【実施例】
【0015】
以下の実施例は、現在最もよく分かっている本発明の実施形態を例示する。しかし、以下は、本発明の原理の応用を単に代表するまたは例示するものであることを理解すべきである。当業者ならば、多くの変更ならびに代替的な組成物、方法およびシステムを、本発明の精神および範囲から逸脱することなく案出し得る。添付した特許請求の範囲は、このような変更および配列を網羅することを意図するものである。したがって、本発明を詳細に前述したが、以下の実施例は、本発明の最も実際的で好ましい実施形態であると現在考えられるものと関連して、さらなる詳細を提供するものである。
【0016】
(例1)
(2S,5R)−硫酸モノ−{2−[N’−(4−アミノピペリジニル)−カルボニル]−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル}エステル(I)の調製。
ステップ−1:(2S,5R)−tert−ブチル{(6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(IV)の調製:
電磁撹拌機を装着した250ml丸底フラスコに、30℃において撹拌しながら、(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸ナトリウム(11.1g、0.037mol、インド特許出願第699/MUM/2013号に開示された方法を使用して調製)の水(180ml)中溶液、続いて1−tert−ブトキシカルボニル−4−アミノ−ピペリジン(7.8g、0.039mol)、EDC塩酸塩(11g、0.055mol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(4.8g、0.037mol)を逐次的に装入した。反応混合物を30℃において24時間撹拌して、懸濁液を得た。懸濁液を吸引濾過し、45℃の温水(40ml)で洗浄し、真空下で乾燥後に(2S,5R)−tert−ブチル{(6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレートを12.7gの量(収率74%)で得た。
【0017】
分析
NMR: (CDCl3,) = 7.36-7.44 (m, 5H), 6.56 (d,1H), 5.06 (d,1H), 4.91 (d, 1H), 4.03 (br s, 1H), 3.88-3.97 (m, 2H), 3.29 (s, 1H), 3.00 (d, 1H), 2.86 (t, 2H), 2.64 (d, 1H), 2.37 (dd, 1H), 1.85-2.01 (m, 4H), 1.54-1.62 (m, 2H), 1.45 (s, 9H), 1.25-1.36 (m, 2H).
MS (ES+) C24H34N4O5 = 459.5 (M+1).
【0018】
ステップ−2:(2S,5R)−tert−ブチル{(6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(V)の調製:
電磁撹拌機を装着した100ml一口丸底フラスコに、35℃において(2S,5R)−tert−ブチル{(6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(9g、19.5mmol)のメタノール(90ml)中溶液、続いて10%パラジウム担持炭素(2.7g)を装入した。反応混合物を、35℃において1atmの水素圧下で2時間撹拌した。反応混合物をセライト床上で吸引濾過することによって、触媒を除去した。セライト床を、ジクロロメタン(50ml)で洗浄した。合わせた濾液を35℃未満において真空下で蒸発させて、(2S,5R)−tert−ブチル{(6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレートを8.45gの量で得た。これは、次の反応にそのまま使用した。
【0019】
分析
NMR: (CDCl3,) = 6.60 (d, 1H), 3.88-4.10 (m, 4H), 3.78 (s, 1H), 3.20 (d, 1H), 3.90 (t, 2H), 2.80 (d, 1H), 2.46 (dd, 1H), 2.1-2.2 (m, 1H), 2.85-2.20 (m, 4H), 1.70-1.80 (m, 1H), 2.47 (s, 9H), 1.30-1.41 (m, 3H).
MS (ES+) C17H28N4O5 = 369.4 (M+1).
【0020】
ステップ−3:(2S,5R)−tert−ブチル{(6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレートのテトラブチルアンモニウム塩(VI)の調製:
電磁撹拌機を装着した100ml一口丸底フラスコに、35℃において撹拌しながら、(2S,5R)−tert−ブチル{(6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(6.40g、7.6mmol)のジクロロメタン(90ml)中溶液、トリエチルアミン(9.3ml)、続いてピリジン−三酸化イオウ錯体(5.4g、34.2mmol)を装入した。反応混合物を、35℃においてさらに4時間撹拌した。溶媒を40℃未満において真空下で蒸発させて、残留物を得た。残留物を0.5Nリン酸二水素カリウム水溶液(90ml)と共に1時間撹拌した。得られた溶液をジクロロメタン(2×100ml)で抽出して、不純物を除去した。水性層にテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(6.9g、20.52mmol)を加え、反応混合物を35℃において14時間撹拌した。これをジクロロメタン(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で蒸発させて、(2S,5R)−tert−ブチル{(6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレートのテトラブチルアンモニウム塩を8.0gの量(収率62%)で得た。
【0021】
分析
NMR: (CDCl3,) = 6.64 (d, 1H), 4.36 (br s, 1H), 4.05(br s, 2H), 3.90-4.00 (m, 1H), 3.87 (d, 1H), 2.28-3.34 (m, 10H), 3.80-3.95 (m, 2H), 3.74 (d, 1H), 2.42 (dd, 1H), 2.15-2.24 (m, 1H), 1.82-1.97 (m, 4H), 1.61-1.74 (m, 14 H), 1.41-1.52 (m, 10 H), 1.02 (t, 12H).
MS (ES-) C17H27N4O8S. N(C4H9)4 = 447.4 (M-1)、遊離のスルホン酸として。
【0022】
ステップ−4:(2S,5R)−硫酸モノ−{[(4−アミノピペリジン−4−イル)カルボニル]−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル}エステル(I)の合成:
電磁撹拌機を装着した100ml丸底フラスコに、(2S,5R)−tert−ブチル{(6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレートのテトラブチルアンモニウム塩(6.0g)のジクロロメタン(15ml)中溶液を装入した。溶液を撹拌しながら−10℃まで冷却し、これにトリフルオロ酢酸(15ml)を滴加した。反応混合物を−10℃において1時間撹拌した。溶媒を30℃未満において真空下でその1/3容量まで蒸発させて、粘稠な残留物を得た。粘稠な残留物をジエチルエーテル(各回60ml)と共に2回撹拌して、沈殿物を得た。得られた固体を吸引濾過し、アセトン(90ml)中に懸濁させた。懸濁液に、2−エチルヘキサン酸ナトリウムのアセトン中10%溶液を加えて、pHを4.5〜5.5に調整した。懸濁液を10分間撹拌し、吸引濾過した。湿潤ケークをアセトンで洗浄し、40℃未満において真空下で乾燥させて、3gの粗製化合物を得た。粗製化合物を、水性イソプロパノール(水3ml:イソプロパノール(iospropanol)21ml)と共に終夜撹拌して、さらに精製した。得られた懸濁液を吸引濾過し、水性イソプロパノール(水1ml:IPA 7mlの混合物)で洗浄した。最後に、ケークを40℃未満において真空下で乾燥させて、表題化合物を1.8gの量(収率65%)でオフホワイト色の固体として得た。
【0023】
分析
H1NMR (DMSO-d6, D2O交換) = 8.19 (d, D2Oと交換), 3.99 (s, 1H), 3.82-3.92 (m, 1H), 3.72 (d, 1H), 2.24 (br d, 3H), 2.90-3.04 (m, 5H), 1.96-2.06 (m, 1H), 1.80-1.94 (m, 3H), 1.58-1.72 (m, 4H).
MS (ES+) C12H20N4O6S = 349.2 (M+1)、遊離のスルホン酸として;
【0024】
HPLCによる純度:99.2%
【0025】
比旋光度:[α]
25D−45.25°、(c 0.3%、水)
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕式(I)
の化合物を調製するための方法であって、
(a)式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させて、式(IV)の化合物を得るステップと、
(b)式(IV)の化合物を水素化分解して、式(V)
の化合物を得るステップと、
(c)式(V)の化合物をスルホン化して、式(VI)
の化合物を得るステップと、
(d)式(VI)の化合物を式(I)の化合物に変換するステップと
を含む、方法。
〔2〕1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよび1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させることによって、式(IV)の化合物が得られる、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕反応が、溶媒としての水の存在下で行われる、前記〔2〕に記載の方法。
〔4〕式(IV)の化合物を水素化分解して式(V)の化合物を得るステップが、遷移金属触媒および水素源の存在下で行われる、前記〔1〕に記載の方法。
〔5〕遷移金属触媒がパラジウム担持炭素であり、水素源が水素ガスである、前記〔4〕に記載の方法。
〔6〕式(V)の化合物をスルホン化して式(VI)の化合物を得るステップが、式(V)の化合物を三酸化イオウ−ピリジン錯体と反応させた後に水性テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩で処理することによって行われる、前記〔1〕に記載の方法。
〔7〕式(VI)の化合物をトリフルオロ酢酸と反応させることによって、式(VI)の化合物が式(I)の化合物に変換される、前記〔1〕に記載の方法。