特許第6182710号(P6182710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182710
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】動画コンテンツ鑑賞装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/458 20110101AFI20170814BHJP
   H04N 21/462 20110101ALI20170814BHJP
   H04N 5/93 20060101ALI20170814BHJP
   H04N 5/765 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H04N21/458
   H04N21/462
   H04N5/93 Z
   H04N5/91 L
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-256740(P2014-256740)
(22)【出願日】2014年12月18日
(62)【分割の表示】特願2009-35974(P2009-35974)の分割
【原出願日】2009年2月18日
(65)【公開番号】特開2015-80261(P2015-80261A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2015年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】508278745
【氏名又は名称】NL技研株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】706000296
【氏名又は名称】田中 雅英
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅英
【審査官】 古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−165335(JP,A)
【文献】 特開2008−182399(JP,A)
【文献】 特開2006−319998(JP,A)
【文献】 特開2008−017372(JP,A)
【文献】 石崎 徹,わかりやすい広告論,日本,八千代出版株式会社,2008年 4月20日,第1版,p.141,ISBN978-4-8429-1450-3
【文献】 関 誠雄,テレビCM放送と情報処理,情報処理,日本,社団法人情報処理学会,2000年 3月15日,第41巻,第3号,p.304−309,ISSN0447-8053
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 − 21/858
H04N 5/76 − 5/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画コンテンツを記録するコンテンツ記録部と、前記動画コンテンツと特有の関係にある第1のコマーシャルメッセージ及び前記動画コンテンツと特有の関係にない第2のコマーシャルメッセージを記録するコマーシャルメッセージ記録部と、電源オン状態で継続して動作し、前記第1のコマーシャルメッセージの挿入タイミングが到来したとき前記コマーシャルメッセージ記録部から読み出した前記第1のコマーシャルメッセージが前記コンテンツ記録部から読み出した一つの動画コンテンツ途中に挿入されるよう前記第1のコマーシャルメッセージおよび前記一つの動画コンテンツを再生するとともに前記第2のコマーシャルメッセージの挿入タイミングが到来したとき前記コマーシャルメッセージ記録部から読み出した前記第2のコマーシャルメッセージが前記コンテンツ記録部から読み出した互に関連のない複数の動画コンテンツの間に挿入されるよう前記第2のコマーシャルメッセージおよび前記複数の動画コンテンツを再生する制御部と、前記制御部により再生されるコマーシャルメッセージおよび動画コンテンツを表示する表示部を有することを特徴とするコンテンツ鑑賞装置。
【請求項2】
前記制御部は、再生に際し、前記第1のコマーシャルメッセージおよび前記第2のコマーシャルメッセージのいずれかを識別して前記コマーシャルメッセージ記録部から読み出すことを特徴とする請求項1記載のコンテンツ鑑賞装置。
【請求項3】
前記第1のコマーシャルメッセージは、これを見ることにより前記特有の関係にある前記動画コンテンツを無料で鑑賞できるものであることを特徴とする請求項2記載のコンテンツ鑑賞装置。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、前記コマーシャルメッセージ記録部から読み出した前記第1のコマーシャルメッセージが前記コンテンツ記録部から読み出した互に関連のない複数の動画コンテンツの間に挿入されるよう前記第1のコマーシャルメッセージおよび前記複数の動画コンテンツを再生することも可能であり、前記第1のコマーシャルメッセージと特有の関係にある前記動画コンテンツを無料で鑑賞できる権利を予め獲得できるようにすることを特徴とする請求項3記載のコンテンツ鑑賞装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1のコマーシャルメッセージの少なくとも一部が動画コンテンツ途中で再生されないとき動画コンテンツの鑑賞に対する課金の管理を行うことを特徴とする請求項3または4記載のコンテンツ鑑賞装置。
【請求項6】
前記制御部は、所定の再生回数に達した前記第2のコマーシャルメッセージまたは互に関連のない複数の動画コンテンツの間で少なくとも一部が再生されない状態が所定回数に達したコマーシャルメッセージについて以後の再生を行わないことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のコンテンツ鑑賞装置。
【請求項7】
動画コンテンツを受信して前記コンテンツ記録部に記録するとともにコマーシャルメッセージを受信して前記コマーシャルメッセージ記録部に記録する通信部を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のコンテンツ鑑賞装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画コンテンツ鑑賞装置に関し、特にコマーシャルメッセージの再生が可能な動画コンテンツ鑑賞装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような動画コンテンツの鑑賞装置の代表的なものはテレビである。テレビに提供される動画コンテンツとしては有料放送の他にコマーシャルメッセージを提供する広告主の広告料によって賄わる無料放送がある。一方、近年、いわゆるサーバ型放送の実用化も進み、インターネット経由で番組配信サーバからダウンロードした番組動画データを解凍再生することにより動画番組を鑑賞することも可能となっている。
【0003】
以上のような動画コンテンツの鑑賞装置の多様化にともない、動画コンテンツとコマーシャルメッセージの関係について種々の検討が行われており、例えばユーザが関心のあるコマーシャルメッセージを自主的に選択できることや、コマーシャルメッセージを見てもらう動機付けのためにコマーシャルメッセージを見たユーザに動画コンテンツ鑑賞用のポイントを発行することなども提案されている。しかしながら、サーバ型放送における動画コンテンツの鑑賞とコマーシャルメッセージの関係についてはさらに検討すべき課題が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−285743号広報
【特許文献1】特開2001−285830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、サーバ型放送における動画コンテンツおよびコマーシャルメッセージの実用的な再生が可能な動画コンテンツ鑑賞装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため本発明は、動画コンテンツを記録するコンテンツ記録部と、コマーシャルメッセージを記録するコマーシャルメッセージ記録部と、コマーシャルメッセージ記録部から読み出したコマーシャルメッセージがコンテンツ記録部から読み出した動画コンテンツ途中に挿入されるようコマーシャルメッセージおよび動画コンテンツを再生する制御部と、制御部により再生されるコマーシャルメッセージおよび動画コンテンツを表示する表示部を有するコンテンツ鑑賞装置を提供する。
【0007】
このように動画コンテンツ途中に挿入されるコマーシャルメッセージを動画コンテンツ用とは別の記録部に記録し、再生の際にコンテンツ鑑賞装置においてコマーシャルメッセージを動画コンテンツ途中に挿入されるよう制御することにより、コマーシャルメッセージの公告元にとってもコンテンツ鑑賞装置の鑑賞者にとっても合理的な再生が可能となる。
【0008】
例えば、制御部は、コマーシャルメッセージを挿入することなく動画コンテンツの再生を継続するよう制御することが可能となる。これは、有料でコマーシャルメッセージに煩わされずに動画コンテンツを鑑賞しようとする者や既に別途コマーシャルメッセージを見ていてコマーシャルメッセージの挿入なしに無料で動画コンテンツを鑑賞できる資格のあるものにとって有用である。
【0009】
また、他の例として、制御部は、コマーシャルメッセージの再生を中断して動画コンテンツの再生を継続するよう制御することも可能となる。この場合、制御部が、コマーシャルメッセージの少なくとも一部が動画コンテンツ途中で再生されないとき動画コンテンツの鑑賞に対する課金の管理を行うよう構成することができる。この課金管理の構成は、先の例のごとく最初からコマーシャルメッセージを挿入することなく動画コンテンツの再生を継続する場合にも適用できる。より具体的な構成によれば、制御部は、コマーシャルメッセージの中断が指示されたとき動画コンテンツの鑑賞に対する課金を警告することによって予期しない課金が発生することを防止することもできる。
【0010】
本発明の具体的な特徴によれば、動画コンテンツを受信して前記コンテンツ記録部に記録するとともにコマーシャルメッセージを受信して前記コマーシャルメッセージ記録部に記録する通信部が設けられ、動画コンテンツとともにコマーシャルメッセージについても適宜記録内容を更新することができる。
【0011】
本発明の他の具体的な特徴によれば、制御部は、所定のコマーシャルメッセージについてその中断を禁止する。所定のコマーシャルメッセージとは、例えば再生回数が不足しているコマーシャルメッセージであり、このように構成することにより、広告主にとっては最低限度の回数はコマーシャルメッセージの再生実行が保証されることになり、コマーシャルメッセージの繰返し効果を享受することができる。一方、鑑賞者にとっては、所定の回数以降はコマーシャルメッセージを中断できることにより、過度に同じコマーシャルメッセージを見せられて辟易させられることから逃れられる。
【0012】
上記における所定のコマーシャルメッセージの他の例は、動画コンテンツと特有の関係にあるコマーシャルメッセージである。このように構成することにより、例えば、動画コンテンツの提供者の立場で動画コンテンツに投資している広告主は、鑑賞者に中断されることなく「番組提供者名」の告知等が動画コンテンツ中で確実かつ完全に行われることを期待できる。
【0013】
上記における所定のコマーシャルメッセージの他の例は、次のような場合である。すなわち、コマーシャルメッセージが複数の動画コンテンツの間に挿入されるような再生も可能な場合において、上記の所定のコマーシャルメッセージが動画コンテンツ途中に挿入されるコマーシャルメッセージである場合である。このように構成することにより、複数の動画コンテンツの間に挿入されるいわゆる「ステーションブレークCM」については関心のないものを自由に中断することができるとともに、動画コンテンツを無料で見るための資格に関する動画コンテンツの間に挿入されるいわゆる「スポットCM」または「パーティシペーションCM」については所定の条件が満たされなければその中断を禁止し、広告主の特定の動画コンテンツへの投資を守るようにする。
【0014】
本発明の他の特徴によれば、動画コンテンツを記録するコンテンツ記録部と、コマーシャルメッセージを記録するコマーシャルメッセージ記録部と、コマーシャルメッセージ記録部から読み出したコマーシャルメッセージがコンテンツ記録部から読み出した複数の動画コンテンツの間に挿入されるようコマーシャルメッセージおよび動画コンテンツを再生する制御部と、制御部により再生されるコマーシャルメッセージおよび動画コンテンツを表示する表示部を有するコンテンツ鑑賞装置が提供される。
【0015】
上記のような構成においては、複数の動画コンテンツの間に挿入されるいわゆる「ステーションブレークCM」の管理が可能となる。例えば、制御部は、挿入するコマーシャルメッセージの順序を制御する。また、他の具体例では、制御部は、挿入するコマーシャルメッセージの挿入回数を制御する。
【0016】
本発明のさらに他の特徴によれば、動画コンテンツを記録するコンテンツ記録部と、コマーシャルメッセージを記録するコマーシャルメッセージ記録部と、コマーシャルメッセージ記録部から読み出したコマーシャルメッセージおよびコンテンツ記録部から読み出した動画コンテンツを再生するとともにコマーシャルメッセージの再生回数を制御する制御部と、制御部により再生されるコマーシャルメッセージおよび動画コンテンツを表示する表示部を有するコンテンツ鑑賞装置が提供される。
【0017】
上記のような構成によって、コマーシャルメッセージの再生回数を制御することにより広告主と鑑賞者のバランスを取り、両者にとって最適のコマーシャルメッセージの受発信が可能となる。例えば、制御部は、所定の再生回数に達したコマーシャルメッセージについて以後の再生を行わないようにし、既に広告効果の薄れている過度の繰返しにより鑑賞者の反感をまねくごとき逆効果を防止できる。
【0018】
本発明のさらに他の特徴によれば、動画コンテンツを記録するコンテンツ記録部と、コマーシャルメッセージを記録するコマーシャルメッセージ記録部と、コマーシャルメッセージ記録部から読み出したコマーシャルメッセージおよびコンテンツ記録部から読み出した動画コンテンツを再生するとともにコマーシャルメッセージの中断指示に応じその中断を制御する制御部と、制御部により再生されるコマーシャルメッセージおよび動画コンテンツを表示する表示部を有するコンテンツ鑑賞装置が提供される。
【0019】
上記のような構成は、鑑賞者側と広告主側との意思疎通に有益である。例えば、制御部は、コマーシャルメッセージの中断指示が所定の回数に達したコマーシャルメッセージについて以後の再生を行わないことによって、鑑賞者の意思を尊重する。また、他の例として、制御部によるコマーシャルメッセージの中断指示を報告する報告部が設けられ、コマーシャルメッセージに対する鑑賞者の反応をフィードバックすることができる。より具体的には、動画コンテンツおよびコマーシャルメッセージを受信してそれぞれコンテンツ記録部およびコマーシャルメッセージ記録部に記録するとともに報告部による報告を送信する通信部を設けることによって、動画コンテンツおよびコマーシャルメッセージの記録更新および鑑賞者側と広告主側との意思疎通を実現することができる。
【0020】
本発明のさらに他の特徴によれば、動画コンテンツを記録するコンテンツ記録部と、コマーシャルメッセージを記録するコマーシャルメッセージ記録部と、コマーシャルメッセージ記録部から読み出したコマーシャルメッセージおよびコンテンツ記録部から読み出した動画コンテンツを再生する制御部と、制御部により再生されるコマーシャルメッセージおよび動画コンテンツを表示する表示部と、コマーシャルメッセージの再生実績を報告する報告部とを有するコンテンツ鑑賞装置が提供される。
【0021】
上記のような構成は、実績に基づく広告主への広告料課金を可能とする。より具体的には、動画コンテンツおよびコマーシャルメッセージを受信してそれぞれコンテンツ記録部およびコマーシャルメッセージ記録部に記録するとともに報告部による報告を送信する通信部を設けることによって、動画コンテンツおよびコマーシャルメッセージの記録更新およびコマーシャルメッセージの再生実績情報を広告料課金のための情報提供を可能とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
上記のように本発明は、サーバ型放送において動画コンテンツおよびコマーシャルメッセージの再生における動画コンテンツ配信元、動画コンテンツ鑑賞者、およびコマーシャルメッセージを発信する広告元の三者それぞれにとって有益な動画コンテンツ鑑賞装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明におけるコンテンツの配信装置および受信装置の実施例に関するシステム全体を示すブロックを示した図面代用写真である。
図2図1のテレビにおけるコンピュータ制御部の基本フローチャートを示した図面代用写真である。
図3図2のステップS20におけるタイム/パーティシペーションCM処理の詳細のフローチャートを示した図面代用写真である。
図4図3のステップS62におけるCM処理の詳細のフローチャートを示した図面代用写真である。
図5図3のステップS66におけるステーションブレークCM処理の詳細のフローチャートを示した図面代用写真である。
図6図2のステップS30における課金処理の詳細のフローチャートを示した図面代用写真である。
図7図2のステップS32におけるCM視聴実績管理処理の詳細のフローチャートを示した図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明におけるコンテンツの配信装置および受信装置の実施例に関するシステム全体を示すブロックであり、テレビ2、テレビ放送局4およびコンテンツ配信サーバ6を含む動画コンテンツ鑑賞システムを構成している。テレビ2は、デジタル放送電波8によってテレビ放送局4から送信される通常のデジタル放送コンテンツ10を受信するために放送受信部12を有する。放送受信部12は、放送コンテンツ10に組み込まれたコマーシャルメッセージ(CM)も受信する。
【0025】
テレビ2は、さらにインターネット14を経由してコンテンツ配信サーバ6から配信される動画コンテンツデータやCMデータなどの供給を受けるコンピュータ18を有する。コンピュータ18は、制御部20、記憶部22、および入出力部24を有している。入出力部24は、コンテンツ配信サーバ6の配信データベース16に保管されている動画コンテンツデータやCMデータがインターネット14経由で配信される際、これらを受け取るための通信部の役割を持っている。記憶部22は制御部20を動作させるためのプログラムを記憶するとともに、制御部20の動作に必要な一時データの記憶を行う。
【0026】
コンテンツ記録部26は、コンテンツ配信サーバ6から入出力部24を介してダウンロードされた動画コンテンツデータの記録を行う。このコンテンツ記録部26は、ハードディスクを有する大容量のものであり、相当数の動画コンテンツデータを記録することが可能である。また、CM記録部28は、コンテンツ配信サーバ6から入出力部24を介してダウンロードされたCMデータの記録を行う。このCM記録部28も、ハードディスクを有する大容量のものであり、相当数のCMデータを記憶することが可能である。これらのCMデータは実際にはテレビ2で再生されないものも含まれる。なお、CMデータは、公告依頼者との契約により、番組提供広告者によるタイムCMデータとそれ以外のスポットCMデータに別れており、さらにスポットCMデータは、番組の途中に挿入されるパーティシペーションCM(PTCM)データおよび「ステブレ」と略称され番組間に挿入されるステーションブレークCM(SBCM)データに分かれている。
【0027】
入出力部24は、さらにリモコン30からの赤外線信号32を受信するリモコン受信部34からの操作信号を入力し、制御部20に所定のコンピュータ動作を行わせる。リモコン30はテレビの電源オンオフ、放送チャンネル切換操作、音量調節操作などを行う。また、リモコン30はテレビ画面36と連携するGUIによって、テレビ画面36に表示される各種ボタンの操作やテレビ画面36に表示される一覧メニューリストからの選択操作などを行う。リモコン受信部34が受信する操作信号は、必要に応じて放送受信部12にも直接伝えられる。放送受信部12は上記のように通常のテレビ放送局4からデジタル放送電波8を受信しているが、リモコン受信部34からの操作信号に基づいて放送チャンネルの選局等を行う。
【0028】
表示制御部38は放送受信部12からの信号に基づいて、通常デジタル放送動画コンテンツをテレビ画面36に表示する。表示制御部40はさらにコンピュータ18の制御部20の制御を受け、入出力部24を経由して表示記憶部40から出力されるコンピュータ表示信号をテレビ画面36に表示する。このコンピュータ表示信号は、リモコン30と協働するGUI表示として通常デジタル放送動画コンテンツの表示の一部に重畳してテレビ画面36に表示される。また、操作メニューや番組表等のように、テレビ画面36に表示されるものがすべて表示記憶部40からのコンピュータ表示信号である場合もある。なお、放送受信部12が受信したデジタル放送動画コンテンツはコンピュータ18の入出力部24にも送られるので、リモコン30の操作により「録画」としてコンテンツ記録部26に記憶することが可能である。
【0029】
一方、インターネット14を経由してコンテンツ配信サーバ6から供給され、コンテンツ記録部26に記録された動画コンテンツデータおよびCM記録部28に記憶されたCMデータは、制御部20の制御により動画データに変換され、入出力部24を経由して表示記憶部40から出力される。そして、表示制御部38が制御部20の制御により放送受信部12からの動画データに代えて表示記憶部40からの動画データを選択した時は、コンテンツ配信サーバ6からインターネット14を経由して供給された動画コンテンツデータがテレビ画面36に表示されることになる。なお、この場合、ストリーミングによりインターネット14を経由して供給されるオンデマンドまたはライブの動画コンテンツデータをリアルタイムでテレビ画面36に表示することもできる。ストリーミングによりインターネット14を経由して供給され、テレビ画面36でリアルタイムに表示可能な動画コンテンツとしては、以上のものの他、コンテンツ配信サーバ6が独自にスケジューリングする番組表に基づいて配信する動画コンテンツデータもある。
【0030】
このようにして本発明の実施例である図1のテレビ2は、デジタル放送電波8によってテレビ放送局4から受信する通常デジタル放送動画コンテンツ。およびインターネット14を経由してコンテンツ配信サーバ6からダウンロードされた動画コンテンツデータのいずれもが鑑賞できるようになっている。本発明の実施例は、さらに、通常デジタル放送電波による動画コンテンツとインターネット経由でダウンロードされた動画コンテンツデータとの選択が可能であるだけでなく、これらを結合した鑑賞が可能となっている。
【0031】
テレビ画面36で観賞可能な動画コンテンツとしては、上記のようなテレビ放送局4からの通常デジタル放送動画コンテンツおよびコンテンツ配信サーバ6からダウンロードされる動画コンテンツデータの他、上記のように、インターネット14を経由してストリーミングによって供給されるリアルタイム放送動画コンテンツがある。このようなストリーミングによるリアルタイム放送動画コンテンツについても、これがテレビ放送局4からの放送に準じてコンテンツ配信サーバ6からインターネット経由で番組表に従って定常的に供給される環境が整っている場合には、そのような動画コンテンツをダウンロードするためのURLも放送チャンネルの一つと考えるものとする。
【0032】
テレビ放送局4は、以上のような放送機能の制御のために放送局制御部42を有する。一方、コンテンツ配信サーバ6も、以上のような放送機能の制御のためにサーバ制御部44を有する。テレビ2と連携するサーバ制御部44の機能の詳細については後述する。
【0033】
図2は、図1のテレビ2のコンピュータ18における制御部20の動作を示す基本フローチャートであり、テレビ2が電源コンセントに接続されることによりスタートする。まずステップS2では、電源オフ状態であって所定時刻が到来したかどうかがチェックされる。そしてこれに該当すればステップS4に進み、CMダウンロード処理が行われる。この処理は、コンテンツ配信6からCMデータのダウンロードを行ってCM記録部28に記録する処理であって、上記のようにテレビがオフの間にCMデータのダウンロード処理が行われる。ダウンロードされるCMデータは、コンテンツ配信サーバ44と制御部20の連携により選択され、到来した時刻および既にCM記録部28に記録されているCMデータに基づき、タイムCMデータ、PTCMデータおよびSBCMデータが適宜ダウンロードされる。
【0034】
到来した時刻において実行すべきCMダウンロード処理が完了するとフローはステップS6に移行する。なお、ステップS2において電源がオンであるか又は電源オフでも所定時刻が到来していない場合は直接ステップS6に移行する。ステップS6では、電源がオンであるかどうかがチェックされ、電源オンが検出されればステップS8に移行する。一方電源オンの検出がなければステップS2に戻り、以下、電源オンが検出されるか所定時刻が到来するまでステップS2からステップS6を繰り返す。この繰返しの中で、次の所定時刻が到来するとステップS4のCMダウンロード処理が行われるので、長期間電源オンがないと、ステップS4のCMダウンロード処理が複数回行われることになる。
【0035】
なお、ここで「電源オン」とは、使用者としてテレビ2の電源を日常的にオンすると認識している状態を広義に意味している。例えば、テレビ2の電源スイッチをオンしてテレビ2が常時待機状態になっているときにリモコン30のメインスイッチをオンする状態も「電源オン」と認識される。従って、本明細書の記載における「電源オン」および「電源オフ」は、テレビ2を待機状態にするかどうかを切換える電源スイッチのオンオフに狭義に限定して解釈すべきものではなく、電源スイッチオン状態においてリモコン等のメインスイッチをオンオフする場合等をも含む広義のものとして理解すべきである。
【0036】
ステップS6で電源オンが検出されるとステップS8に進み、テレビ2が電源コンセントに接続されてから後に電源をオフした履歴が記憶部22に記録されているかどうかをチェックする。そして電源オフ履歴があればステップS10に進み、前回電源をオフした際の直前状態の記録を呼び出してステップS12でオフ直前の放送チャンネルを呼び出す。これは、前回電源をオフした際に観賞していたチャンネルが次の電源オンの際にも最も関心の高い「チャンネル」であると看做しての処理である。なお、このチャンネルには、上記のようにインターネット14経由で入出力部24に入力されるストリーミングによるリアルタイム放送をダウンロードするためのURLも含まれるものとする。このような場合に対応するため、次のステップS16でコンピュータ18をインターネット14に常時接続状態する。一方、ステップS8で電源オフ履歴がない場合はステップS18に進み、デフォルトで所定の放送チャンネルを設定してステップS16に移行する。
【0037】
ステップS16でネット常時接続指示が行われるとフローはステップS20に進み、CM処理を行う。これはコンテンツへのCM挿入を管理する処理でありその詳細は後述する。以上の後、ステップS22で動画コンテンツの表示開始指示を行う。また既に動画コンテンツの表示開始が行われていた場合はその継続を指示する。次いでステップS24ではチャンネル切換操作が行われたか否かをチェックし、切換えがあればステップS26でチャンネル切換処理をしてステップS28に移行する。またチャンネル切換がない場合はステップS24から直接ステップS28に移行する。
【0038】
ステップS28では、電源オフ操作が行われたかどうかをチェックし、操作があればステップS30に進む。一方、電源オフ操作が検出されなければステップS20に戻り、以下電源オフ操作が行われない限りステップS20からステップS28を繰り返す。この繰返しの中で、番組の進行に従いステップS20によるCMの挿入が行われていく。
【0039】
ステップS30では、コンテンツ観賞に対する課金処理が行われるがその詳細は後述する。さらにステップS32ではCM視聴実績管理処理が行われるが、ここで処理される情報は広告主に対する重要な情報となる。この処理についてもその詳細は後述する。以上の処理の後ステップS34ではステップS28で検知された電源オフ操作直前の状態を記憶するとともに電源オフを実行し、ステップS2に戻る。以下、ステップS2からステップS34が繰り返され、電源のオンオフに応じてCMのダウンロードおよびCMを交えたコンテンツ観賞が行われる。
【0040】
図3は、図2のステップS20におけるタイム/パーティシペーションCM処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS42で有料設定が行われているかどうかチェックする。ここで、有料設定とは、CMをすべてカットしてコンテンツのみを鑑賞するモードであり、この場合、コンテンツ配信サーバ側との契約によりそのような観賞を行う旨の契約をしてコンテンツ鑑賞料金をコンテンツ配信サーバ側に支払う設定である。このような設定をしていないモードの場合、所定のルールに従ってCMを見ることにより、無料でコンテンツを鑑賞することが可能となる。なお無料コンテンツ鑑賞には、通常の民間放送番組のようにコンテンツ鑑賞の途中でCMを見る場合だけでなく、既にCMを見ることによって予め獲得しておいたポイントを使用することにより無料でそのCMをカットしてコンテンツを鑑賞する場合が含まれる。
【0041】
ステップS42で有料設定が行われていることが検出されると直ちにCM処理が終了され、図2のステップS22に移行して動画コンテンツの表示開始が指示される。一方、ステップS42において有料設定が検出されなかったときは、ステップS44に進み、CMを行うタイミングが到来しているかどうかチェックされる。CMタイミング到来が検出されなければ直ちにCM処理が終了され、図2のステップS22に移行して動画コンテンツの表示開始が指示される。また、既に動画コンテンツの表示が開始されていれば表示の継続が指示され、動画コンテンツの鑑賞を継続することができる。
【0042】
一方、ステップS44においてCMタイミング到来が検出されるとステップS46に進み、到来したCMタイミングが番組間に挿入されるステーションブレークCMタイミングかどうかがチェックされる。このような「ステブレ」CMタイミングであることが検出されない場合は、動画コンテンツに関連して挿入されるタイムCMまたはパーティシペーションCMのタイミング到来であることを意味するので、ステップS48に進み、現時点が動画コンテンツの始点であるかどうかがチェックされる。
【0043】
ステップS48でコンテンツ始点であることが検出されるとステップS50に進み、予め獲得したポイントがその動画コンテンツに挿入される全てのCMをカットして無料鑑賞するために必要なポイント数を充足しているかどうかチェックする。そしてポイント数の充足が検知できない場合はステップS52に進み、コンテンツ鑑賞途中のどこかで必ずCMが挿入されることを予告してステップS54に移行する。一方ステップS50でコンテンツ専用ポイント数の充足が検知された時は途中でのCM挿入なしに無料でコンテンツ鑑賞を鑑賞し終えることが可能なのでCM挿入予告は行わず、直接ステップS54に移行する。また、ステップS48でコンテンツ始点であることが検出されなかった時も、既に動画コンテンツの鑑賞が開始されていてCM挿入予告をするタイミングではないので、直接ステップS54に移行する。
【0044】
ステップS54では、到来したCMタイミングがタイムCMタイミングであるかどうかチェックされる。そしてタイムCMであればステップS56に進み、CMの内容が動画コンテンツ提供者を告知するためのものかどうかチェックされ、該当しなければステップS58に進む。一方、ステップS54でタイムCMであることが検知されない場合は提供元告知のないパーティシペーションCMであることを意味するから直接ステップS58に移行する。
【0045】
ステップS58では、手持ちのポイントがあればこれを自動的に使用する設定になっているかどうかチェックする。そしてこのようなポイント自動使用設定がなされていればステップS60に進み、今回CMタイミングが到来したCMをカットするのに必要な動画コンテンツ専用ポイントがあるかどうかのチェックが行われる。このステップS60におけるチェックは、ステップS50におけるような動画コンテンツ全体にわたるCMを全てカットできるかどうかのチェックではなく、あくまで今回CMタイミングが到来したCMに限り、これをカットできるかどうかのチェックである。
【0046】
ステップS60でコンテンツ専用ポイントが検出されないときはステップS62に移行し、タイム/パーティシペーションCM処理行う。この場合は、CMをカットしてそれ以降の動画コンテンツを無料で鑑賞することはできないからである。そして、ステップS62の処理の完了によりフローを終了して図2のステップS22に移行し、動画コンテンツの鑑賞に入る。ステップS62の詳細は後述する。一方、ステップS60でコンテンツ専用ポイントが検出された時は直ちにフローを終了して図2のステップ22に移行する。つまり、この場合はポイントを使用して自動的にCMカットが行われることになる。なお、ステップS58でポイント自動使用設定が検出されない時はコンテンツ専用ポイントの有無にかかわらず直接ステップS62に移行する。
【0047】
一方、ステップS56で動画コンテンツ提供元を告知するためのタイムCMであることが検出された時は、ステップS64進み、提供元の表示およびアナウンスを行ってフローを終了し、図2のステップS22に移行する。このように提供元告知のためのタイムCMである場合は、コンテンツ専用ポイントがあってもCMカットを行うことはできない。つまり、提供元告知のためのタイムCMをカットして動画コンテンツを鑑賞できるのは、ステップS42において有料設定が検出された時だけである。
【0048】
また、ステップS44で到来が検出されたCMタイミングについて、これがステーションブレークCMのタイミングであることがステップS46で検出された時はステップS66に移行し、ステーションブレークCM処理を行う。そして、この処理の完了によりフローを終了して図2のステップS22に移行し、動画コンテンツの鑑賞に入る。ステップS66の詳細は後述する。
【0049】
図4は、図3のステップS62におけるCM処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS72でコンテンツ専用CMがダウンロード済みであるかどうかチェックする。コンテンツ専用CMとはその動画コンテンツと契約関係にあるタイムCMまたはパーティシペーションCMをさす。これらのCMは、通常は、契約関係にある動画コンテンツが鑑賞可能となる前に予めダウンロードされ、図1のCM記録部28に記録されていることが前提である。ステップS72はこれが正しく行われているかどうかをチェックするものである。
【0050】
ステップS72でコンテンツ専用CMがダウンロード済みであることが確認されるとステップS74に進み、再生回数未了タイムCMが存在するかどうかがチェックされる。タイムCMはCM契約に基づき動画コンテンツの鑑賞中に所定回数再生すべきことが取り決められているが、再生回数がこの所定回数に達していないタイムCMがあればステップS74で検出される。このようなタイムCMの存在がステップS74で検出されるとステップS76に進み、CM契約により、このようなタイムCMよりも先に再生されるよう順番待ちしているパーティシペーションCMがないかどうかチェックされる。そして、該当する先待ちパーティシペーションCMがなければステップS78で該当するタイムCMがCM記録部28から呼出され、ステップS80に進んで呼出されたCMの再生開始が指示される。
【0051】
一方、ステップS74で再生回数未了タイムCMの存在が検出されなかったときは、再生すべきCMはパーティシペーションCMだけしかないのでステップS82に進み、その中から最優先のパーティシペーションCMを呼出してステップS80に移行する。また、ステップS76で先待ちのパーティシペーションCMがあったときもステップS82に進み、そのCMを最優先パーティシペーションCMとして呼出してステップS80に移行する。これらの場合、ステップS80では呼出されたパーティシペーションCMの再生開始が指示されることになる。
【0052】
呼出されたCMの再生開始がステップS80で指示されると、フローはステップS84に進み、テレビのリモコン等によりCMカット操作がなされたかどうかがチェックされる。操作が検出されなければステップS86に進み、CM再生が完了したかどうかチェックされる。そして、CM完了が検出されなければステップS84に戻り、以下、CMカット操作がなされるかCM再生が完了するまで、ステップS84およびステップS86が繰り返される。このようにしてCM再生が完了するまで、いつでもCMカット操作の検出が可能となっている。
【0053】
ステップS84でCMカット操作が検出されるとステップS88に進み、鑑賞している動画コンテンツについての専用ポイントがあるかどうかがチェックされる。そしてポイントがあることが検出されるとステップS90に進み、ポイントの減算が行われる。そしてステップS92でCMカットが実行されるとともにステップS94でCMカットの事実が記録される。さらにステップS96において、再生回数に算入する処理をしてフローを終了する。このように途中でカットされたCMについても、ポイント減算を伴うものは再生したものと見なして再生回数に算入する。以上の一連の処理はCMカット操作に応答して瞬時に行われるので、実際にはCMカット操作後すぐに図2のステップS22による動画コンテンツ表示継続指示が行われ、鑑賞を再開することができる。
【0054】
これに対し、ステップS88でコンテンツ専用ポイントが検出されなかったときはステップS98に進み、動画コンテンツ鑑賞に一回分のCMカットに対する課金が発生する旨の表示を行い、ステップS100に進んで所定時間内の同意操作を待つ。そして同意操作があればステップS92に移行し、上記と同様のCMカット以下の実行に進む。この場合もカット課金が発生しているので、途中でカットされたCMについても再生したものと見なしてステップS96で再生回数に算入する。
【0055】
一方ステップS100で所定時間内に同意操作がなかったときはCMカット操作を無効としてステップS84に戻り、以下、ステップS84およびステップS86の繰返しに戻る。このようにして、ステップS100でCMカット課金に対する同意操作をしなかった場合は、以後何も操作せずにCM再生完了を待つことにより動画コンテンツの無料鑑賞状態を維持することができる。
【0056】
ステップS86でCM再生完了が検出されるとステップS102に進み、CM再生完了の事実を記録してステップS96の再生回数算入に移行する。この場合はCMを見た上で動画コンテンツ鑑賞に戻ることになる。つまり、通常の民間放送によるテレビ番組鑑賞と同様の鑑賞スタイルとなる。
【0057】
以上が通常想定される動作であるが、何等かの事情でコンテンツ専用CMが全くダウンロードされておらず、ステップS72におけるコンテンツ専用CMダウンロード済の検出ができなかった時はステップS104に進む。ステップS104では、その動画コンテンツが有料設定状態でしか鑑賞できないことを警告する処理が行われる。なお、この処理には当面有料設定で動画コンテンツを鑑賞し、後にコンテンツ専用CMが正常にダウンロードされたときにはこれを見ることによって有料状態のチャージを払い戻して無料とするための事後の手続きを設定する処理を含めることができる。以上の処理を行った上でステップS106に進み、自動的に有料設定を行ってフローが終了する。なお、ステップS104には、その処理に不服があるときはフロー全体が緊急停止させる手動操作を所定時間の間受け付ける機能も付加されている。
【0058】
図5は、図3のステップS66におけるステーションブレークCM処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS112でステーションブレークCMがダウンロード済みであるかどうかチェックする。ステーションブレークCMは、通常は、予めダウンロードされたものがCM記録部28に蓄積されているとともに、毎日未明等の所定時間に所定のスケジュールに従って新しいものがダウンロードされ、これによってCM記録部28の記録が一部ずつ更新されていくことが前提である。ステップS112はこれが正しく行われているかどうかをチェックするものである。
【0059】
ステップS112でステーションブレークCMがダウンロード済みであることが確認されるとステップS114に進み、そのうち最優先のステーションブレークCMがCM記録部28から呼出される。そして、ステップS116に進んで呼出されたCMの再生開始が指示される。
【0060】
次いでステップS118では、テレビのリモコン等によりCMカット操作がなされたかどうかがチェックされる。操作が検出されなければステップS120に進み、CM再生が完了したかどうかチェックされる。そして、CM完了が検出されなければステップS118に戻り、以下、CMカット操作がなされるかCM再生が完了するまで、ステップS118およびステップS120が繰り返される。このようにしてCM再生が完了するまで、いつでもCMカット操作の検出が可能となっている。
【0061】
ステップS118でCMカット操作が検出されるとステップS122に進み、そのCMが既に最小再生回数に到達しているステーションブレークCMかどうかチェックされる。そして最小再生回数到達済みのステーションブレークCMであることが検出されたときはステップS124に進んでCMカットが実行されるとともに、ステップS126でCMカットの事実が記録される。さらにステップS128において、このように途中でカットされたステーションブレークCMはCM再生回数に算入しない旨の処理をする。
【0062】
次いで、ステップS130では、ステップS124でのCMカット実行の結果ステップS126で記録されるCMカット回数が所定回数に到達したかどうかチェックする。そして該当すればステップS132に進み、そのステーションブレークCMをCM記録部28から消去してフローを終了する。これは、同一のCMについてCMカットする操作を過度にテレビ鑑賞者に強いないようにし、関心のないCMの再生を自動的に停止するためである。以上のステップS118からステップS132までの一連の処理はCMカット操作に応答して瞬時に行われるので、実際にはCMカット操作後すぐに図2のステップS22による動画コンテンツ表示継続指示が行われ、鑑賞を再開することができる。
【0063】
これに対し、ステップS122で最小再生回数に到達しているステーションブレークCMであることが検出されなかったときはステップS134に進み、CMカット不可の表示を行う。このCMカット不可表示は、例えば、CMカット操作が行われたときCMカットの実行に代えて「New CM!」などの文字をCM画像にスーパーインポーズすることによって行う。これにより、ステーションブレークCMについては少なくとも最小再生回数の再生が実行されることを保証する。そしてフローはステップS118に戻り、以下、ステップS118およびステップS120の繰返しに戻る。このようにして、ステップS134でCMカット不可の表示が行われた場合は、以後何も操作せずにCM再生完了を待つことにより動画コンテンツの無料鑑賞状態を維持することができる。
【0064】
ステップS120でCM再生完了が検出されるとステップS136に進み、CM再生完了の事実を記録する。次いでステップS138で今回の再生を再生回数に算入する処理を行う。さらにステップS140では、ステップS138での再生回数算入の結果、そのステーションCMの再生回数が最大再生回数に到達したかどうかをチェックする。そして該当すればステップS132に移行し、そのステーションブレークCMをCM記録部28から消去してフローを終了する。これは、同じステーションブレークCMの鑑賞を過度にテレビ鑑賞者に強いることがないようにし、所定回数の再生が実行されたCMについては以後の再生を自動的に停止するためである。一方、ステップS140で最大再生回数到達ステーションブレークCMであることが検出されない場合は、直ちにフローを終了する。いずれの場合でも、これらステップS136を経由してフローを終了する場合は、CMを見た上で動画コンテンツ鑑賞に戻ることに該当する。つまり、通常の民間放送によるテレビ番組鑑賞と同様の鑑賞スタイルとなる。
【0065】
以上がステーションブレークCMの再生に関して通常想定される動作であるが、何等かの事情でステーションブレークCMが全くダウンロードされておらず、ステップS112においてステーションブレークCMがダウンロード済であることの検出ができなかった時はステップS142に進み、異常報告を行ってフローを終了する。この結果、図2のステップS22に進むことができるので当面は次の動画コンテンツを鑑賞することが可能である。
【0066】
図6は、図2のステップS30における課金処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS152で有料設定かどうかがチェックされる。そして該当すればステップS154に進み、今回電源がオンになってから電源がオフになるまでの有料鑑賞課金の集計および過去の未清算の集計実績累積記録の呼出しが行われる。一方、ステップS152で有料設定が検出されなかったときはステップS156に移行し、CMカット課金の有無がチェックされる。CM課金があればステップS154に進み、同様に今回電源オフまでのCM課金が集計される。なお、ステップS156でCMカット課金についても該当がなければ直ちにフローを終了する。
【0067】
ステップS154で課金の集計および累積記録の呼出が行われるとステップS158に進み、課金の清算タイミングが到来しているかどうかチェックされる。課金清算タイミングとは例えば毎月末の24時の到来である。ステップS158で清算タイミング到来が検出されるとステップS160に進み、課金が従量制かどうかのチェックが行われる。従量制なければステップS162に進み、一律料金を課金してフローを終了する。
【0068】
一方、ステップS160で従量制であることが検出された時はステップS164に進み、最初から最後までを完全に鑑賞した動画コンテンツの有無をチェックする。該当するものがあれば、ステップS166にステップでコンテンツ単位にて課金を集計し、ステップS168に移行する。一方、ステップS164で完全鑑賞コンテンツが検出されなかった時は直接ステップS168に移行する。
【0069】
ステップS168では不完全鑑賞コンテンツの有無をチェックする。不完全観桜コンテンツとは、最初から鑑賞を開始して途中で一時鑑賞を中断した動画コンテンツまたは、以前鑑賞を中止部分から動画コンテンツの鑑賞を再開して最後まで鑑賞し終わった動画コンテンツ、または途中を部分的に鑑賞したのみの動画コンテンツを意味する。該当するものがあれば、ステップS170に進み、そのコンテンツに関する今回の鑑賞前の段階の鑑賞未了記録を呼出す。なお、今回初めて鑑賞を開始して途中で中止した場合はこのような鑑賞未了記録は存在しない。
【0070】
次いで、ステップS172ではステップS170で呼出した鑑賞魅力記録を元に今回までに課金が終わっている部分を差し引いてコンテンツ単位の今回鑑賞分のみの課金清算を行う。さらにステップS174で今回の鑑賞後に新規に鑑賞未了部分が残った場合にこれを記録し、ステップS176に移行する。ステップS174で行われた記録は次回清算の際に呼出される。なお、ステップS168で不完全鑑賞コンテンツがなかったときは、直接ステップS176に移行する。
【0071】
ステップS176では、図4のステップS104などの処理において将来のCM再生によるポイント埋め合わせを前提に課金を猶予する動画コンテンツの有無をチェックする。そして該当するものがあればステップS178に進んでこのような課金猶予調整の処理を行い、フローを終了する。また、ステップS158で清算タイミング到来が検出されない時はステップS180に進み、ステップS154で集計された今回の集計実績を累積記録に加えてフローを終了する。この累積記録は次回の清算タイミング到来時に清算される。
【0072】
図7は、図2のステップS32におけるCM視聴実績管理処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS192で今回電源がオンになってから電源がオフになるまでのCM実績の集計および過去の未報告のCM実績累積記録の呼出しが行われる。次いでステップS194に進み、CM実績の報告タイミングが到来しているかどうかチェックされる。CM実績の報告タイミングとは例えば毎日の24時の到来である。CM視聴実績の報告はタイムリーな広告管理に必須であるため、ステップS194の報告タイミングは、図6のステップS158におけるような清算タイミングに比べ、きわめて頻繁に到来するようシステム設計がなされている。
【0073】
ステップS194で報告タイミング到来が検出されるとステップS196に進み、ステーションブレークCMの再生実績の有無がチェックされる。実績があればステップS198に進み、CM別の再生回数を報告してステップS200に移行する。なお、ステーションブレークCMの場合は、図5のステップS128で述べたように、途中でCMカットされたものは再生回数にカウントされていない。一方ステップS196でステーションブレークCMの再生実績が検出されなければ直接ステップS200に移行する。
【0074】
ステップS200では、ステーションブレークCMのカット実績の有無がチェックされる。実績があればステップS202に進み、CM別のカット回数を報告してステップS204に移行する。一方ステップS200でステーションブレークCMのカット実績が検出されなければ直接ステップS204に移行する。
【0075】
ステップS204では、タイムCMまたはパーティシペーションCMの再生実績の有無がチェックされる。実績があればステップS206に進み、CM別の再生回数を報告してステップS208に移行する。なお、タイムCMまたはパーティシペーションCMの場合は図4のステップS96で述べたように、コンテンツ専用ポイントを使用してCMカットした場合またはカット課金に同意してCMカットした場合でもCM再生があったものとして再生回数にカウントされている。一方ステップS204でタイムCMまたはパーティシペーションCMの再生実績が検出されなければ直接ステップS208に移行する。
【0076】
ステップS208では、タイムCMまたはパーティシペーションCMのカット実績の有無がチェックされる。実績があればステップS210に進み、CM別のカット回数を報告してフローを終了する。一方ステップS208でタイムCMまたはパーティシペーションCMのカット実績が検出されなければ直ちにフローを終了する。また、ステップS194で報告タイミング到来が検出されない時はステップS212に進み、ステップS192で集計された今回のCM実績を累積記録に加えてフローを終了する。この累積記録は次回の報告タイミング到来時に報告される。
【産業上の利用可能性】
【0077】
コマーシャルメッセージを伴うサーバ型放送に対応したテレビなどの動画コンテンツ鑑賞装置に適用できる。
【符号の説明】
【0078】
26 コンテンツ記録部
28 コマーシャルメッセージ記録部
20 制御部
36 表示部
24 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7