(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各商品分類ごとの販促期待金額は、相関強度から期待される期待売上から、来店顧客の購入履歴に基づいて相関強度の計算と同様の処理で算出された統計金額を引いた金額である
ことを特徴とする請求項1または2記載のレジスター装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1において、1は例えばクリーニング業向けのレジスター装置であり、このレジスター装置1は、例えば顧客会員制の店舗であるクリーニング店の受付に設置され、顧客(会員顧客)が複数種の商品の中から選択注文した商品の価格(金額)に基づいて売上代金を決済するものである。なお、ここでいう「商品」とは、商品自体に加え、他人に提供するサービス(役務)を含む意味である。
【0014】
レジスター装置1は、
図1に示されるように、金銭等を収納可能な金銭収納部2を有する装置本体3を備えている。この装置本体3には、オペレータである店員が指先でタッチ操作可能な液晶式のタッチパネル表示部4が立設されている。つまり、このタッチパネル式のレジスター装置1は、操作手段(入力手段)を兼ねた表示手段であるタッチパネル表示部4を備えている。
【0015】
また、
図2に示されるように、装置本体3には、CPU等からなる制御手段5が設けられている。そして、制御手段5には、タッチパネル表示部4に加え、少なくとも記憶手段6、プリンタ手段(印字発行手段)7およびスピーカ手段(音声発生手段)8が電気的に接続されている。
【0016】
さらに、制御手段5は、通常のレジスター機能に加え、少なくとも第1計算手段11、第2計算手段12および推薦商品分類決定手段13の機能を備えている。
【0017】
ここで、記憶手段6は、複数の顧客情報、各顧客ごとの購入履歴、複数の商品情報(商品名、商品分類および価格等)、各商品分類(各商品)ごとの販促情報、および、過去の販促履歴等を記憶するものである。
【0018】
第1計算手段11は、複数の顧客の購入履歴から各商品分類ごとに一の商品分類(例えばワイシャツ類)に対する他の複数の商品分類(例えば上着およびズボン)の相関強度を算出し、この算出した相関強度を利用して相関予測に基づく各商品分類ごとの販促期待金額(相関予測による販促期待金額)を計算するものである。
【0019】
第2計算手段12は、来店した顧客(一の顧客)の購入履歴から所定期間(例えば11ヶ月)以上購入されていない商品分類を抽出し、この抽出した商品分類に関してのみ実績予測に基づく各商品分類ごとの販促期待金額(実績予測による販促期待金額)を計算するものである。
【0020】
推薦商品分類決定手段13は、第1計算手段11にて計算された相関予測による販促期待金額および第2計算手段12にて計算された実績予測による販促期待金額に基づいて、来店した顧客に対して推薦すべき商品(推薦商品)に係る推薦商品分類を決定するものである。
【0021】
そして、推薦商品分類決定手段13は、例えば推薦商品分類のクーポンを発行する場合(プリンタ手段7に推薦商品分類のクーポンを印字発行させる場合)には、第1計算手段11にて計算された相関予測による販促期待金額と第2計算手段12にて計算された実績予測による販促期待金額との大小を比較することによって各商品分類ごとの最大値(高い方の金額)を選択し、この選択した最大値に設定倍率(各商品分類ごとに予め設定された倍率であり、例えば0を含む正の整数、以下同様)を乗じた結果を最終の販促期待金額とする。
【0022】
また、推薦商品分類決定手段13は、例えば推薦商品分類を画面表示する場合(表示手段であるタッチパネル表示部4に推薦商品分類を表示させる場合)には、第1計算手段11にて計算された相関予測による販促期待金額に設定倍率を乗じた結果を最終の販促期待金額とするとともに、第2計算手段12にて計算された実績予測による販促期待金額に設定倍率を乗じた結果を最終の販促期待金額とする。
【0023】
次に、上記レジスター装置1の作用等を説明する。
【0024】
(1)処理概要
図3はレジスター装置1の処理概要を示すフローチャートであり、この
図3に示すように、レジスター装置1の制御手段(制御部)5は、相関予測に基づく各商品分類ごとの販促期待金額を計算し(ステップ1)、実績予測に基づく各商品分類ごとの販促期待金額を計算し(ステップ2)、推薦商品分類のクーポンを発行するか否かを判断する(ステップ3)。
【0025】
そして、クーポンを発行すると判断した場合には、2つの予測結果に基づき、過去の販促履歴および購入履歴によって補正を行い、プリンタ手段7で推薦商品分類(例えば単一の推薦商品分類)のクーポンを発行する(ステップ4)。
【0026】
一方、クーポンを発行しないと判断した場合には、推薦商品分類を画面表示するか否かを判断する(ステップ5)。
【0027】
そして、画面表示すると判断した場合には、2つの予測結果に基づき、過去の販促履歴および購入履歴によって補正を行い、タッチパネル表示部4で推薦商品分類(例えば複数の推薦商品分類)をメッセージのように画面表示する。なお、画面表示しないと判断した場合には終了となる(ステップ6)。
【0028】
(2)相関予測に利用する相関強度の算出
レジスター装置1の制御手段5は、記憶手段6に記憶された各顧客ごとの購入履歴から、
図4に示すようにして各商品分類ごとの相関強度を算出する。
【0029】
具体的には次のように算出する。まず、
図5のような購入履歴があったとする。
【0030】
そして、
図5に示す購入履歴を各顧客ごとに累計する処理を行うが、その際に過去の購入金額に季節係数(予め設定された係数であり、0よりも大きく1以下の数、以下同様)を乗じる。
【0031】
この季節係数は、例えば処理該当月およびその前後の月を「1」と設定し、それ以外の月を「0.5」と設定する。なお、年は考慮せずに月のみで判断する。つまり前年同月は「1」となる。
【0032】
そこで、例えば、処理日が2014年7月とすると、顧客1に対しての、商品分類1の集計は次のようになる。
【0033】
まず、顧客1は、商品分類1を10/1、1/1、4/1、7/1の4回購入している。この場合、季節係数は、7/1のみ「1」でそれ以外は「0.5」になるので、それぞれの過去の購入金額に季節指数を乗じたものを集計すると次のようになる。
【0034】
1000×0.5(10/1分)+800×0.5(1/1分)+1000×0.5(4/1分)+800×1(7/1分)⇒2200
【0035】
顧客1の他の商品分類2〜5および顧客2の商品分類3、5に関しても同様に計算すると、その結果である統計金額は
図6のようになる。
【0036】
次いで、その結果をもとに
図4の[処理2]を行うと、次のようになる。
【0037】
商品分類1の場合は、それを購入した顧客は顧客1のみであるから、その一の商品分類1に対する残りの他の複数の商品分類の相関強度は、顧客1の購入した比率のままとなり、例えば商品分類2は、450÷2200⇒0.20となる。同様に商品分類3は、500÷2200⇒0.23となり、商品分類4は、800÷2200⇒0.36となる。商品分類2の場合も同様である。
【0038】
商品分類3の場合は、それを購入した顧客は顧客1と顧客2であるから、商品分類3の合計金額1500円に対して、各商品分類の相関強度はそれぞれ顧客1と顧客2の合計計算し、商品分類3の合計金額1500円につき、商品分類1は2200円購入されているため、商品分類3に対する商品分類1の相関強度は、2200÷1500⇒1.47となる。
【0039】
同様に計算すると、各商品分類ごとの相関強度の算出結果は、
図7のようになる。
【0040】
この場合、商品分類1(ワイシャツ)に対する他の商品分類の相関強度は、商品分類5(浴衣)が最も高くなるため、一般的には商品分類1(ワイシャツ)を多く出す顧客には推薦商品分類として商品分類5(浴衣)の販促が行われることになる(なお、例えばこのように購入履歴から算出した相関強度のみに基づいて、顧客に勧める推薦商品分類を決定するようにしてもよい)。
【0041】
しかしながら、同じ集計を翌年の4月に行うと季節係数が変化するため、各顧客ごとの集計と相関強度の集計はそれぞれ次の
図8および
図9のようになる(本来は、2014年7月以降にも購入履歴があるはずだが、説明の為省略する)。
【0042】
このように、季節係数の変化によって、翌年4/1であれば商品分類1(ワイシャツ)に対する他の商品分類の相関強度は、商品分類3(コート)が最も高くなるため、一般的には商品分類1(ワイシャツ)を多く出す顧客には推薦商品分類として商品分類3(コート)の販促が行われることになる。
【0043】
また、このように計算した結果は、複数の各店舗間のデータを複合した集計も可能であるため、相関強度をコンピュータネットワークを介して接続されたサーバに各店舗のレジスター装置1から送信して、そのサーバにて集計を行ってから、その結果を再配信を行うことで、よりサンプリング数の多い、精度の高い相関強度の利用が可能になる。なおこの場合、各相関強度表(
図7、
図9)の除算を行わない状態でデータは記憶しておく。これによって店舗間の集計を合算する際に単なる加算によって集計が可能になる。
【0044】
(3)相関予測による販促期待金額の計算
来店した顧客から商品の注文を受けた際(商品受付時)に、レジスター装置1の制御手段5は、記憶手段6に記憶されたその顧客(来店顧客)の購入履歴から、
図10に示すようにして相関強度を利用して相関予測に基づく各商品分類ごとの販促期待金額を計算する。
【0045】
具体的には次のように計算する。まず、
図7のような相関強度(相関強度情報)のある店舗において、
図11のような購入履歴の顧客3が、2014年7月に来店したとする。
【0046】
この場合における
図10の[処理1]は、前記相関強度の計算と同様の処理を行い、顧客3の各商品分類ごとの統計金額は
図12のようになる。
【0047】
次いで、
図10の[処理2]において、各商品分類ごとに相関強度から期待される売上を集計する。
【0048】
この顧客3に対する商品分類2の期待売上は、
図12で計算した統計金額に対して、
図7の相関強度から推定される期待売上を集計して平均を求める。つまり、この顧客3に対する商品分類2に対する期待売上は、商品分類1の統計金額が400円であり、商品分類3の統計金額が1000円であることから、次のように計算される。
【0049】
(400×0.20+1000×0.3)÷2⇒190
【0050】
同様に計算すると、各商品分類1〜5に関して、
図13のような結果になる。
【0051】
最後に、
図10の[処理3]において、[処理2]で求めた期待売上から、[処理1]で求めた統計金額を引くことで、各商品分類ごとに、販促で期待できる金額である「販促期待金額」が算出され、その結果が
図14のようになる。
【0052】
この
図14に示された販促期待金額が、この顧客3に対して販促をすることで、統計的に期待される金額となる。
【0053】
(4)実績予測による販促期待金額の計算
来店した顧客の実績予測に基づく販促期待金額は、その顧客によって所定期間、すなわち例えば11ヶ月以上購入されていない商品分類(商品)に対して、その購入金額に季節係数を乗じて集計する。その結果が実績予測による販促期待金額になる。
【0054】
具体的には、例えば
図15のような購入履歴のある顧客が、2014年10月にクリーニング店に来店したとする。
【0055】
この場合、来店した日から11ヶ月以上出ていない商品分類は、商品分類3(コート)と商品分類4(浴衣)であり、その顧客の購入履歴からこれら2つの商品分類が抽出される。
【0056】
商品分類3(コート)は4月と10月に出されているので、それぞれ季節係数は「0.5」と「1」になる。このため、商品分類3(コート)の販促期待金額は、次のように計算される。
【0057】
1000×0.5(4/1分)+1000×1(10/1分)⇒1500
【0058】
同様に、商品分類4(浴衣)についての季節係数は、「0.5」になるため、この商品分類4(浴衣)の販促期待金額は、800×0.5(7/1分)⇒400となる。
【0059】
(5)推薦商品分類のクーポン発行
レジスター装置1の設定において、例えば伝票とともに、推薦商品分類のクーポン(印字物)を印字発行するように設定されている場合には、
図16のような処理を行う。
【0060】
具体的な処理を、異なる顧客、異なる購入履歴から算出した結果であるが、簡便のため、前記(3)および(4)で例示した顧客が2014年10月に来店した際に、相関予想による販促期待金額および実績予想による販促期待金額が、それぞれ前記(3)および(4)で計算した結果になったとして例示を行う。
【0061】
例えば、各商品分類ごとの販促情報が
図17のようになっているとする。
【0062】
この場合、まず、
図16の[処理1]に従い、前記(3)の結果および前記(4)の結果から、両結果を比較して各商品分類ごとの最大値(高い方の金額)を求め、その最大値に設定倍率を乗じると、
図18のようになる。
【0063】
このように設定倍率を乗じることによって、実際には販促の不要なもの(例えば入会金等)を除いたり、利益率の高い商品を優先的に販促することが可能になる。なお、この設定倍率は、各商品分類ごと個別に変更設定可能となっている。
【0064】
次いで、
図16の[処理2]に従い、この顧客は
図15のような購入履歴を持つため、商品分類1(ワイシャツ)は、クーポン発行の対象外となる。
【0065】
また、
図19のような過去の販促履歴(推薦商品履歴)があるとすると、該当する顧客3に対する1ヶ月以内(所定期間内)の販促履歴は、商品分類3に対するものがある。このため、商品分類3を避けて、商品分類2、4、5のうちで、最大の販促期待金額を持つ商品分類4が推薦商品分類となり、クーポン発行の対象となる。
【0066】
そして、
図16の[処理3]に従い、例えば
図20のようなクーポンを印字発行し、その印字した記録を
図19の販促履歴に追加する。
【0067】
なお、過去1ヶ月以内の販促履歴に係る商品分類を避ける構成には限定されず、例えば、最後に計算された販促期待金額に対して、販促履歴が過去1ヶ月以内にあったら、「経過日数×3%」を乗じるようにしてもよい。すなわち例えば、翌日の場合には、3%を乗じるので、販促期待金額が1000円なら、30円になる。
【0068】
(6)推薦商品分類の画面表示
レジスター装置1の設定において、例えば推薦商品分類を画面表示するように設定されている場合には、
図21のような処理を行う。
【0069】
具体的な処理を、異なる顧客、異なる購入履歴から算出した結果であるが、簡便のため、前記(5)と同様に、前記(3)および(4)で例示した顧客が2014年10月に来店した際に、相関予想による販促期待金額および実績予想による販促期待金額が、それぞれ前記(3)および(4)で計算した結果になったとして例示を行う。
【0070】
この場合、例えば
図22のような画面表示を行う、つまり
図22に示す推薦商品表示画面であるメッセージ画面が例えばポップアップ画面としてタッチパネル表示部4に表示されるが、具体的には次のように処理を行う。
【0071】
メッセージ画面中の前半のメッセージ(最近出ていない商品……)は、
図21の[処理1]によって作成されたメッセージであるが、具体的には、その[処理1]に従い、前記(4)の結果(実績予測による販促期待金額)に
図18による設定倍率を乗じると
図23のような結果(最終の販促期待金額)を得る。
【0072】
この結果から、最大値×設定倍率が0より大きい効果の見込まれる順である、商品分類3、商品分類4の順に表示するものとし、
図22の前半のメッセージを得る。
【0073】
また、メッセージ画面中の後半のメッセージ(お持ちになっていただきたい商品……)は、
図21の[処理2]によって作成されたメッセージであるが、具体的には、その[処理2]に従い、前記(3)の結果(相関予測による販促期待金額)に
図18による設定倍率を乗じると
図24のような結果(最終の販促期待金額)を得る。
【0074】
ここから、前記[処理1]で対象となった商品分類3、4を除き、最大値×設定倍率が0より大きい効果の見込まれる順にメッセージを作成し、
図22の後半のメッセージを得る。
【0075】
このようにして得られたメッセージを含むメッセージ画面をみた店員は、来店した顧客に対して、「コート、浴衣、ズボン」を推薦商品として勧める。また、前記(5)で発行されたクーポンがあればそれを顧客に渡す。
【0076】
そして、このようなレジスター装置1によれば、推薦商品分類のクーポン発行や推薦商品分類の画面表示によって、クリーニング店に来店した各顧客に応じて適切な商品(推薦商品)を勧めることが可能となり、よって、クリーニングの受注につながり、販売促進(受注促進)を図ることができる。
【0077】
なお、レジスター装置1は、クリーニング店に設置されるクリーニング業向けのものには限定されず、例えばクリーニング店以外の店舗に設置されるものでもよい。
【0078】
また、レジスター装置1は、タッチパネル表示部4を備えた構成には限定されず、例えば操作手段(入力手段)と表示手段とを別個に備えた構成等でもよい。
【0079】
さらに、例えば
図22に示すメッセージ(推薦商品分類)を音声としてスピーカ手段8から発生させるようにしてもよく、顧客に対して推薦商品分類を出力する手段は任意である。
【0080】
また、例えば売上代金が印字された伝票の一部が推薦商品分類のクーポンとなるようにしてもよい。つまり、伝票とクーポンとが1枚の紙で構成してもよい。
【0081】
さらに、例えば推薦商品分類のクーポンを顧客のメールアドレス等に定期的に送信するようにしてもよい。