特許第6182661号(P6182661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本碍子株式会社の特許一覧

特許6182661半導体用複合基板のハンドル基板および半導体用複合基板
<>
  • 特許6182661-半導体用複合基板のハンドル基板および半導体用複合基板 図000002
  • 特許6182661-半導体用複合基板のハンドル基板および半導体用複合基板 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182661
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】半導体用複合基板のハンドル基板および半導体用複合基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20170807BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20170807BHJP
   B23K 20/00 20060101ALI20170807BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H01L21/02 B
   H01L27/12 B
   B23K20/00 310L
   H01L21/304 621D
   H01L21/304 622W
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-504104(P2016-504104)
(86)(22)【出願日】2015年2月17日
(86)【国際出願番号】JP2015054253
(87)【国際公開番号】WO2015125770
(87)【国際公開日】20150827
【審査請求日】2016年10月17日
(31)【優先権主張番号】特願2014-28241(P2014-28241)
(32)【優先日】2014年2月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】井出 晃啓
(72)【発明者】
【氏名】高垣 達朗
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 杉夫
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 康範
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−503942(JP,A)
【文献】 特開2010−010411(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/013980(WO,A1)
【文献】 特開2009−224770(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0123409(US,A1)
【文献】 特開2014−154687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
B23K 20/00
H01L 21/304
H01L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体用複合基板のハンドル基板を製造する方法であって、
多結晶材料からなるベース基板上に、アモルファス材料の薄層を形成する工程、
前記薄層を500〜1000℃でアニール処理することによって、耐薬品性を有する単成分かつ高純度のアモルファス層を形成する工程、および
前記アモルファス層の接合面を化学機械研磨する工程を有することを特徴とする、ハンドル基板の製造方法。
【請求項2】
前記アモルファス層の接合面を化学機械研磨することによって前記アモルファス層の前記接合面における表面粗度Raを1nm以下とすることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記薄層を化学的気相成長法、スパッタ、蒸着またはイオンプレーティングによって形成することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記アモルファス層が、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、シリコンまたは酸化珪素からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の方法
【請求項5】
前記多結晶材料が、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウムまたは酸化珪素からなることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載の方法
【請求項6】
前記多結晶材料が透光性アルミナであることを特徴とする、請求項記載の方法
【請求項7】
前記多結晶材料と前記アモルファス層とが同種の材料からなることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載の方法
【請求項8】
前記アモルファス層の厚さが3μm以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載の方法
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つの請求項に記載の方法によって前記ハンドル基板を得た後、前記ハンドル基板に対してドナー基板を接合することを特徴とする、半導体用複合基板の製造方法
【請求項10】
前記ドナー基板が単結晶シリコンからなることを特徴とする、請求項9記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体用複合基板のハンドル基板および半導体用複合基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、Silicon on Quartz(SOQ)、Silicon on Glass(SOG)、Silicon on Sapphire (SOS)と呼ばれるハンドル基板を透明・絶縁基板で構成したSOIや、GaN、ZnO、ダイアモンド、AlN等の透明ワイドギャップ半導体をシリコン等のドナー基板に接合することで得られた貼り合わせウェハーが知られている。SOQ、SOG、SOSなどは、ハンドル基板の絶縁性・透明性などからプロジェクター、高周波デバイスなどへの応用が期待されている。またワイドギャップ半導体の薄膜をハンドル基板に複合化した貼り合わせウェハーは、高性能レーザーやパワーデバイスなどへの応用が期待される。
【0003】
こうした半導体用の複合基板は、ハンドル基板とドナー基板とからなっており、一般的にハンドル基板やドナー基板は単結晶材料からなる。従来は、ベース基板上にシリコン層をエピタキシャル成長により形成する方法が主流であったが、近年直接接合により形成する方法が開発され、半導体デバイスの性能改善に寄与している。すなわち、こうしたハンドル基板とドナー基板とは、接合層や接着層を介して接合されるか、あるいは直接接合される。
【0004】
しかし、サファイアは高価であることから、コストダウンのためには、サファイア以外の材料の基板をハンドル基板として用いることが望まれる。すなわち、ハンドル基板の表面層として、グレーズドガラス層およびアモルファス層を形成することが知られている(特許文献1、2)。
【0005】
ドナー基板との接合に用いられるハンドル基板は、分子間力による接合力を最大化するべく、CMP等により高精度研磨が施され、そのRa値を低くしている。しかし、こうして完成した複合基板は、各種半導体プロセスの過程において、時に1000℃近くの温度雰囲気にさらされる。そのため、分子間力による接合力を最大化するためにハンドル基板表面のRa値を低く保持しつつ、同時に接合後の高温プロセスによる熱にも耐えることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06-183046
【特許文献2】特表2000-502483
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ハンドル基板の表面にグレーズドガラス層を形成した場合、ガラスはガラス転移点を持っているために、700℃以上の高温下にて使用することが困難であるとともに、不純物が多く、半導体プロセスに適さない。
【0008】
一方、ハンドル基板を多結晶材料によって形成した場合、完全な緻密性を担保することが難しく、また多結晶材料を構成する結晶方位による研磨性の相違といった問題のため、接合に耐えうる表面粗度を得ることが難しかった。
【0009】
特許文献2では、アモルファスアルミナの無孔質層をウエハー上に付着させ、5オングストローム以下の平均表面粗さまで研磨することが記載されている。
【0010】
しかし、最近、半導体の配線ルールが更に微細化されてきており、例えば0.7μm以下の微細配線が採用されてきている。このために、従来は問題とならなかったような水準の金属汚染(メタルコンタミネーション)が問題になってきている。このため、ハンドル基板には、半導体デバイス性能劣化への懸念から高い清浄度が求められるが、一般的なセラミック焼結体からなるハンドル基板ではこうした清浄度に達していない。また、特許文献2記載のようなアモルファスアルミナコーティングも、上記のような高い水準での金属汚染防止には対応できないものである。
【0011】
本発明の課題は、半導体用複合基板のハンドル基板において、高価な単結晶材料を使用せず、高温に対して耐久性があり、かつドナー基板との接合強度を高くするために接合面の表面粗度を低減可能とするとともに、接合面における汚損度を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、半導体用複合基板のハンドル基板を製造する方法である
【0013】
本方法は、多結晶材料からなるベース基板上に、アモルファス材料の薄層を形成する工程、
前記薄層を500〜1000℃でアニール処理することによって、耐薬品性を有する単成分かつ高純度のアモルファス層を形成する工程、および
前記アモルファス層の接合面を化学機械研磨する工程を有する。
【0014】
また、本発明は、前記ハンドル基板を得た後、前記ハンドル基板に対してドナー基板を接合することを特徴とする、半導体用複合基板の製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、半導体用複合基板のハンドル基板において、高価な単結晶材料を使用せず、高温に対して耐久性があり、かつドナー基板との接合強度を高くするために接合面の表面粗度を低減可能であり、例えばその表面粗度を1nm以下まで低減することができる。
【0016】
さらに、多結晶材料の薄層をアニールすることにより、アモルファス層の緻密性を向上させることができ、緻密化により耐薬品性が向上するので、半導体洗浄に適した薬品を用いることができる。これにより、接合面の洗浄効果が上がり、汚損度を低減できる。接合面の汚損度は、例えば、目的とする各金属元素に対して、それぞれ、1.0×1011atom/cm以下とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は、多結晶材料からなるベース基板1上にアモルファス層2を形成した状態を示し、(b)は、アモルファス層2を精密研磨してなるハンドル基板4を示す。
図2】(a)は、ハンドル基板4に対してドナー基板6を接合層5を介して接合してなるハンドル基板7Aを示し、(b)は、ハンドル基板4に対してドナー基板6を直接接合してなるハンドル基板7Bを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明を更に詳細に説明する。
例えば、図1(a)に示すように、多結晶材料からなるベース基板1の表面1a上にアモルファスの薄層2を形成する。1bは背面である。次いで、アニールすることによりアモルファスの薄層2を緻密化する。次に表面2aを精密研磨加工することによって、きわめて小さい表面粗度を有する接合面3aの形成されたアモルファス層3を設ける。これによってハンドル基板4を得ることができる。
【0019】
次いで、図2(a)に示す例では、ハンドル基板4の接合面3aに接合層5を介してドナー基板6を接合することによって、複合基板7Aを得ている。また、図2(b)に示す例では、ハンドル基板4の接合面3aにドナー基板6を直接接合することによって、複合基板7Bを得ている。
【0020】
(用途)
本発明の複合基板は、プロジェクター用発光素子、高周波デバイス、高性能レーザー、パワーデバイス、ロジックICなどに利用できる。
【0021】
(ドナー基板)
複合基板は、本発明のハンドル基板と、ドナー基板とを含む。
ドナー基板の材質は、特に限定されないが、好ましくは、シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、酸化亜鉛及びダイアモンドからなる群から選択される。
【0022】
ドナー基板は、上述の材質を有し、表面に酸化膜を有していてもよい。酸化膜を通してイオン注入を行えば、注入イオンのチャネリングを抑制する効果が得られるからである。酸化膜は、好ましくは50〜500nmの厚さを有する。酸化膜を有するドナー基板もドナー基板に含まれ、特に区別しない限り、ドナー基板と称する。
【0023】
(ベース基板)
好適な実施形態においては、ベース基板を構成する多結晶材料が、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウムまたは酸化珪素からなる。これらは緻密性を高くしやすく、半導体汚染のおそれが少ないので、好適である。
【0024】
また、ベース基板を構成する多結晶材料の相対密度は、アモルファス層の接合面の表面粗度を低減するという観点から、98%以上とすることが好ましく、99%以上とすることが更に好ましい。
【0025】
好適な実施形態においては、ハンドル基板を構成する多結晶材料が、純度99.9%以上のセラミック粉末を原料とする焼結によって製造されている。
【0026】
特に基板表面のピット(穴)が半導体の歩留まりに影響を与える場合や、半導体工程における金属汚染レベル要求が厳しい場合、例えば目的とする各金属元素に対して、それぞれ、1.0×1011atom/cm以下とすることが求められる場合には、ベース基板の高純度化が望ましい。なぜなら、ベース基板中の微量金属がアモルファス層へ拡散し、ハンドル基板表面に出るおそれもあるからである。ベース基板から飛散した不純物がアモルファス層表面に付着するおそれもある。
【0027】
また、緻密性に優れ且つ高純度である透光性アルミナを用いるのがよい。この場合、好ましくは純度99.9%以上(好ましくは99.95%以上)の高純度アルミナ粉末に対して、100ppm以上、300ppm以下の酸化マグネシウム粉末を添加する。このような高純度アルミナ粉末としては、大明化学工業株式会社製の高純度アルミナ粉体を例示できる。また、この酸化マグネシウム粉末の純度は99.9%以上が好ましく、平均粒径は50μm以下が好ましい。
【0028】
また、好適な実施形態においては、焼結助剤として、アルミナ粉末に対して、ジルコニア(ZrO)を200〜800ppm、イットリア(Y)を10〜30ppm添加することが好ましい。
【0029】
ベース基板の成形方法は特に限定されず、ドクターブレード法、押し出し法、ゲルキャスト法など任意の方法であってよい。特に好ましくは、ベース基板をゲルキャスト法を用いて製造する。
【0030】
好適な実施形態においては、セラミック粉末、分散媒およびゲル化剤を含むスラリーを製造し、このスラリーを注型し、ゲル化させることによって成形体を得る。ここで、ゲル成形の段階では、型に離型剤を塗布し、型を組み、スラリーを注型する。次いで、ゲルを型内で硬化させて成形体を得、成形体を離型する。次いで型を洗浄する。
【0031】
次いで、ゲル成形体を乾燥し、好ましくは大気中で仮焼し、次いで、水素中で本焼成する。本焼成時の焼結温度は、焼結体の緻密化という観点から、1700〜1900℃が好ましく、1750〜1850℃が更に好ましい。
【0032】
また、焼成時に十分に緻密な焼結体を生成させた後に、更に追加でアニール処理を実施することで反り修正を行うことができる。このアニール温度は、変形や異常粒成長発生を防止しつつ、焼結助剤の排出を促進するといった観点から焼成時の最高温度±100℃以内であることが好ましく、最高温度が1900℃以下であることが更に好ましい。また、アニール時間は、1〜6時間であることが好ましい。
【0033】
(アモルファス層)
本発明においては、多結晶材料からなるベース基板上にアモルファス層を形成する。
ドナー基板との接合を確保できる表面粗度を得るためには、表面層の結晶性が低いこと、即ちアモルファス状態であることが重要である。表面層が結晶性を有していると、CMPによる研磨において、結晶方位に依存した表面の凹凸が発生してしまい、所望の表面粗度Raが得られない。さらに、ベース基板上のアモルファス層のアニールにより耐薬品性を上げることにより、半導体洗浄に適した薬品を用いることができ、アモルファス表面の汚損を低減することができる。
【0034】
ここで洗浄に用いられる薬品は、SiウエハのRCA洗浄にて用いられる薬液である、各種薬品を使用できる。例えば、アンモニア過水(アンモニア:過酸化水素水:H2O=1:1:5(体積比))、塩酸過水(HCl:過酸化水素水:H2O=1:1:5(体積比))を例示できる。これら薬液による耐性を持つことで、洗浄後の表面粗さを保持しつつ、金属汚染を1.0×1011atom/cm以下まで抑える事が可能となる。
【0035】
ここでアモルファス状態とは、ベース基板及び成膜層の断面を1万倍のSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した結果、結晶粒界が観察されない状態であることを意味している。
【0036】
ベース基板上のアモルファス層の材質は、単成分かつ高純度とする。単成分というのは、一種類の組成式で表される材質であり、典型的にはセラミックスである。これは、ガラスのように複数種の無機物成分の組成物を除外するものである。
【0037】
また、高純度というのは、アモルファス層の98.0質量%以上が前記の単成分からなっていることを意味している。アモルファス層に占める前記の単成分の比率は、99.0質量%以上であることが更に好ましく、99.5質量%以上であることが更に好ましい。
【0038】
また、耐薬品性における薬品とは上述にて記載した、アンモニア過水と塩酸過水を示している。こうした薬品に対する耐性とは、前記したアンモニア過水(アンモニア:過酸化水素水:H2O=1:1:5(体積比))に対して温度70〜80℃、洗浄時間10分、塩酸過水(HCl:過酸化水素水:H2O=1:1:5(体積比))に対して温度70〜80℃、洗浄時間10分で洗浄を実施した後にAFMによる表面観察により、洗浄前後における表面粗さRa値が変化しないことを意味している。
【0039】
好適な実施形態においては、アモルファス層が、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウムまたは酸化珪素からなる。これらは純度が高く、高周波材料あるいは熱伝導材料としても好適である。
【0040】
例えば、窒化アルミニウムからなるベース基板上にアルミナからなるアモルファス層を形成しても良い。この場合、窒化アルミニウムの高い熱伝導性を維持しつつ、アルミナからなるアモルファス層により所望の面粗さを得ることができるばかりで無く、アルミナによる耐食性向上も期待することができる。
【0041】
また、好適な実施形態においては、多結晶材料とアモルファス層とが同種の材料からなる。これは熱膨張差によるクラックの発生を防ぐのに有効である。ここで、同種の材質というのは、ベース基板を構成する多結晶材料とアモルファス層を構成する材質との組成式が同じであることを意味しており、焼結助剤、添加剤や製法は異なっていてもよい。
【0042】
好適な実施形態においては、アモルファス層の厚さが3μm以下である。たとえ多結晶材料とアモルファス層の材料が同種であっても、アモルファス状態と多結晶状態では熱膨張係数に相違が発生する。このために、アモルファス層を形成したハンドル基板をたとえば1000℃以上の高温で使用すると、クラック発生の原因となにおそれもある。こうしたクラックを防止するには、アモルファス層を薄くすることが有効であり、表面粗度の低減やCMP加工性を考慮すると、アモルファス層の厚さを3μm以下とすることが望ましい。また、所望の表面粗さを得る観点から、アモルファス層の厚さは、0.5μm以上であることが好ましい。
【0043】
アモルファスの薄層の形成には、化学的気相成長(CVD)、スパッタ、イオンプレーティング、蒸着が好適に用いられる。
【0044】
また、ベース基板上に酸化珪素(SiO)からなるアモルファス膜を形成する方法として、まずベース基板上にアモルファスSi層、あるいはpoly-Si層を形成した後、これらの層を酸化することにより、多結晶表面に酸化珪素(SiO)のアモルファス層を形成することができる。
【0045】
アモルファスSi層、Poly-Si層の形成には、CVD、スパッタ、イオンプレーティング、蒸着が好適に用いられる。また、アモルファスSi層、Poly-Si層をCMP加工することによって、その表面粗度Raを1nm以下とすることが更に好ましい。
【0046】
また、アモルファスの薄層形成後には、アニール処理を実施する。これにより内在応力の除去と膜の緻密化による耐薬品性の向上が可能となる。
【0047】
このアニール処理時のアニール温度は、500〜1000℃とするが、600〜800℃とすることが更に好ましい。アニール温度での保持時間は、1時間〜10時間が好ましく、2〜6時間が更に好ましい。また、アニール処理時の昇温速度、降温速度は、50〜200℃/時間が好ましい。
アモルファス層がアルミナからなる場合には、50〜150℃/時間の昇温速度にて650℃〜1000℃のアニール温度に上昇させ、アニール温度で2〜4時間保持とすることが好ましい。
【0048】
アニール処理後には、CMP加工により表面粗度Raを1nm以下まで低減することが可能である。これにより直接接合に必要となる十分な面粗さを得ることができる。
【0049】
表面粗度Raは、接合面についてAFM(Atomic Force Microscope:原子間力電子顕微鏡)によって70μm×70μmの視野範囲で撮像し、JIS B0601に従い算出する数値のことである。
【0050】
アモルファス層を精密研磨加工することによって、その接合面のRaを小さくする。こうした精密研磨加工としては、CMP(Chemical Mechanical Polishing)加工が一般的であり。これに使われる研磨スラリーとして、アルカリまたは中性の溶液に30nm〜200nmの粒径を持つ砥粒を分散させたものが使われる。砥粒材質としては、シリカ、アルミナ、ダイヤ、ジルコニア、セリアを例示でき、これらを単独または組み合わせて使用する。また、研磨パッドには、硬質ウレタンパッド、不織布パッド、スエードパッドを例示できる。
【0051】
アモルファス層の接合面においては、目的とする金属元素、特にNa、Mg、K、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、CuおよびZnの濃度が、それぞれ、1.0×1011atom/cm以下であることが好ましい。
【0052】
(複合基板)
ハンドル基板とドナー基板とを接合することで複合基板を得る。
接合に用いられる技術としては、特に限定される訳ではないが、例えば表面活性化による直接接合や、接着層を用いた基板接合技術が用いられる。
【0053】
直接接合には界面活性化による低温接合技術が好適に用いられる。10−6Pa程度の真空状態にてArガスによる表面活性化を実施後、常温にてSi等の単結晶材料がSiO等の接着層を介して多結晶材料と接合されることができる。また表面のプラズマ活性化による直接接合も好適に用いることが出来る。条件としては水洗処理後、N2プラズマを表面に照射し、大気圧下にてSi等単結晶材料とSiO2等の酸化層を介して多結晶材料と接合することが可能となる。
【0054】
接着層の例としては、樹脂による接着の他に、SiO、Al、SiNが用いられる。
【実施例】
【0055】
(実施例1)
本発明の効果を確認するために、透光性アルミナセラミックスからなるベース基板上に、蒸着によるアモルファスアルミナ層を形成し、ハンドル基板を試作した。
【0056】
まず、透光性アルミナセラミックス製のブランク基板を作成した。
具体的には、以下の成分を混合したスラリーを調製した。
(原料粉末)
・比表面積3.5〜4.5m/g、平均一次粒子径0.35〜0.45μmのα−アルミナ粉末 100重量部
・MgO(マグネシア) 0.025重量部
・ZrO(ジルコニア) 0.040重量部
・Y(イットリア) 0.0015重量部
(分散媒)
・グルタル酸ジメチル 27重量部
・エチレングリコール 0.3重量部
(ゲル化剤)
・MDI樹脂 4重量部
(分散剤)
・高分子界面活性剤 3重量部
(触媒)
・N,N-ジメチルアミノヘキサノール 0.1重量部
【0057】
このスラリーを、アルミニウム合金製の型に室温で注型の後、室温で1時間放置した。次いで40℃で30分放置し、固化を進めてから、離型した。さらに、室温、次いで90℃の各々にて2時間放置して、板状の粉末成形体を得た。
【0058】
得られた粉末成形体を、大気中1100℃で仮焼(予備焼成)の後、水素3:窒素1の雰囲気中1750℃で焼成を行い、その後、同条件でアニール処理を実施し、ブランク基板とした。
【0059】
作製したブランク基板に高精度研磨加工を実施した。まず、グリーンカーボンによる両面ラップ加工により形状を整えた後、ダイヤモンドスラリーによる両面ラップ加工を実施した。ダイヤモンドの粒径は3μmとした。最後にSiO砥粒とダイヤモンド砥粒によるCMP加工を実施し、洗浄を実施し、ベース基板を得た。
【0060】
洗浄後のベース基板の表面に蒸着によってアルミナ(Al)層を形成した。このアルミナ純度は100質量%である。成膜時の到達真空度は10−4Paであり、ベース基板の温度は200℃であり、アモルファス層の膜厚は3μmであり、アモルファス層の屈折率は1.75となった。その後、800℃の大気炉にてアニール処理を実施した。
【0061】
最後に、成膜後のアモルファス層にCMP加工を施し、所望の面粗さとした。砥粒にはSiOスラリーを用いた。加工後の膜厚は1.5μmであり、AFMによる表面粗さ測定の結果、Ra値は0.5nmとなった。
【0062】
この後、アンモニア過水、塩酸過水、硫酸過水による洗浄を実施した。洗浄後に成膜層表面をAFMにより観察したが、Ra値は0.5nmと洗浄前後にて表面の面粗さに変化は見られなかった。
さらに表面をTXRF(全反射蛍光X線分析)により表面金属元素の汚染を確認した。
X線入射角度は0.03°、X線条件は40mV、40mAとした。結果として、Na、Mg、K、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、CuおよびZnの濃度が、それぞれ、1.0×1011atom/cm以下であることを確認した。
【0063】
完成したアモルファス層付きハンドル基板とSiウエハー(ドナー基板)との接合評価を実施した。接合にはプラズマ活性化法を用いた。接合後に100℃の低温にてアニールを実施後、さらに200℃にてアニール処理を実施した。これに対してウエハ状態でのブレードテストによる接合エネルギ評価を実施したところ、1J/mとなり、十分な接合強度が得られることを確認した。
【0064】
(比較例1)
比較例として、多結晶材料からなるベース基板の表面に、結晶層を設けた場合の例を示す。
【0065】
まず、実施例1と同様にして、透光性アルミナからなるベース基板を作製した。次いで、ベース基板の表面に対して、蒸着法によって、アルミナ膜を厚さ3μmに形成した。その後、1000℃の大気炉を用いてアニール処理を実施し、最後にアルミナ膜に対してCMP加工を実施した。その結果、CMP加工後のRa値は6nmとなった。アニール温度が1000℃付近になると、α−アルミナ結晶が生成するため、結晶質になる。この結果、CMP加工によって所望の面粗さが得られないことが判明した。
【0066】
(実施例2)
本発明の効果を確認するために、透光性アルミナセラミックスを用いたベース基板上に、CVDによってアモルファスSi層を形成し、ハンドル基板を試作した。
【0067】
まず、透光性アルミナセラミックス製のブランク基板を作製した。
具体的には、以下の成分を混合したスラリーを調製した。
(原料粉末)
・比表面積3.5〜4.5m/g、平均一次粒子径0.35〜0.45μmのα−アルミナ粉末 100重量部
・MgO(マグネシア) 0.025重量部
・ZrO(ジルコニア) 0.040重量部
・Y(イットリア) 0.0015重量部
(分散媒)
・グルタル酸ジメチル 27重量部
・エチレングリコール 0.3重量部
(ゲル化剤)
・MDI樹脂 4重量部
(分散剤)
・高分子界面活性剤 3重量部
(触媒)
・N,N-ジメチルアミノヘキサノール 0.1重量部
【0068】
このスラリーを、アルミニウム合金製の型に室温で注型の後、室温で1時間放置した。次いで40℃で30分放置し、固化を進めてから、離型した。さらに、室温、次いで90℃の各々にて2時間放置して、板状の粉末成形体を得た。
【0069】
得られた粉末成形体を、大気中1100℃で仮焼(予備焼成)の後、水素3:窒素1の雰囲気中1750℃で焼成を行い、その後、同条件でアニール処理を実施し、ブランク基板とした。
【0070】
作成したブランク基板に高精度研磨加工を実施した。まず、グリーンカーボンによる両面ラップ加工により形状を整えた後、ダイヤモンドスラリーによる両面ラップ加工を実施した。ダイヤモンドの粒径は3μmとした。最後にSiO砥粒とダイヤモンド砥粒によるCMP加工を実施し、洗浄を実施し、ベース基板を得た。
【0071】
洗浄後のベース基板の表面に、減圧CVDによってアモルファスSi層を形成した。成膜条件は、ジシランガスを用い、温度を400℃とし、膜厚は1μmとした。続いて、アモルファスSi層を600℃で3時間、酸化雰囲気で酸化し、厚さ1.5μmの酸化膜(アモルファスSiO層)を得た。その後、800℃の大気炉にてアニール処理を実施した。
【0072】
得られたアモルファスSiO層にCMP加工を施し、所望の面粗さとした。砥粒にはSiOスラリーを用いた。加工後の膜厚は1.0μmであり、AFMによる表面粗度測定の結果、Ra値は0.5nmとなった。
この後、アンモニア過水、塩酸過水、硫酸過水を用いて洗浄を実施した。洗浄後にAMFによる表面粗さ測定を実施したところ。Ra値は0.5nmであり、洗浄前と変化が無いことを確認した。
また表面をTXRF(全反射蛍光X線分析)により汚染レベルを測定した。結果として、Na、Mg、K、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、CuおよびZnの濃度が、それぞれ、1.0×1011atom/cm以下であることを確認した。
【0073】
完成したハンドル基板とSiウエハーとの接合評価を実施した。接合にはプラズマ活性化法を用いた。接合後に100℃にてアニール処理を実施後、さらに200℃にてアニール処理を実施した。その後ウエハ状態にてブレードテストによる接合エネルギー評価を実施したところ、1J/mとなり、十分な接合強度が得られることを確認した。
【0074】
(実施例3)
実施例1と同様にしてハンドル基板を作製した。ただし、ベース基板上にアモルファスアルミナ層を形成しなかった。その代わりに、ベース基板上に、プラズマCVD法によって厚さ1.0μmのアモルファス窒化珪素層を形成し、次いで800℃の大気炉にてアニール処理を実施した。他は実施例1と同様とした。
【0075】
得られたアモルファス窒化珪素層にCMP加工を施し、所望の面粗さとした。砥粒にはSiOスラリーを用いた。加工後の膜厚は1.0μmであり、AFMによる表面粗度測定の結果、Ra値は0.5nmとなった。
この後、アンモニア過水、塩酸過水、硫酸過水を用いて洗浄を実施した。洗浄後にAMFによる表面粗さ測定を実施したところ。Ra値は0.5nmであり、洗浄前と変化が無いことを確認した。また表面をTXRF(全反射蛍光X線分析)により汚染レベルを測定した。結果として、Na、Mg、K、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、CuおよびZnの濃度が、それぞれ、1.0×1011atom/cm以下であることことを確認した。
【0076】
完成したハンドル基板とSiウエハーとの接合評価を実施した。接合にはプラズマ活性化法を用いた。接合後に100℃にてアニール処理を実施後、さらに200℃にてアニール処理を施した。この状態にてブレードテストによる接合エネルギー評価を実施したところ、1J/mとなり、十分な接合強度が得られることを確認した。
【0077】
(実施例4)
実施例1と同様にしてハンドル基板を作製した。ただし、ベース基板上にアモルファスアルミナ層を形成しなかった。その代わりに、ベース基板上に、スパッタ法によって厚さ1.0μmのアモルファス窒化アルミニウム層を形成し、次いで800℃の大気炉にてアニール処理を実施した。他は実施例1と同様とした。
【0078】
得られたアモルファス窒化アルミニウム層にCMP加工を施し、所望の面粗さとした。砥粒にはSiOスラリーを用いた。加工後の膜厚は1.0μmであり、AFMによる表面粗度測定の結果、Ra値は0.5nmとなった。
この後、アンモニア過水、塩酸過水、硫酸過水を用いて洗浄を実施した。洗浄後にAMFによる表面粗さ測定を実施したところ。Ra値は0.5nmであり、洗浄前と変化が無いことを確認した。また表面をTXRF(全反射蛍光X線分析)により汚染レベルを測定した。結果として、Na、Mg、K、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、CuおよびZnの濃度が、それぞれ、1.0×1011atom/cm以下であることを確認した。
【0079】
完成したハンドル基板とSiウエハーとの接合評価を実施した。接合にはプラズマ活性化法を用いた。接合後に100℃にてアニール処理を実施後、さらに200℃にてアニール処理を実施した。この状態にてブレードテストによる接合エネルギー評価を実施したところ、1J/mとなり、十分な接合強度が得られることを確認した。
【0080】
(比較例2)
実施例1と同様にして、高純度多結晶アルミナセラミックからなるベース基板を作製した。このベース基板上に、低純度アルミナ膜(95%純度)を蒸着法にて形成した。次いで、これを800℃にてアニール処理後、CMP加工により表面研磨を実施した。これをアンモニア過水、塩酸過水にて洗浄し、表面をAFMにより観察した。結果として、表面に50nm深さのピットが多数存在することが確認された。さらにTXRFによる表面金属元素量を測定したところ、Ta、W、Feが>100e10atoms/cm2測定され、十分な表面汚染レベルを得ることが出来ないことを確認した。
図1
図2