(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プランジャ付勢部材(270)は、前記プランジャインナー(210)の張出部(212)と前記プランジャアウター(220)のベース(225)との間に前記第1のエネルギー蓄積状態で保持される、請求項1に記載のプランジャサブアセンブリ(200)。
前記作動ピル(104)は、前記ハウジング(14,16)の内側基端にあるロッキングプラトー(14B)と最初に係合する1つ以上のロッキングフック(104A)を前記作動ピル(104)の基端に有する、請求項4に記載の自動注入器(100)。
前記起動機構(12)は、前記ロッキングフック(104A)を前記ハウジング(14,16)の前記ロッキングプラトー(14B)から離脱させるために、前記作動ピル(104)の前記1つ以上のロッキングフック(104A)と係合できる、請求項5に記載の自動注入器(100)。
前記ハウジング(14,16)の内面に1つ以上の凹部(16D)を更に備え、前記1つ以上の係合突起(220A)が前記凹部(16D)と相互作用すると、前記係合突起(220A)の前記凹部(16D)内への略径方向の屈曲により、前記係合突起(220A)が前記プランジャインナー(210)の前記肩部(210A)から離脱でき、それにより、前記プランジャ付勢部材(270)が前記第1のエネルギー蓄積状態から前記第2の拡張状態へ拡張できる、請求項4〜6のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
前記プランジャサブアセンブリ(200)、前記作動ピル(104)、および、作動付勢部材(102)は、前記プランジャインナー(210)の前記肩部(210A)からの前記プランジャアウター(220)の前記係合突起(220A)の離脱時に、前記作動ピル(104)および前記作動付勢部材(102)を介して前記プランジャインナー(210)が基端方向で軸方向に並進できるようにするべく構成される、請求項4〜8のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
前記プランジャサブアセンブリ(200)は、前記針アセンブリ(40)の引き込みを容易にするために、前記プランジャインナー(210)の前記肩部(210A)からの前記プランジャアウター(220)の前記係合突起(220A)の離脱前に、または離脱とほぼ同時にプランジャシール(800)と針シール(430)との間の接触を可能にするように構成される、請求項4〜9のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
最初はキャップ(18)によってハウジング(14,16)の内面の対応する切り欠き(16A)内の係合位置に保持される1つ以上の突出部(150A)を有するスリーブ(150)を更に備え、前記キャップ(18)の取り外し時に、前記突出部(150A)は、前記切り欠き(16A)から離脱するように径方向内側に屈曲することが許容される、請求項4〜10のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、自動注入器のためのプランジャサブアセンブリおよび低い引き込み起動力を有する引き込み可能なシリンジのための自動注入器、そのような装置を動作させる方法、ならびに、そのような装置を組み立てる方法を提供する。本発明の自動注入器は、例えば偶発的な針刺しに関連する負傷を防止するために針またはカニューレを自動的に装置内へ引き込む統合された安全機能を与える。また、本発明の実施形態は、薬剤送出が完了したこと、ならびに装置が取り外しおよび処分にとって安全であることを使用者に知らせる正確な投与終了の指標を使用者に与える。更に、本発明の実施形態は、針またはカニューレの引き込みを起動させるために必要な力を低減し、それにより、かなりの製造上、組立上および操作上の利点を与えるプランジャサブアセンブリを提供する。したがって、本発明の新規な装置は、先に言及した問題などの従来技術の装置と関連する問題のうちの1つ以上を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の実施形態において、本発明は、自動注入器のための低引き込み起動力プランジャサブアセンブリを提供する。プランジャサブアセンブリは、1つ以上の係合突起を有するプランジャアウターと、肩部を有するプランジャインナーと、プランジャ付勢部材とを含む。少なくとも1つの実施形態において、プランジャアウターは、プランジャインナーの肩部との解放可能な係合のための2つの係合突起を有する。圧縮スプリングなどのスプリングであってもよいプランジャ付勢部材は、プランジャアウターの係合突起がプランジャインナーの肩部と解放可能に係合されるときに、プランジャアウターとプランジャインナーとの間に第1のエネルギー蓄積状態で保持される。少なくとも1つの実施形態では、プランジャ付勢部材が圧縮スプリングである。プランジャスプリングは、プランジャインナーの張出部とプランジャアウターのベースとの間に第1のエネルギー蓄積状態で保持されてもよい。1つ以上の係合突起は、プランジャスプリングが第1のエネルギー蓄積状態から第2の拡張状態へ拡張できるようにするために、プランジャインナーの肩部との係合から解放するように略径方向に屈曲できる。少なくとも1つの実施形態において、プランジャインナーは、プランジャシールの相補的な係合凹部と係合するためのシール係合部材を有する。シール係合部材は、例えば、プランジャシールの係合凹部にねじ込み可能な螺合態様であってもよい。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、低引き込み起動力サブアセンブリを有する自動注入器を提供する。自動注入器は、ハウジングと、起動機構と、作動機構と、プランジャサブアセンブリおよび針アセンブリを有するシリンジカートリッジとを含む。作動機構は、作動ピルのほぼ上部分内に初期エネルギー蓄積状態で存在する作動付勢部材を含む。少なくとも1つの実施形態において、プランジャサブアセンブリは、1つ以上の係合突起を有するプランジャアウターと、肩部を有するプランジャインナーと、プランジャアウターの係合突起がプランジャインナーの肩部と解放可能に係合されるときに、前記プランジャアウターとプランジャインナーとの間に第1のエネルギー蓄積状態で保持されるプランジャ付勢部材とを含む。本発明の少なくとも1つの実施形態では、作動付勢部材およびプランジャ付勢部材がそれぞれ圧縮スプリングであってもよい。
【0009】
作動ピルは、ハウジングの内側基端にあるロッキングプラトーと最初に係合する1つ以上のロッキングフックを第1の作動ピルの基端に有する。起動機構は、ロッキングフックをハウジングのロッキングプラトーから離脱させるために作動ピルの1つ以上のロッキングフックと係合または接触できる。ハウジングは、該ハウジングの内面に1つ以上の凹部を更に含んでもよく、1つ以上の係合突起が凹部と相互作用すると、係合突起の凹部内への略径方向の屈曲により、係合突起がプランジャインナーの肩部から離脱できる。この離脱により、プランジャ付勢部材は、針アセンブリの引き込みのために、第1のエネルギー蓄積状態から第2の拡張状態へ拡張できる。したがって、係合突起が凹部内へ径方向に屈曲できるハウジングの部分へ向けてプランジャサブアセンブリを軸方向に並進させるために利用される力以外の更なる力は、プランジャアウターをプランジャインナーから離脱させるために殆ど必要とされないか、または全く必要とされない。
【0010】
したがって、起動機構に対する使用者作用により、起動機構が作動ピルの1つ以上のロッキングフックと係合し、または接触し、それにより、ロッキングフックがハウジングのロッキングプラトーから離脱する。この作用は、作動スプリングが拡張できるようにし、それにより、作動機構をハウジング内で自動注入器の軸線にほぼ沿って先端方向に並進させる。プランジャサブアセンブリの係合突起がハウジングの内面中の凹部に達すると、プランジャアウターの1つ以上の係合突起は、プランジャインナーの対応する肩部から離脱するべく略径方向に屈曲することが許容される。この作用は、プランジャスプリングが拡張できるようにし、それにより、針アセンブリの引き込みのためにプランジャインナーを自動注入器の軸線にほぼ沿って基端方向に並進させる。シリンジカートリッジが治療薬剤を収容する場合、例えば事前充填シリンジの場合、作動機構の機能は、針を挿入して治療薬剤を患者内へ送出するために利用されてもよい。随意的に、引き込み可能なシリンジがシリンジカートリッジとして利用される場合、作動機構は、引き込み機構を起動させるために更に利用されてもよい。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、自動注入器のシリンジカートリッジが引き込み可能なシリンジである。そのようなシリンジは、使用後に針を引き込んで望ましい針刺し防止を行うとともにシリンジの再使用を防止する安全機能を更に含んでもよい。適切には、プランジャサブアセンブリは、シリンジのバレル内で摺動可能に移動でき、それにより、使用者、患者、または、他の受容体への治療薬剤の送出を容易にする。引き込み可能なシリンジは、引き込み可能な針アセンブリを含んでもよい。好ましくは、プランジャサブアセンブリは、カニューレまたは針の引き込みを引き起こすために、針アセンブリまたはその一部分と係合でき、または接触できる。適切には、針の引き込みは、針の引き込みを容易にするためにエネルギーを蓄えて解放できるスプリング、弾性部材、または、他の部材などの付勢部材によって促される。引き込み可能なシリンジが本明細書中に開示される自動注入器と共に動作できる任意の針引き込み機構を備えてもよいことが分かる。一例として、針引き込み機構は、国際公開2006/119570号パンフレット、国際公開2006/108243号パンフレット、国際公開2009/003234号パンフレット、および、国際公開2011/075760号パンフレット、および/または、米国特許出願公開第13/693,915号明細書に記載されるようなものであってもよいが、これらに限定されない。
【0012】
一実施形態によれば、引き込み可能なシリンジは、引き込み可能な針を備える針アセンブリであって、引き込み可能な針がカニューレと、プランジャインナーに装着されるプランジャシールに係合可能な針シールとを備える。好ましくは、針アセンブリは、針シールが引き込み可能な針を保持し、かつ混合された物質または混合物の、使用者、患者、または、他の受容体への送出を可能にするために、引き込み可能な針のカニューレが、針シールを通過するように構成される。一実施形態において、針アセンブリは、自動注入器のシリンジカートリッジのバレル内および/またはハウジング内への引き込みのためにプランジャシールによって、例えばプランジャシール内の凹部内で捕捉され得る針本体を含む国際公開2011/075760パンフレットに開示される針アセンブリと同様である。別の実施形態において、針アセンブリは、針本体を必要とせず、かつプランジャシールと針シールとの間の接触によりカニューレの引き込みを起動させる、米国特許公開出願第13/693,915号明細書に開示される針アセンブリと同様であってもよい。
【0013】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、自動注入器は、最初はキャップによってハウジングの内面の対応する切り欠き内の係合位置に保持される1つ以上の突出部を有するスリーブを更に含む。キャップの取り外し時に、突出部は、切り欠きから離脱するように径方向内側に屈曲することが許容される。スリーブは、該スリーブのブリッジ部分がハウジングの内面の対応する深さ制限部と接触するまで先端方向に軸方向並進できるように構成される。自動注入器は、自動注入器の内部構成要素および機能を見るためにハウジング内に1つ以上の窓を更に含む。窓は、例えば、透明、不透明、または、半透明であってもよい。自動注入器は、起動機構とハウジングの基端との間に圧縮スプリングなどの触覚付勢部材を含んでもよい。
【0014】
更なる他の実施形態において、本発明は、自動注入器を組み立てる方法を提供する。組立方法は、(i)作動付勢部材をハウジング内に挿入するとともに、作動ピルの1つ以上のロッキングフックとハウジングのロッキングプラトーとを着脱可能に係合させることによって作動付勢部材をハウジングと作動ピルとの間で圧縮するステップと、(ii)1つ以上の係合突起を有するプランジャアウターと、肩部を有するプランジャインナーと、プランジャアウターの係合突起がプランジャインナーの肩部と解放可能に係合されるときに、前記プランジャアウターとプランジャインナーとの間に第1のエネルギー蓄積状態で保持されるプランジャ付勢部材とを含むプランジャサブアセンブリを組み付けるステップと、(iii)プランジャサブアセンブリの基端が作動ピルと接触するようにプランジャサブアセンブリをハウジング内に挿入するステップとを含む。作動付勢部材は、最初は、作動ピルのほぼ上部分内でエネルギー蓄積状態に維持される。別の実施形態において、方法は、起動機構をハウジングに取り付けるステップを更に含み、起動機構は、起動時に第1の作動ピルの1つ以上のロッキングフックと接触するように構成される。プランジャアウターの係合突起は、ハウジングの第1の内径によってプランジャインナーの肩部との解放可能な係合形態に維持される。方法は、(iv)シリンジカートリッジの薬剤チャンバに薬剤流体を充填するステップと、(v)プランジャサブアセンブリの先端をシリンジカートリッジの基端内に挿入するステップとを更に含んでもよい。ステップ(iv)およびステップ(v)は、ステップ(iii)の前または後に起こってもよい。
【0015】
この明細書の全体にわたって、別段に示唆されなければ、「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、「備えている」は、記載された整数または整数群が1つ以上の他の記載されていない整数または整数群を含んでもよいように、排他的ではなく包括的に使用される。
【0016】
ここで、以下の図面を参照して、本発明の非限定的な実施形態について説明する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の新規な装置は、針またはカニューレを自動的に装置内へ引き込む統合された安全機能を与えるとともに、正確な投与終了指標を使用者に与える。また、本発明の実施形態は、装置の針引き込み機能を起動させるために必要な力を低減し、それにより、作動上および製造上の利点を与える。そのような装置は、安全であるとともに、使用が容易であり、また、自己投与する患者にとって審美的に、かつ人間工学的に魅力がある。本明細書中に記載される装置は、装置の起動、操作、および、ロックアウトを未熟な使用者にとってさえ簡単なものとする特徴を組み込む。本発明の実施形態は、既知の従来技術の装置と関連付けられる問題を何ら伴うことなく、これらの望ましい特徴を備える。
【0019】
作動機構、プランジャサブアセンブリ、自動注入器、シリンジカートリッジ、または、本発明の構成要素の任意の相対位置を説明するために本明細書中で使用される用語「軸方向の」または「軸方向に」は、一般に、長手方向軸線「A」に言及しており、この軸線の周りに自動注入器の構成要素が好ましくは配置されるが、必ずしもその軸線周りで対称であるとは限らない。用語「径方向」とは、一般に、軸線Aに対して垂直な方向のことである。用語「基端」、「後部」、「後方」、「背部」、または、「背後」とは、一般に、起動機構の方向「P」における軸方向のことである。用語「先端」、「前部」、「前側」、「押し下げ」、または、「前方」とは、一般に、針の方向「D」における軸方向のことである。本明細書中で使用される用語「ガラス」は、通常はガラスを必要とする医薬品グレード用途で用いるのに適した他の同様に反応しない材料を含むように理解されるべきである。用語「プラスチック」は、熱可塑性高分子および熱硬化性高分子の両方を含んでもよい。熱可塑性高分子は、熱によってそれらの当初の状態へ再軟化され得るが、熱硬化性高分子は再軟化され得ない。本明細書中で使用される用語「プラスチック」とは、主に、硬化剤、充填剤、補強剤、着色剤、および/または、可塑剤などの他の原材料を一般に含むとともに熱および圧力を受けて形成または成形され得る、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンまたはアクリル樹脂などの成形可能な熱可塑性高分子のことである。本明細書中で使用される用語「プラスチック」は、プラスチックと相互作用できる治療液、あるいは普通ならプラスチックから液体に入ることができる置換基によって分解され得る治療液とそれらが直接に接触する用途での使用が認められる、ガラスまたはエラストマーを含まない。用語「エラストマー」、「エラストマー系」、「エラストマー材料」とは、主に、プラスチックよりも容易に変形できるが医薬品グレード流体と共に使用するのが認められるとともに浸出またはガス移動の影響を容易に受けない架橋結合された熱硬化性ゴム状高分子のことである。「流体」とは、主に、液体のことであるが、液中に固体が分散された懸濁液、および、シリンジの流体収容部分の内側の液体中に溶解され、あるいは他の方法で一緒に存在するガスを含むこともできる。用語「スプリング」とは、本明細書中では、1つ以上の「付勢部材」に関連して使用され、また、任意のタイプのスプリングまたは他の付勢部材が本発明内で利用されてもよい。
【0020】
図1Aおよび
図1Bは、上側ハウジング14と下側ハウジング16とを含む自動注入器100の一実施形態を示す。上側ハウジング14および下側ハウジング16は、プラスチックおよびガラスを含む任意のいくつかの材料から形成されてもよいが、好ましくはプラスチックから形成される。上側ハウジング14および下側ハウジング16は、2つの部分から成る1つの一体化された構成要素であってもよく、または、
図1Aおよび
図1Bに示されるように、2つの別個の構成要素であってもよい。上側ハウジング14および下側ハウジング16が2つの別個の構成要素である場合、これらのハウジングは、例えば糊または接着剤によって固定して接続されてもよく、あるいは、例えば螺合接続によって取り外し可能に取り付けられてもよい。自動注入器100はまた、起動機構12およびキャップ18も含む。
図1Bは、自動注入器100の内部構成要素を、すなわち、上側ハウジング14および下側ハウジング16が図から隠された状態で自動注入器100を示す。
図1Bに示されるように、自動注入器100は、起動機構12と、作動機構10と、シリンジカートリッジ20とを含む。シリンジカートリッジ20はプランジャサブアセンブリ200および針アセンブリ40を含み、これらはいずれも
図2に示される。
図2は、本発明の少なくとも1つの実施形態に係る自動注入器100を製造するために、新規のプランジャサブアセンブリ200、作動機構10、および、他の構成要素がどのように組み付けられるのかを示す。自動注入器は、
図5〜
図8に関連して本明細書中で更に説明されるように、装置の動作の全体にわたってシリンジカートリッジ20および針アセンブリの位置決めを助けるためのスリーブ150を含んでもよい。キャップ18は、装置の先端Dで自動注入器100に取り外し可能に取り付けられて、使用者による使用時に取り外されてもよい。
図1Bは、本発明の少なくとも1つの実施形態に係る作動機構10、プランジャサブアセンブリを有するシリンジカートリッジ20、および、自動注入器100の構成要素をロック形態で示す。
【0021】
少なくとも1つの実施形態では、起動機構12がボタンであり、このボタンは、例えば、本明細書中で更に詳述されるように、装置のロックを解除するために回転されるとともに、装置を起動させるために押し下げられてもよい。起動機構は、自動注入器100の基端Pに示される。使用者による操作まで起動機構をロック位置に保持するために、および/または、起動機構が押し下げられるときに触覚フィードバックを使用者に与えるために、触覚付勢部材120が、例えば起動機構12と上側ハウジング14の基端との間で利用されてもよい。一般に、シリンジカートリッジ20は、薬剤チャンバを有するバレルを含む。液状物質または投与薬剤が、針アセンブリを通じて患者へ送出するために薬剤チャンバ内に保持される。押し下げ時、すなわち、先端方向での軸方向動作時、起動機構12により、作動機構10は、動作の針挿入段階および投与薬剤送出段階を作動させることができる。作動機構10はまた、動作の引き込み起動段階を促進させ、または開始するためにプランジャサブアセンブリを先端方向に並進させる。作動機構10による引き込み起動は、本明細書中で更に詳述されるように、シリンジカートリッジのバレル内および自動注入器100内への針アセンブリの引き込みを可能にする。
【0022】
本発明の自動注入器は、針を使用者内へ挿入するため、薬剤送出のために流体をシリンジカートリッジの薬剤チャンバから針アセンブリを通じて押し出すため、および、針引き込み安全機構を起動させるために必要な力を与えるべく、圧縮スプリングなどの1つ以上の付勢部材を利用する。しかしながら、様々な製造上および作動上の利点のため、そのような付勢部材により与えられる必要な力を最小限に抑えることが重要である。例えば、装置動作の全ての段階を行なうために力の低減が必要とされる場合には、高力付勢部材よりも費用効率が高い場合がある低力付勢部材が利用されてもよい。同様に、必要な力の低減により、装置をより容易に保管して輸送できる場合がある。というのは、起動前に装置内に蓄えられるエネルギーが低減されるからである。したがって、本発明の実施形態は、引き込み機構の起動を開始するのにより低い力を要する新規なプランジャサブアセンブリを利用する。プランジャサブアセンブリおよび一体型引き込み機能部が作動機構によって駆動されるか、または起動させられるので、本発明の作動機構および自動注入器は、低力付勢部材を利用するように構成されてもよい。同様に、針を使用者内へ挿入するため、薬剤流体を送出するため、および、針引き込み機構を起動させるために必要な全ての力が低減されるので、装置の動作のために必要な力の全てを効率的に伝えるために、たった1つの作動ピルと作動スプリングとを有する作動機構などの簡略化された作動機構が利用されてもよい。本発明の新規なプランジャサブアセンブリおよびそれらの作動機構への組み込みのこの利点は、本明細書中に記載される新規な自動注入器の製造しやすさ、安定性、および、操作性に対してかなりの利益をもたらす。
【0023】
図3A〜
図3Dは、自動注入器の構成要素である本発明の少なくとも1つの実施形態に係る作動機構10およびプランジャサブアセンブリ200を更に詳しく示す。
図3Aは、上側ハウジング14に加えて、作動機構10およびプランジャサブアセンブリ200の構成要素を部分分解図で示す。
図3Bは、これらの構成要素を作動前のエネルギー蓄積状態で示す。少なくとも1つの実施形態では、作動機構10が作動スプリング102と作動ピル104とを含む。作動前のエネルギー蓄積形態において、作動スプリング102は、作動ピル104の上部分のほぼ周囲にエネルギー蓄積状態で載置する。作動スプリング102は、作動ピル104のプラットフォーム104Bと上側ハウジング14の下側部分との間にエネルギー蓄積状態で保持されて、起動時には、作動ピル104のプラットフォーム104Bと上側ハウジング14の下側部分とに作用するようにされる。このエネルギー蓄積状態において、作動ピル104は、
図3Cおよび
図3Dに示されるように、上側ハウジング14の下側部分の内部の中で上側ハウジング14に着脱可能に接続される。作動ピル104は、該作動ピルからの力および作動ピルの先端側の並進をプランジャサブアセンブリ200へ伝えるためにプランジャサブアセンブリ200と摺動可能に、または着脱可能に係合する。
図3Bに示される少なくとも1つの実施形態では、プランジャサブアセンブリ200のプランジャアウター220構成要素の基端にある1つ以上の係合突起220Aが、作動ピル104の先端スロット104C内で作動ピル104と接触する。作動ピル104は内部軸方向通路を有し、前記内部軸方向通路内にプランジャサブアセンブリ200のプランジャインナー210構成要素の基端部分が、最初に存在してもよく、また、引き込み機構の起動時に、プランジャアウター220の基端側移動を伴うことなく基端方向で軸方向に並進してもよい。当業者であれば分かるように、作動スプリングおよび作動ピルは、作動スプリングが作動ピルの上部内に存在するように構成されてもよい。そのような形態では、プランジャサブアセンブリのプランジャインナー構成要素は、最初に作動ピルの内部軸方向通路内に存在してもよく、また、引き込み機構の起動時に、作動ピルの内部軸方向通路中において作動スプリングの内部を通って基端方向で軸方向に並進してもよい。作動スプリングおよび作動ピルの形態にかかわらず、作動ピルは、該作動ピルからの力および作動ピルの先端側の並進をプランジャサブアセンブリへ伝えるためにプランジャサブアセンブリと摺動可能に、または着脱可能に係合する。
【0024】
図3C〜
図3Dは、自動注入器の起動または作動の前の上側ハウジング14内の作動機構10および少なくとも一部が上側ハウジング14内にあるプランジャサブアセンブリ200の断面図を与える。
図3Dは、
図3Cに示される図の90度軸方向回転図を示す。図示のように、作動ピル104のロッキングフック104Aは、最初は、上側ハウジング14のロッキングプラトー14Bと係合する。起動機構による自動注入器および作動機構の起動時、ロッキングフック104Aがロッキングプラトー14Bから離脱させられる。少なくとも1つの実施形態において、ロッキングフック104Aは、使用者による押し下げ時に起動機構の対応するインタフェース面によって径方向内側(すなわち、
図3Dに示される中実矢印の方向)に移動され、それにより、ロッキングプラトー14Bからの作動機構の離脱が引き起こされる。当業者であれば分かるように、用語「フック」は、例えば突起、ラッチ、タブなどを含む任意のタイプの係合機構を参照するように意図される。そのような離脱時、作動スプリング102は、そのエネルギー蓄積状態から拡張することが許容され、それにより、作動ピル104のプラットフォーム104Bに力を及ぼして、作動ピル104を先端方向で軸方向に並進させる。作動ピル104は、例えばプランジャサブアセンブリ200のプランジャアウター220構成要素の基端にある1つ以上の係合突起220Aと作動ピル104の先端スロット104Cとの間の相互作用によってプランジャサブアセンブリ200と摺動可能に、または着脱自在に係合されるので、作動ピル104の先端方向での軸方向並進により、プランジャサブアセンブリ200も同様に先端方向で(すなわち、
図3Dに示される斜線矢印の方向で)軸方向に並進する。したがって、本発明の実施形態において、使用者による起動時に作動機構10の作動スプリング102および作動ピル104によって確立される力は、針を使用者内に挿入するため、プランジャサブアセンブリ200を先端方向で軸方向に並進させて薬剤送出を可能にするため、および、引き込み機構の起動を可能にするかまたは容易にするために利用される。
【0025】
作動機構10のそのような動作は、作動機構10が自動注入器100に組み込まれる
図5,
図6A,
図6Bにも示される。
図5に示されるように、シリンジカートリッジのシリンジバレル202および針アセンブリ40を自動注入器100内で初期ロック位置に保持するために、解放リング236がスリーブ150の基端上に載置する。少なくとも1つの実施形態において、スリーブ150は、当初は下側ハウジング16の内面上の対応する切り欠き16A内の位置に保持される1つ以上の突出部150Aを有する。切り欠き16Aは、1つ以上の別個の切り欠き、内周を取り囲む切り欠き付きリング、または、1つ以上の突出部150Aが切り欠き16Aと着脱可能に係合できるようにするいくつかの他の想定し得る形態であってもよい。初期ロック形態では、キャップ18のロッキング延出部18Aが、スリーブ150の内面と当接して、径方向外側の力を確立し、それにより、1つ以上の突出部150Aを下側ハウジング16の切り欠き16Aと係合させた状態に維持する。そのような配置は、自動注入器100の内部構成要素を長期間にわたって保管されて輸送され得るほぼ固定されたロック位置に維持する。また、スリーブ150のこの形態は、例えば針シールド52の取り外し中にシリンジバレル202および針アセンブリ40の位置をハウジング内に維持するように機能する。これに加えてあるいはこれに代えて、スリーブ150は、シリンジカートリッジ20のバレル202を支持して、作動機構および自動注入器の保管、輸送、および、動作中にこれらの構成要素の略軸方向位置合わせを確保するために使用されてもよい。キャップ18の取り外し時、突出部150Aは、径方向内側に屈曲して切り欠き16Aから離脱することが許容される。したがって、これらの構成要素は、安全機能部として機能するとともに、キャップ18の取り外し時に、自動注入器100の内部構成要素の先端方向における軸方向並進を可能にする。また、キャップ18は、起動前の使用者によるキャップ18の取り外しが針シールド52も針アセンブリから取り外すように針シールド52と係合するための1つ以上の面18Bを含んでもよい。
【0026】
シリンジカートリッジの軸方向並進は、シリンジカートリッジの解放リング236とスリーブ150の基端との間の相互作用により、動作の他の段階中のスリーブの軸方向並進と関連付けられてもよい。例えば、使用者によるキャップ18の取り外し時および自動注入器100の起動時に、作動機構10は、針挿入のためにシリンジカートリッジを軸方向先端側に移動させてもよい。解放リング236とスリーブ150との間の相互作用により、スリーブ150も軸方向先端側に移動される。スリーブ150は、スリーブ150のブリッジ部150Bが下側ハウジング16の内面上の対応する深さ制限部16Bと接触するまで先端側に並進されてもよい。解放リング236とスリーブ150との間の相互作用に起因して、スリーブ150の動作範囲の制限は、解放リング236、シリンジバレル202、および、針アセンブリ40を有するシリンジカートリッジの軸方向並進も制限する。したがって、使用者内への針挿入深さは、スリーブ150のブリッジ部分150Bと下側ハウジング16の深さ制限部16Bとの間の相互作用によって制御され得る。例えば、筋肉内薬剤送出(すなわち、使用者の筋肉組織中への送出)のために、挿入深さが更に大きくてもよく、また、深さ制限部16Bが下側ハウジングの内面内の更に先端側の位置に配置されてもよい。皮下薬剤送出のために、深さ制限部16Bが下側ハウジングの内面内の更に基端側の位置に配置されてもよく、および/または、スリーブ150のブリッジ部分150Bがスリーブ150の更に先端側の位置に配置されてもよい。
図2はまた、更に明確にするために、スリーブ150、下側ハウジング16、および、キャップ18のこれらの態様も示す。
【0027】
前述したように、本発明の実施形態は、引き込み機構の起動を開始するために必要な力を最小限にする。プランジャサブアセンブリと一体型引き込み機能部とが、作動機構によって駆動されるかまたは起動させられるので、本発明の作動機構および自動注入器は、低力付勢部材を利用するように構成されてもよい。本発明の新規なプランジャサブアセンブリおよびそれらの作動機構への組み込みのこの利点は、本明細書中に記載される新規な自動注入器の製造しやすさ、安定性、および、操作性に対してかなりの利益をもたらす。
図4に示される少なくとも1つの実施形態において、プランジャサブアセンブリ200は、シャフト211と、環状張出部212と、この実施形態ではプランジャサブアセンブリ200の先端にあるねじ付き突起部であるシール係合部材216とを備えるプランジャインナー210を備える。シール係合部材216は、プランジャシール800の相補的なねじ付き凹部820と螺合する。プランジャシール800は針係合部810を更に備える。プランジャサブアセンブリ200は、ベース225と1つ以上の係合突起220Aとを伴う長尺体221を有するプランジャアウター220を更に備える。プランジャサブアセンブリ200は、プランジャインナー210とプランジャアウター220との間に装着されるとともにプランジャインナー210の張出部212とプランジャアウター220のベース225との間で初期の第1のエネルギー蓄積状態に保持されるプランジャスプリング270を更に備える。
【0028】
最初に、係合突起220Aは、プランジャインナー210の基端の対応する肩部210Aと解放可能に係合させられる。係合突起220Aは、係合突起220Aと上側ハウジング14の第1の内径または内面との間の接触によって引き起こされる径方向内側屈曲により、肩部210Aとの解放可能な係合状態に保持される。しかしながら、プランジャアウター220の係合突起220Aは、弾性的に曲がり易く、係合突起220Aがもはや上側ハウジング14によって径方向内側に圧縮されないまたは屈曲されないときに径方向外側(
図4に示される中空矢印の方向)に屈曲する。これは、例えば、第1の内径よりも幅広い第2の内径または内面を有するハウジング(例えば、下側ハウジング16)の部分へ向けてプランジャサブアセンブリが先端方向で軸方向に並進させられるときに起こり得る。係合突起220Aがプランジャインナー210の肩部210Aから離脱すると、プランジャインナー210は、後述するように、一体型引き込み機構の一環として、第1のエネルギー蓄積状態から第2の拡張状態へのプランジャスプリング270の(
図4に示される斜線矢印の方向の)拡張を促進させるためにプランジャアウター220から離脱される。プランジャサブアセンブリのそのような新規な実施形態は、更なる力が作動機構によって印加されることなく、引き込み機構の起動をもたらす。したがって、更なる力が作動機構によってプランジャサブアセンブリに印加されることなく、プランジャサブアセンブリの引き込み機構は、係合突起220Aが、第1の内径よりも幅広い第2の内径または内面を有するハウジングの部分に達した時点で起動することが許容される。好ましくは、第2の内径は、引き込み機構の起動および針アセンブリを通じて薬剤流体の全てを押し出すプランジャシールと適切に一致するハウジングの部分に配置されて寸法付けられる。自動注入器の少なくとも1つの実施形態において、第2の内径は、上側ハウジングに、下側ハウジングに、上側ハウジングと下側ハウジングとの間の接続部に、および/または、引き込み機構の起動および針アセンブリを通じて薬剤流体の全てを押し出すプランジャシールと適切に一致するハウジングの任意の部分に配置される。
【0029】
少なくとも1つの実施形態において、針アセンブリ40は、参照することにより本願に組み入れられる国際公開第2011/075760パンフレットに記載されるように引き込み機構と一体化する。
図9に示されるように、そのような針アセンブリ40は、カニューレ410、針本体420、リテーナ300、針シール430、および、エジェクタ600を含む。針アセンブリ40は、シリンジカートリッジのバレル202の先端に装着される。
図9は、プランジャシール800と針シール430との間の接触、針シール430とエジェクタ600との間の接触、および、エジェクタ600とリテーナ300のアーム320A,320Bとの間の接触により、リテーナ300のフック端部321A,321Bが、針アセンブリ40の引き込みのために針本体420から離脱するときの引き込み起動段階の構成要素を示す。カニューレ410は、いくつかの流体チューブであってもよいが、硬質スチール針などの硬質針であることが好ましい。引き込み起動前または引き込み起動時に、プランジャシール800のプランジャ凹部860は、針アセンブリ40の引き込みのために針本体420の基端セグメント425と係合する。引き込み起動段階については、
図5〜
図8における自動注入器100の動作に関連して以下で更に詳しく説明する。
図9は、自動注入器100内で用いるように構成可能な針アセンブリ40の一実施形態を示すにすぎない。一体型引き込み機構を有するいくつかの他の針アセンブリが同様に利用されてもよい。例えば、少なくとも1つの実施形態において、針アセンブリは、参照することにより本出願に組み入れられる米国特許出願公開第13/693,915号明細書に記載されるように引き込み機構と一体化してもよい。
【0030】
特に
図1〜
図3および
図5〜
図8を参照して、作動機構10、プランジャサブアセンブリ200、および、自動注入器100の動作について説明する。これらの実施形態において、バレル202の薬剤チャンバ222は、使用者内への注入に適した流体を収容する。
図5において明らかなように、装置の起動、針アセンブリの挿入、および、薬剤の送出を可能にするために、安全キャップ18(
図1Aにも示される)を下側ハウジング16から取り外すことができる。最初は、起動機構12は、上側ハウジング14のロッキング突起14Aと起動機構12のロッキング溝12Aとの間の解放可能な係合によって可能にされるロック形態にある。ロッキング溝12Aは、ロッキング突起14Aがその中で移動できる、
図1Bに示されるような起動機構の径方向外周に沿うチャネル、凹部、戻り止めなどであってもよい。最初は、ロッキング突起14Aは、起動機構12の押し下げを防止するロッキング溝12A内の位置にある。起動機構12は、ロック解除位置へ向けて長手方向軸線周りで回転されてもよく、ロック解除位置で、ロッキング突起14Aは、起動機構12の軸方向の押し下げを可能にするロッキング溝12Aの部分と位置合わせされる。随意的に、例えば、起動機構12を使用者動作までロック位置に維持するため、および、起動時に使用者触覚抵抗を与えるため、起動スプリング120が起動機構12内に及び/または起動機構と上側ハウジング14の基端との間に保持されてもよい。これは、その後に装置によって適切な注入手続きが行なわれるようにするため、ならびに針挿入および薬剤注入の前にキャップの取り外しが完了されるようにするための有用な使用者フィードバックを与える。
【0031】
図3Dおよび
図5に示される形態では、最初は、作動ピル104のロッキングフック104Aが上側ハウジング14のロッキングプラトー14Bと係合する。キャップの取り外しの後、および、例えば起動機構の軸方向回転による起動機構のロック解除の後、装置は、使用者の目標位置と接触して配置されるとともに、針挿入、薬剤送出、および、針引き込みのために起動されてもよい。前述したように、キャップ18の取り外しは、針シールド52も針アセンブリから取り外すように構成されてもよい。同様に、キャップ18の取り外しは、1つ以上の突出部150Aが径方向内側に屈曲して下側ハウジング16の切り欠き16Aから離脱できるようにする。したがって、キャップ18の取り外しは、自動注入器100の内部構成要素の先端方向の軸方向並進を可能にする。起動機構による自動注入器および作動機構の起動時、ロッキングフック104Aが径方向内側に移動させられてロッキングプラトー14Bから離脱させられる。そのような離脱時、作動スプリング102は、そのエネルギー蓄積状態から拡張することが許容され、それにより、作動ピル104を先端方向で軸方向に並進させる。この段階は、患者内への針挿入を開始するとともに、患者への薬剤送出を始める。
【0032】
図6Aおよび
図6Bは、装置が起動される前および起動された後における自動注入器を断面図で示す。作動機構の起動時、作動スプリング102は、そのエネルギー蓄積状態から拡張することが許容され、それにより、作動ピル104の先端方向の軸方向並進を引き起こす。作動ピル104の先端側の並進は、プランジャサブアセンブリ200の係合突起220Aと作動ピル104との間の、先端スロット104Cでの相互作用によって、プランジャサブアセンブリ200の先端側の並進を引き起こす。少なくとも最初に、そのような先端側の並進により、
図6Aと
図6Bとの間の移行において示されるように、シリンジカートリッジ全体が針挿入のためにスリーブ150と共に先端方向(すなわち、
図6Bの斜線矢印の方向)に移動する。前述したように、スリーブ150は、スリーブ150のブリッジ部150Bが下側ハウジング16の内面上の対応する深さ制限部16Bと接触するまで先端側に並進されてもよい。解放リング236とスリーブ150との間の相互作用に起因して、スリーブ150の動作範囲の制限は、解放リング236、シリンジバレル202、および、針アセンブリ40を有するシリンジカートリッジの軸方向並進も制限する。したがって、使用者内への針挿入深さは、スリーブ150のブリッジ部分150Bと下側ハウジング16の深さ制限部16Bとの間の相互作用によって制御され得る。
【0033】
スリーブ150およびシリンジカートリッジの更なる先端側並進が妨げられるので、作動ピル104によってプランジャサブアセンブリ200に印加される力は、プランジャサブアセンブリ200をシリンジカートリッジのバレル202内で先端側に並進させる。シリンジカートリッジの更なる先端側並進が妨げられるので、バレル202内のプランジャサブアセンブリ200の先端側並進により、液状治療薬剤などの流体が薬剤チャンバ222から針アセンブリ40のカニューレ410を通じて薬剤送出のために使用者内へ放出される。これは
図6Bと
図7との間の移行において見ることができる。構成要素の寸法および装置内の軸方向移動の長さは、針アセンブリ40内での引き込み機構の起動とほぼ同時に、または起動後に、プランジャサブアセンブリ200の係合突起220Aが下側ハウジング16の内側凹部16Dなどの第2の内径に達するように構成される。例えば、
図7に示されるように、本発明の少なくとも1つの実施形態では、プランジャシール800と針アセンブリ40の針シールとの間の係合の直後に係合突起220Aが下側ハウジング16の内側凹部16Dに達し、それにより、引き込みのためにプランジャシール800の凹部が針アセンブリ40の針本体のセグメント425を捕捉係合することが効果的に確保される。その後、係合突起220Aは、径方向外側(すなわち、
図7の中空矢印の方向)に屈曲して、引き込み機構の起動のためにプランジャインナー210の肩部210Aから離脱することができる。しかしながら、前述したように、第2の内径(例えば、内側凹部16D)は、上側ハウジングに、下側ハウジングに、上側ハウジングと下側ハウジングとの間の接続部に、および/または、引き込み機構の起動および針アセンブリを通じて薬剤流体の全てを押し出すプランジャシールと適切に一致するハウジングの任意の部分に配置されてもよい。
【0034】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、針引き込みは、国際公開第2011/075760号パンフレットに記載される針引き込みとほぼ同様であり、
図7〜
図11に関連して以下のように簡単に説明される。流体内容物の送出中、プランジャサブアセンブリ200は、
図7の斜線矢印の方向でバレル202を通じて軸方向に移動する。
図9に示されるように、プランジャシール800が針シール430と当接し、針シール430がエジェクタ600と当接する。これに加えて、エジェクタリング610が、リテーナ300のフック端部321A,321Bを
図9の中空矢印の方向で径方向外側に移動させ、それにより、針本体420をリテーナ300から離脱させて、その後の引き込みのために針本体420およびカニューレ410を解放する。この時点で、プランジャシール800の凹状座部810は、引き込み可能な針本体420のセグメント425と係合してしまっており、また、凹部860がカニューレ410の流体端部412を受けてしまっている。これは、プランジャインナー210がプランジャシール800の基端に接続されていることから、針本体420およびカニューレ410をプランジャインナー210に効果的に結合する。
【0035】
図7および
図10に示されるように、針本体420およびカニューレ410が流体内容物の送出の終わりに引き込むように、圧縮スプリング270が第2の拡張状態まで復元しなければならず、これは、プランジャインナー210から離脱するプランジャアウター220によって促進される。この離脱は、作動機構10によって印加される更なる力を伴わず、代わりに、プランジャアウター220の係合突起220Aが、第1の内径よりも幅広い第2の内径または内面を有するハウジング(例えば、下側ハウジング16)の部分に達することによって簡単になされる。したがって、更なる力が作動機構によってプランジャサブアセンブリに印加されることなく、プランジャサブアセンブリの引き込み機構は、係合突起220Aが、第1の内径よりも幅広い第2の内径または内面を有するハウジングの部分に達した時点で起動することが許容される。
図7および
図10は、第2の内径を有するハウジングのこの部分を下側ハウジング16の凹部16Dとして示す。流体をバレル202から注入するためにプランジャインナー210およびプランジャアウター220がほぼ完全に押し下げられる(すなわち、斜線矢印のように先端方向で軸方向に並進される)と、係合突起220Aは、下側ハウジング16の凹部16Dによって、径方向外側に(すなわち、中空矢印の方向に)屈曲してプランジャインナー210の肩部210Aから離脱することが許容される。この離脱により、圧縮スプリングなどのプランジャ付勢部材270は、そのエネルギー蓄積状態から拡張して、プランジャインナー210の張出部212(
図4および
図10に示される)を押圧することができ、それにより、プランジャインナー210を、それに結合されるプランジャシール800、針本体420、および、カニューレ410と共に引き込むことができる。プランジャアウター220は、実質的に下側ハウジング16の凹部16Dと接触または接続した状態のままであり、一方、針本体420およびカニューレ410に結合されたプランジャインナー210は、スプリング270の復元によって基端方向で軸方向に並進され、それにより、カニューレ410および針本体420を引き込む。プランジャサブアセンブリ200の簡略化された構造、および、プランジャアウター220の係合突起220Aとプランジャインナー210の肩部210Aとの間の解放可能な係合は、引き込み機構の起動のために必要な力を大きく低減する。
図8および
図11は、針引き込みが完了したときのプランジャスプリング270が第2の拡張状態にある自動注入器の構成要素を示す。この段階では、カニューレ410がハウジングおよび/またはバレル202内に(すなわち、
図8および
図11の斜線矢印の方向で)完全に引き込まれる。この針またはカニューレの引き込みは、それが統合された安全機能を与える一方で同時に正確な投与終了指標を使用者に与えるので、非常に望ましい。
【0036】
本発明の広さおよび範囲内にとどまりつつ、自動注入器100の特定の随意的な標準的構成要素または変形が考えられる。例えば、上側ハウジングまたは下側ハウジングは、随意的には、使用者が自動注入器の動作を見ることができるか、または薬剤投与が完了したことを確認できるようにするべく、
図1に示されるように1つ以上の透明または半透明な窓50を含んでもよい。また、カニューレ410を保護するために、
図5に示されるように随意的な針シールド52が利用されてもよい。針シールド52は、例えば、キャップ18に接続されてもよく、また、自動注入器100の動作前に取り外されてもよい。同様に、機能的に本発明の広さおよび範囲内にとどまりつつ、自動注入器100の構成要素のうちの1つ以上が変更されてもよい。例えば、前述したように、自動注入器100のハウジングが2つの別個の構成要素、すなわち、上側ハウジング14および下側ハウジング16として示されるが、これらの構成要素が単一の一体化された構成要素であってもよい。同様に、ハウジングの内面が方向性チャネルまたは案内経路を含んでもよく、これらの方向性チャネル内または案内経路内で、係合突起220Aが動作中に内部構成要素の回転方向の位置合わせを確保するべく並進してもよい。そのような標準的構成要素および機能的変形は、当業者によって認識され、したがって、本発明の広さおよび範囲内に入る。以上から分かるように、本明細書中に開示される作動機構、プランジャサブアセンブリ、および、自動注入器は、統合された安全機能と使用者への正確な投与終了指標とを伴う、薬剤容器からの自動薬剤送出のための効率的で操作が容易なシステムを提供する。また、本発明の新規な実施形態は、引き込み機構の起動のための力要件を最小限に抑え、それにより、低力安全統合自動注入器のための簡略化された構造を与える。
【0037】
作動機構10、プランジャサブアセンブリ200、自動注入器100、または、任意の個々の構成要素の組立ておよび/または製造は、当該技術分野におけるいくつかの既知の材料および方法を利用してもよい。例えば、イソプロピルアルコールやヘキサンなどのいくつかの既知の洗浄流体が構成要素および/または装置を洗浄するために使用されてもよい。いくつかの既知の接着剤または糊が製造プロセスで同様に使用されてもよい。また、新規な構成要素および装置の製造中に既知のシリコン処理流体およびプロセスが使用されてもよい。更に、最終製品の滅菌性を確保するために、製造段階または組立段階のうちの1つ以上で既知の滅菌プロセスが使用されてもよい。
【0038】
自動注入器は、いくつかの方法で組み立てられてもよい。一方法において、作動スプリングは、ハウジング内に挿入されるとともに、作動ピルの1つ以上のロッキングフックとハウジングのロッキングプラトーとを着脱可能に係合させることによってハウジングと作動ピルとの間で圧縮されてもよい。この形態において、作動スプリングは、最初は、作動ピルの上部のほぼ周囲にエネルギー蓄積状態で保持される。あるいは、作動スプリングおよび作動ピルは、作動スプリングが作動ピルの上部分内に存在するように構成されてもよい。作動スプリングおよび作動ピルの形態にかかわらず、プランジャサブアセンブリ、バレル、および、針アセンブリを備えるシリンジカートリッジは、プランジャサブアセンブリの基端が作動ピルと接触するようにハウジング内に挿入されてもよい。あるいは、プランジャサブアセンブリは、ハウジング内への構成要素の挿入前に作動ピルに接続されてもよい。例えば、プランジャアウターの基端が作動ピル内の先端スロットと接続してもよい。これは、例えば、プランジャサブアセンブリの回転方向の位置合わせを可能にし、略軸方向位置合わせからのプランジャサブアセンブリの変動を防止するとともに、作動機構の起動時にプランジャサブアセンブリに対する力の均一な分配を確保するのに役立つ。シリンジカートリッジは、例えば、治療薬剤を収容する事前充填されたシリンジなどのいくつかのシリンジであってもよい。好ましくは、シリンジは、前述したような事前充填される引き込み可能なシリンジである。シリンジバレルおよび針アセンブリは、作動機構とプランジャサブアセンブリとを収容する上部分とは別個のハウジングの下部分内に組み付けられてもよい。この組立方法は、ハウジング内のバレルの無菌充填、バレル内へのプランジャサブアセンブリの挿入、および、最終組立てのための上側ハウジングおよび下側ハウジングの構成要素の接続を容易にし得る。方法は、起動機構をハウジングに取り付けるステップを更に含んでもよく、この場合、起動機構は、起動時に作動ピルの1つ以上のロッキングフックと接触するように構成される。起動機構は、例えば自動注入器の出荷および保管のためにそれがロック形態にあるように配置されてもよい。また、方法は、自動注入器およびシリンジカートリッジの先端に対して針シールド態様を有するキャップを取り付けるか、または別個のキャップおよび針シールドを取り付けるステップを含んでもよい。
【0039】
前述したように、自動注入器の1つ以上の構成要素を互いに取り付けるために糊または接着剤が利用されてもよい。あるいは、自動注入器の1つ以上の構成要素が一体化された構成要素であってもよい。例えば、上側ハウジングおよび下側ハウジングは、糊または接着剤、螺合接続、締まり嵌めなどによって互いに取り付けられる別個の構成要素であってもよく、あるいは、上側ハウジングおよび下側ハウジングが単一の一体化された構成要素であってもよい。同様に、本発明の少なくとも1つの実施形態において、作動ピルおよびプランジャアウターは、プランジャインナーと着脱可能に係合する単一の一体化された構成要素であってもよい。そのような一体化された構成要素は1つ以上の係合突起を利用し、該係合突起は、係合突起がプランジャインナーから外れるように径方向外側に屈曲できるようにする凹部または第2の内径を有するハウジングの部分へ係合突起が軸方向に並進されるまで、ハウジングの内面によってプランジャインナーと係合状態に保持される。これらの構成要素は、個別に、または一緒に滅菌されてもよく、また、滅菌環境内で組み立てられ、または組み立て後に滅菌されてもよい。同様に、本発明の実施形態の組み立ては、いくつかの他の標準的な製造手法を利用してもよい。
【0040】
自動注入器はいくつかの異なる方法で利用されてもよい。例えば、一実施形態において、自動注入器を動作させる方法は、(i)作動ピルの1つ以上のロッキングフックをハウジングのロッキングプラトーから離脱させるステップを含み、この場合、そのような離脱は、作動スプリングがその初期のエネルギー蓄積状態からハウジングの長手方向軸線にほぼ沿って拡張できるようにする。作動スプリングの拡張は、自動注入器の軸線にほぼ沿って先端方向で作動機構を並進させる。作動機構の並進は、プランジャサブアセンブリの先端方向の並進を引き起こす。プランジャサブアセンブリのプランジャアウター構成要素の1つ以上の係合突起がハウジングの内面の1つ以上の凹部に達すると、係合突起は、プランジャインナーの対応する肩部から離脱することが許容される。好ましい実施形態において、この離脱は、プランジャサブアセンブリの1つ以上の係合突起が、より幅広い内径または凹部を有するハウジングの部分に達するときに起こり、その場合、これは、プランジャシール800と針アセンブリ40の針シールとの間の係合または接触の直後に起こる。少なくとも1つの実施形態において、この形態は、引き込みのために針シール800の凹部が、針アセンブリ40の針本体のセグメント425を捕捉係合することを効果的に確保する。作動機構は、最初は、患者内への針挿入および薬剤送出をもたらしてもよい。その後、作動機構は、前述したように、シリンジカートリッジの引き込み機構を起動させてもよい。方法は、物質を受容体へ送出するために自動注入器のプランジャサブアセンブリを動作させるステップを更に含んでもよい。ステップ(i)の前に、方法は、前述したように、起動機構のロックを解除して、起動機構を起動させるステップを更に含んでもよい。
【0041】
明細書の全体にわたって、目的は、本発明を任意の1つの実施形態または特定の一群の特徴に限定することなく本発明の好ましい実施形態を説明することであった。本発明から逸脱することなく、図示して説明した実施形態に対して様々な変更および改良がなされてもよい。
【0042】
この明細書で言及された各特許および科学文献、コンピュータプログラム、ならびに、アルゴリズムの開示は、参照することによりその全体が本願に組み入れられる。
[発明の項目]
[項目1]
1つ以上の係合突起(220A)を有するプランジャアウター(220)と、肩部(210A)を有するプランジャインナー(210)と、前記プランジャアウター(220)の前記係合突起(220A)が前記プランジャインナー(210)の前記肩部(210A)と解放可能に係合されるときに、前記プランジャアウター(220)と前記プランジャインナー(210)との間に第1のエネルギー蓄積状態で保持されるプランジャ付勢部材(270)とを備える自動注入器(100)のための低引き込み起動力プランジャサブアセンブリ(200)。
[項目2]
前記プランジャ付勢部材(270)が圧縮スプリングである、項目1に記載のプランジャサブアセンブリ(200)。
[項目3]
前記プランジャ付勢部材(270)は、前記プランジャインナー(210)の張出部(212)と前記プランジャアウター(220)のベース(225)との間に前記第1のエネルギー蓄積状態で保持される、項目1または2に記載のプランジャサブアセンブリ(200)。
[項目4]
前記1つ以上の係合突起(220A)は、前記プランジャ付勢部材(270)が前記第1のエネルギー蓄積状態から第2の拡張状態へ拡張できるようにするために、前記プランジャインナー(210)の肩部(210A)との係合から解放するように略径方向に屈曲できる、項目1〜3のいずれか一項に記載のプランジャサブアセンブリ(200)。
[項目5]
前記プランジャインナーは、プランジャシール(800)の相補的な係合凹部(820)と係合するためのシール係合部材(216)を有する、項目1〜4のいずれか一項に記載のプランジャサブアセンブリ(200)。
[項目6]
前記プランジャアウター(220)は、前記プランジャインナー(210)の前記肩部(210A)との解放可能な係合のための2つの係合突起(220A)を有する、項目1〜5のいずれか一項に記載のプランジャサブアセンブリ(200)。
[項目7]
ハウジング(14,16)と、起動機構(12)と、作動機構(10)と、プランジャサブアセンブリ(200)および針アセンブリ(40)を有するシリンジカートリッジ(20)とを備え、前記作動機構(10)は、作動ピル(104)のほぼ上部分内に初期エネルギー蓄積状態で存在する作動付勢部材(102)を備え、前記プランジャサブアセンブリ(200)は、1つ以上の係合突起(220A)を有するプランジャアウター(220)と、肩部(210A)を有するプランジャインナー(210)と、前記プランジャアウター(220)の前記係合突起(220A)が前記プランジャインナー(210)の前記肩部(210A)と解放可能に係合されるときに、前記プランジャアウター(220)と前記プランジャインナー(210)との間に第1のエネルギー蓄積状態で保持されるプランジャ付勢部材(270)とを備える、自動注入器(100)。
[項目8]
前記作動付勢部材(102)および前記プランジャ付勢部材(270)がそれぞれ圧縮スプリングである、項目7に記載の自動注入器(100)。
[項目9]
前記プランジャ付勢部材(270)は、前記プランジャインナー(210)の張出部(212)と前記プランジャアウター(220)のベース(225)との間に前記第1のエネルギー蓄積状態で保持される、項目7または8に記載の自動注入器(100)。
[項目10]
前記1つ以上の係合突起(220A)は、前記プランジャ付勢部材(270)が前記第1のエネルギー蓄積状態から第2の拡張状態へ拡張できるようにするために、前記プランジャインナー(210)の肩部(210A)との係合から解放するように略径方向に屈曲できる、項目7〜9のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
[項目11]
前記プランジャインナーは、プランジャシール(800)の相補的な係合凹部(820)と係合するためのシール係合部材(216)を有する、項目7〜10のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
[項目12]
前記プランジャアウター(220)は、前記プランジャインナー(210)の前記肩部(210A)との解放可能な係合のための2つの係合突起(220A)を有する、項目7〜11のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
[項目13]
前記作動ピル(104)は、前記ハウジング(14,16)の内側基端にあるロッキングプラトー(14B)と最初に係合する1つ以上のロッキングフック(104A)を前記第1の作動ピル(104)の基端に有する、項目7〜12のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
[項目14]
前記起動機構(12)は、前記ロッキングフック(104A)を前記ハウジング(14,16)の前記ロッキングプラトー(14B)から離脱させるために、前記作動ピル(104)の前記1つ以上のロッキングフック(104A)と係合できる、項目13に記載の自動注入器(100)。
[項目15]
前記ハウジング(14,16)の内面に1つ以上の凹部(16D)を更に備え、前記1つ以上の係合突起(220A)が前記凹部(16D)と相互作用すると、前記係合突起(220A)の前記凹部(16D)内への略径方向の屈曲により、前記係合突起(220A)が前記プランジャインナー(210)の前記肩部(210A)から離脱でき、それにより、前記プランジャ付勢部材(270)が前記第1のエネルギー蓄積状態から第2の拡張状態へ拡張できる、項目7〜14のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
[項目16]
前記シリンジカートリッジ(20)は、引き込み可能な針アセンブリ(40)を有する引き込み可能なシリンジである、項目7〜15のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
[項目17]
前記針アセンブリ(40)がカニューレ(410)と針シール(430)とを備える、項目16に記載の自動注入器(100)。
[項目18]
前記プランジャサブアセンブリ(200)は、前記カニューレ(410)の引き込みを容易にするために前記針アセンブリ(40)と係合できる、項目17に記載の自動注入器(100)。
[項目19]
引き込みがプランジャ付勢部材(270)によって促される、項目18に記載の自動注入器(100)。
[項目20]
前記プランジャサブアセンブリ(200)、前記作動ピル(104)、および、作動付勢部材(102)は、前記プランジャインナー(210)の前記肩部(210A)からの前記プランジャアウター(220)の前記係合突起(220A)の離脱時に、前記作動ピル(104)および前記作動付勢部材(102)を介して前記プランジャインナー(210)が基端方向で軸方向に並進できるようにするべく構成される、項目7〜19のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
[項目21]
前記プランジャサブアセンブリ(200)は、前記針アセンブリ(40)の引き込みを容易にするために、前記プランジャインナー(210)の前記肩部(210A)からの前記プランジャアウター(220)の前記係合突起(220A)の離脱前に、または離脱とほぼ同時にプランジャシール(800)と針シール(430)との間の接触を可能にするように構成される、項目7〜20のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
[項目22]
最初はキャップ(18)によってハウジング(14,16)の内面の対応する切り欠き(16A)内の係合位置に保持される1つ以上の突出部(150A)を有するスリーブ(150)を更に備え、前記キャップ(18)の取り外し時に、突出部(150A)は、前記切り欠き(16A)から離脱するように径方向内側に屈曲することが許容される、項目7〜21のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
[項目23]
前記スリーブ(150)は、スリーブ(150)のブリッジ部(150B)が前記ハウジング(14,16)の内面の対応する深さ制限部(16B)と接触するまで先端方向に軸方向並進できるように構成される、項目22に記載の自動注入器(100)。
[項目24]
前記ハウジング(14,16)内に1つ以上の窓(50)を更に備え、前記窓が透明、不透明、または、半透明である、項目7〜23のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
[項目25]
前記起動機構(12)と前記ハウジング(14,16)の基端との間に触覚付勢部材(120)を更に備える、項目7〜24のいずれか一項に記載の自動注入器(100)。
[項目26]
項目7〜25のいずれか一項に記載の自動注入器(100)を組み立てる方法であって、
(i)作動付勢部材(102)をハウジング(14,16)内に挿入するとともに、前記作動ピル(104)の1つ以上のロッキングフック(104A)と前記ハウジング(14,16)のロッキングプラトー(14B)とを着脱可能に係合させることによって、前記作動付勢部材(102)を前記ハウジング(14,16)と前記作動ピル(104)との間で圧縮するステップであって、前記作動付勢部材(102)が最初は前記作動ピル(104)のほぼ上部分内でエネルギー蓄積状態に維持されるステップと、
(ii)1つ以上の係合突起(220A)を有するプランジャアウター(220)と、肩部(210A)を有するプランジャインナー(210)と、前記プランジャアウター(220)の前記係合突起(220A)が前記プランジャインナー(210)の前記肩部(210A)と解放可能に係合されるときに、前記プランジャアウター(220)と前記プランジャインナー(210)との間に第1のエネルギー蓄積状態で保持されるプランジャ付勢部材(270)とを備えるプランジャサブアセンブリ(200)を組み付けるステップと、
(iii)前記プランジャサブアセンブリ(200)の基端が前記作動ピル(104)と接触するように前記プランジャサブアセンブリ(200)を前記ハウジング(14,16)内に挿入するステップと
を備える方法。
[項目27]
起動機構(12)を前記ハウジング(14,16)に取り付けるステップを更に備え、前記起動機構(12)は、起動時に前記第1の作動ピル(104)の1つ以上のロッキングフック(104A)と接触するように構成される、項目26に記載の方法。
[項目28]
前記プランジャアウター(220)の前記係合突起(220A)は、前記ハウジング(14,16)の第1の内径によって前記プランジャインナー(210)の前記肩部(210A)との解放可能な係合形態に維持される、項目26または項目27に記載の方法。
[項目29]
(iv)シリンジカートリッジ(20)の薬剤チャンバ(222)に薬剤流体を充填するステップと、
(v)前記プランジャサブアセンブリ(200)の先端を前記シリンジカートリッジ(20)の基端に挿入するステップと
を更に備える、項目26〜28のいずれか一項に記載の方法。
[項目30]
ステップ(iv)およびステップ(v)がステップ(iii)の前または後に起こり得る、項目29に記載の方法。