【実施例1】
【0038】
本実施例1は、本発明に係る複数硬貨払出装置10を、上位の機器、例えば、POSレジからつり銭額の払出指令を受け、当該指令に基づいて所定金種の硬貨を所定数受取口12へ払い出す出金装置14に内蔵した例である。出金装置14は、例えばつり銭機である。本実施例1の複数硬貨払出装置10は、4つの金種毎の硬貨払出装置22が横一列に並列されて搬送ベルト16の一側に配置され、払出指令に基づいて日本円の10円硬貨10C、50円硬貨50C、100円硬貨100C、又は、500円硬貨500Cの金種から、所定金種の硬貨を所定数つり銭として、搬送ベルト16へ払出し、当該搬送ベルト16の進行によって、出金装置14の前面に配置された受取口12へ送り出すようになっている。しかし、本発明に係る複数硬貨払出装置10は4金種に限られず、2金種以上の複数硬貨に適用可能であ。例えば、実施例1係る複数硬貨払出装置10を搬送ベルト16の両側に配置することにより、8金種のユーロ硬貨のつり銭機に用いることができる。さらに、日本円硬貨、ユーロ硬貨他、米国硬貨、豪州硬貨、中国硬貨等世界中の硬貨に適用することができる。なお、本明細書においては、特定の金種に関連した説明をする際は、当該部位の参照数字に続いてハイフォンと金種を付記するが、総括的な説明部分については、参照数字のみ付して説明する。また、特に金種の説明が必要な場合のみ、10円硬貨10C、100円硬貨100C、50円硬貨50C、500円硬貨500Cと表示するが、全ての硬貨を対象とする総称の場合は単に硬貨Cとして説明する。
【0039】
次ぎに複数硬貨払出装置10の概略を主に
図2及び図3を参照して説明する。
複数硬貨払出装置10は、1つの駆動装置20によって駆動され、金種毎に複数設けられた金種別の硬貨払出装置22からそれぞれ指定された所定数払い出す機能を有し、本実施例1においては、少なくとも、駆動装置20、10円硬貨用の硬貨払出装置22-10、100円硬貨用の硬貨払出装置22-100、50円硬貨用の硬貨払出装置22-50、及び、500円硬貨用の硬貨払出装置22-500、シャーシ24、及び、伝達装置26によって構成されている。
【0040】
まず駆動装置20を主に
図2を参照して説明する。
駆動装置20は、伝達装置26を介して個別の硬貨払出装置22における機能発揮のために必要な駆動力を付与する機能を有し、本実施例1においては電気モータ28及び減速機30を含んでいる。しかし、減速機30は必須の構成要件ではない。
【0041】
次ぎに電気モータ28を主に
図2を参照して説明する。
電気モータ28は、複数の金種毎の硬貨払出装置22を駆動する機能を有し、本実施例1においては、公知の直流モータが用いられている。直流モータは小型であると共に安価で
あり、更に、正回転、逆回転を簡易な装置によって行うことができるからである。しかし、本発明は直流モータに限定されず、交流モータ、パルスモータ、超音波モータ等を使用することができる。
【0042】
次ぎに減速機30を説明する。
減速機30は、電気モータ28の出力軸の回転を所定の回転速度に減速し、減速機出力軸32から出力する機能を有し、公知の構造の減速機30が採用される。この減速機出力軸32
(図4参照)が本発明における出力軸に相当する。しかし、本発明における出力軸は減速機出力軸に限られず、広く駆動装置の出力軸を意味する。
【0043】
次ぎにシャーシ24を主に
図2を参照して説明する。
シャーシ24は、少なくとも、電気モータ28、複数の個別の硬貨払出装置22、及び、伝達装置26が取り付けられる機能を有し、本実施例1においてシャーシ24は、側面視において、上面34が硬貨出口48側へ前上がりに傾斜する台形状に形成されている。当該上面34には、後述する個別の硬貨払出装置22、本実施例1においては4つの個別の硬貨払出装置22が並列に配置されている。シャーシ24の上面34の下側に板状の中間ベース36が上面34と平行に配置され、当該中間ベース36に電気モータ28が減速機30を介して、その出力軸(図示せず)が斜め下向き状態を呈して固定されている。換言すれば、減速機30は中間ベース36に固定され、当該減速機30には電気モータ28が固定されている。そして、電気モータ28の出力軸の回転は、減速機30によって減速されて下向きの減速機出力軸32の回転として出力される。減速機出力軸32の先端部は、中間ベース36の孔(図示せず)を通って中間ベース36の裏面側に配置される。
【0044】
次ぎに伝達装置26を主に
図3を参照して説明する。
伝達装置26は駆動装置20の回転を複数の個別の硬貨払出装置22に伝達する機能を有し、本実施例1においては、各硬貨払出装置22-500、22-50、22-100、22-10の列に沿って配置された駆動歯車38、アイドラ歯車40、及び、個別の硬貨払出装置22の被動歯車42を含んでいる。駆動歯車38は中間ベース36の裏面側において減速機出力軸32に固定された所定直径を有する平歯車である。よって、本実施例1において、駆動歯車38は以下駆動平歯車38Sとして説明する。
アイドラ歯車40は、中間ベース36の裏面側に下向きに立設されたアイドラ軸44に回転自在に取り付けられ、駆動平歯車38Sに噛み合わされている。アイドラ歯車40は、駆動歯車38よりも小径の平歯車にし、複数硬貨払出装置10の全体の大きさを小型化している。被動歯車42は複数の各硬貨払出装置22の入力軸46の下端部に固定された平歯車であり、アイドラ歯車40に噛み合っている。したがって被動歯車42は、以下被動平歯車42Sと称する。駆動平歯車38Sと被動平歯車42Sは同一に構成され、すなわち、同一ピッチ円及び同一歯数に形成されている。換言すれば、電気モータ28の出力軸の回転は減速機30によって所定の比率で減速されて減速機出力軸32を所定の速度で回転させることから、減速機出力軸32に固定されている駆動平歯車38Sも所定の速度で回転される。駆動平歯車38Sは、アイドラ歯車40を介して被動平歯車42Sを同方向に、かつ、同速度で回転させる。
さらに、本実施例1においては、アイドラ歯車40と被動平歯車42Sの組みが個別の硬貨払出装置22の数、すなわち、4組配置されている。したがって、アイドラ歯車40と被動平歯車42Sはそれぞれ同一構成であることから、説明の便宜のため、同一数字と対応する金種を示す数字をハイフォンによって接続することにより説明を省略する。なお、アイドラ歯車40は、隣接する被動平歯車42Sにそれぞれ噛み合わされる。したがって、全ての被動平歯車42Sは駆動歯車38と同方向に同速度で回転される。本実施例1のように駆動平歯車38Sは、アイドラ歯車40を介して1つの被動平歯車42Sに噛み合わされるだけでなく、被動平歯車42Sの間に配置して2つの被動平歯車42Sを駆動するようにすることができる。
【0045】
次ぎに個別の硬貨払出装置22を主に
図4〜
図15を参照して説明する。
個別の硬貨払出装置22は、バラ積みされた硬貨Cを1つずつ分離して払い出す機能を有し、本実施例1においては、10円硬貨10C、100円硬貨100C、50円硬貨50C、又は、500円硬貨500Cがつり銭として用いられるため、それら金種に対応する4つの個別の硬貨払出装置が設けられている。各個別の硬貨払出装置22は全てほぼ同一構成である。
10円用の硬貨払出装置22-10、100円用の硬貨払出装置22-100
、50円用の硬貨払出装置22-50、及び、500円用の硬貨払出装置22-500は、同一のシャーシ24の上面34に並列に隣接して取り付けられている。また、各個別の硬貨払出装置22は大凡同一構成のであるので、100円用の硬貨払出装置22-100を代表して説明する。なお、前述の「並列」とは、後述の出口110から弾き出される硬貨の弾き出される方向が大凡同方向であると言う意味でありる。なお、以下の説明において、各構成部品には参照符号として数字とハイフォンに金種の100を付加した符号を付すべきであるが、便宜的にハイフォンと100は付加しないこととする。
【0046】
硬貨払出装置22は、バラ積みされた100円硬貨100Cを1つずつ分離した後、1つずつ弾き出す機能を有し、本実施例1においては、概略、フレーム102、ベース104、硬貨保留容器106、回転ディスク108、出口110、規正体112、払出通路114、弾出装置116、硬貨センサ118、通過阻止体120、及び、制御回路122備えている。なお、フレーム102、ベース104、硬貨保留容器106、回転ディスク108、出口110、払出通路114、及び、硬貨センサ118は、従来公知の構造であり、本実施例1における硬貨払出装置22においては、規正体112及び通過阻止体120において特徴を有すが、本発明においては、少なくとも通過阻止体120を具備することが必須要件である。その理由は、回転ディスク108の直径が大きい場合、規正体112は必須の構成要件では無いからである。
【0047】
まずフレーム102を主に
図4を参照して説明する。
フレーム102は、ベース104、硬貨保留容器106、及び、制御回路122等の機能部品が取り付けられる機能を有し、本実施例1においては樹脂製であって内部が中空の三角柱形をしている。
フレーム102の上面開口はベース104によって覆われている。
ベース104の中央部には入力軸46がベース104に対し垂立状態で回転可能に支持され、円形の収納穴126の中央部に位置する円形の貫通孔124を通ってベース104の上方へ突出している。入力軸46の下端部は中間ベース36に形成された貫通孔(図示せず)を通って中間ベース36の下側に配置され、被動平歯車42Sが固定される。ベース104は、本実施例1では出口110に向かって前上がりに傾斜して配置されているが、出口110を傾斜の下側に配置した下向き傾斜、又は、水平に配置することもできる。
【0048】
次にベース104を主に
図6及び
図7を参照して説明する。
ベース104は、所定厚みを有する矩形平板形であり、上面には収納穴126が形成されると共に、硬貨保留容器106が取り付けられる機能、及び、個別の硬貨払出装置22をシャーシ24の上面34に取り付ける機能を有する。
本実施例1において、収納穴126は、円板型の底面128と円形の硬貨案内壁130とによって構成され、回転ディスク108が回転自在に配置される円形平鍋型の凹部であって、その深さは回転ディスク108の厚みよりも僅かに深く形成され、底面128上を硬貨Cがその表面又は裏面を接してスライドするよう大凡平面に形成される。円形の硬貨案内壁130は底面128の円形の外周縁において底面128に対して垂立し、硬貨Cの周面を案内する。
ベース104は、ステンレス等の金属や耐摩耗性樹脂製の平板によって構成することが好ましい。
また、本実施例1においては、ベース104の上面に円形凹部を形成して収納穴126を設けたが、別の形態としては、平板の上に円形の収納孔を形成した別の孔明き平板を配置することにより、両平板の組合せにより収納穴126を構成することができる。
したがって、ベース104は同様の機能を有する他の機構に置き換えることがきる。さらに、ベース104は、シャーシ24の上面34に形成した孔(図示せず)に、下方に突出するフレーム102が挿入された状態でシャーシ24に着脱可能に固定されている。したがって、回転ディスク108は上面34と平行に配置されている。
【0049】
次に硬貨保留容器106を主に
図4を参照して説明する。
硬貨保留容器106は、多数の硬貨Cをバラ積み状態で保留する機能を有し、本実施例1においては、樹脂製の概略縦向き筒形であって、筒内が垂立方向に延在する硬貨保留部132を構成する。硬貨保留部132は、上部106Aの水平断面が矩形に、下部106Uの水平断面が円形の底孔134に形成され、上部106Aと下部106Uとの間の中間部106Mは硬貨Cが滑落可能な傾斜壁に形成されている。
硬貨保留容器106の下端面はベース104の上面にあてがわれ、収納穴126の軸線と底孔134の軸線とが一致した位置において、固定装置135によってベース104に着脱自在に取り付けられている。換言すれば、硬貨案内壁130と底孔134とは、一体になって円柱状の空間を形成する。
したがって、硬貨保留容器106は同様の機能を有する他の装置に変更することが出来る。
【0050】
次に回転ディスク108が主に図
7〜図
11を参照して説明される。
回転ディスク108は、所定の速度で回転され、硬貨保留容器106内の硬貨Cを攪拌すると共に、偏心位置に形成された透孔136に落下した硬貨Cを押動して連れ回りさせ、さらに、コインジャムが生じた場合、逆転してコインジャムを解消する機能を有する。
本実施例1において、回転ディスク108は収納穴126内に配置され、ベース104の伝達装置26を介して電気モータ28によって回転駆動され、硬貨Cの払出時は
図5における反時計方向に所定の速度で回転され、コインジャムが生じた場合は逆方向の時計方向に所定の速度で所定時間の間、逆回転される。すなわち、入力軸46の先端部が回転ディスク108の中央に形成された取付孔138に挿入され、先端のネジ部にねじ込まれたナット140によって固定されている。
回転ディスク108は、上面中央に多角錘形の攪拌部142を有し、底孔134において回転することにより硬貨Cを攪拌し、透孔136に硬貨Cが落下するのを助ける。
【0051】
本実施例1において、回転ディスク108は、各個別の硬貨払出装置22-10、22-100、22-50、22-500とも同一直径であり、透孔136は同一数、かつ、同一角度位置に配置されている。
図5に示す例を説明すれば、透孔136の数は3であり、それらは120度角度毎に配置されている。しかし、各回転ディスク108における透孔136の数が、同一数、かつ、同一角度位置に形成されることは必須要件ではない。例えば、回転ディスク108を逆転させるに際し、センサによって全ての規正体112が非案内位置NGPに位置していることを検出した後、回転ディスク108を逆転させ、及び、回転ディスク108の正回転に際し、センサによって全ての規正体112が案内位置GPに位置していることを検出した後、回転ディスク108を正回転させることにより、透孔136の数、及び、その角度位置を全ての回転ディスク108において同一にしないことができる
。透孔136の直径は、金種毎に最適の直径にしても良いし、似通った直径の硬貨に対しては同一直径の透孔136にしてもよい。本実施例1において、10円硬貨10C及び100円硬貨100C用の透孔136は同一直径を採用し、50円硬貨50C、及び、500円硬貨500C用の透孔136は、それらに適した直径の透孔136にしてある。本発明における回転ディスク108の構成の要点は、透孔の数が同一であって、そ
れらが同一角度位置に形成されていることである。なぜなら、全ての回転ディスク108は、同時に回転・停止されるから、硬貨Cの払出を制御するには、透孔
136に落下した硬貨Cが全金種において同様の角度位置にある必要があるからである。その意味において、透孔136が同一角度位置に配置されているとは、厳密な意味での同一ではなく、全ての金種の硬貨が同様に処理される範囲を含むものである。
【0052】
回転ディスク108は、透孔136の間のリブ144のそれぞれの裏面108Rに押動体146を有する。
押動体146は、収納穴126内において回転移動し、
図10に図示するように、その押動前面148は、回転ディスク108の回転軸線RA側から周縁側に向かって回転方向後位側へ後退するように湾曲形状をしている。詳述すれば、押動体146は回転軸線RA側に近い第1押動体146A、及び、周縁側に近い第2押動体146Bによって構成され、後述の規正体112たる第1規正体112A、及び、第2規正体112Bが通過できるように第1押動体146Aの回転軸線RA側には弧状の第1逃げ溝150A、第1押動体146Aと第2押動体146Bとの間には第2逃げ溝150Bが形成されている。第1押動体146Aの前面が第1押動前面148A、第2押動体146Bの前面が第2押動前面148Bである。
回転ディスク108の上面151は、周縁部152から中央部に向かう下向きの斜面154が形成され、当該斜面154に囲われた中央部156はおおよそ平面であるが、取付孔138の周囲は台形状に盛り上げられた攪拌部142が形成されている。また、リブ144の周縁部152に近い上面には、硬貨Cを攪拌のための半球形の攪拌突起158が形成されている。
【0053】
回転ディスク108の下面の中央には、回転ディスク108の高さ調整のための高さ調整機構160が構成されている。ここでいう高さとは、底面128と回転ディスク108の裏面108Rとの第1距離H1(
図7参照)をいい、高さ調整機構160は硬貨Cの厚みに対応する適当な間隔に調整する機能を有する。
本実施例1において、高さ調整機構160は、回転ディスク108の裏面中央から下向きに突出する内筒162、内筒162の外側に嵌め合わされる外筒164、及び、内筒162と外筒164に関連して設けられた係合部166とにより構成されている。
【0054】
まず内筒162を説明する。
内筒162は、取付孔138の周囲に回転軸線RAを中心とする所定半径で、所定長さ
で形成された円筒体である。換言すれば、内筒162は回転ディスク108の裏面中央部から下向きに突出する円筒体である。
内筒162の中間には、周囲に鍔状であって、所定の厚みのフランジ170が形成されている。フランジ170の上面と回転ディスク108の裏面108Rとの第1間隔H1は、押動体146の第2高さH2(
図9(A))よりも僅かに大きく設定されている。
すなわち、回転ディスク108の位置が硬貨Cの最大厚みに対応して設定された場合であっても、フランジ170の上面が、底面128よりも裏面108Rに近づかないように設定されている。なお、フランジ170は、透孔136の孔径が小さい場合、攪拌部142の裾部171が大きくなるので設ける必要がない。
次ぎに外筒164を説明する。
外筒164は、所定の高さを有する円筒体であって、その嵌合孔172の上端部は、内筒162の下部に嵌り合うことができる。
嵌合孔172の下端に続いて、嵌合孔172の直径よりも小径の貫通孔173が嵌合孔172と同心に形成されている。
外筒164の下端面174は、回転ディスク108の上面に対し平行な平面に形成されている。
【0055】
次ぎに係合部166を説明する。
係合部166は内筒162と外筒164との相対角度をずらすことにより、外筒164の下端面174と回転ディスク108の裏面108Rとの間の第2距離D2を段階的に変更することができる機能、及び、内筒162と外筒164との位相ずれを無くす機能を有する。
係合部166は、ディスク側係合部176と外筒側係合部178とによって構成されている。
ディスク側係合部176は、外筒側係合部178と共同して内筒162に対する外筒164の相対回転を阻止する機能を有し、フランジ170の裏面から下向きに突出した断面矩形であって、内筒162の外周から周方向にフランジ170の周端部まで延在している。本実施例1において、ディスク側係合部176は、120度の等角度で同一形状に3本配置された第1突条176a、第2突条176b、及び、第3突条176cによってY字形に構成されている
。換言すれば、第1突条176a、第2突条176b、及び、第3突条176cは回転軸線RAに対し放射状に形成されているが、回転ディスク108が回転中であってもベース104に対し平行に保てる場合、1つであっても、2つであってもよく、又は、4以上であってもよい。
本実施例1において、第1突条176a、第2突条176b、及び第3突条176cは、断面が矩形状であり、及び、同一長さに形成され、それらの幅W3は全て同一に形成されている。
【0056】
次ぎに外筒側係合部178を説明する。
外筒側係合部178は、ディスク側係合部176と共同して外筒164の回転ディスク108の裏面108Rに対する位置を段階的に設定できる機能、及び、内筒162と外筒164との相対回転を防止する機能を有し、外筒164の回転ディスク
108側の端面、換言すれば、上端面に形成した断面矩形の受入溝180が、ディスク側係合部176の数の整数倍形成されている。すなわち、ディスク側係合部176の数が2である場合、外筒側係合部178の数は、その整数倍であ
り、4、6、又は8等が形成され、ディスク側係合部176の配置に応じた位置関係に形成されている。本実施例1においては、ディスク側係合部176が3個であり、受入溝180はその3倍の9個である第1受入溝180a〜第9受入溝180iが形成されている。
第1受入溝180a〜第9受入溝180iは、
図9(E)に示すように、それぞれ回転ディスク108の回転軸線RAを中心とした放射状に形成されると共に、第1突条176a、第2突条176b、及び、第3突条176cに対応するよう120度間隔で同一の溝深さD1〜D3に形成され、さらに、
図9(E)に示すようにそれらの幅W4は、第1突条176a、第2突条176b、及び、第3突条176cが係脱可能であって、かつ、密に嵌り込むように同一幅W4で形成されている。
【0057】
本実施例1において、第1受入溝180a〜第9受入溝180iは、全て同一の幅W4であって、受入溝二つ毎に同一深さの受入溝が形成されている。すなわち、受入溝180は、第1突条176a〜第3突条176cの配置に対応し、120度毎の三つの受入溝が一組として構成されている。
図9(D)を参照して第1受入溝180aを基準に説明すれば、第1受入溝180a、第4受入溝180d、及び、第7受入溝180gが一組を構成し、第2受入溝180b、第5受入溝180e、及び、第8受入溝180hが他の一組を構成し、第3受入溝180c、第6受入溝180f、及び、第9受入溝180iが最後の一組を構成している。本実施例1のように、120度毎に係合部166を構成した場合、回転ディスク108の裏面と外筒164の下端面174との平行度を容易に得られる利点がある。
第1受入溝180a〜第9受入溝180iの幅W4は、第1突条176a〜第3突条176cの幅W3よりも僅かに広く形成され、第1突条176a〜第3突条176cがそれぞれはまりこむことができるように形成されている。また、第1受入溝180a〜第9受入溝180iの深さは、下記に詳細に説明するように、上記した対をなす3つの受入溝毎に同一に形成されている。詳述すれば、120度間隔でY型をなす第1受入溝180a、第4受入溝180d、及び。第7受入溝180gの深さは、全て最も深い同一の第1深さD1に、第2受入溝180b、第5受入溝180e、第8受入溝180hの深さは全て二番目に深い同一の第2深さD2、及び、第3受入溝180c、第6受入溝180f、第9受入溝180iは全て最も浅い同一の第3深さD3を有する。
これら第1深さD1はディスク側係合部176の高さH4よりも大きい。換言すれば、第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cが、受入溝180a、180d、180gに嵌め合わされた場合、外筒164の端面がフランジ170の裏面に突き当たった場合において、それら第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cの先端と受入溝180a、180d、180gの底面とはそれぞれ当接せず、隙間がある。したがって、回転ディスク108の裏面108Rと外筒164の下端との距離H3は、第1深さD1に対応する最も小さい第1距離D1d(図示はしないが、説明の便のため第1深さD1にdを付す。以下同様。)になる。
【0058】
第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cが、第2受入溝180b、第5180e、第8受入溝180hに嵌め合わされた場合、第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cの先端が、第2受入溝180b、第5
受入溝180e、第8受入溝180hのそれぞれの底面に突き当たることから、回転ディスク108の裏面108Rと外筒164の下端との距離H3は、第2深さD2に対応する、第1距離D1dよりも僅かに大きい第2距離D2dになる。
第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cが、第3受入溝180c、第6受入溝180f、第9受入溝180iに嵌め合わされた場合、第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cの先端が、第3受入溝180c、第6受入溝180f、第9受入溝180iの底面に突き当たることから、回転ディスク108の裏面108Rと外筒164の下端との距離H3は、第3深さD3に対応する、第2距離D2dよりも僅かに大きい第3距離D3dになる。
内筒162に外筒164が嵌め合わされると共に第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cが、硬貨Cの厚みに合わせて所定の組みの受入溝180a〜180iに嵌め合わされて一体化された状態において、入力軸46を取付孔138に挿入すると共に、外筒164を収納穴126の中央に形成された円形の軸受穴182に落とし込む。これにより、軸受穴182の内周面184と外筒164の外周面189とが密に嵌り合うことにより、回転ディスク108は
回転軸線RA回りに回転可能になる。この状態でナット140を締め付けることにより、回転ディスク108は入力軸46の先端に固定される。したがって、内筒162の外周面と硬貨案内壁130との間に、円形リング状の
硬貨通路MPが形成される。
【0059】
また、外筒164の下端面174は、軸受穴182の軸受孔底面185によって支えられるので、回転ディスク108の裏面108Rと底面128との間隔は、内筒162と外筒164との組合せによって定められた第1距離D1d、第2距離D2d又は第3距離D3dに定められる。
したがって、透孔136内に落下した100円硬貨100Cは、ベース104に表面又は裏面が面接触して支えられ、かつ、収納穴126の硬貨案内壁130によって案内されつつ回転ディスク108の回転によって第1押動体146Aによって押されて、
硬貨通路MPを回転ディスク108と共に連れ回りされる。
コインジャムが発生した場合、回転ディスク108が逆転される。この逆転によって第1押動体146A及び第2押動体146Bの裏面151A、151Bは、硬貨Cの周面を押動して正転時とは逆方向へ移動させる。
この回転ディスク108の逆転時、規正体112は非案内位置NGPへ移動され、
硬貨通路MPにおける硬貨Cの移動を阻止することはない。
【0060】
次ぎに出口110を主に
図6を参照して説明する。
出口110は、
硬貨通路MPを移動してきた硬貨Cが収納穴126からその周方向へ移動することができる開口であり、硬貨案内壁130の一部が切りかかれた開口である。
図6において出口110は、ベース104における硬貨案内壁130の一部、具体的には上側の一部が最大硬貨直径を超えて、切り欠かれた開口である。具体的には、硬貨案内壁130の上流側端縁130uと、下流側端縁130dとによって確定された横長スリット形の開口であり、それらの間隔は、払出対象の最大直径硬貨Cの直径を超え、二倍未満の範囲である。
本実施例1においては、最大径硬貨である500円硬貨500C直径の1.2倍程度の幅に形成されている。
【0061】
次ぎに払出通路114を主に
図6を参照して説明する。
払出通路114は、出口110に連続して収納穴126の周方向に直線的に延在し、出口110から弾き出される硬貨Cを案内する機能を有し、本実施例1においては、底面128が位置する平面の延長上に形成された通路底面186、出口110を構成する下流側案内面187、及び、後述の出口調整体262の上流側案内面18
8によって凹溝状に構成されている。しかし、払出通路114は凹溝状でなくとも、平面のみであってもよい。すなわち、通路底面186のみで構成することができる。したがって、通路底面186の端部は、硬貨出口48を構成している。
本実施例1において、払出通路114の長さは、硬貨Cの半径程度であるが、半径以上であっても、半径以下であってもよい。
【0062】
次に規正体112を主に
図12〜
図15を参照して説明する。
規正体112は、基本的機能として、回転ディスク108によって
硬貨通路MPを連れ回りされる硬貨Cを、回転ディスク108の周方向、換言すれば、収納穴126の周方向へ案内する機能(周方向案内機能)を有する。
さらに、本実施例1においては、従的機能として、コインジャム解消のため、回転ディスク108が逆転される場合、押動体146の裏面150によって押動される硬貨Cが
硬貨通路MPを逆方向につれ回りされる場合、硬貨Cの
硬貨通路MPにおける逆方向への移動を許す機能(逆転許容機能)をも有する。しかし、回転ディスクの逆転許容機能は、本発明においける必須機能ではない。
本発明における規正体112は、基本的機能としてさらに、硬貨Cを選択的に案内し、又は、案内しない機能(選択案内機能)を有している。
さらにまた、本実施例1における規正体112は、従的機能として硬貨Cを払出通路114へ弾き出す機能(弾出機能)をも有する。しかし、この弾出機能は、規正体112とは別の装置によって発揮させることもできる。
本実施例1においては、規正体112が上記4つの機能を有しているが、機能毎に1つの装置によって発揮させても、2つの機能を1つの装置で発揮させるようにすることができる。
本実施例1において規正体112は、位置選択装置190によって案内位置GPと非案内位置NGPに選択的に案内されることにより、選択案内機能を発揮する。
さらに、本実施例1における規正体112は、弾発装置192及び後述の出口調整体262と協働することにより、弾出装置116を構成する。
【0063】
まず、規正体112を主に
図14を参照して説明する。
規正体112は、基本的には、回転ディスク108によって連れ回りされる硬貨Cを出口110へ向けて案内する機能を有し、本実施例1においては、さらに、弾出機能を有する。
規正体112は、側面視直状の棒状体19
7であり、その下端部は支軸194に回動自在に支持され、その先端(上端)部は正面視二本のフォーク状に形成されさている。したがって、規正体112は、フォーク状に形成された第1規正体112Aと第2規正体112Bとによって構成されている。これら第1規正体112Aと第2規正体112Bとは、回転ディスク108の裏面108Rの第1逃げ溝150A、第2逃げ溝150Bにそれぞれ位置するよう配置される。しかし、規正体112は、案内機能を発揮できる限り、一本、又は、三本以上にすることができる。
第1規正体112Aと第2規正体112Bとの先端部は、垂立した状態において、水平線に対し45度傾斜するように第1傾斜面196A、第2傾斜面196Bに形成されている。第1規正体112Aと第2規正体112Bは、これら第1傾斜面196A及び第2傾斜面196Bが、硬貨Cの弾出直前には、大凡水平線に対して大凡60度をなすまで傾斜される。
支軸194は、その両端部が位置選択装置190を構成する位置選択体198に固定されている
【0064】
次ぎに位置選択装置190を説明する。
位置選択装置190は、規正体112を硬貨Cの案内位置GPと、非案内位置NGPとに選択的に移動させる機能を有する。したがって、位置選択体198は同様の機能を有する他の機構に変更することができる。
位置選択装置190は、位置選択体198とアクチュエータ200とを含んでいる。
【0065】
位置選択体198は、払出補助位置AP(
図20)に位置する場合、規正体112を案内位置GPに、非払出補助位置NAP(
図21)に位置する場合、規正体112を非案内位置NGPに選択的に位置させる機能を有し、本実施例1においては、位置選択体198は側面視倒立三角形をした一対の第1側壁202aと第2側壁202bとが所定の間隔で平行に配置されると共に、それら第1側壁202a、第2側壁202bの間を連結する連結する回動規制体204と、バネ受体209とによって、中抜き袋状に形成されている。
規正体112の下側の大部分は、第1側壁202aと第2側壁202bの間に密に配置され、支軸194の軸方向の移動が制限されている。
第1側壁202aと第2側壁202bの上端部の中間から外向きに第1揺動軸208aと第2揺動軸208bが同一の水平軸線に沿って反対向きに突出形成されている。
第1揺動軸208a及び第2揺動軸208bは、ベース104の裏面から下向きに所定の間隔で平行に突出する第1ブラケット219aと第2ブラケット219bに回動自在に支持されている。
さらに、第2側壁202bの上端部のバネ受体209近傍から横向きに係止用のU溝221が形成された取付片222が突出形成されている。
位置選択体198は、払出補助位置APにおいてその一部(バネ受体209)と係合する位置規制体225によって回動が規制される。
【0066】
次ぎに回動規制体204を説明する。
回動規制体204は、第1側壁202aと第2側壁202bとをそれらの上端部で連結するように横向きに形成された棒体である。
回動規制体204は、規正体112がバネ226によって回動力を付与された場合、当該回動力によって所定方向に回動された規正体112と係合し、当該規正体112の回動規制体204に対する相対的回動を規制する機能を有する。
図20において明らかなように、回動規制体204は、断面台形状であり、
規正体112と係止した場合、回動規制体204と
規正体112とは面接触するように構成されている。
【0067】
次ぎにバネ受体209を説明する。
バネ受体209は、規正体112に回動力を付与するバネ226の一端を固定的に支持する機能を有し、回動規制体204の反対側において、第1側壁202aと第2側壁202bとを連結する板状体として形成されている。
バネ受体209は、その平面によってバネ226の一端を安定的に受けるようになっており、バネ226の一端が移動しないよう図示していない係止体よって固定されている。バネ受体209は、固定状態の位置規制体225によって係止され、
図20(B)に示すようにその回動位置が規制される。
【0068】
位置選択体198には、取付片222が一体的に形成されている。
取付片222は、第2側壁202bの上端部のバネ受体209の側方から、外方横向きに突出する板状体であり、当該取付片222には凹型の凹溝221が形成されている。この凹溝221には、後述のアクチュエータ200の出力ロッド212の一部が嵌め込まれ、係止されている。
第1及び第2揺動軸208a、208bと、取付片222までの距離は、後述の連動部260までの距離よりも短い。なぜなら、小型の硬貨払出装置22-100内に配置できるアクチュエータ200を使用しなければならないからである。
【0069】
位置選択体198は、さらに、連動部260を有する。
連動部260は、後述の揺動梃子257を移動させる機能を有し、本実施例1においては、第1側壁202aの上端部であって、回動規制体204の近傍から横方向へ直線状に突出する棒体によって構成され、位置選択体198が非払出補助位置NAPに位置する場合、後述の被動レバー258を押動せず、位置選択体198が払出補助位置APに位置する場合、被動レバー258を押動する位置に移動されるようになっている。
【0070】
次ぎにアクチュエータ200を主に
図12を参照して説明する。
アクチュエータ200は、制御回路122(
図16)からの指令に基づいて、位置選択体198を払出補助位置AP又は非払出補助位置NAPに選択的に位置させる機能を有する。
換言すれば、アクチュエータ200は、制御回路122からの指令に基づいて出力ロッド212を進退させ、位置選択体198を払出補助位置AP又は非払出補助位置NAPに選択的に位置させる機能を有し、電気的アクチュエータ213であることが好ましい。
本実施例1において、アクチュエータ200は電磁アクチュエータ214であって、角柱状の本体216内に配置された電磁石218が励磁された場合、鉄心たる出力ロッド212が本体216内に引き入れられ、電磁石218が消磁された場合、出力ロッド212に外装されたバネ220によって本体216から突出される。
出力ロッド212の先端部には大径部223が形成されている。大径部223の下側の小径部に取付片222の凹溝221が嵌め込まれ、当該取付片222はバネ220によって大径部223の下面に押し付けられる。したがって、電磁石218が励磁された場合、出力ロッド212は下方へ引き下げられることから、大径部223、取付片222を介して、位置選択体198が
図20において反時計方向へ回動されて払出補助位置APへ移動し、結果として、規正体112は案内位置GPに位置される。電磁石218が消磁された場合、バネ220によって出力ロッド212は本体216から突出され、換言すれば、
図20において位置選択体198は時計方向へ回動されて非払出補助位置NAPへ移動され、結果として規正体112は非案内位置NGPへ移動される。
【0071】
次ぎに弾出装置116を説明する。
弾出装置116は、規正体112によって出口110に案内された硬貨Cを、払出通路114へ弾き出す機能を有する。
本実施例1において、弾出装置116は規正体112と弾発装置192を含んでいる。
規正体112は既に説明したので弾発装置192を説明する。
弾発装置192は、規正体112を位置選択体198の回動規制体204側へ弾性的に付勢し、規正体112が硬貨Cによって押動されて支軸194を支点に回動された場合において、当該規正体112を逆方向へ回動させて硬貨Cを弾き出す機能を有する。
本実施例1において、弾発装置192は、バネ受体209と規正体112の中間との間に配置された弾性体224たる弾出バネ226である。
したがって、硬貨Cが第1傾斜面196A、第2傾斜面196Bを押動し、規正体112が支軸194回りに回動された場合、弾出バネ226は、弾発力が蓄積され、所定時点で硬貨Cによる押動が解消された場合、弾出バネ226の弾発力によって
第1及び第2規正体112A、112Bが逆方向へ勢いよく回動されることにより、第1傾斜面196A、第2傾斜面196B(詳しくは第1傾斜面196A)を介して硬貨Cを払出通路114へ弾き出す。
【0072】
次ぎに硬貨センサ118を主に
図6を参照して説明する。
硬貨センサ118は、弾出装置116によって弾き出された硬貨Cを検出する機能を有し、本実施例1では磁気式の金属センサ231を用いている。したがって、硬貨センサ118は同様の機能を有する他の装置、例えば、光電センサ、機械式センサ等の他方式に変更することができる。
本実施例1において、硬貨センサ118は払出通路114に相対して配置されているが、硬貨出口48の下流に配置することもできる。
【0073】
次ぎに通過阻止体120を主に
図12〜
図14を参照して説明する。
通過阻止体120は、規正体112が非案内位置NGPに位置する場合、阻止位置SP(
図21)に位置して回転ディスク108によって連れ回りされる硬貨Cが出口110から払出通路114へ払い出されないように阻止すると共に、規正体112が案内位置GPに位置する場合、非阻止位置NSP(
図20)に位置して硬貨Cの払出通路114への移動を許す機能を有する。
本実施例1において、通過阻止体120は出口110に隣接する払出通路114の通路底面186に形成された進退孔228において、当該通路底面186に対して突出又は退出動可能に挿入され、通過阻止体120が払出通路114に突出した場合、阻止位置SPに位置して、硬貨Cが払出通路114へ通過しないよう阻止し、通路底面186から退出した場合、非阻止位置NSPに位置して硬貨Cの通過を妨げない。本実施例1において、進退孔228は角丸長方形の長穴に形成され、その長さは出口110の長さの大凡三分の一に形成されている。しかし、その大きさや形状は、上記機能を達成出来れば制約されない。
本実施例1において、通過阻止体120は、垂立する棒状体を呈し、先端部230である通過阻止体部分232、先端部230の下側に連なる連携部236、連携部236の下側に位置するリテーナ部238、及び、小径部240を含んでいる。
先端部230は、硬貨Cと接触して払出通路114への移動を阻止する機能を有し、平面視、進退孔228に対し僅かに小型の相似形に形成され、その長さは、進退孔228の壁面によって軸線に沿って案内され、往復直線運動可能なように、ベース104の厚みよりも大きく形成されている。しかし、他の部位との協働で前記軸線に沿った直線運動が可能で有れば、ベース104の厚みよりも薄くても良い。また、通過阻止体120の形状も本実施例1に限られず、丸棒状、角柱状、三角形状等も採用することができる。
【0074】
次ぎに連携部236を主に
図14を参照しつつ説明する。
連携部236は、規正体112の案内位置GP又は非案内位置NGP位置、換言すれば、位置選択体198の払出補助位置AP又は非払出補助位置NAPへの移動に連動して通過阻止体120を阻止位置SP又は非阻止位置NSPへ移動させるため、後述の連動装置242の移動を通過阻止体120に伝える機能を有し、本実施例1においては、連携部236は平行な第1面236Aと第2面236Bとが所定の間隔で形成された案内部244により構成されている。
案内部244は、後述の連動体246の蛙又部248によって挟まれる。換言すれば、蛙又部248を構成する所定の間隔で平行に配置された第1狭持部248Aと第2狭持部248Bとによって第1面236Aと第2面236Bとは挟まれる。
小径部240の周囲には、付勢体250としてのスプリング252が外装される。
スプリング252の上端はリテーナ
部238の下面にあてがい、下端はベース104の裏面に一体に形成されたブラケット254(
図20参照)にあてがわれている。
したがって、通過阻止体120はスプリング252の弾発力によって、ベース104に対して上方、換言すれば、払出通路114の通路底面186に対し上側へ突出する方向に付勢されている。しかし、その突出量は連動体246にリテーナ
部238が当接することによって決定される。また、連動体246の回動によって、リテーナ
部238が押し下げられることにより、通過阻止体120(先端部230)はその上端面が少なくとも通路底面186と面一になるまで進退孔228内に引き入れられる。
【0075】
次ぎに連動装置242を説明する。
連動装置242は、規正体112と通過阻止体120とを連動させる機能を有し、換言すれば、
規正体112が案内位置GPに位置する場合、通過阻止体120を
非阻止位置NSPに位置させ、
規正体112が非案内位置NGPに位置する場合、通過阻止体120を阻止位置SPに位置させる機能を有する。
本実施例1において連動装置242は、機械的リンク機構241であり、ベース104の下面から下向きに突出された軸受(図示せず)に回転自在に支持された第3支軸256を中間に有する揺動梃子257たる板状の連動体246である。
連動体246の一端は、蛙又部248に形成され、通過阻止体120の連携部236の第1面236Aと第2面236Bを当該蛙又部248によって挟むように配置されている。これにより、
図20において連動体246が時計方向へ回動された場合、リテーナ
部238を蛙又部248によって押し下げることにより、通過阻止体120を進退孔228内に押し下げて非阻止位置NSPに位置させる。連動体246の他端部は直線的に所定長延在している被動レバー258である。
【0076】
本実施例1において、被動レバー258は、位置選択体198の非案内位置NGPへの移動に連動して位置選択体198の一部によって押し下げられ、結果として、通過阻止体120がスプリング252によって押し上げられ、阻止位置SPに位置され、位置選択体198が払出補助位置APへ移動した場合、スプリング252の弾発力に反して通過阻止体120が下方へ移動され、通過阻止体120はその通過阻止体部分232が払出通路114の通路底面186から突出し、払出通路114に位置した阻止位置SPにおいて静止する。換言すれば、電磁アクチュエータ214の電磁石218が消磁されている場合、位置選択体198は非払出補助位置NAPに位置するため、連動部260は被動レバー258を下方から押動しない。結果として、通過阻止体120はスプリング252の弾発力によって上方へ押し上げられ、リテーナ部238が蛙又部248によって移動を阻止されるまで移動される。換言すれば、通過阻止体120が上方へ押し上げられ、先端部230が通路底面186から突出し、払出通路114に突出した阻止位置SPに位置する。この時、位置選択体198は位置規制体225によって係止されている。
電磁石218が励磁された場合、出力ロッド212が図
12において下方へ引き下げられるので、位置選択体198が
図20において支軸194回りに反時計方向に回動され、位置選択体198は払出補助位置APに移動される。結果として、連動部260は被動レバー258を下方から押し上げるので、被動レバー258、したがって、蛙又部248はスプリング252の弾発力に反してリテーナ部238を押し下げ、通過阻止
体部分232は進退孔228内に引き入れられ、払出通路114から退出した非阻止位置NSPに位置される。
本実施例1においては、
図13において明らかなように、連動部260と連動体246とは平面視鋭角になるように配置されている。この配置構成によって、小型の硬貨払出装置22-100内においても機械的機構によって規正体112と通過阻止体1
20とを連動させることができ、安価に構成できる利点がある。
【0077】
次ぎに出口調整体262を主に
図6及び
図15を参照して説明する。
出口調整体262は、硬貨Cの直径に合わせて下流側案内面187との間隔DTを調整し、硬貨Cの出口110を確定する機能を有し、本実施例1においては、さらに、弾出装置116と共同して硬貨Cを払い出す機能を有する。すなわち、規正体112(詳細には第2規正体112B)との間で硬貨Cを挟み、最終的には第2規正体112Bによって硬貨Cを弾き出す機能を有する。
本実施例1において、出口調整体262は、平面視台形の板状体であり、縦断面形状は、上段部264が下段部266よりも幅が広く、その段差部に段差面268A、268Bが形成された段付き形状を有している。
払出通路114の通路底面186には、上流側端縁130u側から下流側端縁130dへ向かって直線的に延び、当該払出通路114の中央まで延在する位置調整凹溝270が形成されている。位置調整凹溝270は、縦断面が相対的に幅が広い上段溝272と下段溝274とが上下二段に配置され、段差部に溝段差面270A、270Bが形成された段付き形状をしている。
したがって、出口調整体262の下端部は、位置調整凹溝270に挿入され、下段部266が下段溝274に、上段部264の下部が上段溝272にスライド可能に密に挿入されている。換言すれば、出口調整体262は位置調整凹溝270に沿って直線的に下流側案内面187に接離可能に配置されている。
また、出口調整体262の中心部に固定ネジ孔276が上下方向に貫通形成され、その上面には、ボルト頭
280aを埋没させるための円形凹部278が形成されている。
したがって、固定ねじ280が固定ネジ孔276を貫通してベース104の裏面側にあてがわれたナット281にねじ込んでベース104をナット281と出口調整体262との間で狭持することにより、出口調整体262を硬貨Cの直径に対し適当な位置に固定する。具体的には、出口調整体262の硬貨Cを挟む角部である狭持部282と下流側端縁130dとの距離は、硬貨Cの直径よりも僅かに大きい程度に設定される。
また、硬貨Cが
第2規正体112Bと狭持部282との間に挟まれた場合、規正体112が所定量以上支軸194回りに回動されない場合、
第2規正体112Bと硬貨Cとの接点、及び、硬貨Cと狭持部282との接点を結ぶ直線Lを、硬貨Cの中心CC(
図20)が通り過ぎないように位置関係が設定されている。換言すれば、規正体112に作用する弾出バネ226の弾発力が所定値以上になった場合、硬貨Cを弾き出すことができるように設定してある。このように設定することにより、硬貨Cの払出不良を防止できる効果がある。
出口調整体262の位置が、最小径の50円硬貨50Cに対応する位置に調整された場合、出口調整体262は通過阻止体120に近接した位置に設定され、最大直径の500円硬貨500Cの直径に合わせて設定した場合、
図6に示す位置になる。この場合であっても、通過阻止体120と狭持部282との間隔は、最小径の50円硬貨50Cの直径よりも狭く設定され、50円硬貨50Cは通過することができない。
【0078】
次ぎにロータリーエンコーダ127を説明する。
ロータリーエンコーダ127は、回転ディスク108の回転角度位置に関する情報(回転位相)を出力する機能を有する。換言すれば、回転ディスク108によって連れ回りされる硬貨Cが、規正体112の進退孔129上に位置する状態において回転ディスク108が停止しないようにするための、回転ディスク108の回転位相を検出する機能を有する。したがって、ロータリーエンコーダ127は同様の機能を揺する装置を用いることができる。本実施例1において、ロータリーエンコーダ127は、中間ベース36の下側において減速機出力軸32に固定した一定間隔でスリット127Sを有する円盤127Aと、中間ベース104Bに対し固定状態に配置され、円盤127Aのスリット127Sを検出し、角度位置信号APSするように配置された光電センサ127Bとによって構成されている。ロータリーエンコーダ127は本実施例1の形態に限定されず、他の金種の被動歯車42と同期して回転する部位に関連して設けることができる。本実施例1において、スリット127Sは120度間隔で3本形成され、金種毎の個別の硬貨払出装置22における回転ディスク108-10、108-100、108-50、108-500における透孔136の回転角度位置を表す。
【0079】
次ぎに制御回路122を主に
図16を参照して説明する。
制御回路122は、上位装置(例えばPOSレジ)の制御部(図示せず)から硬貨Cの払出指令PO、ロータリーエンコーダ127からの回転ディスク108の角度位置信号APS、及び、硬貨センサ118、具体的には、4つの硬貨センサ118からの各硬貨信号CS-10、CS-100、CS-50、CS-500を受信し、所定のプログラムにしたがってアクチュエータ200たる各電磁アクチュエータ214をON又はOFF、換言すれば、電磁アクチュエータ214-10、214-100、214-50、214-500を励磁、又は、消磁する機能、及び、電気モータ28に対し正転、逆転又は停止を指示する機能を有し、本実施例1においてはマイクロコンピュータ286によって構成されている。
制御回路122は、上位装置の制御部から硬貨Cの払出金額の払出指令POを受けた場合、払出金種と当該金種毎の払出数とを演算し、払出が必要な金種毎の個別の硬貨払出装置22-10、22-100、22-50、22-500の電磁アクチュエータ214-10、214-100、214-50、214-500の電磁石218を選択的に励磁させ、各出力ロッド212、及び、取付片222を介して位置選択体198を払出補助位置
APへ移動させ、さらに、連動装置242を介して通過阻止体120を非阻止位置NSPへ移動させ、結果として規正体112は案内位置GPに位置される。
また、制御回路122は、払出
指令POを受けた場合、電気モータ28に対し正転信号を出力し、減速機出力軸32、従って駆動平歯車38S、アイドラ歯車40、被動平歯車42S-500、アイドラ歯車40-50、被動平歯車42S-50、アイドラ歯車40-100、被動平歯車42S-100、アイドラ歯車40-10、被動平歯車42S-10を回転させ、各回転ディスク108-10、108-100、108-50、108-500を同期正転させる。これによって、前述のように、回転ディスク108によって連れ回りされている硬貨Cは、規正体112によって出口110へ案内され、出口調整体262の狭持部282と第2規正体112Bとによって挟まれ、最終的に第2規正体112Bに付与されている弾出バネ226の弾発力によって弾き出される。
払い出すべき金種の硬貨Cが払い出すべき数だけそれぞれ払出された後、電磁アクチュエータ214は消磁されるので、規正体112が非払出補助位置N
APに移動されると共に、通過阻止体120を阻止位置SPに移動させて払出を終了する。
さらに、回転ディスク108を停止する場合、ロータリーエンコーダ127からの角度位置信号APSに基づいて給電停止タイミングを制御し、硬貨Cが進退孔129上に位置しない回転角度位置において停止される。
【0080】
詳述すれば、払い出された硬貨Cは各硬貨センサ118-10、118-100、118-50、118-500によって検知され、当該各硬貨センサ118は、硬貨信号CS-10、CS-100、CS-50、CS-500を出力する。
各硬貨信号CSを受信した制御回路122は、演算された金種毎の数であるか判別する。換言すれば、
各硬貨セン
サ118-10、118-100、118-50、118-500からの硬貨信号CSの数が、指定数であるか判別し、指定数に達しない場合、各電磁アクチュエータ214は励磁を継続される。結果として、規正体112は案内位置GPに保持されるので、硬貨Cの払出は継続される。
各硬貨センサ118からの各硬貨信号CSが指定数になった場合、制御回路122は電磁アクチュエータ214を消磁するので、位置
選択体198は非払出補助位置NAPに位置され、結果として規正体112は非案内位置NGPへ移動され、通過阻止体120は阻止位置SPに移動され、硬貨Cの払出は行われない。
【0081】
次に実施例1の複数硬貨払出装置10の制御回路122が実行する処理を
図17及び
図18のフローチャートも参照しつつ説明する。
まずステップS1において、上位装置の制御部から払出指令PO(硬貨Cの払出金額PQが出力されているか判断し、払出指令POが出力されている場合ステップS2に進み、払出指令POが出力されていない場合ステップS1をループし、待機状態を継続する。本実施例1においては、払出金額PQとして870円が出力された場合を設例に以下説明する。
【0082】
次ぎにステップS2において、制御回路122は払出金額PQに対する金種硬貨と払出数(DN)を演算し、出力した後、ステップS3に進む。本設例においては、500円硬貨500Cが1個、100円硬貨100Cが3個、50円硬貨50Cが1個、10円硬貨10Cが2個である。
【0083】
次ぎにステップS3において、逆転位置出し処理を行った後、ステップS4へ進む。逆転位置出し処理とは、各個別の硬貨払出装置22の回転ディスク108を、透孔136に落下した硬貨Cが確実に規正体112が進退する進退孔129上に位置しないようにする処理である。具体的には、電気モータ28を逆転させて全ての回転ディスク108を同期逆転させつつロータリーエンコーダ127、したがって光電センサ127Bから最初の角度位置信号APSが出力されるまで逆転させた後、電気モータ28の逆転を停止する。当然のことながら、逆転によって停止した回転ディスク108の回転位置においては、透孔136に落下した硬貨Cは進退孔129上には位置しない。この際、電磁アクチュエータ214は励磁されないから、規正体112は非案内位置NGPに、通過阻止体120が出口110において阻止位置SPに位置しているので、回転ディスク108の逆転によって、硬貨Cが出口110に達したとしても、通過することは出来ず、硬貨出口48から払い出されることはない。
【0084】
次ぎにステップS4において、払出対象になっている金種を判別し、当該払出対象金種の硬貨払出装置22における個別の制御を行うためのステップS5へ進む。
ステップS5において、払出対象になっている硬貨Cの硬貨払出装置22の電磁アクチュエータ214を励磁した後、ステップS6へ進む。本設例の場合、500円硬貨500C、50円硬貨50C、100円硬貨100C、及び、10円硬貨10Cの全てが払出対象になっているため、ステップS5において全ての硬貨払出装置22-500、22-50、22-100、22-10の電磁アクチュエータ214-500、214-50、214-100、214-10の電磁石218が励磁された後、ステップS6へ進む。勿論、払出対象でない硬貨払出装置22がある場合、当該硬貨払出装置22の電磁アクチュエータ214は励磁されない。
電磁石218の励磁によって、出力ロッド212が本体216内に引き入れられ。取付
片222を介して位置選択体198は、
図20において反時計方向に回動されて払出補助位置AP(破線)に移動されるので、規正体112は案内位置GPへ移動されると共に、連動部260は被動レバー258を押し上げる。これにより連動体246が第3支軸256を支点に回動して、蛙又部248が通過阻止体120のリテーナ部238を押し下げるので、通過阻止体120の先端は、
進退孔228内に退去する。
【0085】
次ぎにステップS6において、電気モータ28が起動された後、ステップS7へ進む。電気モータ28の起動によって、減速機30の減速機出力軸32が所定の速度で回転されるので、駆動平歯車38S及び円盤127Aが所定の速度で回転される。これにより、駆動平歯車38Sと噛み合うアイドラ歯車40-500を介して被動平歯車42S-500、被動平歯車42S-500と噛み合うアイドラ歯車40-100を介して被動平歯車42S-100、被動平歯車42S-100と噛み合うアイドラ歯車40-50を介して被動平歯車42S-50、被動平歯車42S-50と噛み合うアイドラ歯車40-10を介して被動平歯車42S-10が同一方向へ同期して所定の速度で回転される。この被動平歯車42S-500、42S-100、42S-50、42-10の回転によって、入力軸46-500、46-100、46-5
0、46-10を介して回転ディスク108-500、108-100、108-50、108-10が同期回転し、それらの透孔136が同一回転角度回転される。回転ディスク108の正方向の回転によって、透孔136に落下した硬貨Cは押動体146によって押動されてベース104上の硬貨通路MPを移動する。
【0086】
これにより、第1押動体146Aによって押動される100円硬貨100Cは、第1規正体112A及び第2規正体112Bによって出口110側へ案内される。
例えば、100円硬貨100Cの出口110側への移動によって、100円硬貨100Cは出口調整体262の狭持部282によって案内されるようになると共に、第1押動体146Aによる押動が継続されるので、第2規正体112Bが弾出バネ226の弾発力に反して回動され
図19(B)に鎖線で示すように回動される。
この過程において、100円硬貨100Cはさらに収納穴126の周方向へ移動するので、第2押動体146Bによってのみ押動されるようになり、最終的に規正体112が
図19(
A)の位置において。100円硬貨100Cの中心が、100円硬貨100Cの周面と第2規正体112B、及び、狭持部282との接点を結ぶ直線L1を越えるので、弾出バネ226の弾発力によって払出通路114へ勢いよく払い出される。
払い出された100円硬貨100Cは硬貨センサ118-100によって検知され、硬貨センサ118-100は硬貨信号CS-100を出力する。
規正体112は、硬貨Cを弾き出した後、弾出バネ226の弾発力によって回動規制体204によって係止されるまで回動され、案内位置GPに戻される。
引き続き規正体112が案内位置GPに保持される場合、前記と同様に100円硬貨100Cは1つずつ弾き出される。
払出対象硬貨でない場合における当該非対象硬貨C、及び、所定数払い出された場合における硬貨Cの硬貨払出装置22における電磁アクチュエータ214は励磁されないことから、規正体112は非案内位置NGPに、通過阻止体120は阻止位置SPに位置することから、硬貨Cが回転ディスク108によって連れ回りされる場合であっても、硬貨通路MPを周回移動されるだけである。他の金種の硬貨払出装置2
2-500、22-50、22-10においても同様に行われる。
【0087】
ステップS7〜S14は各硬貨払出装置22-500、22-50、22-100、22-100毎に個別に、硬貨Cを1つず分離して払い出す硬貨払出に関連する処理の流れであり、各硬貨払出装置22-500、22-50、22-100、22-10において個別並行的に行われる。したがって、各硬貨払出装置22毎に実行されることを表すため、同一ステップ番号に続いてハイフォンと対象金額を付記することにより表示する。また、その作用は全て同一であるので、100円硬貨100C用の硬貨払出装置22-100の作用を代表して説明し、その他の硬貨払出装置22-500、22-50。22-10における作用説明は省略する。
【0088】
ステップS7において、払出対象金種を判別し、払出対象金種の硬貨払出装置22-500、22-50、22-100、22-10におけるステップS8〜S16の払出処理へ進む。硬貨払出の作用を、100円硬貨100C用の硬貨払出装置22-100を例に説明する。
ステップS8-100において、払出
制限時間T1の計時を開始した後、ステップS9-100へ進む。払出
制限時間T1は、100円硬貨100Cの払出状態にあるにも拘わらず、払い出された100円硬貨100Cの検知に基づく硬貨信号CS-100を所定時間である払出制限時間T1の間、連続して検出しない場合、100円硬貨100Cが払い出されるべき状態にも拘わらず、払い出されない異常状態であると判断するための基準時間である。払出制限時間T1は、通常3秒程度に設定されている。
【0089】
ステップS9-100において、硬貨センサ118-100から硬貨信号CS-100が出力されたか否かを判別し、出力された場合ステップS10-100へ進み、出力されない場合はステップS11-100へ進む。
すなわち、前述のように硬貨センサ118-100が
100円硬貨100Cを検知して硬貨信号CS-100を出力した場合、硬貨払出装置22-100が正常に機能しているので、正常な場合における次ぎのステップS10-100へ進む。
【0090】
ステップS11-100において、払出制限時間T1が経過したか判別し、経過していない場合、ステップS9-100へ戻り、経過した場合、ステップS15-100へ進む。
すなわち、ステップS5-100において規正体112が案内位置GPに位置し、ステップS6において回転ディスク108-100が回転していることから、100円硬貨100Cが払い出され、硬貨センサ118-100から硬貨信号CS-100が払出制限時間T1の間に出力されてしかるべきである。しかし、払出制限時間T1を超えても硬貨信号CS-100が出力されない場合、硬貨ジャムが発生したものと判断し、自動解決のためのサブルーチンにおける回転ディスク108-100の逆転処理をするようにしている。
【0091】
ステップS10-100において、硬貨信号CS-100の出力毎に硬貨信号CS-100の数を集計した後、ステップS12-100へ進む。ステップS10-100において、今回は最初であるので1が計数される。すなわち、100円硬貨100Cの払出数が1であるとして計数される。
【0092】
ステップS12-100において、100円硬貨100Cの払出数(ステップS10-100における計数値)が指示払出数DNになったか否か判別し、指示払出数DNになった場合ステップS13-100へ進み、指示払出数DNにならない場合ステップS9-100へ戻る。
換言すれば、ステップS12-100においては、指示された100円硬貨Cが指示された数、払い出されたか否かを判別している。
本設例において、
指示払出数DNは3であり、今回は計数値CNが1であるからステップS9-100へ戻り、100円硬貨100Cの払出が継続される。
払出が継続される場合、前述のように100円硬貨100Cが1つずつ規正体112によって弾き出されると共に、その払出の都度、硬貨センサ118-100から硬貨信号CS-100が出力される。したがって、その後100円硬貨100Cが2つ払い出され、ステップS10-100における計数値CNが3になった場合、ステップS13-100へ進む。
【0093】
ステップS13-100において、電磁アクチュエータ214-100が消磁された後、ステップS14-100へ進む。
電磁アクチュエータ214-100の消磁によって、バネ220の弾発力によって位置規制体225が非払出補助位置NAPへ移動され、規正体112も非案内位置NGPへ移動される。この位置規制体225の移動に伴って、通過阻止体120は付勢体250の付勢力によって押し上げられ、通過阻止体部分232が
進退孔228から出口110の中央に突出し、阻止位置SPに位置する、これにより、回転ディスク108-100の回転が継続していても、押動体146に押動されて連れ回りされる100円硬貨100Cが規正体112によって出口110側へ案内されることは無く、万が一、100円硬貨100Cが出口110に到達した場合であっても、阻止位置SPに位置する通過阻止体120によって阻止されて払出通路114へ通過することは出来ない。換言すれば、100硬貨100Cは硬貨通路MPを循環移動されるにすぎない。
【0094】
ステップS14-100において、払出終了信号FS100を出力してステップS31へ進む。
【0095】
ステップS15-100において、電磁アクチュエータ214-100の電磁石218を消磁した後、ステップS16-100へ進む。この電磁石218消磁によって、前述のように規正体112を非案内位置NGPに位置させると共に、通過阻止体120を阻止位置SPに位置させ、100円硬貨100Cが払い出されないようにする。その後、後述するステップS17以降の自動解消のための逆転処理を行う。
【0096】
前述のステップS7-100〜S16-100の硬貨払出処理が、個別の硬貨払出装置22-500、22-50、22-10においても実行され、指示された金種毎に指示された数の硬貨Cが払い出される。本設例においては、硬貨払出装置22-500からは1個の500円硬貨500Cが払い出された後、払出終了信号FS500が出力され、硬貨払出装置22-50からは1個の50円硬貨50Cが払い出された後、払出終了信号FS50が出力され、及び、硬貨払出装置22-10からは2個の10円硬貨10Cが払い出された後、払出終了信号FS10が出力される。
【0097】
硬貨払出処理によって払い出された500円硬貨500C、50円硬貨50C、100円硬貨100C、及び、10円硬貨10Cは、搬送ベルト16上に落下し、当該搬送ベルト16によって受取口12へ搬送される。
【0098】
次ぎにステップS31において、払い出されるべき全ての払出終了信号FS500、FS50、FS100
、又は、FS10が全て出力されたか判別し、全て判別した場合、ステップS32へ進み、判別しない場合、ステップS31をループして待機状態になる。
【0099】
ステップS32において、ロータリーエンコーダ127から停止に適した角度位置信号APSが出力されたか判別し、角度位置信号APSが出力された場合ステップS33へ進み、角度位置信号APSが出力されない場合ステップS32をループする。すなわち、硬貨Cが規正体112に相対した状態で回転ディスク108が停止しないように、電気モータ28へ給電停止のタイミングを検出している。
【0100】
ステップS33において、電気モータ28への給電を停止した後、処理を終了する。電気モータ28は給電を停止されるので、回転ディスク108-500、108-100、108-50、108-10は僅かな慣性回転後に同期して停止する。給電停止のタイミングは、前述のように、硬貨Cが進退孔129に重ならない位置になるよう設定されているので、次回の払出に不都合を来すことはない。
【0101】
したがって、ステップS3における逆転初期位置
出し処理は省略することも可能であるが、長時間硬貨払出が行われない場合、回転ディスク108が外力によって回転し、硬貨Cが進退孔129に重なることもあり得るので、逆転初期位置出しを行うことが好ましい。
【0102】
次ぎにステップS17以降のジャム自動解消のための逆転処理について説明する。
まずステップS17において、電気モータ28への給電を停止した後、ステップS18へ進む。これにより、全ての回転ディスク108の回転を停止させ、硬貨Cの払出を停止する。
【0103】
次ぎにステップS18において、電気モータ28を逆転させた後。ステップS19へ進む。
電気モータ28の逆転によって、伝達装置26を介して全ての回転ディスク108が逆転される。これによって、全ての硬貨Cも押動体146の裏面151A、151Bによって押動されて硬貨通路MPを逆行されるが、規正体112が非案内位置NGPに位置するため、何らの不都合なく逆行される。
【0104】
ステップS19において、逆転時間T2の計時を開始し、ステップS20へ進む。
逆転時間T2は回転ディスク108の大凡の逆転量を定める機能を有し、少なくとも回転角度において30度程度逆転されれば良いが、回転ディスク108が1回転程度逆転するように定めることが好ましい。
【0105】
ステップS20において、逆転時間T2が予め定められた基準の逆転時間T2に達したか判別し、基準の逆転時間T2に達し場合、ステップS21へ進み、達しない場合ステップS20をループする。これにより、回転ディスク108は基準の逆転時間T2の間、逆転される。
【0106】
ステップS21において、電気モータ28の逆転を停止させた後、ステップS22へ進む。電気モータ28の停止によって、全ての回転ディスク108は僅かな慣性回転後停止する。
【0107】
ステップS22において、全ての電磁アクチュエータ214の電磁石218を励磁した後、ステップS23へ進む。この電磁石218の励磁によって、位置選択体198は払出補助位置AP(
図19において実線示)に移動されるので、規正体112は案内位置GPへ移動されると共に、連動部260は連動部によって、通過阻止体120の先端が、
進退孔228内に後退されて非阻止位置NSPに位置し、硬貨Cの払出を可能にする。
【0108】
ステップS23において、電気モータ28が正回転された後、ステップS24へ進む。この電気モータ28の正回転によって、伝達装置26を介して全ての回転ディスク108が正回転される。一回目の回転ディスク108の逆転処理によってジャムが解消したかどうか確認するためである。
【0109】
ステップS24において、各硬貨払出装置22の各硬貨センサ118から硬貨信号CSが出力されたか判別し、ステップS25へ進む。
各硬貨払出装置22におけるステップS25-500、S25-50、S25-100、S25-10において、所定時間T
1の間、硬貨信号CSが出力されなかった個別の硬貨払出装置22の硬貨センサ118から硬貨信号CSが出力されたかを判別し、硬貨信号CSを判別した場合、ステップS7へ戻る。すなわち硬貨信号CSが出力され場合、回転ディスク108が正常に回転していると推測できるので、未払出しの硬貨Cを払い出すためである。この場合、電気モータ28は回転を継続し、払い残しの硬貨数を前述のように払い出す。
【0110】
ステップS25において何れの硬貨センサ118からも硬貨信号CSが出力されない場合、ステップS26へ進む。ステップS26において、電気モータ28が停止された後、ステップS27へ進む。電気モータ28の停止により、回転ディスク108による硬貨Cの払出は停止される。
【0111】
ステップS27において、逆転回数CRNが計数された後、ステップS28に進む。ステップS27において、逆転処理が一回なされる毎に逆転回数CRNが1加算される。今回は初回であるかから、逆転回数CRNとして1が記憶される。
【0112】
ステップS28において、逆転回数CRNと逆転許容
回数CANとを比較し、許容回数CAN以下の場合、ステップS18へ戻り、許容回数CANと同じ又は超える場合、ステップS29へ進む。本設例においては、許容回数CANが3に設定されている。したがって、今回は初回であるため逆転回数CRNは1であり、許容回数CANの3よりも小さいのでステップS18へ戻る。
ステップS18へ戻った場合、再びステップS18〜S28の逆転処理を行う。ステップS27において、逆転回数CRNは2にカウントアップされるが、ステップS28において許容回数CANの3以下であるので再びステップS18へ戻り、硬貨Cの払出が行われる。したがって、この硬貨払出と逆転処理は、本設例においては4回行われ、4回行われた後は、ステップS28からステップS29へ進んで上位装置へ異常信号ESを出力して処理を終了する。