特許第6182768号(P6182768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182768
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】車両用ドアラッチ装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 77/04 20140101AFI20170814BHJP
   E05B 79/08 20140101ALI20170814BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   E05B77/04
   E05B79/08
   B60J5/00 H
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-129515(P2013-129515)
(22)【出願日】2013年6月20日
(65)【公開番号】特開2015-4195(P2015-4195A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2016年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】長岡 智治
(72)【発明者】
【氏名】野澤 秀晶
【審査官】 村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−247501(JP,A)
【文献】 実公平03−047085(JP,Y2)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0029835(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア内に固定されるベース部材と、
前記ベース部材に設置され、車体側のストライカと噛合することにより前記ドアを閉位置に保持可能な噛合機構と、
前記ベース部材に設置され、前記ドアのアウタパネルに配置されるアウトサイドハンドルの開操作に基づいてリリース方向へ回転可能なアウトサイドレバーと、
前記ベース部材に設置され、前記アウトサイドレバーのリリース方向への回転に基づいて前記噛合機構の噛合を解除可能なアンロック状態及び解除不能なロック状態に変化可能なロック手段と、
常時は待機位置に保持され、前記アウタパネルの変形を伴って前記待機位置から車内方向へ変位可能な検知手段とを備え、
前記検知手段は、前記待機位置から車内方向へ移動することにより、前記ロック手段に接触することによって、前記ロック手段をアンロック状態からロック状態に変化させることを特徴とする車両用ドアラッチ装置。
【請求項2】
前記検知手段は、スプリングの付勢力に抗して前記待機位置から車内方向へ移動することを特徴とする請求項1記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項3】
前記アウトサイドレバーを、前記アウトサイドハンドルに操作力伝達部材を介して連結される車外側の第1アウトサイドレバーと、前記リリース方向の回転を前記ロック手段に伝達可能とする車内側の第2アウトサイドレバーとに分割し、
前記第1アウトサイドレバーを前記検知手段としたことを特徴とする請求項1または2記載の車両用ドアラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドア内に配置されるドアラッチ装置に係り、特に、側面衝突等によりドアのアウタパネルが変形した際でも、閉状態が維持されるようにした車両用ドアラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に車両用ドアラッチ装置は、ドア内に固定されるベース部材と、車体側のストライカに噛合しドアを閉位置に保持可能な噛合機構とを備え、ベース部材には、ドアのアウタパネルに設けられるアウトサイドハンドルにロッド等の操作力伝達部材を介して連結されるアウトサイドレバー、及びその他の各種可動要素が設置される。
【0003】
そして、アウトサイドレバーは、その車外側端部の連結部がアウトサイドハンドルに操作力伝達部材を介して連結される関係上、連結部は、アウタパネルへ向けてベース部材よりも突出している。そのため、側面衝突等によりアウタパネルが車内側へ向けて変形した際、変形したアウタパネルが連結部に接触し、アウトサイドレバーに対して回転方向、すなわちドアを開ける方向であるリリース方向への力が作用すると、噛合機構とストライカとの互いの噛合が外れドアが不意に開く虞がある。
【0004】
また、特許文献1に記載された車両用ドアラッチ装置は、噛合機構とストライカとの噛合を解除し得るようにリリース方向へ回転可能なリフトレバーを備え、側面衝突等によりアウタパネルに変形が生じた際、リフトレバーをその回転軸方向へ傾斜させる等して、リフトレバーのリリース方向への回転を阻止することで、ドアを閉状態に維持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭60−55671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のドアラッチ装置は、アウタパネルの車内側への変形により、リフトレバーに対してその回転軸方向の力が作用した場合には、リフトレバーのリリース方向への回転を有効的に阻止可能であるが、リフトレバーに対してその回転方向への力が作用した場合にはリフトレバーの回転を阻止することはできない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、ドアが変形した際でもドアの閉状態を維持可能にした車両用ドアラッチ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
第1の発明は、ドア内に固定されるベース部材と、前記ベース部材に設置され、車体側のストライカと噛合することにより前記ドアを閉位置に保持可能な噛合機構と、前記ベース部材に設置され、前記ドアのアウタパネルに配置されるアウトサイドハンドルの開操作に基づいてリリース方向へ回転可能なアウトサイドレバーと、前記ベース部材に設置され、前記アウトサイドレバーのリリース方向への回転に基づいて前記噛合機構の噛合を解除可能なアンロック状態及び解除不能なロック状態に変化可能なロック手段と、常時は待機位置に保持され、前記アウタパネルの変形を伴って前記待機位置から車内方向へ変位可能な検知手段とを備え、前記検知手段は、前記待機位置から車内方向へ移動することにより、前記ロック手段に接触することによって、前記ロック手段をアンロック状態からロック状態に変化させることを特徴とする
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記検知手段は、スプリングの付勢力に抗して前記待機位置から車内方向へ移動することを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第1または2の発明において、前記アウトサイドレバーを、前記アウトサイドハンドルに操作力伝達部材を介して連結される車外側の第1アウトサイドレバーと、前記リリース方向の回転を前記ロック手段に伝達可能とする車内側の第2アウトサイドレバーとに分割し、前記第1アウトサイドレバーを前記検知手段としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、ドアのアウタパネルが車内側へ変形した際、検知手段がアウタパネルの変形に伴って車内方向へ移動し、当該移動をもってロック手段をロック状態に移動させることにより、ドアの閉状態を確実に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明を適用したドアラッチ装置の正面図である。
図2】同じく、ドアラッチ装置の背面図である。
図3図1におけるIII矢視方向から見たアンロック状態にあるときのドアラッチ装置の側面図である。
図4】同じくロック状態にあるときのドアラッチ装置の側面図である。
図5】要部の拡大斜視図である。
図6】待機状態にあるときの要部の説明図である。
図7図6におけるVII−VII線横断面図である。
図8】アウトサイドハンドルが開操作されたときの要部の作動説明図である。
図9】ドアのアウタパネルが車内側へ変形した状態の要部の作動説明図である。
図10図9におけるX−X線横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、図1の左側及び図2の右側を「車内側」とし、図1の右側及び図2の左側を「車外側」とし、図1の図面手前側及び図2の図面奥側を「後側」とし、図1の図面奥側及び図2の図面手前側を「前側」とする。
【0014】
図1、2に示すように、本発明に係るドアラッチ装置1は、車体の側面に開閉自在に支持されるサイドドア(以下、ドアと略称する)2内に取り付けて使用されるものであって、ベース部材3と、ベース部材3に設置され車体に固着されるストライカ4と噛合することによりドア2を閉状態に保持可能な噛合機構5と、ベース部材3に設置される後述する各種可動要素とを備える。
【0015】
ドア2は、車外側のアウタパネル2aと車内側のインナパネル2bとから形成される。アウタパネル2aには、車外からドア2を開けるときに開操作されるアウトサイドハンドル6が設けられ、また、インナパネル2bには、車内からドア2を開けるときに開操作される図示略のインサイドハンドル及び車内からドアラッチ装置1をロック状態及びアンロック状態に切り替えるときに操作される図示略のロックノブが設けられる。
【0016】
ベース部材3は、図示略のボルトによりドア2内におけるインナパネル2bの後端面に固定され、後面が開口した箱状の合成樹脂製のボディ31と、ボディ31の開口を閉塞してボディ31と共にインナパネル2bに固定される金属製のカバープレート32と、ボディ31の前面に固定される金属製のベースプレート33と、ボディ31の前面側に設置される各種可動要素を覆うようにボディ31に固定される合成樹脂製のケーシング34とを含む。なお、ベースプレート33及び/またはケーシング34は、必要に応じて省略可能なものであって、必ずしも必要とするものではない。したがって、本実施形態においては、各種可動要素をベースプレート33またはケーシング34に設置する構成について以下に説明するが、当該説明のボディ31またはカバープレート32の形状を適宜変更して、各種可動要素をボディ31またはカバープレート32に設置しても良い。また、図2は、説明の便宜上、可動要素である後述のリリースレバー14の一部、ロックレバー16及びケーシング34を省略して示し、図3、4は、ケーシング34を2点鎖線で示している。
【0017】
図1、2に示すように、噛合機構5は、ボディ31とカバープレート32間に前後方向のラッチ軸7により枢支され、車体側のストライカ4に噛合可能なラッチ8と、ボディ31とカバープレート32間に前後方向のラチェット軸9により枢支され、ラッチ8の外周縁に係合することによりラッチ8の回転を阻止可能なラチェット10とを備える。なお、ラッチ8は、図示略のスプリングにより図1において時計方向のオープン方向へ付勢され、また、ラチェット10は、図示略のスプリングにより図1において反時計方向の係合方向へ付勢される。
【0018】
ドア2が閉じられると、ストライカ4がカバープレート32に設けられた左右方向のストライカ進入溝32aに図1に示す矢印方向から進入してラッチ8に係合する。これにより、ラッチ8は、オープン位置(図1に示すフルラッチ位置から時計方向へほぼ90度回転した位置)からフルラッチ位置に回動し、ラチェット10がラッチ8の外周縁に係合することで、ラッチ8のオープン方向(図1において時計方向)への回動を阻止して、ドア2は閉状態に保持される。
【0019】
図2、3に示すように、各種可動要素は、ベースプレート33に前後方向、すなわちアウタパネル2aの面に対してほぼ平行な支軸17により支持される車外側の第1アウトサイドレバー12及び車内側の第2アウトサイドレバー13と、第2アウトサイドレバー13に連結されるリリースレバー14と、ラチェット10と一体的に回転可能なオープンレバー15と、ケーシング34に支持され、インサイドハンドルに連結される図示略のインサイドレバーと、ロックノブに連結されるロックレバー16とを含む。
【0020】
なお、本実施形態において、リリースレバー14及びロックレバー16は、ロック状態及びアンロック状態に変化可能な本発明に係るロック手段に相当する。しかし、本発明は、本実施形態のみに限定されるものでなく、例えば、リリースレバー14及びロックレバー16の連係関係、配置関係を適宜変更可能である。要は、ロック手段は、第1、2アウトサイドレバー12、13のリリース方向への回転を有効してドア2の開きを可能にするアンロック状態及び無効にしてドア2の開きを不能にするロック状態に変化可能な構成であればどのような構成であっても良い。
【0021】
第1アウトサイドレバー12は、ベース部材3よりも車外側に突出しアウトサイドハンドル6に上下方向を向く操作力伝達部材11を介して連結される車外側連結部12aと、車内外方向を向く長孔12bと、リリースレバー14をアンロック位置からロック位置に強制移動させる強制ロック部12cとを有し、長孔12bに支軸17が相対的に移動可能に挿入されることにより、ベースプレート33に回転可能で、かつ車内方向へ移動可能に支持される。さらに、第1アウトサイドレバー12は、常時はスプリング18の付勢力により図1、2、6、7に示す待機位置に保持され、アウトサイドハンドル6の開操作が操作力伝達部材11を介して車外側連結部12aに入力された場合には、スプリング18の付勢力に抗して待機位置から図8に示すようにリリース方向(図6において反時計方向)へ所定角度回転し、また、側面衝突等によりアウタパネル2aが車内側に変形し車外側連結部12aに接触した場合には、スプリング18の付勢力に抗して待機位置から図9、10に示すように車内方向へ変位した没入位置に移動する。
【0022】
なお、本実施形態においては、第1アウトサイドレバー12は、本発明に係るアウタパネル2aの変形を伴って待機位置から車内方向へ変位可能な検知手段に相当する。しかし、本発明は、本実施形態のみに限定されるものでなく、検知手段を第1アウトサイドレバー12に代えて他の要素としても良い。この場合は、第1、2アウトサイドレバー12、13を一体構成とし、検知手段を他の要素として追加する。
【0023】
第2アウトサイドレバー13は、支軸17によりベースプレート33に回転可能に支持され、車内側端部にはリリースレバー14の下部に連結される車内側連結部13aが設けられ、下部には第1アウトサイドレバー12に対して図2において反時計方向側から当接可能な折曲部13bが設けられる。
【0024】
スプリング18は、支軸17に巻装されると共に、一端が弾性力を付与した状態でベースプレート33に設けた掛止片33a及び第1アウトサイドレバー12に形成した掛止片12dに車内側から掛止され、他端が第2アウトサイドレバー13の折曲部13bに図2において時計方向側から掛止されることにより、第1、2アウトサイドレバー12、13に対して図2において時計方向への付勢力を付与すると共に、第1アウトサイドレバー12に対して車外方向への付勢力を付与する。なお、第1、2アウトサイドレバー12、13における図2に示す待機位置から時計方向への回転は、ベースプレート33またはケーシング34に設けた図示略のストッパにより阻止される。
【0025】
操作力伝達部材11は、金属製のロッドにより形成され、上端部がアウトサイドハンドル6に連結され、クランク状に折曲された下端部が車外側連結部12aに上方から係合されることで、アウトサイドハンドル6の開操作に基づいて下方へ移動し、当該移動をアウトサイドハンドル6の開操作として第1アウトサイドレバー12の車外側連結部12aに伝達する。これにより、第1アウトサイドレバー12は、スプリング18の付勢力に抗して、待機位置からリリース方向へ回転し、当該回転は、折曲部13bを介して第2アウトサイドレバー13に伝達され、第2アウトサイドレバー13は、第1アウトサイドレバー12と共にリリース方向へ回転する。
【0026】
図3、4に示すように、ロックレバー16は、車内外方向を向く支軸19によりケーシング34に枢支されると共に、ボーデンケーブル等の操作力伝達部材を介してロックノブに連結され、ロックノブの操作に基づいて、図3に示すアンロック位置及び当該アンロック位置から時計方向へ所定角度回転した図4に示すロック位置に移動可能である。なお、ロックレバー16は、アンロック位置及びロック位置に図示略のスプリングの付勢力により弾性保持される。
【0027】
リリースレバー14は、下部に設けた連結孔14aに第2アウトサイドレバー13の車内側連結部13aが挿入されることで前後方向へ揺動可能に第2アウトサイドレバー13に連結されると共に、側面に設けた上下方向の長溝14bにロックレバー16の側面に設けた突部16aが相対的に上下方向へスライド可能に係合されることでロックレバー16のアンロック位置及びロック位置への移動に連動して、図3に示すアンロック位置及び車内側連結部13aを支点にして当該アンロック位置から時計方向へ所定角度回転した図4に示すロック位置に移動可能である。さらに、リリースレバー14の連結孔14aよりも上方部位には、第1アウトサイドレバー12が没入位置に移動した際、強制ロック部12cが接触可能な被強制ロック部14dが形成される。
【0028】
図3に示すように、リリースレバー14及びロックレバー16がアンロック位置にあるアンロック状態の場合、第2アウトサイドレバー13の待機位置からリリース方向への回転がリリースレバー14に伝達されると、リリースレバー14は、待機位置から上方へ移動し、当該移動によりリリースレバー14に設けた解除部14cがオープンレバー15の回転部分に設けた被解除部15aに下方から当接することで、オープンレバー15を図2に示す位置から反時計方向のリリース方向へ回転させ、ラチェット10をラッチ8から外れるリリース方向へ回転させてドア2の開きを可能にする。また、図4に示すように、リリースレバー14及びロックレバー16がロック位置にあるロック状態の場合、第2アウトサイドレバー13の待機位置からリリース方向への回転がリリースレバー14に伝達されて、リリースレバー14が待機位置から斜め上方へ移動しても、リリースレバー14の解除部14cがオープンレバー15の被解除部15aに対して当接しない。したがって、ラチェット10とラッチ8との互いの係合関係が保持され、ドア2を開くことができない。
【0029】
次に、図6〜10に基づいて、本実施形態に係るドアラッチ装置1の作用、特に各種可動要素の動きについて説明する。
図6、7は、ドア2が閉じた状態にあって、第1、2アウトサイドレバー12、13がスプリング18の付勢力により待機位置に保持されている待機状態を示す。この待機状態においては、第1アウトサイドレバー12の強制ロック部12cは、リリースレバー14の側方にあって、リリースレバー14の被強制ロック部14dに干渉しない位置にある。
【0030】
待機状態で、かつアンロック状態において、アウトサイドハンドル6が開操作されて操作力伝達部材11が下方に移動すると、第1、2アウトサイドレバー12、13は、スプリング18の付勢力に抗して支軸17を中心にリリース方向へ所定角度回転し、図8に示す位置に回転することで当該回転をリリースレバー14に伝達する。リリースレバー14は、上方(リリース方向)へ移動することで、解除部14cがオープンレバー15の被解除部15aに下方から当接し、オープンレバー15をリリース方向(図2において反時計方向)へ回転させる。これにより、ラチェット10は、オープンレバー15と一体に回転しラッチ8から外れてラッチ8のオープン方向への回転を許可してドア2の開きを可能にする。
【0031】
待機状態で、かつアンロック状態において、側面衝突等によりドア2のアウタパネル2aが車内側に変形し、図9、10に示すように、変形したアウタパネル2aが第1アウトサイドレバー12の車外側連結部12aに接触して第1アウトサイドレバー12を車内方向へ押し込むような力が作用した場合には、第1アウトサイドレバー12は、スプリング18の付勢力に抗して、待機位置から車内方向へ移動し、強制ロック部12cが被強制ロック部14dに接触する。これにより、強制ロック部12cが車内方向へ移動しつつアンロック位置にあるリリースレバー14を強制的にロック位置に移動させる。また、リリースレバー14のロック位置への移動に連動して、ロックレバー16もロック位置に移動する。すなわち、側面衝突等でアウタパネル2aが車内側に変形して、アウタパネル2aが第1アウトサイドレバー12に接触した場合には、ロック手段(リリースレバー14及びロックレバー16)をアンロック状態からロック状態に変化させる。
【0032】
そして、アウタパネル2aの変形がさらに進んで、操作力伝達部材11を下方へ変位させるような力、または第1アウトサイドレバー12をリリース方向へ回転させるような力が作用しても、リリースレバー14はロック位置に変位しているため、オープンレバー15をリリース方向へ回転させることはできない。よって、ドア2が予期せず開いてしまうことを確実に防止することができる。
【0033】
以上、本発明を上記実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、次のような変形や変更を施すことが可能である。
(a)上述のように、第1アウトサイドレバー12と第2アウトサイドレバー13とを一体形成したものをアウトサイドレバーとし、アウタパネル2aが車内側へ変形した際、当該変形に伴って待機位置から車内方向へ移動可能な専用の検知手段を別に設ける。そして、リリースレバー14をロック位置に強制移動させる強制ロック部12cは検知手段に設ける。この場合には、アウトサイドレバー12は、従来のものをそのまま使用し、検知手段を追加することで、本発明は達成される。
(b)強制ロック部12cをロックレバー16に対して接触可能とし、当該接触によりロックレバー16及びリリースレバー14をロック位置に移動させる。
(c)ドアを車両のスライドドアまたはバックドアとする。
【符号の説明】
【0034】
1 ドアラッチ装置 2 ドア
2a アウタパネル 2b インナパネル
3 ベース部材 4 ストライカ
5 噛合機構 6 アウトサイドハンドル
7 ラッチ軸 8 ラッチ
9 ラチェット軸 10 ラチェット
11 操作力伝達部材
12 第1アウトサイドレバー(検知手段)
12a 車外側連結部 12b 長孔
12c 強制ロック部 12d 掛止片
13 第2アウトサイドレバー 13a 車内側連結部
13b 折曲部 14 リリースレバー(ロック手段)
14a 連結孔 14b 長溝
14c 解除部 14d 被強制ロック部
15 オープンレバー 15a 被解除部
16 ロックレバー(ロック手段) 16a 突部
17 支軸 18 スプリング
19 支軸 31 ボディ31
32 カバープレート 32a ストライカ進入溝
33 ベースプレート 33a 掛止片
34 ケーシング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10