特許第6182786号(P6182786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182786
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】結束バンドの固定構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20170814BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20170814BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H02G3/30
   F16B2/08 A
   B60R16/02 623V
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-236457(P2013-236457)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-97434(P2015-97434A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2016年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】池田 晋一
(72)【発明者】
【氏名】三輪 聖史
(72)【発明者】
【氏名】宮原 啓太
【審査官】 中木 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−228078(JP,A)
【文献】 特開2012−228079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
B60R 16/02
F16B 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と,該底壁の両端から突出する一対の側壁と,を有し、
前記底壁及び前記一対の側壁で囲まれた内側に、ワイヤハーネスを挿通する空間と,
前記ワイヤハーネスを前記空間内に固定する結束バンドを該結束バンドの先端から挿入する入口と、該入口から挿入された前記結束バンドを前記空間内に導出する出口と、を備え、筒状に形成した案内部材と,
前記ワイヤハーネスを前記空間から導出する導出口と,
を設けてなるワイヤハーネス挿通部を備え、
前記一対の側壁のうち、一方の側壁を、他方の側壁よりも大きく突出して形成する結束バンドの固定構造において、
前記案内部材を、前記底壁に設けるとともに、前記導出口又は該導出口近傍に設け、
前記案内部材を形成する壁面の一部が前記他方の側壁に連結して形成される前記入口を備え、前記出口が前記一方の側壁に向くように形成され、前記案内部材の筒方向が前記ワイヤハーネスの軸方向に対して傾斜して形成される
ことを特徴とする結束バンドの固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の結束バンドの固定構造において、
前記空間内における前記底壁と前記一方の側壁とが連続する部分に、断面略円弧状の湾曲部を形成し、該湾曲部は、前記出口から導出された前記結束バンドの先端が突き当たるように配置する
ことを特徴とする結束バンドの固定構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の結束バンドの固定構造において、
前記案内部材は、前記入口から前記出口に向かって狭くなるように形成してなる
ことを特徴とする結束バンドの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネス等の電線束を結束バンドで作業性良く固定する結束バンドの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤハーネス等の電線束を結束バンドで固定する結束バンドの固定構造に関しては、例えば、特許文献1に開示されているものが用いられてきた。特許文献1に記載されたワイヤハーネス用プロテクタは、図3において、底壁2と、底壁2の両端に立設される一対の側壁3,4と、を備えて構成されている。底壁2には、締結バンド10の通し穴となる第1穴11と、第2穴12と、を設けている。第1穴11は、挿通空間5(図1参照)から締結バンド10のバンド片10aを通す穴として設けられている。第2穴12は、第1穴11を通したバンド片10aを通したバンド片10aを底壁2の背面側に回して挿通空間5に引き出す通し穴として設けられている。第2穴12の周縁で且つ第1穴11と反対側の周縁には、ガイド部15が突設されている。ガイド部15の第1穴11側は、突当面15aとして形成されている。突当面15aには、第2穴12からガイド部15の突出端部にかけて、ガイドリブ15bが設けられている。
【0003】
図4(A)において、ワイヤハーネスW/Hを挿通空間5(図1参照)に挿通する。しかる後、図4(B)において、締結バンド10のバンド片10aを先端10a−1からワイヤハーネスW/Hと側壁3との間に挿入する。バンド片10aをさらに挿入していくと、バンド片10aは第1穴11に挿通される。しかる後、図4(C)において、バンド片10aの先端10a−1を底壁2の中央部に向けると、ガイド部15の突当面15aにバンド片10aの先端10a−1が突き当たる。そうすることにより、図4(D)において、バンド片10aの先端10a−1をガイドリブ15bに添わせて底壁2側に向けると、先端10a−1は第2穴12に達する。そして、図4(E)において、バンド片10aの先端10a−1は、第2穴12に挿通され挿通空間5内に引き出される。つづいて、締結バンド10の締結部10bの係止穴10cにバンド片10aの先端10a−1を挿入し引っ張ることで、締結バンド10は、ワイヤハーネスW/Hに直交して巻き付けられることになる。そうすることにより、ワイヤハーネスW/Hを底壁2に固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−98921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図5には、特許文献1に記載の締結バンドの固定構造を、コネクタホルダに応用した場合の構造を示している。図5において、コネクタホルダ100は、樋状に形成され内側にワイヤハーネス(図示せず)を挿通するワイヤハーネス挿通部101を備えている。ワイヤハーネス挿通部101は、図5(a)において、コネクタホルダ100を左方向に90度回転させた状態でワイヤハーネス挿通部101の底部に相当する底壁102と、底壁102の両端から突出して形成されている一対の側壁103,104と、を備えている。ワイヤハーネス挿通部101の端部はワイヤハーネスが導出される導出口107として形成されている。一方の側壁103は、他方の側壁104よりも大きく突出して形成されている。導出口107側における底壁102と一方の側壁103とが連続する部分には、断面略円弧状に形成された第1湾曲部105が形成されている。また、導出口107側における底壁102と他方の側壁104とが連続する部分には、断面略円弧状に形成された第2湾曲部106が形成されている。一方の側壁103には、導出口107側に、締結バンド(図示せず)を先端から挿入する入口109と、入口109から挿入された締結バンドを導出する出口110と、を備える案内部材108が形成されている。
【0006】
案内部材108の入口109に締結バンドを挿入していくと、出口110から導出された締結バンドの先端は、第1湾曲面105に添ってワイヤハーネス挿通部101内をワイヤハーネスの軸方向に直交するように案内される。さらに、締結バンドを案内部材108の入口に挿入していくと、締結バンドの先端は、第2湾曲部106に達し、第2湾曲部106に添って案内され、他方の側壁104に達する。
【0007】
ここで、締結バンドをワイヤハーネスに巻き付けた後、締結バンドを締め付けて、ワイヤハーネスをワイヤハーネス挿通部101に固定するには、公知のバンドガン(図示せず)を用いる。しかしながら、一対の側壁103,104のうち一方の側壁103が他方の側壁104よりも大きく突出して形成されているため、案内部材108付近にバンドガンを差し込むことができない。したがって、バンドガンによる締結バンドの締め付けの作業性が悪いという問題点がある。なお、図5(b)において、破線Aで示す部分に、案内部材108を設けた場合であっても、バンドガンが入り込むスペースが確保できず、バンドガンによる締結バンドの締め付けの作業性の改善とはならない。
【0008】
そこで、図6及び図7におけるコネクタホルダ200では、底壁102に連続して締結バンド固定部材201を設けている。締結バンド固定部材201は、ワイヤハーネス300を結束した締結バンド202が固定される部材である。コネクタホルダ200によれば、締結バンド固定部材201は、ワイヤハーネス挿通部101の外側に突出して形成されている。そのため、締結バンド202でワイヤハーネス300を固定する際、一方の側壁103がバンドガンによる結束バンド202の締め付け作業の障害になることはなくなる。したがって、バンドガン(図示せず)を使用するスペースを確保できる。しかしながら、締結バンド固定部材201は、ワイヤハーネス挿通部101の外側に大きく突出しているため、他の部分に比べて剛性が弱くなっている。このようなコネクタホルダ200を車両等に取り付けると周囲の部材等に接触し締結バンド固定部材201が破損する虞がある。したがって、コネクタホルダ200における締結バンドの固定構造を採用することは適切ではない。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、バンドガンを使用するスペースの制約を受けずに結束バンドの取り付けにおける作業性を向上することができる結束バンドの固定構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の結束バンドの固定構造は、底壁と,該底壁の両端から突出する一対の側壁と,を有し、前記底壁及び前記一対の側壁で囲まれた内側に、ワイヤハーネスを挿通する空間と,前記ワイヤハーネスを前記空間内に固定する結束バンドを該結束バンドの先端から挿入する入口と、該入口から挿入された前記結束バンドを前記空間内に導出する出口と、を備え、筒状に形成した案内部材と,前記ワイヤハーネスを前記空間から導出する導出口と,を設けてなるワイヤハーネス挿通部を備え、前記一対の側壁のうち、一方の側壁を、他方の側壁よりも大きく突出して形成する結束バンドの固定構造において、前記案内部材を、前記底壁に設けるとともに、前記導出口又は該導出口近傍に設け、前記案内部材を形成する壁面の一部が前記他方の側壁に連結して形成される前記入口を備え、前記出口が前記一方の側壁に向くように形成され、前記案内部材の筒方向が前記ワイヤハーネスの軸方向に対して傾斜して形成されることを特徴とする。
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、案内部材を、底壁に設けるとともに、導出口又は導出口近傍に設けることになる。また、案内部材は、案内部材を形成する壁面の一部が他方の側壁に連結して形成される入口を備え、出口が一方の側壁に向くように形成される。そして、案内部材の筒方向がワイヤハーネスの軸方向に対して傾斜して形成される。そうすることにより、結束バンドを、この結束バンドの先端から案内部材の入口に挿入していくと、案内部材の出口から導出された結束バンドは、ワイヤハーネス挿通部の空間内において、ワイヤハーネスの軸方向に対して傾斜して案内される。したがって、ワイヤハーネス挿通部の空間内に挿通されたワイヤハーネスに結束バンドを作業性良く巻き付けることができる。
【0012】
請求項2記載の本発明の結束バンドの固定構造は、請求項1に記載の結束バンドの固定構造において、前記空間内における前記底壁と前記一方の側壁とが連続する部分に、断面略円弧状の湾曲部を形成し、該湾曲部は、前記出口から導出された前記結束バンドの先端が突き当たるように配置することを特徴とする。
【0013】
このような特徴を有する本発明によれば、挿通孔の出口から導出された結束バンドの先端が湾曲部に突き当たることになる。そうすることにより、結束バンドは、湾曲部に添って反り上がるように案内されることになる。このことから、結束バンドは、一方の側壁とワイヤハーネスとの隙間から導出されることになる。したがって、ワイヤハーネス挿通部の空間内に挿通されたワイヤハーネスに結束バンドを、より作業性良く巻き付けることができる。
【0014】
請求項3記載の本発明の結束バンドの固定構造は、請求項1又は2に記載の結束バンドの固定構造において、前記案内部材は、前記入口から前記出口に向かって狭くなるように形成してなることを特徴とする。
【0015】
このような特徴を有する本発明によれば、案内部材は、入口から出口に向かって狭くなるようになっている。そうすることにより、結束バンドの先端を案内部材の入口に挿入し易くなるとともに、結束バンドを、より確実に一方の側壁側で且つワイヤハーネスの軸方向に対して傾斜して案内することができるようになる。したがって、ワイヤハーネス挿通部の空間内に挿通されたワイヤハーネスに結束バンドを、より作業性良く巻き付けることができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載された本発明によれば、ワイヤハーネス挿通部の空間内に挿通されたワイヤハーネスに結束バンドを巻き付けることにより、結束バンドの結束部分を一方の側壁等の障害物が存在しない位置に設けることができる。そうすることにより、バンドガンで結束バンドを締め付ける際、一方の側壁等の障害物によって締め付け作業のスペースを奪われることなく結束部分にバンドガンを向けることができる。したがって、バンドガンを使用するスペースの制約を受けずに結束バンドの取り付けにおける作業性を向上することができる結束バンドの固定構造を提供することすることができるという効果を奏する。
【0017】
請求項2に記載された本発明によれば、結束バンドは、湾曲部に添って反り上がるように案内されことにより、結束バンドを、一方の側壁とワイヤハーネスとの隙間から導出することができるようになる。したがって、結束バンドの取り付けにおける作業性を、より向上することができる結束バンドの固定構造を提供することすることができるという効果を奏する。
【0018】
請求項3に記載された本発明によれば、結束バンドの先端を案内部材の入口に挿入し易くなるとともに、結束バンドを、より確実に一方の側壁側で且つワイヤハーネスの軸方向に対して傾斜して案内することができるようになる。したがって、結束バンドの取り付けにおける作業性を、より向上することができる結束バンドの固定構造を提供することすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の結束バンドの固定構造の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1におけるワイヤハーネス挿通部付近の拡大斜視図である。
図3図1におけるワイヤハーネス挿通部付近の拡大斜視図である。
図4図1におけるワイヤハーネス挿通部付近の拡大斜視図である。
図5】本発明の課題を説明する図である。
図6】本発明の課題を説明する図である。
図7】本発明の課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1図4を参照しながら説明する。図1は本発明の結束バンドの固定構造の一実施形態を示す斜視図、図2図1におけるワイヤハーネス挿通部付近の拡大斜視図であって、ワイヤハーネスを結束バンドで固定する作業手順を説明する図、図3図2に続く図であって、ワイヤハーネス挿通部付近の拡大斜視図、図4図3に続く図であって、ワイヤハーネス挿通部付近の拡大斜視図である。
【0021】
図1において、引用符号1は、本発明の結束バンドの固定構造が適用されるコネクタホルダを示している。コネクタホルダ1は、車両等に配索されるワイヤハーネス30(図2図4参照)の端末に接続される複数のコネクタ(図示せず)を収容し保持するための部材である。コネクタホルダ1は、複数のコネクタを収容し保持した状態で、例えば、車両の座席における足下におけるインパネの下に取り付けられるものである(一例であるものとする)。なお、本実施例では、本発明の結束バンドの固定構造を、コネクタホルダ1に適用した場合を例として説明するが、これに限定されないものとする。その他、例えば、本発明の結束バンドの固定構造を、ワイヤハーネスを挿通し保護するプロテクタや、自動車等に搭載される電気接続箱に適用しても良いものとする。
【0022】
コネクタホルダ1は、合成樹脂からなり、図示のような形状に形成されている(形状は一例であるものとする)。コネクタホルダ1は、コネクタ収容部2と、カバー3と、ワイヤハーネス挿通部4と、を備えて構成されている。まず、コネクタホルダ1の上記各構成について説明する。
【0023】
コネクタ収容部2は、ワイヤハーネス30の端末に接続された複数のコネクタを収容し保持するために形成されている。内側に複数のコネクタ収容室5が形成されている。複数のコネクタ収容室5は、それぞれ、複数のコネクタを収容可能に形成されている。
【0024】
カバー3は、コネクタがコネクタ収容室2に収容された状態でワイヤハーネス30を保護するために形成されている。カバー3は、コネクタ収容部2にヒンジ(図示せず)を介して連続して形成されて、コネクタ収容部2に係合可能に形成されている。
【0025】
ワイヤハーネス挿通部4は、本発明の結束バンドの固定構造を構成するものである。ワイヤハーネス挿通部4は、コネクタ収容部2に連続して樋状に形成されている。ワイヤハーネス挿通部4は、底壁6と、一対の側壁7,8と、空間9と、導出口10と、案内部材11と、湾曲部12と、を備えて構成されている。ここで、底壁6は、図1において、コネクタホルダ1を左方向に90度回転させた状態でワイヤハーネス挿通部4の底部に相当する壁のことをいうものとする。なお、図1において、案内部材11が形成されている側を先端側と、案内部材11が形成されている側とは反対側を後端側と、それぞれ、定義するものとする。
【0026】
底壁6は、コネクタ収容部2に連続して帯板状に形成されている。一対の側壁7,8は、底壁6の両端から突出して帯板状に形成されている。一対の側壁7,8のうち、一方の側壁7は、他方の側壁8よりも大きく突出して形成されている。
【0027】
空間9は、底壁6及び一対の側壁7,8で囲まれた内側に形成され、ワイヤハーネス30を挿通する空間である。導出口10は、底壁6及び一対の側壁7,8の先端に形成されている開口であって、空間9からコネクタ収容部2側へと、ワイヤハーネス30を導出するように形成されている。
【0028】
案内部材11は、ワイヤハーネス30を空間9内に固定する結束バンド13(図2図4参照)を挿通する部分として形成されている。案内部材11は、底壁6の内側で、且つ導出口10に形成されている。案内部材11は、先端側が導出口10から突出して形成されている(このように案内部材11を形成することにより、結束バンド13を挿通する際、作業者が案内部材11の位置を目視により確認し易くなる)。なお、本実施例において、案内部材11は、導出口10に形成されているが、これに限定されないものとする。その他、例えば、導出部10の近傍に形成されていても良いものとする。したがって、案内部材11を導出口10よりも後端側に形成することもできる。すなわち、案内部材11を底壁6の中間部に形成することもできる(一例であるものとする)。
【0029】
案内部材11は、底壁6に連結する壁面18によって筒状に形成されている。案内部材11の筒方向は、空間9に挿通されたワイヤハーネス30の軸方向に対して傾斜して形成されている。案内部材11は、他方の側壁8側における壁面18の一部が、他方の側壁8に連結して形成されている。本実施例において、案内部材11は、断面が長方形状となる角筒状に形成されている(案内部材11の形状は、これに限定されないものとする。後述するように、他の形状であっても良いものとする)。
【0030】
本実施例における案内部材11は、複数の壁面18(すなわち、第1壁面18aと、第2壁面18b及び第3壁面18c)を略コ字状に形成することによって構成されている。第1壁面18a及び第2壁面18bは、対向するようにして、底壁6から突設されている。第1壁面18aと第2壁面18bとの幅は、後端側にいくにしたがって狭くなるように形成されている。本実施例において、第1壁面18aは、他方の側壁8側に形成されている。第1壁面18aは、先端側の一部が、他方の側壁8に連結して形成されている。本実施例において、他方の側壁8に連結して形成されている第1壁面18aの先端側の一部は、特許請求の範囲における「案内部材を形成する壁面の一部」に相当するものである。第3壁面18cは、第1壁面18aの先端部と第2壁面18bの先端部とを連結するとともに、底壁6と対向するように形成されている。第3壁面18cは、後端側にいくにしたがって、底壁6との幅が狭くなるように傾斜するテーパ状に形成されている。
【0031】
案内部材11の内側には、結束バンド13が挿通可能な挿通孔14が形成されている。挿通孔14は、先端側が入口15として形成されている。入口15は、結束バンド13の先端13aが挿入される部分として開口形成されている。本実施例において、入口15は、第1壁面18aが他方の側壁8に連結して形成されている。また、挿通孔14は、後端側が出口16として形成されている。出口16は、入口15から挿入された結束バンド13を空間9内に導出する部分として開口形成されている。出口16は、一方の側壁7に向くように形成されている
【0032】
案内部材11は、壁面18の内面17が、入口15から出口16に向かって傾斜するテーパ状に形成されている。すなわち、案内部材11の挿通孔14は、入口15から出口16に向かって次第に狭くなるように形成されている。
【0033】
なお、案内部材11は、本実施例において、断面が長方形状の角筒状に形成されているが、これに限定されるものではない。その他、図示しないが、案内部材11の断面が、正方形状や台形状(一例であるものとする)となるような角筒状に形成されていても良いものとする。この場合、案内部材11を形成する複数の壁面18のうち、他方の側壁8側における壁面18が他方の側壁8に連結して形成されることになる。
【0034】
また、案内部材11は、角筒状の形状に限定されるものではない。その他、図示しないが、案内部材11の断面が、略半円形状(一例であるものとする)となるアーチ状をした筒状に形成されていても良いものとする。この場合、他方の側壁8側に形成される案内部材11の壁部18の一部は、他方の側壁8に連結して形成されている。
【0035】
さらに、図示しないが、案内部材11の断面が、略真円形状や略長円形状(一例であるものとする)となるような円筒状に形成されていても良いものとする。案内部材11を略真円形状に形成した場合、底壁6側に形成される案内部材11の壁面18の一部は、底壁6に連結して形成されている。また、他方の側壁8側に形成される案内部材11の壁部18の一部は、他方の側壁8に連結して形成されている。案内部材11を略長円形状に形成した場合、略長円形状となる案内部材11の短径方向における端部のうち、底壁6側の端部が底壁6に連結して形成されている。また、略長円形状となる案内部材11の長径方向における端部のうち、他方の側壁8側の端部が他方の側壁8に連結して形成されている。
【0036】
湾曲部12は、空間9内における、底壁6と一方の側壁7とが連続する部分に、断面略円弧状に湾曲して形成されている。湾曲部12は、挿通孔14の出口16から導出された結束バンド13の先端13aが突き当たるように配置されている。
【0037】
つづいて、図2図4を参照しながら、本発明の結束バンド13の固定構造によって、ワイヤハーネス30を固定する作業手順について説明する。なお、図2−4は、図1におけるコネクタホルダ1を左方向に90度回転させた状態で治具板上に載置し、作業者が案内部材11の手前で作業する場合を示すものとする。
図2において、まず、破線で示すワイヤハーネス30をワイヤハーネス挿通部4の空間9内に挿通させる。しかる後、結束バンド13を、先端13aから挿通孔14の入口15に差し入れ、矢印Bの方向に挿入していく。そうすることにより、結束バンド13は、挿通孔14の出口16から導出される。
【0038】
結束バンド13を、さらに、挿通孔14に挿入していくと、結束バンド13は、ワイヤハーネス2の軸方向に対して斜めに交差するように案内される。しかる後、結束バンド13の先端13aが湾曲部12に突き当たると、結束バンド13は湾曲部12に添って反り上がる。さらに、結束バンド13を挿通孔14に挿入していくと、一方の側壁7とワイヤハーネス30との隙間から結束バンド13の先端13aが導出される。
【0039】
図3において、結束バンド13の先端13aを結束バンド13の係止穴13bに手作業で挿通させる。しかる後、結束バンド13の先端13aを、矢印Cの方向から差し込まれたバンドガン(図示せず)に取り付ける。そして、バンドガンの操作により、結束バンド13を矢印Dの方向に引っ張る。そうすることにより、ワイヤハーネス30は、結束バンド13によって締め付けられ、案内部材11に固定される。なお、結束バンド13は、係止穴13内に形成された係止片(図示せず)が係止溝13c(図2参照)に係止されるため、結束バンド13によるワイヤハーネス30の締め付けは外れないようになる。
【0040】
図4において、最後に、結束バンド13の先端13a側の余長を切断する(切断は、例えば、バンドガンに設けられているカッターで行うことができる)。以上でワイヤハーネス30を結束バンド13で固定する作業が完了する。
【0041】
以上、図1図4を参照しながら説明してきたように、本発明の結束バンド13による固定構造によれば、案内部材11を、底壁6に設けるとともに、導出口10又は導出口10近傍に設けることになる。また、案内部材11は、案内部材11を形成する壁面18の一部が他方の側壁8に連結して形成される入口15を備え、出口16が一方の側壁7に向くように形成される。そして、案内部材11の筒方向がワイヤハーネス30の軸方向に対して傾斜して形成される。そうすることにより、結束バンド13を、この結束バンド13の先端13aから案内部材11の入口15に挿入していくと、案内部材11の出口16から導出された結束バンド13は、ワイヤハーネス挿通部4の空間9内において、ワイヤハーネス30の軸方向に対して傾斜して案内される。したがって、ワイヤハーネス挿通部4の空間9内に挿通されたワイヤハーネス30に結束バンド13を作業性良く巻き付けることができる。
【0042】
また、本発明の結束バンド13による固定構造によれば、挿通孔14の出口16から導出された結束バンド13の先端13aが湾曲部12に突き当たることになる。そうすることにより、結束バンド13は、湾曲部12に添って反り上がるように案内されることになる。このことから、結束バンド13は、一方の側壁7と、ワイヤハーネス挿通部4の空間9内に挿通されたワイヤハーネス30との隙間から導出されることになる。したがって、ワイヤハーネス挿通部4の空間9内に挿通されたワイヤハーネス30に結束バンド13を、より作業性良く巻き付けることができる。
【0043】
さらに、本発明の結束バンド13による固定構造によれば、案内部材11は、入口15から出口16に向かって狭くなるようになっている。そうすることにより、結束バンド13の先端13aを入口15に挿入し易くなるとともに、結束バンド13を、より確実に一方の側壁7側で且つワイヤハーネス30の軸方向に対して傾斜して案内することができるようになる。したがって、ワイヤハーネス挿通部4の空間9内に挿通されたワイヤハーネス30に結束バンド13を、より作業性良く巻き付けることができる。
【0044】
このような本発明の結束バンド13による固定構造によれば、ワイヤハーネス30に結束バンド13を巻き付けることにより、結束バンド13の結束部分を一方の側壁7等の障害物が存在しない位置に設けることができるため、バンドガンで結束バンド13を締め付ける際、一方の側壁7等が障害とならず結束部分にバンドガンを向けることができる。このことから、バンドガンを使用するスペースを十分に確保することができるため、バンドガンによる結束バンド13の締め付けの作業性を向上させることができる。
【0045】
また、発明の結束バンド13による固定構造によれば、案内部材11の先端がワイヤハーネス挿通部4の外側に大きく突出して形成されていないため、案内部材11の剛性が他の部分に比べて剛性が弱くなることにはならない。また、案内部材11が周囲の部材に接触する虞もない。すなわち、案内部材11が周囲の部材に接触することによる案内部材11の破損が生じる虞はない。
【0046】
これに対して、図5における締結バンドの固定構造では、一対の側壁103,104のうち一方の側壁103が他方の側壁104よりも大きく突出して形成されているため、案内部材108付近にバンドガンを差し込むことができない。
【0047】
また、図6及び図7における締結バンドの固定構造では、締結バンド固定部材201は、ワイヤハーネス挿通部101の外側に大きく突出しているため、他の部分に比べて剛性が弱くなっている。したがって、図6及び図7における締結バンドの固定構造を適用したコネクタホルダ200を車両等に取り付ける際、締結バンド固定部材201が周囲の部材等に接触し、締結バンド固定部材201が破損する虞がある。
【0048】
以上からも分かるように、本発明の結束バンド13の固定構造によれば、ワイヤハーネス30に結束バンド13を巻き付けることにより、結束バンド13の結束部分を一方の側壁7等の障害物が存在しない位置に設けることができるため、バンドガンで結束バンド13を締め付ける際、一方の側壁7等の障害物によって締め付け作業のスペースを奪われることなく結束部分にバンドガンを向けることができる。したがって、バンドガンを使用するスペースの制約を受けずに結束バンド13の取り付けにおける作業性を向上することができる結束バンド13の固定構造を提供することすることができる。
【0049】
また、本発明の結束バンド13の固定構造によれば、結束バンド13は、湾曲部12に添って反り上がるように案内されことにより、結束バンド13を、一方の側壁7とワイヤハーネス30との隙間から導出することができるようになる。したがって、結束バンド13の取り付けにおける作業性を、より向上することができる結束バンド13の固定構造を提供することすることができる。
【0050】
さらに、本発明の結束バンド13の固定構造によれば、結束バンド13の先端13aを入口15に挿入し易くなるとともに、結束バンド13を、より確実に一方の側壁7側で且つワイヤハーネス30の軸方向に対して傾斜して案内することができるようになる。したがって、結束バンド13の取り付けにおける作業性を、より向上することができる結束バンド13の固定構造を提供することすることができる。
【0051】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1…コネクタホルダ、 2…コネクタ収容部、 3…カバー、 4…ワイヤハーネス挿通部、 5…コネクタ収容部、 6…底壁、 7…一方の側壁、 8…他方の側壁、 9…空間、 10…導出口、 11…案内部材、 12…湾曲部、 13…結束バンド、 13a…先端、 13b…係止穴、 13c…係止溝、 14…挿通孔、 15…入口、 16…出口、 17…内面、 18…壁面(18a…第1壁面、 18b…第2壁面、 18c…第3壁面)、 30…ワイヤハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7