特許第6182787号(P6182787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182787
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】複数硬貨払出装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 1/00 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   G07D1/00 AGBL
【請求項の数】1
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2014-11447(P2014-11447)
(22)【出願日】2014年1月24日
(65)【公開番号】特開2015-138510(P2015-138510A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116987
【氏名又は名称】旭精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167081
【弁理士】
【氏名又は名称】本谷 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】梅田 正義
【審査官】 城臺 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/120344(WO,A1)
【文献】 特開2003−281588(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3060916(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D1/00
G07D1/06
G07D9/00
F16H35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨(C)をバラ積み状態で保留すると共に前記硬貨(C)が上側から下側へ通過可能な透孔(136)を備えた回転ディスク(108)の回転によって1つずつ出口(110)から送り出す硬貨払出装置(22)を複数一列に配置し、前記複数の硬貨払出装置(22)における前記回転ディスク(108)は1つの駆動装置(20)によって回転駆動されるように構成され、払出指令に基づいて前記硬貨払出装置(22)は前記回転ディスク(108)の回転によって前記硬貨(C)を所定数払い出すようにした複数硬貨払出装置において、
前記各硬貨払出装置(22)における回転ディスク(108)を前記駆動装置(20)の出力軸(32)の回転・停止に連動して回転・停止するように駆動連結する伝達装置(26)と、
前記各硬貨払出装置(22)における出口(110)に配置され、前記出口(110)における硬貨(C)の通過を許す非阻止位置(NSP)と通過を許さない阻止位置(SP)とに選択的に位置可能な通過阻止体(120)を含み、
前記各硬貨払出装置(22)における前記回転ディスク(108)の前記透孔(136)は、同数であって、かつ、同一角度位置に設けられ、
前記各硬貨払出装置(22)における前記回転ディスク(108)のそれぞれが前記駆動装置(20)によって前記伝達装置(26)を介して同時に回転されつつ前記通過阻止体(120)を前記非阻止位置(NSP)又は前記阻止位置(SP)へ選択的に位置させることにより所定金種の前記硬貨(C)を所定数払い出すことを特徴とする複数硬貨払出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラ積みした硬貨を1つずつ回転ディスクの透孔に落下させた後、所定位置において回転ディスクに対する周方向へ1つずつ送り出すことができる複数の硬貨払出装置を1の駆動装置によって駆動するようにした複数硬貨払出装置に関する。
なお、本明細書で使用する「硬貨」は、日本、米国、又は、欧州の通貨たる硬貨、若しくは、メダル等の代用硬貨たるトークンを含んでいる。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、投入された複数金種の硬貨を受入れ一時保留する硬貨入金部と、この硬貨入金部に投入された複数金種の硬貨を一枚ずつに分離し硬貨通路に沿って搬送する硬貨搬送部と、この硬貨通路の入口部に配設され、搬送される硬貨の真偽と正貨の金種とを判別する硬貨判別部と、前記硬貨通路の底部に配設され、該硬貨通路を搬送される硬貨を金種毎にそれぞれ異なった位置で下方に落下させて選別する硬貨選別部と、この硬貨選別部により選別された硬貨を金種毎に収納する硬貨収納部と、この硬貨収納部の底部に配設され、この硬貨収納部に収納された硬貨を一枚ずつ払い出す硬貨払出し部と、この硬貨払出し部を駆動する硬貨払出し駆動部と、前記硬貨払出し部から払い出された硬貨を前記硬貨入金部側へ向け水平搬送する硬貨水平搬送部とを少なくとも有する硬貨処理装置において、前記硬貨払出し駆動部を前記硬貨払出し部から所定の距離において離間させて配設し、さらに前記硬貨払出し駆動部と前記硬貨払出し部との間に駆動力を伝達する動力伝達手段を介在させ、さらに前記硬貨払出し部と前記硬貨払出し駆動部との間に形成されるスペースに前記硬貨水平搬送部を配設した硬貨処理装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
第2の従来技術として、横方向に2個並べて配置され、かつ、回転ディスクによって一個ずつコインを払い出すコインホッパ、前記並置されたコインホッパの中間において縦方向に延び、かつ、前記コインホッパからの払い出しコインをガイドする共通の払出通路、及び、前記並置されたコインホッパの前記回転ディスクに対し共通の駆動モータ、前記駆動モータと前記複数の回転ディスクとを選択的に駆動連結する伝達装置とを有するコインの払出装置が知られている(特許文献2)。
【0004】
第3従来技術として、車載用乗車券発行装置等の料金装置に着脱可能に装着される金庫装置において,利用客により前記料金装置の硬貨投入口から投入された投入硬貨のうち,選別された50円,500円等の売上硬貨を収納するチャンバーと,同じく投入硬貨のうち,選別された10円,100円等の2種の種銭用硬貨を金種毎に収納し,かつその下部一側には収納された種銭用硬貨を外部へ排出するスリットを具備する2つのホッパと,夫々のホッパの底部に所定方向に回転可能に支持され,円周方向に所定ピッチで複数の円形凹状の硬貨受皿を有し,この硬貨受皿の一部に,所定角回転する毎に前記スリットと対応合致する様に間隙が開けられた回転板と,正逆両方向に回転可能な回転軸を備えるとともに,この回転軸の正転時には一方の回転板のみを回転駆動し,逆転時には他方の回転板のみを回転駆動するように駆動源の回転力を伝達する回転力伝達手段とを備え,前記回転板の回転で前記硬貨受皿の間隙が前記スリットと対応一致した時,前記硬貨受皿上に載せられた種銭用硬貨が前記スリットを通して取り出されるように構成されたことを特徴とする金庫装置が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−320961(図2,段落番号0057)
【特許文献2】特開2007−200369(図16図25,段落番号0078〜0123)
【特許文献3】特許第2514825(図1図3,第3欄34行〜第4欄30行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1の従来装置において、硬貨払出部の複数の硬貨払出孔を有する硬貨払出円板は、それぞれ個別に設けられた駆動モータによって動力伝達手段を介して個別に正転され、当該正転によって硬貨払出孔に落下させることで硬貨を1つずつ分離して、所定金種の硬貨を所定数払い出すようになっている。したがって、各硬貨払出円板に対して個別に駆動モータを設けねばならず、装置が大型化すると共に、コスト高になる問題がある。
【0007】
第2の従来装置において、硬貨を払い出すためのコインホッパが金種毎に複数配置され、それらコインホッパの回転ディスクは共通の駆動モータによって正転されることで当該回転ディスクの通孔に落下させることで硬貨を1つずつ分離し、所定金種の硬貨を所定数払い出すようになっている。しかし、駆動モータと各回転ディスクとの間の駆動力の伝達はクラッチによって所定の金種に対応するコインホッパの回転ディスクを正回転させるようになっているので、クラッチを切り換えて所定の金種の硬貨を所定数払い出すこととなる。換言すれば、複数金種の硬貨が払い出される場合、1の金種の硬貨の払出が終了した後、次の硬貨の払出処理が行われ、硬貨の払出がシリーズになることから、迅速に所定金種の硬貨を所定数払い出すことができないという問題がある。
【0008】
第3の従来装置において、筒型のホッパの底部に回転板を配置し、当該回転板の回転によって硬貨を1つずつ分離して払い出す金庫装置になっており、当該金庫装置2つを一対となし、駆動モータによって回転される共通の回転軸に固定されたベベルギヤと前記回転板に駆動連結されたベベルギヤとを噛み合わせて当該回転軸の回転によってベベルギヤを介して回転板が回転されるように構成され、さらに、回転軸と1のベベルギヤとの間にワンウエイクラッチが介設されている。これにより、回転軸が正転される場合、ワンウエイクラッチの作用により他方の回転板は回転されずに一方の回転板が回転されることにより、当該一方の回転板の作用によって一金種の硬貨を払出す。一方、回転軸が逆転される場合、一方の回転板が逆転されることから前述で払い出された硬貨は払い出されず、他方の回転板はワンウエイクラッチの接続によって正回転されることから別の金種の硬貨を払出す。換言すれば、2金種の硬貨を払い出す場合、回転軸を正転させて一方の硬貨を払出した後、逆転させて他方の硬貨を払い出す。したがって、複数硬貨の払出はシリーズになることから、迅速に払い出すことができない問題がある。さらに、1つの駆動モータによって駆動可能なのは2つの回転ディスクであるので、四金種を払い出すには駆動モータが2つ必要になり、設置容積及びコスト削減面において限界がある問題がある。
【0009】
本発明の基本的目的である第1の目的は、複数の硬貨を払い出すことができる安価な複数硬貨払出装置を提供することである。
本発明の従的な目的である第2の目的は、複数硬貨を払い出すことができる小型の複数硬貨払出装置を安価に提供することである。
本発明の従的な目的である第3の目的は、複数硬貨を払い出すことができ、かつ、安価であって、さらに、点検保守作業が容易な複数硬貨払出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この基本的目的を達成するため、第1の発明は以下のように構成されている。
硬貨をバラ積み状態で保留すると共に前記硬貨が上側から下側へ通過可能な透孔を備えた回転ディスクの回転によって1つずつ出口から送り出す硬貨払出装置を複数一列に配置し、前記複数の硬貨払出装置における前記回転ディスクは1つの駆動装置によって回転駆動されるように構成され、払出指令に基づいて前記硬貨払出装置は前記回転ディスクの回転によって前記硬貨を所定数払い出すようにした複数硬貨払出装置において、前記各硬貨払出装置における前記回転ディスクを前記駆動装置の出力軸の回転・停止に連動して回転・停止するように駆動連結する伝達装置と、前記各硬貨払出装置における前記出口に配置され、前記出口における硬貨の通過を許す非阻止位置と通過を許さない阻止位置とに選択的に位置可能な通過阻止体を含み、前記各硬貨払出装置における前記回転ディスクの前記透孔は、同数であって、かつ、同一角度位置に設けられ、前記各硬貨払出装置における前記回転ディスクのそれぞれが前記駆動装置によって前記伝達装置を介して同時に回転されつつ前記通過阻止体を前記非阻止位置又は前記阻止位置へ選択的に位置させることにより所定金種の前記硬貨を所定数払い出すことを特徴とする複数硬貨払出装置である。
【0011】
2の発明は、次ぎのように構成されている。
硬貨をバラ積み状態で保留すると共に前記硬貨が上側から下側へ通過可能な透孔を備えた回転ディスクの回転によって1つずつ出口から送り出す硬貨払出装置を複数一列に配置し、前記複数の硬貨払出装置における前記回転ディスクは1つの駆動装置によって回転駆動されるように構成され、払出指令に基づいて前記硬貨払出装置は前記回転ディスクの回転によって前記硬貨を所定数払い出すようにした複数硬貨払出装置において、前記各硬貨払出装置における回転ディスクを前記駆動装置の出力軸の回転・停止に連動して回転・停止するように駆動連結する伝達装置と、前記各硬貨払出装置における出口に配置され、前記出口における硬貨の通過を許す非阻止位置と通過を許さない阻止位置とに選択的に位置可能な通過阻止体を含み、さらに、前記各硬貨払出装置は回転ディスクによって押動される硬貨の硬貨通路に突出した案内位置と、前記硬貨通路から退出した非案内位置とに選択的に移動可能な規正体を含み、前記各硬貨払出装置における回転ディスクのそれぞれが前記駆動装置によって前記伝達装置を介して同時に回転されつつ前記規正体が前記案内位置に位置する場合、前記通過阻止体が前記非阻止位置に位置され、前記規正体が前記非案内位置に位置する場合、前記通過阻止体が前記阻止位置へ選択的に位置されることにより所定金種の硬貨を所定数払い出すことを特徴とする複数硬貨払出装置である。
【0012】
3の発明は、次ぎのように構成されている。
前記複数の硬貨払出装置における回転ディスクにおける透孔は、同数であって、かつ、同一角度位置に設けられていることを特徴とする第1又は第2の発明にに記載した複数硬貨払出装置である。
【0013】
4の発明は、次ぎのように構成されている。
前記伝達装置は、前記硬貨払出装置の列に沿って配置され、前記駆動装置によって回転駆動される1の駆動軸、前記各硬貨払出装置に対応して前記駆動軸に固定された駆動傘歯車、及び、前記回転ディスクに駆動連結され、前記駆動傘歯車に噛み合う被動傘歯車を含むことを特徴とする第1、第2、又は、第3の発明に記載した複数硬貨払出装置である。
【0014】
5の発明は、次ぎのように構成されている。
前記伝達装置は、前記硬貨払出装置の列に沿って配置され、前記駆動装置によって回転駆動される1の駆動軸、前記各硬貨払出装置に対応して前記駆動軸に固定された駆動曲がり歯傘歯車、及び、前記回転ディスクに駆動連結され、前記駆動曲がり歯傘歯車に噛み合う被動曲がり歯傘歯車を含むことを特徴とする第1、第2、又は、第3の発明に記載した複数硬貨払出装置である。
【0015】
6の発明は、次ぎのように構成されている。
前記伝達装置は、前記駆動装置によって回転駆動される駆動平歯車、前記各硬貨払出装置の前記回転ディスクにそれぞれ駆動連結された被動平歯車を含み、前記被動平歯車は隣接する被動平歯車にアイドラ歯車を介して噛み合わされると共に、それらの内の1つがアイドラ歯車を介して前記駆動平歯車に噛み合わさることを特徴とする第1乃至第3の発明に記載した複数硬貨払出装置である。
【0016】
7の発明は、次ぎのように構成されている。
硬貨保留容器内にバラ積みされた硬貨を、前記硬貨保留容器の底孔に配置されると共に、円形の収納穴内において回転する回転ディスクの偏心位置に形成された透孔に硬貨を落下させ、前記回転ディスクの下側において前記回転ディスクの周方向に延びる押動体の押動前面によって前記硬貨を押動しつつ前記収納穴の硬貨案内壁によって前記硬貨の周面を案内させつつ前記硬貨の下面をベースによって案内させてリング状の硬貨通路を移動させた後、前記硬貨通路において前記ベースから突出する規正体によって前記収納穴の周方向へ移動させて前記硬貨案内壁の一部を開放した出口に案内すると共に弾出装置によって前記出口に続いて前記収納穴の周方向に延在する払出通路へ弾き出すようにした硬貨払出装置を複数一列に配置し、前記各硬貨払出装置における回転ディスクは1つの駆動装置によって回転駆動されるように構成され、払出指令に基づいて前記各硬貨払出装置は前記回転ディスクの回転によって前記硬貨を所定数払い出すようにした複数硬貨払出装置において、前記各硬貨払出装置における回転ディスクを前記駆動装置の出力軸の回転・停止に連動して回転・停止するように駆動連結する伝達装置と、前記出口に前記硬貨の通過を阻止する阻止位置又は通過を可能にする非阻止位置とに選択的に移動可能な通過阻止体を設けると共に、前記規正体を前記硬貨が前記出口に案内される案内位置と、案内されない非案内位置とに移動可能に設け、前記通過阻止体が前記阻止位置に位置する場合、前記規正体は非案内位置に位置され、かつ、前記通過阻止体が非阻止位置に位置する場合、前記規正体は前記案内位置に位置させる連動装置を設けたことを特徴とする複数硬貨払出装置である。
【0017】
8の発明は、次ぎのように構成されている。
硬貨保留容器内にバラ積みされた硬貨を、前記硬貨保留容器の底孔に配置されると共に、円形の収納穴内において回転する回転ディスクの偏心位置に形成された透孔に硬貨を落下させ、前記回転ディスクの下側において前記回転ディスクの周方向に延びる押動体の押動前面によって前記硬貨を押動しつつ前記収納穴の硬貨案内壁によって前記硬貨の周面を案内させつつ前記硬貨の下面をベースによって案内させてリング状の硬貨通路を移動させた後、前記硬貨通路において前記ベースから突出する規正体によって前記収納穴の周方向へ移動させて前記硬貨案内壁の一部を開放した出口に案内すると共に弾出装置によって前記出口に続いて前記収納穴の周方向に延在する払出通路へ弾き出すようにした硬貨払出装置を複数一列に配置し、前記各硬貨払出装置における前記回転ディスクは1つの駆動装置によって回転駆動されるように構成され、払出指令に基づいて前記硬貨払出装置は前記回転ディスクの回転によって前記硬貨を所定数払い出すようにした複数硬貨払出装置において、前記各硬貨払出装置における回転ディスクを前記駆動装置の出力軸の回転・停止に連動して回転・停止するように駆動連結する伝達装置と、前記出口に前記硬貨の通過を阻止する阻止位置又は通過を可能にする非阻止位置とに選択的に移動可能な通過阻止体を設けると共に、前記規正体は前記硬貨を前記出口に案内する案内位置と、案内しない非案内位置とに移動可能に設けられ、前記通過阻止体が阻止位置に位置する場合、前記規正体は非案内位置に位置され、かつ、前記通過阻止体が非阻止位置に位置する場合、前記規正体は前記案内位置に位置される連動装置を設け、前記連動装置は機械的リンク機構であることを特徴とする複数硬貨払出装置である。
【0018】
9の発明は、次ぎのように構成されている。
硬貨保留容器内にバラされた硬貨を、前記硬貨保留容器の底孔に配置されると共に、円形の収納穴内において回転する回転ディスクの偏心位置に形成された透孔に硬貨を落下させ、前記回転ディスクの下側において前記回転ディスクの周方向に延びる押動体の押動前面によって前記硬貨を押動しつつ前記収納穴の硬貨案内壁によって前記硬貨の周面を案内させつつ前記硬貨の下面をベースによって案内させてリング状の硬貨通路を移動させた後、前記硬貨通路において前記ベースから突出する規正体によって前記収納穴の周方向へ移動させて前記硬貨案内壁の一部を開放した出口に案内すると共に弾出装置によって前記出口に続いて前記収納穴の周方向に延在する払出通路へ弾き出すようにした硬貨払出装置を複数一列に配置し、前記各硬貨払出装置における前記回転ディスクは1つの駆動装置によって回転駆動されるように構成され、払出指令に基づいて前記硬貨払出装置は前記回転ディスクの回転によって前記硬貨を所定数払い出すようにした複数硬貨払出装置において、前記各硬貨払出装置における回転ディスクを前記駆動装置の出力軸の回転・停止に連動して回転・停止するように駆動連結する伝達装置と、前記出口に前記硬貨の通過を阻止する阻止位置、又は、通過を可能にする非阻止位置とに選択的に移動可能な通過阻止体を設けると共に、前記規正体を前記硬貨を前記出口に案内する案内位置と、案内しない非案内位置とに移動可能に設け、前記通過阻止体が阻止位置に位置する場合、前記規正体は非案内位置に位置され、かつ、前記通過阻止体が非阻止位置に位置する場合、前記規正体は前記案内位置に位置される連動装置を設け、前記連動装置は電気的アクチュエータを含むことを特徴とする複数硬貨払出装置である。
【0019】
10の発明は、次ぎのように構成されている。
バラ積みされた硬貨を、前記硬貨保留容器の底孔に配置されると共に、円形の収納穴内において回転する回転ディスクの偏心位置に形成された透孔に硬貨を落下させ、前記回転ディスクの下側において前記回転ディスクの周方向に延びる押動体の押動前面によって前記硬貨を押動しつつ前記収納穴の硬貨案内壁によって前記硬貨の周面を案内させつつ前記硬貨の下面をベースによって案内させてリング状の硬貨通路を移動させた後、前記硬貨通路において前記ベースから突出する規正体によって前記収納穴の周方向へ移動させて前記硬貨案内壁の一部を開放した出口に案内すると共に弾出装置によって前記出口に続いて前記収納穴の周方向に延在する払出通路へ弾き出すようにした硬貨払出装置を複数一列に配置し、前記各硬貨払出装置における前記回転ディスクは共通の電気モータによって回転駆動されるように構成され、払出指令に基づいて前記硬貨払出装置は前記回転ディスクの回転によって前記硬貨を所定数払い出すようにした複数硬貨払出装置において、前記各硬貨払出装置における回転ディスクを前記駆動装置の出力軸の回転・停止に連動して回転・停止するように駆動連結する伝達装置と、前記出口に前記硬貨の通過を阻止する阻止位置又は通過を可能にする非阻止位置とに選択的に移動可能な通過阻止体を設け、前記通過阻止体は、前記払出通路の通路底面に対し直角方向に突出及び退出可能であり、かつ、突出方向に弾性的に付勢された棒状体の先端部であり、前記規正体は、支軸に回動自在に取り付けられ、弾性的に案内位置に向けて付勢されると共に、アクチュエータによって非案内位置へ移動される棒状体であり、前記規正体と一体的に形成されて横方向へ延在する連動梃子、及び、中間を支軸に回動自在に支持された揺動梃子を含む機械的リンク機構を設け、前記規正体が前記アクチュエータによって非案内位置へ移動された場合、前記連動梃子が前記揺動梃子の一端部を押動して前記揺動梃子を一方向へ回動させて前記通過阻止体が弾性的に前記阻止位置へ移動され、前記規正体が前記アクチュエータによって前記案内位置へ移動された場合、前記連動梃子が前記揺動梃子の一端の押動をしない位置へ移動されて前記通過阻止体が前記非阻止位置へ弾性的に移動可能になることを特徴とする複数硬貨払出装置である。
【0020】
11の発明は、次ぎのように構成されている。
硬貨保留容器内にバラ積みされた硬貨を、前記硬貨保留容器の底孔に配置されると共に、円形の収納穴内において回転する回転ディスクの偏心位置に形成された透孔に硬貨を落下させ、前記回転ディスクの下側において前記回転ディスクの周方向に延びる押動体の押動前面によって前記硬貨を押動しつつ前記収納穴の硬貨案内壁によって前記硬貨の周面を案内させつつ前記硬貨の下面をベースによって案内させてリング状の硬貨通路を移動させた後、前記硬貨通路において前記ベースから突出する規正体によって前記収納穴の周方向へ移動させて前記硬貨案内壁の一部を開放した出口に案内すると共に弾出装置によって前記出口に続いて前記収納穴の周方向に延在する払出通路へ弾き出すようにした硬貨払出装置を複数一列に配置し、前記各硬貨払出装置における前記回転ディスクは1つの駆動装置によって回転駆動されるように構成され、払出指令に基づいて前記各硬貨払出装置は前記回転ディスクの回転によって前記硬貨を所定数払い出すようにした複数硬貨払出装置において、前記各硬貨払出装置における回転ディスクを前記駆動装置の出力軸の回転・停止に連動して回転・停止するように駆動連結する伝達装置と、前記出口に前記硬貨の通過を阻止する阻止位置又は通過を可能にする非阻止位置に選択的に移動可能な通過阻止体を設け、前記通過阻止体は、前記払出通路の通路底面に対し直角方向に突出及び退出可能であり、かつ、前記突出方向に弾性的に付勢された棒状体の先端であり、前記規正体は、支軸に自在に取り付けられ、弾性的に前記案内位置に向けて付勢されると共に、電磁アクチュエータによって非案内位置へ移動される棒状体であり、さらに、前記支軸に回転自在に支持されると共に前記規正体の回動方向に対し前後に回動規制体とバネ受体が配置され、前記バネ受体と前記規正体との間に前記規正体を前記回動規制体側に弾性的に付勢するバネを配置し、前記回動規制体を選択的に払出補助位置と非払出補助位置とに移動させる電磁アクチュエータを設け、前記規正体と一体的に形成されて横方向へ延在する連動梃子、及び、中間を支軸に回動自在に支持された揺動梃子を含む機械的リンク機構を設け、前記規正体が前記電磁アクチュエータによって非案内位置へ移動された場合、前記連動梃子が前記揺動梃子の一端部を押動して前記揺動梃子を一方向へ回動させて前記通過阻止体が弾性的に前記非阻止位置へ移動され、前記規正体が前記電磁アクチュエータによって案内位置へ移動された場合、前記連動梃子が前記揺動梃子の一端部の押動をしない位置へ移動されて前記通過阻止体が前記阻止位置へ弾性的に移動可能になることを特徴とする複数硬貨払出装置である。
【0021】
12の発明は、次ぎのように構成されている。
前記規正体を案内位置に、前記通過阻止体を前記非阻止位置に位置させた後、前記回転ディスクの回転を開始させて前記硬貨の払出を開始し、前記回転ディスクの回転中に前記規正体を非案内位置に位置させ、かつ、前記通過阻止体を前記阻止位置に位置させて前記硬貨の払出を停止する制御回路を有することを特徴とする第2及び第6〜10の発明に記載した複数硬貨払出装置である。
【0022】
13の発明は、次ぎのように構成されている。
前記制御回路は、前記回転ディスクの回転角度を検出するロータリーエンコーダを備え、前記回転ディスクの停止時に前記ロータリーエンコーダからの回転角度信号に基づいて、前記回転ディスクによって連れ回りされる硬貨が前記規正体の突出位置に位置しないように前記回転ディスクを停止することを特徴とする第11の発明に記載した複数硬貨払出装置である。
【発明の効果】
【0023】
1の発明において、複数の硬貨払出装置における回転ディスクは1の駆動装置によって伝達装置を介して同時に回転され、又は、停止される。回転ディスクの回転によって、硬貨は透孔に落下し、1つずつ分離された後、当該回転ディスクによって出口へ移動される。硬貨の送り出しが必要な場合、通過阻止体が非阻止位置に位置しているので硬貨は出口から送り出され、硬貨の送り出しが不要な場合、通過阻止体が阻止位置に位置して出口からの硬貨の送出を阻止するので、硬貨は出口から送り出されることができない。換言すれば、所定数の硬貨が送り出されるまで通過阻止体は非阻止位置に位置し、所定数の硬貨が送り出された後は阻止位置に位置されるのでその後に硬貨は送り出されない。そして、各回転ディスクは1つの駆動装置によって伝達装置を介して駆動されることから同時に回転され、各金種における所定数の払出が終了するまで当該回転が継続される。したがって、硬貨の払出は複数の硬貨払出装置において同時並行的に行われるから、金種毎にシリーズで送り出す場合に比して短時間で行うことが出来、迅速に払い出すことができる利点がある。また、各回転ディスクは1の駆動装置と伝達装置によって回転駆動されることから、製造コストが低減し、基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。
【0024】
2の発明において、複数の硬貨払出装置における回転ディスクは1つの駆動装置によって伝達装置を介して同時に回転され、又は、停止される。回転ディスクの回転によって、硬貨は透孔に落下し、1つずつ分離された後、当該回転ディスクによって出口へ移動される。硬貨の送り出しが必要な場合、規正体は硬貨通路に突出した案内位置に位置し、通過阻止体は非阻止位置に位置するので、硬貨が自ら出口へ移動しない場合であっても、当該規正体によって出口へ案内され、送り出され、硬貨の送り出しが不要な場合、通過阻止体が阻止位置に位置すると共に規正体は硬貨通路から退出した非案内位置に位置することから、出口からの硬貨の送出を阻止すると共に、出口から送り出されない硬貨は回転ディスクによって硬貨通路を移動されるので、硬貨は出口から払い出されることができない。したがって、硬貨の払出は複数の硬貨払出装置において同時並行的に行われるから、金種毎にシリーズで送り出す場合に比して短時間で行うことが出来、迅速に払い出すことができる利点がある。また、1の駆動装置と、回転ディスクに動力を伝達する伝達装置によって各回転ディスクは回転されることから、製造コストが低下し、基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。
【0025】
3の発明において、基本的構成は第1又は第2の発明と同一であるので、第1の発明又は第2の発明同様に、基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、複数の硬貨払出装置における回転ディスクに形成された透孔は全て同一数、及び、同一角度位置に配置されている。したがって、回転ディスクによって押動される硬貨が出口に相対する位置は全て同一であることから、回転ディスクが停止した場合には透孔に落下した硬貨の位置はすべて同一であり、回転ディスク、換言すれば、回転軸の1の位相で停止させることにより、回転ディスクの停止時において、安定した状態に硬貨を保持できる。換言すれば、全ての回転ディスクを、硬貨が出口から出るか否か微妙な位置において停止させないことができる。したがって、回転ディスクの角度位置検知装置たるロータリーエンコーダは、1つのみでよく、さらに製造コストが低減し、基本的目的たる第1の目的をより一層達成できる利点がある。
【0026】
4の発明において、基本的構成は第1又は第2の発明と同一であるので、第1の発明又は第2の発明同様に、基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、各硬貨払出装置の回転ディスクは1の駆動軸に固定された駆動傘歯車と回転ディスクに駆動連結された被動傘歯車との噛み合いによって回転駆動される。傘歯車は小径にすることができるので、装置を小型化することができ、本願発明の従たる第2の目的を達成できる利点がある。
【0027】
5の発明において、基本的構成は第1又は第2の発明と同一であるので、第1の発明又は第2の発明同様に、基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、各硬貨払出装置の回転ディスクは1の駆動軸に固定された駆動曲がり歯傘歯車と回転ディスクに駆動連結された被動曲がり歯傘歯車との噛み合いによって回転駆動される。曲がり歯傘歯車は、通常の傘歯車に比しさらに小径化でき、装置を小型化することができ、本願発明の従たる第2の目的を達成できると共に、騒音を低減することができる利点がある。
【0028】
6の発明において、基本的構成は第1又は第2の発明と同一であるので、第1の発明又は第2の発明同様に、基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、各硬貨払出装置の回転ディスクは1の駆動平歯車から被動平歯車を介して回転され、その隣の回転ディスクは被動平歯車がアイドラ歯車を介しての噛み合いによって回転駆動される。平歯車は普及品であるため安価であり、本発明の主たる目的である第1の目的をさらに達成できる利点がある。
【0029】
7の発明において、各硬貨払出装置の回転ディスクは1の駆動装置によって同時に回転され、かつ、停止される。回転ディスクが正転する場合、硬貨は押動体の押動前面によって押動されて収納穴の硬貨案内壁に案内されつつベース上をスライドされる。規正体は通常、非案内位置に位置され、通過阻止体は連動装置によって出口を実質的に閉止する阻止位置に位置される。したがって、回転ディスクが回転し、押動体の押動体前面によって押動される場合であっても、出口には通過阻止体が位置すると共に規正体は硬貨通路から退出した非案内位置に位置しているので、硬貨は規正体によって出口へ案内されず、仮に、硬貨が出口に達した場合であっても通過阻止体によって阻止されて払い出されず、硬貨は硬貨通路を回転ディスクによって移動される。
逆に規正体がベースから硬貨通路に突出した案内位置に位置した場合、回転ディスクによって連れ回りされている硬貨は当該規正体によって収納穴の半径方向、換言すれば、回転ディスクの半径方向へ案内される。これと並行して、連動装置によって規正体の移動に連動して移動する通過阻止体は、非阻止位置へ移動する。したがって、押動体によって押動される硬貨は硬貨通路に位置する規正体に案内されて出口に達し、弾出装置によって払出通路へ1つずつ弾き出される。
所定数の硬貨が払い出された場合、規正体は再び非案内位置に移動されると共に、通過阻止体は連動装置によって阻止位置へ移動されるので、回転ディスクが回転を継続しても、硬貨は規正体によって出口へ案内されず、仮に、硬貨が出口に達した場合であっても通過阻止体によって阻止されて送り出されない。
したがって、各硬貨払出装置の回転ディスクが1の駆動装置によって回転中であっても、硬貨の送り出し、又は、送出停止を選択的にできるので、製造コストが低減し、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。
【0030】
8の発明において、各硬貨払出装置の回転ディスクは1の駆動装置によって同時に回転され、かつ、停止される。回転ディスクが正転する場合、硬貨は押動体の押動前面によって押動されて収納穴の硬貨案内壁に案内されつつベース上をスライドされる。規正体は通常非案内位置に位置され、通過阻止体は連動装置によって出口を閉止する阻止位置に位置する。したがって、回転ディスクが回転し、押動体の押動体前面によって押動される場合であっても、出口には通過阻止体が位置しているので硬貨は硬貨通路を移動し、払出通路へ払い出されることは無い。
逆に規正体がベースから硬貨通路に突出した案内位置に位置した場合、回転ディスクによって連れ回りされている硬貨は当該規正体によって収納穴の周方向へ案内される。規正体の移動に連動し、連動装置によって通過阻止体は、非阻止位置に位置する。したがって、押動体によって押動される硬貨は硬貨通路に位置する規正体に案内されて出口に達し、弾出装置によって払出通路へ1つずつ弾き出される。
所定数の硬貨が払い出された場合、規正体は再び非案内位置に移動されると共に、通過阻止体は連動装置によって阻止位置へ移動されるので、回転ディスクが回転を継続しても、硬貨は送り出されない。
したがって、硬貨の送出は複数の硬貨払出装置において同時並行的に行われるから、金種毎にシリーズで送り出す場合に比して短時間で行うことが出来、迅速に払い出すことができる利点がある。また、1の駆動装置と伝達装置によって回転ディスクが回転されることから、製造コストが低下し、基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、回転ディスクが回転中であっても、硬貨を払出し、又は、払出を停止することができるので、回転ディスクを急速に停止せずともよく、装置の耐久性が向上する利点がある。
また、連動装置は機械的リンク機構であるので、電気的連動装置よりも安価に構成することができ、小型かつ安価に構成することができるので、さらに製造コストを低下できる利点がある。
【0031】
9の発明において、各硬貨払出装置の回転ディスクは1の駆動装置によって同時に回転され、かつ、停止される。回転ディスクが正転する場合、硬貨は押動体の押動前面によって押動されて収納穴の硬貨案内壁に案内されつつベース上をスライドされる。規正体は、通常、非案内位置に位置され、通過阻止体は連動装置によって出口を閉止する阻止位置に位置する。したがって、回転ディスクが回転し、押動体の押動体前面によって押動される場合であっても、出口には通過阻止体が位置しているので硬貨は硬貨通路を移動し、払出通路へ払い出されることは無い。
逆に規正体がベースから硬貨通路に突出した案内位置に位置した場合、回転ディスクによって連れ回りされている硬貨は当該規正体によって収納穴の周方向へ案内される。規正体の移動に連動する連動装置によって、通過阻止体は、非阻止位置に位置する。したがって、押動体によって押動される硬貨は硬貨通路に位置する規正体に案内されて出口に達し、弾出装置によって払出通路へ1つずつ弾き出される。
所定数の硬貨が払い出された場合、規正体は再び非案内位置に移動されると共に、通過阻止体は連動装置によって阻止位置へ移動されるので、回転ディスクが回転を継続しても、払い出されない。
前記規正体と通過阻止体の連動は、電気的アクチュエータによって連動装置を選択的に移動させることによって達成している。
したがって、硬貨の送出は複数の硬貨払出装置において同時並行的に行われるから、金種毎にシリーズで送り出す場合に比して短時間で行うことが出来、迅速に払い出すことができる利点がある。また、1の駆動装置と、回転ディスクに動力を伝達する伝達装置によって構成されることから、製造コストが低下し、基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。また、回転ディスクが回転中であっても、硬貨を払出し、又は、停止することができるので、回転ディスクを急速に停止せずともよく、装置の耐久性が向上するので、基本的目的たる第1及び第2の目的を達成できる利点がある。また、電気的アクチュエータを用いているので構造が簡単で故障し難く、安価に出来る利点がある。
【0032】
10の発明において、各硬貨払出装置の回転ディスクは1の駆動装置によって同時に回転され、かつ、停止される。回転ディスクが正転する場合、硬貨は押動体の押動前面によって押動されて収納穴の硬貨案内壁に案内されつつベース上をスライドされる。規正体は、通常、非案内位置に位置され、通過阻止体は連動装置によって出口を閉止する阻止位置に位置する。回転ディスクが正転する場合、硬貨は押動体の押動前面によって押動されて収納穴の硬貨案内壁に案内されつつベース上をスライドされる。規正体は、通常、非案内位置に位置され、通過阻止体は連動装置によって出口を閉止する阻止位置に位置する。したがって、回転ディスクが回転し、硬貨が押動体の押動体前面によって押動される場合であっても、出口には通過阻止体が位置しているので硬貨は硬貨通路を移動し、払い出されることは無い。
逆に規正体がベースから硬貨通路に突出した案内位置に位置した場合、回転ディスクによって連れ回りされている硬貨は当該規正体によって収納穴の周方向へ案内される。連動装置によって、規正体の案内位置への移動に連動して移動する通過阻止体は、非阻止位置へ移動する。したがって、押動体によって押動される硬貨は硬貨通路に位置する規正体に案内されて出口に達し、弾出装置によって払出通路へ1つずつ弾き出される。
所定数の硬貨が払い出された場合、規正体は再び非案内位置に移動されると共に、通過阻止体は連動装置によって阻止位置へ移動されるので、回転ディスクが回転を継続しても、硬貨は払い出されない。
したがって、硬貨の送出は複数の硬貨払出装置において同時並行的に行われるから、金種毎にシリーズで送り出す場合に比して短時間で行うことが出来、迅速に払い出すことができる利点がある。そして、機械的リンク機構は、規正体と一体的に構成された連動梃子と、揺動梃子、通過阻止体、及び、アクチュエータによって構成されている。
具体的には、規正体がアクチュエータによって案内位置に移動された場合、一体に構成された連動梃子を介して揺動梃子が一方向へ回動され、この揺動梃子によって通過阻止体が非阻止位置に移動され、押動体によって押動される硬貨は、規正体によって回転ディスクの周方向の出口に案内され、弾出装置によって払出通路へ弾き出される。
したがって、硬貨の送出は複数の硬貨払出装置において同時並行的に行われるから、金種毎にシリーズで送り出す場合に比して短時間で行うことが出来、迅速に払い出すことができる利点がある。また、1の駆動装置と、回転ディスクに動力を伝達する伝達装置によって構成されることから、製造コストが低下し、基本的目的たる第1の目的を更に達成できる利点がある。
さらに、規正体と一体的に構成された連動梃子と、揺動梃子、通過阻止体、及び、アクチュエータによって構成された機械的リンク機構を用いているので、更に安価にできる利点がある。
【0033】
11の発明において、各硬貨払出装置の回転ディスクは1の駆動装置によって同時に回転され、かつ、停止される。回転ディスクが正転する場合、硬貨は押動体の押動前面によって押動されて収納穴の硬貨案内壁に案内されつつベース上をスライドされる。規正体は通常非案内位置に位置され、通過阻止体は連動装置によって出口を閉止する阻止位置に位置する。したがって、回転ディスクが回転し、押動体の押動体前面によって押動される場合であっても、出口には通過阻止体が位置しているので硬貨は硬貨通路を移動し、払出通路へ払い出されることは無い。
逆に規正体がベースから硬貨通路に突出した案内位置に位置した場合、回転ディスクによって連れ回りされている硬貨は当該規正体によって収納穴の周方向へ案内される。規正体の移動に連動して、連動装置によって移動する通過阻止体は、非阻止位置へ移動する。したがって、押動体によって押動される硬貨は硬貨通路に位置する規正体に案内されて出口に達し、弾出装置によって払出通路へ1つずつ弾き出される。
所定数の硬貨が払い出された場合、規正体は再び非案内位置に移動されると共に、通過阻止体は連動装置によって阻止位置へ移動されるので、回転ディスクが回転を継続しても、硬貨は払い出されない。したがって、硬貨の送出は複数の硬貨払出装置において同時並行的に行われるから、金種毎にシリーズで送り出す場合に比して短時間で行うことが出来、迅速に払い出すことができる利点がある。
また、回転ディスクが回転中であっても、硬貨を払出し、又は、停止することができるので、回転ディスクを急速に停止せずともよく、装置の耐久性が向上する利点がある。
そして、規正体が回動規制体とバネ受体との間に配置され、規正体とバネ受体との間に配置されたバネによって、回動規制体側へ支軸を支点に回動され、回動規制体と規正体とが一体的に支軸を支点に回動される。回動規制体は、電磁アクチュエータによって選択的に払出補助位置と非払出補助位置とに回動される。回動規制体が払出補助位置に位置する場合、規正体は案内位置に位置され、回動規制体と一体に構成された連動梃子を介して揺動梃子が一方向へ回動され、この揺動梃子によって通過阻止体が非阻止位置に移動され、押動体によって押動される硬貨は、規正体によって回転ディスクの周方向の出口に案内され、弾出装置たる規正体によって払出通路へ弾き出される。
所定数の硬貨が払い出されると、電磁アクチュエータによって回動規制体が非払出補助位置に移動されるので、規正体はベース上面の下側に位置し、硬貨通路からは退出している。回動規制体の位置に連動する連動梃子によって揺動梃子が他の方向に回動し、通過阻止体が阻止位置へ移動する。よって、回転ディスクが回転していても、硬貨が払い出されることはない。
したがって、硬貨の送出は複数の硬貨払出装置において同時並行的に行われるから、金種毎にシリーズで送り出す場合に比して短時間で行うことが出来、迅速に払い出すことができる利点がある。また、1の駆動装置と、回転ディスクに動力を伝達する伝達装置によって構成されることから、製造コストが低下し、基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。
また、規正体と一体的に構成された連動梃子、揺動梃子、通過阻止体、及び、電磁アクチュエータによって構成された機械的リンク機構を用いているので、さらに第1の目的を達成できる利点がある。
【0034】
12の発明において、制御回路は硬貨を払い出す場合、前記規正体を案内位置に、前記通過阻止体を前記非阻止位置に位置させた後、前記回転ディスクのの回転を開始させて前記硬貨の払出を開始する。各硬貨払出装置の回転ディスクは1の駆動装置によって同時に回転され、かつ、停止される。これにより、硬貨の払出を確実に行うことができる。また、硬貨の払出を停止する場合、回転ディスクの回転中に前記規正体を非案内位置に位置させ、かつ、前記通過阻止体を前記阻止位置に位置させて後、回転ディスクの回転を停止するので、回転ディスクが回転していても、前記硬貨は規正体によって回転ディスクの周方向へ案内されず、また、万が一硬貨が出口に達した場合であっても、阻止位置に位置する通過阻止体によって払出通路への移動を阻止されるので払出されることはない。したがって、硬貨の送出は複数の硬貨払出装置において同時並行的に行われるから、金種毎にシリーズで送り出す場合に比して短時間で行うことが出来、迅速に払い出すことができる利点がある。また、1の駆動装置と、回転ディスクに動力を伝達する伝達装置によって構成されることから、製造コストが低下し、基本的目的たる第1の目的を更に達成できる利点がある。
【0035】
13の発明において、前記制御回路は、前記回転ディスクの回転角度位置を検出する1のロータリーエンコーダを備え、前記回転ディスクの停止時に前記1のロータリーエンコーダからの回転角度位置信号に基づいて、前記回転ディスクによって連れ回りされる硬貨が前記規正体の突出位置に位置しないように前記回転ディスクを停止する。したがって、ロータリーエンコーダは1つのみ用いることから安価に構成できると共に、規正体が案内位置に移動する際、硬貨によって邪魔されることが無いので確実に1つずつ払い出すことができると共に、過払出をすることもない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明の実施例1の複数硬貨払出装置が組み込まれたつり銭機の概要斜視図である。
図2図2は、本発明の実施例1の複数硬貨払出装置の斜視図である。
図3図3は、本発明の実施例1の複数硬貨払出装置の底面である。
図4図4は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における個別の硬貨払出装置の斜視図である。
図5図5は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における個別の硬貨払出装置の平面図である。
図6図6は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における個別の硬貨払出装置の硬貨保留容器を取り除いた状態の平面図である。
図7図7は、図6におけるA―A線断面図である。
図8図8は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における個別の硬貨払出装置における回転ディスクの斜視図である。
図9図9は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における個別の硬貨払出装置の回転ディスクの側面図であり、()は隙間調整体と回転ディスクを一体化した状態、()は隙間調整体を回転ディスクから外した状態、(C)は隙間調整体の裏面図であり、(D)は隙間調整体の平面図であり、(E)は隙間調整体の展開図である。
図10図10は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における個別の硬貨払出装置の回転ディスクの裏面図である。
図11図11は、図10におけるB―B線断面図である。
図12図12は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における個別の硬貨払出装置の規正体と通過阻止体と連動装置とを、通過阻止体側から見た斜視図である。
図13図13は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における個別の硬貨払出装置の規正体と通過阻止体と、連動装置とを規正体側から見た斜視図である。
図14図14は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における個別の硬貨払出装置の規正体と通過阻止体と、連動装置の分解斜視図である。
図15図15は、図6におけるC―C線断面図である。
図16図16は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における制御装置のブロック図である。
図17図17は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における制御回路の作用説明用のフローチャートである。
図18図18は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における制御回路の作用説明用の逆転時のフローチャートである。
図19図19は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における個別の硬貨払出装置の作用説明図(非払出時)であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図20図20は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における作用説明図(払出時)であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図21図21は、本発明の一実施例である実施例1の複数硬貨払出装置における作用説明図(小径硬貨の払出時)である。
図22図22は、本発明の実施例2の複数硬貨払出装置の前面上方からの斜視図である。
図23図23は、本発明の実施例2の複数硬貨払出装置の平面図である。
図24図24は、本発明の実施例2の複数硬貨払出装置の背面図である。
図25図25は、本発明の実施例2の複数硬貨払出装置の底面図である。
図26図26は、本発明の実施例2の複数硬貨払出装置の右側面図である。
図27図27は、図23におけるD―D線断面図である。
図28図28は、本発明の実施例2の複数硬貨払出装置の伝達装置説明用の一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明における硬貨払出装置の最良の形態は、硬貨保留容器内にバラ積みされた硬貨を、前記硬貨保留容器の底孔に配置されると共に、円形の収納穴内において回転する回転ディスクの偏心位置に形成され、前記硬貨が通過可能な透孔に前記硬貨を落下させ、前記回転ディスクの下側において前記回転ディスクの周方向に延びる押動体の押動前面によって前記硬貨を押動しつつ前記収納穴の硬貨案内壁によって前記硬貨の周面を案内させつつ前記硬貨の下面をベースによって案内させてリング状の硬貨通路を移動させた後、前記硬貨通路において前記ベースから突出する規正体によって前記収納穴の周方向へ移動させて前記硬貨案内壁の一部を開放した出口に案内すると共に弾出装置によって前記出口に続いて前記収納穴の周方向に延在する払出通路へ弾き出すようにした硬貨払出装置を複数一列に配置し、前記複数の硬貨払出装置における前記回転ディスクは1つの駆動装置によって回転駆動されるように構成され、払出指令に基づいて前記各硬貨払出装置は前記回転ディスクの回転によって前記硬貨を所定数払い出すようにした複数硬貨払出装置において、前記各硬貨払出装置における回転ディスクを前記駆動装置の出力軸の回転・停止に連動して回転・停止するように駆動連結する伝達装置と、
前記出口に前記硬貨の通過を阻止する阻止位置又は通過を可能にする非阻止位置とに選択的に移動可能な通過阻止体を設け、前記通過阻止体は、前記払出通路の通路底面に対し直角方向に突出及び退出可能であり、かつ、前記突出方向に弾性的に付勢された棒状体の先端であり、前記規正体は、支軸に自在に取り付けられ、弾性的に前記案内位置に向けて付勢されると共に、電気的アクチュエータによって非案内位置へ移動される棒状体であり、さらに、前記支軸に回転自在に支持されると共に前記規正体の回動方向に対し前後に回動規制体とバネ受体が配置され、前記バネ受体と前記規正体との間に前記規正体を前記回動規制体側に弾性的に付勢するバネを配置し、前記回動規制体を選択的に払出補助位置と非払出補助位置とに移動させる電磁アクチュエータを設け、機械的リンク機構は、前記規正体と一体的に形成されて横方向へ延在する連動梃子、及び、中間を支軸に回動自在に支持された揺動梃子を含み、前記規正体が前記電磁アクチュエータによって非案内位置へ移動された場合、前記連動梃子が前記揺動梃子の一端部を押動して前記揺動梃子を一方向へ回動させて前記通過阻止体が弾性的に前記非阻止位置へ移動され、前記規正体が前記電磁アクチュエータによって案内位置へ移動された場合、前記連動梃子が前記揺動梃子の一端部の押動をしない位置へ移動されて前記通過阻止体が前記阻止位置へ弾性的に移動可能になり、前記規正体を案内位置に、前記通過阻止体を前記非阻止位置に位置させた後、前記回転ディスクの回転を開始させて前記硬貨の払出を開始し、前記回転ディスクの回転中に前記規正体を非案内位置に位置させ、かつ、前記通過阻止体を前記阻止位置に位置させて前記硬貨の払出を停止する制御回路を有し、前記制御回路は、前記回転ディスクの回転位相を検出するロータリーエンコーダを備え、前記回転ディスクの停止時に前記ロータリーエンコーダからの回転角度位置信号に基づいて、前記回転ディスクによって連れ回りされる硬貨が前記規正体の突出位置に位置しないように前記回転ディスクを停止することを特徴とする複数硬貨払出装置である。
【実施例1】
【0038】
本実施例1は、本発明に係る複数硬貨払出装置10を、上位の機器、例えば、POSレジからつり銭額の払出指令を受け、当該指令に基づいて所定金種の硬貨を所定数受取口12へ払い出す出金装置14に内蔵した例である。出金装置14は、例えばつり銭機である。本実施例1の複数硬貨払出装置10は、4つの金種毎の硬貨払出装置22が横一列に並列されて搬送ベルト16の一側に配置され、払出指令に基づいて日本円の10円硬貨10C、50円硬貨50C、100円硬貨100C、又は、500円硬貨500Cの金種から、所定金種の硬貨を所定数つり銭として、搬送ベルト16へ払出し、当該搬送ベルト16の進行によって、出金装置14の前面に配置された受取口12へ送り出すようになっている。しかし、本発明に係る複数硬貨払出装置10は4金種に限られず、2金種以上の複数硬貨に適用可能であ。例えば、実施例1係る複数硬貨払出装置10を搬送ベルト16の両側に配置することにより、8金種のユーロ硬貨のつり銭機に用いることができる。さらに、日本円硬貨、ユーロ硬貨他、米国硬貨、豪州硬貨、中国硬貨等世界中の硬貨に適用することができる。なお、本明細書においては、特定の金種に関連した説明をする際は、当該部位の参照数字に続いてハイフォンと金種を付記するが、総括的な説明部分については、参照数字のみ付して説明する。また、特に金種の説明が必要な場合のみ、10円硬貨10C、100円硬貨100C、50円硬貨50C、500円硬貨500Cと表示するが、全ての硬貨を対象とする総称の場合は単に硬貨Cとして説明する。
【0039】
次ぎに複数硬貨払出装置10の概略を主に図2及び図3を参照して説明する。
複数硬貨払出装置10は、1つの駆動装置20によって駆動され、金種毎に複数設けられた金種別の硬貨払出装置22からそれぞれ指定された所定数払い出す機能を有し、本実施例1においては、少なくとも、駆動装置20、10円硬貨用の硬貨払出装置22-10、100円硬貨用の硬貨払出装置22-100、50円硬貨用の硬貨払出装置22-50、及び、500円硬貨用の硬貨払出装置22-500、シャーシ24、及び、伝達装置26によって構成されている。
【0040】
まず駆動装置20を主に図2を参照して説明する。
駆動装置20は、伝達装置26を介して個別の硬貨払出装置22における機能発揮のために必要な駆動力を付与する機能を有し、本実施例1においては電気モータ28及び減速機30を含んでいる。しかし、減速機30は必須の構成要件ではない。
【0041】
次ぎに電気モータ28を主に図2を参照して説明する。
電気モータ28は、複数の金種毎の硬貨払出装置22を駆動する機能を有し、本実施例1においては、公知の直流モータが用いられている。直流モータは小型であると共に安価でり、更に、正回転、逆回転を簡易な装置によって行うことができるからである。しかし、本発明は直流モータに限定されず、交流モータ、パルスモータ、超音波モータ等を使用することができる。
【0042】
次ぎに減速機30を説明する。
減速機30は、電気モータ28の出力軸の回転を所定の回転速度に減速し、減速機出力軸32から出力する機能を有し、公知の構造の減速機30が採用される。この減速機出力軸32図4参照)が本発明における出力軸に相当する。しかし、本発明における出力軸は減速機出力軸に限られず、広く駆動装置の出力軸を意味する。
【0043】
次ぎにシャーシ24を主に図2を参照して説明する。
シャーシ24は、少なくとも、電気モータ28、複数の個別の硬貨払出装置22、及び、伝達装置26が取り付けられる機能を有し、本実施例1においてシャーシ24は、側面視において、上面34が硬貨出口48側へ前上がりに傾斜する台形状に形成されている。当該上面34には、後述する個別の硬貨払出装置22、本実施例1においては4つの個別の硬貨払出装置22が並列に配置されている。シャーシ24の上面34の下側に板状の中間ベース36が上面34と平行に配置され、当該中間ベース36に電気モータ28が減速機30を介して、その出力軸(図示せず)が斜め下向き状態を呈して固定されている。換言すれば、減速機30は中間ベース36に固定され、当該減速機30には電気モータ28が固定されている。そして、電気モータ28の出力軸の回転は、減速機30によって減速されて下向きの減速機出力軸32の回転として出力される。減速機出力軸32の先端部は、中間ベース36の孔(図示せず)を通って中間ベース36の裏面側に配置される。
【0044】
次ぎに伝達装置26を主に図3を参照して説明する。
伝達装置26は駆動装置20の回転を複数の個別の硬貨払出装置22に伝達する機能を有し、本実施例1においては、各硬貨払出装置22-500、22-50、22-100、22-10の列に沿って配置された駆動歯車38、アイドラ歯車40、及び、個別の硬貨払出装置22の被動歯車42を含んでいる。駆動歯車38は中間ベース36の裏面側において減速機出力軸32に固定された所定直径を有する平歯車である。よって、本実施例1において、駆動歯車38は以下駆動平歯車38Sとして説明する。
アイドラ歯車40は、中間ベース36の裏面側に下向きに立設されたアイドラ軸44に回転自在に取り付けられ、駆動平歯車38Sに噛み合わされている。アイドラ歯車40は、駆動歯車38よりも小径の平歯車にし、複数硬貨払出装置10の全体の大きさを小型化している。被動歯車42は複数の各硬貨払出装置22の入力軸46の下端部に固定された平歯車であり、アイドラ歯車40に噛み合っている。したがって被動歯車42は、以下被動平歯車42Sと称する。駆動平歯車38Sと被動平歯車42Sは同一に構成され、すなわち、同一ピッチ円及び同一歯数に形成されている。換言すれば、電気モータ28の出力軸の回転は減速機30によって所定の比率で減速されて減速機出力軸32を所定の速度で回転させることから、減速機出力軸32に固定されている駆動平歯車38Sも所定の速度で回転される。駆動平歯車38Sは、アイドラ歯車40を介して被動平歯車42Sを同方向に、かつ、同速度で回転させる。
さらに、本実施例1においては、アイドラ歯車40と被動平歯車42Sの組みが個別の硬貨払出装置22の数、すなわち、4組配置されている。したがって、アイドラ歯車40と被動平歯車42Sはそれぞれ同一構成であることから、説明の便宜のため、同一数字と対応する金種を示す数字をハイフォンによって接続することにより説明を省略する。なお、アイドラ歯車40は、隣接する被動平歯車42Sにそれぞれ噛み合わされる。したがって、全ての被動平歯車42Sは駆動歯車38と同方向に同速度で回転される。本実施例1のように駆動平歯車38Sは、アイドラ歯車40を介して1つの被動平歯車42Sに噛み合わされるだけでなく、被動平歯車42Sの間に配置して2つの被動平歯車42Sを駆動するようにすることができる。
【0045】
次ぎに個別の硬貨払出装置22を主に図4図15を参照して説明する。
個別の硬貨払出装置22は、バラ積みされた硬貨Cを1つずつ分離して払い出す機能を有し、本実施例1においては、10円硬貨10C、100円硬貨100C、50円硬貨50C、又は、500円硬貨500Cがつり銭として用いられるため、それら金種に対応する4つの個別の硬貨払出装置が設けられている。各個別の硬貨払出装置22は全てほぼ同一構成である。
10円用の硬貨払出装置22-10、100円用の硬貨払出装置22-10050円用の硬貨払出装置22-50、及び、500円用の硬貨払出装置22-500は、同一のシャーシ24の上面34に並列に隣接して取り付けられている。また、各個別の硬貨払出装置22は大凡同一構成のであるので、100円用の硬貨払出装置22-100を代表して説明する。なお、前述の「並列」とは、後述の出口110から弾き出される硬貨の弾き出される方向が大凡同方向であると言う意味でありる。なお、以下の説明において、各構成部品には参照符号として数字とハイフォンに金種の100を付加した符号を付すべきであるが、便宜的にハイフォンと100は付加しないこととする。
【0046】
硬貨払出装置22は、バラ積みされた100円硬貨100Cを1つずつ分離した後、1つずつ弾き出す機能を有し、本実施例1においては、概略、フレーム102、ベース104、硬貨保留容器106、回転ディスク108、出口110、規正体112、払出通路114、弾出装置116、硬貨センサ118、通過阻止体120、及び、制御回路122備えている。なお、フレーム102、ベース104、硬貨保留容器106、回転ディスク108、出口110、払出通路114、及び、硬貨センサ118は、従来公知の構造であり、本実施例1における硬貨払出装置22においては、規正体112及び通過阻止体120において特徴を有すが、本発明においては、少なくとも通過阻止体120を具備することが必須要件である。その理由は、回転ディスク108の直径が大きい場合、規正体112は必須の構成要件では無いからである。
【0047】
まずフレーム102を主に図4を参照して説明する。
フレーム102は、ベース104、硬貨保留容器106、及び、制御回路122等の機能部品が取り付けられる機能を有し、本実施例1においては樹脂製であって内部が中空の三角柱形をしている。
フレーム102の上面開口はベース104によって覆われている。
ベース104の中央部には入力軸46がベース104に対し垂立状態で回転可能に支持され、円形の収納穴126の中央部に位置する円形の貫通孔124を通ってベース104の上方へ突出している。入力軸46の下端部は中間ベース36に形成された貫通孔(図示せず)を通って中間ベース36の下側に配置され、被動平歯車42Sが固定される。ベース104は、本実施例1では出口110に向かって前上がりに傾斜して配置されているが、出口110を傾斜の下側に配置した下向き傾斜、又は、水平に配置することもできる。
【0048】
次にベース104を主に図6及び図7を参照して説明する。
ベース104は、所定厚みを有する矩形平板形であり、上面には収納穴126が形成されると共に、硬貨保留容器106が取り付けられる機能、及び、個別の硬貨払出装置22をシャーシ24の上面34に取り付ける機能を有する。
本実施例1において、収納穴126は、円板型の底面128と円形の硬貨案内壁130とによって構成され、回転ディスク108が回転自在に配置される円形平鍋型の凹部であって、その深さは回転ディスク108の厚みよりも僅かに深く形成され、底面128上を硬貨Cがその表面又は裏面を接してスライドするよう大凡平面に形成される。円形の硬貨案内壁130は底面128の円形の外周縁において底面128に対して垂立し、硬貨Cの周面を案内する。
ベース104は、ステンレス等の金属や耐摩耗性樹脂製の平板によって構成することが好ましい。
また、本実施例1においては、ベース104の上面に円形凹部を形成して収納穴126を設けたが、別の形態としては、平板の上に円形の収納孔を形成した別の孔明き平板を配置することにより、両平板の組合せにより収納穴126を構成することができる。
したがって、ベース104は同様の機能を有する他の機構に置き換えることがきる。さらに、ベース104は、シャーシ24の上面34に形成した孔(図示せず)に、下方に突出するフレーム102が挿入された状態でシャーシ24に着脱可能に固定されている。したがって、回転ディスク108は上面34と平行に配置されている。
【0049】
次に硬貨保留容器106を主に図4を参照して説明する。
硬貨保留容器106は、多数の硬貨Cをバラ積み状態で保留する機能を有し、本実施例1においては、樹脂製の概略縦向き筒形であって、筒内が垂立方向に延在する硬貨保留部132を構成する。硬貨保留部132は、上部106Aの水平断面が矩形に、下部106Uの水平断面が円形の底孔134に形成され、上部106Aと下部106Uとの間の中間部106Mは硬貨Cが滑落可能な傾斜壁に形成されている。
硬貨保留容器106の下端面はベース104の上面にあてがわれ、収納穴126の軸線と底孔134の軸線とが一致した位置において、固定装置135によってベース104に着脱自在に取り付けられている。換言すれば、硬貨案内壁130と底孔134とは、一体になって円柱状の空間を形成する。
したがって、硬貨保留容器106は同様の機能を有する他の装置に変更することが出来る。
【0050】
次に回転ディスク108が主に図〜図11を参照して説明される。
回転ディスク108は、所定の速度で回転され、硬貨保留容器106内の硬貨Cを攪拌すると共に、偏心位置に形成された透孔136に落下した硬貨Cを押動して連れ回りさせ、さらに、コインジャムが生じた場合、逆転してコインジャムを解消する機能を有する。
本実施例1において、回転ディスク108は収納穴126内に配置され、ベース104の伝達装置26を介して電気モータ28によって回転駆動され、硬貨Cの払出時は図5における反時計方向に所定の速度で回転され、コインジャムが生じた場合は逆方向の時計方向に所定の速度で所定時間の間、逆回転される。すなわち、入力軸46の先端部が回転ディスク108の中央に形成された取付孔138に挿入され、先端のネジ部にねじ込まれたナット140によって固定されている。
回転ディスク108は、上面中央に多角錘形の攪拌部142を有し、底孔134において回転することにより硬貨Cを攪拌し、透孔136に硬貨Cが落下するのを助ける。
【0051】
本実施例1において、回転ディスク108は、各個別の硬貨払出装置22-10、22-100、22-50、22-500とも同一直径であり、透孔136は同一数、かつ、同一角度位置に配置されている。図5に示す例を説明すれば、透孔136の数は3であり、それらは120度角度毎に配置されている。しかし、各回転ディスク108における透孔136の数が、同一数、かつ、同一角度位置に形成されることは必須要件ではない。例えば、回転ディスク108を逆転させるに際し、センサによって全ての規正体112が非案内位置NGPに位置していることを検出した後、回転ディスク108を逆転させ、及び、回転ディスク108の正回転に際し、センサによって全ての規正体112が案内位置GPに位置していることを検出した後、回転ディスク108を正回転させることにより、透孔136の数、及び、その角度位置を全ての回転ディスク108において同一にしないことができる。透孔136の直径は、金種毎に最適の直径にしても良いし、似通った直径の硬貨に対しては同一直径の透孔136にしてもよい。本実施例1において、10円硬貨10C及び100円硬貨100C用の透孔136は同一直径を採用し、50円硬貨50C、及び、500円硬貨500C用の透孔136は、それらに適した直径の透孔136にしてある。本発明における回転ディスク108の構成の要点は、透孔の数が同一であって、そらが同一角度位置に形成されていることである。なぜなら、全ての回転ディスク108は、同時に回転・停止されるから、硬貨Cの払出を制御するには、透孔136に落下した硬貨Cが全金種において同様の角度位置にある必要があるからである。その意味において、透孔136が同一角度位置に配置されているとは、厳密な意味での同一ではなく、全ての金種の硬貨が同様に処理される範囲を含むものである。
【0052】
回転ディスク108は、透孔136の間のリブ144のそれぞれの裏面108Rに押動体146を有する。
押動体146は、収納穴126内において回転移動し、図10に図示するように、その押動前面148は、回転ディスク108の回転軸線RA側から周縁側に向かって回転方向後位側へ後退するように湾曲形状をしている。詳述すれば、押動体146は回転軸線RA側に近い第1押動体146A、及び、周縁側に近い第2押動体146Bによって構成され、後述の規正体112たる第1規正体112A、及び、第2規正体112Bが通過できるように第1押動体146Aの回転軸線RA側には弧状の第1逃げ溝150A、第1押動体146Aと第2押動体146Bとの間には第2逃げ溝150Bが形成されている。第1押動体146Aの前面が第1押動前面148A、第2押動体146Bの前面が第2押動前面148Bである。
回転ディスク108の上面151は、周縁部152から中央部に向かう下向きの斜面154が形成され、当該斜面154に囲われた中央部156はおおよそ平面であるが、取付孔138の周囲は台形状に盛り上げられた攪拌部142が形成されている。また、リブ144の周縁部152に近い上面には、硬貨Cを攪拌のための半球形の攪拌突起158が形成されている。
【0053】
回転ディスク108の下面の中央には、回転ディスク108の高さ調整のための高さ調整機構160が構成されている。ここでいう高さとは、底面128と回転ディスク108の裏面108Rとの第1距離H1(図7参照)をいい、高さ調整機構160は硬貨Cの厚みに対応する適当な間隔に調整する機能を有する。
本実施例1において、高さ調整機構160は、回転ディスク108の裏面中央から下向きに突出する内筒162、内筒162の外側に嵌め合わされる外筒164、及び、内筒162と外筒164に関連して設けられた係合部166とにより構成されている。
【0054】
まず内筒162を説明する。
内筒162は、取付孔138の周囲に回転軸線RAを中心とする所定半径で、所定長さ形成された円筒体である。換言すれば、内筒162は回転ディスク108の裏面中央部から下向きに突出する円筒体である。
内筒162の中間には、周囲に鍔状であって、所定の厚みのフランジ170が形成されている。フランジ170の上面と回転ディスク108の裏面108Rとの第1間隔H1は、押動体146の第2高さH2(図9(A))よりも僅かに大きく設定されている。
すなわち、回転ディスク108の位置が硬貨Cの最大厚みに対応して設定された場合であっても、フランジ170の上面が、底面128よりも裏面108Rに近づかないように設定されている。なお、フランジ170は、透孔136の孔径が小さい場合、攪拌部142の裾部171が大きくなるので設ける必要がない。
次ぎに外筒164を説明する。
外筒164は、所定の高さを有する円筒体であって、その嵌合孔172の上端部は、内筒162の下部に嵌り合うことができる。
嵌合孔172の下端に続いて、嵌合孔172の直径よりも小径の貫通孔173が嵌合孔172と同心に形成されている。
外筒164の下端面174は、回転ディスク108の上面に対し平行な平面に形成されている。
【0055】
次ぎに係合部166を説明する。
係合部166は内筒162と外筒164との相対角度をずらすことにより、外筒164の下端面174と回転ディスク108の裏面108Rとの間の第2距離D2を段階的に変更することができる機能、及び、内筒162と外筒164との位相ずれを無くす機能を有する。
係合部166は、ディスク側係合部176と外筒側係合部178とによって構成されている。
ディスク側係合部176は、外筒側係合部178と共同して内筒162に対する外筒164の相対回転を阻止する機能を有し、フランジ170の裏面から下向きに突出した断面矩形であって、内筒162の外周から周方向にフランジ170の周端部まで延在している。本実施例1において、ディスク側係合部176は、120度の等角度で同一形状に3本配置された第1突条176a、第2突条176b、及び、第3突条176cによってY字形に構成されている換言すれば、第1突条176a、第2突条176b、及び、第3突条176cは回転軸線RAに対し放射状に形成されているが、回転ディスク108が回転中であってもベース104に対し平行に保てる場合、1つであっても、2つであってもよく、又は、4以上であってもよい。
本実施例1において、第1突条176a、第2突条176b、及び第3突条176cは、断面が矩形状であり、及び、同一長さに形成され、それらの幅W3は全て同一に形成されている。
【0056】
次ぎに外筒側係合部178を説明する。
外筒側係合部178は、ディスク側係合部176と共同して外筒164の回転ディスク108の裏面108Rに対する位置を段階的に設定できる機能、及び、内筒162と外筒164との相対回転を防止する機能を有し、外筒164の回転ディスク108側の端面、換言すれば、上端面に形成した断面矩形の受入溝180が、ディスク側係合部176の数の整数倍形成されている。すなわち、ディスク側係合部176の数が2である場合、外筒側係合部178の数は、その整数倍であ、4、6、又は8等が形成され、ディスク側係合部176の配置に応じた位置関係に形成されている。本実施例1においては、ディスク側係合部176が3個であり、受入溝180はその3倍の9個である第1受入溝180a〜第9受入溝180iが形成されている。
第1受入溝180a〜第9受入溝180iは、図9(E)に示すように、それぞれ回転ディスク108の回転軸線RAを中心とした放射状に形成されると共に、第1突条176a、第2突条176b、及び、第3突条176cに対応するよう120度間隔で同一の溝深さD1〜D3に形成され、さらに、図9(E)に示すようにそれらの幅W4は、第1突条176a、第2突条176b、及び、第3突条176cが係脱可能であって、かつ、密に嵌り込むように同一幅W4で形成されている。
【0057】
本実施例1において、第1受入溝180a〜第9受入溝180iは、全て同一の幅W4であって、受入溝二つ毎に同一深さの受入溝が形成されている。すなわち、受入溝180は、第1突条176a〜第3突条176cの配置に対応し、120度毎の三つの受入溝が一組として構成されている。
図9(D)を参照して第1受入溝180aを基準に説明すれば、第1受入溝180a、第4受入溝180d、及び、第7受入溝180gが一組を構成し、第2受入溝180b、第5受入溝180e、及び、第8受入溝180hが他の一組を構成し、第3受入溝180c、第6受入溝180f、及び、第9受入溝180iが最後の一組を構成している。本実施例1のように、120度毎に係合部166を構成した場合、回転ディスク108の裏面と外筒164の下端面174との平行度を容易に得られる利点がある。
第1受入溝180a〜第9受入溝180iの幅W4は、第1突条176a〜第3突条176cの幅W3よりも僅かに広く形成され、第1突条176a〜第3突条176cがそれぞれはまりこむことができるように形成されている。また、第1受入溝180a〜第9受入溝180iの深さは、下記に詳細に説明するように、上記した対をなす3つの受入溝毎に同一に形成されている。詳述すれば、120度間隔でY型をなす第1受入溝180a、第4受入溝180d、及び。第7受入溝180gの深さは、全て最も深い同一の第1深さD1に、第2受入溝180b、第5受入溝180e、第8受入溝180hの深さは全て二番目に深い同一の第2深さD2、及び、第3受入溝180c、第6受入溝180f、第9受入溝180iは全て最も浅い同一の第3深さD3を有する。
これら第1深さD1はディスク側係合部176の高さH4よりも大きい。換言すれば、第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cが、受入溝180a、180d、180gに嵌め合わされた場合、外筒164の端面がフランジ170の裏面に突き当たった場合において、それら第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cの先端と受入溝180a、180d、180gの底面とはそれぞれ当接せず、隙間がある。したがって、回転ディスク108の裏面108Rと外筒164の下端との距離H3は、第1深さD1に対応する最も小さい第1距離D1d(図示はしないが、説明の便のため第1深さD1にdを付す。以下同様。)になる。
【0058】
第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cが、第2受入溝180b、第5180e、第8受入溝180hに嵌め合わされた場合、第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cの先端が、第2受入溝180b、第5受入溝180e、第8受入溝180hのそれぞれの底面に突き当たることから、回転ディスク108の裏面108Rと外筒164の下端との距離H3は、第2深さD2に対応する、第1距離D1dよりも僅かに大きい第2距離D2dになる。
第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cが、第3受入溝180c、第6受入溝180f、第9受入溝180iに嵌め合わされた場合、第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cの先端が、第3受入溝180c、第6受入溝180f、第9受入溝180iの底面に突き当たることから、回転ディスク108の裏面108Rと外筒164の下端との距離H3は、第3深さD3に対応する、第2距離D2dよりも僅かに大きい第3距離D3dになる。
内筒162に外筒164が嵌め合わされると共に第1突条176a、第2突条176b及び第3突条176cが、硬貨Cの厚みに合わせて所定の組みの受入溝180a〜180iに嵌め合わされて一体化された状態において、入力軸46を取付孔138に挿入すると共に、外筒164を収納穴126の中央に形成された円形の軸受穴182に落とし込む。これにより、軸受穴182の内周面184と外筒164の外周面189とが密に嵌り合うことにより、回転ディスク108は回転軸線RA回りに回転可能になる。この状態でナット140を締め付けることにより、回転ディスク108は入力軸46の先端に固定される。したがって、内筒162の外周面と硬貨案内壁130との間に、円形リング状の硬貨通路MPが形成される。
【0059】
また、外筒164の下端面174は、軸受穴182の軸受孔底面185によって支えられるので、回転ディスク108の裏面108Rと底面128との間隔は、内筒162と外筒164との組合せによって定められた第1距離D1d、第2距離D2d又は第3距離D3dに定められる。
したがって、透孔136内に落下した100円硬貨100Cは、ベース104に表面又は裏面が面接触して支えられ、かつ、収納穴126の硬貨案内壁130によって案内されつつ回転ディスク108の回転によって第1押動体146Aによって押されて、硬貨通路MPを回転ディスク108と共に連れ回りされる。
コインジャムが発生した場合、回転ディスク108が逆転される。この逆転によって第1押動体146A及び第2押動体146Bの裏面151A、151Bは、硬貨Cの周面を押動して正転時とは逆方向へ移動させる。
この回転ディスク108の逆転時、規正体112は非案内位置NGPへ移動され、硬貨通路MPにおける硬貨Cの移動を阻止することはない。
【0060】
次ぎに出口110を主に図6を参照して説明する。
出口110は、硬貨通路MPを移動してきた硬貨Cが収納穴126からその周方向へ移動することができる開口であり、硬貨案内壁130の一部が切りかかれた開口である。
図6において出口110は、ベース104における硬貨案内壁130の一部、具体的には上側の一部が最大硬貨直径を超えて、切り欠かれた開口である。具体的には、硬貨案内壁130の上流側端縁130uと、下流側端縁130dとによって確定された横長スリット形の開口であり、それらの間隔は、払出対象の最大直径硬貨Cの直径を超え、二倍未満の範囲である。
本実施例1においては、最大径硬貨である500円硬貨500C直径の1.2倍程度の幅に形成されている。
【0061】
次ぎに払出通路114を主に図6を参照して説明する。
払出通路114は、出口110に連続して収納穴126の周方向に直線的に延在し、出口110から弾き出される硬貨Cを案内する機能を有し、本実施例1においては、底面128が位置する平面の延長上に形成された通路底面186、出口110を構成する下流側案内面187、及び、後述の出口調整体262の上流側案内面188によって凹溝状に構成されている。しかし、払出通路114は凹溝状でなくとも、平面のみであってもよい。すなわち、通路底面186のみで構成することができる。したがって、通路底面186の端部は、硬貨出口48を構成している。
本実施例1において、払出通路114の長さは、硬貨Cの半径程度であるが、半径以上であっても、半径以下であってもよい。
【0062】
次に規正体112を主に図12図15を参照して説明する。
規正体112は、基本的機能として、回転ディスク108によって硬貨通路MPを連れ回りされる硬貨Cを、回転ディスク108の周方向、換言すれば、収納穴126の周方向へ案内する機能(周方向案内機能)を有する。
さらに、本実施例1においては、従的機能として、コインジャム解消のため、回転ディスク108が逆転される場合、押動体146の裏面150によって押動される硬貨Cが硬貨通路MPを逆方向につれ回りされる場合、硬貨Cの硬貨通路MPにおける逆方向への移動を許す機能(逆転許容機能)をも有する。しかし、回転ディスクの逆転許容機能は、本発明においける必須機能ではない。
本発明における規正体112は、基本的機能としてさらに、硬貨Cを選択的に案内し、又は、案内しない機能(選択案内機能)を有している。
さらにまた、本実施例1における規正体112は、従的機能として硬貨Cを払出通路114へ弾き出す機能(弾出機能)をも有する。しかし、この弾出機能は、規正体112とは別の装置によって発揮させることもできる。
本実施例1においては、規正体112が上記4つの機能を有しているが、機能毎に1つの装置によって発揮させても、2つの機能を1つの装置で発揮させるようにすることができる。
本実施例1において規正体112は、位置選択装置190によって案内位置GPと非案内位置NGPに選択的に案内されることにより、選択案内機能を発揮する。
さらに、本実施例1における規正体112は、弾発装置192及び後述の出口調整体262と協働することにより、弾出装置116を構成する。
【0063】
まず、規正体112を主に図14を参照して説明する。
規正体112は、基本的には、回転ディスク108によって連れ回りされる硬貨Cを出口110へ向けて案内する機能を有し、本実施例1においては、さらに、弾出機能を有する。
規正体112は、側面視直状の棒状体197であり、その下端部は支軸194に回動自在に支持され、その先端(上端)部は正面視二本のフォーク状に形成されさている。したがって、規正体112は、フォーク状に形成された第1規正体112Aと第2規正体112Bとによって構成されている。これら第1規正体112Aと第2規正体112Bとは、回転ディスク108の裏面108Rの第1逃げ溝150A、第2逃げ溝150Bにそれぞれ位置するよう配置される。しかし、規正体112は、案内機能を発揮できる限り、一本、又は、三本以上にすることができる。
第1規正体112Aと第2規正体112Bとの先端部は、垂立した状態において、水平線に対し45度傾斜するように第1傾斜面196A、第2傾斜面196Bに形成されている。第1規正体112Aと第2規正体112Bは、これら第1傾斜面196A及び第2傾斜面196Bが、硬貨Cの弾出直前には、大凡水平線に対して大凡60度をなすまで傾斜される。
支軸194は、その両端部が位置選択装置190を構成する位置選択体198に固定されている
【0064】
次ぎに位置選択装置190を説明する。
位置選択装置190は、規正体112を硬貨Cの案内位置GPと、非案内位置NGPとに選択的に移動させる機能を有する。したがって、位置選択体198は同様の機能を有する他の機構に変更することができる。
位置選択装置190は、位置選択体198とアクチュエータ200とを含んでいる。
【0065】
位置選択体198は、払出補助位置AP(図20)に位置する場合、規正体112を案内位置GPに、非払出補助位置NAP(図21)に位置する場合、規正体112を非案内位置NGPに選択的に位置させる機能を有し、本実施例1においては、位置選択体198は側面視倒立三角形をした一対の第1側壁202aと第2側壁202bとが所定の間隔で平行に配置されると共に、それら第1側壁202a、第2側壁202bの間を連結する連結する回動規制体204と、バネ受体209とによって、中抜き袋状に形成されている。
規正体112の下側の大部分は、第1側壁202aと第2側壁202bの間に密に配置され、支軸194の軸方向の移動が制限されている。
第1側壁202aと第2側壁202bの上端部の中間から外向きに第1揺動軸208aと第2揺動軸208bが同一の水平軸線に沿って反対向きに突出形成されている。
第1揺動軸208a及び第2揺動軸208bは、ベース104の裏面から下向きに所定の間隔で平行に突出する第1ブラケット219aと第2ブラケット219bに回動自在に支持されている。
さらに、第2側壁202bの上端部のバネ受体209近傍から横向きに係止用のU溝221が形成された取付片222が突出形成されている。
位置選択体198は、払出補助位置APにおいてその一部(バネ受体209)と係合する位置規制体225によって回動が規制される。
【0066】
次ぎに回動規制体204を説明する。
回動規制体204は、第1側壁202aと第2側壁202bとをそれらの上端部で連結するように横向きに形成された棒体である。
回動規制体204は、規正体112がバネ226によって回動力を付与された場合、当該回動力によって所定方向に回動された規正体112と係合し、当該規正体112の回動規制体204に対する相対的回動を規制する機能を有する。
図20において明らかなように、回動規制体204は、断面台形状であり、規正体112と係止した場合、回動規制体204と規正体112とは面接触するように構成されている。
【0067】
次ぎにバネ受体209を説明する。
バネ受体209は、規正体112に回動力を付与するバネ226の一端を固定的に支持する機能を有し、回動規制体204の反対側において、第1側壁202aと第2側壁202bとを連結する板状体として形成されている。
バネ受体209は、その平面によってバネ226の一端を安定的に受けるようになっており、バネ226の一端が移動しないよう図示していない係止体よって固定されている。バネ受体209は、固定状態の位置規制体225によって係止され、図20(B)に示すようにその回動位置が規制される。
【0068】
位置選択体198には、取付片222が一体的に形成されている。
取付片222は、第2側壁202bの上端部のバネ受体209の側方から、外方横向きに突出する板状体であり、当該取付片222には凹型の凹溝221が形成されている。この凹溝221には、後述のアクチュエータ200の出力ロッド212の一部が嵌め込まれ、係止されている。
第1及び第2揺動軸208a、208bと、取付片222までの距離は、後述の連動部260までの距離よりも短い。なぜなら、小型の硬貨払出装置22-100内に配置できるアクチュエータ200を使用しなければならないからである。
【0069】
位置選択体198は、さらに、連動部260を有する。
連動部260は、後述の揺動梃子257を移動させる機能を有し、本実施例1においては、第1側壁202aの上端部であって、回動規制体204の近傍から横方向へ直線状に突出する棒体によって構成され、位置選択体198が非払出補助位置NAPに位置する場合、後述の被動レバー258を押動せず、位置選択体198が払出補助位置APに位置する場合、被動レバー258を押動する位置に移動されるようになっている。
【0070】
次ぎにアクチュエータ200を主に図12を参照して説明する。
アクチュエータ200は、制御回路122(図16)からの指令に基づいて、位置選択体198を払出補助位置AP又は非払出補助位置NAPに選択的に位置させる機能を有する。
換言すれば、アクチュエータ200は、制御回路122からの指令に基づいて出力ロッド212を進退させ、位置選択体198を払出補助位置AP又は非払出補助位置NAPに選択的に位置させる機能を有し、電気的アクチュエータ213であることが好ましい。
本実施例1において、アクチュエータ200は電磁アクチュエータ214であって、角柱状の本体216内に配置された電磁石218が励磁された場合、鉄心たる出力ロッド212が本体216内に引き入れられ、電磁石218が消磁された場合、出力ロッド212に外装されたバネ220によって本体216から突出される。
出力ロッド212の先端部には大径部223が形成されている。大径部223の下側の小径部に取付片222の凹溝221が嵌め込まれ、当該取付片222はバネ220によって大径部223の下面に押し付けられる。したがって、電磁石218が励磁された場合、出力ロッド212は下方へ引き下げられることから、大径部223、取付片222を介して、位置選択体198が図20において反時計方向へ回動されて払出補助位置APへ移動し、結果として、規正体112は案内位置GPに位置される。電磁石218が消磁された場合、バネ220によって出力ロッド212は本体216から突出され、換言すれば、図20において位置選択体198は時計方向へ回動されて非払出補助位置NAPへ移動され、結果として規正体112は非案内位置NGPへ移動される。
【0071】
次ぎに弾出装置116を説明する。
弾出装置116は、規正体112によって出口110に案内された硬貨Cを、払出通路114へ弾き出す機能を有する。
本実施例1において、弾出装置116は規正体112と弾発装置192を含んでいる。
規正体112は既に説明したので弾発装置192を説明する。
弾発装置192は、規正体112を位置選択体198の回動規制体204側へ弾性的に付勢し、規正体112が硬貨Cによって押動されて支軸194を支点に回動された場合において、当該規正体112を逆方向へ回動させて硬貨Cを弾き出す機能を有する。
本実施例1において、弾発装置192は、バネ受体209と規正体112の中間との間に配置された弾性体224たる弾出バネ226である。
したがって、硬貨Cが第1傾斜面196A、第2傾斜面196Bを押動し、規正体112が支軸194回りに回動された場合、弾出バネ226は、弾発力が蓄積され、所定時点で硬貨Cによる押動が解消された場合、弾出バネ226の弾発力によって第1及び第2規正体112A、112Bが逆方向へ勢いよく回動されることにより、第1傾斜面196A、第2傾斜面196B(詳しくは第1傾斜面196A)を介して硬貨Cを払出通路114へ弾き出す。
【0072】
次ぎに硬貨センサ118を主に図6を参照して説明する。
硬貨センサ118は、弾出装置116によって弾き出された硬貨Cを検出する機能を有し、本実施例1では磁気式の金属センサ231を用いている。したがって、硬貨センサ118は同様の機能を有する他の装置、例えば、光電センサ、機械式センサ等の他方式に変更することができる。
本実施例1において、硬貨センサ118は払出通路114に相対して配置されているが、硬貨出口48の下流に配置することもできる。
【0073】
次ぎに通過阻止体120を主に図12図14を参照して説明する。
通過阻止体120は、規正体112が非案内位置NGPに位置する場合、阻止位置SP(図21)に位置して回転ディスク108によって連れ回りされる硬貨Cが出口110から払出通路114へ払い出されないように阻止すると共に、規正体112が案内位置GPに位置する場合、非阻止位置NSP(図20)に位置して硬貨Cの払出通路114への移動を許す機能を有する。
本実施例1において、通過阻止体120は出口110に隣接する払出通路114の通路底面186に形成された進退孔228において、当該通路底面186に対して突出又は退出動可能に挿入され、通過阻止体120が払出通路114に突出した場合、阻止位置SPに位置して、硬貨Cが払出通路114へ通過しないよう阻止し、通路底面186から退出した場合、非阻止位置NSPに位置して硬貨Cの通過を妨げない。本実施例1において、進退孔228は角丸長方形の長穴に形成され、その長さは出口110の長さの大凡三分の一に形成されている。しかし、その大きさや形状は、上記機能を達成出来れば制約されない。
本実施例1において、通過阻止体120は、垂立する棒状体を呈し、先端部230である通過阻止体部分232、先端部230の下側に連なる連携部236、連携部236の下側に位置するリテーナ部238、及び、小径部240を含んでいる。
先端部230は、硬貨Cと接触して払出通路114への移動を阻止する機能を有し、平面視、進退孔228に対し僅かに小型の相似形に形成され、その長さは、進退孔228の壁面によって軸線に沿って案内され、往復直線運動可能なように、ベース104の厚みよりも大きく形成されている。しかし、他の部位との協働で前記軸線に沿った直線運動が可能で有れば、ベース104の厚みよりも薄くても良い。また、通過阻止体120の形状も本実施例1に限られず、丸棒状、角柱状、三角形状等も採用することができる。
【0074】
次ぎに連携部236を主に図14を参照しつつ説明する。
連携部236は、規正体112の案内位置GP又は非案内位置NGP位置、換言すれば、位置選択体198の払出補助位置AP又は非払出補助位置NAPへの移動に連動して通過阻止体120を阻止位置SP又は非阻止位置NSPへ移動させるため、後述の連動装置242の移動を通過阻止体120に伝える機能を有し、本実施例1においては、連携部236は平行な第1面236Aと第2面236Bとが所定の間隔で形成された案内部244により構成されている。
案内部244は、後述の連動体246の蛙又部248によって挟まれる。換言すれば、蛙又部248を構成する所定の間隔で平行に配置された第1狭持部248Aと第2狭持部248Bとによって第1面236Aと第2面236Bとは挟まれる。
小径部240の周囲には、付勢体250としてのスプリング252が外装される。
スプリング252の上端はリテーナ238の下面にあてがい、下端はベース104の裏面に一体に形成されたブラケット254(図20参照)にあてがわれている。
したがって、通過阻止体120はスプリング252の弾発力によって、ベース104に対して上方、換言すれば、払出通路114の通路底面186に対し上側へ突出する方向に付勢されている。しかし、その突出量は連動体246にリテーナ238が当接することによって決定される。また、連動体246の回動によって、リテーナ238が押し下げられることにより、通過阻止体120(先端部230)はその上端面が少なくとも通路底面186と面一になるまで進退孔228内に引き入れられる。
【0075】
次ぎに連動装置242を説明する。
連動装置242は、規正体112と通過阻止体120とを連動させる機能を有し、換言すれば、規正体112が案内位置GPに位置する場合、通過阻止体120を阻止位置NSPに位置させ、規正体112が非案内位置NGPに位置する場合、通過阻止体120を阻止位置SPに位置させる機能を有する。
本実施例1において連動装置242は、機械的リンク機構241であり、ベース104の下面から下向きに突出された軸受(図示せず)に回転自在に支持された第3支軸256を中間に有する揺動梃子257たる板状の連動体246である。
連動体246の一端は、蛙又部248に形成され、通過阻止体120の連携部236の第1面236Aと第2面236Bを当該蛙又部248によって挟むように配置されている。これにより、図20において連動体246が時計方向へ回動された場合、リテーナ238を蛙又部248によって押し下げることにより、通過阻止体120を進退孔228内に押し下げて非阻止位置NSPに位置させる。連動体246の他端部は直線的に所定長延在している被動レバー258である。
【0076】
本実施例1において、被動レバー258は、位置選択体198の非案内位置NGPへの移動に連動して位置選択体198の一部によって押し下げられ、結果として、通過阻止体120がスプリング252によって押し上げられ、阻止位置SPに位置され、位置選択体198が払出補助位置APへ移動した場合、スプリング252の弾発力に反して通過阻止体120が下方へ移動され、通過阻止体120はその通過阻止体部分232が払出通路114の通路底面186から突出し、払出通路114に位置した阻止位置SPにおいて静止する。換言すれば、電磁アクチュエータ214の電磁石218が消磁されている場合、位置選択体198は非払出補助位置NAPに位置するため、連動部260は被動レバー258を下方から押動しない。結果として、通過阻止体120はスプリング252の弾発力によって上方へ押し上げられ、リテーナ部238が蛙又部248によって移動を阻止されるまで移動される。換言すれば、通過阻止体120が上方へ押し上げられ、先端部230が通路底面186から突出し、払出通路114に突出した阻止位置SPに位置する。この時、位置選択体198は位置規制体225によって係止されている。
電磁石218が励磁された場合、出力ロッド212が図12において下方へ引き下げられるので、位置選択体198が図20において支軸194回りに反時計方向に回動され、位置選択体198は払出補助位置APに移動される。結果として、連動部260は被動レバー258を下方から押し上げるので、被動レバー258、したがって、蛙又部248はスプリング252の弾発力に反してリテーナ部238を押し下げ、通過阻止体部分232は進退孔228内に引き入れられ、払出通路114から退出した非阻止位置NSPに位置される。
本実施例1においては、図13において明らかなように、連動部260と連動体246とは平面視鋭角になるように配置されている。この配置構成によって、小型の硬貨払出装置22-100内においても機械的機構によって規正体112と通過阻止体120とを連動させることができ、安価に構成できる利点がある。
【0077】
次ぎに出口調整体262を主に図6及び図15を参照して説明する。
出口調整体262は、硬貨Cの直径に合わせて下流側案内面187との間隔DTを調整し、硬貨Cの出口110を確定する機能を有し、本実施例1においては、さらに、弾出装置116と共同して硬貨Cを払い出す機能を有する。すなわち、規正体112(詳細には第2規正体112B)との間で硬貨Cを挟み、最終的には第2規正体112Bによって硬貨Cを弾き出す機能を有する。
本実施例1において、出口調整体262は、平面視台形の板状体であり、縦断面形状は、上段部264が下段部266よりも幅が広く、その段差部に段差面268A、268Bが形成された段付き形状を有している。
払出通路114の通路底面186には、上流側端縁130u側から下流側端縁130dへ向かって直線的に延び、当該払出通路114の中央まで延在する位置調整凹溝270が形成されている。位置調整凹溝270は、縦断面が相対的に幅が広い上段溝272と下段溝274とが上下二段に配置され、段差部に溝段差面270A、270Bが形成された段付き形状をしている。
したがって、出口調整体262の下端部は、位置調整凹溝270に挿入され、下段部266が下段溝274に、上段部264の下部が上段溝272にスライド可能に密に挿入されている。換言すれば、出口調整体262は位置調整凹溝270に沿って直線的に下流側案内面187に接離可能に配置されている。
また、出口調整体262の中心部に固定ネジ孔276が上下方向に貫通形成され、その上面には、ボルト頭280aを埋没させるための円形凹部278が形成されている。
したがって、固定ねじ280が固定ネジ孔276を貫通してベース104の裏面側にあてがわれたナット281にねじ込んでベース104をナット281と出口調整体262との間で狭持することにより、出口調整体262を硬貨Cの直径に対し適当な位置に固定する。具体的には、出口調整体262の硬貨Cを挟む角部である狭持部282と下流側端縁130dとの距離は、硬貨Cの直径よりも僅かに大きい程度に設定される。
また、硬貨Cが第2規正体112Bと狭持部282との間に挟まれた場合、規正体112が所定量以上支軸194回りに回動されない場合、第2規正体112Bと硬貨Cとの接点、及び、硬貨Cと狭持部282との接点を結ぶ直線Lを、硬貨Cの中心CC(図20)が通り過ぎないように位置関係が設定されている。換言すれば、規正体112に作用する弾出バネ226の弾発力が所定値以上になった場合、硬貨Cを弾き出すことができるように設定してある。このように設定することにより、硬貨Cの払出不良を防止できる効果がある。
出口調整体262の位置が、最小径の50円硬貨50Cに対応する位置に調整された場合、出口調整体262は通過阻止体120に近接した位置に設定され、最大直径の500円硬貨500Cの直径に合わせて設定した場合、図6に示す位置になる。この場合であっても、通過阻止体120と狭持部282との間隔は、最小径の50円硬貨50Cの直径よりも狭く設定され、50円硬貨50Cは通過することができない。
【0078】
次ぎにロータリーエンコーダ127を説明する。
ロータリーエンコーダ127は、回転ディスク108の回転角度位置に関する情報(回転位相)を出力する機能を有する。換言すれば、回転ディスク108によって連れ回りされる硬貨Cが、規正体112の進退孔129上に位置する状態において回転ディスク108が停止しないようにするための、回転ディスク108の回転位相を検出する機能を有する。したがって、ロータリーエンコーダ127は同様の機能を揺する装置を用いることができる。本実施例1において、ロータリーエンコーダ127は、中間ベース36の下側において減速機出力軸32に固定した一定間隔でスリット127Sを有する円盤127Aと、中間ベース104Bに対し固定状態に配置され、円盤127Aのスリット127Sを検出し、角度位置信号APSするように配置された光電センサ127Bとによって構成されている。ロータリーエンコーダ127は本実施例1の形態に限定されず、他の金種の被動歯車42と同期して回転する部位に関連して設けることができる。本実施例1において、スリット127Sは120度間隔で3本形成され、金種毎の個別の硬貨払出装置22における回転ディスク108-10、108-100、108-50、108-500における透孔136の回転角度位置を表す。
【0079】
次ぎに制御回路122を主に図16を参照して説明する。
制御回路122は、上位装置(例えばPOSレジ)の制御部(図示せず)から硬貨Cの払出指令PO、ロータリーエンコーダ127からの回転ディスク108の角度位置信号APS、及び、硬貨センサ118、具体的には、4つの硬貨センサ118からの各硬貨信号CS-10、CS-100、CS-50、CS-500を受信し、所定のプログラムにしたがってアクチュエータ200たる各電磁アクチュエータ214をON又はOFF、換言すれば、電磁アクチュエータ214-10、214-100、214-50、214-500を励磁、又は、消磁する機能、及び、電気モータ28に対し正転、逆転又は停止を指示する機能を有し、本実施例1においてはマイクロコンピュータ286によって構成されている。
制御回路122は、上位装置の制御部から硬貨Cの払出金額の払出指令POを受けた場合、払出金種と当該金種毎の払出数とを演算し、払出が必要な金種毎の個別の硬貨払出装置22-10、22-100、22-50、22-500の電磁アクチュエータ214-10、214-100、214-50、214-500の電磁石218を選択的に励磁させ、各出力ロッド212、及び、取付片222を介して位置選択体198を払出補助位置APへ移動させ、さらに、連動装置242を介して通過阻止体120を非阻止位置NSPへ移動させ、結果として規正体112は案内位置GPに位置される。
また、制御回路122は、払出指令POを受けた場合、電気モータ28に対し正転信号を出力し、減速機出力軸32、従って駆動平歯車38S、アイドラ歯車40、被動平歯車42S-500、アイドラ歯車40-50、被動平歯車42S-50、アイドラ歯車40-100、被動平歯車42S-100、アイドラ歯車40-10、被動平歯車42S-10を回転させ、各回転ディスク108-10、108-100、108-50、108-500を同期正転させる。これによって、前述のように、回転ディスク108によって連れ回りされている硬貨Cは、規正体112によって出口110へ案内され、出口調整体262の狭持部282と第2規正体112Bとによって挟まれ、最終的に第2規正体112Bに付与されている弾出バネ226の弾発力によって弾き出される。
払い出すべき金種の硬貨Cが払い出すべき数だけそれぞれ払出された後、電磁アクチュエータ214は消磁されるので、規正体112が非払出補助位置NAPに移動されると共に、通過阻止体120を阻止位置SPに移動させて払出を終了する。
さらに、回転ディスク108を停止する場合、ロータリーエンコーダ127からの角度位置信号APSに基づいて給電停止タイミングを制御し、硬貨Cが進退孔129上に位置しない回転角度位置において停止される。
【0080】
詳述すれば、払い出された硬貨Cは各硬貨センサ118-10、118-100、118-50、118-500によって検知され、当該各硬貨センサ118は、硬貨信号CS-10、CS-100、CS-50、CS-500を出力する。
各硬貨信号CSを受信した制御回路122は、演算された金種毎の数であるか判別する。換言すれば、硬貨センサ118-10、118-100、118-50、118-500からの硬貨信号CSの数が、指定数であるか判別し、指定数に達しない場合、各電磁アクチュエータ214は励磁を継続される。結果として、規正体112は案内位置GPに保持されるので、硬貨Cの払出は継続される。
各硬貨センサ118からの各硬貨信号CSが指定数になった場合、制御回路122は電磁アクチュエータ214を消磁するので、位置選択体198は非払出補助位置NAPに位置され、結果として規正体112は非案内位置NGPへ移動され、通過阻止体120は阻止位置SPに移動され、硬貨Cの払出は行われない。
【0081】
次に実施例1の複数硬貨払出装置10の制御回路122が実行する処理を図17及び図18のフローチャートも参照しつつ説明する。
まずステップS1において、上位装置の制御部から払出指令PO(硬貨Cの払出金額PQが出力されているか判断し、払出指令POが出力されている場合ステップS2に進み、払出指令POが出力されていない場合ステップS1をループし、待機状態を継続する。本実施例1においては、払出金額PQとして870円が出力された場合を設例に以下説明する。
【0082】
次ぎにステップS2において、制御回路122は払出金額PQに対する金種硬貨と払出数(DN)を演算し、出力した後、ステップS3に進む。本設例においては、500円硬貨500Cが1個、100円硬貨100Cが3個、50円硬貨50Cが1個、10円硬貨10Cが2個である。
【0083】
次ぎにステップS3において、逆転位置出し処理を行った後、ステップS4へ進む。逆転位置出し処理とは、各個別の硬貨払出装置22の回転ディスク108を、透孔136に落下した硬貨Cが確実に規正体112が進退する進退孔129上に位置しないようにする処理である。具体的には、電気モータ28を逆転させて全ての回転ディスク108を同期逆転させつつロータリーエンコーダ127、したがって光電センサ127Bから最初の角度位置信号APSが出力されるまで逆転させた後、電気モータ28の逆転を停止する。当然のことながら、逆転によって停止した回転ディスク108の回転位置においては、透孔136に落下した硬貨Cは進退孔129上には位置しない。この際、電磁アクチュエータ214は励磁されないから、規正体112は非案内位置NGPに、通過阻止体120が出口110において阻止位置SPに位置しているので、回転ディスク108の逆転によって、硬貨Cが出口110に達したとしても、通過することは出来ず、硬貨出口48から払い出されることはない。
【0084】
次ぎにステップS4において、払出対象になっている金種を判別し、当該払出対象金種の硬貨払出装置22における個別の制御を行うためのステップS5へ進む。
ステップS5において、払出対象になっている硬貨Cの硬貨払出装置22の電磁アクチュエータ214を励磁した後、ステップS6へ進む。本設例の場合、500円硬貨500C、50円硬貨50C、100円硬貨100C、及び、10円硬貨10Cの全てが払出対象になっているため、ステップS5において全ての硬貨払出装置22-500、22-50、22-100、22-10の電磁アクチュエータ214-500、214-50、214-100、214-10の電磁石218が励磁された後、ステップS6へ進む。勿論、払出対象でない硬貨払出装置22がある場合、当該硬貨払出装置22の電磁アクチュエータ214は励磁されない。
電磁石218の励磁によって、出力ロッド212が本体216内に引き入れられ。取付222を介して位置選択体198は、図20において反時計方向に回動されて払出補助位置AP(破線)に移動されるので、規正体112は案内位置GPへ移動されると共に、連動部260は被動レバー258を押し上げる。これにより連動体246が第3支軸256を支点に回動して、蛙又部248が通過阻止体120のリテーナ部238を押し下げるので、通過阻止体120の先端は、進退孔228内に退去する。
【0085】
次ぎにステップS6において、電気モータ28が起動された後、ステップS7へ進む。電気モータ28の起動によって、減速機30の減速機出力軸32が所定の速度で回転されるので、駆動平歯車38S及び円盤127Aが所定の速度で回転される。これにより、駆動平歯車38Sと噛み合うアイドラ歯車40-500を介して被動平歯車42S-500、被動平歯車42S-500と噛み合うアイドラ歯車40-100を介して被動平歯車42S-100、被動平歯車42S-100と噛み合うアイドラ歯車40-50を介して被動平歯車42S-50、被動平歯車42S-50と噛み合うアイドラ歯車40-10を介して被動平歯車42S-10が同一方向へ同期して所定の速度で回転される。この被動平歯車42S-500、42S-100、42S-50、42-10の回転によって、入力軸46-500、46-100、46-50、46-10を介して回転ディスク108-500、108-100、108-50、108-10が同期回転し、それらの透孔136が同一回転角度回転される。回転ディスク108の正方向の回転によって、透孔136に落下した硬貨Cは押動体146によって押動されてベース104上の硬貨通路MPを移動する。
【0086】
これにより、第1押動体146Aによって押動される100円硬貨100Cは、第1規正体112A及び第2規正体112Bによって出口110側へ案内される。
例えば、100円硬貨100Cの出口110側への移動によって、100円硬貨100Cは出口調整体262の狭持部282によって案内されるようになると共に、第1押動体146Aによる押動が継続されるので、第2規正体112Bが弾出バネ226の弾発力に反して回動され図19(B)に鎖線で示すように回動される。
この過程において、100円硬貨100Cはさらに収納穴126の周方向へ移動するので、第2押動体146Bによってのみ押動されるようになり、最終的に規正体112が図19A)の位置において。100円硬貨100Cの中心が、100円硬貨100Cの周面と第2規正体112B、及び、狭持部282との接点を結ぶ直線L1を越えるので、弾出バネ226の弾発力によって払出通路114へ勢いよく払い出される。
払い出された100円硬貨100Cは硬貨センサ118-100によって検知され、硬貨センサ118-100は硬貨信号CS-100を出力する。
規正体112は、硬貨Cを弾き出した後、弾出バネ226の弾発力によって回動規制体204によって係止されるまで回動され、案内位置GPに戻される。
引き続き規正体112が案内位置GPに保持される場合、前記と同様に100円硬貨100Cは1つずつ弾き出される。
払出対象硬貨でない場合における当該非対象硬貨C、及び、所定数払い出された場合における硬貨Cの硬貨払出装置22における電磁アクチュエータ214は励磁されないことから、規正体112は非案内位置NGPに、通過阻止体120は阻止位置SPに位置することから、硬貨Cが回転ディスク108によって連れ回りされる場合であっても、硬貨通路MPを周回移動されるだけである。他の金種の硬貨払出装置22-500、22-50、22-10においても同様に行われる。
【0087】
ステップS7〜S14は各硬貨払出装置22-500、22-50、22-100、22-100毎に個別に、硬貨Cを1つず分離して払い出す硬貨払出に関連する処理の流れであり、各硬貨払出装置22-500、22-50、22-100、22-10において個別並行的に行われる。したがって、各硬貨払出装置22毎に実行されることを表すため、同一ステップ番号に続いてハイフォンと対象金額を付記することにより表示する。また、その作用は全て同一であるので、100円硬貨100C用の硬貨払出装置22-100の作用を代表して説明し、その他の硬貨払出装置22-500、22-50。22-10における作用説明は省略する。
【0088】
ステップS7において、払出対象金種を判別し、払出対象金種の硬貨払出装置22-500、22-50、22-100、22-10におけるステップS8〜S16の払出処理へ進む。硬貨払出の作用を、100円硬貨100C用の硬貨払出装置22-100を例に説明する。
ステップS8-100において、払出制限時間T1の計時を開始した後、ステップS9-100へ進む。払出制限時間T1は、100円硬貨100Cの払出状態にあるにも拘わらず、払い出された100円硬貨100Cの検知に基づく硬貨信号CS-100を所定時間である払出制限時間T1の間、連続して検出しない場合、100円硬貨100Cが払い出されるべき状態にも拘わらず、払い出されない異常状態であると判断するための基準時間である。払出制限時間T1は、通常3秒程度に設定されている。
【0089】
ステップS9-100において、硬貨センサ118-100から硬貨信号CS-100が出力されたか否かを判別し、出力された場合ステップS10-100へ進み、出力されない場合はステップS11-100へ進む。
すなわち、前述のように硬貨センサ118-100が100円硬貨100Cを検知して硬貨信号CS-100を出力した場合、硬貨払出装置22-100が正常に機能しているので、正常な場合における次ぎのステップS10-100へ進む。
【0090】
ステップS11-100において、払出制限時間T1が経過したか判別し、経過していない場合、ステップS9-100へ戻り、経過した場合、ステップS15-100へ進む。
すなわち、ステップS5-100において規正体112が案内位置GPに位置し、ステップS6において回転ディスク108-100が回転していることから、100円硬貨100Cが払い出され、硬貨センサ118-100から硬貨信号CS-100が払出制限時間T1の間に出力されてしかるべきである。しかし、払出制限時間T1を超えても硬貨信号CS-100が出力されない場合、硬貨ジャムが発生したものと判断し、自動解決のためのサブルーチンにおける回転ディスク108-100の逆転処理をするようにしている。
【0091】
ステップS10-100において、硬貨信号CS-100の出力毎に硬貨信号CS-100の数を集計した後、ステップS12-100へ進む。ステップS10-100において、今回は最初であるので1が計数される。すなわち、100円硬貨100Cの払出数が1であるとして計数される。
【0092】
ステップS12-100において、100円硬貨100Cの払出数(ステップS10-100における計数値)が指示払出数DNになったか否か判別し、指示払出数DNになった場合ステップS13-100へ進み、指示払出数DNにならない場合ステップS9-100へ戻る。
換言すれば、ステップS12-100においては、指示された100円硬貨Cが指示された数、払い出されたか否かを判別している。
本設例において、指示払出数DNは3であり、今回は計数値CNが1であるからステップS9-100へ戻り、100円硬貨100Cの払出が継続される。
払出が継続される場合、前述のように100円硬貨100Cが1つずつ規正体112によって弾き出されると共に、その払出の都度、硬貨センサ118-100から硬貨信号CS-100が出力される。したがって、その後100円硬貨100Cが2つ払い出され、ステップS10-100における計数値CNが3になった場合、ステップS13-100へ進む。
【0093】
ステップS13-100において、電磁アクチュエータ214-100が消磁された後、ステップS14-100へ進む。
電磁アクチュエータ214-100の消磁によって、バネ220の弾発力によって位置規制体225が非払出補助位置NAPへ移動され、規正体112も非案内位置NGPへ移動される。この位置規制体225の移動に伴って、通過阻止体120は付勢体250の付勢力によって押し上げられ、通過阻止体部分232が進退孔228から出口110の中央に突出し、阻止位置SPに位置する、これにより、回転ディスク108-100の回転が継続していても、押動体146に押動されて連れ回りされる100円硬貨100Cが規正体112によって出口110側へ案内されることは無く、万が一、100円硬貨100Cが出口110に到達した場合であっても、阻止位置SPに位置する通過阻止体120によって阻止されて払出通路114へ通過することは出来ない。換言すれば、100硬貨100Cは硬貨通路MPを循環移動されるにすぎない。
【0094】
ステップS14-100において、払出終了信号FS100を出力してステップS31へ進む。
【0095】
ステップS15-100において、電磁アクチュエータ214-100の電磁石218を消磁した後、ステップS16-100へ進む。この電磁石218消磁によって、前述のように規正体112を非案内位置NGPに位置させると共に、通過阻止体120を阻止位置SPに位置させ、100円硬貨100Cが払い出されないようにする。その後、後述するステップS17以降の自動解消のための逆転処理を行う。
【0096】
前述のステップS7-100〜S16-100の硬貨払出処理が、個別の硬貨払出装置22-500、22-50、22-10においても実行され、指示された金種毎に指示された数の硬貨Cが払い出される。本設例においては、硬貨払出装置22-500からは1個の500円硬貨500Cが払い出された後、払出終了信号FS500が出力され、硬貨払出装置22-50からは1個の50円硬貨50Cが払い出された後、払出終了信号FS50が出力され、及び、硬貨払出装置22-10からは2個の10円硬貨10Cが払い出された後、払出終了信号FS10が出力される。
【0097】
硬貨払出処理によって払い出された500円硬貨500C、50円硬貨50C、100円硬貨100C、及び、10円硬貨10Cは、搬送ベルト16上に落下し、当該搬送ベルト16によって受取口12へ搬送される。
【0098】
次ぎにステップS31において、払い出されるべき全ての払出終了信号FS500、FS50、FS100又は、FS10が全て出力されたか判別し、全て判別した場合、ステップS32へ進み、判別しない場合、ステップS31をループして待機状態になる。
【0099】
ステップS32において、ロータリーエンコーダ127から停止に適した角度位置信号APSが出力されたか判別し、角度位置信号APSが出力された場合ステップS33へ進み、角度位置信号APSが出力されない場合ステップS32をループする。すなわち、硬貨Cが規正体112に相対した状態で回転ディスク108が停止しないように、電気モータ28へ給電停止のタイミングを検出している。
【0100】
ステップS33において、電気モータ28への給電を停止した後、処理を終了する。電気モータ28は給電を停止されるので、回転ディスク108-500、108-100、108-50、108-10は僅かな慣性回転後に同期して停止する。給電停止のタイミングは、前述のように、硬貨Cが進退孔129に重ならない位置になるよう設定されているので、次回の払出に不都合を来すことはない。
【0101】
したがって、ステップS3における逆転初期位置し処理は省略することも可能であるが、長時間硬貨払出が行われない場合、回転ディスク108が外力によって回転し、硬貨Cが進退孔129に重なることもあり得るので、逆転初期位置出しを行うことが好ましい。
【0102】
次ぎにステップS17以降のジャム自動解消のための逆転処理について説明する。
まずステップS17において、電気モータ28への給電を停止した後、ステップS18へ進む。これにより、全ての回転ディスク108の回転を停止させ、硬貨Cの払出を停止する。
【0103】
次ぎにステップS18において、電気モータ28を逆転させた後。ステップS19へ進む。
電気モータ28の逆転によって、伝達装置26を介して全ての回転ディスク108が逆転される。これによって、全ての硬貨Cも押動体146の裏面151A、151Bによって押動されて硬貨通路MPを逆行されるが、規正体112が非案内位置NGPに位置するため、何らの不都合なく逆行される。
【0104】
ステップS19において、逆転時間T2の計時を開始し、ステップS20へ進む。
逆転時間T2は回転ディスク108の大凡の逆転量を定める機能を有し、少なくとも回転角度において30度程度逆転されれば良いが、回転ディスク108が1回転程度逆転するように定めることが好ましい。
【0105】
ステップS20において、逆転時間T2が予め定められた基準の逆転時間T2に達したか判別し、基準の逆転時間T2に達し場合、ステップS21へ進み、達しない場合ステップS20をループする。これにより、回転ディスク108は基準の逆転時間T2の間、逆転される。
【0106】
ステップS21において、電気モータ28の逆転を停止させた後、ステップS22へ進む。電気モータ28の停止によって、全ての回転ディスク108は僅かな慣性回転後停止する。
【0107】
ステップS22において、全ての電磁アクチュエータ214の電磁石218を励磁した後、ステップS23へ進む。この電磁石218の励磁によって、位置選択体198は払出補助位置AP(図19において実線示)に移動されるので、規正体112は案内位置GPへ移動されると共に、連動部260は連動部によって、通過阻止体120の先端が、進退孔228内に後退されて非阻止位置NSPに位置し、硬貨Cの払出を可能にする。
【0108】
ステップS23において、電気モータ28が正回転された後、ステップS24へ進む。この電気モータ28の正回転によって、伝達装置26を介して全ての回転ディスク108が正回転される。一回目の回転ディスク108の逆転処理によってジャムが解消したかどうか確認するためである。
【0109】
ステップS24において、各硬貨払出装置22の各硬貨センサ118から硬貨信号CSが出力されたか判別し、ステップS25へ進む。
各硬貨払出装置22におけるステップS25-500、S25-50、S25-100、S25-10において、所定時間T1の間、硬貨信号CSが出力されなかった個別の硬貨払出装置22の硬貨センサ118から硬貨信号CSが出力されたかを判別し、硬貨信号CSを判別した場合、ステップS7へ戻る。すなわち硬貨信号CSが出力され場合、回転ディスク108が正常に回転していると推測できるので、未払出しの硬貨Cを払い出すためである。この場合、電気モータ28は回転を継続し、払い残しの硬貨数を前述のように払い出す。
【0110】
ステップS25において何れの硬貨センサ118からも硬貨信号CSが出力されない場合、ステップS26へ進む。ステップS26において、電気モータ28が停止された後、ステップS27へ進む。電気モータ28の停止により、回転ディスク108による硬貨Cの払出は停止される。
【0111】
ステップS27において、逆転回数CRNが計数された後、ステップS28に進む。ステップS27において、逆転処理が一回なされる毎に逆転回数CRNが1加算される。今回は初回であるかから、逆転回数CRNとして1が記憶される。
【0112】
ステップS28において、逆転回数CRNと逆転許容数CANとを比較し、許容回数CAN以下の場合、ステップS18へ戻り、許容回数CANと同じ又は超える場合、ステップS29へ進む。本設例においては、許容回数CANが3に設定されている。したがって、今回は初回であるため逆転回数CRNは1であり、許容回数CANの3よりも小さいのでステップS18へ戻る。
ステップS18へ戻った場合、再びステップS18〜S28の逆転処理を行う。ステップS27において、逆転回数CRNは2にカウントアップされるが、ステップS28において許容回数CANの3以下であるので再びステップS18へ戻り、硬貨Cの払出が行われる。したがって、この硬貨払出と逆転処理は、本設例においては4回行われ、4回行われた後は、ステップS28からステップS29へ進んで上位装置へ異常信号ESを出力して処理を終了する。
【実施例2】
【0113】
次ぎに図22図28に示す実施例2を説明する。
本実施例2は、伝達装置26を実施例1においては平歯車列により構成したが、傘歯車によって構成した例である。傘歯車にした場合、歯車の直径を小さく設定できるので、歯車を小型化でき、結果として複数硬貨払出装置10を小型化するために適した例である。また、本実施例2において回転ディスク108は水平状態に配置されているが、その他の構成、作用、効果は実質的に実施例1と同一であるので、実施例1と実質的に同一部分には同一符号を付し、異なる構成のみを以下説明する。
【0114】
本実施例2において、減速機30はシャーシ24から後方に突出する板状のブラケット50に横向きに固定され、個別の硬貨払出装置22、本実施例2においては500円用硬貨払出装置22-500に並んで配置されている。したがって、減速機30に固定されている電気モータ28もブラケット50に横向きに固定されている。減速機30の減速機出力軸32は、ブラケット50を貫通し、横向きに突出している。
【0115】
次ぎに伝達装置26を説明する。
実施例2の伝達装置26は、実施例1と同一の機能を有し、少なくとも共通駆動軸伝達装置52と硬貨払出装置駆動装置54とを含んでいる。
【0116】
まず共通駆動軸伝達装置52について説明する。
共通駆動軸伝達装置52は、減速機出力軸32の回転を硬貨払出装置駆動装置54に伝達する機能を有し、本実施例2において、駆動プーリ56、駆動ベルト58、被動プーリ60、及び、テンションローラ62を含んでいる。駆動プーリ56は減速機出力軸32の先端に固定され、被動プーリ60との間に巻き掛けた駆動ベルト58、例えば、歯付きベルトによって被動プーリ60を所定の速度で回転させる。駆動ベルト58は、テンションローラ62によって所定の張力が維持される。
駆動プーリ56は、硬貨払出装置駆動装置54を構成する共通駆動軸64の端部に固定されている。換言すれば、共通駆動軸64は駆動装置20によって共通駆動軸伝達装置52を介して駆動される。共通駆動軸伝達装置52を介することにより、個別の硬貨払出装置22の列と駆動装置20を並置できるので、個別の硬貨払出装置22の列方向の大きさを小さくできるからである。したがって、列方向の長さを考慮しなければ、共通駆動軸伝達装置52を配置せず、減速機出力軸32によって直接、共通駆動軸64を駆動することができる。
【0117】
次ぎに硬貨払出装置駆動装置54を説明する。
硬貨払出装置駆動装置54は、各個別の硬貨払出装置22の入力軸46に駆動装置20の回転力を伝達する機能を有し、本実施例2において、共通駆動軸64、駆動傘歯車66、被動傘歯車68を含んでいる。
【0118】
まず、共通駆動軸64を説明する。
共通駆動軸64は、複数の駆動傘歯車66を回転駆動する機能を有し、本実施例2においては、中間ベース36の裏面側に所定の間隔で下向きに固定された複数の軸受70-1、70-2、70-3、70-4によって、中間ベース36と平行に回転自在に支持されている。換言すれば、共通駆動軸64は個別の硬貨払出装置22の列と平行に回転自在に配置されている。
【0119】
次ぎに駆動傘歯車66を説明する。
本実施例2においても、同一構成部分には同一数字にハイフォンに続いて金種の数字を付記することにより参照符号とし。個別の説明は省略すると共に、特に金種毎の説明が必要な場合を除き、数字のみを参照符号として表示する。。
駆動傘歯車66は、共通駆動軸64に固定され、被動傘歯車68を回転駆動する機能を有し、本実施例2において、軸受70の近くの共通駆動軸64に同心に固定されている。本実施例2において、駆動傘歯車66として駆動曲がり歯傘歯車66Hが用いられている。曲がり歯傘歯車(ハイポイドギヤ(登録商標))は、複数の歯が噛み合うため、歯への負担が分散され、耐久性及び静粛性において優れるからである。
【0120】
次ぎに被動傘歯車68を説明する。
被動傘歯車68は、駆動傘歯車66によって駆動され、個別の硬貨払出装置22を駆動、換言すれば回転ディスク108を回転駆動する機能を有し、本実施例2において、入力軸46の下端部に固定され、駆動傘歯車66に噛み合って。したがって、本実施例2においては、被動傘歯車68は被動曲がり歯傘歯車68Hである。
本実施例2において、駆動傘歯車66と被動傘歯車68は同一の傘歯車(曲がり歯傘歯車)を採用している。部品の量産効果によるコスト低減、及び、誤組み付け防止のためである。
【0121】
本実施例2において、入力軸46は、被動側軸部分46Pと駆動側軸部分46Gとにより構成されている。各駆動側軸部分46Gは共通部品が用いられている。シャーシ24の部品を共通化することによるコスト削減と共に、製造の容易化のためである。まず、駆動側軸部分46Gを説明すると、駆動側軸部分46Gは駆動側入力軸部分46Dと駆動側クラッチ部分74Dとにより構成され、駆動側入力軸部分46Dの下端部に被動傘歯車68が固定され、その上端部にその駆動側クラッチ部分74Dが固定され、その中間を中間ベース36に対し入力軸受72によって垂立状態で回転自在に支持されている。換言すれば、駆動側軸部分46Gの回転ディスク108側の端部である上端部に回転ディスク108側を指向しており、噛み合いクラッチ74の一部である駆動側クラッチ部分74Dが配置されている。駆動側クラッチ部分74Dは、駆動側入力軸部分46Dの上端部に固定した駆動側円筒体76Dの端面側から軸線ALに沿って矢形の切り込みを形成することにより、ペン先型の突部78Dと凹部78Sが形成され、それらの組みが少なくとも1組以上形成されている。
【0122】
次ぎに被動側軸部分46Pを説明する。
被動側軸部分46Pは、回転ディスク108が先端に固定された回転ディスク側軸部分46Rの下端に円筒形の被動側クラッチ部分74Pが固定されている。被動側クラッチ部分74Pは駆動側クラッチ部分74Dと同一形状に形成され、ペン先型の突部80Dと凹部80Sの組みが駆動側のそれと同数形成されている。本実施例2において、ペン先型の突部78Dと凹部78S及び突部80Dと凹部80Sの組みはそれぞれ3組設けられ、駆動側クラッチ部分74Dの突部78Dは、被動側クラッチ部分74Pの凹部80Sに、被動側クラッチ部分74Pの突部80Dは駆動側クラッチ部分74Dの凹部78Sに嵌り込むように構成されている。したがって、個別の硬貨払出装置22をシャーシ24に取り付ける際、被動側クラッチ部分74Pの突部80Dを駆動側クラッチ部分74Dの凹部78Sに挿入するように行うことにより、先端のペン先型部分によって回転抵抗が小さい被動側クラッチ部分74Pが回転されてクラッチ74は噛み合い接続状態になり、共通駆動軸64の回転によって、各個別の硬貨払出装置22の回転ディスク108はクラッチ74を介して同期回転されるように連結される。
【0123】
したがって、駆動装置20の出力軸たる減速機出力軸32の回転は、駆動プーリ56、駆動ベルト58、被動プーリ60を介して共通駆動軸64に伝達される。共通駆動軸64の回転によって、駆動傘歯車66が回転され、当該駆動傘歯車66と噛み合う被動傘歯車68が回転される。被動傘歯車68の回転は、駆動側入力軸部分46D、駆動側クラッチ部分74D、及び。当該駆動側クラッチ部分74Dに噛み合う被動側クラッチ部分74P、及び被動側軸部分46Pを介して回転ディスク108に伝えられる。この回転ディスク108の回転によって、実施例1と同様に硬貨Cが払い出される。実施例2の複数硬貨払出装置10において、規正体112、通過阻止体120、制御回路122等の作用は実施例1と同一であるため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0124】
AP 払出補助位置
C 硬貨
ES 回転位置信号
GP 案内位置
MP 硬貨通路
NAP 非払出補助位置
NGP 非案内位置
NSP 非阻止位置
SP 阻止位置
10 複数硬貨払出装置
20 駆動装置
22 硬貨払出装置
26 伝達装置
32 出力軸
38S 駆動平歯車
40 アイドラ歯車
42S 被動平歯車
64 駆動軸
66 駆動傘歯車
66H 駆動曲がり歯傘歯車
68 被動傘歯車
68H 被動曲がり歯傘歯車
104 ベース
108 回転ディスク
110 出口
112 規正体
114 払出通路
116 弾出装置
120 通過阻止体
122 制御回路
126 収納穴
127 ロータリーエンコーダ
130 硬貨案内壁
136 透孔
146 押動体
148 押動前面
186 通路底面
194 支軸
204 回動規制体
209 バネ受体
214 電磁アクチュエータ
224 弾性体
256 支軸
257 揺動梃子
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