特許第6182698号(P6182698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6182698駆動エンジンを有さないカスケード接続式太陽光追尾装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6182698
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】駆動エンジンを有さないカスケード接続式太陽光追尾装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 10/00 20140101AFI20170807BHJP
   H02S 20/32 20140101ALI20170807BHJP
【FI】
   H02S10/00
   H02S20/32
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-27462(P2016-27462)
(22)【出願日】2016年2月17日
【審査請求日】2016年3月7日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592024147
【氏名又は名称】矢継 正信
(72)【発明者】
【氏名】矢継正信
【審査官】 嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−205764(JP,A)
【文献】 特開2008−218582(JP,A)
【文献】 特開2003−324210(JP,A)
【文献】 特開2012−119661(JP,A)
【文献】 特表2012−516059(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0201498(US,A1)
【文献】 特開2015−056436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 10/00
H02S 20/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端は前段からの回転入力端であり、他端は次段への回転出力端である回転軸の回転力を
自由雲台の駆動源とする、駆動エンジンを有さない事を特徴とするカスケード接続式の独立した太陽光追尾装置であって、この回転力で自由雲台面をX軸とY軸に任意に角度変化させる事が特徴であって、且つ前記回転入力端と出力端を、他の独立した太陽光追尾装置に任意個数結合して、任意個数の自由雲台面を各々自在に角度変化させる事を特徴とする太陽光追尾装置

【請求項2】
回転出力端を複数個有する事を特徴とする請求項1記載の太陽光追尾装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽光利用に際して集光効率を増大させるために利用されるヘリオスタットや自由雲台に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光を最適角度で受光するために太陽仰角制御装置や、反射光を集光するためにヘリオスタット等が使われているが(以下太陽光追尾装置と称す)、これらにはサーボ機構やジンバル機構と、これらを制御するための制御回路、及びモーター等の部品が使われていて、特にモーター等の駆動力源(以下駆動エンジンと称す)はコスト的にも重量的にも大きな比重を占めている。
【0003】
このため、太陽電池や反射鏡よりも駆動エンジンのコストの方が高くなる、オーバーヘッド現象が生じ、太陽光利用の普及のネックとなっていた。
【0004】
最低限一個の駆動エンジンから駆動力を得て多数個の太陽光追尾装置を駆動させる事が出来れば、上記欠点は解消されるのであるが、従来に於いてはその様な発想は無く、一台の太陽光追尾装置に付き一個の駆動エンジンが使用されていた。
【0005】
一対の駆動系で複数の反射鏡を動作させる方式のものとして、特許文献1があるが、これは、一対のクランク駆動部材から一対のクランク連結部材を介して複数の回動部材を動作させるものであり、これらの部材のコズト、重量は従来の欠点を解消するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2001-248366
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記したオーバーヘッドを解消して、少ない費用で且つ軽量で効率的に太陽光を集光する目的でなされた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
駆動エンジンを太陽光追尾装置毎に装備するのではなく、外部に用意した最小限一個の駆動エンジンから得た回転力で自由雲台を駆動する。
【0009】
この外部駆動エンジンの回転軸が本発明の回転軸に結合され、この回転力でXY駆動軸を作動させて、制御信号にに応じて自由雲台を任意角度にする。この回転軸の両端は本発明同士を結合する事が可能なように結合端となっていて、これをカスケード式に多段連結する。つまり外部からの回転軸が、本発明を貫通して次段の本発明の回転軸と結合されるのである。
【0010】
そして上記した制御信号を送受信する信号線も、回転軸と同様にカスケード接続され、各本発明に配信されて自由雲台を任意角度に制御し、太陽の動きに追従して自由雲台に取付した太陽電池や反射鏡を刻々変化させる。
【発明の効果】
【0011】
多数個の太陽光追尾装置を制御する駆動力源たる駆動エンジンを最低限一個にする事が可能となり、メガソーラ施設に於いて最小コストで利用する事が出来る。また、ユニバーサルジョイント等で回転力を接続する事により整地されていない場所でも、メガソーラ施設が可能になる。また、システムを軽量化出来るので、一般家庭の屋根でも、太陽追従式ソーラー発電が可能になり、更に太陽光を集光して利用する太陽熱利用システムに適用する事が可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】筐体の一部を切り取った本発明の斜視図
図2】本発明同士をスケード結合した図
図3】整地されていない斜面に設置したメガソーラーシステの例
図4】反射鏡で太陽光を集光する家庭用太陽熱利用システムの例
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図を使い本発明の実施例について説明する。反射鏡Mを取付した自由雲台200は球状軸受け130によりXY軸に可動自在に支承されていて、制御信号線300から入力された制御情報に従って、XY軸駆動制御機構150により駆動されるX軸駆動桿162とY軸駆動桿164の動作に従い、任意角度に自在に変化する。
【0014】
XY軸駆動制御機構150への駆動力源は、筐体100を貫通する貫通回転軸140の回転力であり、この回転力がウォーム145を介してX軸入力歯車152及びY軸入力歯車154から入力される。
【0015】
貫通回転軸140の一端は 回転入力結合端144であり、他端は 回転出力結合端146となっていて、図2に示す様に外部の駆動エンジンEの回転軸を回転入力結合端144に接続する。この回転力が自由雲台200を動作させる駆動源となるのであり、更にこの回転力を次段→次々段と多段数連結して回転力を伝達する。
【0016】
連結された次段の本発明は、前段と同様この回転軸から駆動力を得て、XY軸駆動制御機構150により自由雲台200が任意角度に動作するのであるが、この動作制御は制御機器Cから、制御信号線300を経由して配信される角度制御情報により制御される。この角度制御情報は多数個の本発明を一義的に識別するための識別番号と、当該本発明への制御角度情報から成り、これにより、カスケード結合された多数個の本発明の自由雲台200はそれぞれ個々に、任意な角度に制御されるのである。
【0017】
以上説明したように、外部の駆動エンジンEからの回転力を貫通回転軸140のウォームギヤを介して自由雲台200の駆動力として利用し、さらにこの回転を次段→次々段の貫通回転軸140に連続的に伝達する事により、駆動エンジンを内部に有する事無く、多数個の太陽電池又は反射鏡を自在角度に制御する事が可能となるのであり、この事が本発明の特徴である。
【0018】
図3は太陽電池Tを自由雲台200に取付した本発明を、高低差のある斜面等に於いてメガソーラー発電を行うシステムの実施例であり、一箇所の基地局から駆動力たる回転と制御情報を配給する例である。
【0019】
基地局には駆動エンジンEを有し、この回転力を各本発明にカスケード接続し供給する。この際、基地局と本発明との間に高低差があれば、ユニバーサルジョイントUを介して回転力軸を結合する。本発明には必要に応じて複数の回転出力端を有し、カスケード接続と共に、並列接続も可能にする。これによりマトリクス状に本発明を配置する事が可能になる。
【0020】
基地局の制御機器Cは、各本発明の位置と現在の太陽の位置を勘案して、各本発明の自由雲台200が採るべき最適角度制御情報を御信号線300で送信する。この御信号線300も貫通回転軸140と同様、カスケード接続されている。
【0021】
そしてこれを受信した各本発明の自由雲台200はこれに従って角度を適切に変化させ 、これにより太陽電池Tの受光面は最適な太陽仰角を保持する事が可能になるのである。
また、太陽仰角の制御を、制御機器に頼らず、受光素子等で得た現在の受光量を基に独自に行ってもよい。
【0022】
図4は反射鏡Mを取り付けた自由雲台200を制御しての屋根に設置した集光器Cに集光して一般家庭で太陽光を利用するシステムの例で、各本発明の太陽仰角の制御を個々に有する受光素子400の受光量を基に行う例である。これは本発明が個々に駆動エンジンを有さない事による軽量で安価であると云う特徴により可能になるのである。
【符号の説明】
【0023】
100 筐体
130 球状軸受け
140 貫通回転軸
144 回転入力結合端
145 ウォーム
146 回転出力結合端
150 XY軸駆動制御機構
152 X軸入力歯車
154 Y軸入力歯車
162 X軸駆動桿
164 Y軸駆動桿
200 自由雲台
300 制御信号線
350 信号線コネクタ
400 受光素子
C 制御機器
E 駆動エンジン
F フレキシブル回転ジョイント
G 回転力分配器
M 反射鏡
S 集光器
T 太陽電池


【要約】
【課題】
太陽光追尾装置に於いて、内部に駆動エンジンを有する事無く、最低限一個の外部駆動エンジンで多数個の太陽光追尾装置を駆動する。従来は個々に駆動エンジンを有していたため費用、重量が過大になっていた欠点を解消して、簡素な太陽光利用システムを実現可能にする。
【解決手段】
一端が入力軸であり他端が出力軸である回転軸の回転力を駆動源としてXY軸に自在に角度変化する自由雲台を有する太陽光追尾装置であり、この回転軸の両端を連結し、最低限一個の共通駆動エンジンから駆動力を得て多数個の自由雲台を駆動して太陽を追従する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4