(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182639
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】RFタグ用受信器ユニット
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20170807BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20170807BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
H02M7/12 H
H02M7/12 A
H02J50/10
G06K19/077 172
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-77145(P2016-77145)
(22)【出願日】2016年4月7日
(65)【公開番号】特開2016-201987(P2016-201987A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2016年4月7日
(31)【優先権主張番号】15163422.7
(32)【優先日】2015年4月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596162740
【氏名又は名称】イーエム・ミクロエレクトロニク−マリン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・ラモット
(72)【発明者】
【氏名】トマ・クロ
(72)【発明者】
【氏名】ゴラン・ストヤノビッチ
【審査官】
麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−026657(JP,A)
【文献】
米国特許第08314685(US,B2)
【文献】
特開2002−176141(JP,A)
【文献】
特開2009−009319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
G06K 19/077
H02J 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナに接続した第1の入力端子(PAD+)及び第2の入力端子(PAD−)、通信段であって、前記通信段内の着信信号を復調及び/又は変調するように適合した通信段、並びにユニット(200)用電源を提供する電圧変換器(106)を備える電力段(105)を備えるRFタグ用受信器ユニットにおいて、
前記電力段は、前記電圧変換器の出力電圧を制限するように適合させた調整回路(107)を更に含み、前記調整回路(107)は、第2の電流値を決定するように適合させた調整器回路(108)を備え、前記第2の電流値は、Iシャントの像Iiシャントであり、前記Iシャントは前記ユニット(200)によって吸収される前記電圧変換器(106)からの出力電流の剰余であり、前記調整器回路(108)は、前記Iiシャントが所定の閾値(Iref)を超える場合に制御信号(S_reg)を供給し、前記制御信号は、前記変換器回路の前記入力電圧を制限するように構成したリミッタ回路(110)に送信することを特徴とする、RFタグ用受信器ユニット。
【請求項2】
前記電圧変換器は、交流/直流型であることを特徴とする、請求項1に記載のRFタグ受信器ユニット。
【請求項3】
前記電圧変換器(106)は、入力に接地生成器(1060)を含み、前記接地生成器(1060)は、互いに接続した第1のN型MOSトランジスタ(1060a)及び第2のN型トランジスタ(1060b)から構成し、それにより、前記第1のN型MOSトランジスタ(1060a)のソース及び前記第2のN型トランジスタ(1060b)のソースが、互いに接続して前記電圧変換器の接地を形成し、前記第1のトランジスタのドレインは、前記第1の入力端子(PAD+)及び前記第2のトランジスタのゲートに接続する一方で、前記第2のトランジスタのドレインは、前記第2の入力端子(PAD−)及び前記第1のトランジスタのゲートに接続し、前記電圧変換器は、電圧修正器部(1061)を形成する複数の同一の構造体(1062)を更に備えること、並びに前記変換器出力は、2つのN型MOSトランジスタ(1066)を含み、前記トランジスタの前記ソースは、出力線を形成するように互いに接続し、前記トランジスタのうち1つの前記ドレインは、前記第1の端子から延在する前記電圧修正器部の最後の構造体に接続し、もう一方の前記トランジスタの前記ドレインは、前記第2の端子から延在する前記電圧修正器部の最後の構造体に接続し、各前記トランジスタの前記ゲートは、前記トランジスタの前記ソースに接続することを特徴とする、請求項2に記載のRFタグ受信器ユニット。
【請求項4】
前記電圧修正器部(1061)は、前記第1の入力端子(E1)及び前記第2の入力端子(E2)のそれぞれから、互いに接続した同一の直列構造体(1062)が延在するように構成し、前記各直列構造体のうち第1の前記構造体は、前記第1の入力端子(E1)及び前記第2の入力端子(E2)のうち1つ、並びに次の前記構造体に接続し、2つの前記構造体の間の接続点は、各前記構造体が前記第1の端子及び前記第2の端子に接続するように前記第1の入力端子(E1)又は前記第2の入力端子(E2)のうち1つに接続することを特徴とする、請求項3に記載のRFタグ受信器ユニット。
【請求項5】
前記リミッタ回路(110)は、少なくとも1つのトランジスタ(TL)を含み、前記少なくとも1つのトランジスタ(TL)は、前記トランジスタ(TL)のドレインを介して前記第1の入力端子(E1)に接続し、前記トランジスタ(TL)のソースを介して前記第2の入力端子(E2)に接続し、また、前記少なくとも1つのトランジスタを程度の差はあれ導電性にするために、前記制御信号(S_reg)を前記トランジスタ(TL)のゲートに送信することを特徴とする、請求項1から4のうちいずれか一項に記載の受信器ユニット。
【請求項6】
前記リミッタ回路(110)は、平行に組み付けた複数のトランジスタを含むことを特徴とする、請求項5に記載の受信器ユニット。
【請求項7】
前記調整ユニット(107)は、基準電圧(VBG)及び前記所定の閾値(Iref)をシャント電圧調整器に供給するバンドギャップ電圧生成器(109)を更に含むことを特徴とする、請求項1から6のうちいずれか一項に記載の受信器ユニット。
【請求項8】
前記通信段(104)は、前記リミッタ回路(110)に直接接続する通信動作を表す信号(Sc)を提供するように適合され、前記通信動作の間、調整しないようにすることを特徴とする、請求項1から7のうちいずれか一項に記載の受信器ユニット。
【請求項9】
計算ユニット及び少なくとも1つの機能を実施するメモリを含む制御ユニット(200)、並びに信号を送受信し電力を前記制御ユニットに供給するように構成した少なくとも1つの受信器ユニットを備えるRFタグ(1)において、前記受信器ユニットは、請求項1から8のうちいずれか一項に記載の受信器ユニット(100)であることを特徴とする、RFタグ(1)。
【請求項10】
前記受信器ユニット(100)は、第1の周波数(F1)を使用する第1のプロトコル(P1)に従って動作するように構成されることを特徴とする、請求項9に記載のRFタグ。
【請求項11】
前記第1のプロトコル(P1)は、長距離プロトコルであることを特徴とする、請求項10に記載のRFタグ。
【請求項12】
前記タグは、第2の周波数(F2)を使用する第2のプロトコル(P2)に従って動作するように構成した第2の受信器ユニット(100’)を更に含み、前記第2の受信器ユニットは、ユニット(200)に電流(Ihf)を供給するように構成し、前記制御ユニットは、電流(Ihf+uhf)を受信し、前記電流(Ihf+uhf)の値は、前記第1の受信器ユニット(100)及び前記第2の受信器ユニット(100’)からの電流(Iuhf、Ihf)の和であることを特徴とする、請求項9から11のうちいずれか一項に記載のRFタグ。
【請求項13】
前記第1の受信器ユニットは、電流ミラー回路(112)を更に含み、前記電流ミラー回路(112)は、前記第1の受信器ユニット電流と前記第2の受信器ユニット電流との和の像である電流(I1)を表す信号(SI1)を供給するために使用し、前記第2の受信器ユニット(100’)は、電流ミラー回路(113)を更に備え、前記電流ミラー回路(113)は、前記第2の受信器ユニット(100’)によって供給する電流(Ihf)の像である電流(I2)を表す信号(SI2)を供給するために使用すること、及び前記第1の受信器ユニットは、減算器回路(114)を更に含み、前記第2の受信器ユニットが供給する前記電流の像である前記電流(I1)から、前記第1の受信器ユニット電流と前記第2の受信器ユニット電流との和の像である前記電流(I2)を減算し、前記第1の受信器ユニットからの前記電流(Iuhf)を表す信号だけを前記リミッタ回路(110)に供給することを特徴とする、請求項12に記載のRFタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナに接続した第1の入力端子及び第2の入力端子、通信段であって、前記通信段内で着信信号を復調及び/又は変調するように適合した通信段、並びに残りの回路に電力を供給する電圧変換器を備える電力段を備える受信器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ラベル又は通信ビーコンとも呼ばれる、通信回路を備える公知のRFタグがある。この種の通信回路は、着信信号又は発信信号を処理する変調/復調段に接続したアンテナを備える。そのようなRFタグは、電力供給システム、即ち信号の受信時に受け取ったエネルギーを使用してRFタグ全体に電気エネルギーを供給する段も備える。
【0003】
この種の段は、一般に、受信した交流信号を直流電力信号に変換するAC/DC変換器を含む。この種のAC/DC変換器は、例えばグレーツ型ダイオード・ブリッジの形態を取る。
【0004】
しかし、着信信号の種類に応じて、AC/DC変換器は、低電力で作動可能であるだけでなく、高電力でも作動可能である必要がある。
【0005】
更に、AC/DC変換器の1つの問題は、浮遊容量を有する場合があることである。実際には、各アンテナは、同調コンデンサにより最適に動作する。したがって、アンテナに関連付けた同調コンデンサの値を制御すること、したがって、浮遊容量の値を低減し、浮遊容量が所望のアンテナ特性を著しく妨害しないようにすることが求められている。したがって、AC/DC変換器は、浮遊容量に対する最大の一因であるため、浮遊容量の寄与を最小にする組立体を選択することが重要である。
【0006】
更に、RFタグには、AC/DC変換器がその内部に過剰に高い電圧が生じた結果破損し、構成要素に損傷を与えるという危険性がある。公知の解決策は、所定の電圧値を超える信号をクリップすることである。しかし、入力信号をクリップすることの1つの欠点は、クリップにより信号をひずませ、その結果、情報が損なわれることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、RFタグ受信器ユニットの提供によって従来技術の欠点を克服することであり、RFタグ受信器ユニットは、効率を改善し、入力信号の大きな電圧変動を許容する一方で、電圧サージ及び信号のひずみを防止する。
【0008】
この目的で、本発明は、受信器ユニットを提案するものであり、この受信器ユニットは、アンテナに接続した第1の入力端子及び第2の入力端子、通信段であって、前記通信段内で着信信号を復調及び/又は変調するように適合した通信段、並びにユニットに電力を供給する電圧変換器を備える電力段を備え、電力段は、電圧変換器の出力電圧を制限するように適合させた調整回路を更に含み、前記調整回路は、第2の電流値を決定するように適合させた調整器回路を備え、前記第2の電流値は、第1の電流値に加えて提供される電流値であり、調整器回路は、第2の電流値が所定の閾値を超える場合に制御信号を供給し、制御信号は、AC/DC変換器回路の入力電圧を制限するように構成したリミッタ回路に送信することを特徴とする。
【0009】
第1の有利な実施形態では、電圧変換器は、交流/直流型である。
【0010】
第2の有利な実施形態では、電圧変換器は、入力に接地生成器を含み、接地生成器は、互いに接続した第1のN型MOSトランジスタ及び第2のN型トランジスタから構成し、第1のN型MOSトランジスタのソース及び第2のN型トランジスタのソースが互いに接続して電圧変換器の接地を形成するようにし、第1のトランジスタのドレインは、第1の入力端子及び第2のトランジスタのゲートに接続する一方で、第2のトランジスタのドレインは、第2の入力端子及び第1のトランジスタのゲートに接続し、電圧変換器は、電圧修正器部を形成する複数の同一の構造体を更に備えること、並びに前記変換器の出力は、2つのN型MOSトランジスタを含み、トランジスタのソースは、互いに接続して出力線を形成し、トランジスタのうち1つのドレインは、第1の端子から延在する電圧修正器部の最後の構造体に接続し、もう一方のトランジスタのドレインは、第2の端子から延在する電圧修正器部の最後の構造体に接続し、各トランジスタのゲートは、トランジスタのソースに接続する。
【0011】
第3の有利な実施形態では、電圧修正器部は、第1の入力端子及び第2の入力端子のそれぞれから、互いに接続した同一の直列構造体が延在するように構成し、各直列構造体の第1の構造体は、第1の入力端子及び第2の入力端子のうち1つ、並びに次の構造体に接続し、2つの構造体の間の接続点は、各構造体が第1の端子及び第2の端子に接続するように、第1の入力端子又は第2の入力端子のうち1つに接続する。
【0012】
第4の有利な実施形態では、リミッタ回路は、少なくとも1つのトランジスタを含み、少なくとも1つのトランジスタは、トランジスタのドレインを介して第1の入力端子に接続し、トランジスタのソースを介して第2の入力端子に接続し、また、前記少なくとも1つのトランジスタを程度の差はあれ導電性にするために、制御信号をトランジスタのゲートに送信する。
【0013】
第5の有利な実施形態では、リミッタ回路は、平行に組み付けた複数のトランジスタを含む。
【0014】
第6の有利な実施形態では、調整ユニットは、分極電流及び基準電圧を調整器回路に供給するバンドギャップ電圧生成器を更に含む。
【0015】
別の有利な実施形態では、通信段は、リミッタ回路に直接接続する通信動作を表す信号を提供するように適合させ、通信動作の間、調整しないようにする。
【0016】
本発明は、更にRFタグに関し、RFタグは、計算ユニット及び少なくとも1つの機能を実施するメモリを含む制御ユニット、並びに信号を送受信し電力を前記制御ユニットに供給するように構成した少なくとも1つの受信器ユニットを備え、前記受信器ユニットは、本発明による受信器ユニットであることを特徴とする。
【0017】
第1の有利な実施形態では、受信器ユニットは、第1の周波数を使用する第1のプロトコルに従って動作するように構成する。
【0018】
第2の有利な実施形態では、第1のプロトコルは長距離プロトコルである。
【0019】
第3の有利な実施形態では、RFタグは、第2の周波数を使用する第2のプロトコルに従って動作するように構成した第2の受信器ユニットを更に備え、前記第2の受信器ユニットは、通信段、及びユニットに電流を供給する電力段を備え、前記制御ユニットは、電流を受信し、電流の値は、第1の受信器ユニットからの電流と第2の受信器ユニットからの電流との和である。
【0020】
別の有利な実施形態では、第1の受信器ユニットは、電流ミラー回路を更に含み、この電流ミラー回路は、第1の受信器ユニットの電流と第2の受信器ユニットの電流との和の像である電流を表す信号を供給するために使用し、第2の受信器ユニットは、電流ミラー回路を更に備え、この電流ミラー回路は、第2の受信器ユニットが供給する電流の像である電流を表す信号を供給するために使用すること、及び第1の受信器ユニットは、減算器回路を更に含み、第2の受信器ユニットが供給する電流の像である電流から、第1の受信器ユニットの電流と第2の受信器ユニットの電流との和の像である電流を減算し、第1の受信器ユニットからの電流を表す信号だけをリミッタ回路に供給する。
【0021】
本発明によるデバイスの目的、利点及び特徴は、単に非限定的な例として示し添付の図面によって例示する本発明の少なくとも1つの実施形態の以下の詳細な説明においてより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1a】本発明の第1の実施形態によるRFタグ及び受信器ユニットの概略図である。
【
図1b】本発明の第1の実施形態によるRFタグ及び受信器ユニットの概略図である。
【
図2】本発明による受信器ユニットのAC/DC変換器の概略図である。
【
図3】本発明による受信器ユニットのシャント電圧調整器の概略図である。
【
図4】本発明による受信器ユニットのリミッタ回路の概略図である。
【
図5】本発明による受信器ユニットの一変形形態の概略図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態によるRFタグの概略図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態によるRFタグの概略図である。
【
図8】本発明によるRFタグ調整システムの時間的挙動の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1aは、通信ビーコン又は電子ラベルとも呼ばれるRFタグの受信器ユニット1、及びより具体的には第1の実施形態による受信器ユニット100を示す。そのようなRFタグの、
図1bに見られるこの種の受信器ユニット100は、入力で、2つの入力端子(PAD+、PAD−)、即ち正入力及び負入力を介してアンテナ101に接続する。このアンテナ101は、双極子であってもコイルであっても、アンテナ機能を実施できる任意の要素であってもよい。RFタグ1は、例えば計算ユニット、及び少なくとも1つの機能を実施するメモリを備える制御ユニット200を更に含む。本明細書では、受信器ユニット100は、長距離UHFプロトコルで動作させるために使用する。2つの入力端子PAD+、PAD−にわたって、複数の段を互いに接続し、各段は、入力端子の一方を介して正端子に接続し、入力端子のもう一方を介して負端子に接続する。まず、多数のコンデンサを備える調節段102があり、多数のコンデンサは、アンテナ、共振振動数及びQ値との適合を調節するために、平行に組み付け、追加するか又は追加しないように作動できる。
【0024】
第2の段103は、保護段から構成する。このESD保護段は、静電気放電から保護する。この保護段103は、一般にダイオード及び/又はサイリスタを備える。第3の段は、通信段104から構成する。この通信段は、アンテナを介して信号を送信する変調器部104a、及び/又はアンテナを介して受信した信号を処理する復調器部104bから構成する。
【0025】
第4の段は、電力段105、即ち着信信号からの電力を使用することによってRFタグの残りに電気エネルギーを供給できる段から構成する。
【0026】
この第4の段は、入力電圧を異なる出力電圧に変換する電圧変換器106を含む。本発明のケースでは、この電圧変換は、AC/DC変換である。この回路は、交流電圧から整流電圧Uuhf及び電流Iuhfをもたらす。
【0027】
好ましい例では、電圧変換器106は、コッククロフト・ウォルトン構造を使用するAC/DC変換器であり、このAC/DC変換器は、修正され、
図2に見られるように対称的である。このAC/DC変換器106は、2つの入力端子E1、E2を含み、入力端子E1、E2は、RFタグの2つの入力端子PAD+、PAD−に接続する。接地生成器1060は、入力で2つの入力E1とE2との間に配置し、この接地生成器は、2つのN型MOSトランジスタ1060a及び1060bから構成する。2つのトランジスタ1060a及び1060bのソースは、互いに接続され、接地電圧VSSを形成する一方で、各トランジスタ1060a、1060bのゲートは、他のトランジスタのドレインに接続され、各ドレインは、端子E1、E2のうち1つに接続する。
【0028】
次に、この構造体は昇圧部1061を含む。同様の構造体1062は、各入力端子E1、E2から直列に接続する。各端子E1、E2から延在するこれらの構造体1062は、端子E1から延在する第1の構造体1062及び端子E2から延在する第1の構造体が電圧修正器段を形成するように配置し、以下同様に配置する。したがって、AC/DC電圧変換器106は、N個の電圧修正器段を含む。
【0029】
各構造体1062は、N型MOSトランジスタ1063を含み、そのゲートは、前記トランジスタのドレインに接続する。トランジスタ1063のソースも、次の構造体1062のトランジスタ1063のドレイン、及び平行に組み付けたコンデンサ1064にも接続し、このコンデンサ1064は、昇圧中の余分な電力を供給するために使用し、入力端子E1、E2のうち1つにも接続する。
【0030】
コンデンサ1064の入力端子E1、E2への接続は、1つの構造体1062のコンデンサ1064を端子E1に接続する場合、次の構造体1062のコンデンサ1064を端子E2に接続するように交互にし、以下同様に交互に接続する。
【0031】
この構成は、トランジスタ1063のドレインを端子E1に接続した第1の構造体1062のコンデンサ1064を端子E2に接続する一方で、トランジスタ1063のドレインを端子E2に接続した第1の構造体1062のコンデンサ1064を端子E1に接続するようにも配置する。
【0032】
各線の最後の構造体1062において、トランジスタ1063のソースは、集電器部1065に接続する。この集電器は、2つのN型MOSトランジスタ1066を含み、トランジスタ1066のソースは、互いに接続してVPOS出力1067を形成する。複数のトランジスタ1066のうち1つのドレインは、線E1の最後の構造体のトランジスタ1066のソースに接続し、他のトランジスタのドレインは、線E2の最後の構造体のトランジスタのソースに接続する。更に、各トランジスタ1066のゲートは、トランジスタ1066のソースに接続する。
【0033】
この構成により、本発明が得ようとする特徴である、浮遊容量の低いAC/DC変換器106を得ることを可能にする。
【0034】
このAC/DC変換器106の出力において、第4の段105は、有利には調整回路107を含む。この調整回路107を使用して、電圧が上昇する際に、AC/DC変換器106のトランジスタが破損しないようにする。
【0035】
実際には、AC/DC変換器回路106も昇圧器回路である。しかし、構成要素は、電圧が高すぎると損傷する可能性がある。
【0036】
まず、調整回路107は、シャント電圧調整器108として調整器回路を含み、このシャント電圧調整器108は、シャント電圧調整器108の入力のうち1つを介してAC/DC変換器の出力に接続し、シャント電圧調整器108の出力のうち1つを介して接地に接続する。
【0037】
図3に見られるこの種のシャント電圧調整器108は、第1の入力を備え、第1の入力は、3つのP型MOSトランジスタPVLT1、PVLT2及びPVLT3のドレインに接続する。トランジスタPVLT1のゲートは、トランジスタPVLT1のソースに接続し、トランジスタPVLT2のゲートに接続する。トランジスタPLVT2のソースは、トランジスタPVLT3のゲートに接続する。直列の4つの抵抗器Rも、第1の入力に接続し、これらの抵抗器Rは、互いに直列に接続し、したがって第1の入力と接地との間に接続する。
【0038】
このシャント電圧調整器108は、第1のN型MOSトランジスタNVLT1を更に含み、第1のN型MOSトランジスタNVLT1のゲートは、基準電圧VBGを接続する第2の入力である。このトランジスタNVLT1のドレインは、トランジスタPLVT1のソースに接続する一方で、トランジスタNLVT1のソースは、一対のN型MOSトランジスタNLVT2及びNLVT3に接続する。より具体的には、トランジスタNLVT1のソースは、トランジスタNLVT2のソースに接続し、トランジスタNLVT2のドレインは、トランジスタPLVT2のソースに接続し、トランジスタPLVT2のゲートは、直列の抵抗器である第1の抵抗器Rと第2の抵抗器Rとの間の接続点に接続する。更に、コンデンサC1、C2、C3及びC4は、トランジスタPLVT3のゲートとトランジスタNLVT2のゲートとの間、及びトランジスタNLVT2のゲートと接地との間に平行に接続するように構成する。
【0039】
トランジスタNLVT1のソースは、トランジスタNLVT3のドレインにも接続し、トランジスタNLVT3のソースも接地に接続し、トランジスタNLVT3のゲートは、第4のトランジスタNLVT4のゲートに接続する。このトランジスタNLVT4は、トランジスタNLVT4のドレイン及びゲートを介して電流分極ソースI1に接続し、トランジスタNLVT4のソースを介して接地に接続する。
【0040】
最後に、シャント電圧調整器は、第5のトランジスタNLVT5を含み、第5のトランジスタNLVT5のゲート及びドレインは、トランジスタPLVT3のソースに接続し、トランジスタPLVT3のソースは、接地に接続する。このシャント電圧調整器108は、バンドギャップ基準電圧生成器109に結合でき、このバンドギャップ基準電圧生成器109は、基準電圧VBGを供給し、シャント電圧調整器108のトランジスタNLVT1のゲートに接続する。
【0041】
この種のシャント電圧調整器108を使用して、制御ユニット200による消費電流に加えて、供給電流I
シャントを測定する。実際には、調整の原理は、AC/DC変換器106による供給電流がRFタグ回路、即ち制御部200によって部分的に吸収され、剰余、即ち電流I
シャントがシャント電圧調整器108の方に向けられるという事実に依拠する。
【0042】
シャント調整器からの調整電流は、主にPLVT3内に流れる。MOSトランジスタPLVT4は、このシャント電流I
シャントの像を捉え、AC/DC変換器保護回路の特性を調節するようにする。
【0043】
したがって、AC/DC変換器106の出力電流と入力電圧との間には、昇圧による損傷又は破損が生じないAC/DC変換器106の最大入力電圧があるような相互関係がある。したがって、この最大電流値は、調整ツールとして使用する。一例では、この最大電流値は、100μAで設定し、制御ユニット200による消費電流は、約10μAである。シャント電圧調整器108を使用して、AC/DC変換器108の出力電圧の関数である調整信号S_regを供給する。
【0044】
ある電流値を有するこの調整信号S_regは、
図4に見られるクリップ又はリミッタ回路110に送信する。このリミッタ段110は、AC/DC変換器108の直前の端子PAD+、PAD−との間に平行に接続する。このリミッタ段110は、端子E1とE2との間に接続した少なくとも1つのリミッタ・トランジスタTLを含み、端子E1及びE2は、入力端子PAD+、PAD−に接続する。
【0045】
各入力端子PAD+、PAD−からは、スイッチ構造体1101と直列に接続した抵抗器R1が延在し、このスイッチ構造体1101は、4つのN型MOSトランジスタ1102を含み、N型MOSトランジスタ1102は、第1のトランジスタが第1のトランジスタのドレインを介して抵抗器R1に接続し、第1のトランジスタのソースを介して第2のトランジスタ1102に接続するように接続し、以下同様に接続する。
【0046】
更に、各スイッチ構造体1101は、トランジスタの数と等しい複数のスイッチ1103を含み、スイッチ1103は、その端子のうち一方を介して互いに接続し、もう一方の端子を介してトランジスタ1102のドレイン及びゲートにそれぞれ接続する。これらのスイッチ構造体1101を使用して、例えば電圧サージが入力PAD+及びPAD−にわたって現れた場合にトランジスタTLのゲートを制御する高速経路をもたらす。この高速経路は、一種の第2のESD保護を実現する。
【0047】
各構造体1101のこれらの最後のトランジスタ1102は、互いに接続する。この接続点は、リミッタ・トランジスタTLのゲートに接続するが、入力モジュール1104にも接続し、入力モジュール1104は、2つの電流源1106aに加えて、平行に組み付けたコンデンサ1105を含む。第1の電流源1106は、シャント電圧調整器出力信号S_regの電流、即ちシャント電流I
シャントの像I
iシャントを供給するように構成する。N型MOSトランジスタ1107のドレインは、この電流源の出力に接続し、N型MOSトランジスタ1107のゲートは、N型MOSトランジスタ1107のドレインに接続する。トランジスタ1107は、トランジスタ1107のソースを介して第2の電流源1106bにも接続し、第2の電流源1106bの値は、バンドギャップ基準電圧生成器109が提供する基準値Irefである。
【0048】
このリミッタ段110を使用し、リミッタ・トランジスタTLのゲート上に作用させることによって第4の段のAC/DC変換器106の着信電圧を制限する。
【0049】
シャント電圧調整器108から送信された信号S_regから送信された電流I
iシャントが基準電圧Irefよりも低い又は基準電圧Irefと等しい限り、何も起こらず、トランジスタTLは作動しない。
【0050】
逆に、送信された電流I
iシャントが基準電流Irefよりも大きい場合、2つの電流源1106の間に平衡はもはやないので、余分な電流をリミッタ・トランジスタ106のゲートに送る。リミッタ・トランジスタTLのゲートに電流が流れると、ゲートが閉鎖されるため、リミッタ・トランジスタTLの導電性はより小さくなり、AC/DC変換器106に電圧降下が生じる。したがって、AC/DC変換器106が提供する電流は減少し、それにより、シャント電圧調整器108が送る制御信号S_regからの電流I
iシャントが減少し、程度の差はあれ、リミッタ・トランジスタTLに作用する。
【0051】
リミッタ段110の1つの利点は、リミッタ段110が線形であること、即ちリミッタ段110が、入力信号をクリップしない又はひずませず、前記信号の規模を変更するにすぎないということである。
【0052】
このリミッタ段110の別の利点は、リミッタ段110が、入力端子PAD+、PAD−の電圧を前記RFタグの適切な動作に適合する電圧範囲内に維持することによって、入力端子PAD+、PAD−の電圧に対する調整効果がある一方で、第2の段103又は保護ダイオードを備える保護段は、入力端子PAD+、PAD−の電圧に対する調整効果がないということである。例えば、保護ダイオードのみを使用すると、5つの段を有するAC/DC変換器の入力の電圧は、2ボルトに達し得るが、約4に等しい逓倍比では、変換器トランジスタ端子に8ボルトの電圧を発生させ、そのため、通常2ボルトで動作するトランジスタを破損する危険がある。
【0053】
このリミッタ段110が許容する電力範囲は、数十ミリボルトから数十ボルトに及ぶ制御ユニット200の入力電圧では−20dBmから+25dBmに及ぶ。
【0054】
提案する調整では、伝達関数を使用して動作させる。この伝達関数は以下の関数である:
【0056】
式中、τ
cは、リミッタ110及びコンデンサ1105の構成要素による時定数であり、
式中、τ
rは、調整回路及びバッファ・コンデンサCbuffの構成要素による時定数であり、
式中、e
gは、受信エネルギーに関連し、受信信号フィールドを通じて入手可能な、アンテナ内で誘起される電圧振幅であり、V
antは、AC/DC変換器106内で妥当な電圧を維持するためにリミッタ回路110が制御する、入力端子PAD+、PAD−で有効な電圧振幅である。
τ
r<<τ
c式中、τ
c≒1.7μsであり、且つτ
r=5nsであるため、伝達関数は、
【0059】
この伝達関数は、
図8に見られる安定した一次関数を得ることを可能にし、開始時の大きな振動振幅(A)は、経時的に安定し、安定した状況(B)が得られる。
【0060】
一変形形態では、リミッタ・トランジスタTLは、平行に接続した複数のトランジスタから構成する。
【0061】
図5に見られる別の変形形態では、第3の段又は通信段104は調整用に使用する。この変形形態は、信号を受信した際、復調に関連する電圧変動を考慮する。実際には、信号を処理する際、電圧変動による値の低下がシャント電圧調整器によって検出され、電圧損失として考慮されるということが起こり得る。すると、シャント電圧調整器108は、リミッタ・トランジスタTLを開放し、より多くの電圧がAC/DC変換器に流れるのを可能にする。しかし、この電圧降下は、一時的なものにすぎず、AC/DC変換器に電圧サージを生じさせ、損傷を与えるおそれがある。
【0062】
したがって、通信動作を表す第3の段104からの信号Scは、そのような通信動作の間、調整しないようにリミッタ回路110に接続する。
【0063】
本発明の変形形態は、有利には、アンテナによる信号の受信時、特に変調信号における電圧降下の際、電圧変動を考慮して調整を分け、調整を作動しないようにする。
【0064】
図7に見られる第2の実施形態では、RFタグが二重周波数RFタグであることが考えられる。したがって、そのようなRFタグは、
図6に見られるように、2つの受信器ユニット100、100’を含み、第1のユニット1’は、第1のプロトコル(P1)に従って第1の周波数(F1)で動作し、アンテナ101’に接続した第2のユニット100’は、第2のプロトコル(P2)に従って第2の周波数(F2)で動作する。例えば、第1の受信器ユニット100は、UHF、即ち長距離プロトコルで動作する一方で、第2の受信器ユニット100’は、HF、即ち短距離プロトコルで動作する。
【0065】
この場合、RFタグ制御ユニットのために電流Iuhfを供給するのは、UHF受信器ユニットである。HF受信器ユニットは、制御ユニット200がUHF受信器ユニット及びHF受信器ユニットの両方に接続するように、電流Ihfにも供給し、そのため、制御ユニット200が受信した電流は、電流IuhfとIhfとの和、即ちIuhf+Ihfである。
【0066】
したがって、調整によりひずみを回避することを考慮するために、第2の受信器ユニット100’からの電流を調節する必要がある。
【0067】
調整ループ107は、電流の像である電流I1を表す信号S
I1の供給に使用する電流ミラー回路112を更に含み、電流の値は、電流IuhfとIhfとの和である。
【0068】
第2の受信器ユニット100’は、電流Ihfの像である電流I2を表す信号S
I2の供給に使用する電流ミラー回路113を更に含む。
【0069】
次に、電流Iuhf+Ihfの像である電流I1を表す信号S
I1、及び電流Ihfを表す信号S
I2は、リミッタ回路110に接続した減算器114に送信する。電流I1及び電流I2は、減算器114がI1とI2との間の差、即ち、演算:Iuhf+Ihf−Ihfを計算するように減算器114に接続する。
【0070】
得られるのは、リミッタ回路110内の調整に使用する電流Iuhfを表す信号S_regである。
【0071】
添付の特許請求の範囲によって定義する本発明の範囲から逸脱することなく、当業者に明白な様々な代替形態及び/又は改良形態及び/又は組合せ形態を、上記に示した本発明の様々な実施形態に行い得ることは明らかであろう。
【0072】
当然、第1の受信器ユニット100及び第2の受信器ユニット100’は、同一又は異なる構造を有することができる。同様に、第2の受信器ユニット100’は、第1の受信器ユニット100で記載したような調整ループを含むように構成できる。
【符号の説明】
【0073】
1 RFタグ
100 受信器ユニット
101 アンテナ
102 調節段
103 保護段
104 通信段
105 電力段
106 電圧変換器
107 調整回路
108 調整器回路
109 バンドギャップ電圧生成器
110 リミッタ回路
200 制御ユニット