特許第6182747号(P6182747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182747
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】電気電子機器収納用キャビネット
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20170814BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20170814BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H05K7/20 U
   G06F1/16 312L
   G06F1/16 312N
   G06F1/20 B
   G06F1/20 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-230961(P2013-230961)
(22)【出願日】2013年11月7日
(65)【公開番号】特開2015-90950(P2015-90950A)
(43)【公開日】2015年5月11日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】森田 吉範
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−161547(JP,U)
【文献】 実開平3−63979(JP,U)
【文献】 特開2009−79890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
G06F 1/16
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気電子機器が機器取付マウントレールに取り付けて実装される電気電子機器収納用キャビネットであって、
機器を載置する棚板を、該機器取付マウントレールに取り付けて備え、
筐体内で該棚板の上方に形成される搭載空間の背面および両側面に、空調用エアの流れを遮蔽する通風遮蔽部材を着脱自在に設けた
ことを特徴とする電気電子機器収納用キャビネット。
【請求項2】
前記棚板の上方に形成される搭載空間の上方に、
天井板を該機器取付マウントレールに取り付けて配置した
ことを特徴とする請求項1記載の電気電子機器収納用キャビネット。
【請求項3】
前記通風遮蔽部材が、
該通風遮蔽部材の上下方向長さを調節自在とする高さ調節機構を備える
ことを特徴とする請求項1記載の電気電子機器収納用キャビネット。
【請求項4】
前記通風遮蔽部材が、
棚板または天井板の一方または双方に着脱自在に固定されている
ことを特徴とする請求項2記載の電気電子機器収納用キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データセンター等のサーバールームに設置するに適した電気電子機器収納用キャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
データセンター等のサーバールームには、電気電子機器収納用キャビネットが複数列連結配置されており、各キャビネットの内部の機器取付マウントレールに単位サイズの電気電子機器が実装されている。
そしてこれらのキャビネットの内部の温度を最適範囲に維持するために、キャビネットの筺体の前面から空調用エア(冷気)を吸引し、背面から排気する構造が一般的である。
【0003】
このようなサーバールームでは、各キャビネットに空調用エアを効率的に供給することができるように、キャビネットの前面側同士を向かい合わせて配置し、キャビネット前面間の通路の天井及びその端部を閉塞部材で覆って閉塞空間を形成し、通路床下から通路内に空調用エアを導き、キャビネット内で加熱された空気を、背面側より排出する構造が採用されている(特許文献1)。
【0004】
ところが、機器取付マウントレールの全長に亘って単位サイズの電気電子機器が実装されているとは限らず、例えば、機器取付マウントレールに取り付けることができないモニタやキーボード等(以下、マウント非対応機器という)を載置するための棚板が設置されている場合がある。キャビネット中で、棚板が設置され、マウント非対応機器が搭載される部分(以下、搭載空間という)ではキャビネットの前面から吸引された空調用エアが、熱交換されることなく、そのまま背面側に逃げてしまい、遮蔽空間内の圧力が低下して空調効率の低下を招くこととなる。
【0005】
従来から、搭載空間には、筺体の前面側にブランクパネルを取り付けて空調用エアの流失を防止する手法が広く採用されているが、棚板に載置されたモニタの確認やキーボードの操作を行う度に、ブランクパネルの脱着を行わねばならず、これらの作業が煩雑であるという問題があった。
【0006】
また、筺体の前面側にロールスクリーンを設置して、必要に応じてロールスクリーンを引き出して空調用エアの流失を防止する手法も開示されているが(特許文献2)、機器取付マウントレールの一部にのみ設置される棚板に対して、ロールスクリーンは大掛かりな装置となりコストが嵩むという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−184070号公報
【特許文献2】特開2011−129748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した従来の問題点を解決し、マウント非対応機器を載置するための棚板が設置されている場合に、棚板の設置空間からの空調用エアの流失を、低コストかつ簡便に防止することができ、棚板に載置されたマウント非対応機器にも、ブランクパネルの除去やロールスクリーンの引き上げといった特別な動作を要することなく、即座にアクセスすることができる電気電子機器収納用キャビネットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の電気電子機器収納用キャビネットは、電気電子機器が機器取付マウントレールに取り付けて実装される電気電子機器収納用キャビネットであって、機器を載置する棚板を、該機器取付マウントレールに取り付けて備え、
筐体内で該棚板の上方に形成される搭載空間の背面および両側面に、空調用エアの流れを遮蔽する通風遮蔽部材を着脱自在に設けたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電気電子機器収納用キャビネットにおいて、前記棚板の上方に形成される搭載空間の上方に、天井板を該機器取付マウントレールに取り付けて配置したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の電気電子機器収納用キャビネットにおいて前記通風遮蔽部材が、該通風遮蔽部材の上下方向長さを調節自在とする高さ調節機構を備えることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の電気電子機器収納用キャビネットにおいて、前記通風遮蔽部材が、棚板または天井板の一方または双方に着脱自在に固定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電気電子機器収納用キャビネットでは、機器取付マウントレールに取り付け不能な機器を載置する棚板を、該機器取付マウントレールに取り付けて備え、筐体内で該棚板の上方に形成される搭載空間の背面および両側面に、空調用エアの流れを遮蔽する通風遮蔽部材を着脱自在に設けているため、棚板の設置空間からの空調用エアの流失を回避し、冷却効率を向上させることができる。
【0014】
また、棚板の前面は、常時開口させているため、棚板に載置されたモニタの確認やキーボードの操作が必要な際は、従来のように、ブランクパネルの取り外しや、ロールスクリーンの引き上げといった作業を行うことなく、即座に前記機器にアクセスすることができる。さらに、通風遮蔽部材を棚板または天井板に着脱自在に固定したため、機器取付マウントレールに電気電子機器を実装した既存のキャビネットであっても、通風遮蔽部材を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電気電子機器収納用キャビネットが複数列連結配置された状態を示す斜視図である。
図2】電気電子機器収納用キャビネットの筐体の内部全体に電気電子機器が実装された状態を示す斜視図である。
図3】本実施形態の電気電子機器収納用キャビネットの筐体内部構造を示す斜視図である。
図4】本実施形態の要部説明図である。
図5】棚板の説明図である。
図6】天井板の説明図である。
図7】天井板の取り付け構造説明図である。
図8】通風遮蔽部材の取り付け構造説明図である。
図9】他の実施形態における通風遮蔽部材の説明図である。
図10】他の実施形態における通風遮蔽部材の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1は、データセンター等のサーバールームに、電気電子機器収納用キャビネット1が複数列連結配置された状態を示す斜視図であり、ここでは図面を簡素化するために、3×2列の配置が図示されている。
2列の電気電子機器収納用キャビネット1は前面2を向かい合わせにして配置され、それらの間に通路3が形成されている。通路3の床面は格子形状等の通気性の部材によって構成されており、床下から通路3内に冷気が上向きに供給されている。冷気は各電気電子機器収納用キャビネット1の筐体の前面2に形成された通気孔からその内部に吸引され、内部機器を冷却したうえで筐体の背面4に形成された通気孔から排出される。また従来と同様に、キャビネット前面側の間の通路の天井及びその端部を閉塞部材(図示せず)で覆って閉塞空間を形成し、冷却効率を向上させる構造が採用されている。
【0017】
奥側列の右端の電気電子機器収納用キャビネット1Aと左端の電気電子機器収納用キャビネット1Cは、図2に示すように、筐体の内部全体に機器取付マウントレール8の全長に亘って電気電子機器が実装されているが、中央の電気電子機器収納用キャビネット1Bは、図3に示すように、筐体の中央部分に棚板5が設置され、棚板5の上方に形成される搭載空間6の内、背面および両側面に、空調用エアの流れを遮蔽する通風遮蔽部材7が設けられている。棚板5には、機器取付マウントレール8に直接取り付けることができないマウント非対応機器(モニタやキーボード等)が載置される。
【0018】
本実施形態では、図4に示すように、棚板5の上方に形成される搭載空間6の上方に天井板9を機器取付マウントレール8に取り付けて配置している。棚板5の左右端部および背面側端部に通風遮蔽部材7を着脱自在に固定する構造によって、棚板5の上方に形成されるマウント非対応機器の搭載空間6からキャビネットの側面側あるいは背面側への空調用エアの流失を回避し、冷却効率の向上を図っている。
棚板5と天井板9とは物理的に分離されていて、後述する別個の棚板支持具10、天井板支持具11でそれぞれ機器取付マウントレール8に取り付けられている。これにより、棚板5に搭載するマウント非対応機器の高さに対応させて搭載空間6を任意の高さに調節することができる。この場合後述するように、通風遮蔽部材7も上下高さを調節可能として搭載空間6対応可能とする。また、通風遮蔽部材を棚板または天井板の一方または双方に着脱自在に固定したため、機器取付マウントレール8に電気電子機器を実装した既存のキャビネットであっても、通風遮蔽部材を取り付けることができる。なお、棚板5は機器取付マウントレール8に直接取り付けられているものであってもよい。
また、マウント非対応機器の搭載空間6の前面は、常時開口させているため、棚板に載置されたモニタの確認やキーボードの操作が必要な際は、従来のように、ブランクパネルの取り外しや、ロールスクリーンの引き上げといった作業を行うことなく、即座に前記機器にアクセスすることができる。
【0019】
棚板5は、図5に示す棚板支持具10を介して機器取付マウントレール8に取り付けられている。棚板支持具10は、コ字状の棚板5の下面のうち左右側端部を着脱自在に支持している。なお、棚板支持具10をスライド自在なレール構造とし、棚板5をキャビネットの前面方向に引出自在に支持した場合には、通風遮蔽部材7は棚板支持具10に固定してもよい。
【0020】
天井板9は、図3に示すように、天井板支持具11を介して機器取付マウントレール8に取り付けられている。天井板9は、図6図7に示すように、天井板支持具11と取付板14とで挟み込むように固定している。なお、天井板9は機器取付マウントレール8に直接取り付けられているものであってもよい。
また天井板9は必須の構成ではなく、棚板5の上方に機器取付マウントレール8に取り付けられた電気電子機器が実装されている場合には、前記電気電子機器の下面と棚板5との間を搭載空間とその間に通風遮蔽部材7を配置し、天井板9を省略してもよい。
【0021】
通風遮蔽部材7は、図8に示すように、断面L字形状の板材から構成され、短辺部分12が棚板5の上面に固定され、長辺部分13の上端側面が天井板支持具11に固定されている。固定手段は特に限定されず、ねじ止めや、面ファスナ等、任意の手段を採用することができるが、棚板5または天井板9の一方または双方に着脱自在に固定されている。
通風遮蔽部材7の材質も特に限定されないが、透明部材を用いることにより、筐体の背面側から、棚板5に載置したモニタ等の表示を確認を行うことができる。
【0022】
通風遮蔽部材7は、図9に示すように、上下に2分割して棚板5に搭載するマウント非対応機器の高さに対応する構成することもできる。通風遮蔽部材7の上下方向長さを調節自在とする高さ調節機構として、図9に示すように、一方には上下方向に渡る複数の長孔15を形成し、他方には丸穴を形成することもできる。当該構造によれば、分割した各部材を上下方向にスライドさせて、棚板−天井板間の間隔調整を行うことができる。通風遮蔽部材7がシート状の部材であれば上下に2分割して、中間部分をジッパーで接続することもできる。
【0023】
通風遮蔽部材7は、図10に示すように、前後に2分割して構成することもできる。通風遮蔽部材7の前後方向長さを調節自在とする前後幅調節機構として、図10に示すように、一方には前後方向に渡る複数の長孔16を形成し、他方には丸穴を形成することもできる。
当該構造によれば、分割した各部材を前後にスライドさせて、各種棚板5の奥行長さに合わせることができる。棚板自在にも、同様に前後幅調節機構を備えることもできる。なお、棚板5の奥行長さは、電気電子機器の奥行長さと合わせることが好ましい。
【0024】
その他、通風遮蔽部材7として、可撓性の透明ビニルシートや伸縮自在な蛇腹部材を用い、天井板9に固定して垂下させ、余分な部分は下部を巻き取って保持する構造とすることもできる。また、通風遮蔽部材7として、一枚の可撓性の透明ビニルシートや伸縮自在な蛇腹部材を用い、筐体内で該棚板の上方に形成される搭載空間の右側面、背面、左側面に亘って、カーテン状に覆う構造とすることもできる。
【符号の説明】
【0025】
1 電気電子機器収納用キャビネット
2 前面
3 通路
4 背面
5 棚板
6 搭載空間
7 通風遮蔽部材
8 機器取付マウントレール
9 天井板
10 棚板支持具
11 天井板支持具
12 短辺部分
13 長辺部分
14 取付板
15 長孔
16 長孔
17 レール溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10