(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板支持部は、前記複数枚の基板がそれぞれ処理される処理空間を仕切るように前記基板が積載される方向に沿って前記基板同士の間にそれぞれ配置される複数のアイソレーションプレートを備え、
前記噴射口は、前記処理空間にそれぞれ対応して異なる高さに前記チューブに複数形成される請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
前記流動調節部は、前記ダクトの内部において各処理空間に対応して調節ガスを噴射するように前記ダクトの内部に配置され、前記調節ガス供給ラインと接続される噴射ユニットをさらに備える請求項4に記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態として実現され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。一方、本発明の実施形態を説明するために図面は誇張されているおり、図中、同じ符号は同じ構成要素を示す。
【0021】
図1は、本発明の実施形態による基板処理装置の構造を示す図であり、
図2は、本発明の実施形態によるガス供給部及び流動調節部を示す図であり、
図3は、本発明の実施形態による流動調節部を示す斜視図であり、
図4は、本発明の実施形態による噴射口及びダクトを示す図であり、
図5は、本発明の実施形態による流動調節部の動作を示す図であり、
図6は、本発明の他の実施形態による流動調節部を示す斜視図である。
【0022】
図1及び
図2を参照すると、本発明の実施形態による基板処理装置100は、基板Sが処理される内部空間を提供するチューブ111と、前記チューブ111の内部空間に設けられて複数枚の基板Sを多段に積載する基板支持部170と、前記複数の基板Sに工程ガスを供給するガス供給部130と、前記工程ガスを吸い込むために前記ガス供給部130と向かい合うように配置される排気部140と、前記ガス供給部130と前記排気部140との間における前記チューブ111の周縁に沿って形成されて調節ガスを噴射する噴射口191を有する流動調節部190と、を備える。
【0023】
このとき、本発明の実施形態による基板処理装置100は、基板Sの上にエピタキシャル層を形成するエピタキシャル装置である。基板Sに選択的なエピタキシャル成長(SelectiveEpitaxial Growth:SEG)工程を行う場合、全ての処理空間に工程ガスが供給される。工程ガスは、原料ガス、エッチングガス、ドーパントガス及びキャリアガスのうちの少なくともいずれか一種を含み、基板S上の薄膜の膜厚を制御するために様々な比率でガスが混合されて供給される。
【0024】
このようなガスは分子量が異なるため、比率に応じて工程ガスの流動が異なる。このため、選択的なエピタキシャル成長に際しては、工程ガスの流れが基板S上の薄膜の膜厚及び組成を決定する重要な要因になる。例えば、基板Sに噴射された工程ガスは、基板Sの上面に加えて、基板Sの周縁及び基板Sの下面に沿って移動する。このため、基板Sの上面に供給された一部の工程ガスのみが基板Sの処理工程に実際に供され、他のガスは基板Sの処理工程に実際に供されないことがある。したがって、配設された流動調節部190を用いて工程ガスの流れを調節して基板Sの上面にさらに多量の工程ガスが供給されるように制御する。
【0025】
チャンバ120は、四角筒状又は円筒状を呈する。チャンバ120は、上部胴体121及び下部胴体122を備え、上部胴体121の下部及び下部胴体122の上部はつながっている。下部胴体122の側面には、基板Sが出入りする出入り口が配設される。このため、基板Sが出入り口を介してチャンバ120の内部に搬入される。また、下部胴体122内に積載された基板Sは、上側に移動して上部胴体121内において処理される。このため、下部胴体122の内部は、基板Sが積載される積載空間を形成し、上部胴体121の内部は、基板Sの工程空間を形成する。しかしながら、チャンバ120の構造及び形状はこれに何ら限定されるものではなく、種々に変形可能である。
【0026】
外部チューブ112は円筒状に形成され、上部が開放された下部胴体122の上側又は上部胴体121の内部に配置される。外部チューブ112の内部にはチューブ111が収容される空間が形成され、下部が開放される。このとき、外部チューブ112の内壁及びチューブ111の外壁は互いに離れて外部チューブ112とチューブ111との間に空間が形成される。しかしながら、外部チューブ112の構造及び形状はこれに何ら限定されるものではなく、種々に変形可能である。
【0027】
チューブ111は円筒状に形成され、外部チューブ112の内部に配置される。チューブ111の内部には、基板Sが収容される空間が形成され、下部が開放される。このため、チューブ111の内部が下部胴体122の内部と連通され、基板Sがチューブ111と下部胴体122との間を移動する。しかしながら、チューブ111の構造及び形状はこれに何ら限定されるものではなく、種々に変形可能である。
【0028】
基板支持部170は、基板ホルダ171と、チューブ111の内部を密閉する遮断プレート172と、シャフト173及び前記複数枚の基板Sがそれぞれ処理される処理空間を仕切るように前記基板Sが積載される方向に沿って前記基板S同士の間にそれぞれ配置される複数のアイソレーションプレート175を備える。
【0029】
基板ホルダ171は、複数枚の基板Sが上下方向に積載されるように形成される。基板ホルダ171は、上下方向に延設される複数の支持バー171b及び前記支持バーと接続されて支持バーを支持する上部プレートを備え、支持バーには、基板Sを容易に支持するための支持ティップが基板Sの中心に向かって突設される。
【0030】
上部プレート171aは円板状に形成され、基板Sの直径よりも大きな直径を有する。支持バー171bは3本配設され、上部プレート171aの周縁に沿って互いに離れて上部プレートの外縁部の下部に接続される。支持ティップは複数配設され、支持バー171bの延長方向に沿って一列に隔設される。このため、基板ホルダ171には、上下方向に基板Sが積載される複数の層が形成され、一つの層又は処理空間に1枚の基板Sが積載される。しかしながら、基板ホルダ171の構造及び形状はこれに何ら限定されるものではなく、種々に変形可能である。
【0031】
遮断プレート172は円板状に形成され、基板ホルダ171の直径よりも大きな直径を有する。遮断プレート172は、基板ホルダ171の下部に接続される。このため、基板ホルダ171が下部胴体122からチューブ111内に移動する場合、遮断プレート172も基板ホルダ171とともに上側に移動してチューブ111の開放された下部を閉塞する。このため、基板Sに対する処理工程が行われる場合、チューブ111の内部が下部胴体122から密閉され、チューブ111内の工程ガスが下部胴体122に流入したり、下部胴体122内の異物がチューブ111内に流入したりすることが防がれる。しかしながら、遮断プレート172の構造及び形状はこれに何ら限定されるものではなく、種々に変形可能である。
【0032】
シャフト173は、上下方向に延びるバー状に形成される。シャフト173の上端は遮断プレート172に接続され、下端は駆動部160と接続される。このため、基板ホルダ171は、シャフト173の上下方向の中心軸を基準として駆動部160により回転され、シャフト173に沿って駆動部160により上下に移動する。
【0033】
アイソレーションプレート175は円板状に形成され、複数枚が配設されて支持ティップの下側にそれぞれ配置される。すなわち、アイソレーションプレート175は、支持バーに嵌め込まれて支持ティップ同士の間に隔設される。このため、アイソレーションプレート175は、各基板Sが処理される空間を仕切る。したがって、基板ホルダ171の各層に処理空間がそれぞれ別々に形成される。
【0034】
駆動部160は、基板支持部170を上下に移動させる上下駆動器及び基板支持部170を回転させる回転駆動器を備える。
【0035】
上下駆動器はシリンダであり、基板支持部170の下部、すなわち、シャフト173と接続されて基板支持部170を上下に移動させる役割を果たす。このため、基板Sを積載した基板支持部170がチューブ111と下部胴体122との間を上下に移動することができる。すなわち、上下駆動器が基板支持部170を下側に移動させると、下部胴体122の出入り口を介して基板Sが基板支持部170に載置され、基板Sが基板支持部170に全て載置されると、上下駆動器が基板支持部170を上側のチューブ111内に移動させて基板Sに対する処理工程を行う。
【0036】
回転駆動器はモータであり、基板支持部170の下部、すなわち、シャフト173と接続されて基板支持部170を回転させる役割を果たす。回転駆動器を用いて基板支持部170を回転させると、基板支持部170に積載された基板Sを通過して移動する工程ガスが混合されながら基板Sの上部に均一に分布される。このため、基板Sに蒸着される膜の品質が向上する。しかしながら、駆動部160が基板支持部170を上下に移動させたり回転させたりする方法はこれに何ら限定されるものではなく、様々な方式が採用可能である。
【0037】
加熱部150は、外部チューブ112の外側に配置されるヒータである。例えば、加熱部150は、上部胴体121の内壁に嵌設されて外部チューブ112の側面及び上部を囲繞するように配置される。このため、加熱部150が熱エネルギーを発生させると、熱エネルギーが外部チューブ112を通ってチューブ111の内部の温度を昇温させる。このため、加熱部150を制御してチューブ111の内部の温度が、基板Sが処理され易い温度になるように調節することができる。しかしながら、加熱部150の配設位置はこれに何ら限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0038】
図2を参照すると、ガス供給部130は、チューブ111の内部の基板Sに工程ガスを噴射する複数の噴射ノズル131及び噴射ノズル131に接続されて工程ガスを供給する工程ガス供給ライン132を備える。
【0039】
噴射ノズル131は、チューブ111の一方の側、例えば、チューブ111の前面の内壁を貫通して嵌設され、異なる高さに配置される。すなわち、噴射ノズル131は、アイソレーションプレート175により仕切られ、各基板が処理される処理空間にそれぞれ対応して上下方向に配置される。このため、各処理空間に供給される工程ガスの量をそれぞれ別々に制御することができる。
【0040】
工程ガス供給ライン132はパイプ状に形成されて、一方の端が噴射ノズル131に接続され、他方の端が工程ガス供給源(図示せず)に接続される。このため、工程ガス供給源から供給される工程ガスが工程ガス供給ライン132を介して噴射ノズル131に供給される。例えば、工程ガス供給ライン132は複数配設されて各噴射ノズル131に接続され、1本のラインが複数に分岐されて各噴射ノズル131に接続される。また、工程ガス供給ライン132には一つ又は複数の制御弁が配設されて、噴射ノズル131に供給される工程ガスの量を制御する。しかしながら、工程ガス供給ライン132の構造及び形状はこれに何ら限定されるものではなく、種々に変形可能である。
【0041】
排気部140は、チューブ111の内部のガスが流入する排気口141と、前記排気口141を通過したガスを吸い込む排気ポート142と、排気ポート142に接続されて排気ポート142に吸い込まれたガスをチューブ111の外部に排気する排気ライン143と、排気ポート142を収容する排気ダクト144t、を備える。
【0042】
排気口141は、噴射ノズル131と向かい合うチューブ111の他方の側、例えば、チューブ111の背面の内壁に形成される。排気口141は上下方向に延設されてもよく、複数配設されて異なる高さに配置されてもよい。すなわち、複数の排気口141は、各噴射ノズル131に対応して上下方向に配置される。このため、噴射ノズル131から供給される工程ガスが処理空間を通って向こう側に配設される排気口141に向かって流れる。これにより、工程ガスと基板Sの表面とが反応するのに十分な時間が確保される。このとき、基板処理工程中に発生した未反応ガス及び反応副産物は、排気口141を介して吸い込まれて排出される。
【0043】
排気ポート142は、チューブ111の外側に排気口141に対応して設けられる。排気ポート142は、内部にガスが移動する空間を有し、排気口141と向かい合う個所に吸込孔が形成される。このため、排気口141を通過したガスが吸込孔を介して排気ポート142の内部に流入する。吸込孔は、排気口141又は各処理空間に対応して一つ又は複数配設される。しかしながら、排気ポート142の構造及び形状はこれに何ら限定されるものではなく、種々に変形可能である。
【0044】
排気ライン143はパイプ状に形成されて、一方の端が排気ポート142に接続され、他方の端が吸込器(図示せず)に接続される。このため、吸込器から提供される吸込力によりチューブ111の内部のガスが排気口141を通過して排気ポート142に吸い込まれ、排気ライン143に沿ってチューブ111の外部に排出される。しかしながら、排気ライン143の構造及び形状はこれに何ら限定されるものではなく、種々に変形可能である。
【0045】
排気ダクト144は、内部に排気ポート142を収納する空間を形成し、チューブ111の他方の側、例えば、背面に設けられる。また、排気ダクト144は、チューブ111と外部チューブ112との間に配置される。このため、排気ダクト144は、排気ポート142に吸い込もうとするガスがチューブ111と外部チューブ112との間の空間に流出されることを遮断することができる。
【0046】
一方、噴射ノズル131及び排気口141は、チューブ111と外部チューブ112との間に配置される。したがって、チューブ111の内部が2重に密閉されて、チューブ111内のガスが外部に流出されたり、外部の異物がチューブ111内に流入したりすることが有効に遮断される。なお、チューブ111に工程ガス供給ライン132や排気ライン143が配設されないので、チューブ111の内部の空間効率性が向上する。
【0047】
このとき、噴射ノズル131と、基板S及び排気口141は、同一線上に位置する。このため、基板Sの下面が支持ティップにより浮き上がっている状態を維持するため、噴射ノズル131から噴射された工程ガスが基板Sを通って排気口141に吸い込まれながら層流を形成する。すなわち、工程ガスが基板Sの側面と接触した後に、基板Sの上面及び下面に沿って移動しながら排気口141に流入する。したがって、工程ガスが基板Sと平行に流れるので、基板Sの上面に均一に供給される。
【0048】
このような層流を形成して基板Sに対する処理工程を行う場合、工程ガスの流れを制御することが非常に重要である。このため、配設された流動調節部190を用いて工程ガスの流動を調節し、さらに多量の工程ガスが基板Sの実際の処理工程に供されるように誘導する。
【0049】
図3及び
図4を参照すると、流動調節部190は、前記チューブ111及び前記外部チューブ112の間に配置され、工程ガスの移動方向と交差する方向に調節ガスを噴射して工程ガスの流動を調節する役割を果たす。流動調節部190は、前記処理空間にそれぞれ対応して異なる高さに前記チューブ111の側面に形成される複数の噴射口191と、前記チューブ111の外側面に設けられ、前記調節ガスが前記噴射口191に移動するように流動空間を提供するダクト192と、調節ガスを供給するように前記ダクト192に接続される調節ガス供給ライン193と、前記調節ガス供給ライン193に沿って移動する調節ガスの流量を調節する調節弁(図示せず)と、を備える。
【0050】
このとき、調節ガスとして、基板Sの処理工程に影響を与えない、すなわち、基板Sの処理工程に実際に供されない水素などが使用可能である。調節ガスは、工程ガスに含まれるキャリアガスと同じ成分のガスである。このため、調節ガスの量を制御すると、工程ガス内のキャリアガスの割合を制御することができるので、調節ガスを用いて工程ガスの混合比を制御することができる。しかしながら、調節ガスの種類はこれに何ら限定されるものではなく、基板Sの処理工程に影響を与えない限り、様々なガスが使用可能である。
【0051】
噴射口191は、噴射ノズル131と排気口141との間におけるチューブ111の周縁に沿って形成される。すなわち、噴射口191は、工程ガスが噴射される方向と交差する方向に調節ガスを噴射するように噴射ノズル131と排気口141との間に配置される。噴射口191は複数配設され、前記処理空間にそれぞれ対応して異なる高さにチューブ111に形成される。このため、各処理空間において工程ガスの流動を制御して基板Sの上面に供給される工程ガスの量を増やすことができる。
【0052】
また、複数の噴射口191は、複数の噴射ノズル131とそれぞれ同じ高さに配置される。すなわち、各噴射口191は、噴射ノズル131及び基板Sと同じ高さに形成される。このため、噴射口191から噴射された調節ガスが基板Sの周縁に沿って移動する工程ガス、すなわち、工程ガス及び調節ガスが異なる高さから噴射されると、調節ガスが工程ガスを押し出し難い。
【0053】
このため、工程ガス及び調節ガスが互いに同じ高さから噴射されるように噴射口191及び噴射ノズル131を同じ高さに配置する。したがって、基板Sの処理工程に供されない工程ガスを基板Sの中心部に向かって押し出し易い。工程ガスが処理ガスにより流動し易いように調節されると、基板Sの上面と接触する工程ガスの量が増え、その結果、基板Sの処理工程に実際に供される工程ガスの量が増える。
【0054】
また、噴射口191は、スリット状に又は列設される複数の孔状に形成される。このため、調節ガスが基板Sの側面の周縁に向かって噴射されて基板Sの周縁に沿って移動する工程ガスを基板Sの中心部に向かって押し出すことができる。したがって、さらに多量の工程ガスが基板Sの上面に供給されて基板Sの処理工程に実際に供される。
【0055】
さらに、噴射口191は、前記ガス供給部130から前記排気部140に向かって進むにつれて幅が可変となる。すなわち、噴射口191は、噴射ノズル131から排気口141に向かって進むにつれて広幅となるか、あるいは、狭幅となる。このため、ガス供給部130に近い個所から噴射される調節ガスの量及び排気口141に近い個所から噴射される調節ガスの量が異なるように制御することができる。
【0056】
例えば、工程ガスが噴射ノズル131から排気口141に移動しながら基板Sの噴射ノズル131に近い個所において反応が先行して起きて、噴射ノズル131に近い個所の薄膜の膜厚が噴射ノズル131から遠い個所に配置される個所の薄膜の膜厚よりも厚くなる。このため、基板Sの噴射ノズル131から遠い個所に配置される個所又は排気部140に近い個所に供給される処理ガスの量を増やすために、ガス供給部130から排気部140に向かって進むにつれて広幅となる噴射口191を形成する。
【0057】
すなわち、広幅部から噴射される調節ガスの量が狭幅部から噴射される調節ガスの量よりも多い。このため、排気口141に近い個所にさらに多量の調節ガスが噴射されながら基板Sの排気口141に近い個所にさらに多量の工程ガスが移動するように誘導することができる。したがって、基板Sの排気部140に近い個所において基板Sの表面と工程ガスが反応して基板Sの全体に亘って均一な膜厚の薄膜が成膜される。
【0058】
また、複数の噴射口191は、高さに応じて異なる面積を有し、上側から下側に向かって進むにつれて面積が増減される。すなわち、噴射口191の大きさ又は密度を調節して各処理空間に供給される調節ガスの量を制御することができる。
【0059】
例えば、調節ガスの供給圧力により、上側の噴射口191から噴射される処理ガスの量と、下側の噴射口191から噴射される処理ガスの量が異なる。すなわち、たとえ上側の噴射口191及び下側の噴射口191が互いに同じ大きさに形成されたとしても、上側の噴射口191から噴射される調節ガスの量が下側の噴射口191から噴射される調節ガスの量よりも少ない。このため、上側から下側に向かって進むにつれて噴射口191の大きさが小さくなるようにする。したがって、上側の噴射口191から噴射される調節ガスの量は増え、下側の噴射口191から噴射される調節ガスの量は減り、その結果、各処理空間に供給される調節ガスの量が均一になる。
【0060】
或いは、噴射口191の密度を調節する。すなわち、噴射口191に配設される孔の数を異ならせる。上側の噴射口191に配設される孔の数を増やし、下側の噴射口191に配設される孔の数を減らす。このため、上側の噴射口191から噴射される調節ガスの量は増え、下側の噴射口191から噴射される調節ガスの量は減り、その結果、各処理空間に供給される調節ガスの量が均一になる。
【0061】
また、噴射口191は、チューブ111の両側に相対向するようにそれぞれ配置される。すなわち、噴射口191は、噴射ノズル131と排気口141との間の両側に配置される。例えば、噴射口191がチューブ111の左側にのみ配設されると、左側から右側に向かって噴射される調節ガスが工程ガスを右側に押し出さざるを得ない。したがって、工程ガスが基板Sの中心部に供給されず、基板Sの右側に供給されて基板Sの処理工程の効率が低下する虞がある。
【0062】
したがって、
図5に示すように、チューブ111の左側及び右側に相対向するように噴射口191を形成する。すなわち、左側から噴射された調節ガスは、基板Sの左側の周縁に沿って移動する工程ガスを基板Sの中心部に押し出し、右側から噴射された調節ガスは、基板Sの右側の周縁に沿って移動する工程ガスを基板Sの中心部に押し出して工程ガスが基板Sの中心部上において合流されて基板Sの中心部に集中する。このため、基板Sの中心部の上面において基板Sの処理工程に実際に供される工程ガスの量が増えて基板Sの処理工程の効率が向上する。しかしながら、噴射口191の構造及び形状はこれに何ら限定されるものではなく、種々に変形可能である。
【0063】
ダクト192は、チューブ111の外側面に設けられ、内部に調節ガスが流入する空間を形成する。すなわち、ダクト192は、調節ガスが噴射口191に移動するように内部に流動空間を提供する。また、ダクト192は、噴射口191を覆うように配置されて、ダクト192の内部とチューブ111の内部とが噴射口191を介して互いに連通される。このため、ダクト192の内部に調節ガスが供給されると、調節ガスが噴射口191を介してチューブ111の内部に噴射される。
【0064】
ダクト192は、一対が相対向するように配置される。すなわち、チューブ111の両側に形成される噴射口191に対応してチューブ111の両側にそれぞれ設けられる。このため、ダクト192は、噴射口191に調節ガスを供給することができる。しかしながら、ダクトの構造及び形状はこれに何ら限定されるものではなく、種々に変形可能である。
【0065】
調節ガス供給ライン193はパイプ状に形成されて、一方の端がダクト192に接続され、他方の端が調節ガス供給源(図示せず)に接続される。このため、調節ガス供給源から供給される調節ガスが調節ガス供給ライン193を介してダクト192に供給される。例えば、調節ガス供給ライン193は、一方の端が工程ガス供給ライン132に沿って延びてチューブ111と外部チューブ112との間の空間から分岐されて両側のダクト192とそれぞれ接続される。
【0066】
また、調節ガス供給ライン193は、ダクト192の上部と接続される。このため、調節ガスがダクト192の上部から満たされて下部まで満たされる。すなわち、調節ガスがダクト192の下部から満たされる場合、調節ガスがダクト192の上部に移動し難いため、上側の噴射口191から噴射される調節ガスの量は少なく、下側の噴射口191から噴射される調節ガスの量は多い。したがって、上側の基板Sに供給される調節ガスの量と下側の基板Sに供給される調節ガスの量とが異なって、上側の基板Sにおける工程ガスGの集中個所と、下側の基板Sにおける工程ガスの集中個所とが異なり、上側の基板Sの薄膜の膜厚及び下側の基板Sの薄膜の膜厚が均一にならない。
【0067】
調節ガスがダクト192の上部から満たされる場合、調節ガスがダクト192の下部に移動し易いため、調節ガスが下側に移動しながら複数の噴射口191を介して複数枚の基板Sのそれぞれに噴射される。このため、上側の噴射口191から噴射される調節ガスの量と、下側の噴射口191から噴射される調節ガスの量とが均一になる。したがって、上側の基板Sにおける工程ガスの集中個所と、下側の基板Sにおける工程ガスの集中個所とが略同じくなって、上側の基板Sの薄膜の膜厚と下側の基板Sの薄膜の膜厚とが均一になるように調節される。
【0068】
一方、
図6に示すように、流動調節部190は、ダクト192の内部に配置され、前記調節ガス供給ライン193と接続されるとともに、ダクト192の内部に調節ガスを噴射する噴射ユニット195をさらに備える。噴射ユニット195は、上下方向に延設されるパイプ状に形成され、上下方向に複数の孔が列設される。噴射ユニット195に設けられる複数の孔は、噴射口191の位置に対応して上下に配置される。このため、噴射ユニット195は、ダクト192の内部において各処理空間に対応して調節ガスを噴射することができる。
【0069】
また、調節ガス供給ライン193は、ダクト192を貫通して噴射ユニット195の下部と接続される。このため、調節ガス供給ライン193の内部を移動する調節ガスが噴射ユニット195に供給され、噴射ユニット195の孔を介して調節ガスがダクト192内に均一に供給され、ダクト192に設けられる噴射口191を介して均一な量の調節ガスが各基板Sに供給される。すなわち、噴射ユニット195の孔から均一な量の調節ガスが噴射されるので、高さに応じて噴射口191から噴射される調節ガスの量が異なることが極力抑えられる。したがって、複数枚の基板Sの上に均一な量の調節ガスが噴射されて上側の基板S及び下側の基板Sの薄膜の膜厚が均一になるように調節される。
【0070】
例えば、噴射ユニット195の複数の孔が、高さに応じて幅が異なるように形成される。すなわち、上側から下側に向かって進むにつれて孔の幅が広幅又は狭幅になるようにする。このため、高さを問わずに均一な量の調節ガスが噴射されるように調節することができる。しかしながら、ダクト192の内部に調節ガスを供給する方法はこれに何ら限定されるものではなく、種々の方法が採用可能である。
【0071】
調節弁は、調節ガス供給ライン193に設けられて調節ガス供給ライン193内を移動する調節ガスの流量を制御する役割を果たす。このため、工程に応じてチューブ111内に噴射される調節ガスの量を制御して工程の効率を向上させることができる。
【0072】
例えば、基板Sの中心部に形成された薄膜の膜厚が外縁部に形成された薄膜の膜厚よりも厚い場合、調節弁を制御してダクト192に供給される調節ガスの量を減らす。このため、工程ガスを基板Sの中心部に押し出す調節ガスの量が減って基板Sの中心部に押し出される工程ガスの量が減り、基板Sの外縁部に供給される工程ガスの量は増える。したがって、基板Sの中心部よりも外縁部において工程ガスとの反応がさらに激しく起きて、基板Sの上に均一な膜厚の薄膜が形成される。
【0073】
逆に、基板Sの外縁部に形成された薄膜の膜厚が中心部に形成された薄膜の膜厚よりも厚い場合、調節弁を制御してダクトに供給される調節ガスの量を増やす。このため、工程ガスを基板Sの中心部に押し出す調節ガスの量が増えて基板Sの中心部にさらに多量の工程ガスが集中し、基板Sの外縁部に供給される工程ガスの量は減る。したがって、基板Sの外縁部よりも中心部において工程ガスとの反応がさらに激しく起きて、基板Sの上に均一な膜厚の薄膜が形成される。
【0074】
このように、基板処理装置100に流動調節部190が配設され、これを用いて工程ガスの流動を調節する。すなわち、流動調節部190を用いて、基板Sの周縁に沿って移動する工程ガスが基板の中心部を向くように流動を調節する。このため、工程ガスのほとんどが基板Sに対する処理工程に供されて無駄使いされる工程ガスの量が減り、基板処理工程の効率が向上する。
【0075】
以上述べたように、本発明の詳細な説明の欄においては、具体的な実施形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において種々に変形可能である。よって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限られて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけではなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められるべきである。