特許第6182624号(P6182624)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6182624-タイヤ空気圧監視システム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182624
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】タイヤ空気圧監視システム
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20170807BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20170807BHJP
   G01L 17/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B60C23/04 N
   H04Q9/00 311J
   G01L17/00 301P
   G01L17/00 301Q
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-8888(P2016-8888)
(22)【出願日】2016年1月20日
(65)【公開番号】特開2017-128221(P2017-128221A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2016年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】柴田 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】龍山 卓司
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 勝秀
(72)【発明者】
【氏名】松下 昌弘
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−051746(JP,A)
【文献】 特開2012−210912(JP,A)
【文献】 特開2012−210911(JP,A)
【文献】 特開2015−123862(JP,A)
【文献】 特開2007−302188(JP,A)
【文献】 特開2008−74163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行輪及びスペア輪の各タイヤに設けられたタイヤ空気圧検出器から圧力データとタイヤIDとを含むタイヤ空気圧信号をタイヤ回転時のみ送信し、該タイヤ空気圧信号を車体の受信機において受信して前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムにおいて、
複数の一定期間を設け、該一定期間毎にそれぞれのタイヤについてタイヤ空気圧信号を受信したか否かを監視し、タイヤ毎のタイヤ空気圧信号を受信しなかった前記一定期間の回数に応じて走行輪とスペア輪を特定するタイヤ判別手段を備え
前記タイヤ判別手段は、前記タイヤ空気圧信号を受信したか否かを監視した一定期間の回数に対する該タイヤ空気圧信号を受信しなかった一定期間の回数が一定割合以上のタイヤをスペア輪と特定するにあたり、前記タイヤ空気圧信号を受信したか否かを監視した一定期間の回数が規定回数に達した段階における該回数に対する未受信の回数が前記一定割合以上のタイヤをスペア輪と特定する
ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【請求項2】
前記タイヤ判別手段は、未受信の回数に応じてスペア輪が1輪且つ走行輪が4輪であることを特定できた場合に該スペア輪を確定する
請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項3】
前記タイヤ判別手段は、前記タイヤ空気圧検出器によるタイヤ空気圧信号の送信周期よりも長い期間を前記一定期間とし、該一定期間中にタイヤ空気圧信号を1度も受信しなかった場合に、該一定期間をタイヤ空気圧信号を受信しなかった一定期間としてカウントする
請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ空気圧監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両には、タイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System )が搭載される傾向にある。TPMSにおいては、車両の各タイヤには、タイヤ空気圧検出器が設けられる。そして、各タイヤ空気圧検出器からはタイヤ空気圧信号が送信される。車両は、これらタイヤ空気圧信号を通じて各タイヤの空気圧を監視し、空気圧異常となったタイヤが存在する場合、そのタイヤを運転者に通知する。
【0003】
ここで、車両には、何れの取り付け位置(右前輪、右後輪、左後輪、左前輪)のタイヤに異常が発生したかを通知するために、事前に各タイヤ空気圧検出器に対応するタイヤID(識別符号)がタイヤの取り付け位置に関連付けられた上で登録されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のTPMSにおいては、登録ツールを使用して、車両の受信機を登録モードに移行させる。そして、予め決められた順(例えば、右前輪→右後輪→左後輪→左前輪の順)にタイヤ空気圧検出器を起動させて、各タイヤ空気圧検出器から順にそれぞれ異なるタイヤIDを含むタイヤ空気圧信号を送信させる。車両は、各タイヤ空気圧検出器からのタイヤ空気圧信号に含まれるタイヤIDを右前輪→右後輪→左後輪→左前輪の順に登録する。これにより、どの取り付け位置にどのタイヤ空気圧検出器(正確にはそれを備えるタイヤ)が取り付けられているかが識別されて、何れの取り付け位置のタイヤに異常が発生したかを通知できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−32331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、走行時(タイヤ回転時)のみタイヤ空気圧信号を送信するタイヤ空気圧検出器の場合、走行輪(右前輪、右後輪、左後輪、左前輪)とスペア輪を特定し、走行輪であれば、空気圧異常の他、未受信であることの検出(故障検出)をする必要がある。しかし、スペア輪が特定できていないと、走行輪による未受信なのか、スペア輪の未受信なのかを判断できない。
【0007】
尚、タイヤIDを登録する際に、ID情報と共にスペア情報も併せて登録すれば、スペア輪を判別可能なため、上記問題は生じない。しかし、タイヤローテーション時もスペア輪のID情報更新のため再登録する必要があり、ディーラでのツール作業が伴う。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、登録ツールを使用せずにスペア輪の特定を可能にしたタイヤ空気圧監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するタイヤ空気圧監視システムは、走行輪及びスペア輪の各タイヤに設けられたタイヤ空気圧検出器から圧力データとタイヤIDとを含むタイヤ空気圧信号をタイヤ回転時のみ送信し、該タイヤ空気圧信号を車体の受信機において受信して前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムにおいて、複数の一定期間を設け、該一定期間毎にそれぞれのタイヤについてタイヤ空気圧信号を受信したか否かを監視し、タイヤ毎のタイヤ空気圧信号を受信しなかった前記一定期間の回数に応じて走行輪とスペア輪を特定するタイヤ判別手段を備えることをその要旨としている。
【0010】
この構成によれば、走行時(タイヤ回転時)にタイヤ空気圧信号を例えば定期的に送信する走行輪と、送信しない(もしくは稀に振動等により送信する)スペア輪に着目し、走行時の受信状況から走行輪とスペア輪を特定する。これにより、登録ツールを使用せずにスペア輪を特定できる。また、受信しなかった回数をカウントすることで、受信した回数をカウントする構成とは異なり、一時的に大量に受信した場合に回数が大幅にカウントされてしまうことがなく、誤判定を防止できる。
【0011】
上記タイヤ空気圧監視システムについて、前記タイヤ判別手段は、前記タイヤ空気圧信号を受信したか否かを監視した一定期間の回数に対する該タイヤ空気圧信号を受信しなかった一定期間の回数が一定割合以上のタイヤをスペア輪と特定することとしてもよい。
【0012】
この構成によれば、スペア輪を高い精度で特定できる。
上記タイヤ空気圧監視システムについて、前記タイヤ判別手段は、前記タイヤ空気圧信号を受信したか否かを監視した一定期間の回数が規定回数に達した段階における該回数に対する未受信の回数が前記一定割合以上のタイヤをスペア輪と特定することとしてもよい。
【0013】
この構成によれば、初期の段階で万一振動等によりタイヤ空気圧信号が送信された場合でも、監視を続けることで、未受信の回数が一定割合以上となれば、スペア輪と特定できる。
【0014】
上記タイヤ空気圧監視システムについて、前記タイヤ判別手段は、未受信の回数に応じてスペア輪が1輪且つ走行輪が4輪であることを特定できた場合に該スペア輪を確定することとしてもよい。
【0015】
この構成によれば、スペア輪が1輪且つ走行輪が4輪の条件をつけることで、故障等が発生している走行輪を誤ってスペア輪と判定することがなくなる。
上記タイヤ空気圧監視システムについて、前記タイヤ判別手段は、前記タイヤ空気圧検出器によるタイヤ空気圧信号の送信周期よりも長い期間を前記一定期間とし、該一定期間中にタイヤ空気圧信号を1度も受信しなかった場合に、該一定期間をタイヤ空気圧信号を受信しなかった一定期間としてカウントすることとしてもよい。
【0016】
この構成によれば、走行輪に故障等が発生していない場合にタイヤ空気圧信号を1回以上受信する筈の一定期間中に該信号を1度も受信しなかった回数に応じて、スペア輪を高い精度で特定できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、登録ツールを使用せずにスペア輪を特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】タイヤ空気圧監視システムの構成を示すブロック図。
図2】タイヤ判別部による受信状況の監視例を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、タイヤ空気圧監視システムの一実施の形態について説明する。
図1に示すように、車両1には、各タイヤ2(2a〜2e)のタイヤ空気圧等を監視するタイヤ空気圧監視システム3が設けられている。本実施形態のタイヤ空気圧監視システム3は、各タイヤ2a〜2eにタイヤ空気圧検出器4(4a〜4e:タイヤバルブとも言う)を設け、これらタイヤ空気圧検出器4a〜4eで検出されたタイヤ空気圧を、タイヤ空気圧信号Stpとして車体5に送信することにより、車体5において各タイヤ2a〜2eの空気圧を検出する所謂直接式のものである。なお、タイヤ2a〜2dは、車体5に走行輪として取り付けられ、タイヤ2eは、スペア輪として搭載されている。
【0020】
タイヤ空気圧検出器4a〜4eには、タイヤ空気圧検出器4a〜4eの動作を制御するコントローラ6が設けられている。コントローラ6のメモリ7には、各タイヤ2a〜2eに固有のIDとしてタイヤID(バルブIDとも言う)が書き込み保存されている。タイヤ空気圧検出器4a〜4eには、タイヤ空気圧を検出する圧力センサ8と、タイヤ温度を検出する温度センサ9と、タイヤ2に発生する加速度(回転)を検出する加速度センサ(Gセンサ)10とが設けられている。そして、コントローラ6には、これら各センサ8〜10がそれぞれ接続されている。また、コントローラ6には、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波によるタイヤ空気圧信号Stpを送信可能な送信アンテナ11が接続されている。
【0021】
コントローラ6には、加速度センサ10の検出信号を基にタイヤ2が回転状態に入ったか否かを判定する回転判定部12aと、回転判定部12aの判定結果に応じてタイヤ回転時のみタイヤ空気圧信号Stpを車体5に送信する送信制御部12bとが設けられている。回転判定部12aは、加速度センサ10により検出された加速度が回転閾値以下の場合には、タイヤ2が回転状態に入っていないと判定し、検出された加速度が回転閾値よりも大きい場合には、タイヤ2が回転状態に入ったと判定する。なお、回転閾値は、タイヤ2が回転していないことを示す値であり、加速度センサ10の検出精度等に応じてゼロよりも大きな値に設定されている。送信制御部12bは、回転判定部12aによりタイヤ2が回転状態に入ったと判定されたときに、所定の時間間隔(例えば、1分間隔)で定期的にタイヤ空気圧信号Stpが送信されるようにその送信周期を制御する。本実施形態のタイヤ空気圧信号Stpは、タイヤID及び圧力データ等から構築されている。
【0022】
車体5には、タイヤ空気圧検出器4a〜4eから送信されたタイヤ空気圧信号Stpを受信して、各タイヤ2a〜2eの空気圧を監視する受信機(以下、TPMS受信機と記す)13が設けられている。TPMS受信機13には、TPMS受信機13の動作を制御するタイヤ空気圧監視ECU(Electronic Control Unit )14と、UHF帯の電波を受信可能な受信アンテナ15とが設けられている。タイヤ空気圧監視ECU14には、メモリ16が設けられており、その不揮発領域16aには、各タイヤ2a〜2eのタイヤIDが書き込み保存(登録)されている。また、TPMS受信機13には、例えば車内インストルメントパネル等に設置された表示部17が接続されている。
【0023】
タイヤ空気圧監視ECU14は、タイヤ空気圧検出器4a〜4eから送信されたタイヤ空気圧信号Stpを受信アンテナ15で受信すると、タイヤ空気圧信号Stp内のタイヤIDをメモリ16の不揮発領域16aに記憶されたタイヤIDと照合し、ID照合が成立すれば、同じタイヤ空気圧信号Stp内に含まれる圧力データを確認する。タイヤ空気圧監視ECU14は、当該圧力データに示される値が低圧閾値以下であれば、各タイヤ2a〜2eのいずれかに異常が発生した旨を表示部17に表示する。そして、タイヤ空気圧監視ECU14は、このタイヤ空気圧の判定を受信するタイヤ空気圧信号Stpごとに行うことで、各タイヤ2a〜2eの空気圧を監視する。
【0024】
タイヤ空気圧監視ECU14には、車両1が走行しているか否かを検出する走行判定部21が設けられている。走行判定部21は、例えばメータECUや車速センサ等から車速情報(車速データ)を取得し、この車速情報に示される車速が所定車速以上である場合に車両1が走行していると判定し、車速が所定車速未満である場合には、車両1が走行していないと判定する。なお、所定車速は、車両1が走行していることを示す車速であり、メータECU等から取得する車速情報の精度を考慮して、例えば5〜30km/h程度に予め設定されている。
【0025】
また、タイヤ空気圧監視ECU14には、走行時におけるタイヤ空気圧信号Stpの受信状況から走行輪とスペア輪を特定するタイヤ判別部22が設けられている。タイヤ判別部22は、走行判定部21により車両1が走行を開始したと判定された時点を基点に、複数の一定期間を設け、該一定期間毎にそれぞれのタイヤ2a〜2eについてタイヤ空気圧信号Stpを受信したか否かを監視し、その監視結果をメモリ16の揮発領域16bに一時的に記憶する。そして、タイヤ判別部22は、タイヤ2a〜2e毎のタイヤ空気圧信号Stpを受信しなかった一定期間の回数に応じて走行輪とスペア輪を特定する。タイヤ判別部22はタイヤ判別手段に相当する。
【0026】
本実施形態では、1つの一定期間がタイヤ空気圧検出器4によるタイヤ空気圧信号Stpの送信周期(上記1分間隔)よりも長い70秒間に設定され、この70秒間の期間が連続して8つ設けられている。これにより、タイヤ空気圧監視ECU14は、走行輪を対象に、走行開始から8つ目の期間を終えるまでの間にタイヤ空気圧信号Stpを受信しなかった場合には、タイヤ空気圧検出器4に故障が発生した旨を表示部17に表示する。
【0027】
次に、タイヤ空気圧監視システム3の作用について説明する。
図2に示すように、タイヤ空気圧監視ECU14のタイヤ判別部22は、走行開始を基点とする最初の70秒間を「期間1」とし、それに連続する次の70秒間を「期間2」とし、以後、同様に、それぞれ70秒間の期間を「期間3」〜「期間8」とする。そして、タイヤ判別部22は、各期間毎にそれぞれのタイヤ2a〜2eについてタイヤ空気圧信号Stpを受信したか否かを監視し、該期間中に1回以上の受信があった場合には監視結果を「○」で表すとともに、該期間中に1度も受信無しの場合には監視結果を「×」で表す。例えば、最初の「期間1」において、メモリ16の不揮発領域16aに登録済みの5つのタイヤIDのうち、タイヤIDが「ID1」〜「ID4」の各タイヤ2からのタイヤ空気圧信号Stpがそれぞれ受信された一方で、タイヤIDが「ID5」のタイヤ2からのタイヤ空気圧信号Stpが受信されなかったことが示されている。
【0028】
そして、タイヤ判別部22は、最後の「期間8」の監視を終えた段階で、タイヤID毎の「×」の回数をカウントするとともに、タイヤID毎に監視した一定期間の回数(本例では8回)に対する「×」の割合を算出する。そして、タイヤ判別部22は、「×」の割合が一定割合(例えば、2/3(66.6%))以上のタイヤIDをスペア輪と特定するとともに、「×」の割合が該一定割合未満のタイヤIDを走行輪と特定する。本例では、タイヤIDが「ID5」のタイヤ2がスペア輪と特定され、タイヤIDが「ID1」〜「ID4」の各タイヤ2が走行輪と特定される。
【0029】
そして、タイヤ判別部22は、スペア輪が1輪且つ走行輪が4輪であることを特定できた場合に該スペア輪を確定する。本例では、タイヤIDが「ID5」のタイヤ2がスペア輪と確定され、走行輪と区別される。これにより、走行輪を対象に、走行開始から「期間8」の監視を終えるまでの間にタイヤ空気圧信号Stpを受信しなかった場合には、タイヤ空気圧検出器4に故障が発生した旨を表示部17に表示できるようになる。つまり、スペア輪の未受信との間で差別化を図りつつ、走行輪の故障検出が可能となる。本例では、走行開始から「期間8」の監視を終えるまでの時間が560秒(9分20秒)であるため、仮に走行輪に故障が発生している場合には、規定時間内(例えば、走行開始から9分30秒〜10分以内)に走行輪の故障警報を表示部17に表示できることになる。ただし、本例では、4つの走行輪全てからのタイヤ空気圧信号Stpを「期間8」の監視を終えるまでに1回以上受信できているので、走行輪に故障が発生していないことが分かる。
【0030】
なお、タイヤIDが「ID1」〜「ID5」のタイヤ2が走行輪或いはスペア輪として搭載される限り、その範囲内においてタイヤローテーションが行われたとしても、走行時のタイヤ空気圧信号Stpの受信状況を監視することで、登録ツールを使用せずにスペア輪を特定できることになる。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)走行時(タイヤ回転時)にタイヤ空気圧信号Stpを定期的に送信する走行輪と、送信しない(もしくは稀に振動等により送信する)スペア輪に着目し、走行時の受信状況から走行輪とスペア輪を特定する。これにより、登録ツールを使用せずにスペア輪を特定できる。
【0032】
(2)受信しなかった回数をカウントすることで、受信した回数をカウントする構成とは異なり、一時的に大量に受信した場合に回数が大幅にカウントされてしまうことがなく、誤判定を防止できる。
【0033】
(3)タイヤ判別部22は、タイヤ空気圧信号Stpを受信したか否かを監視した一定期間の回数に対する該タイヤ空気圧信号Stpを受信しなかった一定期間の回数が一定割合以上のタイヤをスペア輪と特定する。この構成によれば、スペア輪を高い精度で特定できる。
【0034】
(4)タイヤ判別部22は、タイヤ空気圧信号Stpを受信したか否かを監視した一定期間の回数が規定回数(本例では8回)に達した段階における該回数に対する未受信の回数が上記一定割合以上のタイヤをスペア輪と特定する。この構成によれば、初期の段階(例えば、「期間1」)で万一振動等によりタイヤ空気圧信号Stpが送信された場合(この段階での割合は0%になる)でも、監視を続けることで、未受信の回数が一定割合以上となれば、スペア輪と特定できる。
【0035】
(5)タイヤ判別部22は、未受信の回数に応じてスペア輪が1輪且つ走行輪が4輪であることを特定できた場合に該スペア輪を確定する。この構成によれば、スペア輪が1輪且つ走行輪が4輪の条件をつけることで、故障等が発生している走行輪を誤ってスペア輪と判定することがなくなる。
【0036】
(6)タイヤ判別部22は、タイヤ空気圧検出器4によるタイヤ空気圧信号Stpの送信周期(本例では1分間隔)よりも長い期間を上記一定期間(本例では70秒間)とし、該一定期間中にタイヤ空気圧信号Stpを1度も受信しなかった場合に、該一定期間をタイヤ空気圧信号Stpを受信しなかった一定期間としてカウントする。この構成によれば、走行輪に故障等が発生していない場合にタイヤ空気圧信号Stpを1回以上受信する筈の一定期間中に該信号Stpを1度も受信しなかった回数(「×」の回数)に応じて、スペア輪を高い精度で特定できる。
【0037】
尚、上記実施の形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・スペア輪と走行輪を特定する他、走行輪について、取り付け位置(右前輪、右後輪、左後輪、左前輪)を特定する構成或いは特定しない構成のいずれでもよい。
【0038】
・規定時間内(例えば、走行開始から10分以内)に走行輪の故障警報を出すにあたり、タイヤ空気圧検出器4によるタイヤ空気圧信号Stpの送信周期(上記実施形態では1分間隔)を考慮しつつ、一定期間の個数(上記実施形態では8つ)及び1つの一定期間の時間(上記実施形態では70秒間)を変更してもよい。併せて、スペア輪と特定する際の一定割合(上記実施形態では2/3(66.6%))及びタイヤ空気圧信号Stpを受信しなかった割合を算出するタイミング(上記実施形態では「期間8」を終えた段階)を変更してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…車両、2(2a〜2e)…タイヤ、3…タイヤ空気圧監視システム、4(4a〜4e)…タイヤ空気圧検出器、5…車体、6…コントローラ、7…メモリ、8…圧力センサ、9…温度センサ、10…加速度センサ、11…送信アンテナ、12a…回転判定部、12b…送信制御部、13…TPMS受信機、14…タイヤ空気圧監視ECU、15…受信アンテナ、16…メモリ、16a…不揮発領域、16b…揮発領域、17…表示部、21…走行判定部、22…タイヤ判別部(タイヤ判別手段)。
図1
図2