(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の副制御基板ケースを備えた遊技機の実施の形態を示すパチスロについて、
図1〜
図8を参照しながら説明する。はじめに、
図1を参照して、遊技機の実施の形態に係る機能フローについて説明する。
【0018】
本実施の形態のパチスロでは、遊技を行うための遊技媒体としてメダルを用いる。なお、遊技媒体としては、メダル以外にも、コイン、遊技球、遊技用のポイントデータ又はトークン等を適用することもできる。
【0019】
遊技者によりメダルが投入され、スタートレバーが操作されると、予め定められた数値の範囲(例えば、0〜65535)の乱数から1つの値(以下、乱数値)が抽出される。
【0020】
内部抽籤手段は、抽出された乱数値に基づいて抽籤を行い、内部当籤役を決定する。この内部抽籤手段は、後述する主制御回路が担う。内部当籤役の決定により、後述の入賞判定ラインに沿って表示を行うことを許可する図柄の組合せが決定される。なお、図柄の組合せの種別としては、メダルの払い出し、再遊技の作動、ボーナスの作動等といった特典が遊技者に与えられる「入賞」に係るものと、それ以外のいわゆる「ハズレ」に係るものとが設けられている。
【0021】
また、スタートレバーが操作されると、複数のリールの回転が行われる。その後、遊技者によりストップボタンが押されると、リール停止制御手段は、内部当籤役とストップボタンが押されたタイミングとに基づいて、該当するリールの回転を停止する制御を行う。このリール停止制御手段は、後述する主制御回路が担う。
【0022】
パチスロでは、基本的に、ストップボタンが押されたときから規定時間(190msec)内に、該当するリールの回転を停止する制御が行われる。本実施の形態では、上記規定時間内にリールの回転に伴って移動する図柄の数を「滑り駒数」と呼び、その最大数を図柄4個分に定める。
【0023】
リール停止制御手段は、入賞に係る図柄の組合せの表示を許可する内部当籤役が決定されているときは、上記規定時間を利用して、その図柄の組合せが入賞判定ラインに沿って極力表示されるようにリールの回転を停止する。また、リール停止制御手段は、上記規定時間を利用して、内部当籤役によってその表示が許可されていない図柄の組合せが入賞判定ラインに沿って表示されないようにリールの回転を停止する。
【0024】
こうして、複数のリールの回転がすべて停止されると、入賞判定手段は、入賞判定ラインに沿って表示された図柄の組合せが、入賞に係るものであるか否かの判定を行う。この入賞判定手段は、後述する主制御回路が担う。入賞に係るものであるとの判定が行われると、メダルの払い出し等の特典が遊技者に与えられる。以上のような一連の流れがパチスロにおける1回の遊技として行われる。
【0025】
また、パチスロでは、前述した一連の流れの中で、液晶表示装置などの表示装置により行う映像の表示、各種ランプにより行う光の出力、スピーカにより行う音の出力、或いはこれらの組合せを利用して様々な演出が行われる。
【0026】
スタートレバーが操作されると、前述の内部当籤役の決定に用いられた乱数値とは別に、演出用の乱数値(以下、演出用乱数値)が抽出される。演出用乱数値が抽出されると、演出内容決定手段は、内部当籤役に対応づけられた複数種類の演出内容の中から今回実行するものを抽籤により決定する。この演出内容決定手段は、後述する副制御回路が担う。
【0027】
演出内容が決定されると、演出実行手段は、リールの回転が開始されるとき、各リールの回転がそれぞれ停止されるとき、入賞の有無の判定が行われたとき等の各契機に連動させて演出の実行を進める。この演出実行手段は、後述する副制御回路が担う。このように、パチスロでは、内部当籤役に対応づけられた演出内容を実行することによって、決定された内部当籤役(言い換えると、狙うべき図柄の組合せ)を知る或いは予想する機会が遊技者に提供され、遊技者の興味の向上が図られる。
【0028】
<パチスロの構造>
次に、
図2〜
図5を参照して、一実施形態におけるパチスロ1の構造について説明する。
【0029】
[外観構造]
図2は、パチスロ1の外部構造を示す斜視図である。
【0030】
パチスロ1の外装体2は、リールや回路基板等を収容するキャビネット2aと、キャビネット2aに対して開閉可能に取り付けられるフロントドア2bとを有している。
キャビネット2aの両側面には、把手7が設けられている。この把手7は、パチスロ1を運搬するときに手をかける凹部である。
【0031】
キャビネット2aの内部には、3つのリール3L,3C,3Rが横並びに設けられている。以下、各リール3L,3C,3Rを、それぞれ左リール3L、中リール3C、右リール3Rという。各リール3L,3C,3Rは、円筒状に形成されたリール本体と、リール本体の周面に装着された透光性のシート材を有している。シート材の表面には、複数(例えば21個)の図柄が周方向に沿って所定の間隔をあけて描かれている。
【0032】
フロントドア2bの中央には、液晶表示装置10が設けられている。この液晶表示装置10は、図柄表示領域4L,4C,4Rを含む表示画面を備え、正面から見て3つのリール3L,3C,3Rに重畳する手前側に位置するように設けられている。本実施の形態では、図柄表示領域4L,4C,4Rを含めた表示画面の全体を使って、映像の表示が行われ、演出が実行される。
【0033】
図柄表示領域4L,4C,4Rは、3つのリール3L,3C,3Rのそれぞれに対応して設けられている。この図柄表示領域4L,4C,4Rは、表示窓としての機能を果たすものであり、その背後に設けられた各リール3L,3C,3Rを透過することが可能な構成になっている。以下、図柄表示領域4L,4C,4Rを、それぞれ左表示窓4L、中表示窓4C、右表示窓4Rという。
【0034】
表示窓4L,4C,4Rは、その背後に設けられたリール3L,3C,3Rの回転が停止されたとき、各リール3L,3C,3Rの複数種類の図柄のうち、その枠内における上段、中段及び下段の各領域にそれぞれ1個の図柄(合計で3個)を表示する。各表示窓4L,4C,4Rが有する上段、中段及び下段からなる3つの領域のうち予め定められたいずれかをそれぞれ組合せてなる擬似的なラインを、入賞か否かの判定を行う対象となるライン(入賞判定ライン)として定義する。
【0035】
本実施の形態では、入賞判定ラインとしてセンタライン8が設けられている。センタライン8は、左表示窓4Lの中段、中表示窓4Cの中段及び右表示窓4Rの中段の組合せからなる。
【0036】
液晶表示装置10の表示画面の側方には、7セグメントLED(Light Emitting Diode)からなる7セグ表示器6が設けられている。この7セグ表示器6は、特典として遊技者に対して払い出すメダルの枚数(以下、払出枚数)、パチスロ内部に預けられているメダルの枚数(以下、クレジット枚数)等の情報をデジタル表示する。
【0037】
フロントドア2bには、遊技者による操作の対象となる各種装置が設けられている。メダル投入口11は、遊技者によって外部から投下されるメダルを受け入れるために設けられる。メダル投入口11に受け入れられたメダルは、予め定められた規定数を上限として1回の遊技に投入されることとなり、規定数を超えた分はパチスロ1の内部に預けることが可能となる(いわゆるクレジット機能)。
【0038】
BETボタン12は、パチスロ1の内部に預けられているメダルから1回の遊技に投入する枚数を決定するために設けられる。精算ボタン14は、パチスロ1の内部に預けられているメダルを外部に引き出すために設けられる。
【0039】
スタートレバー16は、全てのリール(3L,3C,3R)の回転を開始するために設けられる。ストップボタン17L,17C,17Rは、3つのリール3L,3C,3Rのそれぞれに対応づけられ、対応するリールの回転を停止するために設けられる。以下、ストップボタン17L,17C,17Rを、それぞれ左ストップボタン17L、中ストップボタン17C、右ストップボタン17Rという。
【0040】
メダル払出口18は、後述のメダル払出装置34の駆動により排出されるメダルを外部に導く。メダル払出口18から排出されたメダルは、メダル受皿19に貯められる。ランプ(LED等)20は、演出内容に応じた点消灯のパターンにて光を出力する。スピーカ用孔21L,21R,22L,22Rは、演出内容に応じた効果音や楽曲等の音を出力するために設けられている。
【0041】
[内部構造]
図3は、パチスロ1の内部構造を示す斜視図である。この
図3では、フロントドア2bが開放され、フロントドア2bの裏面側の構造及びキャビネット2aの内部の構造が示されている。
図4は、キャビネット2aの内部を示す説明図である。
図5は、フロントドア2bの裏面側を示す説明図である。
【0042】
図4に示すように、キャビネット2a内部の上側には、主制御回路71(
図7参照)を構成する主制御基板31が配設されている。主制御回路71は、内部当籤役の決定、リール3L,3C,3Rの回転及び停止、入賞の有無の判定といった、パチスロ1における遊技の主な流れを制御する回路である。主制御回路71の具体的な構成は後述する。
【0043】
キャビネット2aの内部の中央には、3つのリール3L,3C,3Rが設けられている。なお、
図4では、各リール3L,3C,3Rからシート材を取り除いてリール本体を露出させた状態を示している。3つのリール3L,3C,3Rには、所定の減速比をもったギアを介してステッピングモータが接続されている。
【0044】
キャビネット2a内部を正面から見て、右リール3Rの右側には、設定用鍵型スイッチ32と、外部集中端子板33が配設されている。設定用鍵型スイッチ32は、パチスロ1の設定を変更もしくは確認を行うときに使用する。
外部集中端子板33は、キャビネット2aの側板に取り付けられている。この外部集中端子板33は、メダル投入信号、メダル払出信号及びセキュリティー信号などの信号をパチスロ1の外部へ出力するために設けられている。
【0045】
キャビネット2aの内部の下方には、多量のメダルを収容可能で、それらを1枚ずつ排出可能な構造を有するメダル払出装置(以下、ホッパー装置)34が設けられている。このホッパー装置34は、貯留されたメダルが例えば50枚を超えたとき、又は精算ボタンが押圧されてメダルの精算を行うときに、メダルを払い出す。ホッパー装置34によって払い出されたメダルは、メダル払出口18(
図2参照)から排出される。
【0046】
キャビネット2a内部を正面から見て、ホッパー装置34の右側には、ホッパー装置34から溢れ出たメダルを収納するメダル補助庫35が配設されている。また、キャビネット2a内部を正面から見て、ホッパー装置34の左側には、パチスロ1が有する各装置に対して必要な電力を供給するための電源装置36が設けられている。この電源装置36は、電源スイッチ36aと、電源基板36b(
図6参照)を有している。
【0047】
また、ホッパー装置34と3つのリール3L,3C,3Rとの間には、サブスピーカ37が配設されている。
【0048】
図3及び
図5に示すように、フロントドア2bの裏面における上側には、副制御基板41(
図10参照)を収容する副制御基板ケース42が配設されている。副制御基板41は、副制御基板ケース42を介してキャビネット2aの内部の主制御基板31に対向している。そして、副制御基板41は、副制御回路81(
図8参照)を構成する。副制御回路81は、映像の表示等による演出の実行を制御する回路である。副制御回路81の具体的な構成は後述する。
【0049】
フロントドア2bを裏面側から見て、副制御基板ケース42の右側方には、副中継基板43が配設されている。この副中継基板43は、副制御基板41と、この副制御基板41の周辺に配設された基板との配線を中継する基板である。なお、副制御基板41の周辺に配設される基板としては、後述するLED基板45A,45B,45CやサウンドI/O基板46が挙げられる。
【0050】
LED基板45Aは、フロントドア2bの裏面側から見て、副制御基板ケース42の上方に配設されている。また、LED基板45Bは、フロントドア2bの裏面側から見て、副中継基板43の右側方に配設されており、LED基板45Cは、副中継基板43の右側方に配設されている。これらLED基板45A,45B,45Cは、副制御回路81(
図6参照)の制御により実行される演出に応じて、点滅パターンを表示する。
【0051】
サウンドI/O基板46は、フロントドア2bの裏面における中央(表示窓4L,4C,4Rの下側)に配設されている。このサウンドI/O基板46は、後述するスピーカ48L,48R,49L,49Rへの音声の出力を行う。
【0052】
サウンドI/O基板46の下側には、遊技動作表示基板47が配設されている。この遊技動作表示基板47は、メダルの投入を受け付けるとき、3つのリール3L,3C,3Rが回動可能なとき及び再遊技を行うときに、投入されたメダルの枚数を7セグ表示器6に表示させるための基板である。
【0053】
サウンドI/O基板46及び遊技動作表示基板47の左側及び右側には、上部スピーカ48L,48Rが配設されている。そして、フロントドア2bの裏面における下側には、下部スピーカ49L,49Rが配設されている。上部スピーカ48L,48Rは、それぞれスピーカ用孔21L,21Rに対向しており、下部スピーカ49L,49Rは、それぞれスピーカ用孔22L,22Rに対向している。
【0054】
上部スピーカ48Rと下部スピーカ49Rとの間には、セレクタ51と、ドア開閉監視スイッチ52が配設されている。セレクタ51は、メダルの材質や形状等が適正であるか否かを選別する装置であり、メダル投入口11に受け入れられた適正なメダルをホッパー装置34へ案内する。セレクタ51内においてメダルが通過する経路上には、適正なメダルが通過したことを検出するメダルセンサ(不図示)が設けられている。
【0055】
ドア開閉監視スイッチ52は、フロントドア2bを裏面側から見て、セレクタ51の左側に配置されている。このドア開閉監視スイッチ52は、パチスロ1の外部へ、フロントドア2bの開閉を報知するためのセキュリティー信号を出力する。
【0056】
フロントドア2bを裏面側から見て、セレクタ51の右側には、ドア中継基板53が配設されている。このドア中継基板53は、主制御基板31(
図4参照)と、各種のボタンやスイッチ、副制御基板41(
図6参照)、遊技動作表示基板47及びセレクタ51との配線を中継する基板である。なお、各種のボタン及びスイッチとしては、例えば、BETボタン12、精算ボタン14、ドア開閉監視スイッチ52、後述するBETスイッチ55及びスタートスイッチ57等を挙げることができる。
【0057】
ドア中継基板53の下側には、24hドア開閉監視ユニット54が配設されている。この24hドア開閉監視ユニット54は、フロントドア2bの開閉の履歴を保存する。また、フロントドア2bを開放したとき、又はセレクタ51を取り外したときに、液晶表示装置10にエラー表示を行うための信号を副制御基板41(副制御回路81)に出力する。
【0058】
<パチスロが備える制御系>
次に、パチスロ1が備える制御系について、
図6を参照して説明する。
図6は、パチスロ1の制御系を示すブロック図である。
【0059】
パチスロ1は、キャビネット2aに配設された主制御基板31と、フロントドア2bに配設された副制御基板41を有している。
主制御基板31には、設定用鍵型スイッチ32と、外部集中端子板33と、ホッパー装置34と、リール中継端子板38と、電源装置36の電源基板36bと、メダル補助庫スイッチ39が接続されている。設定用鍵型スイッチ32、外部集中端子板33及びホッパー装置34については、上述したため、説明を省略する。
【0060】
電源装置36の電源基板36bには、電源スイッチ36aと電源プラグ36cが接続されている。電源プラグ36cと、この電源プラグ36cと電源基板36bを接続するコードは、キャビネット2aの背面部に設けられた貫通孔(不図示)から引き出される。そして、電源プラグ36cは、パチスロ1の外部に設けられた電源コンセントの差し込み口に差し込まれる。
【0061】
リール中継端子板38は、各リール3L,3C,3Rのリール本体の内側に配設されている。このリール中継端子板38は、各リール3L,3C,3Rのステッピングモータ(不図示)に電気的に接続されており、主制御基板31からステッピングモータに出力される信号を中継する。
【0062】
メダル補助庫スイッチ39は、メダル補助庫35に設けられている。このメダル補助庫スイッチ39は、メダル補助庫35がメダルで満杯になっているか否かを検出する。
【0063】
また、主制御基板31には、ドア中継基板53を介して、セレクタ51、ドア開閉監視スイッチ52、遊技動作表示基板47、BETスイッチ55、精算スイッチ56、スタートスイッチ57、ストップスイッチ基板58及び副中継基板43が接続されている。セレクタ51、ドア開閉監視スイッチ52及び遊技動作表示基板47については、上述したため、説明を省略する。
【0064】
BETスイッチ55は、BETボタン12が遊技者により押されたことを検出する。精算スイッチ56は、精算ボタン14が遊技者により押されたことを検出する。スタートスイッチ57は、スタートレバー16が遊技者により操作されたこと(開始操作)を検出する。
【0065】
ストップスイッチ基板58は、回転しているリールを停止させるための回路と、停止可能なリールをLEDなどにより表示するための回路を構成する基板である。このストップスイッチ基板58には、ストップスイッチが設けられている。このストップスイッチは、各ストップボタン17L,17C,17Rが遊技者により押されたこと(停止操作)を検出する。
【0066】
遊技動作表示基板47には、7セグ表示器6とLED59が接続されている。LED59は、例えば、遊技の開始を表示するマークや再遊技を行うマークなどを点灯させる。
【0067】
副制御基板41は、ドア中継基板53と副中継基板43を介して主制御基板31に接続されている。この副制御基板41には、副中継基板43を介して、LED基板45A,45B,45C、サウンドI/O基板46、24hドア開閉監視ユニット54が接続されている。これらLED基板45A,45B,45C、サウンドI/O基板46及び24hドア開閉監視ユニット54については、上述したため、説明を省略する。
【0068】
また、副制御基板41には、ロムカートリッジ基板61と、液晶中継基板62が接続されている。これらロムカートリッジ基板61及び液晶中継基板62は、副制御基板41と共に副制御基板ケース42に収容されている。
ロムカートリッジ基板61は、演出用の画像(映像)、音声、LED基板45A,45B,45C及び通信のデータを管理するための基板である。液晶中継基板62は、副制御基板41と液晶表示装置10との配線を中継する基板である。
【0069】
<主制御回路>
次に、主制御基板31により構成される主制御回路71について、
図7を参照して説明する。
図7は、パチスロ1の主制御回路71の構成例を示すブロック図である。
【0070】
主制御回路71は、主制御基板31上に設置されたマイクロコンピュータ72を主たる構成要素としている。マイクロコンピュータ72は、メインCPU73、メインROM74及びメインRAM75により構成される。
【0071】
メインROM74には、メインCPU73により実行される制御プログラム、データテーブル、副制御回路81に対して各種制御指令(コマンド)を送信するためのデータ等が記憶されている。メインRAM75には、制御プログラムの実行により決定された内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられる。
【0072】
メインCPU73には、クロックパルス発生回路76、分周器77、乱数発生器78及びサンプリング回路79が接続されている。クロックパルス発生回路76及び分周器77は、クロックパルスを発生する。メインCPU73は、発生されたクロックパルスに基づいて、制御プログラムを実行する。乱数発生器78は、予め定められた範囲の乱数(例えば、0〜65535)を発生する。サンプリング回路79は、発生された乱数の中から1つの値を抽出する。
【0073】
メインCPU73は、リールインデックスを検出してから各リール3L,3C,3Rのステッピングモータに対してパルスを出力した回数をカウントする。これにより、メインCPU73は、各リール3L,3C,3Rの回転角度(主に、リールが図柄何個分だけ回転したか)を管理する。
【0074】
ここで、各リール3L,3C,3Rの回転角度の管理について、具体的に説明する。ステッピングモータに対して出力されたパルスの数は、メインRAM75に設けられたパルスカウンタによって計数される。そして、図柄1つ分の回転に必要な所定回数(例えば16回)のパルスの出力がパルスカウンタで計数される毎に、メインRAM75に設けられた図柄カウンタが1ずつ加算される。図柄カウンタは、各リール3L,3C,3Rに応じて設けられている。図柄カウンタの値は、リール位置検出部(不図示)によってリールインデックスが検出されるとクリアされる。
【0075】
つまり、本実施の形態では、図柄カウンタを管理することにより、リールインデックスが検出されてから図柄何個分の回転が行われたのかを管理するようになっている。したがって、各リール3L,3C,3Rの各図柄の位置は、リールインデックスが検出される位置を基準として検出される。
【0076】
上述したように、本実施の形態では、滑り駒数の最大数を図柄4個分に定めている。したがって、左ストップボタン17Lが押されたときに左表示窓4Lの中段にある左リール3Lの図柄と、その4個先の図柄までの範囲内にある各図柄が、左表示窓4Lの中段に停止可能な図柄となる。
【0077】
<副制御回路>
次に、副制御基板41により構成される副制御回路81について、
図8を参照して説明する。
図8は、パチスロ1の副制御回路81の構成例を示すブロック図である。
【0078】
副制御回路81は、主制御回路71と電気的に接続されており、主制御回路71から送信されるコマンドに基づいて演出内容の決定や実行等の処理を行う。副制御回路81は、基本的に、サブCPU82、サブRAM83、レンダリングプロセッサ84、描画用RAM85、ドライバ86を含んで構成されている。
【0079】
サブCPU82は、主制御回路71から送信されたコマンドに応じて、ロムカートリッジ基板61に記憶されている制御プログラムに従い、映像、音、光の出力の制御を行う。ロムカートリッジ基板61は、基本的に、プログラム記憶領域とデータ記憶領域によって構成される。
【0080】
プログラム記憶領域には、サブCPU82が実行する制御プログラムが記憶されている。例えば、制御プログラムには、主制御回路71との通信を制御するための主基板通信タスクや、演出用乱数値を抽出し、演出内容(演出データ)の決定及び登録を行うための演出登録タスクが含まれる。また、決定した演出内容に基づいて液晶表示装置10(
図6参照)による映像の表示を制御する描画制御タスク、ランプ(LED)20による光の出力を制御するランプ制御タスク、スピーカ48L,48R,49L,49Rによる音の出力を制御する音声制御タスク等が含まれる。
【0081】
データ記憶領域は、各種データテーブルを記憶する記憶領域、各演出内容を構成する演出データを記憶する記憶領域、映像の作成に関するアニメーションデータを記憶する記憶領域が含まれている。また、BGMや効果音に関するサウンドデータを記憶する記憶領域、光の点消灯のパターンに関するランプデータを記憶する記憶領域等が含まれている。
【0082】
サブRAM83は、決定された演出内容や演出データを登録する格納領域や、主制御回路71から送信される内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられている。
【0083】
サブCPU82、レンダリングプロセッサ84、描画用RAM(フレームバッファを含む)85及びドライバ86は、演出内容により指定されたアニメーションデータに従って映像を作成し、作成した映像を液晶表示装置10に表示させる。
【0084】
また、サブCPU82は、演出内容により指定されたサウンドデータに従ってBGM等の音をスピーカ48L,48R,49L,49Rにより出力させる。また、サブCPU82は、演出内容により指定されたランプデータに従ってランプ(LED)20の点灯及び消灯を制御する。
【0085】
<副制御基板ケースの構成>
次に、副制御基板41を収容する副制御基板ケース42について、
図9及び
図10を参照して説明する。
図9は、副制御基板ケース42を示す斜視図である。
図10は、副制御基板ケースの分解斜視図である。
【0086】
図9に示すように、副制御基板ケース42は、略長方形の筐体状に形成されたケース本体91と、このケース本体91の外面全体を覆うように形成されたメッキ部92から構成されている。ケース本体91には、副制御基板41、ロムカートリッジ基板61及び液晶中継基板62が収容されている。
【0087】
図10に示すように、副制御基板41には、グラフィックモジュール63と、カートリッジ用コネクタ64と、中継基板接続コネクタ65が設けられている。また、副制御基板41には、液晶中継基板62が実装される。
【0088】
グラフィックモジュール63は、液晶表示装置10(
図6参照)に演出用の画像を出力するための組み込みモジュールである。カートリッジ用コネクタ64には、ロムカートリッジ基板61が接続され、中継基板接続コネクタ65には、副中継基板43(
図6参照)が接続される。また、副制御基板41には、液晶中継基板62が実装される。
【0089】
これにより、副制御基板41により構成される副制御回路81のサブCPU82には、ロムカートリッジ基板61、液晶中継基板62、グラフィックモジュール63、副中継基板43が接続される。
【0090】
ケース本体91は、下ケース部材94と、上ケース部材95を有している。
下ケース部材94は、略長方形の板状に形成されており、固定用ボス96と、貫通孔97を有している。
【0091】
副制御基板41は、ねじ(不図示)によって固定用ボス96に固定される。そのため、固定用ボス96には、ねじ(不図示)が螺合される雌ねじ部が形成されている。貫通孔97には、下ケース部材94をフロントドア2bに取り付けるためのねじ(不図示)が貫通する。つまり、ねじによって下ケース部材94をフロントドア2bに取り付けることにより、副制御基板ケース42は、フロントドア2bの裏面側に固定される。
【0092】
また、下ケース部材94の周縁には、係合縁部98が設けられている。この係合縁部98は、下ケース部材94の上ケース部材95に対向する面から略垂直に突出している。そして、係合縁部98には、上ケース部材95の後述する4つの側面板102〜104がそれぞれ係合される。
【0093】
上ケース部材95は、略長方形の上面板101と、この上面板101の4辺にそれぞれ連続する4つの側面板102,103,104,105を有している。
上面板101は、平面形状が略長方形に形成されている。そして、上面板101には、平面に交差する方向に段差が設けられている。そのため、上面板101は、第1上面101aと、第1上面101aよりも低い第2上面101bを有している。
【0094】
上面板101の第1上面101aは、側面板102,103側の2つの長辺の一部と、側面板104側の短辺を形成している。この第1上面101aには、複数の通気孔107aからなる第1通気口107と、複数の通気孔108aからなる第2通気口108が設けられている。
【0095】
第2上面101bは、側面板102,103側の2つの長辺の他部と、側面板105側の短辺を形成している。この第2上面101bには、ロムカートリッジ基板61を交換する際に用いるカートリッジ用開口部(不図示)が設けられている。このカートリッジ用開口部は、封止蓋111によって封止されている。そして、封止蓋111には、封印バンド112をカシメ固定するバンド固定部111aが設けられている。
【0096】
封印バンド112は、上面板101に設けられた通し孔に通されている。したがって、封印バンド112を上面板101から取り外さなければ、上面板101から封止蓋111を取り外すことができない。また、封印バンド112は、バンド固定部111aによって取り外す方向へ動かないように固定されている。
【0097】
封印バンド112を上面板101から取り外す際は、工具を用いて封印バンド112を切断する。これにより、上面板101から封止蓋111を取り外すことができる。このとき、封印バンド112が切断されているため、封止蓋111を開封した痕跡が残る。これにより、ロムカートリッジ基板61が交換されたり取り外されたりしたことを容易に認識することができる。その結果、ロムカートリッジ基板61に対する不正を抑制することができる。
【0098】
図9に示すように、側面板102には、複数の通気孔113aからなる第3通気口113が設けられている。複数の通気孔113aは、スリット状に形成されており、上面板101の長辺に沿って適当な間隔をあけて配置されている。
また、側面板103の側面板105側の端部には、複数の通気孔114aからなる第4通気口114が設けられている(
図10参照)。
【0099】
側面板104,105には、封印シール116A,116Bがそれぞれ貼り付けられている。封印シール116A(
図10参照)は、下ケース部材94に上ケース部材95を取り付けた後に、側面板104と下ケース部材の一方の短辺に跨って貼り付けられる。また、封印シール116Bは、下ケース部材94に上ケース部材95を取り付けた後に、側面板105と下ケース部材の他方の短辺に跨って貼り付けられる(
図9参照)。これら封印シール116A,116Bは、副制御基板ケース42が開封された痕跡を残すために用いられている。
【0100】
また、側面板105には、中継基板接続コネクタ65を露出させる切り欠き117が設けられている(
図9参照)。
【0101】
下ケース部材94と上ケース部材95により構成されるケース本体91の材質としては、軽量化と剛性を考慮すると、ポリカーボネートなどの合成樹脂を用いることが好ましい。なお、本発明に係るケース本体の材質としては、アルミニウムやステンレスなどの金属を適用することもできる。
【0102】
メッキ部92は、一般的なメッキ加工処理によって形成される。本実施の形態では、下地メッキに銅を用いて、その上にニッケルメッキとクロメート処理を施している。本実施の形態では、上述のメッキ加工処理を施してメッキ部92を形成したが、本発明に係るメッキ部としては、電磁波の遮断に良好なものであれば、各種のメッキ加工処理により形成することができる。
【0103】
このように構成された副制御基板ケース42は、副制御基板41を囲うように収容すると共に、外面に形成されたメッキ部92により電磁波(電気的ノイズ及び/又は磁気的ノイズ)を遮断する。そのため、副制御基板ケース42に収容された副制御基板41(副制御回路81)が電磁波の影響を受けにくい構造を実現することができる。
【0104】
また、副制御基板ケース42は、ケース本体91の外面全体にメッキ部92を形成するため、電波遮断シートを用いるよりもコストの削減を図ることができる。
【0105】
ケース本体91には、通気口107,108,113,114が設けられている。これにより、副制御基板ケース42内で暖められた空気を副制御基板ケース42の外部へ排出して、冷えた空気を副制御基板ケース42内に取り込むことができる。その結果、副制御基板41に実装される電子部品を空冷することできる。
【0106】
また、ケース本体91には、段差を設けることにより凹凸が形成されている。これにより、ケース本体91の外面の面積を大きくすることができ、ケース本体91の放熱効果を高めることができる。
【0107】
例えば、電波遮断シートをケース本体91の外面に貼り付ける場合は、通気口107,108,113,114や複数の凹凸に応じて電波遮断シートを加工しなければならないため、作業工数が増加する。その結果、電磁波を遮断する副制御基板ケースの製造が煩雑になり、製造コストが増大してしまう。
【0108】
これに対して、本実施の形態の副制御基板ケース42は、ケース本体91の外面にメッキ部92を形成する。したがって、電磁波を遮断する副制御基板ケース42を容易に製造することができ、製造コストを低く抑えることができる。
【0109】
また、本実施の形態の副制御基板ケース42は、下ケース部材94と上ケース部材95によってケース本体91を構成した。これにより、ケース本体91に副制御基板41を容易に収容することができる。さらに、下ケース部材94をフロントドア2bに固定してから、その下ケース部材94に副制御基板41を取り付けることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0110】
また、本実施の形態の副制御基板ケース42は、下ケース部材94と上ケース部材95に跨って貼り付けられた封印シール116A,116Bを備えている。これにより、副制御基板ケース42が開封された痕跡を残すことができ、副制御基板ケース42が不正に開封されることを抑制することができる。
【0111】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態に係る遊技機について、その作用効果も含めて説明したが、本発明はここで説明した実施の形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の実施の形態を含むことは言うまでもない。
【0112】
上述した一実施形態のパチスロ1では、ねじ(不図示)によって副制御基板41を下ケース部材94に固定した。また、ねじ(不図示)によって下ケース部材94をフロントドア2bに取り付けた。しかし、下ケース部材94に対する副制御基板41の固定と、フロントドア2bに対する下ケース部材94の取り付けは、ねじに限定されず、例えば、接着剤、フック、カシメ固定などその他の固定方法又は取付方法を採用することができる。
【0113】
また、上述した一実施形態のパチスロ1では、下ケース部材94と上ケース部材95(2つの部材)によってケース本体91を構成した。しかし、本発明に係るケース本体としては、3つ以上の部材から構成されるものであってもよい。
【0114】
また、上述した一実施形態のパチスロ1では、ケース本体91の外面全体にメッキ部92を形成したが、ケース本体91のカートリッジ用開口部を封止する封止蓋111の外面にもメッキ部を形成してもよい。これにより、より確実に電磁波を遮断することができる。