特許第6182798号(P6182798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6182798冷却装置、温調装置および温調除湿システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182798
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】冷却装置、温調装置および温調除湿システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/08 20060101AFI20170814BHJP
   F25B 29/00 20060101ALI20170814BHJP
   F24F 1/02 20110101ALI20170814BHJP
   F24F 13/30 20060101ALI20170814BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   F24F13/08 A
   F25B29/00 391A
   F24F1/02 451
   F24F1/02 401A
   F24F1/02 411D
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-189022(P2013-189022)
(22)【出願日】2013年9月12日
(65)【公開番号】特開2015-55416(P2015-55416A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝典
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−229954(JP,A)
【文献】 特開2008−008592(JP,A)
【文献】 実開昭52−096546(JP,U)
【文献】 実開昭55−105825(JP,U)
【文献】 国際公開第2012/001735(WO,A1)
【文献】 米国特許第5361511(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/08
F24F 1/02
F24F 13/20
F24F 13/30
F25B 29/00
F25B 39/02
F28D 1/047
B01D 53/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状または葛折り状に形成されて一端部から他端部に冷却用冷媒を案内する冷却用冷媒配管、および前記冷却用冷媒配管の外周面に接するように配設された冷却用フィンを有して厚板状の冷却用コアが形成されると共に、前記冷却用コアの一方の面側の空気が前記冷却用冷媒配管および前記冷却用フィンの間を通過して当該冷却用コアの他方の面側に移動させられるときに当該空気と当該冷却用冷媒配管内を案内されている前記冷却用冷媒とを当該冷却用冷媒配管および当該冷却用フィンを介して相互に熱交換させることで当該空気を冷却可能に構成された冷却器と、
前記冷却用コアの前記一方の面に配設された第1の風向規制板と、
前記冷却用コアの前記他方の面に配設された第2の風向規制板とを備え、
前記冷却器は、前記冷却用冷媒配管の前記一端部が当該冷却用冷媒配管の前記他端部よりも上方に位置させられて前記冷却用冷媒が当該冷却器の下方に向かって当該冷却用冷媒配管内を案内されるように配置され、
前記第1の風向規制板は、上下方向の第1の長さが前記第2の風向規制板の上下方向の第2の長さよりも短く形成されて前記冷却用コアの前記一方の面における上方部位を閉塞するように配設され、
前記第2の風向規制板は、前記冷却用コアの前記他方の面における下方部位を閉塞するように配設され、
前記冷却用コアの前記一方の面における下方部位から前記冷却用冷媒配管および前記冷却用フィンの間に進入させられた空気が当該冷却用コア内を上方に向かって移動して当該冷却用コアの前記他方の面における上方部位から排出されるように導風路が形成されている冷却装置。
【請求項2】
前記第2の風向規制板は、前記第2の長さが前記冷却用コアの上下方向の第3の長さの1/2以上となるように形成されている請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
前記第1の風向規制板および前記第2の風向規制板は、前記第1の長さと前記第2の長さとの和が前記第3の長さよりも長くなるように形成されて当該第1の風向規制板における下端部側部位と当該第2の風向規制板における上端部側部位とが前記冷却用コアの厚み方向で重なるように配設されている請求項2記載の冷却装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の冷却装置と、
螺旋状または葛折り状に形成されて一端部から他端部に加熱用冷媒を案内する加熱用冷媒配管、および前記加熱用冷媒配管の外周面に接するように配設された加熱用フィンを有して厚板状の加熱用コアが形成されると共に、前記加熱用コアの一方の面側の空気が前記加熱用冷媒配管および前記加熱用フィンの間を通過して当該加熱用コアの他方の面側に移動させられるときに当該空気と当該加熱用冷媒配管内を案内されている前記加熱用冷媒とを当該加熱用冷媒配管および当該加熱用フィンを介して相互に熱交換させることで当該空気を加熱可能に構成された加熱器を有する加熱装置とを備え、
前記冷却用コアの前記他方の面と、前記加熱用コアの前記一方の面とが前記第2の風向規制板を挟んで対向するように前記冷却器および前記加熱器が配設されて当該冷却器によって冷却した空気を当該加熱器によって加熱して供給対象に供給可能に構成されている温調装置。
【請求項5】
前記加熱装置は、前記加熱用コアの前記他方の面に配設された第3の風向規制板を備え、
前記加熱器は、前記加熱用冷媒配管の前記一端部が当該加熱用冷媒配管の前記他端部よりも下方に位置させられて前記加熱用冷媒が当該加熱器の上方に向かって当該加熱用冷媒配管内を案内されるように配置され、
前記第3の風向規制板は、前記加熱用コアの前記他方の面における下方部位と対向する位置に前記加熱器によって加熱した空気を排出する排出口が形成されている請求項4記載の温調装置。
【請求項6】
前記第2の風向規制板と前記加熱用コアの前記一方の面との間に空間が形成されている請求項4または5記載の温調装置。
【請求項7】
前記第2の風向規制板は、前記加熱用コアに向けて上端部側部位が折り曲げられている請求項6記載の温調装置。
【請求項8】
請求項4から7のいずれかに記載の温調装置と、
前記冷却装置および前記加熱装置の順で通過するように前記空気を送風する送風機とを備えて構成されている温調除湿システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却用コアの一方の面側の空気が冷却用コアを通過して他方の面側に移動させられるときに冷却用冷媒配管および冷却用フィンの間を通過させられている空気と冷却用冷媒配管内の冷却用冷媒とを相互に熱交換させて空気を冷却可能な冷却器を備えて構成された冷却装置、温調装置および温調除湿システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献には、除湿および温調した空気を供給対象に供給可能に構成された除湿加温装置3x(以下、従来の「除湿加温装置」に関連する各構成要素については、符号の末尾に「x」を付して説明する)が開示されている。この除湿加温装置3xは、図7に示すように、ヒートポンプ装置22xにおける蒸発器(冷却器)21xおよび凝縮器(加熱器)20xが並んで配設されている。この除湿加温装置3xは、風回路23xによって案内された空気を蒸発器21xにおいて冷却することで空気中に含まれている水分を結露させて除湿した後に、凝縮器20xによって目標温度まで加熱した状態で供給対象(具体的には、供給した空気によって乾燥させる衣類を収容可能な衣類収容部)に供給可能に構成されている。
【0003】
この場合、蒸発器21xは、複数枚のフィンFxおよびチューブTxを有して厚板状に形成された冷却用コアC21xを有するフィンチューブ型の熱交換器で構成されて空気の移動方向における上流側(風上側)に配置されている。また、凝縮器20xは、複数枚のフィンFxおよびチューブTxを有して厚板状に形成された加熱用コアC20xを有するフィンチューブ型の熱交換器で構成されて空気の移動方向における下流側(風下側)に配置されている。さらに、この除湿加温装置3xでは、蒸発器21xの上下方向の長さが凝縮器20xの上下方向の長さよりも長くなるように形成されると共に、蒸発器21xの下端部(重力方向端)が凝縮器20xの下端部(重力方向端)よりも下方に位置するように配置され、これにより、蒸発器21xの下方にドレン水を貯留可能なドレンパン170xが形成されている。
【0004】
この除湿加温装置3xによって除湿および温調した空気を供給対象に供給する際には、ヒートポンプ装置22x、および送風機(図示せず)を作動させる。この際には、送風機によって送風された空気が風回路23xを介して蒸発器21xに案内され、冷却用コアC21xの厚み方向に沿って蒸発器21xを通過させられた後に、加熱用コアC20xの厚み方向に沿って凝縮器20xを通過させられて供給対象に供給される。また、ヒートポンプ装置22xの作動により、圧縮機によって圧縮された冷媒が凝縮器20xに圧送されて凝縮させられる。この際には、圧縮機から圧送された高温の冷媒によって凝縮器20xのフィンFxやチューブTxが温度上昇する結果、後述するように蒸発器21xによって冷却された後に凝縮器20xを通過させられている空気が加熱されて目標温度まで温度上昇させられる。
【0005】
一方、凝縮器20xにおいて凝縮させられた冷媒は、膨張弁を通過させられた後に蒸発器21xに供給される。この際には、冷媒の断熱膨張によって蒸発器21xのフィンFxやチューブTxが温度低下する結果、蒸発器21xを通過させられている空気が冷却されて空気中の水分がドレン水(結露水)として除去される。この際に、空気から除去されたドレン水は、フィンFxを伝ってドレンパン170xに滴り落ち、図示しないドレン水排出口から除湿加温装置3xの外に排水される。また、蒸発器21xにおいて水分を除去された(除湿された)低温低湿の空気は、上記したように凝縮器20xを通過させられる際に目標温度まで温度上昇させられる。これにより、除湿および温調された空気が除湿加温装置3xから供給対象に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−73407号公報(第6−8頁、第1−6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来の除湿加温装置3xには、以下の解決すべき問題点が存在する。すなわち、従来の除湿加温装置3xでは、風回路23xによって案内された空気が、冷却用コアC21xの厚み方向に沿って蒸発器21xを通過させられる際に空気が冷却されて水分が除去され、その後に、加熱用コアC20xの厚み方向に沿って凝縮器20xを通過させられる際に加熱されて目標温度まで温度上昇させられて供給対象に供給される構成が採用されている。
【0008】
この場合、上記の特許文献中には具体的な記載は存在しないが、この種の装置では、膨張弁を介して蒸発器21xの冷却用コアC21xに圧送された冷媒が、例えば上側端部TaxからチューブTx内に供給されたときには、下側端部Tbxに向かって矢印Dxの向きでチューブTx内を移動する冷媒が、冷却用コアC21xを通過させられている空気との熱交換によって徐々に温度上昇するため、冷却用コアC21xの上方側部位よりも下方側部位の方が高温となる。
【0009】
したがって、上側端部TaxからチューブTx内に冷媒を供給する構成が採用されているときには、蒸発器21xに案内される空気の温度が高いときや、蒸発器21xに案内される空気の量が多いとき、すなわち、蒸発器21xにかかる負担が大きいときに、冷却用コアC21xの下方側部位において空気を好適に冷却するのが困難となることがある。かかる状態では、図7に矢印A1xで示すように蒸発器21x(冷却用コアC21x)の上方側部位を通過させられる空気については、十分に冷却することができるものの、矢印A2xで示すように蒸発器21x(冷却用コアC21x)の下方側部位を通過させられる空気については、十分な冷却が困難となる。
【0010】
一方、膨張弁を介して蒸発器21xの冷却用コアC21xに圧送された冷媒が、例えば下側端部TbxからチューブTx内に供給されたときには、上側端部Taxに向かって矢印Uxの向きでチューブTx内を移動する冷媒が冷却用コアC21xを通過させられている空気との熱交換によって徐々に温度上昇するため、冷却用コアC21xの下方側部位よりも上方側部位の方が高温となる。
【0011】
したがって、下側端部TbxからチューブTx内に冷媒を供給する構成が採用されているときには、蒸発器21xにかかる負担が大きいときに、冷却用コアC21xの上方側部位において空気を好適に冷却するのが困難となることがある。かかる状態では、矢印A2xで示すように蒸発器21x(冷却用コアC21x)の下方側部位を通過させられる空気については、十分に冷却することができるものの、矢印A1xで示すように蒸発器21x(冷却用コアC21x)の上方側部位を通過させられる空気については、十分な冷却が困難となる。
【0012】
このように、従来の除湿加温装置3xには、蒸発器(冷却器)21xにかかる負担が大きいときに、冷却用コアC21xの下方側部位(上側端部TaxからチューブTx内に冷媒が供給される構成が採用されているとき)、または、冷却用コアC21xの上方側部位(下側端部TbxからチューブTx内に冷媒が供給される構成が採用されているとき)において空気を好適に冷却するのが困難となることに起因して、目標とする温度範囲よりも高温の空気が蒸発器21xから凝縮器20xに向けて排出されることがあるという問題点が存在する。
【0013】
本発明は、かかる解決すべき問題点に鑑みてなされたものであり、冷却器にかかる負担が大きいときであっても処理対象の空気を好適に冷却し得る冷却装置、温調装置および温調除湿システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の冷却装置は、螺旋状または葛折り状に形成されて一端部から他端部に冷却用冷媒を案内する冷却用冷媒配管、および前記冷却用冷媒配管の外周面に接するように配設された冷却用フィンを有して厚板状の冷却用コアが形成されると共に、前記冷却用コアの一方の面側の空気が前記冷却用冷媒配管および前記冷却用フィンの間を通過して当該冷却用コアの他方の面側に移動させられるときに当該空気と当該冷却用冷媒配管内を案内されている前記冷却用冷媒とを当該冷却用冷媒配管および当該冷却用フィンを介して相互に熱交換させることで当該空気を冷却可能に構成された冷却器と、前記冷却用コアの前記一方の面に配設された第1の風向規制板と、前記冷却用コアの前記他方の面に配設された第2の風向規制板とを備え、前記冷却器は、前記冷却用冷媒配管の前記一端部が当該冷却用冷媒配管の前記他端部よりも上方に位置させられて前記冷却用冷媒が当該冷却器の下方に向かって当該冷却用冷媒配管内を案内されるように配置され、前記第1の風向規制板は、上下方向の第1の長さが前記第2の風向規制板の上下方向の第2の長さよりも短く形成されて前記冷却用コアの前記一方の面における上方部位を閉塞するように配設され、前記第2の風向規制板は、前記冷却用コアの前記他方の面における下方部位を閉塞するように配設され、前記冷却用コアの前記一方の面における下方部位から前記冷却用冷媒配管および前記冷却用フィンの間に進入させられた空気が当該冷却用コア内を上方に向かって移動して当該冷却用コアの前記他方の面における上方部位から排出されるように導風路が形成されている。
【0015】
請求項2記載の冷却装置は、請求項1記載の冷却装置において、前記第2の風向規制板は、前記第2の長さが前記冷却用コアの上下方向の第3の長さの1/2以上となるように形成されている。
【0016】
請求項3記載の冷却装置は、請求項2記載の冷却装置において、前記第1の風向規制板および前記第2の風向規制板は、前記第1の長さと前記第2の長さとの和が前記第3の長さよりも長くなるように形成されて当該第1の風向規制板における下端部側部位と当該第2の風向規制板における上端部側部位とが前記冷却用コアの厚み方向で重なるように配設されている。
【0017】
請求項4記載の温調装置は、請求項1から3のいずれかに記載の冷却装置と、螺旋状または葛折り状に形成されて一端部から他端部に加熱用冷媒を案内する加熱用冷媒配管、および前記加熱用冷媒配管の外周面に接するように配設された加熱用フィンを有して厚板状の加熱用コアが形成されると共に、前記加熱用コアの一方の面側の空気が前記加熱用冷媒配管および前記加熱用フィンの間を通過して当該加熱用コアの他方の面側に移動させられるときに当該空気と当該加熱用冷媒配管内を案内されている前記加熱用冷媒とを当該加熱用冷媒配管および当該加熱用フィンを介して相互に熱交換させることで当該空気を加熱可能に構成された加熱器を有する加熱装置とを備え、前記冷却用コアの前記他方の面と、前記加熱用コアの前記一方の面とが前記第2の風向規制板を挟んで対向するように前記冷却器および前記加熱器が配設されて当該冷却器によって冷却した空気を当該加熱器によって加熱して供給対象に供給可能に構成されている。
【0018】
請求項5記載の温調装置は、請求項4記載の温調装置において、前記加熱装置は、前記加熱用コアの前記他方の面に配設された第3の風向規制板を備え、前記加熱器は、前記加熱用冷媒配管の前記一端部が当該加熱用冷媒配管の前記他端部よりも下方に位置させられて前記加熱用冷媒が当該加熱器の上方に向かって当該加熱用冷媒配管内を案内されるように配置され、前記第3の風向規制板は、前記加熱用コアの前記他方の面における下方部位と対向する位置に前記加熱器によって加熱した空気を排出する排出口が形成されている。
【0019】
請求項6記載の温調装置は、請求項4または5記載の温調装置において、前記第2の風向規制板と前記加熱用コアの前記一方の面との間に空間が形成されている。
【0020】
請求項7記載の温調装置は、請求項6記載の温調装置において、前記第2の風向規制板は、前記加熱用コアに向けて上端部側部位が折り曲げられている。
【0021】
請求項8記載の温調除湿システムは、請求項4から7のいずれかに記載の温調装置と、前記冷却装置および前記加熱装置の順で通過するように前記空気を送風する送風機とを備えて構成されている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の冷却装置では、冷却用冷媒配管の一端部が冷却用冷媒配管の他端部よりも上方に位置させられて冷却用冷媒が冷却器の下方に向かって冷却用冷媒配管内を案内されるように冷却器が配置され、かつ上下方向の第1の長さが第2の風向規制板の上下方向の第2の長さよりも短く形成された第1の風向規制板が冷却用コアの一方の面における上方部位を閉塞するように配設されると共に、第2の風向規制板が冷却用コアの他方の面における下方部位を閉塞するように配設され、冷却用コアの一方の面における下方部位から冷却用冷媒配管および冷却用フィンの間に進入させられた空気が冷却用コア内を上方に向かって移動して冷却用コアの他方の面における上方部位から排出されるように導風路が形成されている。
【0023】
したがって、請求項1記載の冷却装置によれば、冷却器にかかる負担が大きく、冷却用冷媒配管における他端部の近傍(冷却用コアの下方部位)において空気を好適に冷却するのが困難な状態となったとしても、第1の風向規制板および第2の風向規制板によって冷却用コアの下方部位から上方部位に向かって空気が案内されるため、冷却用コアの上方部位において空気を好適に冷却することができる。また、冷却用コアの他方の面における下端部側部位に第2の風向規制板を設けたことで、冷却用コアによる冷却によってドレン水(結露水)が生じたときに、このドレン水が冷却用コアの他方の面側に排出される事態を好適に回避することができる。
【0024】
また、請求項2記載の冷却装置によれば、第2の風向規制板の第2の長さが冷却用コアの上下方向の第3の長さの1/2以上となるように形成したことにより、冷却用コアの一方の面から冷却用冷媒配管および冷却用フィンの間に進入させられた空気を冷却用コアの上方に向かって確実に案内することができる。
【0025】
さらに、請求項3記載の冷却装置によれば、第1の長さと第2の長さとの和が第3の長さよりも長くなるように第1の風向規制板および第2の風向規制板を形成すると共に、第1の風向規制板における下端部側部位と第2の風向規制板における上端部側部位とが冷却用コアの厚み方向で重なるように第1の風向規制板および第2の風向規制板を配設したことにより、冷却用コアの一方の面から冷却用冷媒配管および冷却用フィンの間に進入させられた空気が冷却用コアの厚み方向で冷却用コアを通過して他方の面に排出される事態を招くことなく、冷却用冷媒配管および冷却用フィンの間を冷却用コアの上方に向かって確実に移動させて他方の面側に排出させることができる。
【0026】
また、請求項4記載の温調装置では、冷却装置の冷却器における冷却用コアの他方の面と、加熱装置の加熱器における加熱用コアの一方の面とを第2の風向規制板を挟んで対向するように冷却器および加熱器が配設されている。また、請求項8記載の温調除湿システムでは、上記のいずれかの温調装置と、冷却装置および加熱装置の順で通過するように空気を送風する送風機とを備えている。したがって、請求項4記載の温調装置、および請求項8記載の温調除湿システムによれば、冷却装置によって冷却除湿した空気を目的に応じて加熱装置によって加熱することで温度調整した状態で供給対象体に供給することができる。
【0027】
請求項5記載の温調装置によれば、加熱用冷媒配管の一端部を加熱用冷媒配管の他端部よりも下方に位置させて加熱用冷媒が加熱器の上方に向かって加熱用冷媒配管内を案内されるように加熱器を配置すると共に、第3の風向規制板において加熱用コアの他方の面における下方部位と対向する位置に加熱器によって加熱した空気を排出する排出口を形成したことにより、加熱器(加熱用コア)の上端部から下端部までの全域において、加熱用冷媒配管内の冷媒と、加熱用冷媒配管および各加熱用フィンの周囲の空気との間で好適に熱交換させ、処理対象の空気を確実に加熱することができる。
【0028】
請求項6記載の温調装置によれば、第2の風向規制板と加熱用コアの一方の面との間に空間を形成したことにより、第2の風向規制板の上方から空間に排出された空気が空間の上方部位から下方部位の全域に拡がった後に加熱器(加熱用コア)の加熱用冷媒配管および各加熱用フィンの間に進入させられるため、加熱用コアの上方部位から下方部位までの全域において加熱用冷媒配管内の冷媒と加熱用冷媒配管および各加熱用フィンの周囲の空気との間で好適に熱交換させ、処理対象の空気を一層確実に加熱することができる。
【0029】
請求項7記載の温調装置によれば、第2の風向規制板における上端部側部位を加熱用コアに向けて折り曲げたことにより、冷却器(冷却用コア)による冷却を完了した空気を空間内にスムーズに排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施の形態に係る温調除湿システム1の構成を示す構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る温調除湿システム1における除湿装置3aの構成を示す断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る温調除湿システム1における熱交換装置3bの構成を示す断面図である。
図4】本発明の他の実施の形態に係る温調除湿システム1Aの構成を示す構成図である。
図5】本発明の他の実施の形態に係る除湿装置3dの構成を示す断面図である。
図6】本発明の他の実施の形態に係る冷却装置3eの構成を示す断面図である。
図7】従来の除湿加温装置3xの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る冷却装置、温調装置および温調除湿システムの実施の形態について説明する。
【0032】
図1に示す温調除湿システム1は、「温調除湿システム」の一例であって、ヒートポンプ2、除湿装置3a、送風機4a,4bおよびコントローラ5を備え、目標温度範囲内の温度で、かつ目標湿度範囲内の湿度となるように温調除湿した空気を図示しない供給対象に供給することができるように構成されている。
【0033】
ヒートポンプ2は、圧縮機21、調整弁22a,22b、凝縮器23a,23b、膨張弁24a,24bおよび蒸発器25a,25bを備えて構成されている。圧縮機21は、コントローラ5の制御に従って冷媒を圧縮して吐出する。調整弁22a,22bは、一例として流量可変型の電子弁で構成され、圧縮機21によって圧縮された冷媒の凝縮器23a,23bに対する流量をコントローラ5の制御に従って調整する。凝縮器23a,23bは、圧縮機21によって圧縮された冷媒と周囲の空気との間で熱交換させることで冷媒を凝縮させる。
【0034】
この場合、凝縮器23aは、図3に示すように、螺旋状に形成されて下側端部Tb(「一端部」の一例)から上側端部Ta(「他端部」の一例)に冷媒を案内するチューブT(「加熱用冷媒配管」の一例)と、チューブTの外周面に接するように配設されたフィンF(「加熱用フィン」の一例)とを有して厚板状の加熱用コアC23aが形成されている。また、凝縮器23bは、「加熱器」の一例であって、図2に示すように、上記の凝縮器23aと同様にして、螺旋状に形成されて下側端部Tbから上側端部Taに冷媒を案内するチューブTと、チューブTの外周面に接するように配設されたフィンFとを有して厚板状の加熱用コアC23bが形成されている。
【0035】
膨張弁24a,24bは、一例として、キャピラリチューブで構成されると共に、凝縮器23a,23bにおいて凝縮された冷媒を蒸発器25a,25b内に向けてそれぞれ吐出する。なお、上記の膨張弁24a,24bに代えて電子膨張弁で構成された「膨張弁」を採用することもできる。蒸発器25a,25bは、膨張弁24a,24bから吐出された冷媒と周囲の空気との間で熱交換させることで、周囲の空気を冷却する。
【0036】
この場合、蒸発器25aは、「冷却器」の一例であって、図2に示すように、螺旋状に形成されて上側端部Ta(「一端部」の一例)から下側端部Tb(「他端部」の一例)に冷媒を案内するチューブT(「冷却用冷媒配管」の一例)と、チューブTの外周面に接するように配設されたフィンF(「冷却用フィン」の一例)とを有して厚板状の冷却用コアC25aが形成されている。また、蒸発器25bは、「冷却器」の他の一例であって、図3に示すように、上記の蒸発器25aと同様にして、螺旋状に形成されて上側端部Taから下側端部Tbに冷媒を案内するチューブTと、チューブTの外周面に接するように配設されたフィンFとを有して厚板状の冷却用コアC25bが形成されている。
【0037】
なお、後述するように、本例の温調除湿システム1では、ヒートポンプ2の各構成要素のうちの蒸発器25aがケーシング10(図2参照)などと相俟って「冷却装置」を構成すると共に、この「冷却装置」と凝縮器23bとが相俟って「温調装置」を構成する。この場合、本例のヒートポンプ2では、圧縮機21、調整弁22a、凝縮器23aおよび膨張弁24aが、「冷却器」としての蒸発器25aに「冷却用冷媒」を供給するための冷熱源を構成すると共に、圧縮機21、調整弁22b、膨張弁24bおよび蒸発器25bが、「加熱器」としての凝縮器23bに「加熱用冷媒」を供給するための温熱源を構成する。
【0038】
また、本例の温調除湿システム1では、ヒートポンプ2の各構成要素のうちの蒸発器25bがケーシング30(図3参照)などと相俟って「供給対象」の一例である凝縮器23aに冷気を供給するための「冷却装置」を構成する。この場合、本例のヒートポンプ2では、圧縮機21、調整弁22b、凝縮器23bおよび膨張弁24bが、「冷却器」としての蒸発器25bに「冷却用冷媒」を供給するための冷熱源を構成する。なお、以下の説明においては、上記の凝縮器23a、蒸発器25bおよびケーシング30等からなる要素を熱交換装置3bという。この熱交換装置3bは、除湿装置3aにおける「冷却装置」を構成する上記の蒸発器25aに「冷却用冷媒」を供給するための凝縮器23aにおいて冷媒を好適に凝縮させる(凝縮効率を向上させる)ために凝縮器23aの周囲に蒸発器25bによって冷却した低温の空気を供給するための装置であって、図3に示すように、蒸発器25bおよび凝縮器23aがケーシング30内に収容されて構成されている。
【0039】
この場合、この熱交換装置3bでは、膨張弁24bを介して蒸発器25bに供給される冷媒がチューブTの上側端部Taから下側端部Tbに向かって(蒸発器25bの下方に向かって)矢印Dbの向きでチューブT内を案内されるように蒸発器25bがケーシング30内に立設されている(「冷却用冷媒」が導入される「冷却用冷媒配管の一端部」が「冷却用冷媒配管の他端部」よりも上方に位置するような配置の一例)。また、この熱交換装置3bでは、調整弁22aを介して凝縮器23aに供給される冷媒がチューブTの下側端部Tbから上側端部Taに向かって(凝縮器23aの上方に向かって)矢印Ubの向きでチューブT内を案内されるように凝縮器23aがケーシング30内に立設されている。
【0040】
また、ケーシング30は、底板31、天板32、側板33、邪魔板34、背板35および仕切板36を備えて構成されている。なお、この熱交換装置3bでは、邪魔板34が、「第1の風向規制板」に相当して、蒸発器25bにおける冷却用コアC25bの一方の面(図3における右方の面)に対向配置されている。また、この熱交換装置3bでは、仕切板36が、「第2の風向規制板」に相当して、冷却用コアC25bの他方の面(図3における左方の面)に対向配置されている。この場合、仕切板36は、その上端部側部位が加熱用コアC23aに向けて折り曲げられている。
【0041】
また、この熱交換装置3bでは、邪魔板34の上下方向の長さL1b(「第1の長さ」の一例)が、仕切板36の上下方向の長さL2b(「第2の長さ」の一例)よりも短く形成されると共に、冷却用コアC25bの上記の一方の面における上方部位を閉塞するように邪魔板34が配設され、この邪魔板34の下方(邪魔板34の下端部と底板31との間)に開口部34aが形成されている。さらに、この熱交換装置3bでは、冷却用コアC25bの上記の他方の面における下方部位を閉塞するように仕切板36が配設され、この仕切板36の上方(仕切板36の上端部と天板32との間)に通気口36aが形成されている。
【0042】
また、この熱交換装置3bでは、仕切板36の長さL2bが冷却用コアC25bの上下方向の長さL3b(「第3の長さ」の一例)の1/2以上となるように形成されると共に、邪魔板34の長さL1bと仕切板36の長さL2bとの和が冷却用コアC25bの長さL3bよりも長くなるように形成されている。さらに、この熱交換装置3bでは、邪魔板34における下端部側部位と仕切板36における上端部側部位とが冷却用コアC25bの厚み方向(同図における左右方向)で長さL4bだけ重なるように邪魔板34および仕切板36が配設されている。
【0043】
これにより、この熱交換装置3bでは、冷却用コアC25bの一方の面における下方部位(開口部34a)から冷却用コアC25bのチューブTおよび各フィンFの間に進入させられた空気が冷却用コアC25b内を上方に向かって矢印Abで示すように移動して冷却用コアC25bの他方の面における上方部位(通気口36a)から排出されるようにケーシング30内に導風路が形成されている。この場合、この熱交換装置3bでは、前述したように、冷却用コアC25bのチューブTに対して上側端部Taから冷媒が導入されて冷却用コアC25bの下方に向かってチューブT内を移動させられる。したがって、この熱交換装置3bでは、上方から下方に向かう冷媒の流れと、下方から上方に向かう空気の流れとが冷却用コアC25b内において対向する(対向流が形成される)こととなる。
【0044】
また、この熱交換装置3bでは、冷却用コアC25bの上記の他方の面に配設された仕切板36と、加熱用コアC23aの一方の面(同図における右方の面)との間に空間Sbが形成されると共に、加熱用コアC23aの他方の面(同図における左方の面)に対向配置されている背板35に排出口35aが形成され、この排出口35aに送風機4bが取り付けられている。これにより、この熱交換装置3bでは、通気口36aから空間Sbに排出された空気が加熱用コアC23aを矢印Bbで示すように通過させられて排出口35aからケーシング30の外部に排出されるようにケーシング30内に導風路が形成されている。
【0045】
一方、前述したように、除湿装置3aは、「温調装置」の一例であって、供給対象(一例として、半導体製造装置等の製造装置や医療機械等)に目標とする湿度範囲内で、かつ目標とする温度範囲内に湿度温調した空気を供給可能に構成されている。この除湿装置3aは、図2に示すように、蒸発器25aおよび凝縮器23bがケーシング10内に収容されて構成されている。この場合、この除湿装置3aでは、蒸発器25aおよびケーシング10が相俟って「冷却装置」を構成すると共に、凝縮器23bおよびケーシング10が相俟って「加熱装置」を構成する。
【0046】
また、この除湿装置3aでは、膨張弁24aを介して蒸発器25aに供給される冷媒がチューブTの上側端部Taから下側端部Tbに向かって(蒸発器25aの下方に向かって)矢印Daの向きでチューブT内を案内されるように蒸発器25aがケーシング10内に立設されている(「冷却用冷媒」が導入される「冷却用冷媒配管の一端部」が「冷却用冷媒配管の他端部」よりも上方に位置するような配置の一例)。さらに、この除湿装置3aでは、調整弁22bを介して凝縮器23bに供給される冷媒がチューブTの下側端部Tbから上側端部Taに向かって(凝縮器23bの上方に向かって)矢印Uaの向きでチューブT内を案内されるように凝縮器23bがケーシング10内に立設されている(「冷却用冷媒」が導入される「冷却用冷媒配管の一端部」が「冷却用冷媒配管の他端部」よりも下方に位置するような配置の一例)。
【0047】
また、ケーシング10は、底板11、天板12、側板13、邪魔板14、背板15および仕切板16を備えて構成されている。なお、この除湿装置3aでは、邪魔板14が、「第1の風向規制板」に相当して、蒸発器25aにおける冷却用コアC25aの一方の面(図2における左方の面)に対向配置されている。また、この除湿装置3aでは、仕切板16が、「第2の風向規制板」に相当して、冷却用コアC25aの他方の面(図2における右方の面)に対向配置されている。この場合、仕切板16は、その上端部側部位が加熱用コアC23bに向けて折り曲げられている。さらに、この除湿装置3aでは、背板15が、「第3の風向規制板」に相当して、加熱用コアC23bの他方の面(図2における右方の面)に対向配置されている。
【0048】
この場合、この除湿装置3aでは、邪魔板14の上下方向の長さL1a(「第1の長さ」の一例)が、仕切板16の上下方向の長さL2a(「第2の長さ」の一例)よりも短く形成されると共に、冷却用コアC25aの上記の一方の面における上方部位を閉塞するように邪魔板14が配設され、この邪魔板14の下方(邪魔板14の下端部と底板11との間)に開口部14aが形成されている。また、この除湿装置3aでは、冷却用コアC25aの上記の他方の面における下方部位を閉塞するように仕切板16が配設され、この仕切板16の上方(仕切板16の上端部と天板12との間)に通気口16aが形成されている。
【0049】
また、この除湿装置3aでは、仕切板16の長さL2aが冷却用コアC25aの上下方向の長さL3a(「第3の長さ」の一例)の1/2以上となるように形成されると共に、邪魔板14の長さL1aと仕切板16の長さL2aとの和が冷却用コアC25aの長さL3aよりも長くなるように形成されている。さらに、この除湿装置3aでは、邪魔板14における下端部側部位と仕切板16における上端部側部位とが冷却用コアC25aの厚み方向(同図における左右方向)で長さL4aだけ重なるように邪魔板14および仕切板16が配設されている。
【0050】
これにより、この除湿装置3aでは、冷却用コアC25aの一方の面における下方部位(開口部14a)から冷却用コアC25aのチューブTおよび各フィンFの間に進入させられた空気が冷却用コアC25a内を上方に向かって矢印Aaで示すように移動して冷却用コアC25aの他方の面における上方部位(通気口16a)から排出されるようにケーシング10内に導風路が形成されている。この場合、この除湿装置3aでは、前述したように、冷却用コアC25aのチューブTに対して上側端部Taから冷媒が導入されて冷却用コアC25aの下方に向かってチューブT内を移動させられる。したがって、この除湿装置3aでは、上方から下方に向かう冷媒の流れと、下方から上方に向かう空気の流れとが冷却用コアC25a内において対向する(対向流が形成される)こととなる。
【0051】
また、この除湿装置3aでは、冷却用コアC25aの上記の他方の面と、加熱用コアC23bの一方の面(同図における左方の面)とが仕切板16を挟んで対向するように蒸発器25aおよび凝縮器23bが配設されると共に、仕切板16と、加熱用コアC23bの一方の面との間に空間Saが形成されている。さらに、この除湿装置3aでは、背板15において加熱用コアC23bの他方の面における下方部位と対向する位置に排出口15aが形成され、この排出口15aに送風機4aが取り付けられている。これにより、この除湿装置3aでは、通気口16aから空間Saに排出された空気が加熱用コアC23bを矢印Baで示すように通過させられて排出口15aからケーシング10の外部に排出されるようにケーシング10内に導風路が形成されている。
【0052】
送風機4aは、「送風機」の一例であって、上記したように、除湿装置3aにおけるケーシング10の排出口15aに取り付けられると共に、コントローラ5の制御に従ってケーシング10内の空気を吸引することにより、ケーシング10の外部の空気(または、供給対象から回収した空気)を開口部14aからケーシング10内に吸引し、蒸発器25a(冷却用コアC25a)を通過させた後に、空間Saおよび凝縮器23b(加熱用コアC23b)をこの順で通過させて供給対象に供給する。
【0053】
また、送風機4bは、上記したように、熱交換装置3bにおけるケーシング30の排出口35aに取り付けられると共に、コントローラ5の制御に従ってケーシング30内の空気を吸引することにより、ケーシング30の外部の空気を開口部34aからケーシング30内に吸引し、蒸発器25b(冷却用コアC25b)を通過させた後に、空間Sbおよび凝縮器23a(加熱用コアC23a)をこの順で通過させて大気に解放する。
【0054】
コントローラ5は、温調除湿システム1を総括的に制御する。具体的には、コントローラ5は、送風機4aを制御して除湿装置3a(ケーシング10)内に空気を吸引させると共に、送風機4bを制御して熱交換装置3b(ケーシング30)内に空気を吸引させる。また、コントローラ5は、圧縮機21を制御して冷媒を圧縮(圧送)させると共に、調整弁22aを制御して圧縮機21から凝縮器23aへの冷媒の流量を調整させ、かつ調整弁22bを制御して圧縮機21から凝縮器23bへの冷媒の流量を調整させる。
【0055】
次に、温調除湿システム1によって除湿温調した空気を供給対象に供給する際の各部の動作について、添付図面を参照して説明する。
【0056】
この温調除湿システム1では、図示しない操作部のスタートスイッチが操作されたときに、コントローラ5がヒートポンプ2の動作を開始させる。この際には、圧縮機21によって圧縮された冷媒の一部が調整弁22aを通過して熱交換装置3bの凝縮器23aに供給される。また、熱交換装置3bにおいては、圧縮機21から圧送された高温高圧の冷媒が凝縮器23aにおける加熱用コアC23aのチューブTに対して下側端部Tbから導入され、この冷媒が、図3に示す矢印Ubの向きで上側端部Ta(凝縮器23aの上方)に向かってチューブT内を移動させられる間に、チューブTおよび各フィンFを介して周囲の空気と熱交換させられて冷却される。これにより、チューブT内に供給された冷媒が凝縮させられる。
【0057】
また、凝縮器23aにおいて凝縮された冷媒は、膨張弁24aを通過させられた後に除湿装置3aの蒸発器25aに供給される。この際に、除湿装置3aにおいては、膨張弁24aを通過させられた冷媒が蒸発器25aにおける冷却用コアC25aのチューブTに対して上側端部Taから導入され、この冷媒が、図2に示す矢印Daの向きで下側端部Tb(蒸発器25aの下方)に向かってチューブT内を移動させられる間に、チューブTおよび各フィンFを介して周囲の空気と熱交換させられて温度上昇させられると共に、チューブTおよび各フィンFの周囲の空気が冷却される。さらに、蒸発器25a内において周囲の空気と熱交換させられて温度上昇した冷媒は、圧縮機21に吸引されて再び圧縮される。
【0058】
一方、圧縮機21によって圧縮された冷媒の他の一部は、調整弁22bを通過して除湿装置3aの凝縮器23bに供給される。また、除湿装置3aにおいては、圧縮機21から圧送された高温高圧の冷媒が凝縮器23bにおける加熱用コアC23bのチューブTに対して下側端部Tbから導入され、この冷媒が、図2に示す矢印Uaの向きで上側端部Ta(凝縮器23bの上方)に向かってチューブT内を移動させられる間に、チューブTおよび各フィンFを介して周囲の空気と熱交換させられて冷却される。これにより、チューブT内において冷媒が凝縮させられると共に、チューブTおよび各フィンFの周囲の空気が加熱される。
【0059】
また、凝縮器23bにおいて凝縮された冷媒は、膨張弁24bを通過させられた後に熱交換装置3bの蒸発器25bに供給される。この際に、熱交換装置3bにおいては、膨張弁24bを通過させられた冷媒が蒸発器25bにおける冷却用コアC25bのチューブTに対して上側端部Taから導入され、この冷媒が、図3に示す矢印Dbの向きで下側端部Tb(蒸発器25bの下方)に向かってチューブT内を移動させられる間に、チューブTおよび各フィンFを介して周囲の空気と熱交換させられて温度上昇させられると共に、チューブTおよび各フィンFの周囲の空気が冷却される。さらに、蒸発器25b内において周囲の空気と熱交換させられて温度上昇した冷媒は、圧縮機21に吸引されて再び圧縮される。
【0060】
また、コントローラ5は、ヒートポンプ2の動作開始と同時に(または、ヒートポンプ2の動作開始から規定時間が経過した際に)送風機4a,4bの動作を開始させる。この際に、除湿装置3aにおいては、ケーシング10の排出口15aに取り付けられている送風機4aがケーシング10内の空気を吸引することにより、ケーシング10の外部の空気(または、供給対象から回収した空気)が開口部14aからケーシング10内に導入される。また、ケーシング10内に吸引された空気は、上記したように、蒸発器25aにおける冷却用コアC25aのチューブTおよび各フィンFの間を通過させられる際にチューブT内の冷媒と熱交換させられて冷却されて、空間Saに排出される。
【0061】
この際に、開口部14aから導入された空気がある程度の水分を含んでいるときには、この空気が蒸発器25aよって冷却されることで空気中に含まれている水分が結露水(ドレン水)として空気から除去される(除湿される)。これにより、通気口16aから空間Saに排出される空気(蒸発器25aによる冷却が完了した空気)が低温低湿状態となる。また、蒸発器25aにおいて生じた結露水(ドレン水)は、各フィンFを伝って蒸発器25aの下端部に流れ落ち、底板11に形成されている図示しないドレン排出口からケーシング10の外部に排出される。
【0062】
さらに、空間Saに排出された低温低湿の空気は、上記したように、凝縮器23bにおける加熱用コアC23bのチューブTおよび各フィンFの間を通過させられる際にチューブT内の冷媒と熱交換させられて目標温度範囲内の温度まで加熱された後に排出口15aからケーシング10の外部に排出される。これにより、供給対象に供給すべき空気の除湿装置3aによる除湿および温調が完了し、ケーシング10から排出された空気が送風機4aによって供給対象に向けて送風される。
【0063】
一方、熱交換装置3bにおいては、ケーシング30の排出口35aに取り付けられている送風機4bがケーシング30内の空気を吸引することにより、ケーシング30の外部の空気が開口部34aからケーシング30内に導入される。また、ケーシング30内に吸引された空気は、上記したように、蒸発器25bにおける冷却用コアC25bのチューブTおよび各フィンFの間を通過させられる際にチューブT内の冷媒と熱交換させられて冷却されて空間Sbに排出される。なお、開口部34aから導入された空気がある程度の水分を含んでいるときには、この空気が蒸発器25bよって冷却されることで空気中に含まれている水分が結露水(ドレン水)として空気から除去される(除湿される)が、この蒸発器25bは、除湿を目的として空気の冷却する熱交換器ではないため、蒸発器25bにおける除湿に関する説明を省略する。
【0064】
また、空間Sbに排出された低温の空気は、上記したように、凝縮器23aにおける加熱用コアC23aのチューブTおよび各フィンFの間を通過させられる際にチューブT内の冷媒と熱交換して温度上昇させられて、排出口35aからケーシング30の外部に排出される。また、凝縮器23aにおける上記の熱交換により、加熱用コアC23aにおけるチューブT内の冷媒(圧縮機21から圧送された高温高圧の冷媒)が冷却される結果、除湿装置3aの蒸発器25aに供給すべき十分な量の冷媒が凝縮器23aにおいて凝縮される。
【0065】
この場合、本例の温調除湿システム1における除湿装置3aでは、前述したように、蒸発器25aにおける冷却用コアC25aの一方の面(図2に示す左方の面:冷却対象の空気が導入される側の面)の上方部位を閉塞するようにして邪魔板14が配設されると共に、冷却用コアC25aの他方の面(図2に示す右方の面:冷却を完了した空気が排出される側の面)の下方部位を閉塞するようにして仕切板16が配設されている。このため、本例の除湿装置3aでは、邪魔板14と底板11との間の開口部14aから導入された空気が、図2に矢印Aaで示すように冷却用コアC25a内を上方に向かって移動して仕切板16と天板12との間の通気口16aから空間Saに排出されることとなる。
【0066】
したがって、本例の除湿装置3aでは、例えば、開口部14aから吸引される空気の温度が高いときや、空気の量が多いとき、すなわち、蒸発器25aにかかる負担が大きいときに、冷却用コアC25aの下方部位において空気を好適に冷却するのが困難な状態となったとしても、冷却が不十分な空気が冷却用コアC25aの上方部位に達した際に十分に冷却されて除湿される結果、通気口16aから空間Saに排出される空気を目標とする湿度範囲内の湿度とすることが可能となっている。
【0067】
この場合、本例の除湿装置3aとは異なり、「第1の風向規制板」の「第1の長さ」と「第2の風向規制板」の「第2の長さ」との和が「冷却用コア」の「第3の長さ」よりも短く形成されている「冷却装置」では、「第1の風向規制板」における下端部側部位と「第2の風向規制板」における上端部側部位とが「冷却用コア」の厚み方向で重ならない状態となる。かかる構成においては、「蒸発器」において冷却すべき空気が、「第1の風向規制板」における下端部側部位と「第2の風向規制板」における上端部側部位との間(両風向規制板が存在しない部位)において、「冷却用コア」の一方の面から他方の面に向かって「冷却用コア」の厚み方向で「冷却用冷媒配管」および「冷却用フィン」の間を通過するおそれがあり、本例の除湿装置3aのような冷却用コアC25aの上方に向かう空気の流れを生じさせるのが困難となる。
【0068】
これに対して、本例の除湿装置3aでは、前述したように、邪魔板34における下端部側部位と仕切板36における上端部側部位とが冷却用コアC25bの厚み方向で重なるように邪魔板34および仕切板36が配設されている。これにより、蒸発器25aにおいて冷却すべき空気が、冷却用コアC25aの一方の面から他方の面に向かって冷却用コアC25aの厚み方向でチューブTおよび各フィンFの間を通過する事態が回避されて、上記したように、冷却用コアC25aの上方に向かう空気の流れを好適に生じさせることが可能となっている。
【0069】
一方、前述した従来の除湿加温装置3xでは、蒸発器21xを通過させられる際に空気中の水分がドレン水(結露水)として除去され、このドレン水がフィンFxを伝ってドレンパン170xに滴り落ちてドレン水排出口から除湿加温装置3xの外に排水される構成が採用されている。しかしながら、従来の除湿加温装置3xでは、例えば、風回路23xを介して送風される空気の量が多いとき(蒸発器21xを通過する空気の速度が速いとき)や、蒸発器21xを通過させられる空気が大量の水分を含んでいるとき(高湿度のとき)に、蒸発器21xの上方部位において生じたドレン水が、蒸発器21xの下端部まで滴り落ちる前にフィンFxから離脱し、このドレン水が空気の流れに乗って凝縮器20xに到達することがある。この際には、高温の凝縮器20xにドレン水が接して揮発させられる結果、蒸発器21xにおいて除湿しているにも拘わらず、凝縮器20xを通過させられて供給対象に供給される空気の湿度が上昇するという事態となる。
【0070】
これに対して、本例の温調除湿システム1(除湿装置3a)では、蒸発器25aの冷却用コアC25aにおける他方の面(空気が排出される側の面)に仕切板16が配設されて冷却用コアC25aの下端部側部位が仕切板16によって閉塞されている。したがって、蒸発器25a(冷却用コアC25a)の上方部位において大量のドレン水が生じたとしても、このドレン水が蒸発器25a(冷却用コアC25a)の下方に向かってフィンFを伝って滴り落ちている間にフィンFから離脱して凝縮器23b側(蒸発器25aと凝縮器23bとの間の空間Sa)に排出される事態が回避される。
【0071】
この場合、前述したように、本例の温調除湿システム1(除湿装置3a)では、仕切板16の長さL2aが邪魔板14の長さL1aよりも長い十分な長さ、具体的には、冷却用コアC25aの長さL3aの1/2以上の長さに形成されているため、冷却用コアC25aに生じたドレン水が凝縮器23b側(空間Sa)に排出される事態がより確実に回避されている。
【0072】
また、本例の温調除湿システム1における除湿装置3aでは、前述したように、蒸発器25aにおける冷却用コアC25aの他方の面に配設された仕切板16と、凝縮器23bにおける加熱用コアC23bの一方の面(図2に示す左方の面:加熱対象の空気が導入される側の面)との間に空間Saが設けられている。この場合、本例の除湿装置3aとは相違するが、「第2の風向規制板」と「加熱器(加熱用コア)」との間に空間を生じさせずに「第2の風向規制板」と「加熱器(加熱用コア)」とを密着させて配置したときには、「第2の風向規制板」の上方部位から排出された空気が「加熱器(加熱用コア)」の上方部位に進入するものの、「加熱器(加熱用コア)」の下方部位には、「第2の風向規制板」の上方部位から排出された空気が進入しない事態を招くおそれがある。
【0073】
これに対して、本例の除湿装置3aでは、仕切板16の上方部位(通気口16a)から空間Saに排出された空気が空間Saの上方部位から下方部位の全域に亘って拡がる結果、図2に矢印Baで示すように、凝縮器23b(加熱用コアC23b)の一方の面における上方部位から下方部位までの全域から加熱用コアC23bのチューブTおよび各フィンFの間に空気を進入させて、これを好適に加熱することが可能となっている。
【0074】
また、本例の除湿装置3aでは、前述したように、背板15において凝縮器23b(加熱用コアC23b)の下方部位と対向する位置に排出口15aが設けられている。したがって、通気口16aから空間Saの上方部位に排出された空気が加熱用コアC23bの下方部位に到達することなくケーシング10から排出される事態が回避される。これにより、供給対象に供給すべき空気を凝縮器23bによって目標温度範囲内の温度まで確実に加熱することが可能となっている。
【0075】
さらに、本例の温調除湿システム1における熱交換装置3bでは、前述したように、蒸発器25bにおける冷却用コアC25bの一方の面(図3に示す右方の面:冷却対象の空気が導入される側の面)の上方部位を閉塞するようにして邪魔板34が配設されると共に、冷却用コアC25bの他方の面(図3に示す左方の面:冷却を完了した空気が排出される側の面)の下方部位を閉塞するようにして仕切板36が配設されている。このため、本例の熱交換装置3bでは、邪魔板34と底板31との間の開口部34aから導入された空気が、図3に矢印Abで示すように冷却用コアC25b内を上方に向かって移動して仕切板36と天板32との間の通気口36aから空間Sbに排出されることとなる。
【0076】
したがって、本例の熱交換装置3bでは、例えば、開口部34aから吸引される空気の温度が高いとき、すなわち、蒸発器25bにかかる負担が大きいときや、蒸発器25bに供給される冷媒の量が少ないとき(除湿装置3aの蒸発器25aにおいて必要とされる冷媒の量が多いとき)に、冷却用コアC25bの下方部位において空気を好適に冷却するのが困難な状態となったとしても、冷却が不十分な空気が冷却用コアC25bの上方部位に達した際に十分に冷却される結果、通気口36aから空間Sbに排出される空気の温度を、凝縮器23aにおいて冷媒を好適に凝縮させ得る目標温度範囲内の十分に低い温度とすることが可能となっている。
【0077】
また、本例の熱交換装置3bでは、前述したように、蒸発器25bにおける冷却用コアC25bの他方の面に配設された仕切板36と、凝縮器23aにおける加熱用コアC23aの一方の面(図3に示す右方の面:冷媒の凝縮効率を向上させるための空気が導入される側の面)との間に空間Sbが設けられている。これにより、本例の熱交換装置3bでは、仕切板36の上方部位(通気口36a)から空間Sbに排出された空気が空間Sbの上方部位から下方部位の全域に亘って拡がる結果、図3に矢印Bbで示すように、凝縮器23a(加熱用コアC23a)の一方の面における上方部位から下方部位までの全域から加熱用コアC23aのチューブTおよび各フィンFの間に空気を進入させ、これにより、チューブTの下側端部Tbから上側端部Taまでの全域において冷媒を好適に冷却して凝縮させることが可能となっている。
【0078】
また、本例の熱交換装置3bでは、前述したように、背板35において凝縮器23a(加熱用コアC23a)の下方部位と対向する位置に排出口35aが設けられている。したがって、通気口36aから空間Sbの上方部位に排出された空気が加熱用コアC23aの下方部位に到達することなくケーシング30から排出される事態が回避される。これにより、加熱用コアC23aにおいてチューブT内の冷媒を確実に冷却して凝縮させて、除湿装置3aの蒸発器25aに、必要量の冷媒を確実に供給することが可能となっている。
【0079】
このように、この温調除湿システム1における「冷却装置」では、チューブTの一端部(本例では、上側端部Ta)がチューブTの他端部(本例では、下側端部Tb)よりも上方に位置させられて冷却用の冷媒が蒸発器25a,25bの下方に向かってチューブT内を案内されるように蒸発器25a,25bが配置され、かつ上下方向の長さL1a,L1bが仕切板16,36の上下方向の長さL2a,L2bよりも短く形成された邪魔板14,34が冷却用コアC25a,C25bの一方の面における上方部位を閉塞するように配設されると共に、仕切板16,36が冷却用コアC25a,C25bの他方の面における下方部位を閉塞するように配設され、冷却用コアC25a,C25bの一方の面における下方部位(開口部14a,34a)からチューブTおよびフィンFの間に進入させられた空気が冷却用コアC25a,C25b内を上方に向かって移動して冷却用コアC25a,C25bの他方の面における上方部位(通気口16a,36a)から空間Sa,Sbに排出されるように導風路が形成されている。
【0080】
したがって、この温調除湿システム1における「冷却装置」によれば、蒸発器25a,25bにかかる負担が大きく、チューブTにおける下側端部Tbの近傍(冷却用コアC25a,C25bの下方部位)において空気を好適に冷却するのが困難な状態となったとしても、邪魔板14,34および仕切板16,36によって冷却用コアC25a,C25bの下方部位から上方部位に向かって空気が案内されるため、冷却用コアC25a,C25bの上方部位において空気を好適に冷却することができる。また、冷却用コアC25a,C25bの他方の面における下端部側部位に仕切板16,36を設けたことで、冷却用コアC25a,C25bによる冷却によってドレン水(結露水)が生じたときに、このドレン水が冷却用コアC25a,C25bの他方の面側に排出される事態を好適に回避することができる。
【0081】
また、この温調除湿システム1における「冷却装置」によれば、仕切板16,36の長さL2a,L2bが冷却用コアC25a,C25bの上下方向の長さL3a,L3bの1/2以上となるように形成したことにより、冷却用コアC25a,C25bの一方の面からチューブTおよびフィンFの間に進入させられた空気を冷却用コアC25a,C25bの上方に向かって確実に案内することができる。
【0082】
さらに、この温調除湿システム1における「冷却装置」では、上記の長さL1aと上記の長さL2aとの和が上記の長さL3aよりも長くなるように邪魔板14および仕切板16が形成されると共に、邪魔板14における下端部側部位と仕切板16における上端部側部位とが冷却用コアC25aの厚み方向で長さL4aだけ重なるように邪魔板14および仕切板16が配設され、上記の長さL1bと上記の長さL2bとの和が上記の長さL3bよりも長くなるように邪魔板34および仕切板36が形成されると共に、邪魔板34における下端部側部位と仕切板36における上端部側部位とが冷却用コアC25bの厚み方向で長さL4bだけ重なるように邪魔板34および仕切板36が配設されている。
【0083】
したがって、この温調除湿システム1における「冷却装置」によれば、冷却用コアC25a,C25bの一方の面からチューブTおよびフィンFの間に進入させられた空気が冷却用コアC25a,C25bの厚み方向で冷却用コアC25a,C25bを通過して他方の面に排出される事態を招くことなく、チューブTおよびフィンFの間を冷却用コアC25a,C25bの上方に向かって確実に移動させて他方の面側に排出させることができる。
【0084】
また、この温調除湿システム1における除湿装置3aでは、蒸発器25aにおける冷却用コアC25aの他方の面と、凝縮器23bにおける加熱用コアC23bの一方の面とが仕切板16を挟んで対向するように蒸発器25aおよび凝縮器23bが配設されている。また、この温調除湿システム1では、上記の除湿装置3aと、蒸発器25aを備えて構成された「冷却装置」、および凝縮器23bを備えて構成された「加熱装置」の順で通過するように空気を送風する送風機4aとを備えている。したがって、この除湿装置3aおよび温調除湿システム1によれば、冷却装置によって冷却除湿した空気を目的に応じて加熱装置によって加熱することで温度調整した状態で供給対象体に供給することができる。
【0085】
さらに、この温調除湿システム1における除湿装置3aによれば、チューブTの一端部(本例では、下側端部Tb)をチューブTの他端部(本例では、上側端部Ta)よりも下方に位置させて加熱用の冷媒が凝縮器23bの上方に向かってチューブT内を案内されるように凝縮器23bを配置すると共に、邪魔板14において加熱用コアC23bの他方の面における下方部位と対向する位置に凝縮器23bによって加熱した空気を排出する排出口15aを形成したことにより、凝縮器23b(加熱用コアC23b)の上端部から下端部までの全域において、チューブT内の冷媒と、チューブTおよび各フィンFの周囲の空気との間で好適に熱交換させ、処理対象の空気を確実に加熱することができる。
【0086】
また、この温調除湿システム1における除湿装置3aによれば、仕切板16と凝縮器23bの一方の面との間に空間Saを形成したことにより、仕切板16の上方(通気口16a)から空間Saに排出された空気が空間Saの上方部位から下方部位の全域に拡がった後に凝縮器23b(加熱用コアC23b)のチューブTおよび各フィンFの間に進入させられるため、加熱用コアC23bの上方部位から下方部位までの全域においてチューブT内の冷媒とチューブTおよび各フィンFの周囲の空気との間で好適に熱交換させ、処理対象の空気を一層確実に加熱することができる。
【0087】
さらに、この温調除湿システム1における除湿装置3aによれば、仕切板16における上端部側部位を加熱用コアC23bに向けて折り曲げたことにより、蒸発器25a(冷却用コアC25a)による冷却を完了した空気を空間Sa内にスムーズに排出することができる。
【0088】
なお、「冷却装置」、「温調装置」および「温調除湿システム」の構成は、上記の温調除湿システム1の構成の例に限定されるものではない。
【0089】
例えば、ヒートポンプ2の蒸発器25aやケーシング10などによって構成した「冷却装置」の例、並びに、この「冷却装置」およびヒートポンプ2の凝縮器23bなどによって構成した「温調装置」の例について説明したが、「冷却装置」や「温調装置」を構成する「蒸発器(冷却器)」および「凝縮器(加熱器)」を構成する冷凍サイクル(ヒートポンプ)の回路構成は、ヒートポンプ2のような回路構成に限定されるものではない。具体的には、図4に示す温調除湿システム1A(「温調除湿システム」の他の一例)におけるヒートポンプ2aのような回路構成を採用することができる。なお、この温調除湿システム1A(ヒートポンプ2a)において前述した温調除湿システム1A(ヒートポンプ2)と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0090】
温調除湿システム1Aのヒートポンプ2aでは、前述したヒートポンプ2における膨張弁24bおよび蒸発器25bが存在せず、除湿装置3aの凝縮器23bが膨張弁24aを介して蒸発器25aに接続されている。また、この温調除湿システム1Aでは、温調除湿システム1における熱交換装置3bに代えて、冷媒の熱を大気に放熱する凝縮器23aを備えて構成した熱交換装置3c(大気と冷媒との間で熱交換させる装置)が配設されている。このような回路構成を採用したヒートポンプ2aを備えた温調除湿システム1Aにおいても、除湿装置3aが、前述した温調除湿システム1の除湿装置3aと同様に構成されているため、温調除湿システム1の除湿装置3aにおける「冷却装置」によって奏される効果と同様の効果を奏することができる。
【0091】
また、「第1の風向規制板」に相当する邪魔板14における下端部側部位と、「第2の風向規制板」に相当する仕切板16における上端部側部位とが、冷却用コアC25aの厚み方向で長さL4aだけ重なるように邪魔板14および仕切板16が配設されている除湿装置3a、および「第1の風向規制板」に相当する邪魔板34における下端部側部位と、「第2の風向規制板」に相当する仕切板36における上端部側部位とが、冷却用コアC25bの厚み方向で長さL4bだけ重なるように邪魔板34および仕切板36が配設されている熱交換装置3bを例に挙げて、「冷却装置」や「温調装置」の構成の具体例を説明したが、「冷却装置」や「温調装置」の構成は、上記の除湿装置3aや熱交換装置3bの構成の例に限定されない。
【0092】
例えば、図5に示す除湿装置3dは、温調除湿システム1,1Aにおける除湿装置3aに代えて使用可能な「温調装置」の他の一例であって、「第1の風向規制板」に相当する邪魔板14の長さL1d(「第1の長さ」の他の一例)が、除湿装置3aにおける邪魔板14の長さL1aよりもやや短く、かつ「第2の風向規制板」に相当する仕切板16の長さL2d(「第2の長さ」の他の一例)が、除湿装置3aにおける仕切板16の長さL2aよりもやや短く形成されている点を除き、除湿装置3aと同様に構成されている。なお、こお除湿装置3dにおいて除湿装置3aと同様の機能有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0093】
この除湿装置3dでは、邪魔板14の長さL1dと仕切板16の長さL2dとの和が冷却用コアC25aの長さL3a(第3の長さ)よりも短くなるように形成されている。また、この除湿装置3dでは、邪魔板14における下端部側部位と仕切板16における上端部側部位とが冷却用コアC25aの厚み方向(同図における左右方向)で重ならない領域が長さL5dだけ生じるように邪魔板14および仕切板16が配設されている。この除湿装置3dでは、仕切板16の長さL2dが冷却用コアC25aの上下方向の長さL3aの1/2以上となるように形成されているため、蒸発器25aにかかる負担が大きく、チューブTにおける下側端部Tbの近傍(冷却用コアC25aの下方部位)において空気を好適に冷却するのが困難な状態となったとしても、邪魔板14および仕切板16によって冷却用コアC25aの下方部位から上方部位に向かって矢印Aaで示すように空気が案内される結果、冷却用コアC25aの上方部位において空気を好適に冷却することができる。
【0094】
また、この除湿装置3dでは、前述した除湿装置3aと同様にして、冷却用コアC25aの他方の面における下端部側部位に仕切板16を設けたことで、冷却用コアC25aによる冷却によってドレン水(結露水)が生じたときに、このドレン水が冷却用コアC25aの他方の面側に排出される事態を好適に回避することができる。なお、図示および説明を省略するが、温調除湿システム1における熱交換装置3bに代えて、上記の除湿装置3dと同様の「第1の風向規制板」および「第2の風向規制板」を設けた熱交換装置を配設することで、熱交換装置3bを備えた温調除湿システム1と同様の効果を奏することができる。
【0095】
さらに、「冷却装置」および「加熱装置」を一体的に組み合わせた除湿装置3a,3dおよび熱交換装置3bの構成を例に挙げて説明したが、「冷却装置」を単体で構成する場合においても、「冷却用コア」の一方の面に「第1の風向規制板」を配設し、かつ「冷却用コア」の他方の面に「第2の風向規制板」を配設することで、上記の除湿装置3aや熱交換装置3bにおける「冷却装置」において奏される効果と同様の効果を奏することができる。具体的には、図6に示す冷却装置3eは、一例として、前述した除湿装置3a,3dにおける「冷却装置」と同様に構成され、除湿装置3a,3dにおける凝縮器23bが存在せず、かつ、ケーシング10に代えてケーシング40を備えている点を除き、除湿装置3a,3dと同様に構成されている。なお、この冷却装置3eにおいて除湿装置3a,3dの各構成要素と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0096】
この場合、ケーシング40は、ケーシング10における底板11、天板12および側板13に代えて、底板41、天板42および図示しない側板を備えると共に、ケーシング10における仕切板16に代えて「第2の風向規制板」の他の一例である背板45が蒸発器25aにおける冷却用コアC25aの他方の面に配設されて背板45の上方(背板45と天板42との間)に排出口45aが形成されている。また、この冷却装置3eにおける邪魔板14および背板45の長さや配置については、同図に示すように、除湿装置3aの邪魔板14および仕切板16の配置や長さと同様となっている。したがって、この冷却装置3eによれば、除湿装置3aにおける「冷却装置(蒸発器25a、邪魔板14および仕切板16等からなる装置)」と同様にして冷却用コアC25aの上方に向かう空気の流れが生じるため、除湿装置3aにおける「冷却装置」によって奏される効果と同様の効果を奏することができる。
【0097】
また、「冷却用冷媒配管」や「加熱用冷媒配管」として螺旋状に形成されたチューブTを有する構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、葛折り状に形成されたチューブを「冷却用冷媒配管」や「加熱用冷媒配管」として採用することもできる(図示せず)。さらに、空気の流動方向における下流側に送風機4a,4bを配設した構成を例に挙げて説明したが、空気の流動方向における上流側(除湿装置3a、熱交換装置3bおよび冷却装置3eにおける開口部14a,34a等)に「送風機」を配設する構成を採用することもできる(図示せず)。
【符号の説明】
【0098】
1,1A 温調除湿システム
2,2a ヒートポンプ
3a,3d 除湿装置
3b,3c 熱交換装置
3e 冷却装置
4a,4b 送風機
5 コントローラ
10,30,40 ケーシング
11,31,41 底板
12,32,42 天板
13,33 側板
14,34 邪魔板
14a,34a 開口部
15,35,45 背板
15a,35a,45a 排出口
16,36 仕切板
16a,36a 通気口
21 圧縮機
22a,22b 調整弁
23a,23b 凝縮器
24a,24b 膨張弁
25a,25b 蒸発器
C23a,C23b 加熱用コア
C25a,C25b 冷却用コア
F フィン
L1a〜L4a,L1b〜L4b,L1d,L2d,L5d 長さ
Sa,Sb 空間
T チューブ
Ta 上側端部
Tb 下側端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7