特許第6182716号(P6182716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182716
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20170814BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20170814BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20170814BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   G09F9/00 313
   G09F9/33
   F21V23/00 200
   F21V17/00 250
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-90210(P2014-90210)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-210317(P2015-210317A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2015年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001074
【氏名又は名称】クロイ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 伸昭
(72)【発明者】
【氏名】橋本 忠
【審査官】 小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0058643(US,A1)
【文献】 国際公開第2004/053817(WO,A1)
【文献】 特開平07−261674(JP,A)
【文献】 特開2012−061207(JP,A)
【文献】 特開2011−103199(JP,A)
【文献】 特開2012−150926(JP,A)
【文献】 特開2013−115150(JP,A)
【文献】 特開平10−026943(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0133689(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−9/46
H01L 27/32
33/00−33/64
F21V 17/00−17/20
23/00−37/00
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配光方向を前面側にして同一平面内に配置された複数個の光源と、
前記平面の法線方向に沿って一定の長さを有し、前記複数個の光源のそれぞれを互いに隔離し、前記光源の光を反射する隔壁と、を備え、
前記複数個の光源を正面から見る正面視において、前記光源の光と前記隔壁で反射した光とが別々に視認できるよう、前記隔壁で形成される小室の大きさに対する各光源の大きさが設定され、
前記正面視において、前記隔壁からの反射光が奥側ほど明るくなるように前記隔壁の反射率が一様な低反射率に設定されている、ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記複数個の光源は、前記平面上で互いに直交する2方向の格子軸からなる仮想の二次元格子の各格子点上に配置され、
前記隔壁は、前記2方向の格子軸のそれぞれに平行に配置された帯板で構成した請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記複数個の光源は、それぞれRGB一体型の光源である請求項1又は2に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数個の光源から照射される光によって画像や映像を表示するディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明装置では、少電力化の要請により、発光ダイオード(LED)が光源に多用されるようになり、それぞれが点光源である複数個のLEDを格子状に配置している。光源の光を前面に向かって照射して照明光を得る照明装置は、所定の範囲の全域にできるだけ均一な光量の光を配光することが要求される。
【0003】
このため、照明装置には、各LEDの光の配光方向を制御する種々の反射板が備えられている(例えば、特許文献1参照。)。反射板は、各LEDの側方の周囲を包囲するように配置され、各LEDから照射された光を前面側に反射するように傾斜した反射率の高い反射面を備えている。各LEDから照射された光は、直接、又は反射板の反射面で反射して照明装置の前面側に配光される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−098083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の照明装置では、反射板の反射面は、各LEDから照射された光を全面においてできるだけ均一な光量で反射するように構成されており、直接視認した場合には全面が単一の階調の明るさに見えることになる。
【0006】
この発明の目的は、複数個の光源のそれぞれから照射された光に階調性を与えることができ、直接視認した場合に奥行感を醸し出すことで表現機能を向上させることができるディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のディスプレイ装置は、複数個の光源、隔壁を備えている。複数個の光源は、配光方向を前面側にして同一平面内に配置されている。隔壁は、平面の法線方向に沿って一定の長さを有し、複数個の光源のそれぞれを互いに隔離する。隔壁の表面は、複数個の光源のそれぞれから照射された光を法線方向に沿って平面から離れるにしたがって徐々に光量が低下するように階調性を与えた状態で反射及び拡散させる。
【0008】
複数個の光源のそれぞれから照射された光は、平面の法線方向に沿って配光されるとともに隔壁の表面に向けて配光され、法線方向に沿って平面から離れるにしたがって徐々に光量を低下させた状態で反射及び拡散する。複数個の光源のそれぞれから照射された光が、隔壁によって立体的な奥行感を与えられた状態で視認される。
【0009】
複数個の光源は、平面上で互いに直交する2方向の格子軸からなる仮想の二次元格子の各格子点上に配置され、隔壁は、2方向の格子軸のそれぞれに平行に配置された帯板で構成することが好ましい。矩形の格子状の隔壁の内面のそれぞれにおいて、複数個の光源のそれぞれから照射された光に立体的な奥行感を与えることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、複数個の光源のそれぞれから照射された光に階調性を与えることができ、直接視認した場合に奥行感を醸し出すことで表現機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係るディスプレイ装置の外観図である。
図2】同ディスプレイ装置における複数個の光源の配置状態を示す図である。
図3】(A)は同ディスプレイ装置の視認状態を示す側面断面図であり、(B)はその拡大図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係るディスプレイ装置の外観図である。
図5】(A)及び(B)は、それぞれ本発明の第3及び第4の実施形態に係るディスプレイ装置の部分断面図である。
図6】(A)及び(B)は、本発明の他の実施形態に係るディスプレイ装置に備えられる隔壁の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、この発明の実施形態に係るディスプレイ装置について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るディスプレイ装置10は、取付板1及び隔壁2を備えている。取付板1は、所定の面積を有する平板である。隔壁2は、取付板1の前面側に配置され、平面上で互いに直交する2方向の格子軸のそれぞれに平行な複数の帯板21,22を組み合わせて形成された複数の矩形断面の小室23からなる面格子である。帯板21,22は、木材等の表面の反射率の低い材料で構成されている。隔壁2は、背面を取付板1の前面に密着させることもでき、互いの間に所定の間隔を設けることもできる。帯板21,22は、少なくとも小室23の内側に位置する面が低反射率であればよく、小室23の内側に位置する面に粗面化処理やシートの貼付処理を施すことで、木材等以外の反射率の高い材料で構成することもできる。
【0014】
図2に示すように、取付板1の前面には、複数個のLED光源11が、帯板21,22のそれぞれに平行な2方向の格子軸からなる仮想の二次元格子の各格子点上に配置されている。LED光源11が格子点に配置される二次元格子は、隔壁2の面格子に対して2つの格子軸方向のそれぞれに沿って変位している。複数個のLED光源11のそれぞれは、基板に実装されたLED素子の前面側にレンズを備えており、LED素子の発光を基板の前面側の略半球状の範囲に照射する。LED光源11は、本発明の光源に対応する。本発明の複数個の光源のそれぞれは、必ずしも単一のLED光源11で構成する必要はなく、複数個のLED光源11で構成することもでき、他の発光部品を用いることもできる。
【0015】
図3(A)に示すように、ディスプレイ装置10において複数個のLED光源11は、それぞれ取付板1の前面方向について隔壁2の複数の小室23の中央部に位置する。なお、複数個のLED光源11は、それぞれが個別の小室23内に位置することを条件に、取付板1の前面方向について複数の小室23の中央部から変位した位置に配置することもできる。
【0016】
隔壁2は、複数個のLED光源11のそれぞれを互いに隔離する。複数個のLED光源11を点灯した状態で、ディスプレイ装置10を前面側から視認すると、正面視において目の位置に近いLED光源11から照射された光は直接視認されるが、正面視において目の位置から離れたLED光源11から照射された光は各小室23の内面23Aで反射した後に視認される。
【0017】
図3(B)に示すように、取付板1の前面の法線方向について、各小室23の内面23Aは反射率を低くされており、内面23Aにおける反射光の光量は、LED光源11に近い奥側ほど多く、LED光源11から遠い手前側ほど少なくなる。このため、LED光源11の光は、内面23Aにおける奥側ほど明るく、手前側ほど暗い光として、内面23Aによって階調性を与えられた状態で視認される。
【0018】
この階調性により、複数個のLED光源11のそれぞれにRGB一体型のLED光源を用い、複数個のLED光源11で画像を表示した場合、平面画像に立体的な奥行感を与えることができ、擬似的に立体画像に近づけることができる。ただし、複数個のLED光源11を単一色のLED光源で構成し、ディスプレイ装置10を通常の照明装置とは趣の異なる奥行感のある照明装置として用いることもできる。
【0019】
図4に示すように、本発明の第2の実施形態に係るディスプレイ装置110は、取付板1の前面の法線方向における長さ(奥行)が部分的に異なる隔壁120を備えたものである。隔壁120は、左右の5列の小室1232,1233の奥行を中央部の小室1231の奥行よりも大きくしている。隔壁の中央部と左右とで画像の立体感を異ならせることができる。
【0020】
また、複数の小室1231、複数の小室1232、複数の小室1233のそれぞれで、内部に配置された複数個のLED光源11で表示する画像の内容を異ならせることで、内容に応じた立体感を画像に与えることもできる。また、ディスプレイ装置110を通常の照明装置とは趣の異なる奥行感のある照明装置として用いることもできる。
【0021】
隔壁120における部分的な奥行の差異は、図4に示す状態に限るものではなく、上下方向について奥行の差異を与えることや左右方向及び上下方向の両方に奥行の差異を与えることもできる。
【0022】
図5(A)に示すように、本発明の第3の実施形態に係るディスプレイ装置210は、隔壁220の前面に半透明のシート230を配置している。図5(B)に示すように、本発明の第4の実施形態に係るディスプレイ装置310は、取付板1の前面と隔壁320の背面との間に間隔を設け、隔壁320の背面に半透明のシート230を配置している。ディスプレイ装置210及び310によれば、光源イメージの視認性を緩和したうえで、平面画像に立体感を与えることができる。また、図5(A)に示すように、隔壁220の前面にシート230を配置することで、塵埃による小室223の汚損を防止でき、この効果のみを得る目的でシート230を透明とすることもできる。
【0023】
なお、隔壁220又は320の一部のみの前面にシート230を配置することもできる。
【0024】
図6(A)に示すように隔壁320の小室323を円形断面とすることもでき、図6(B)に示すように隔壁420の小室423を六角形等の多角形断面とすることもできる。これらの場合には、取付板1の前面において、複数個のLED光源11を配置する2方向の格子軸を所定角度回転させた仮想の二次元格子の各格子点に複数個のLED光源11を配置する。
【0025】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0026】
1−取付板
2−隔壁
10−ディスプレイ装置
11−LED光源(光源)
21,22−帯板
23−小室
23A−内面
図1
図2
図3
図4
図5
図6