特許第6182754号(P6182754)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タニタの特許一覧

特許6182754計測装置、充電装置、及び重量計測システム
<>
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000002
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000003
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000004
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000005
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000006
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000007
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000008
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000009
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000010
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000011
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000012
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000013
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000014
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000015
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000016
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000017
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000018
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000019
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000020
  • 特許6182754-計測装置、充電装置、及び重量計測システム 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182754
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】計測装置、充電装置、及び重量計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/01 20060101AFI20170814BHJP
   G01G 23/00 20060101ALI20170814BHJP
   G01G 23/48 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   G01G23/01 Z
   G01G23/00 E
   G01G23/48
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-172447(P2013-172447)
(22)【出願日】2013年8月22日
(65)【公開番号】特開2015-40787(P2015-40787A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(72)【発明者】
【氏名】中村 英治
(72)【発明者】
【氏名】諸冨 真由美
(72)【発明者】
【氏名】本多 泰介
【審査官】 鈴木 斉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−177561(JP,A)
【文献】 特開昭63−210731(JP,A)
【文献】 特開平05−248931(JP,A)
【文献】 実開昭57−160640(JP,U)
【文献】 特開平10−300563(JP,A)
【文献】 米国特許第7870776(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 23/01 − 23/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電装置によって充電される二次電池を電源の一つとする計測装置であって、
前記充電装置から供給された電力で前記二次電池を充電する充電回路と、
被測定物が載置される載置部と、
前記載置部に載置された前記被測定物の重量を検出する重量検出部と、
前記重量検出部を校正するための基準器重量値を記憶する基準器重量値記憶部と、
前記計測装置が前記充電装置と接続して、前記充電回路が前記二次電池を充電する際、前記重量検出部により検出された前記被測定物としての基準分銅の検出値が前記基準器重量値を含む所定範囲内にある場合に、前記重量検出部により検出される前記被測定物の検出値を補正するための補正データを生成する補正データ生成部と、
前記補正データを記憶する補正データ記憶部と、
を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記充電装置は、温度及び湿度のうち少なくとも何れか一方を検出する第1のセンサと、前記充電の際に前記第1のセンサの出力値を当該計測装置に送信するセンサ値送信部と、を備え、
当該計測装置は、
前記第1のセンサの検出対象と同様の検出対象を検出する第2のセンサと、
前記センサ値送信部によって送信された前記第1のセンサの出力値を受信するセンサ値受信部とを備え、
前記補正データ生成部は、前記補正データを生成すると共に、前記第1のセンサの出力値と、前記第2のセンサの出力値とに基づいて前記第2のセンサの校正を行い、前記第2のセンサの出力値を補正するセンサ値補正データを生成し、
前記補正データ記憶部は、前記補正データを記憶すると共に、前記センサ値補正データを記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記充電装置による当該計測装置の認証処理に供する認証データを、当該計測装置に固有の識別子に基づいて生成して送信する認証データ送信部を含む、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記充電装置は、前記二次電池へ電力を供給するための給電回路と、前記給電回路に電気的に接続された一対の給電電極と、前記給電電極に係るダミー給電電極と、を備え、
当該計測装置は、
前記充電の際に前記給電電極と接触するように設けられた一対の受電電極と、
前記充電の際に前記ダミー給電電極と接触するように設けられたダミー受電電極と、
前記受電電極と前記二次電池とを電気的に接続する充電回路と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項5】
二次電池を電源の一つとし、前記二次電池を充電する充電回路を備える計測装置と、前記二次電池に電力を供給して前記二次電池を充電する充電装置と、を備える重量計測システムであって、
前記計測装置は、
被測定物が載置される載置部と、
前記載置部に載置された前記被測定物の重量を検出する重量検出部と、
前記重量検出部を校正するための基準器重量値を記憶する基準器重量値記憶部と、
前記計測装置が前記充電装置と接続して、前記充電回路が前記二次電池を充電する際、前記重量検出部により検出された前記被測定物としての基準分銅の検出値が前記基準器重量値を含む所定範囲内にある場合に、前記重量検出部により検出される前記被測定物の検出値を補正するための補正データを生成する補正データ生成部と、
前記補正データを記憶する補正データ記憶部と、を備え、
前記充電装置は、
前記充電を行う際に前記載置部に対して前記基準器重量値に相当する荷重を加える荷重部と、
前記二次電池に電力を供給するための給電回路と、を備える
ことを特徴とする重量計測システム。
【請求項6】
前記計測装置は、
前記充電装置による当該計測装置の認証処理に供する認証データを、当該計測装置に固有の識別子に基づいて生成して送信する認証データ送信部を含み、
前記充電装置は、
前記計測装置によって送信された前記認証データを受信する認証データ受信部と、
前記認証データが適正な認証データであるか否かを判定する認証判定部と、
前記認証判定部によって前記認証データが適正な認証データであると判定された場合、前記給電回路に前記二次電池への電力の供給を開始させる制御部と、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の重量計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置、充電装置、及び、重量計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被測定物の重量を測定する計測装置が種々提案されている。一般的な計測装置は、被測定物の重量を検出する重量検出部として、加えられた荷重に応じた電気信号を出力する荷重センサを備えており、この荷重センサの出力値に基づいて被測定物の重量を算出する。
荷重センサには、使用環境や使用度数の増加等に起因して経時変化が生じる。このような荷重センサの経時変化を考慮に入れて計測を行わなければ、計測精度が低下し得る。また、計測装置において計測される重量は、起歪体に付加される力を計測することによって特定される。そして、起歪体に付加される力は、対象物の重量と重力加速度の積によって与えられる。一方、重力加速度は地域ごとに変化する。このため、計測場所を移動する場合には重力加速度の変化についても考慮に入れて計測を行わなければ、計測精度が低下し得る。従って、計測装置の計測精度を良好に保つ為には、適宜、当該計測装置の校正を行う必要がある。
【0003】
なお、本明細書において、校正(calibration)の意味内容は、JIS Z 8103-2000『計測用語』に定義されているように、「計器又は測定系の示す値、若しくは実量器又は標準物質の表す値と、標準によって実現される値との間の関係を確定する一連の作業。校正には、計器を調整して誤差を修正することは含まない。」である。具体的な校正作業としては、例えば、重量が既知の基準器である基準分銅を計測装置の載置部上に載置し、この基準分銅の既知の重量値と、重量検出部の出力値との差分を算出して補正データとする。この補正データは、以降の重量測定において、重量検出部による検出値を補正するために用いられる。
計測装置の校正に係る技術として、例えば特許文献1には、当該計測装置の使用状況を検出し、その使用状況に応じて校正時刻を設定し、その校正時刻に自動的に当該計測装置の校正を実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−331427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、校正は計測精度を向上させる観点から必要であるが、校正作業中は重量を計測することができない。上述した従来の技術では、計測装置の使用状況を把握することにより、重量を計測する蓋然性が低い期間で校正を実行するように校正時刻を自動設定することできる。
しかしながら、自動設定された校正時刻は、過去の使用状況を踏まえて推定したものに過ぎず、ユーザが必ず自動設定された校正時刻において計測装置を使用しないとは限らない。仮に、自動設定された校正時刻において、ユーザが計測装置を使用する場合には、自動校正がなされないので、精度の悪い計測を実行するか、使用に先立って手動で校正する必要があった。
本発明は、前記の事情に鑑みて為されたものであり、電源として二次電池を用いる計測装置において、重量を計測しない時間において、校正を実行することにより、ユーザの利便性を向上することを解決課題のひとつとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様による計測装置は、充電装置によって充電される二次電池を電源の一つとする計測装置であって、前記充電装置から供給された電力で前記二次電池を充電する充電回路と、被測定物が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記被測定物の重量を検出する重量検出部と、前記重量検出部を校正するための基準器重量値を記憶する基準器重量値記憶部と、前記充電回路が前記二次電池の充電を開始した後、所定の条件を充足すると、前記基準器重量値と、前記重量検出部による検出値とに基づいて前記校正を行い、前記重量検出部による検出値を補正する補正データを生成する補正データ生成部と、前記補正データを記憶する補正データ記憶部と、を備えることを特徴とする。
本発明の第1の態様による計測装置によれば、二次電池を電源とする計測装置にとっては必須の作業である充電の際に、当該計測装置の校正も行われる。従って、充電及び校正について、それぞれ別個に必要性を判断して作業を行わなければならない従来の計測装置に比べて、ユーザの負担が大きく軽減される。また、計測装置の充電時に校正が自動的に行われるため、校正のし忘れや校正頻度の極端な減少を防止することができる。
ところで、ポータブル式の計測装置を使用する場合は、計測前に当該計測場所で校正を実行することが好ましい。従って、ポータブル式の計測装置は、据え置き式の計測装置と比較して校正が必要になる頻度が高い。また、充電式の計測装置は、使用環境などによって二次電池の放電特性が異なるため、使用希望時に使用可能とするためには、或る程度こまめに充電を行う必要がある。上述のような事情から、ユーザにとって計測装置の充電及び校正は常に気に掛けていなければならない事項であり、且つ、それらの作業自体もユーザにとって面倒な作業である。本発明の第1の態様による計測装置によれば、充電と校正とが同時に行われるため、上述したユーザの負担が大きく軽減される。
なお、所定の条件は、校正が可能であることが好ましい。例えば、利用者が基準器を載置部に載置するのに必要な所定時間が充電開始から経過したことを所定の条件としてもよいし、何らかの方法によって基準器が載置部に載置されたことを検知したことを所定の条件としてもよい。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第2の態様による計測装置は、前記補正データ生成部は、前記重量検出部による検出値が前記基準器重量値を含む所定範囲内にあることを前記所定の条件とすることを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る計測装置によれば、ユーザのミスなどによって載置部上に基準器が載置し忘れられた状態や基準器以外の物体が載置された状態で、校正が実行されてしまうことを防ぐことができる。つまり、校正の正確さが担保される。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第3の態様による計測装置は、前記充電装置は、温度及び湿度のうち少なくとも何れか一方を検出する第1のセンサと、前記充電の際に前記第1のセンサの出力値を当該計測装置に送信するセンサ値送信部と、を備え、当該計測装置は、前記第1のセンサの検出対象と同様の検出対象を検出する第2のセンサと、前記センサ値送信部によって送信された前記第1のセンサの出力値を受信するセンサ値受信部と、前記補正データ生成部は、前記補正データを生成すると共に、前記第1のセンサの出力値と、前記第2のセンサの出力値とに基づいて前記第2のセンサの校正を行い、前記第2のセンサの出力値を補正するセンサ値補正データを生成し、前記補正データ記憶部は、前記補正データを記憶すると共に、前記センサ値補正データを記憶することを特徴とする。
本発明の第3の態様による計測装置によれば、充電装置による計測装置の充電の際に、当該計測装置が備える温度センサ及び湿度センサの少なくとも一方のセンサ自体の校正も自動的に行われる。従って、温度及び湿度の少なくとも一方に基づいて重量検出部の校正を行う計測装置に、本発明の第2の態様を適用することで、計測精度をさらに向上させることができる。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第4の態様による計測装置は、第1乃至第3の態様による計測装置であって、前記充電装置による当該計測装置の認証処理に供する認証データを、当該計測装置に固有の識別子に基づいて生成して送信する認証データ送信部を含むことを特徴とする。
本発明の第4の態様による計測装置によれば、充電装置による当該計測装置の認証処理に用いられる認証データが、当該計測装置によって生成されて充電装置に送信される。これにより、充電装置による計測装置の認証処理が可能となる。従って、第4の態様による計測装置に係る模倣品の峻別が容易になる。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第5の態様による計測装置は、第1乃至第4の態様のうちいずれか一態様による計測装置であって次の構成を採る。まず、前記充電装置は、前記二次電池へ電力を供給するための給電回路と、前記給電回路に電気的に接続された一対の給電電極と、前記給電電極に係るダミー給電電極と、を備え、当該計測装置は、前記充電の際に前記給電電極と接触するように設けられた一対の受電電極と、前記充電の際に前記ダミー給電電極と接触するように設けられた一つ以上のダミー受電電極と、前記受電電極と前記二次電池とを電気的に接続する充電回路と、を備える。
本発明の第5の態様による計測装置によれば、ダミー受電電極の存在によって、外観上は受電電極が多数設けられているように視認され、且つ、現実にどの電極が受電電極として機能しているのかを製造者以外は知ることができない。従って、当該計測装置に係る模倣品の製造が困難になる。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第6の態様による計測装置は、第1の態様による計測装置であって、次の構成を採る。まず、前記充電装置は、当該計測装置の認証処理に用いる認証データを暗号鍵で暗号化した暗号化認証データを生成して当該計測装置に送信し、当該計測装置によって復号化された前記暗号化認証データである復号化認証データを受信し、前記復号化認証データと前記認証データとが一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合に前記二次電池の充電を開始させる認証部を備える。当該計測装置は、前記暗号化認証データを受信する暗号化データ受信部と、前記暗号化認証データを、前記暗号鍵に対応する復号鍵で復号して前記復号化認証データを生成する復号処理部と、前記復号化認証データを前記充電装置に送信する復号化データ送信部と、を含むことを特徴とする。
本発明の第6の態様による計測装置によれば、充電装置による当該計測装置の認証処理が可能となる。従って、第6の態様による計測装置に係る模倣品の峻別が容易になる。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第7の態様による計測装置は、第1の態様による計測装置であって、前記充電装置は、前記二次電池へ電力を供給するための給電回路と、前記充電の際の前記計測装置との電気的接点である3個以上の給電電極と、前記充電の際に前記3個以上の給電電極から2個の給電電極を選択して前記給電回路に電気的に接続させる第1の選択回路と、を備え、当該計測装置は、前記3個以上の給電電極の各々に接触するように設けられた3個以上の受電電極と、前記充電装置から供給された電力によって前記二次電池を充電する充電回路と、前記3個以上の受電電極の中から2個の受電電極を選択して前記充電回路に電気的に接続させる第2の選択回路と、を備えることを特徴とする。
本発明の第7の態様による計測装置によれば、受電電極が3個以上設けられているため、それら受電電極のうち何れの電極が現実に機能しているのかを製造者以外は知ることができない。また、たとえ計測装置が分解されたとしても、回路構成上は全ての受電電極が実際の充電に用いられ得る構成であることしか分からない。従って、当該計測装置の模倣品の製造が困難になる。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第8の態様による充電装置は、被測定物が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記被測定物の重量を検出する重量検出部と、前記重量検出部を校正するための基準器重量値を記憶する基準器重量値記憶部と、を備える計測装置の電源である二次電池を充電する充電装置であって、前記二次電池に電力を供給するための給電回路と、前記給電回路によって前記二次電池に電力が供給されている期間中、前記載置部に対して前記基準器重量値に相当する荷重を加え続ける荷重部と、を備えることを特徴とする。
本発明の第8の態様による充電装置によれば、二次電池を電源とする計測装置にとっては必須の作業である充電の際に当該計測装置の校正も行われる計測装置を充電することができる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第9の態様による充電装置は、第8の態様による充電装置であって、温度及び湿度のうち少なくとも一方を検出するセンサと、前記充電の際に前記センサの出力値を、前記計測装置に送信するセンサ出力値送信部と、を備えることを特徴とする。
本発明の第9の態様による充電装置によれば、充電装置による計測装置の充電の際に、計測装置が備える温度センサ及び湿度センサの少なくとも一方の校正に用いられるデータが当該充電装置から計測装置に送信される。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第10の態様による充電装置は、前記計測装置に固有の識別子に基づいて生成された認証データを受信する認証データ受信部と、前記認証データが適正な認証データであるか否かを判定する認証判定部と、前記認証判定部によって前記認証データが適正な認証データであると判定された場合、前記給電回路に前記二次電池への電力の供給を開始させる制御部と、を含むことを特徴とする。
本発明の第10の態様による充電装置によれば、認証処理が成功した真正品の計測装置のみが充電される。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第11の態様による充電装置は、第8乃至第10の態様のうち何れか一態様による充電装置であって、次のような構成を採る。まず、前記計測装置は、前記二次電池を充電するための充電回路と、前記充電回路に対して電気的に接続された2個の受電電極と、前記受電電極と略同一の形状で前記受電電極近傍に設けられた金属片である一つ以上のダミー受電電極と、を備える。当該充電装置は、前記給電回路に対して電気的に接続されており、前記充電の際に前記受電電極の各々と接触するように、前記受電電極の各々に対応して設けられた2個の給電電極と、前記充電の際に前記ダミー受電電極と接触するように、前記ダミー受電電極の各々に対応して設けられた金属片である一つ以上のダミー給電電極と、を備える。
本発明の第11の態様による充電装置によれば、ダミー給電電極の存在によって、外観上は給電電極が多数設けられているように視認され、且つ、現実にどの電極が機能しているのかを製造者以外は知ることができない。従って、本発明の第11の態様による充電装置に対応する計測装置に係る模倣品の製造が困難になる。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の第12の態様による充電装置は、第8乃至第11の態様のうちいずれか一態様による充電装置であって、前記荷重部は、前記基準器重量値に相当する荷重が前記載置部に加わるように前記載置部を押圧する押圧部である、ことを特徴とする。
本発明の第12の態様による充電装置によれば、ユーザは自ら基準分銅を載置部上に載置したり取り除いたりする作業を行わずに、計測装置の校正をすることができる。すなわち、ユーザは計測装置を充電装置上に充電可能な態様で載置するだけで、当該計測装置の充電及び校正が自動的に行われる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の第13の態様による充電装置は、第11の態様による充電装置であって、前記押圧部による押圧力を調節する押圧部調節機構を含むことを特徴とする。
本発明の第13の態様による充電装置によれば、押圧部による押圧力を適宜調節することができるため、所望の基準器重量値に対応させた荷重を計測装置の載置部に加えることができる。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の第14の態様による充電装置は、第8の態様または第9の態様による充電装置であって、前記荷重部は、前記基準器重量値に相当する重量の分銅であり、当該充電装置は、前記分銅を収容する収容部と、前記分銅が前記収容部から取り出されたことを検出する分銅センサと、前記分銅センサによって前記分銅が前記収容部から取り出されたことが検出され、且つ、当該検出時点から所定時間が経過すると、前記校正の実行を許可する校正許可信号を前記計測装置に送信する制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明の第14の態様による充電装置によれば、基準器である分銅が計測装置の載置部上に載置されていない状態で校正が実行されてしまうことを抑制することができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の第15の態様による充電装置は、被測定物が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記被測定物の重量を検出する重量検出部と、前記重量検出部を校正するための基準荷重値を記憶する基準荷重値記憶部と、を備える計測装置の電源である二次電池を充電する充電装置であって、前記二次電池を充電するための電池と、前記充電の際の前記計測装置との電気的接点である電極部と、を備え、前記基準荷重値は当該充電装置の総重量値であり、当該充電装置は、前記充電の際には前記電極部を介して前記載置部上に載置されることを特徴とする。
本発明の第15の態様による充電装置によれば、充電装置自体が基準器(基準分銅)となっているため、充電装置を用いた計測装置の充電の際には、当該計測装置の載置部には必ず基準器(基準分銅)が載置された状態となる。従って、基準器(基準分銅)の載置部に受電電極を備える計測装置であって充電と同時に校正を行う計測装置を充電する際には、第15の態様による充電装置を用いることで、基準器(基準分銅)が載置部上に載置されない状態で当該計測装置の校正が行われることを防止できる。
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の第16の態様による充電装置は、第8の態様による充電装置であって、次のような構成を採る。まず、前記計測装置は、当該充電装置との電気的接点である3個以上の受電電極と、前記二次電池を充電するための充電回路と、前記3個以上の受電電極のうち2個の受電電極を選択して前記充電回路に電気的に接続させる第1の選択回路と、を含む。当該充電装置は、前記充電の際に前記3個以上の受電電極の各々と接触するように、前記受電電極の各々に対応して設けられた3個以上の給電電極と、前記3個以上の給電電極のうち2個の給電電極を選択して前記給電回路に電気的に接続させる第2の選択回路と、を備えることを特徴とする。
本発明の第16の態様による充電装置によれば、給電電極が3個以上設けられているため、それら給電電極のうち何れの電極が現実に機能しているのかを製造者以外は知ることができない。また、たとえ充電装置が分解されたとしても、回路構成上は全ての給電電極が実際の充電に用いられ得る構成であることしか分からない。従って、当該充電装置に対応する計測装置に係る模倣品の製造が困難になる。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の第17の態様による重量計測システムは、充電装置によって充電される二次電池を電源の一つとする計測装置と、前記二次電池を充電する充電装置と、を備える重量計測システムであって、前記計測装置は、被測定物が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記被測定物の重量を検出する重量検出部と、前記重量検出部を校正するための基準器重量値を記憶する基準器重量値記憶部と、前記充電回路が前記二次電池の充電を開始した後、所定の条件を充足すると、前記基準器重量値と前記重量検出部による検出値とに基づいて前記校正を行い、前記重量検出部による検出値を補正する補正データを生成する補正データ生成部と、前記補正データを記憶する補正データ記憶部と、を備え、前記充電装置は、前記充電を行う際に前記載置部に対して前記基準器重量値に相当する荷重を加える荷重部と、前記二次電池に電力を供給するための給電回路と、を備えることを特徴とする。
本発明の第17の態様による重量計測システムによれば、二次電池を電源とする計測装置にとっては必須の作業である充電の際に、当該計測装置の校正も行われる。従って、充電と校正とを別個に行っている従来の計測装置に比べて、ユーザの負担が大きく軽減される。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明の第18の態様による重量計測システムは、第17の態様による重量計測システムであって、前記補正データ生成部は、前記重量検出部による検出値が前記基準器重量値を含む所定範囲内にあることを前記所定の条件とすることを特徴とする。
本発明の第18の態様に係る重量計測システムによれば、ユーザのミスなどによって載置部上に基準器が載置し忘れられた状態や基準器以外の物体が載置された状態で、校正が実行されてしまうことを防ぐことができる。つまり、校正の正確さが担保される。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の第19の態様による重量計測システムは、第18の態様による重量計測システムであって、前記充電装置は、前記計測装置の認証処理に用いる認証データを、暗号鍵で暗号化した暗号化認証データを生成する暗号処理部と、前記暗号化認証データを前記計測装置に送信する暗号化データ送信部と、前記計測装置によって復号化された前記暗号化認証データである復号化認証データを受信する復号化データ受信部と、前記復号化認証データと前記認証データとが一致するか否かを判定する認証判定部と、前記認証判定部によって一致すると判定された場合、前記給電回路に前記二次電池への電力の供給を開始させる制御部と、を備え、前記計測装置は、前記暗号化認証データを受信する暗号化データ受信部と、前記暗号化認証データを、前記暗号鍵に対応する復号鍵で復号して前記復号化認証データを生成する復号部と、前記復号化認証データを前記充電装置に送信する復号化データ送信部と、ことを特徴とする。
本発明の第19の態様による重量計測システムによれば、充電装置によって計測装置の認証処理が行われ、認証処理が成功した計測装置のみが充電される。具体的には、本発明の第19の態様による重量計測システムによれば、充電装置による当該計測装置の認証処理に用いられる認証データが、当該計測装置によって生成されて充電装置に送信される。従って、第19の態様による重量計測システムが備える計測装置に係る模倣品の峻別が容易になる。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の第20の態様による重量計測システムは、第17の態様による重量計測システムであって、前記充電装置は、前記計測装置の認証処理に用いる認証データを、暗号鍵で暗号化した暗号化認証データを生成する暗号処理部と、前記暗号化認証データを前記計測装置に送信する暗号化データ送信部と、前記計測装置によって復号化された前記暗号化認証データである復号化認証データを受信する復号化データ受信部と、前記復号化認証データと前記認証データとが一致するか否かを判定する認証判定部と、前記認証判定部によって一致すると判定された場合、前記給電回路に前記二次電池への電力の供給を開始させる制御部と、を備え、前記計測装置は、前記暗号化認証データを受信する暗号化データ受信部と、前記暗号化認証データを、前記暗号鍵に対応する復号鍵で復号して前記復号化認証データを生成する復号部と、前記復号化認証データを前記充電装置に送信する復号化データ送信部と、ことを特徴とする。
本発明の第20の態様による重量計測システムによれば、充電装置によって計測装置の認証処理が行われる。従って、第20の態様による重量計測システムが備える計測装置に係る模倣品の峻別が容易になる。
【0026】
上記課題を解決するために、本発明の第21の態様による重量計測システムは、第20の態様による重量計測システムであって、前記荷重部は、前記載置部を押圧することによって前記載置部に荷重を加える押圧部と、前記押圧部による押圧力を調節する押圧部調節機構と、を含み、前記制御部は、前記認証判定部によって前記復号化認証データと前記認証データとが一致しないと判定された場合、前記載置部に前記基準器重量値より小さいまたは大きい荷重が前記載置部に加わるように前記押圧部調節機構を制御することを特徴とする。
本発明の第21の態様による重量計測システムによれば、認証処理が失敗した計測装置の載置部に対して、押圧部によって基準器重量値未満または基準器重量値を超える値の重量に対応する力が加えられる。これにより、当該計測装置において誤った校正が為され、その後新たに適切な校正が為されない限りは計測装置として利用できなくなる。このような処理が行われることが需要者層に認知されることで、当該計測装置の模倣品を購入する需要者数が減少するものと考えられる。
【0027】
本発明の第22の態様による重量計測システムによれば、第17の態様による重量計測システムであって、前記充電装置は、温度及び湿度のうち少なくとも何れか一方を検出する第1のセンサと、前記充電の際に前記第1のセンサの出力値を当該計測装置に送信するセンサ値送信部と、を備え、前記計測装置は、前記第1のセンサの検出対象と同様の検出対象を検出する第2のセンサと、前記センサ値送信部によって送信された前記第1のセンサの出力値を受信するセンサ値受信部と、前記補正データ生成部は、前記補正データを生成すると共に、前記第1のセンサの出力値と、前記第2のセンサの出力値とに基づいて前記第2のセンサの校正を行い、前記第2のセンサの出力値を補正するセンサ値補正データを生成し、前記補正データ記憶部は、前記補正データを記憶すると共に、前記センサ値補正データを記憶することを特徴とする。
本発明の第22の態様による重量計測システムによれば、充電装置による計測装置の充電の際に、計測装置が備える温度センサ及び湿度センサの少なくとも一方のセンサ自体の校正も自動的に行われる。従って、温度及び湿度の少なくとも一方に基づいて重量検出部の校正を行う計測装置に、本発明の第22の態様を適用することで、ユーザに特別な作業を要求せずに、当該計測装置の計測精度を向上させることができる。
【0028】
上記課題を解決するために、本発明の第23の態様による重量計測システムは、第17の態様による重量計測システムであって、前記充電装置は、前記給電回路に接続された2個の給電電極と、前記給電電極と略同一の形状で前記給電電極近傍に設けられた金属片である一つ以上のダミー給電電極と、を備え、前記計測装置は、前記充電の際に前記給電電極と接触するように、前記給電電極の各々に対応して設けられた2個の受電電極と、前記充電の際に前記ダミー給電電極と接触するように、前記ダミー給電電極の各々に対応して設けられた金属片である一つ以上のダミー受電電極と、前記受電電極と前記二次電池とを電気的に接続する充電回路と、を備えることを特徴とする。
本発明の第23の態様による重量計測システムによれば、ダミー給電電極及びダミー受電電極の存在によって、外観上は給電電極及び受電電極が多数設けられているように視認され、且つ、現実にどの電極が機能しているのかを製造者以外は知ることができない。従って、本発明の第23の態様による重量計測システムが備える計測装置に係る模倣品の製造が困難になる。
【0029】
上記課題を解決するために、本発明の第24の態様による重量計測システムは、第17の態様による重量計測システムであって、前記充電装置は、前記充電の際の前記計測装置との電気的接点である3個以上の給電電極と、前記充電の際に前記3個以上の給電電極の中から2個の給電電極を選択して前記給電回路に電気的に接続させる第1の選択回路と、を備え、前記計測装置は、前記充電の際に前記給電電極に接触するように、前記給電電極の各々に対応して設けられた3個以上の受電電極と、前記充電装置によって供給された電力によって前記二次電池を充電する充電回路と、前記3個以上の受電電極のうち2個の受電電極を選択して前記充電回路に電気的に接続させる第2の選択回路と、を備えることを特徴とする。
本発明の第24の態様による重量計測システムによれば、給電電極及び受電電極が3個以上設けられているため、それら給電電極及び受電電極のうち何れの電極が現実に機能しているのかを製造者以外は知ることができない。また、たとえ充電装置や計測装置が分解されたとしても、回路構成上は全ての給電電極及び受電電極が実際の充電に用いられ得る構成であることしか分からない。従って、当該重量計測システムが備える計測装置に係る模倣品の製造が困難になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施形態に係る重量計測システムの構成を示すブロック図。
図2】充電装置によって計測装置を充電する際の、第1実施形態に係る重量計測システムの外観構成例を示す上面図。
図3図2に示す重量計測システム1を、図2において矢印Aで示す方向から観た側面図。
図4】第1実施形態に係る計測装置の充電モードにおける処理のフローチャートを示す図。
図5】本発明の第2実施形態に係る重量計測システムの構成を示すブロック図。
図6】第2実施形態に係る計測装置の充電モードにおける処理のフローチャートを示す図。
図7】第3実施形態に係る重量計測システムの構成を示すブロック図。
図8】第3実施形態に係る重量計測システムの充電装置による認証処理のフローチャートを示す図。
図9】第3実施形態に係る重量計測システムの計測装置による認証処理のフローチャートを示す図。
図10】第3実施形態に係る重量計測システムの充電装置による認証処理のフローチャートを示す図。
図11】第3実施形態に係る重量計測システムの計測装置による認証処理のフローチャートを示す図。
図12】充電装置によって計測装置を充電する際の、第4実施形態に係る重量計測システムの外観構成例を示す上面図。
図13図10に示す重量計測システムを、図10において矢印Aで示す方向から観た側面図。
図14】第1変形例に係る計測装置を裏面から見た平面図。
図15】第1変形例に係る計測装置及び充電装置に特有の構成部材を示すブロック図。
図16】第2変形例に係る計測装置に特有の構成部材を示すブロック図。
図17】第2変形例に係る充電装置に特有の構成部材を示すブロック図。
図18】第3変形例に係る重量計測システムの概略構成を示す図。
図19】第4変形例に係る重量計測システムが備える方向変換機構の構成例を示す概観側面図。
図20】第4変形例に係る重量計測システムが備える方向変換機構の構成例を示す概観側面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る重量計測システム1の構成例を示すブロック図である。重量計測システム1は、計測装置10と、充電装置50とを備える。
計測装置10は、載置部11と、重量検出部13と、A/D変換回路15と、制御部17と、受電電極19と、充電回路21と、二次電池23と、記憶部25と、通信部27と、表示部29と、操作部31とを備える。
【0032】
載置部11には、重量計測の対象物である被測定物が載置される。載置部11上に被測定物が載置されると、被測定物の重量に応じた荷重が重量検出部13に加わる。
重量検出部13は、載置部11上に被測定物が載置されることで加えられた荷重を電気信号に変換して出力する荷重変換器である。例えば、重量検出部13は、加えられた荷重に応じて歪む起歪体と、該起歪体の歪みに応じたアナログ信号を出力するブリッジ回路を含む歪みゲージとを備える。以降、重量検出部13から出力される電気信号を重量検出信号と称する。A/D変換回路15は、重量検出部13から出力されたアナログ信号としての重量検出信号をデジタル信号に変換し、重量検出データを出力する。
制御部17は、当該計測装置10の各部を統括的に制御する。制御部17は、演算処理部17−1と、充電処理部17−2と、校正処理部17−3とを備える。演算処理部17−1は、重量検出データに基づいて、被測定物の重量値を算出する。充電処理部17−2は、充電装置50から供給された電力によって二次電池を充電するよう充電回路21を制御する。校正処理部17−3は、重量検出部13の校正処理を実行する。
【0033】
受電電極19は、二次電池23の充電を行う際の充電装置50の給電電極との電気的接点である。充電回路21は、充電装置50から供給された電力で二次電池を充電する。二次電池23は、当該計測装置10の電源であり、充電可能な蓄電池である。
記憶部25は、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの書き換え可能な不揮発性メモリであり、演算処理部17−1による演算処理に用いられる種々のデータを記憶する。例えば、記憶部25には、後述する基準分銅101a,101bにそれぞれ対応する重量値(以降、基準器重量値と略称する)などが記憶されている。また、記憶部25は、後述する校正に係る処理で生成された補正データなどを記憶する。
通信部27は、充電装置50が備える通信部とデータの送受信を行うための近距離無線通信モジュールである。具体的には、通信部27は例えばBluetooth(登録商標)規格の無線通信を行う通信モジュールである。
表示部29は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置であり、演算処理部17−1によって算出された被測定物の重量値などを表示する。操作部31は、ユーザによる種々の入力操作などの為のキースイッチである。図1においては不図示であるが図2に示すように、本例では操作部31として、当該計測装置10の電源のオン/オフ操作を行うための電源スイッチ31−1と、被測定物の重量を算出させるための算出スイッチ31−2と、当該計測装置を各種モードに設定するためのモード設定スイッチ31−3とが設けられている。
なお、操作部31を表示部29と一体的に構成して所謂タッチパネル式の操作部として設けてもよい。このように構成する場合、キースイッチを別途設けるスペースを省略することができる。
【0034】
充電装置50は、給電電極51と、給電回路53と、制御部55と、通信部57と、基準器センサ59とを備える。
給電回路53は、例えば商用交流電源(AC電源)などに接続され、商用交流電圧をAC/DC(交流/直流)変換して計測装置10へ供給する。給電電極51は、計測装置10へ電力を供給する際の計測装置10の受電電極19との電気的接点である。
制御部55は、当該充電装置50の各部を統括的に制御する。例えば、制御部55は、例えば商用交流電源(AC電源)などから供給された電力を計測装置10へ供給するように給電回路53を制御する。
通信部57は、計測装置10が備える通信部とデータの送受信を行うための近距離無線通信モジュールである。具体的には、通信部57は例えばBluetooth(登録商標)規格の無線通信を行う通信モジュールである。
基準器検出センサ59は、計測装置10の校正を行うための基準器である基準分銅(図2,3において符号101a,101bが付された部材)が、基準器収容部(図2,3において符号70a、70bが付された部材)に収容されているか否かを検出する。基準器検出センサ59としては、例えば、接触センサや赤外線センサを用いることができる。
【0035】
図2は、充電装置50によって計測装置10を充電する際の、第1実施形態に係る重量計測システム1の外観構成例を示す上面図である。図3は、図2に示す重量計測システム1を、図2において矢印Aで示す方向から観た側面図である。
図2及び図3に示すように、重量計測システム1は、充電の際に計測装置10の受電電極19と、充電装置50の給電電極51とが接触するように、充電装置50上に計測装置10を載置可能に構成されている。
充電装置50の上面には、図2及び図3に示すように基準分銅101a,101bをそれぞれ収容する基準器収容部70a,70bが設けられている。そして、基準器収容部70a,70b底面にはそれぞれ、上述したように接触センサである基準器検出センサ59が設けられている。この基準器検出センサ59の出力を参照することで、充電装置50の制御部55は、基準器収容部70a,70b内に基準分銅101a,101bが収容されているか否かを判定することができる。なお、説明の便宜上、本例では、基準分銅101a,101bのうち何れか一つが校正に用いられるものとして以下説明する。
【0036】
図4は、第1実施形態に係る計測装置10の充電モードにおける処理のフローチャートを示す図である。計測装置10が、上述した充電可能な態様で充電装置50上に載置されて充電モードに設定されると、制御部17は充電回路21を制御して二次電池23の充電を開始させる(ステップS1)。続いて、制御部17は、所定の条件が充足されたか否かを判定する(ステップS2)。所定の条件とは、校正が可能であることである。この例では、重量検出部13による検出値が基準器重量値を含む所定範囲内にあることを所定の条件とする。つまり、充電が開始されると、いわゆるキャリブレーションモードとなり、所定の条件を充足すると、校正を開始する。
【0037】
この例では、制御部17は、当該時点において重量検出部13によって検出されている重量値と、記憶部25に記憶されている基準器重量値とを比較し、重量検出部13によって検出されている重量値が、基準器重量値を含む所定範囲内にある場合、所定の条件を充足したと判定する。このとき、載置部11上には基準分銅101aまたは基準分銅101bが載置されている。
【0038】
上述した条件を満たすことは校正を行う上で必須の要件であり、当該条件を満たさない場合には校正が適切に行われず、以降の重量計測において誤った計測値を出力してしまう。
ところで、当該条件の判定の際に載置部11上に基準器(基準分銅101a、基準分銅101b)が載置されていなくとも、基準器重量値を含む所定範囲内の重量値の物体が載置部11上に載置されている場合には、制御部17は当該条件を満たしていると判定してしまう。このような状況が発生する可能性は極めて低いが、このような状況を排除するために、当該条件の判定において更に下記の判定方法を併用し、条件を満たしたか否かの判定精度を更に向上させてもよい。
例えば、上述した基準器検出センサ59の出力を利用して、載置部11上に基準分銅101aまたは基準分銅101bが載置されているか否かを間接的に判定する。通常、基準分銅101a,101bは、計測装置10の校正にのみ用いられる。このため、基準器収容部70a,70b内に基準分銅101a,101bが収容されていない場合には、基準分銅101a,101bは、計測装置10の載置部11上に載置されているものと捉えることができる。例えば、制御部55によって基準器収容部70aまたは基準器収容部70b内から、基準分銅101aまたは基準器101bが取り出されたことを検出してから所定時間(例えば数十秒程度)経過した後には、基準分銅101aまたは基準器101bは計測装置10の載置部11上に載置されているものと想定することができる。そこで、本判定方法では次のような処理を行なう。
【0039】
まず、充電装置50の制御部55は、基準器収容部70aまたは基準器収容部70b内から基準分銅101aまたは基準分銅101bが取り出されたことを検出してから所定時間(例えば数十秒程度)経過すると、校正の実行を許可する信号(校正許可信号と略称する)を生成して通信部57を介して計測装置10に送信する。
次に、計測装置10の制御部17は、上述したように重量検出部13によって検出されている重量値と、記憶部25に記憶されている基準器重量値とを比較し、重量検出部13によって検出されている重量値が、基準器重量値を含む所定範囲内にある場合であって、且つ、校正許可信号を受信した場合に、〈条件2〉を満たしたと判定する。このように、上述した条件の判定を複数の観点から行うことで、基準分銅101a,101bが載置部11上に載置されていない状態で校正を実行してしまうことを抑制することができる。
【0040】
制御部17は、上述した条件を充足したと判定するまで当該ステップS2の処理を繰り返し、充足したと判定すると、重量検出部13によって検出された重量値と、ステップS1における処理で用いた基準器重量値との差分値Δwを算出する(ステップS3)。そして、制御部17は、ステップS3において算出した差分値Δwに基づいて、補正データを生成する(ステップS4)。その後、制御部17は、ステップS4における処理で生成した補正データを記憶部25に記憶させ(ステップS5)、校正に係る処理を終了する。なお、充電に係る処理については、二次電池23の充電が完了するまで又は充電装置50と計測装置10とが離間して充電不能となるまで続行させる。
ところで、上述した処理によって生成されて記憶部25に記憶された補正データは、その後の被測定物の重量計測において用いられる。すなわち、重量検出部13によって検出された値は、補正データに基づいて補正が施された上で表示部29へ出力される。例えば、重量検出部13によって検出された値は、差分値Δwだけ加算/減算されて表示部29へ出力される。
【0041】
以上説明したように、本発明の第1実施形態によれば、電源として二次電池を用いる計測装置を使用する上でユーザに求められる作業負担を軽減した計測装置10、充電装置50、及び重量計測システム1を提供することができる。
具体的には、本発明の第1実施形態に係る計測装置10、充電装置50、及び重量計測システム1は例えば次の効果を奏する。二次電池23を電源とする計測装置10にとっては必須の作業である充電の際に、当該計測装置10の校正も行われる。従って、充電と校正とを別個に行っている従来の計測装置に比べて、ユーザの負担が大きく軽減される。
さらに、重量検出部13による検出値が、基準器重量値を含む所定範囲内にある場合にのみ二次電池23の充電を開始するように、制御部17が充電回路を制御するので、計測装置10の載置部11上に基準器(基準分銅101a,101b)が載置されていることが検出された上で校正が実行される。従って、基準器(基準分銅101a,101b)が載置部11上に載置されていない状態で校正が実行されてしまうことを防止できる。また、第1実施形態に係る計測装置10によれば、充電の際に校正が行われない従来の計測装置に比べて、校正の実行頻度が高まる。
ところで、ポータブル式の計測装置に第1実施形態を適用することで、例えば持ち運ばれた先の計測場所で当該計測装置の充電を行う必要が生じてユーザが充電作業を行う場合には、ユーザはその後に改めて当該計測場所での校正作業を行わずに直ぐに計測作業を行うことができるため、ユーザの作業負担が軽減されると共に利便性が向上する。
【0042】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る重量計測システム1は、充電時に、温度及び湿度を検出するセンサの校正を実行する。図5は、本発明の第2実施形態に係る重量計測システム1の構成を示すブロック図である。
第2実施形態に係る重量計測システム1は、計測装置10が温度センサ41及び湿度センサ45を備え、充電装置50が温度センサ61及び湿度センサ65を備える点で、これらのセンサを備えない第1実施形態の重量計測システム1と相違する。第2実施形態に係る計測装置10では、重量検出部13が備える起歪体の出力信号は温度及び湿度によって変化することを鑑み、温度センサ61の出力及び湿度センサ65の出力に基づいて、重量検出部13から出力される重量検出信号を補正する。さらに、第2実施形態に係る計測装置10では、二次電池23の充電の際に、充電装置50から送信されるデータに基づいて、温度センサ41及び湿度センサ45の校正を行う。なお、温度センサ及び湿度センサの出力に基づく重量検出信号の補正に係る処理は公知の技術であるので説明を省略し、ここでは温度センサ41及び湿度センサ45自体の校正に係る処理について説明する。
【0043】
図5に示すように、計測装置10は、第1実施形態に係る計測装置10が備える各構成部材に加えて、温度センサ41と、温度センサ41から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路43と、湿度センサ45と、湿度センサ45から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路47とを備える。
充電装置50は、第1実施形態に係る充電装置50が備える各部材に加えて、温度センサ61と、温度センサ61から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路63と、湿度センサ65と、湿度センサ65から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路67とを備える。
ここで、充電装置50が備える温度センサ61は、計測装置10が備える温度センサ41と比較して高精度な温度センサであるか、経時変化が小さい温度センサであるか、または、高精度且つ経時変化が小さいセンサである。同様に、充電装置50が備える湿度センサ65は、計測装置10が備える湿度センサ45よりも、高精度及び/または経時変化が小さいセンサであるとする。
【0044】
図6は、第2実施形態に係る計測装置10の充電モードにおける処理のフローチャートを示す図である。計測装置10が、上述した充電可能な態様で充電装置50上に載置されると共に、充電モードに設定されると、図6に示すフローチャートの処理を実行する。図6に示すフローチャートにおける処理のうちステップS11乃至ステップS15は、上述した図4に示すフローチャートにおけるステップS1乃至ステップS5と同様の処理を行うステップである。
【0045】
ステップS11乃至ステップS15の処理を行った後、制御部17は、A/D変換回路43によってデジタル信号に変換された温度センサ41の出力信号である温度データと、A/D変換回路47によってデジタル信号に変換された湿度センサ45の出力信号である湿度データとを取得する(ステップS16)。
続いて、制御部17は、A/D変換回路63によってデジタル信号に変換された温度センサ61の出力信号である温度データと、A/D変換回路67によってデジタル信号に変換された湿度センサ65の出力信号である湿度データとを、通信部27によって充電装置50から取得する(ステップS17)。
そして、制御部17は、ステップS16で取得した温度データとステップS17で取得した温度データとに基づいて温度の差分値Δtを算出すると共に、ステップS16で取得した湿度データとステップS17で取得した湿度データとに基づいて湿度の差分値Δhを算出する(ステップS18)。
【0046】
さらに、制御部17は、ステップS18において算出した差分値Δtに基づいて、温度センサの出力値を補正するための温度補正データを生成し、且つ、差分値Δhに基づいて、湿度センサの出力値を補正するための湿度補正データを生成する(ステップS19)。その後、制御部17は、ステップS19における処理で生成した温度補正データ及び湿度補正データを記憶部25に記憶させ(ステップS20)、校正に係る処理を終了する。なお、充電に係る処理については、二次電池23の充電が完了するまで又は充電装置50と計測装置10とが離間して充電不能となるまで続行する。
ところで、上述した処理によって生成されて記憶部25に記憶された温度補正データ及び湿度補正データは、その後の温度センサ41の出力値及び湿度センサ45の出力値の補正に用いられる。例えば、温度センサ41による温度データは差分値Δtだけ加算/減算されて制御部17へ出力され、湿度センサ45による湿度データは差分値Δhだけ加算/減算されて制御部17へ出力されて重量検出部13の校正に用いられる。
従って、計測装置10は、温度センサ41及び湿度センサ45によって、少なくともそれらセンサより高精度または経時変化が小さい温度センサ61及び湿度センサ65による測定値と同様の測定値を得ることができ、当該測定値によって重量検出部13を校正することができる。
【0047】
以上説明したように、本発明の第2実施形態によれば、充電装置50による計測装置10の充電の際に、重量検出部13の校正が自動的に行われると共に、計測装置10が備える温度センサ41及び湿度センサ45の校正も自動的に行われる。従って、本発明の第2実施形態によれば、計測装置10が備える温度センサ41及び湿度センサ45自体の校正も充電の際に行われるため、ユーザに特別な作業を要求せずに、当該計測装置10の計測精度を更に向上させることができる。
【0048】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る重量計測システム1は、充電の対象となる計測装置10の正当性を判定し、正当であると認証された場合に限って充電を許容する。第3実施形態に係る重量計測システム1は、計測装置10と充電装置50とにそれぞれRFID(Radio Frequency Identification)チップを備えさせ、それらRFIDチップを用いて計測装置10の認証処理を行う点を除いて、第1実施形態の重量計測システム1と同様に構成されている。
【0049】
図7は、第3実施形態に係る重量計測システム1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、計測装置10は、第1実施形態に係る計測装置10が備える各部材に加えて、RFIDチップ42を備える。充電装置50は、第1実施形態に係る計測装置10が備える各部材に加えて、RFIDチップ72を備える。ここで、RFIDチップ42,72は、ID(Identification)情報を記憶したRF(Radio Frequency)チップである。具体的には、RFIDチップ42,72は、例えば近距離無線通信によって情報を送受信するIC(Integrated Circuit)チップである。
【0050】
図8は、第3実施形態に係る重量計測システム1の充電装置50のRFIDチップ72による認証処理のフローチャートを示す図である。まず、計測装置10に設けられたRFIDチップ42と充電装置50のRFIDチップ72とが通信可能な状態となるように、計測装置10が充電装置50上に載置されると、図8に示すフローチャートの処理を実行する。第3実施形態に係る重量計測システム1では、充電装置50の制御部55は、後述する認証成功信号が入力されるまで、計測装置10に電力を供給しないように給電回路53を制御する。換言すれば、第3実施形態に係る重量計測システム1では、充電装置50が計測装置10の正当性を判定し、正当であると認証した場合に限って充電を許容する。
後述する認証処理においては、充電装置50のRFIDチップ72によって認証データの暗号化処理が行われ、計測装置10のRFIDチップ42によって暗号化認証データの復号化処理が行われる。ここで、RFIDチップ72による暗号化処理に用いられる暗号鍵と、RFIDチップ42による復号化処理に用いられる復号鍵とは対を為す鍵である。また、暗号鍵は、読み出し不能にRFIDチップ72に記憶され、復号鍵は、読み出し不能にRFIDチップ42に記憶されている。このような構成を採ることで、たとえ充電装置50と計測装置10との間で行われる認証処理に係る通信内容が第三者に傍受されたとしても、第三者が当該傍受した通信内容に基づいて、正当性が認証される計測装置10を不正に製造することはできない。
【0051】
RFIDチップ72は、自身が記憶している「認証データ」を暗号鍵で暗号化して暗号化認証データを生成する(ステップS21)。ここで、「認証データ」とは、例えば各充電装置50に固有の識別子などである。なお、認証データとして、充電装置50に固有の識別子の代わりにランダムに発生させたデータを用いてもよい。続いて、RFIDチップ72は、ステップS21で生成した暗号化認証データを計測装置10に送信する(ステップS22)。
このステップS22において計測装置10に送信された暗号化認証データは、計測装置10のRFIDチップ42によって受信された後に、当該RFIDチップ42によって復号鍵で復号される。この復号によって生成された復号化認証データが、計測装置10のRFIDチップ42によって送信される。そして、充電装置50のRFIDチップ72は、この復号化認証データを受信する(ステップS23)。
【0052】
ここで、RFIDチップ72は、認証データと復号化認証データとが一致するか否かを判定する(ステップS24)。認証データと復号化認証データとが一致する場合(ステップS24をYESに分岐する場合)、RFIDチップ72は計測装置10に二次電池23の充電を開始させる処理を行う(ステップS25)。例えば、ステップS25において、RFIDチップ72は、認証処理が成功した旨の信号(認証成功信号と略称する)を制御部55に出力する。制御部55は、ステップS25の処理で認証成功信号が入力されると計測装置10に電力を供給するように給電回路53を制御する。
【0053】
一方、認証データと復号化認証データとが一致しない場合(ステップS24をNOに分岐する場合)、RFIDチップ72は、計測装置10を不適切な計測装置10として処理する(ステップS26)。例えば、ステップS26において、RFIDチップ72は、認証処理が失敗した旨の信号(認証失敗信号と略称する)を制御部55に出力する。制御部55は、認証失敗信号が入力されると、計測装置10に電力を供給しないように給電回路53を制御すると共に、計測装置10と通信を行わないように通信部57を制御する。
【0054】
図9は、第3実施形態に係る重量計測システム1の計測装置10のRFIDチップ42による認証処理のフローチャートを示す図である。まず、計測装置10に設けられたRFIDチップ42と充電装置50のRFIDチップ72とが通信可能な状態となるように、計測装置10が充電装置50上に載置されると、図9に示すフローチャートの処理を実行する。なお、第3実施形態に係る重量計測システム1では、充電装置50によって当該計測装置10の認証処理が成功するまで、充電装置50から当該計測装置10に電力が供給されない。
【0055】
RFIDチップ42は、充電装置50のRFIDチップ72から送信された暗号化認証データを受信する(ステップS31)。続いて、RFIDチップ42は、RFIDチップ72が有する暗号鍵に対応する復号鍵で暗号化認証データを復号し、復号化認証データを生成する(ステップS32)。そして、RFIDチップ42は、この復号化認証データを充電装置50のRFIDチップ72に送信する(ステップS33)。
その後、上述したように充電装置50のRFIDチップ72によって、認証データと復号化認証データとが一致するか否かが判定され、認証データと復号化認証データとが一致する場合に、充電装置50から当該計測装置10に電力が供給される。一方、認証データと復号化認証データとが一致しない場合には、充電装置50から電力の供給が行われないと共に、充電装置50との通信も遮断される。
【0056】
なお、重量計測システム1における計測装置10の認証処理方法は図8及び図9に示す例に限られない。例えば、後述するような簡略化した認証処理方法を採ってもよい。以下、図10及び図11に示すフローチャートを参照して、簡略化した認証処理方法を説明する。
図10は、充電装置50による認証処理のフローチャートを示す図である。まず、計測装置10に設けられたRFIDチップ42と充電装置50のRFIDチップ72とが通信可能な状態となるように、計測装置10が充電装置50上に載置されると、図9に示すフローチャートの処理が実行される。なお、図8及び図9を参照して説明した例と同様、充電装置50によって当該計測装置10の認証処理が成功するまで、充電装置50から当該計測装置10に電力が供給されない。
【0057】
RFIDチップ42は、当該計測装置10に固有の識別子に基づいて、充電装置50による認証処理に供される認証データ(固有認証データと称する)を生成する(ステップS41)。続いて、RFIDチップ42は、この固有認証データを充電装置50のRFIDチップ72に送信する(ステップS42)。
図11は、計測装置10による認証処理のフローチャートを示す図である。RFIDチップ72は、計測装置10のRFIDチップ42から送信された固有認証データを受信する(ステップS51)。続いて、RFIDチップ72は、ステップS51において受信した固有認証データが適正な固有認証データであるか否かを判定する(ステップS52)。具体的には、例えば、RFIDチップ72に予め適正な固有認証データのリストを記憶させておき、該リスト中にステップS51で受信した固有認証データが存在すれば、当該固有認証データを適正な固有認証データであると判定すればよい。
【0058】
ステップS51で受信した固有認証データが適正な固有認証データである場合、ステップS52をYESに分岐し、RFIDチップ72は計測装置10に二次電池23の充電を開始させる処理を行う(ステップS53)。例えば、ステップS53において、RFIDチップ72は認証成功信号を制御部55に出力する。制御部55は、上述したように認証成功信号が入力されるまで計測装置10に電力を供給しないように給電回路53を制御し、ステップS53の処理で認証成功信号が入力されると計測装置10に電力を供給するように給電回路53を制御する。
【0059】
ステップS51で受信した固有認証データが適正な固有認証データでない場合、ステップS52をNOに分岐し、RFIDチップ72は、計測装置10を不適切な計測装置10として処理する(ステップS54)。例えば、ステップS54において、RFIDチップ72は、認証失敗信号を制御部55に出力する。制御部55は、認証失敗信号が入力されると、計測装置10に電力を供給しないように給電回路53を制御すると共に、計測装置10と通信を行なわないように通信部57を制御する。
【0060】
以上説明したように、本発明の第3実施形態に係る重量計測システム1によれば、充電装置50によって計測装置10の認証処理が実行されるので、正当な計測装置10にのみ充電が可能となり、模造品の普及が防止され、充電時に模造品の判別が容易となる。
【0061】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る重量計測システム1は、充電及び校正の際に充電装置50が計測装置10の載置部11に対して基準器相当の荷重を加えるため、ユーザが基準器を載置部11上に載置させる作業を不要とする。
第4実施形態に係る重量計測システム1は、充電装置50に、基準器収容部70a,70b及び基準器検出センサ59の代わりに、押圧部材201及び駆動機構203が設けられている点を除いて、第1実施形態に係る重量計測システムと同様に構成されている。
図12は、充電装置によって計測装置を充電する際の、第4実施形態に係る重量計測システムの外観構成例を示す上面図である。図13は、図12に示す重量計測システム1を、図12において矢印Aで示す方向から観た側面図である。
【0062】
すなわち、第4実施形態に係る充電装置50の上面には、図12及び図13に示すように、基準器収容部70a,70bの代わりに押圧部材201が設けられている。さらに、図13に示すように、押圧部材201による載置部11への押圧力を調整するために、押圧部材201を駆動可能なステッピングモータなどから成る駆動機構203が設けられている。この駆動機構203は、制御部17に接続されている。そして、押圧部材201によって載置部11が押圧されたときに重量検出部13に加わる荷重が、基準器(例えば基準分銅101a,101b)が載置部11上に載置されたときに重量検出部13に加わる荷重と同様の荷重となるように、駆動機構203は制御部17の制御によって押圧部材201を駆動する。
【0063】
以上説明したように、本発明の第4実施形態によれば、充電及び校正の際に押圧部材201によって、基準器(例えば基準分銅101a,101b)が載置部11上に載置されたときに重量検出部13に加わる荷重と同様の荷重が重量検出部13に加わる。従って、ユーザは自ら基準分銅を載置部11上に載置したり取り除いたりする操作を行わずに、当該計測装置10の校正をすることができる。換言すれば、ユーザは計測装置10を充電装置50上に充電可能な態様で載置するだけで、当該計測装置10の充電及び校正が自動的に行われ、校正のためだけの作業をユーザに要求しないという格別な効果を得ることができる。
なお、この第4実施形態を、計測装置10の認証処理を行う第3実施形態に対して適用することで、認証処理が失敗した場合の「不適切な計測装置10への対応処理(ステップS26、ステップS54)」として、より効果的な処理を行うことができる。例えば、認証処理が失敗した場合(計測装置10が模倣品である場合)、制御部55は、押圧部材201によって基準器重量値未満または基準器重量値を超える値の重量値に対応する力が載置部11に加わるように、駆動機構203を制御する。これにより、当該模倣品においては誤った校正が為され、その後適切な校正が為されるまでは実質的に計測装置として利用できなくなる。このような模倣品のデメリットが需要者層に認知されることで、計測装置10の模倣品を購入する者は減少するものと考えられ、計測装置10の模倣品の製造を減少させることができると考えられる。
【0064】
以上、各実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述の例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で変形及び応用が可能なことは勿論である。
[第1変形例]
本発明の第1変形例に係る重量計測システム1は、模倣品の製造を困難にする為に、計測装置10には受電電極19に係るダミー電極が設けられており、充電装置50には給電電極51に係るダミー電極が設けられている。本発明の第1変形例に係る重量計測システム1は、ダミー電極が設けられている点を除いて、各実施形態の重量計測システム1と同様に構成されている。
図14は、第1変形例に係る計測装置10を裏面から見た平面図である。図15は、第1変形例に係る計測装置10及び充電装置50に特有の構成部材を示すブロック図である。
図14に示すように、ダミー電極200は、外観上は受電電極19または給電電極51として視認され得る部材であるが、図15に示すように充電回路21や給電回路53に電気的に接続されていない。つまり、ダミー電極200は現実には電極として機能しない単なる金属片である。
【0065】
以上説明したように、本発明の第1変形例に係る重量計測システム1によれば、ダミー電極200の存在によって、外観上は受電電極19及び給電電極51が多数設けられているように視認され、且つ、現実にどの電極が受電電極19または給電電極51として機能しているのかを製造者以外は知ることができない。従って、重量計測システム1を構成する計測装置10に係る模倣品を製造しようとしても、何れの給電電極51に対応させて受電電極19を設ければよいのかを知り得ない。このため、第1変形例に係る計測装置10に係る模倣品の製造が困難になる。特に、充電回路21をICチップで構成し、ダミー電極200から充電回路21との間に配線を設け、ICチップの内部で充電電極19と内部回路とを電気的に接続すると共に、給電回路53をICチップで構成し、ダミー電極200から給電回路53との間に配線を設け、ICチップの内部で給電電極51と内部回路とを電気的に接続することが好ましい。この場合には、計測装置10及び充電装置20を破壊して、各装置の内部配線を見てもダミー電極200を判別することができないので、模倣品の製造がより困難になる。
【0066】
[第2変形例]
本発明の第2変形例に係る重量計測システム1は、模倣品の製造を困難にする為に、計測装置10には3個以上の受電電極19が設けられており、充電装置50には3個以上の給電電極51が設けられている。本発明の第2変形例に係る重量計測システム1は、計測装置10の受電電極19に係る構成、及び、充電装置50の給電電極51に係る構成を除いて、各実施形態の重量計測システム1と同様に構成されている。
図16に示すように、第2変形例に係る計測装置10には、3個以上の受電電極19の中から2個の受電電極を選択的に充電回路21に接続するための選択回路18が設けられている点である。
図17に示すように、第2変形例に係る充電装置50には、3個以上の給電電極51の中から2個の給電電極を選択的に給電回路53に接続するための選択回路が設けられている点である。
【0067】
計測装置10に設けられた選択回路18は、図16に示すように制御部17に接続されており、制御部17による制御で何れか2個の受電電極19を選択して充電回路21に電気的に接続させる。つまり、3個以上の受電電極19のうち実際に電極として利用されるのは選択回路18によって選択された2個の受電電極19であり、選択されなかった他の受電電極19はこの場合には電極として機能しない。
充電装置50に設けられた選択回路56は、図17に示すように制御部55に接続されており、制御部55による制御で何れか2個の給電電極51を選択して給電回路53に電気的に接続させる。つまり、3個以上の給電電極51のうち実際に電極として利用されるのは選択回路56によって選択された2個の給電電極51であり、選択されなかった他の給電電極51はこの場合には電極として機能しない。
【0068】
ここで、計測装置10の選択回路18が選択する2個の受電電極19と、充電装置50の選択回路56が選択する2個の給電電極51とは、充電の際に充電装置50上に計測装置10が載置された状態において互いに接触する位置に設けられた電極である必要がある。これを実現するためには、例えば次のような構成を採ればよい。
すなわち、充電の際に充電装置50上に計測装置10が載置された状態において互いに接触する位置に設けられた受電電極19と給電電極51とに同一の識別番号を付しておき、充電装置50の制御部55は、選択回路56に選択させる給電電極51に付された識別番号を示す情報を、通信部57によって計測装置10に送信する。この識別番号を示す情報を受信した計測装置10の制御部17は、当該識別番号に対応する受電電極19を選択するように選択回路18を制御する。
なお、計測装置10の認証処理を行う第3実施形態に対して本第2変形例を適用する場合には、当該認証処理に用いられる認証データまたは固有認証データに、当該装置が選択する電極の識別番号を含めてもよい。
【0069】
以上説明したように、本発明の第2変形例によれば、受電電極19及び給電電極51がそれぞれ3個以上設けられているため、それら受電電極19及び給電電極51のうち何れの電極が現実に機能しているのかを製造者以外は知ることができない。また、たとえ計測装置10及び充電装置50が分解されたとしても、回路構成上は全ての受電電極19及び給電電極51が実際の充電に用いられ得る構成であることしか分からない。従って、重量計測システム1が備える計測装置10に係る模倣品の製造が困難になる。
【0070】
[第3変形例]
本発明の第3変形例に係る重量計測システム1は、載置部11上に基準器(基準分銅)が載せられていない状態で充電及び校正が行われることを確実に防止する為に、基準器(基準分銅)自体に二次電池及び給電電極を備えさせて充電装置とし、計測装置10の受電電極19を載置部11上に備えさせた点を除いて、各実施形態の重量計測システム1と同様に構成されている。
図18は、第3変形例に係る重量計測システム1の概略構成を示す図である。同図に示すように、第3変形例に係る重量計測システム1では、充電装置500自体を基準器である基準分銅として構成する。そして、計測装置10の校正と充電とを同時に行うために、計測装置10及び充電装置500を次のように構成する。
すなわち、充電装置500には、図18に示すように計測装置10の二次電池23を充電するための二次電池505と、計測装置10との電気的接点である電極501とが設けられている。一方、第3変形例に係る計測装置10と、上述した実施形態に係る計測装置10との主な相違点は、載置部11上に受電電極19が設けられている点である。
【0071】
ここで、充電装置500が備える二次電池505は、例えば商用交流電源(AC電源)などに接続され、商用交流電圧をAC/DC(交流/直流)変換する回路を備えた充電器(不図示)によって充電されるものとする。その充電の際には、電極501が充電器(不図示)との電気的接点となる。
なお、二次電池505の代わりに充電不可能な電池を用いても勿論よい。その場合には、充電装置500は、所謂使い捨て式の部材となる。すなわち、充電装置500が電池切れとなった場合には、ユーザは新たな充電装置500を購入することになる。
以上説明したように、本発明の第3変形例によれば、各充電装置500を用いた充電の際には必ず基準器重量値に相当する荷重が重量検出部13に加わる。従って、載置部11上に基準器(基準分銅)が載せられていない状態で充電及び校正が行われることが防止される。
【0072】
[第4変形例]
図19及び図20は、本発明の第4変形例に係る重量計測システム1が備える方向変換機構600の構成例を示す概観側面図である。本発明の第4変形例に係る重量計測システム1は、計測装置10の載置部11における載置面に垂直な方向dと、重力加速度gの向きとが垂直を成すように当該計測装置10が載置された状態で、充電及び校正の実行を可能とするために方向変換機構600を備えさせた点を除いて、各実施形態の重量計測システム1と同様に構成されている。
【0073】
図19に示すように、方向変換機構600は、基準分銅載置部603aと、計測装置押圧部603bと、回動部材601とを備える。基準分銅載置部603aは、基準分銅101が載置されると当該基準分銅101の重量によって矢印d1方向に押下げられる部材である。回動部材601は、その一方端が基準分銅載置部603aに回動軸613aによって連結され、他方端が計測装置押圧部603bに回動軸613bによって連結され、所定位置が固定軸611によって充電装置50に対して固定されている。計測装置押圧部材603bは、計測装置10の載置部11に対向するように設けられており、回動部材601が固定軸611を回転中心として矢印d3で示す方向に回転すると、矢印d2で示す方向に押し出される。
【0074】
ここで、基準分銅載置部603上に基準分銅101が載置されると、方向変換機構600は、図19に示す状態から図20に示す状態に遷移する。すなわち、基準分銅載置部603上に載置された基準分銅101の重量によって、当該基準分銅載置部603は矢印d1で示す方向に押下げられる。この押下げにより、回動部材601は、固定軸611を回転中心として矢印d3で示す方向に回動する。この回動により、計測装置押圧部603は矢印d2で示す方向に押し出される。このように、方向変換機構600によれば、基準分銅101の重量によって加わえられる力の方向が、その方向に対して垂直な方向に変換される。
【0075】
以上説明したように、本発明の第4変形例によれば、計測装置10の載置部11における載置面に垂直な方向dと、重力加速度gの向きとが垂直を成すように当該計測装置10が載置された状態であっても、充電及び校正の実行が可能となる。換言すれば、計測装置10が所謂縦置き状態であっても、当該計測装置10の充電及び校正の実行が可能となる。
なお、方向変換機構600の構成は図19及び図20に示す構成に限られず、力が作用する方向をその方向に対して垂直な方向に変換する機械的作用を実現する機構であれば、公知のどのような機構をも適用することができる。
【0076】
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示した複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示す全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
なお、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせている。また、各実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、それらの形態に限られるものではない。
【符号の説明】
【0077】
1…重量計測システム、10…計測装置、101,101a,101b…基準分銅、11…載置部、13…重量検出部、15…A/D変換回路、17…制御部、17−1…演算処理部、17−2…充電処理部、17−3…校正処理部、18…選択回路、19…受電電極、200…ダミー電極、201…押圧部材、203…駆動機構、21…充電回路、23…二次電池、25…記憶部、27…通信部、29…表示部、31…操作部、31−1…電源スイッチ、31−2…算出スイッチ、31−3…モード設定スイッチ、41…温度センサ、42,72…RFIDチップ、43…A/D変換回路、45…湿度センサ、47…A/D変換回路、59…基準器センサ、50,500…充電装置、501…電極、505…二次電池、51…給電電極、53…給電回路、55…制御部、56…選択回路、57…通信部、59…基準器検出センサ、61…温度センサ、63…A/D変換回路、65…湿度センサ、67…A/D変換回路、70a,70b…基準器収容部、72…RFIDチップ、600…方向変換機構、603a…基準分銅載置部、603b…計測装置押圧部603b、601…回動部材、611…固定軸、613a,613b…回動軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20