(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182762
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】低音ブーストデュアルリアルサラウンド3Dラジオ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/28 20060101AFI20170814BHJP
H04R 3/12 20060101ALI20170814BHJP
H04R 1/26 20060101ALI20170814BHJP
H04R 1/32 20060101ALI20170814BHJP
H04R 1/30 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
H04R1/28 310Z
H04R3/12 Z
H04R1/26
H04R1/32 310Z
H04R1/30 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-228142(P2015-228142)
(22)【出願日】2015年11月4日
(65)【公開番号】特開2017-92924(P2017-92924A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2016年1月18日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】593196399
【氏名又は名称】佐藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正志
【審査官】
北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−042420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/20−1/40
H04R 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステレオ放送手段に左マイクと右マイクの出力とともに中央マイク(指向性マイク)音源の出力信号を入力し、一方中央マイクからデジタル変換回路経由で第2プロセッサからC音源検出信号を多重データ放送手段に加え、ステレオ放送手段でラジオ放送局側が3マイク音源で放送する場合、FMステレオチューナで第1のMPX回路で左チャンネルと右チャンネルを出力、FM多重信号検出によりC音源を検知するライブ音源切り換え手段とパスリレーでオンオフを切り替え、オンの場合、第2のMPX回路でC音源を含む左チャンネルと右チャンネルをを出力、第3プロセッサで分離したC音源の信号を検出後、センタースピーカアンプに入力、低音ブーストデュアルスピーカユニットで重低音を鳴らすとともにステレオスピーカアンプを経由して左スピーカと右スピーカから音を出すことを特徴とする低音ブーストデュアルリアルサラウンド3Dラジオ。
【請求項2】
スピーカネットワークの低音域において、C音源信号を入力端子から入力する場合、重低音を検出する低音域検出回路と第2エンコード回路を介して重低音域の検知信号を第1プロセッサに入力、第1のDACを介して電磁弁をオフ、閉じた状態にして高音域検出回路と第1エンコード回路で低音において高音域の検知信号を第1プロセッサに入力、電磁弁を開いた状態にして第1ウーファ―スピーカと第2ウーファースピーカを共鳴増強ダクト内の管の上下に設け、一方を共鳴増強ホーンとツィータを前面のスピーカネットに設け、反対方向に電磁弁を設け、共鳴増強ダクト側に共鳴低音取り入れ口を共鳴増強ホーン側に共鳴低音放出口を設けた音響スクリュー音響ダクトを共鳴増強ダクトの外周にコイル状に巻きつけた構造の音響エアコイル部を配置した低音ブーストデュアルスピーカユニットを本体の中央に設けることを特徴とする請求項1記載の低音ブーストリアルサラウンド3Dラジオ。
【請求項3】
左スピーカ及び右スピーカに向い合せるように配置する音反射板に圧電素子を取り付け、音反射板の一方を支点にして回転させC音源と第3プロセッサのD出力をともに第5プロセッサに、C音源と第4プロセッサのM出力を第6プロセッサに入力、それぞれの電圧比の出力を対応するオペアンプに入力、増幅後の出力を左右の音反射板に設けた圧電素子に加えることを特徴とする低音ブーストデュアルリアルサラウンド3Dラジオ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型コンパクトながら重低音を響かせるリアルサラウンドを可能とする低音ブーストデュアルリアルサラウンド3Dラジオに関するものである。
【背景技術】
【0002】
波の重ね合わせで同じ振動数の波が重なることで共鳴すると振幅が2倍、エネルギーが4倍になる性質が或る。さらに容積の大きい箱の空間内で発生した音波は容積の小さい箱の空間内に入ると管共鳴という増幅作用が働き低音を増強させる。パルプオルガンやバスレフ型音響ポートに利用させている。
【0003】
従来、音響技術において低音を伸ばすには管共鳴の原理が用いられた。気柱の長さと音速と共鳴する振動数の関係は次の式で示されている。
【0004】
【数1】
【数2】
【数3】
【0005】
数式1と数式2において管の長さをL、音速をV、固有振動数をfmとすると閉管の方が共鳴振動数は低いことが判る。
【0006】
音圧に関してボイルシャルルの法則から容積の大きい方と小さい方では圧力は容積の小さい方が高いことが判る。ちなみにボイルシャルルの法則は数式3の通り圧力P1と容積Aの体積をV1、容積BをV2、その圧力をP2とする。
【0007】
音響ユニットであるスピーカは磁束の増大は加える電流の大きさとムービングコイルの断面積に正比例し、自己インダクタンスは大きくなる。低音は、ムービングコイルの断面積の大きさで音圧が伸びることが知られている。
【0008】
音響方式はバーチャルサラウンド方式とリアルサラウンド方式が或る。音量レベル差や時間差や位相差などで音を拡がるように聴こえるバーチャルサラウンド方式は左右背後の移動感はなく前方向の立体感はある。それに対してリアルサラウンド方式は、背後左右の音場感はある。現時点で壁に反射させる方法はある。
【0009】
音反射率は、スピーカの音を媒質1に放射すると媒質2で返ってくる音の方向が変わる。音反射板の支点を中心に音反射板が回転する角度で音が反射する角度は変わる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来、20ヘルツ程度の重低音は、コンパクトな小形スピーカで聴く事は、物理的に困難である。自然な透明な音再現もできない。3スピーカで再生する場合、分離がうまく行かず臨場感や音の移動感がはっきりしないためリアル感に欠ける。
本発明は、以上の問題を解決しようとするためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
指向性マイクを利用した中央マイクと左右マイクを音源に対して3点間に配置した3マイク音源収録部は左右マイク音声に中央マイク音声を混合させるとともに中央マイク(C音源検出信号)を多重データ信号送出手段とステレオ放送手段で放送しFMステレオチューナで受信、FM多重信号検出でC音源検出信号を検出すると、FMステレオチューナに接続してあるパスレーはオン(検出しないときはオフ)、第2のMPX回路に通す。一方、FMステレオチューナから第1のMPX回路に接続、ステレオスピーカアンプで増幅して左スピーカ及び右スピーカでステレオ音響をだす。
【0012】
第1のMPX回路の左チャンネル成分と第2のMPX回路の左チャンネルの出力に逆位相変換回路を接続した信号を同時に第3プロセッサに入力、加算演算するとC音源が出てくる。
この出力をD出力とする。D出力をセンタースピーカアンプで増幅、低音ブーストデュアルスピーカユニットに接続する。
【0013】
第1のMPX回路の右チャンネル成分と第2のMPX回路の右チャンネルを第4プロセッサに入力するとこの出力をM出力とする。D出力と第1のMPX回路の左チャンネル出力を第5プロセッサで演算した出力を左スピーカに支点を中心に回転し傾く音反射板に取付けた圧電素子に加える。同じように右スピーカに圧電素子に第1のプロセッサの右チャネル出力とM出力を第6プロセッサで傾きを算出する演算で前述の圧電素子に加える。
以上のような構成の低音ブーストデュアルリアルサラウンド3Dラジオ。
【発明の効果】
【0014】
共鳴増強ダクトに管共鳴の振動数に関係ある管の長さを延長する、音響エアコイル部のスクリュー音響ダクトの効果でより低音域に対応し、2個のウーフアースピーカを共鳴増強ダクトに共鳴管の上下に対向配置することで音響エネルギーを大きくする。
低音域検出回路と高音域検出回路で電磁弁の開閉により閉管状態と開管状態を切り換え、共鳴振動数を変化させた共鳴増強ホーンを設ける事で重低音再生を実現する。
プロセッサの演算で左右スピーカに向き合う音反射板の傾き度を演算し、音反射板の設けた圧電素子に加えることで臨場感のある重低音再生を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】本発明の電磁弁の開閉時の振動数の変化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例の形態を説明する。
オーディオ信号が入力端子(1)に入るとスピーカネットワーク(2)に接続してある音域ネットワーク制御チップ(3)に信号が入る。
スピーカネットワーク(2)から第1ウーフアースピーカ(4)と第2ウーフアースピーカ(5)とツィータ(8)に接続されている。
【0017】
ツィータ(8)は、スピーカネット(9)に接合され共鳴増強ダクト(7)の内側の管部分に第1ウーフアースピーカ(4)と第2ウーフアースピーカ(5)の口径部分が接合されている。さらに共鳴増強ダクト(7)の後方に電磁弁(11)が設けてある。
【0018】
音域ネットワーク制御チップ(3)は高音域検出回路(13)と第1エンコード回路(14)が接続、低音域検出回路(15)は、第2エンコード回路(16)に接続されスピーカネットワーク(2)から低音域の範囲で比較的高音域の部分は高音域検出回路(13)で重低音域の音は低音域検出回路(15)で検出される。
【0020】
第1エンコード回路(14)と第2エンコード回路(16)は異なるデジタル数値が設定されている。第1プロセッサ(17)に伴に入力する。第1プロセッサ(17)は第1のDAC(18)で「1」か「0」の信号に変換電磁弁(11)を開閉する。
【0021】
電磁弁(11)が開くと共鳴増強ダクト(7)は開管状態になり共鳴振動数は高くなる。つまり高音域検出回路(13)が高音域の音を検出すると第1プロセッサ(17)は電磁弁(11)を開くように「1」を出力するように命令する。
【0022】
第1ウーフアースピーカ(4)と第2ウーフアースピーカ(5)から低音域の音が2個の音圧が重なることでエネルギーが増大した低音が共鳴増強ダクト(7)から共鳴増強ホーン(6)を介してツィータ(8)の音とともにスピーカネット(9)から音がでる。
【0023】
管共鳴の長さに正比例して共鳴振動数が低下するのでより低域音再生のため音響エアコイル部(22)にスクリュー音響ダクト(23)を設け、共鳴増強ダクト(7)の電磁弁(11)側に或る共鳴低音取り込み口(24)に接合し、Bから取り込みCを通過して共鳴増強ホーン(6)側の共鳴低音放出口(25)から音が出る。
【0024】
電磁弁(11)が開くとエア開路ポート(12)とスピーカ取付け補強材(10)の中心部分のポートから抜けの良い音響空間ができる。スピーカ取付け補強材(10)は2箇所からスピーカの固定に使われる。
重低音の再生表示は、第1のDAC(18)の「0」出力端子が赤色LED(19)に接続してある。「1」出力端子は青色LED(20)が接続してある。
【0025】
出力される電気信号で40ヘルツ程度の高音域検出回路(13)が検知、20ヘルツ程度で低音域検出回路(15)が検知し、20ヘルツ程度の重低音は、赤色LED(19)が点灯する。
【0026】
図3に示す通り3Dサラウンドラジオに応用するには、3マイク音源収録部(29)で中央マイク(26)と左マイク(27)と右マイク(28)でステレオ音源を捕らえる。中央マイク(26)は、音源に対して中央に設置し、左右の位置に左マイク(27)と右マイク(28)を設置する。
【0027】
ライブ音源自動切り換え手段(37)から接続し、パスリレー(38)の入力側にFMステレオチューナ(35)を接続しパスリレー(38)は、第2のMPX回路(39)に接続されている。
FMステレオチューナ(35)に接続したFM多重信号検出(36)からC音源が入感するとC音源検出信号(33)の有無によりパスリレー(38)をオンオフする。オンの時第2のMPX回路(39)に入る。オフの場合第2のMPX回路(39)には入力されない。
【0028】
同時にFMステレオチューナ(35)から第1のMPX回路(40)に入力される。左マイク信号と右マイク信号が出力される。第2のMPX回路(39)の出力は中央マイク(26)からのC音源を検出してパスリレー(38)がオン時第2のMPX回路(39)に入力するのでこの出力はC音源を含む信号である。
【0029】
第2のMPX回路(39)の左チャンネル出力と右チャンネル出力に連結逆位相変換回路(41)が接続されている。この連結逆位相変換回路(41)は2個の逆位相変換回路が結線しない並列になっているモジュールで構成されている。第2のMPX回路(39)の左マイク成分と第1のMPX回路(40)の左チャンネル出力を第3プロセッサ(42)に入力する。第3プロセッサ(42)は加算演算をする。
この出力をD出力(51)とする。
第2のMPX回路(39)の右マイク成分と第1のMPX回路(40)の右チャンネル出力を第4プロセッサ(43)に入力する。第4プロセッサ(43)は加算演算をする。
この演算出力をM出力(53)とする。
【0030】
第1のMPX回路(40)の左チャンネル出力と右チャンネル出力はステレオスピーカアンプ(46)で増幅して左スピーカ(47)と右スピーカ(48)により左右からステレオ音響が聴こえる。
【0031】
D出力(51)もしくはM出力(53)は、センタースピーカアンプ(44)で増幅して低音ブーストデュアルスピーカユニット(45)に出力重低音を出す。3マイク音源収録部(29)において、中央マイク(26)に音源が移動してきた場合中央マイク(26)に入る音レベルと左マイク(27)の音レベルは次第に中央マイク(26)に入る音のレベルの方が大きくなる。つまり再生側で左スピーカ(47)の音レベルとC音源のレベルの比率によって移動する音源の位置が変化することで音の反射角度を変えて聴こえてくる方向を変えることができる。つまりバーチャルサラウンドではないリアルサラウンドが再現できる。
【0032】
図10は音偏向を行う部分を示したもので、音偏向部(62)で左スピーカ(47)と右スピーカ(48)の音に3Dサラウンドに必要な音の進行方向の傾きを与える。
音反射板(左)(49)の一方に第1圧電素子(50)を取り付け、左反射スピーカカバー部(63)と支点(61)を音反射板(左)(49)の別片方を取り付ける。
同じように音反射板(右)(57)に第2圧電素子(58)に設け、支点(61)と音反射板(右)(57)を取り付け、右反射スピーカカバ−部(64)を付ける。左スピーカ(47)と右スピーカ(48)の対向配置で彎曲反射器(65)を2個置く。
第1のMPX回路(40)の左チャンネル出力をD1とするとD出力(51)を第5プロセッサ(52)に入力する。第5プロセッサ(52)はD出力(51)割るD1出力の演算をする。
第1のMPX回路(40)の右チャンネル出力をM1とするとM出力(53)は第6プロセッサ(54)に加えられM出力(53)割るM1出力を演算する。ともに除算演算のアルゴリズムを使う。
【0033】
第5プロセッサ(52)に第2のDAC(57)と第1オペアンプ(56)で増幅第1圧電素子(50)に加えることで音反射板(左)(49)は支点(61)を中心に傾いて中央側に音が移動するようにする。同じように第6プロセッサ(54)に第3のDAC(59)と第2オペアンプ(60)で第2圧電素子(58)に加えると音反射板(右)(57)は中央方向に音が移動するように傾く。
【0034】
音反射板(左)(49)は左スピーカ(47)の口径に向かい合うように配置してあり音反射板(右)(57)は右スピーカ(48)の口径に向かい合うように配置されている。
【0035】
音像の移動で中央に移動する音源では左スピーカ(47)の音反射板(左)(49)は少しずつ中央方向に移動して聴こえる。
以上が本発明の構成である。
【符号の説明】
【0036】
1 入力端子
2 スピーカネットワーク
3 音域ネットワーク制御チップ
4 第1ウーフアースピーカ
5 第2ウーフアースピーカ
6 共鳴増強ホーン
7 共鳴増強ダクト
8 ツィータ
9 スピーカネット
10 スピーカ取付け補強材
11 電磁弁
12 エア開路ポート
13 高音域検出回路
14 第1エンコード回路
15 低音域検出回路
16 第2エンコード回路
17 第1プロセッサ
18 第1のDAC
19 赤色LED
20 青色LED
21 電源回路
22 音響エアコイル部
23 スクリュー音響ダクト
24 共鳴低音取り込み口
25 共鳴低音放出口
26 中央マイク(指向性マイク)
27 左マイク
28 右マイク
29 3マイク音源収録部
30 デジタル変換回路
31 第2プロセッサ
32 多重データ送出手段
33 C音源検出信号
34 ステレオ放送手段
35 FMステレオチューナ
36 FM多重信号検出
37 ライブ音源自動切り換え手段
38 パスリレー
39 第2のMPX回路
40 第1のMPX回路
41 連結逆位相変換回路
42 第3プロセッサ
43 第4プロセッサ
44 センタースピーカアンプ
45 低音ブーストデュアルスピーカユニット
46 ステレオスピーカユニット
47 左スピーカ
48 右スピーカ
49 音反射板(左)
50 第1圧電素子
51 D出力
52 第5プロセッサ
53 M出力
54 第6プロセッサ
55 第2のDAC
56 第1オペアンプ
57 音反射板(右)
58 第2圧電素子
59 第3のDAC
60 第2オペアンプ
61 支点
62 音偏向部
63 左反射スピーカカバー部
64 右反射スピーカカバー部
65 彎曲音反射器