【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねてきた結果、耐フロアワックス剤としてワックスと石油樹脂とを所定の比率で併用すると、撥水性はもとよりフロアワックス剤をはじめとする有機成分に対しても安定すること、即ち、耐フロアワックス性が向上することを見出した。
即ち、この発明の第1の局面は次のように規定される。
素材を加熱加圧して製造される木質ボードにおいて前記素材に添加されてその木質ボードの耐フロアワックス性を向上させる耐フロアワックス剤であって、
前記耐フロアワックス剤100重量%中に、油分10質量%以下、好ましくは5質量%以下のワックスを70〜90重量%、好ましくは76〜84重量%かつ
石油樹脂を30〜10重量%、好ましくは24〜16重量%
含み、
前記石油樹脂はC5留分とC9留分の共重合体、C5留分とC9留分の組合せ又は前記共重合体と前記組合せの併用であってその全体に対し
前記C5留分を65〜20重量%、好ましくは34〜26重量%かつ
前記C9留分を35〜80重量%,好ましくは66〜74重量%とする、
耐フロアワックス剤。
【0006】
更に、この発明の第2の局面は次のように規定される。
第1の局面に記載の耐フロアワックス剤と界面活性剤を含む、水性エマルジョン。
加えて、この発明の第3の局面は次のように規定される。 前記水性エマルジョンにおいて、前記界面活性剤の有効成分が前記耐フロアワックス剤に対して、3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%含まれる、第2の局面に記載の水性エマルジョン。
【0007】
ここでいう「木質ボード」とは、硬質繊維板(ハードボード)、中密度繊維板(MDF)、パーティクルボード等を意味するが、好ましいのは、中密度繊維板(MDF)及びパーティクルボードであり、その「素材」とは、前記木質ボードを製造する際に通常用いられる素材を意味し、具体的には、製造目的に応じて繊維化、小片化等の処理がなされた木質ファイバー、木片チップ等の木質材料が含まれるが、それ以外に、前記木質ボードの製造を阻害しない材料であれば含まれる可能性がある。
更に、前記木質ボードを製造する「加熱加圧」とは、当該技術分野で汎用される製造過程であり、好ましくは、ホットプレスが用いられ、前記耐フロアワックス剤の前記素材への「添加」とは、前記木質ボードを製造する際に通常用いられる塗布、浸漬、混合等の添加を意味し、好ましくは、スプレー塗布である。また、耐フロアワックス剤単独として、又は、接着剤等との混合物として塗布してもよい。
ここでいう「耐フロアワックス性」とは、耐フロアワックス剤又は撥水性組成物が添加された木質ボードにおける有機成分に対する浸透抵抗性を意味し、得られた木質ボード(中密度繊維板:MDF)の試験片の厚さ膨張率(%)及び浸透距離(mm)を指標とする。その試験方法は以下の通りである。
得られた木質ボード(中密度繊維板:MDF)を5cm角に切断し試験片とし、重量と外寸から密度を算出した後、試験片の両面にOPPテープ(積水化学製オリエンテープNo.830)を貼付し、フロアワックス(リンレイ製オール)中に切断部から3cmの高さまで浸漬し、5分後に取り出し、高さ1.5cmの位置での両端部の厚さ膨張率、高さ1.5cmの位置での端部から中心部への浸透による膨らみを示す距離を測定し浸透距離とする。
【0008】
前記ワックスにはパラフィンワックスの他に、オレフィンワックスやモンタンワックス、フィッシャートロプッシュワックスなど、撥水性組成物に使用される汎用的なものを使用できる。尚、本発明のワックスに関する「油分10質量%以下」とは、JIS K2235 5.6に規定される測定方法によって測定された油分の数値を意味する。
石油樹脂とは石油類のスチームクラッキングによりエチレン、プロピレンなどを製造するエチレンプラントから副生する分解油留分に含まれるジオレフィンおよびモノオレフィン類を単離せずに重合したもので、大別して次の3種に分けられる。分解油留分のうちC5留分を原料にしたものを脂肪族系またはC5系石油樹脂、C9留分を原料にしたものを芳香族系またはC9系石油樹脂、両者を原料としたものをC5C9共重合石油樹脂若しくはC5留分とC9留分の共重合体、C5重合石油樹脂とC9重合石油樹脂の組合せ若しくはC5留分とC9留分の組合せ、又は前記共重合体と前記組合せの併用とも呼ぶ。
【0009】
C5系石油樹脂の主成分はイソプレン、ピペリレン、2−メチルブテン−1および2などの共重合体で共役ジオレフィンは環化構造を有することが多い。その軟化点は70〜100℃である。C9系石油樹脂の主成分はスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデンの共重合体でその軟化点は80〜150℃である。C5C9共重合石油樹脂は前述C5、C9の共重合物であり、その軟化点は60〜100℃である。C5重合石油樹脂とC9重合石油樹脂の組合せは前述C5、C9の任意な組合せであり、その軟化点は60〜150℃であり、前記共重合体と前記組合せを任意に併用することもできる。
従来より、ワックス及び石油樹脂はともに、防水性を付与するために木質ボードへ添加されてきた。両者を共用することも特許文献1及び2に示唆されている。より具体的には特許文献1の実施例2においてパラフィンワックス:石油樹脂=96重量部:2重量部の配合例が開示されている。同様に、特許文献2の実施例8においてパラフィンワックス:石油樹脂=96重量部:1重量部の配合例が開示されている。
【0010】
これに対し、この発明の第1の局面に記載の発明では、油分10質量%以下のワックスと石油樹脂との配合比を前記耐フロアワックス剤100重量%中に、前者:後者=70〜90重量%:30〜10重量%とし、前記石油樹脂をC5留分とC9留分の共重合体、C5留分とC9留分の組合せ又は前記共重合体と前記組合せの併用であってその全体に対し、前記C5留分を65〜20重量%かつ前記C9留分を35〜80重量%とすることで、フロアワックス剤その他の有機成分に対する耐性の向上を図っている。
前記耐フロアワックス剤において、前記ワックスと前記石油樹脂の合計は100重量%であってもよいが、前記耐フロアワックス剤の耐フロアワックス性を損なわない限り、他の成分、例えば、油分10質量%超のワックス、アスファルト、フッ素樹脂等を20重量%未満の割合で含んでいてもよい。
【0011】
ワックスと石油樹脂とは、相互に溶融可能な場合は、溶融後に当該溶融物を分散質として水(分散媒)に分散させて水性エマルジョンとすることができる。石油樹脂としてC9系を採用した場合にはワックスと溶融させることができないので、この場合はワックスと石油樹脂とをそれぞれエマルジョン化し、その後両者を混合する。勿論、相互に溶融可能なワックスと石油樹脂とを個別にエマルジョン化し、これらを混合してもよい。
本発明の水性エマルジョンを作製する際に使用する界面活性剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性または両性の界面活性剤、水溶性高分子化合物等を用いることができ、これらは単独ないしは数種類を組み合わせて用いることができる。次にそれらの例を示すが、その他の成分はこれに限定されるものではない。
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、脂肪酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、化工デンプン、アラビアガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
本発明における水性エマルジョンは、前記ワックス又は前記石油樹脂に加えて、それらを溶媒に分散又は溶解させるために必要なその他の成分を含有することができる。
【0012】
次に、この発明の第4の局面は次のように規定される。
第1の局面に記載の耐フロアワックス剤を準備するステップと、
該耐フロアワックス剤を木質ボードの素材へ添加するステップと、
該耐フロアワックス剤が添加された前記素材を加熱加圧するステップと、を含む木質ボードの製造方法。
【0013】
更に、この発明の第5の局面は次のように規定される。
前記耐フロアワックス剤の水性エマルジョンを作製するステップが更に含まれ、
前記耐フロアワックス剤を前記素材へ添加するステップでは、前記エマルジョンを前記素材へ塗布し、その後、乾燥する、第4の局面に記載の木質ボードの製造方法。
【0014】
加えて、この発明の第6の局面は次のように規定される。
前記耐フロアワックス剤を前記素材へ添加するステップでは、該耐フロアワックス剤は前記素材へ、0.3〜5重量%、好ましくは0.5〜2重量%で添加される、第4の局面に記載の木質ボードの製造方法。
【0015】
また、この発明の第7の局面は次のように規定される。
第4〜6の局面のいずれか1つの製造方法によって得られた木質ボード。
尚、第4〜6の局面における要件の詳細について、前記第1及び2の局面と重複する部分においては同様である。
【0016】
更に、この発明の第8の局面は次のように規定される。
木質ボードの素材に第1の局面に記載の耐フロアワックス剤が添加された木質ボードであって、
該木質ボードを5cm角に切断し試験片とし、重量と外寸から密度を算出した後、前記試験片の両面にOPPテープ(積水化学製オリエンテープNo.830)を貼付し、フロアワックス(リンレイ製オール)中に切断部から3cmの高さまで浸漬し、5分後に取り出し、高さ1.5cmの位置での両端部の厚さ膨張率(%)を算出し、高さ1.5cmの位置での端部から中心部への浸透による膨らみを示す距離を測定し浸透距離(mm)としたとき、4.4以下の厚さ膨張率(%)及び0.9以下の前記浸透距離(mm)を有する、木質ボード。
本発明の木質ボードは、市販の撥水剤(セロゾールR−170、中京油脂株式会社製)が添加された木質ボードと比較すると、厚さ膨張率(%)は2/3以下、浸透距離(mm)は1/2以下となり、優れた耐フロアワックス効果を示す。
以下、第1〜8の局面に記載の発明の効果を確認する実施例、参考例及び比較例の説明を行う。
【0017】
なお、この明細書において、特に断りの無い限り、「部」は重量部を指し、「%」は重量%を指す。
(参考例1)
<撥水性組成物の調製>
融点56℃の油分2.0質量%のパラフィンワックス90部と軟化点98℃のC5系石油樹脂10部を加熱し溶融して耐フロアワックス剤を得た。界面活性剤として、スチレン−無水マレイン酸共重合体のカリウム塩7.2部と部分けん化PVA0.8部、水162部を混合し90℃に加熱した溶液中に、前記耐フロアワックス剤(ワックス/樹脂溶融物)を撹拌しながら添加し乳化した。ホモジナイザーにて微細化した後冷却し、1.5μmの40%品エマルジョン(参考例1の撥水性組成物)を得た。
【0018】
<MDFの作製>
木質ボードとしてMDFを調製する例を示す。
含水率5%に乾燥した木質ファイバーに対して、上記で得た撥水性組成物を固形分(耐フロアワックス剤)比で0.7%、ポリメリックMDI(東ソー製ミリオネートMR−200)を固形分比で7%となるように、ブレンダーにて撹拌しながらそれぞれスプレー塗布した。さらに気流下での撹拌乾燥を行い含水率15%の木質ファイバー混合物を得た。
<熱プレス成形>
予め、ステンレス製成形板の表面に離型剤(中京油脂製リケイ剤R−599)を塗布したステンレス製成形板の上に40cm角の木枠を置き、木枠内に上記で得た木質ファイバー混合物を均一に乗せフォーミングした。木枠を取り除いた後、この成形板に離型剤を処理したもう一枚のステンレス製成形板を載せ、プレス温度180℃のホットプレス装置により、25kgf/cm
2にて、厚さ3mmとなるように1分間熱圧して成形した。成形後、サンダーにて表面より0.2mmを研磨し、MDFを得た。
【0019】
(参考例2〜3)
参考例2の撥水性組成物は、参考例1において、耐フロアワックス剤としてパラフィンワックスを80部としてC5系石油樹脂20部としたものである。
参考例3の撥水性組成物は、参考例1において、耐フロアワックス剤としてパラフィンワックスを70部としてC5系石油樹脂30部としたものである。
【0020】
(比較例1〜3)
比較例1の撥水性組成物は、参考例1において、耐フロアワックス剤としてパラフィンワックスを100部としてC5系石油樹脂を用いないものである。
比較例2の撥水性組成物は、参考例1において、耐フロアワックス剤としてパラフィンワックスを95部としてC5系石油樹脂5部としたものである。
比較例3の撥水性組成物は、参考例1において、耐フロアワックス剤としてパラフィンワックスを60部としてC5系石油樹脂40部としたものである。
(比較例4)
比較例4の撥水性組成物は、参考例1において、出願人である中京油脂株式会社が販売する商品名(セロゾールR−170)を耐フロアワックス剤として用いたものである。
【0021】
<耐フロアワックス性の評価>
各参考例及び比較例で得られたMDFを5cm角に切断し試験片とした。重量と外寸から密度を算出した後、試験片の両面にOPPテープ(積水化学製オリエンテープNo.830)を貼付し、フロアワックス(リンレイ製オール)中に切断部から3cmの高さまで浸漬した。5分後に取り出し、高さ1.5cmの位置での両端部の厚さ膨張率(%)を算出し、高さ1.5cmの位置での端部から中心部への浸透による膨らみを示す距離を測定し浸透距離とした。得られた結果を表1に示す。
【表1】
【0022】
表1の結果から、参考例の撥水性組成物を添加させた木質ボードは耐フロアワックス性に優れ、出願人である中京油脂株式会社が販売中の撥水剤よりその特性が優れている。
また、比較例2及び比較例3の結果より、ワックスと石油樹脂との配合比は前者:後者=90〜70重量%:10〜30重量%が好ましいことがわかる。
更に好ましくは、前者:後者=84〜76重量%:16〜24重量%である。
【0023】
(参考例4及び実施例1〜3)
参考例4の撥水性組成物は、参考例2において、耐フロアワックス剤に含まれる石油樹脂としてC5C9系石油樹脂(C5比率70%、軟化点72℃)を用いたものである。
実施例1の撥水性組成物は、参考例2において、耐フロアワックス剤に含まれる石油樹脂としてC5C9系石油樹脂(C5比率60%、軟化点96℃)を用いたものである。
実施例2の撥水性組成物は、参考例2において、耐フロアワックス剤に含まれる石油樹脂としてC5C9系石油樹脂(C5比率50%、軟化点70℃)を用いたものである。
実施例3の撥水性組成物は、参考例2において、耐フロアワックス剤に含まれる石油樹脂としてC5C9系石油樹脂(C5比率30%、軟化点95℃)を用いたものである。
【0024】
(実施例4)
実施例4の撥水性組成物は、参考例2において、耐フロアワックス剤に含まれる石油樹脂(C5留分とC9留分の組合せ)として軟化点98℃のC5系石油樹脂6部、及び軟化点94℃のC9系石油樹脂14部を用いたものであり、1.4μmの40%品エマルジョンを得た以外は、参考例2と同様である。
これら参考例2、4及び実施例1〜4の撥水性組成物についても参考例1〜3と同様にして耐フロアワックス性を試験した。結果を表2に示す。
【表2】
表2の結果より、石油樹脂としてC5C9系の共重合体樹脂又はC5C9系の混合物を用いると、耐フロアワックス性が更に向上することがわかる。C5C9系石油樹脂の中でもC5比率を比較的小さくすることが好ましく、その見地からC5比率は65〜20%とする。更に好ましくは、C5比率を34〜26%とする。
【0025】
以下、C9系石油樹脂について検討する。C9系石油樹脂はワックスと溶融しないので、参考例5では次のようにして撥水性組成物を調製した。
<参考例5の撥水性組成物の調製方法>
融点56℃の油分2.0質量%のパラフィンワックス100部を加熱し溶融した。ステアリン酸カリウム塩5.0部と部分けん化PVA0.6部、水162部を混合し90℃に加熱した溶液中に、ワックス溶融物を撹拌しながら添加し乳化した。ホモジナイザーにて微細化した後冷却し、耐フロアワックス剤を含む1.5μmの40%品エマルジョンを得た。軟化点94℃のC9系石油樹脂100部をトルエン100部に溶解した。スチレン−無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩12部、水45部の水溶液中に、樹脂溶液を撹拌しながら添加し乳化した。ホモジナイザーにて微細化した後、水123部を加え、減圧にてトルエンを除去し、1.0μmの40%品エマルジョンを得た。得られたワックスエマルジョンと樹脂エマルジョンを、ワックス/樹脂比率が80/20となる様に混合し、参考例5の撥水性組成物とした。
【0026】
(参考例6及び実施例5〜7)
参考例6の撥水性組成物は、参考例5において、耐フロアワックス剤に含まれる石油樹脂としてC5C9系石油樹脂(C5比率70%)を用いたものである。
実施例5の撥水性組成物は、参考例5において、耐フロアワックス剤に含まれる石油樹脂としてC5C9系石油樹脂(C5比率60%)を用いたものである。
実施例6の撥水性組成物は、参考例5において、耐フロアワックス剤に含まれる石油樹脂としてC5C9系石油樹脂(C5比率50%)を用いたものである。
実施例7の撥水性組成物は、参考例5において、耐フロアワックス剤に含まれる石油樹脂としてC5C9系石油樹脂(C5比率30%)を用いたものである。
【0027】
(比較例5〜6)
比較例5の撥水性組成物は、参考例2において耐フロアワックス剤に含まれる石油樹脂を、軟化点84℃のロジン変性グリセリンエステルに代えたものである。
比較例6の撥水性組成物は、参考例5において石油樹脂をガラス転移点48℃のメタクリル酸イソブチル樹脂に代えたものである。
これら参考例5、6及び実施例5〜7の撥水性組成物、及び比較例5〜6についても参考例1〜3と同様にして耐フロアワックス性を試験した。結果を表3に示す。
【表3】
表3の結果より、C9系石油樹脂もワックスと所定割合で共用されることで優れた耐フロアワックス性を発揮する。
また、撥水性組成物を構成するワックス成分と石油樹脂成分とは、それらを溶融可能であれば、溶融後にエマルジョン化してもまたそれぞれ独立してエマルジョン化しても、同等の耐フロアワックス性能を有することがわかる。
【0028】
(比較例7)
比較例7の撥水性組成物は、実施例3における融点56℃の油分2.0質量%のパラフィンワックスに代えて、融点51℃の油分20.8質量%のパラフィンワックスを用いたものである。それ以外は、実施例3と同様に、撥水性組成物の調製、MDFの作製及び熱プレス成形を行い、得られたMDFについて耐フロアワックス性を試験した。結果を表4に示す。
【表4】
表4の結果より、油分10質量%以下のワックスを使用することで優れた耐フロアワックス性を発揮する。
【0029】
この発明は、上記発明の実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
上記の例では、本発明の耐フロアワックス剤を含むこの撥水性組成物はもっぱら木質ボードに用いられたが、その他にも、紙、繊維、セメント、土壌改良材等の素材に適用可能である。
撥水性組成物を構成するワックス、石油樹脂及び界面活性剤の選択、更には木質ボード等適用される素材に対する添加量は、適用される素材の用途等に応じて任意に選択される。