特許第6182682号(P6182682)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6182682低流量の気化器を有する気候制御ユニットを備えるケージシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182682
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】低流量の気化器を有する気候制御ユニットを備えるケージシステム
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/03 20060101AFI20170807BHJP
   A01K 1/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A01K1/03 A
   A01K1/00 D
   A01K1/00 F
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-566195(P2016-566195)
(86)(22)【出願日】2015年3月12日
(65)【公表番号】特表2017-512488(P2017-512488A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】EP2015055220
(87)【国際公開番号】WO2015136050
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2016年11月1日
(31)【優先権主張番号】14159960.5
(32)【優先日】2014年3月14日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516275985
【氏名又は名称】スキャンバー アグシャセルスガーッブ
【氏名又は名称原語表記】SCANBUR A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100139549
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 泉
(72)【発明者】
【氏名】カルステン ホラム
(72)【発明者】
【氏名】ボー セリング
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−000010(JP,A)
【文献】 特開平07−208778(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0078704(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/149528(WO,A2)
【文献】 特開2011−185509(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0052101(US,A1)
【文献】 特開平07−293952(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0102462(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/18
A01K 1/03
F24F 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単数または複数の実験動物の収容に好適な少なくとも1つのケージと、
少なくとも1つのケージに閉じ込められる空気をそれぞれ備える少なくとも1つのケージ空間と、
前記少なくとも1つのケージ空間の外の周囲空間と、
前記周囲空間の気候と異なる前記少なくとも1つのケージ空間の気候を提供することに適した気候制御ユニットと、
前記ケージシステムへの空気の流れのための空気入口と、
前記ケージシステムから外への空気の流れのための空気出口と
を備え、
前記気候制御ユニットが、気体の流れに送り込まれる蒸気の流れの発生のための気化器を備え、前記気化器が、
前記蒸気が発生される気化室と、前記気化室の温度を上げるための加熱要素とを備える、液体の温度をその沸点より上に上昇させるためのボイラユニットと、
蒸気を発生させる液体を前記気化室に供給するための液体供給チューブと、
前記発生した蒸気を前記気化室から追加される気体の流れの方へ導くための蒸気出口チューブと
を備え、
前記気化器において、開放構造を有する表面張力破壊装置が前記液体供給チューブの端部に設けられ、当該端部は、前記液体が前記液体供給チューブから前記気化室に流れるときに前記表面張力破壊装置を通過するように、前記気化室に接しているまたは突出している
前記気化器において、前記表面張力破壊装置が、前記気化室における液滴の任意の有意な形成なしで液体を前記気化室に供給できるように、前記液体が前記気化室に入る領域の前記液体供給チューブの開口の断面より大幅に大きい表面積を有し、
前記気候制御ユニットにおいて、前記液体が蒸気を発生させる水であり、前記気体が少なくとも部分的に閉じ込められた空間の大気であり、前記気候制御ユニットが、
前記気候制御ユニットの制御に適した制御システムと、
前記気化器のための液体供給と、
前記液体供給から前記液体供給チューブを通って液体の制御された量を供給することに適した制御可能なポンプであって、その量が前記制御システムによって決定される、制御可能なポンプと
をさらに備え、
前記制御システムが、パラメータである、前記気化室に供給される液体の量および流量、ならびに、前記気化室または気化器本体の温度のうちの少なくとも1つを制御することに適しており、
前記制御が、パラメータである、前記気化器本体の現在の温度、ならびに、前記蒸発する水が送り込まれる前記空気の現在の湿度のうちの少なくとも1つの計測された値および/または所定の値に基づく、
ケージシステム。
【請求項2】
前記気化器の前記ボイラユニットが、前記ボイラユニット内の少なくとも1つの位置の温度を計測するためのセンサをさらに備える、
請求項1に記載のケージシステム。
【請求項3】
前記気化器の前記表面張力破壊装置の一部が、前記液体供給チューブに延在し、液滴の形成が防止されるように、前記液体供給チューブから出る前記液体の前記表面張力を破壊する、
請求項1または2に記載のケージシステム。
【請求項4】
前記気化器の前記表面張力破壊装置が、少なくとも1つの単繊維の撚り線のもつれたかたまりの形態、たとえばステンレスウールの形態である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のケージシステム。
【請求項5】
前記気化器の前記表面張力破壊装置が、液体の液滴形成なしに、前記液体供給チューブから前記気化室への液体の通過を可能にする内側構造を有する多孔または発泡材料の形態である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のケージシステム。
【請求項6】
多孔または発泡材料が作製される材料が、ポリマー、金属、セラミック、あるいはそれらの組合せまたは複合材料から選択される、
請求項5に記載のケージシステム。
【請求項7】
前記気化器が、0.05〜50g/分、たとえば0.05〜10g/分または10〜50g/分、好ましくは0.06〜35g/分の量で気化室に供給される液体の気化のために使用されることに適している、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のケージシステム。
【請求項8】
前記水および/または前記蒸気が非加圧である、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のケージシステム。
【請求項9】
前記空気流れの前記体積流量が、1〜600m3/時間、たとえば10〜250m3/時間である、
請求項1〜8のいずれか一項に記載のケージシステム。
【請求項10】
前記制御システムが、前記少なくとも1つのケージの前記温度、ならびに、前記空気出口を介して前記少なくとも1つのケージ空間から出る空気の前記温度および/または湿度の制御に基づくことに適する、
請求項1〜9のいずれか一項に記載のケージシステム。
【請求項11】
前記制御システムが、一組の選択された気候限界に基づく周囲空間の気候から独立している前記少なくとも1つのケージ空間の気候パラメータを制御することに適しており、
制御される気候パラメータの1つが、前記少なくとも1つのケージ空間における前記空気中の所望のレベルの相対湿度に基づく湿度である、
請求項1〜10のいずれか一項に記載のケージシステム。
【請求項12】
前記制御システムが、前記気候の固定された限界および前記気候の所望の限界に基づく前記少なくとも1つのケージ空間の前記気候を提供するためにプログラム可能である、
請求項1〜11のいずれか一項に記載のケージシステム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のケージシステムの前記少なくとも1つのケージの前記少なくとも単数の実験動物を収容することを含み、制御可能で、前記周囲空間の気候と変えることができる前記少なくとも1つのケージ空間の気候を提供する前記気候制御ユニットを使用することをさらに含む、
少なくとも単数の実験動物を周囲環境から保護する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気化器を有する気候制御ユニットを備える、たとえば実験動物のためのケージシステムに関するものであり、特に、少量の、大気圧における蒸気の制御可能で均一な流れを生成することが可能である気化器を有するケージシステムに関するものである。本発明はさらに、実験動物を収容するためのそのようなケージシステムを使用する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
世界各国で、実験動物のケージの気候パラメータに関する特定の制限が導入されている。通常は動物を、温度、相対湿度などの比較的狭い許容値を有する空気内に維持しなければならないことが定められている。以下の説明おいて、「気候パラメータ」という言い回しは、気候および動物の健康に影響することがあるそれらの変数を対象として含む。そのような気候パラメータの例は、温度、湿度、相対湿度、空気中の汚染要素の汚染度または含有量、通気などである。さらにまた、「固定気候限界」という言い回しは、動物の所望の快適性および実験の信頼性を保証するために達成しなければならない気候パラメータのそれらの限界に対して使用される。
【0003】
伝統的に、固定気候限界は、ケージが配置される建物のその場所の気候を制御することによる競技会である。換言すれば、気候は、空間の比較的大きな体積、すなわち、ケージ(単数または複数)がわずかな体積のみ構成する建物全体または建物の少なくとも一区画のために制御される。通常は、当該の建物の気候は、建物の部屋の温度を変えることができる種類の標準的な気候制御装置、たとえば標準的な空調システムの使用によって、比較的簡単な方法で制御される。気候パラメータを制御する従来の方法の不利な点は、外部に発生した外乱が制御された気候に影響する可能性があるということであり、たとえば、ドアが開けられた場合、あるいは、外部の気象状況が急速に変わるまたは極端な状況になった場合、それによって、気候制御ユニットは、所望の限界内に気候を制御することができなくなることがある。
【0004】
ケージの全数が同一の気候パラメータを有しなければならない場合、それらは全く同一の部屋または建物にあるため、それがさらに不利な点となることがある。異なる実験または異なる動物が、異なる気候パラメータから利益を得てもよいこともあり、気候を制御する従来の方法によって、追加の建物の構築、または少なくとも別々に制御可能である、より小さい独立した部分空間への建物空間の分離を必要とすることがある。建物のそのような構造上の再編は時間がかかり、短期間でのみ実行することがある特別な実験に対しては、それは不合理なコストを意味することがある。
【0005】
動物の実験をより柔軟な方法で実行する機能を改善し、実験のための妥当な前提条件ならびに動物のための好適な環境を促進するために、複数のケージと、ケージ外の周囲空間と、ケージに囲まれる複数の独立した内部ケージ空間と、周囲空間の気候と異なるケージ空間の気候を提供することに適した気候制御ユニットとを備えるケージシステムが開発されている。そのようなシステムは、たとえば国際特許第2007/149528号パンフレットで開示されている。ケージ空間の局所的な気候の制御によって、制御される気候の空気の体積を減少させることができ、気候が制御される空間がその気候が実際に必要である場所、たとえば動物が生活する場所に制限されるため、ケージ空間で所望の気候を得て、潜在的にエネルギーを節約する機能を改善することができる。
【0006】
実験動物のためのケージシステムで制御することが望ましい気候パラメータは、多くの場合、湿度である。世界中の多くの地域において、周囲の空気湿度は比較的高く、湿度調整に関する主な問題は、ケージの湿度を下げることである。しかし、他の地域においては、湿度は年間を通して大きく変化し、それゆえに、制御された実験の実行を可能とするため、ケージの空気に湿気を、典型的には蒸気の形態で、湿度を一定に保つために加えることができることが望ましい。多くの場合、使用される加湿器は、ピエゾ変換器または超音波トランスデューサに基づく。しかし、そのような加湿器は、作動原理が、蒸発が行われるところから空気の空間に水滴を発生および放出することであるという不利な点を有する。したがって、比較的大きな空間が必要である。これは、部屋または建物全体の環境が制御される空調システムにとっては問題ではないが、非常に小さい空気量の制御が必要である上記のケージシステムにとっては不利であり、必要な量の空間を利用できない。さらにまた、これらの原理に基づくシステムは、相対的に大きな空間を占め、それゆえに、部屋の天井より上に典型的に配置される。従来の空調システムは建物の恒久的な設備の一部であるため、これは通常、問題ではない。しかし、そのため、特定の研究所の機構がより短い期間のみ使用される場合は、あまり柔軟性がない。その場合、空調を含む全体システムの構築および除去が、合計コストのうちの望ましくない高い比率を占めることがある。
【0007】
別の可能性は、バルブの正確な開閉を蒸気の追加に使用することができるように、圧力下で発生する蒸気の追加に基づく加湿器を使用することである。しかし、そのようなシステムは、安全な作業環境を保証する厳密な安全条件を必要とし、非常に低い蒸気レベルで調整することが困難である。それらはまた、システムが構成されるユニットの互いの再配置に関してあまり柔軟ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
制御可能で均一な量の蒸気を少量でさえ発生させることができる気化器を備えるケージシステムを提供することが、本発明の目的である。
【0009】
大気圧において蒸気の均一な流れを発生させることができる気化器を備えるケージシステムを提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0010】
気化室での液体の液滴の形成を避けることができる気化器を備えるケージシステムを提供することが、本発明のさらなる目的である。それによって、ケージシステムのケージの湿度をより正確に制御できるように、発生させる蒸気の量をより高い信頼性で制御することができる。
【0011】
先行技術の代替案を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0012】
特に、先行技術の上記問題を解決する気化器を備えるケージシステムを提供することが、本発明の目的と解釈されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、上記目的およびいくつかの他の目的は、
− 単数または複数の実験動物の収容に好適な少なくとも1つのケージと、
− 少なくとも1つのケージに閉じ込められる空気をそれぞれ備える少なくとも1つのケージ空間と、
− 少なくとも1つのケージ空間の外の周囲空間と、
− 周囲空間の気候と異なる少なくとも1つのケージ空間の気候を提供することに適した気候制御ユニットと、
− ケージシステムへの空気の流れのための空気入口と、
− ケージシステムから外への空気の流れのための空気出口と
を備えるケージシステムを提供することによって、本発明の第1の態様で達成されることが意図される。
【0014】
ここで、気候制御ユニットは、気体の流れに送り込まれる蒸気の流れの発生のための気化器を備え、その気化器は、
− 蒸気を発生させる気化室と、気化室の温度を上げるための加熱要素とを備える、液体の温度をその沸点より上に上昇させるためのボイラユニットと、
− 蒸気を発生させる液体を気化室に供給するための液体供給チューブと、
− 発生した蒸気を気化室からそれが追加される気体の流れの方へ導くための蒸気出口チューブと
を備え、
− 気化器において、開放構造を有する表面張力破壊装置が、液体が液体供給チューブから気化室に流れるときに表面張力破壊装置を通過するように、端部が気化室に接しているまたは突出している液体供給チューブの端部に設けられ、
− 気化器において、表面張力破壊装置が、気化室における液滴の任意の有意な形成なしで液体を気化室に供給できるように、液体が気化室に入る領域の液体供給チューブの開口の断面より大幅に大きい表面積を有する。
【0015】
気候制御ユニットにおいて、液体は蒸気を発生させる水であり、気体は少なくとも部分的に閉じ込められた空間の大気であり、気候制御ユニットが、
− 気候制御ユニットの制御に適した制御システムと、
− 気化器のための液体供給と、
− 液体供給から液体供給チューブを通って液体の制御された量を供給することに適した制御可能なポンプであって、その量が制御システムによって決定される、制御可能なポンプと
をさらに備え、
− ここで、制御システムは、パラメータである、気化室に供給される液体の量および流量、ならびに、気化室または気化器本体の温度のうちの少なくとも1つを制御することに適しており、
− 制御は、パラメータである、気化器本体の現在の温度、ならびに、蒸発する水が送り込まれる空気の現在の湿度のうちの少なくとも1つの計測された値および/または所定の値に基づく。
【0016】
蒸気は、その臨界点より低い温度、すなわち同一の物質が液体または固体状態で存在することができる温度での気相の物質である。たとえば、水の臨界温度は374℃である。
【0017】
「開放構造」は、液体がそこを通過できることを意味する。これは好ましくは、液体の流れに対する任意の大きな障害なしで起こらなければならず、一方、同時に、液体が流れる細孔または開口は、液滴がほとんど形成されないほど小さくなければならない。これを可能にする開口の特定のサイズは、液体およびその表面張力を含む、使用される実際の材料に依存する。
【0018】
本発明によって網羅されるように考慮される実施形態は、液体供給チューブが気化室に延在する漏斗状部まで続くということであり、漏斗状部は、液体供給チューブから気化室に流れるときに、液体が表面張力破壊装置を通過するときの液滴形成が防止される程度に、液体の表面張力を破壊または低下させる材料から作製またはその材料で覆われている。これはたとえば、所定の液体に対するこの効果を有するナノ構造を有する漏斗状部の内面の結果として生じてもよい。
【0019】
一般に、液体の表面張力は、適切な化学薬品の添加によっても変化する可能性がある。しかし、そのような化学薬品は動物に有害である可能性がある、または実験に影響する可能性があるため、これは実験動物のためのケージシステムに関しては避けなければならない。
【0020】
液滴形成の防止の効果は、液体の流れを支配でき、少量の液体でさえ安定させることができるということである。そのような正確な制御の重要性の例は、以下に挙げられる。
【0021】
液体供給チューブおよび蒸気出口チューブは好ましくは、液体供給チューブにおける蒸気発生および蒸気出口チューブにおける凝縮による液滴形成を防止するために絶縁される。これによって、蒸気の一定で制御可能な流れの高い精度が保証される。
【0022】
現在の好ましい実施形態において、気化器のボイラユニットは、ボイラユニット内の少なくとも1つの位置の温度を計測するためのセンサをさらに備えてもよい。これによって、温度の制御および監視を容易にすることができる。
【0023】
気化器の表面張力破壊装置の一部は、液体供給チューブに延在し、液滴の形成が防止されるように、液体供給チューブから出る液体の表面張力を破壊してもよい。これによって、液滴形成のリスクをさらに下げることができ、非常に少量でさえ、液体の流れはより安定する。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態において、気化器の表面張力破壊装置は、少なくとも1つの単繊維の撚り線のもつれたかたまりの形態、たとえばステンレスウールの形態である。ワイヤウールまたはワイヤスポンジとしても知られているそのような材料は、微細な軟鋼フィラメントから作製される。それは、仕上げおよび修理作業、家庭用調理器具の洗浄、ならびに、表面の研磨における研削材を含む、多数の用途で使用される。本発明をもたらした作業において、気化室の液滴形成防止の開発中、気化器と結合して使用される可能性があることが、驚くべきことに実現された。
【0025】
あるいは、気化器の表面張力破壊装置は、液体の液滴形成なしに、液体供給チューブから気化室への液体の通過を可能にする内側構造を有する多孔または発泡材料の形態でもよい。多孔または発泡材料が作製される材料は、ポリマー、金属、セラミック、あるいはそれらの組合せまたは複合材料から選択されてもよい。
【0026】
原則として、1つまたは複数の単繊維の撚り線のもつれたかたまり、ならびに多孔または発泡材料を備える表面張力破壊装置を使用することも可能である。
【0027】
表面張力破壊装置が作製される材料と、液体すなわち蒸気を発生させる水との間に不都合な反応がないことが好ましくは保証されなければならない。表面張力破壊装置自体、ならびに単繊維、細孔または気泡の寸法および幾何学的な配置、ならびにそれらの空間配置の実寸法は、液体および流量を含む多数のパラメータに依存する。最適または少なく満足できる設計は、おそらくコンピュータシミュレーションによって支援される実験によって決定されてもよい。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態において、気化器は、0.05〜50g/分、たとえば0.05〜10g/分または10〜50g/分、好ましくは0.06〜35g/分の量で気化室に供給される液体の気化のために使用されることに適している。本発明に関して行われた実験は、実験動物のためのケージシステムの気候制御の分野で使用される他の気化器では可能ではない液体の安定した制御可能な流れおよびこれらの少量でさえ結果として得られる蒸気を保証することが可能であることを示している。蒸気の正確に制御可能で安定した流れを発生させる可能性の利点により、気化器は、比較的少量の蒸気を必要とする用途に特に好適である。これは、以下でさらに詳細に説明される。
【0029】
水および/または蒸気は、周囲と同一の圧力を有することを好ましくは意味する非加圧でもよい。分野内で知られているいくつかの他のシステムは、空気流に加えられる蒸気の流れを制御する正確に制御可能なバルブと組み合わせて、加圧された蒸気を使用することによって機能する。しかし、そのような加圧したシステムは典型的に、非加圧システムでは回避できる厳密な保安規程が満たされることを必要とする。
【0030】
本発明によるケージシステムにおいて、空気流れの体積流量は、1〜600m3/時間、たとえば10〜250m3/時間でもよい。
【0031】
本発明によるケージシステムは、フィルタ、冷却ユニット、ヒータ浄水器などの他の部品をさらに備えてもよい。そのようなシステムの可能な設計の例は、詳細な記述で提供される。ケージシステムはまた、においおよび/またはフェロモンを添加する手段をさらに備えてもよい。たとえばこれは、実験動物がそのような刺激に反応する方法を研究するように設計されるいくつかの実験に関連してもよい。
【0032】
好ましい実施形態において、ケージシステムは、単数または複数のハツカネズミまたはネズミなどの実験動物をそれぞれ収容する複数のケージを備える。システムは典型的に研究所で使用され、ケージは典型的にラックに配置される。システムは、すべてのケージを備える1つだけのケージ空間があってもいいように、すべてのケージの気候を同一に制御するために使用されてもよい。
【0033】
他の実施形態において、気候は各ケージ空間で個々に制御することができ、各ケージ空間は1つまたは複数のケージを備えてもよい。ケージシステムの別の可能な用途は、異なる位置の間で動物を輸送する間の、気候の制御のためである。たとえ好ましい使用が複数のケージを備えるケージシステムのためであるとしても、保護の範囲は、1つのケージのみを有するシステムも含むことが意図される。
【0034】
上記のような実験動物のためのケージシステムに備えられる気化器は、比較的少量の蒸気を必要とする用途に特に好適である。これは、蒸気発生を移動ユニットに含むことができる比較的小さいシステムを設計することを可能にする。これにより、実験システムの配置および再配置に関して、設備が大きいために装置の一部がたとえば天井より上に配置される既知のシステムで利用可能であることよりも、柔軟性は高くなる。
【0035】
ケージシステムの制御システムは、少なくとも1つのケージの温度、ならびに、空気出口を介して少なくとも1つのケージ空間から出る空気の温度および/または湿度の制御に基づくことに適していてもよい。
【0036】
このようなケージシステムにおいて、制御システムは、一組の選択された気候限界に基づく周囲空間の気候から独立している少なくとも1つのケージ空間の気候パラメータを制御することに適していてもよく、ここで、制御される気候パラメータの1つは、少なくとも1つのケージ空間における空気中の所望のレベルの相対湿度に基づく湿度である。
【0037】
制御システムは、気候の固定された限界および/または気候の所望の限界に基づく少なくとも1つのケージ空間の気候を提供するためにプログラム可能でもよい。
【0038】
第2の態様において、本発明は、少なくとも単数の実験動物を周囲環境から保護する方法に関するものであり、方法は、上記のケージシステムの少なくとも1つのケージに少なくとも1つの実験動物を収容することを含み、方法は、制御可能で、周囲空間の気候と変えることができる少なくとも1つのケージ空間の気候を提供する気候制御ユニットを使用することをさらに含む。
【0039】
本発明の第1および第2の態様は、それぞれ組み合わされてもよい。本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかであり、それらに関して説明される。
【0040】
ここで、本発明によるケージシステムならびにその中に備えられる気候制御システムおよび気化器は、添付の図面に関してさらに詳細に記載される。図は、本発明を実装する1つの方法を示し、設定される添付の特許請求の範囲に含まれる他の可能な実施形態に限定するものとしては解釈されない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明によるケージシステムに備えられる気化器の全体的な設計を概略的に示す。
図2a】本発明の気化器の実施形態の断面図である。
図2b】より小さい縮尺での同一の実施形態の上面図である。
図3】気化器に備えられる表面張力破壊装置の可能な実施形態を概略的に示す。
図4】実験動物のための、ケージの気候を制御するための気候制御ユニットを備えるケージシステムの全体的な設計を概略的に示す。
図5a-5b】所定の位置にカバープレートを有する気候制御ユニットの前面および背面透視図をそれぞれ概略的に示す。
図6】カバープレートが取りはずされた分解図によって、図5.aの気候制御ユニットを概略的に示す。
図7】カバープレートが部分的に取りはずされた分解図によって、図5.bの気候制御ユニットを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、気体の流れに送り込まれる蒸気の流れの発生のための気化器1を概略的に示す。本発明に関して、気化器は、水から蒸気を発生させるために使用される。気化器1は、液体の温度をその沸点より上に上昇させるためのボイラユニット2と、蒸気を発生させる液体を気化室4に供給するための液体供給チューブ3と、発生した蒸気を気化室からそれが追加される気体の流れの方へ導くための蒸気出口チューブ5とを備える。出口チューブ5は、出口チューブ5の内部の蒸気の任意の凝縮を防止または遅延させるために加熱されてもよい。ボイラユニット2は、蒸気を発生させる気化室4と、気化室4の温度を上げるための加熱要素6と、ボイラユニット2内の少なくとも1つの位置の温度を計測するためのセンサ7とを備える。適切と考える場合、1つより多いセンサおよび/または1つより多い加熱要素が、システムで使用されてもよい。たとえば、これは大きなシステムのために、またはシステムの非常に正確な制御を保証するために、適切であることがある。
【0043】
開放構造を有する表面張力破壊装置8は、端部が気化室4に接しているまたは突出している液体供給チューブ3の端部9に設けられる。この配置は、液体が液体供給チューブ3から気化室4に流れるときに表面張力破壊装置8を通過することを意味する。表面張力破壊装置8は、液体が気化室4に入る領域の液体供給チューブ3の開口の断面より大幅に大きい表面積を有する。表面張力破壊装置8のこれらの特性は、気化室4における液滴の任意の有意な形成なしで液体を気化室4に供給できることを可能にする。表面張力破壊装置8の可能な設計は、以下に挙げられる。
【0044】
図2.aは、本発明の気化器の例示的な実施形態の断面図であり、蒸気は、液体供給チューブ3を介した気化室4への水の流れを制御することによって、要求に応じて発生される。図2.bは、図2.aに示される断面がとられる線を示すA−Aを有する図2.aの実施形態の上面図を示す。図2.aは、図2.bとは別の縮尺で示される。供給される水は、給水栓から直接とられてもよく、あるいは、たとえばウイルス、溶解物質、または汚物が、気化器1が使用されるケージシステムに入らないことを保証するために、フィルタおよび洗浄装置(図6および7参照)を通過させてもよい。液体供給チューブ3が、ボイラユニット2の、気化器本体10としても言及される、加熱されたかたまりを通して入るところで、液体供給チューブ3は断熱材によって保護され、たとえば断熱されたテフロン(登録商標)チューブ11の使用によって、より低い熱伝導率を有する。そのような断熱材は、気化室4において液体供給チューブ3を高温から保護し、それによって、液体供給チューブ3での蒸気泡の形成を防止し、別様に生じることがある不規則噴出を排除する。蒸気が発生する温度まで少量の液体を加熱するために必要な熱エネルギーは大きくないため、これは、少量の液体に特に関連するものである。
【0045】
液体供給チューブ3が気化室4に突出するところでは、表面張力破壊装置8を備えないシステムにおいて、特に低流量時に、水面張力は典型的に液滴を形成する。そのような液滴は、蒸気の均一な流れを保証することを難しくする。化学薬品を使わずにこれを避けるため、表面張力破壊装置8は、上記のように気化室4に突出する液体供給チューブ3の端部9に設けられる。表面張力を破壊し、液滴の形成を防止して、均一な流れを得て、同時に、必要とされる最大蒸気レベルでの水の十分な流れも可能とするために、そのような表面張力破壊装置8はたとえば、液体供給チューブ3に突出するいくつかの繊維によるステンレスウールでもよい。
【0046】
図2に示される実施形態において、液体供給チューブ3の端部は、表面張力破壊装置8によって囲まれる。他の実施形態(図示せず)において、液体供給チューブ3の端部は、表面張力破壊装置8への接点を有する。どの選択肢が選択されるかは、使用される液体のタイプ、ならびに実寸法に依存することがある。所定の用途にどの特定の設計を使用するべきかは、おそらくコンピュータシミュレーションによって支援される実験によって決定することができる。
【0047】
後述するようにケージシステム15の一部として挿入される作動ユニットにおいて、水はバルブを通って膨張容器(図示せず)に入り、制御された低圧で水を利用可能にする。そこから、水流は典型的に、ステッパモータ制御される蠕動ポンプ30(図6および7参照)によって調整される。ポンプ30からの水は、液体供給チューブ3を介して気化室4に入り、ケージ空間に送り込まれる気流に蒸気として出る。気化室4は熱絶縁体14によって、好ましくはすべての方向が囲まれる。図2に示される実施形態において、熱センサ7および加熱要素6は、気化室4を含む気化器本体10に組み入れられる。気化器本体10内またはそれに隣接して複数の熱センサ7および/または加熱要素6を配置することも可能である。そのようなセンサ7および加熱要素6は、本技術分野の当業者には既知である。例示される実施形態において、気化室4の末端部は、中央穴を備える、蒸気出口チューブ5が配置される蓋12によって確定される。さまざまなガスケット13が異なる要素間の接合点に配置され、蒸気の流れの制御を保証する。
【0048】
図3は、本発明による気化器1で使用するための表面張力破壊装置8の異なる可能な設計を概略的に示す。図3.aは、表面張力破壊装置8が少なくとも1つの単繊維の撚り線のもつれたかたまりの形態、たとえばステンレスウールの形態である実施形態を示す。図3.bは、表面張力破壊装置は、液体の液滴形成なしに、液体供給チューブ3から気化室4への液体の通過を可能にする内側構造を有する多孔または発泡材料の形態である別の実施形態を示す。多孔または発泡材料が作製される材料は、ポリマー、金属、セラミック、あるいはそれらの組合せまたは複合材料から選択される。
【0049】
いくつかの環境のために、そしていくつかの種類の実験のために、非常に正確にケージ空間の気候を制御できることが望ましい。特に、湿度の正確な制御は、セクション「背景技術」に記載の現在利用可能なシステムで必ずしも可能ではない。上記のような気化器1を備えるケージシステム15の概略設計が図4に示される。実験動物をそれぞれ収容することに適した複数のケージ16がラック17に配置され、ケージ16の気候は、ラック17の隣に配置される気候制御ユニット18によって制御される。気候制御ユニット18は、当該の動物または実験に必要な特定の条件を満たすように調整された空気をケージ16に提供する。気候制御ユニット18から、建物の換気のための換気システムとして通常知られる種類のホースまたはチューブ19の使用によって、空気をケージ16に導くことができる。
【0050】
ケージシステム15は、少なくとも1つのケージ16に閉じ込められる空気をそれぞれ備える少なくとも1つのケージ空間を備える。これらのケージ空間は、空気が自由にまたは制御された方法で流れることができる中間空間があるように配置されてもよい。複数のケージ空間を備えるこの中間空間は、たとえば、1つのラック17の内側空間でもよい。あるいは、各ケージ16は、個々のケージ16間の空気の流れがないまたは制限された流れのみあるように、包囲空間を備える。図4に示される実施形態において、ラック全体の空気はケージ空間である。しかし、他の実施形態において、ケージは、ケージ周辺のラック内の空気が換気されないように、個々に換気される。ケージ16を有するラック17は、ケージ16外部の周囲空間19に配置される。ケージシステム15は、周囲空間19の気候と異なるケージ空間の気候を提供することに適した気候制御ユニット18をさらに備える。
【0051】
本発明によるケージシステムにおいて、水は、ケージ16の少なくとも部分的に閉じ込められた空間の大気に導かれる蒸気を発生する。図4に示される実施形態において、ラック17への空気の入口は1つだけ存在するが、実行される可能性がある実験に対してより高い柔軟度を得るために、ラック17ごとに、より多くの気候制御ユニット18を有することも可能である。さらに他の実施形態は、1つの気候制御ユニットに接続されるより多くのラックを有することになる。ラック17および気候制御ユニット18の両方は、それらが別の位置に容易に移動できるキャスター20が設けられる移動ユニットとして示される。ラック17は、気候を制御し、気候パラメータの所望の設定点または範囲からの逸脱を任意選択的に記録する気候制御フィードバックステーション21を備える。図4の実施形態において、気候制御フィードバックステーション21は、独立したユニットとして示されるが、気候制御ユニット18に含まれてもよい。周囲空間19は、入口22および出口23を介して接続される外部制御システム(図示せず)によって制御される気候を有してもよい。たとえ外部制御システムが気候制御ユニット18から独立して作動するとしても、2つのシステムは気候パラメータをやりとりしてもよく、たとえば外気温度などを検知するためのセンサを共用してもよい。
【0052】
本発明によるケージシステムに備えられる気候制御ユニット18の別の設計の例は、図5.aおよび5.bに示され、それらは、所定の位置にカバープレートを有する気候制御ユニット18の前面透視図および背面透視図をそれぞれ概略的に示す。図6は、カバープレートが取りはずされた分解図によって、図5.aの気候制御ユニットを概略的に示し、図7は、カバープレートが部分的に取りはずされた分解図によって、図5.bの気候制御ユニットを概略的に示す。
【0053】
示された部品に加えて、気候制御ユニットは典型的に、冷却コイル設定点を制御する二方向バルブと、タッチスクリーンユーザインターフェースおよびPLC制御装置と、凝縮水のための排水ポンプと、取水および排水回路のための一方向バルブと、温度、湿度、および空気圧を検知するためのセンサとを備える。
【0054】
空気は、前置フィルタを含む部屋から、空気取入口24を介して気候制御ユニット18に入る。ここから所望の湿度を得るために上記のような気化器1によって蒸気が発生するホース継手25を介して導かれる。図6および7に示されるシステムは、図4に示されるようにラック17に典型的に配置される換気式ケージ16に空気を供給するためのファン26をさらに含む。送気接続点27を介してケージ空間に入る前に、空気が所望のとおりにおそらく無菌であるのと同じくらい清浄であることを保証するHEPAフィルタ28を通して、好ましくは導かれる。図6および7の気候制御システムは、2つのラックの方へ換気空気を供給することができる接続点を有する。図6および7は、気化器1に供給される水のための水フィルタ29および蠕動ポンプ30も示す。システムのリアパネル31は、給水ならびに排水接続部33のための接続部32を備えるように示される。必要に応じて、システムは1つまたは複数のマフラー(図示せず)も備えてもよい。マフラーの目的は、動物および/または動物と働く人々の快適性を増加させることである。
【0055】
接続されたケージ16から戻った空気は、排気接続部に入り、選択されたフィルタ種別に従ってすべての粒子を再び除去する排気HEPAフィルタを通過する。戻された空気はその後、排気体積を制御し、設定圧力流量を得るために空気圧を上げる吸引ファンユニットを通過する。ケージ16から戻る空気に関するケージシステムのこの部分34は、図6および7において、ケージシステムのより低い部分に示される。排気を扱うシステムの部分の設計方法は当業者には既知であろう。図のシステムは、逆浸透フィルタアセンブリ35およびこのフィルタのためのブースタポンプ36も備え、水から溶解物質を除去する。
【0056】
気候制御ユニットによって制御される各気候限界は、温度、湿度、通気などの気候パラメータの範囲、気候パラメータの最大値、または気候パラメータの最小値を指定してもよい。気候限界はまた、気候パラメータが変化する率、たとえば、温度または湿度が変化する速度を指定してもよい。気候限界はまた、時間に依存してもよく、たとえば、温度または湿度は、一日中変化してもよく、または、少なくとも、さまざまな齧歯動物および他の典型的な実験動物のための自然な環境をシミュレートすることができる昼と夜との間で変化してもよい。
【0057】
各ケージ16には典型的に、各ケージ空間の気候に関する情報を個々に提供するための、1つまたは複数のセンサが備えつけられる。少なくとも1つの気候センサも、制御された空気をケージ空間に送り込むダクトに配置されてもよく、センサはまた、周囲空間19および/またはケージシステム15が設置される建物の外の空間に任意選択的に設けられてもよい。これによって、ケージ空間外部の気候の変更に対応することで気候パラメータが範囲外になる前に開始される制御動作が容易になることがある。
【0058】
温度および湿度は空気入口で計測され、温度および相対湿度は空気出口で計測される。目標は、気化器1に入る空気の温度での設定された相対湿度レベルを維持することである。本発明の試験された実施形態において、気化器本体10の温度は、PLCによって計測および制御され、120℃の気化器本体温度を維持し、最大気化レベルで135℃まで上昇する。ケージ16に導かれる空気流れの体積流量は、典型的に、1〜600m3/時間、たとえば10〜250m3/時間である。
【0059】
気候制御ユニット18は、パラメータである、気化室4に供給される液体の量および流量、および、気化室4または気化器本体10の温度のうちの少なくとも1つを制御することに適している。制御は、パラメータである、ボイラユニットの現在の温度、および、蒸発する水が送り込まれる空気の現在の湿度のうちの少なくとも1つの計測された値および/または所定の値に基づく。制御システムは、複数のケージ16における温度、ならびに、空気出口を介してケージから出る空気の温度および/または湿度の制御に基づくことに適する。
【0060】
周囲空間19の気候の多少の調節を可能にし、したがって気候制御においてエネルギーを節約するために、気候制御ユニットは、気候の固定された限界および気候の所望の限界に基づくケージ空間の気候を提供するためにプログラム可能でもよく、ここで、固定された限界は、超えることができない温度または湿度などの絶対値に関するものである可能性があり、所望の限界は、特定の動物または実験に最適な温度または湿度などであることがある。次いで、気候制御ユニット18は、気候を変えることに関するコストと2つの限界からの気候の距離とを評価することに適していてもよく、それに基づいて、所望の限界に従って気候を変えること、または、固定された限界に到達するまで気候を周囲空間19に適合させることのいずれかを選択することに適してもよい。気候制御ユニット18はまた、動物が徐々に慣れるように、特定の時間ステップで気候を変えることに適していてもよい。一例として、気候制御ユニットは、単位時間あたりの温度または湿度の変化の所望のおよび固定された限界に関してプログラム可能でもよい。
【0061】
本発明が特定の実施形態に関して記載されたが、それは、いかなる意味においても、示された例に限定されると解釈すべきではない。本発明の範囲は、設定される添付の特許請求の範囲によって説明される。特許請求の範囲の文脈において、用語「備える(comprising)」または「備える(comprises)」は、他の可能な要素またはステップを排除しない。また、「1つの(a)」または「1つの(an)」などの基準に言及することは、複数を排除するものとして解釈すべきではない。また、図に示される要素に対する特許請求の範囲における参照符号の使用は、本発明の範囲を制限するものとして解釈されない。さらにまた、それぞれの請求項に記載される個々の特徴は有利には組み合わされてもよく、それぞれの請求項においてこれらの特徴に言及することは、特徴の組合せが可能でなく、好適でないことを排除しない。
図1
図2a
図2b
図3.a】
図3.b】
図4
図5a-5b】
図6
図7