特許第6182621号(P6182621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6182621(2S,5R)−硫酸モノ−{[(4−アミノピペリジン−4−イル)カルボニル]−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル}エステルを調製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182621
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】(2S,5R)−硫酸モノ−{[(4−アミノピペリジン−4−イル)カルボニル]−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル}エステルを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/08 20060101AFI20170807BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20170807BHJP
   C07B 53/00 20060101ALN20170807BHJP
【FI】
   C07D471/08
   !C07B61/00 300
   !C07B53/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-560793(P2015-560793)
(86)(22)【出願日】2013年10月12日
(65)【公表番号】特表2016-510063(P2016-510063A)
(43)【公表日】2016年4月4日
(86)【国際出願番号】IB2013059329
(87)【国際公開番号】WO2015033191
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2015年9月8日
(31)【優先権主張番号】716/MUM/2013
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】506224012
【氏名又は名称】ウォックハート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】ワンキード カルナ スレシュ
(72)【発明者】
【氏名】スルワセ マヘシュ マニクラオ
(72)【発明者】
【氏名】バブサー サティシュ
(72)【発明者】
【氏名】デシュパンデ プラサッド ケシャブ
(72)【発明者】
【氏名】イエオール ラヴィンドラ ダッタトラヤ
(72)【発明者】
【氏名】パテル マヘッシュ ヴィタルブハイ
【審査官】 谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−510012(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/086241(WO,A1)
【文献】 特表2016−511269(JP,A)
【文献】 特表2016−510062(JP,A)
【文献】 特表2016−514107(JP,A)
【文献】 特表2016−515102(JP,A)
【文献】 特表2014−521739(JP,A)
【文献】 Eric VALEUR et al,Amide bond formation: beyond the myth of coupling reagents,CHEM. SOC. REV.,2009年,vol.38, no.2,p.606-631
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の化合物を調製するための方法であって、
(a)式(II)の化合物を、溶媒としての水の存在下で式(III)の化合物と反応させて、式(IV)の化合物を得るステップと、ここで、Bocはtert−ブチルオキシカルボニルであり、Bnはベンジルであり、
【化2】
(b)式(IV)の化合物を水素化分解して、式(V)
【化3】
の化合物を得るステップと、ここで、Bocはtert−ブチルオキシカルボニルであり、
(c)式(V)の化合物をスルホン化して、式(VI)
【化4】
の化合物を得るステップと、ここで、Bocはtert−ブチルオキシカルボニルであり、
(d)式(VI)の化合物を式(I)の化合物に変換するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよび1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させることによって、式(IV)の化合物が得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(IV)の化合物を水素化分解して式(V)の化合物を得るステップが、遷移金属触媒および水素源の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
遷移金属触媒がパラジウム担持炭素であり、水素源が水素ガスである、請求項に記載の方法。
【請求項5】
式(V)の化合物をスルホン化して式(VI)の化合物を得るステップが、式(V)の化合物を三酸化イオウ−ピリジン錯体と反応させた後に水性テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩で処理することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
式(VI)の化合物をトリフルオロ酢酸と反応させることによって、式(VI)の化合物が式(I)の化合物に変換される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願
本出願は、2013年3月8日に出願されたインド特許出願第716/MUM/2013号の利益を請求する。この出願の開示は参照によって、本明細書中に完全に書き直されたかのようにその全体を本明細書中に組み込む。この明細書中に引用された特許、特許出願および文献を含む全ての参考文献は、参照によってその全体を本明細書中に明示的に組み込む。
【0002】
本発明は、(2S,5R)−硫酸モノ−{[(4−アミノピペリジン−4−イル)カルボニル]−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル}エステルを調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
式(I)の化合物は、(2S,5R)−硫酸モノ−{[(4−アミノピペリジン−4−イル)カルボニル]−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル}エステルとして化学的に知られており、抗細菌性を有する。式(I)の化合物は、MK−7655としても知られ、PCT国際特許出願PCT/US2009/031047に開示されている。
【化1】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの一般的な態様において、式(I)
【化2】
の化合物を調製するための方法であって、
(a)式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させて、式(IV)の化合物を得るステップと、
【化3】
(b)式(IV)の化合物を水素化分解して、式(V)
【化4】
の化合物を得るステップと、
(c)式(V)の化合物をスルホン化して、式(VI)
【化5】
の化合物を得るステップと、
(d)式(VI)の化合物を式(I)の化合物に変換するステップと
を含む、方法を提供する。
【0005】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細を、以下の説明において示す。本発明の他の特徴、目的および利点は、特許請求の範囲を含む以下の説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0006】
次に、例示的実施形態に言及するが、特定の用語は、本明細書中において同じものを記載するために使用するものとする。しかしながら、それによって本発明の範囲が限定されることを意図しないことを理解すべきである。当業者および本開示を入手した者に想起されるであろう、本明細書中で例示する発明の特徴の修正およびさらなる変更ならびに本明細書中に例示する本発明の原理のさらなる応用は、本発明の範囲内と考えるべきである。本明細書および添付した特許請求の範囲内で使用する単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、内容からそうでないことが明白に指示されない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。本明細書中で引用した特許、特許出願および文献を含む全ての参考文献は、参照によって、本明細書中に完全に書き直されたかのようにその全体を本明細書中に明示的に組み込む。
【0007】
本明細書中で使用する用語「HOBt」は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを指す。
【0008】
本明細書中で使用する用語「EDC」は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを指す。
【0009】
1つの一般的な態様において、式(I)
【化6】
の化合物を調製するための方法であって、
(a)式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させて、式(IV)の化合物を得るステップと、
【化7】
(b)式(IV)の化合物を水素化分解して、式(V)
【化8】
の化合物を得るステップと、
(c)式(V)の化合物をスルホン化して、式(VI)
【化9】
の化合物を得るステップと、
(d)式(VI)の化合物を式(I)の化合物に変換するステップと
を含む、方法を提供する。
【0010】
式(IV)の化合物は、式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させることによって得られる。一部の実施形態において、式(IV)の化合物は、好適なカップリング試薬の存在下で式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させることによって得られる。一部の他の実施形態において、式(IV)の化合物は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩の存在下で式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させることによって得られる。この反応は、好適な溶媒の存在下で行い得る。一部の実施形態において、この反応は、反応溶媒としての水中で行う。
【0011】
式(V)の化合物は、式(IV)の化合物を水素化分解することによって得られる。水素化分解反応は、好適な水素化分解剤を使用して行い得る。一部の実施形態において、式(IV)の化合物を水素化分解して式(V)の化合物を得るステップは、遷移金属触媒および水素源の存在下で行う。一部の他の実施形態において、遷移金属触媒はパラジウム担持炭素であり、水素源は水素ガスである。一部の他の実施形態において、水素化分解反応は、好適な溶媒、例えば、メタノールの存在下で行う。一部の実施形態において、式(IV)の化合物を水素化分解して式(V)の化合物を得るステップは、溶媒としてのメタノール中、水素ガスの存在下で10%パラジウム担持炭素触媒を使用して行う。
【0012】
式(VI)の化合物は、式(V)の化合物をスルホン化することによって得られる。スルホン化反応は、好適な溶媒の存在下で行い得る。一部の実施形態において、式(V)の化合物をスルホン化して式(VI)の化合物を得るステップは、式(V)の化合物を三酸化イオウ−ピリジン錯体と反応させた後にテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩で処理することによって行う。
【0013】
式(VI)の化合物は、好適な試薬の存在下で式(I)の化合物に変換する。一部の実施形態において、式(VI)の化合物は、式(VI)の化合物をトリフルオロ酢酸と反応させることによって式(I)の化合物に変換する。
一部の実施形態において、式(I)の化合物は、スキーム1に記載する方法を使用して調製する。
【化10】
スキーム−1
【0014】
本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書中に開示された本発明に種々の置換および変更を行い得ることは、当業者には容易に明らかとなるであろう。例えば、当業者ならば、記載された一般的な説明の範囲内で種々の異なる化合物を使用して、本発明を実施できることが分かるであろう。
【実施例】
【0015】
以下の実施例は、現在最もよく分かっている本発明の実施形態を例示する。しかし、以下は、本発明の原理の応用を単に代表するまたは例示するものであることを理解すべきである。当業者ならば、多くの変更ならびに代替的な組成物、方法およびシステムを、本発明の精神および範囲から逸脱することなく案出し得る。添付した特許請求の範囲は、このような変更および配列を網羅することを意図するものである。したがって、本発明を詳細に前述したが、以下の実施例は、本発明の最も実際的で好ましい実施形態であると現在考えられるものと関連して、さらなる詳細を提供するものである。
【0016】
(例1)
(2S,5R)−硫酸モノ−{2−[N’−(4−アミノピペリジニル)−カルボニル]−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル}エステル(I)の調製。
ステップ−1:(2S,5R)−tert−ブチル{(6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(IV)の調製:
電磁撹拌機を装着した250ml丸底フラスコに、30℃において撹拌しながら、(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸ナトリウム(11.1g、0.037mol、インド特許出願第699/MUM/2013号に開示された方法を使用して調製)の水(180ml)中溶液、続いて1−tert−ブトキシカルボニル−4−アミノ−ピペリジン(7.8g、0.039mol)、EDC塩酸塩(11g、0.055mol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(4.8g、0.037mol)を逐次的に装入した。反応混合物を30℃において24時間撹拌して、懸濁液を得た。懸濁液を吸引濾過し、45℃の温水(40ml)で洗浄し、真空下で乾燥後に(2S,5R)−tert−ブチル{(6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレートを12.7gの量(収率74%)で得た。
【0017】
分析
NMR: (CDCl3,) = 7.36-7.44 (m, 5H), 6.56 (d,1H), 5.06 (d,1H), 4.91 (d, 1H), 4.03 (br s, 1H), 3.88-3.97 (m, 2H), 3.29 (s, 1H), 3.00 (d, 1H), 2.86 (t, 2H), 2.64 (d, 1H), 2.37 (dd, 1H), 1.85-2.01 (m, 4H), 1.54-1.62 (m, 2H), 1.45 (s, 9H), 1.25-1.36 (m, 2H).
MS (ES+) C24H34N4O5 = 459.5 (M+1).
【0018】
ステップ−2:(2S,5R)−tert−ブチル{(6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(V)の調製:
電磁撹拌機を装着した100ml一口丸底フラスコに、35℃において(2S,5R)−tert−ブチル{(6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(9g、19.5mmol)のメタノール(90ml)中溶液、続いて10%パラジウム担持炭素(2.7g)を装入した。反応混合物を、35℃において1atmの水素圧下で2時間撹拌した。反応混合物をセライト床上で吸引濾過することによって、触媒を除去した。セライト床を、ジクロロメタン(50ml)で洗浄した。合わせた濾液を35℃未満において真空下で蒸発させて、(2S,5R)−tert−ブチル{(6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレートを8.45gの量で得た。これは、次の反応にそのまま使用した。
【0019】
分析
NMR: (CDCl3,) = 6.60 (d, 1H), 3.88-4.10 (m, 4H), 3.78 (s, 1H), 3.20 (d, 1H), 3.90 (t, 2H), 2.80 (d, 1H), 2.46 (dd, 1H), 2.1-2.2 (m, 1H), 2.85-2.20 (m, 4H), 1.70-1.80 (m, 1H), 2.47 (s, 9H), 1.30-1.41 (m, 3H).
MS (ES+) C17H28N4O5 = 369.4 (M+1).
【0020】
ステップ−3:(2S,5R)−tert−ブチル{(6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレートのテトラブチルアンモニウム塩(VI)の調製:
電磁撹拌機を装着した100ml一口丸底フラスコに、35℃において撹拌しながら、(2S,5R)−tert−ブチル{(6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(6.40g、7.6mmol)のジクロロメタン(90ml)中溶液、トリエチルアミン(9.3ml)、続いてピリジン−三酸化イオウ錯体(5.4g、34.2mmol)を装入した。反応混合物を、35℃においてさらに4時間撹拌した。溶媒を40℃未満において真空下で蒸発させて、残留物を得た。残留物を0.5Nリン酸二水素カリウム水溶液(90ml)と共に1時間撹拌した。得られた溶液をジクロロメタン(2×100ml)で抽出して、不純物を除去した。水性層にテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(6.9g、20.52mmol)を加え、反応混合物を35℃において14時間撹拌した。これをジクロロメタン(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で蒸発させて、(2S,5R)−tert−ブチル{(6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレートのテトラブチルアンモニウム塩を8.0gの量(収率62%)で得た。
【0021】
分析
NMR: (CDCl3,) = 6.64 (d, 1H), 4.36 (br s, 1H), 4.05(br s, 2H), 3.90-4.00 (m, 1H), 3.87 (d, 1H), 2.28-3.34 (m, 10H), 3.80-3.95 (m, 2H), 3.74 (d, 1H), 2.42 (dd, 1H), 2.15-2.24 (m, 1H), 1.82-1.97 (m, 4H), 1.61-1.74 (m, 14 H), 1.41-1.52 (m, 10 H), 1.02 (t, 12H).
MS (ES-) C17H27N4O8S. N(C4H9)4 = 447.4 (M-1)、遊離のスルホン酸として。
【0022】
ステップ−4:(2S,5R)−硫酸モノ−{[(4−アミノピペリジン−4−イル)カルボニル]−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル}エステル(I)の合成:
電磁撹拌機を装着した100ml丸底フラスコに、(2S,5R)−tert−ブチル{(6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル−カルボニル)アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレートのテトラブチルアンモニウム塩(6.0g)のジクロロメタン(15ml)中溶液を装入した。溶液を撹拌しながら−10℃まで冷却し、これにトリフルオロ酢酸(15ml)を滴加した。反応混合物を−10℃において1時間撹拌した。溶媒を30℃未満において真空下でその1/3容量まで蒸発させて、粘稠な残留物を得た。粘稠な残留物をジエチルエーテル(各回60ml)と共に2回撹拌して、沈殿物を得た。得られた固体を吸引濾過し、アセトン(90ml)中に懸濁させた。懸濁液に、2−エチルヘキサン酸ナトリウムのアセトン中10%溶液を加えて、pHを4.5〜5.5に調整した。懸濁液を10分間撹拌し、吸引濾過した。湿潤ケークをアセトンで洗浄し、40℃未満において真空下で乾燥させて、3gの粗製化合物を得た。粗製化合物を、水性イソプロパノール(水3ml:イソプロパノール(iospropanol)21ml)と共に終夜撹拌して、さらに精製した。得られた懸濁液を吸引濾過し、水性イソプロパノール(水1ml:IPA 7mlの混合物)で洗浄した。最後に、ケークを40℃未満において真空下で乾燥させて、表題化合物を1.8gの量(収率65%)でオフホワイト色の固体として得た。
【0023】
分析
H1NMR (DMSO-d6, D2O交換) = 8.19 (d, D2Oと交換), 3.99 (s, 1H), 3.82-3.92 (m, 1H), 3.72 (d, 1H), 2.24 (br d, 3H), 2.90-3.04 (m, 5H), 1.96-2.06 (m, 1H), 1.80-1.94 (m, 3H), 1.58-1.72 (m, 4H).
MS (ES+) C12H20N4O6S = 349.2 (M+1)、遊離のスルホン酸として;
【0024】
HPLCによる純度:99.2%
【0025】
比旋光度:[α]25D−45.25°、(c 0.3%、水)
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕式(I)
の化合物を調製するための方法であって、
(a)式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させて、式(IV)の化合物を得るステップと、
(b)式(IV)の化合物を水素化分解して、式(V)
の化合物を得るステップと、
(c)式(V)の化合物をスルホン化して、式(VI)
の化合物を得るステップと、
(d)式(VI)の化合物を式(I)の化合物に変換するステップと
を含む、方法。
〔2〕1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよび1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させることによって、式(IV)の化合物が得られる、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕反応が、溶媒としての水の存在下で行われる、前記〔2〕に記載の方法。
〔4〕式(IV)の化合物を水素化分解して式(V)の化合物を得るステップが、遷移金属触媒および水素源の存在下で行われる、前記〔1〕に記載の方法。
〔5〕遷移金属触媒がパラジウム担持炭素であり、水素源が水素ガスである、前記〔4〕に記載の方法。
〔6〕式(V)の化合物をスルホン化して式(VI)の化合物を得るステップが、式(V)の化合物を三酸化イオウ−ピリジン錯体と反応させた後に水性テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩で処理することによって行われる、前記〔1〕に記載の方法。
〔7〕式(VI)の化合物をトリフルオロ酢酸と反応させることによって、式(VI)の化合物が式(I)の化合物に変換される、前記〔1〕に記載の方法。