。張り出し部62の外径Lbeと底部58Cの外径Laeとの比(Lbe/Lae)は例えば3.5/9〜4.5/9であり、張り出し部62の内径Lbiと底部58Cの外径Laeとの比(Lbi/Lae)は例えば2.5/9〜3.5/9である。
【0070】
第4変形例に係るカバー部材50の底部58Dは、
図12Aに示すように、本実施の形態に係るカバー部材50の底部58とほぼ同様の構成を有するが、凸部66(第2の段差64b)が張り出し部62の張り出し方向とは反対方向に沿って突出している点で異なる。
【0071】
第5変形例に係るカバー部材50の底部58Eは、
図12Bに示すように、第1変形例に係るカバー部材50の底部58Aとほぼ同様の構成を有するが、凸部66(第2の段差64b)が張り出し部62の張り出し方向とは反対方向に沿って突出している点で異なる。
【0072】
次に、本実施の形態に係る二次電池の変形例について
図13A〜17Bを参照しながら説明する。
【0073】
第1変形例に係る二次電池は、
図13Aに示すように、上述した本実施の形態に係る二次電池とほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
【0074】
すなわち、カバー部材50の張り出し部62は、凸部66(
図4参照)が存在せず、参考例に係るカバー部材50(
図7〜
図8B参照)と同様の構成を有する。
【0075】
カバー部材50と接触する絶縁板68は、
図13Bにも示すように、中央に1つの貫通孔72が形成され、全体的に形状がリング状を有する。
【0076】
この場合も、電池本体48の箱体22の底面22aに対する投影面積Aaと、単電池12のカバー部材50と絶縁板68との接触面積Abとの大小関係は、
Aa>Ab
を満足する。
【0077】
第2変形例に係る二次電池は、
図14A及び
図14Bに示すように、上述した第1変形例に係る二次電池とほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
【0078】
すなわち、絶縁板68は、多数の貫通孔74がマトリクス状に形成されて、全体として格子状となっている。
図14Bの例では、多数の矩形状の貫通孔74をマトリクス状に形成した場合を示す。
【0079】
第3変形例に係る二次電池は、
図15A及び
図15Bに示すように、上述した第1変形例に係る二次電池とほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
【0080】
すなわち、絶縁板68は、幅Waが電池本体48の外径Daよりも小である複数の帯状のシート76が配列されて構成されている。
図15Bの例では、2本のシート76をほぼ平行に配列させた場合を示す。
【0081】
これら第2変形例及び第3変形例においても、電池本体48の箱体22の底面22aに対する投影面積Aaと、単電池12のカバー部材50と絶縁板68との接触面積Abとの大小関係は、
Aa>Ab
を満足する。
【0082】
第4変形例に係る二次電池は、
図16A及び
図16Bに示すように、上述した本実施の形態に係る二次電池とほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
【0083】
すなわち、カバー部材50の張り出し部62は、凸部66が存在せず、参考例に係るカバー部材50(
図7〜
図8B参照)と同様の構成を有する。
【0084】
複数の絶縁シートのうち、例えば絶縁板68下に積層されたマイカシート47は、
図16Bに示すように、複数の貫通孔78がマトリクス状に配列されて、全体として格子状となっている。
【0085】
この場合、電池本体48の箱体22の底面22aに対する投影面積をAaとし、投影面積での絶縁板68とマイカシート47との接触面積をAcとしたとき、
Aa>Ac
を満足する。この場合、絶縁板68とマイカシート47との接触抵抗が、互いの接触面積の減少によって増加することから、単電池12当たりの接触抵抗も大きくなる。その結果、単電池12当たりの絶縁抵抗を向上させることができ、マイカシート47等の絶縁部材の枚数や厚みを増加させることなく、モジュール16毎の絶縁抵抗を高めることができ、二次電池システム10に接続されるモジュール16の数を増やすことができる。
【0086】
第5変形例に係る二次電池は、
図17A及び
図17Bに示すように、上述した第4変形例に係る二次電池とほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
【0087】
すなわち、マイカシート47は、幅Wbが電池本体48の外径Daよりも小である複数の帯状のシート80が配列されて構成されている。
図17Bの例では、電池本体48単位に2本のシート80をほぼ平行に配列させた場合を示す。
【0088】
この第5変形例においても、電池本体48の箱体22の底面22aに対する投影面積Aaと、投影面積での絶縁シート間の接触面積Acとの大小関係は、
Aa>Ac
を満足する。
【0089】
上述した第1変形例〜第5変形例では、カバー部材50の張り出し部62に、凸部66が存在しない構成を主体に説明したが、もちろん、張り出し部62に凸部66が形成されたカバー部材50にも適用させることができる。この場合、さらなる絶縁抵抗の増大化を図ることができる。
【0090】
なお、本発明に係る二次電池は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。