特許第6182869号(P6182869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182869
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】音声再生装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/04 20060101AFI20170814BHJP
   H03H 21/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H04R3/04 102
   H03H21/00
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-5022(P2013-5022)
(22)【出願日】2013年1月16日
(65)【公開番号】特開2014-138226(P2014-138226A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】710014351
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】日月 伸也
【審査官】 菊池 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−139995(JP,A)
【文献】 特開平11−055782(JP,A)
【文献】 特開2007−060648(JP,A)
【文献】 特開2000−253486(JP,A)
【文献】 特開2004−109286(JP,A)
【文献】 特開2001−086585(JP,A)
【文献】 特開2006−135993(JP,A)
【文献】 特開平10−070787(JP,A)
【文献】 米国特許第06408079(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0092004(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0092057(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00− 3/14
H03H 19/00−21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動電型スピーカーと、該動電型スピーカーの非線形歪特性を反映した非線形歪補正信号を生成する信号処理回路と、を含む音声再生装置であって、
該信号処理回路が、入力音声信号が入力されるn次(n:2以上の整数)非線形歪生成部と、該n次非線形歪生成部の出力信号に基づいて該非線形歪補正信号を生成する非線形歪補正信号生成部と、該非線形歪補正信号生成部からの出力信号を増幅して該動電型スピーカーへ出力する増幅部と、を備え、
該n次非線形歪生成部が、該動電型スピーカーの線形パラメータより設定される線形フィルタ部と、該線形パラメータおよび該動電型スピーカーの非線形パラメータにより設定されるn次ヴォルテラフィルタ部と、を含み、該入力音声信号に対する該線形フィルタ部の出力および該入力音声信号に対する該n次ヴォルテラフィルタ部の出力を加算して該非線形歪補正信号生成部へ出力し、
該非線形歪補正信号生成部が、該n次非線形歪生成部の出力信号と、該動電型スピーカーの該線形パラメータおよび該非線形パラメータと、に基づいて該非線形歪補正信号を生成する、
音声再生装置。
【請求項2】
前記信号処理回路の前記n次非線形歪生成部の前記n次ヴォルテラフィルタ部が、2次ヴォルテラフィルタを少なくとも含み、次数nが3以上の場合には、該2次ヴォルテラフィルタに並列接続されるn次ヴォルテラフィルタをそれぞれさらに含み、前記動電型スピーカーから再生される(n+1)次以上の高調波歪成分を低減するように前記非線形歪補正信号を生成する、
請求項1に記載の音声再生装置。
【請求項3】
前記信号処理回路の前記n次非線形歪生成部の前記n次ヴォルテラフィルタ部が、それぞれのヴォルテラフィルタの出力に係数αnを乗算する乗算器を有し、該乗算器の該係数αnを変更することにより、前記動電型スピーカーから再生されるn次以上の高調波歪成分を低減する、または、低減しないように前記非線形歪補正信号を生成する、
請求項2に記載の音声再生装置。
【請求項4】
前記動電型スピーカーの前記非線形パラメータが、少なくとも前記予測変位xをパラメータとして変化する力係数bl(x)、並びに、スティフネスk (x)を含み、該予測変位xの2次以上の多項式により近似される、
請求項1から3のいずれかに記載の音声再生装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動電型スピーカーの非線形歪特性を反映した非線形歪補正信号を生成する信号処理回路を含む音声再生装置であって、動電型スピーカーの非線形モデルの線形パラメータおよび非線形パラメータを推定したうえで、動電型スピーカーが再生する音声に含まれる非線形歪を低減させるように非線形歪補正信号を生成する音声再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可聴音域の音波を再生する動電型スピーカーの主流である直接放射型のスピーカーでは、振動板およびボイスコイルを含むスピーカー振動系を、エッジおよびダンパーの支持系により1自由度で振動可能に支持している。また、磁気回路の磁気空隙に配置されるスピーカー振動系のボイスコイルは、音声信号電流が流されると、磁気空隙の磁界により駆動力を受けるので、スピーカー振動系が音声信号に因って振動して空気の圧力変化を生じさせ、その結果、動電型スピーカーから音声が再生される。動電型スピーカーの音圧周波数特性は、ボイスコイル変位xが小さくなる最低共振周波数f0以上の周波数帯域で、入力電圧に略比例するようになる。動電型スピーカーの音圧周波数特性は、入力信号レベルに対して再生される音圧レベルが大きくなる能率が高いものが好ましく、また、最低共振周波数f0が低くて再生可能な周波数帯域が広いものが好ましい。
【0003】
一方で、動電型スピーカーでは、音声信号成分には含まれていない非線形歪成分(高調波歪、混変調歪、等)の音圧レベルが低いことが好ましい。ボイスコイル変位xが大きい最低共振周波数f0以下の周波数帯域では、動電型スピーカーは、音声信号成分には含まれていない好ましくない非線形歪成分(高調波歪、混変調歪、等)を大きなレベルで再生してしまう場合がある。これは、磁気回路の磁気空隙における磁束密度が一定でなく、磁束密度とコイル長の積である力係数Blがボイスコイル変位xに伴って変化すること、および、支持系を構成するエッジおよびダンパーのスティフネスkが一定でなく、ボイスコイル変位xに伴って変化すること、が主な原因であることが知られている。同様に、動電型スピーカーでは、ボイスコイルのインダクタンスLがボイスコイル変位xに伴って変化することもよく知られている。したがって、振動板の表面積が小さくて低音域の再生能力が乏しい動電型スピーカーでは、最低共振周波数f0以下の周波数帯域の音声信号をブーストする(増幅率(ゲイン)を相対的に大きくする)ことで実質的に再生可能な周波数帯域を低く拡大しようとする場合に、線形成分である基本波に対して非線形歪成分である高調波歪または混変調歪が相対的に著しく大きくなるという問題がある。
【0004】
動電型スピーカーにおいて非線形歪が増大すると、再生音質が低下するという問題がある。本願の出願人は、スピーカーの評価を目的として基準音に対する倍音の検知閾を測定した結果について発表している(非特許文献1)。音声信号が純音であれば、非線形性により発生した基準音に対する倍音は、基本波に対する高調波歪成分に相当する。非特許文献1から、高調波歪成分が相対的に大きくなると検知可能になること、および、基準音の音圧レベルおよび周波数により倍音検知閾が変化すること、倍音次数が上がるほど検知閾が下がること、等が分かる。
【0005】
従来には、動電型スピーカーが再生する音声に含まれる非線形歪を低減させるように、非線形歪補正信号を生成する音声再生装置がある(非特許文献2)。例えば、動電型スピーカーの非線形歪をフィードフォワード方式で補正して歪を減少させる方法が開示されている(特許文献1)。本願の出願人は、2次以上の非線形IIRフィルタという構成で特許文献1と同等の非線形歪補正方法を実現した(特許文献2)。これらの方法は、動電型スピーカーをモデル化し、線形パラメータであるシールスモールパラメータと、ボイスコイル変位xに伴う非線形パラメータとを求めて、非線形歪補正信号を生成する方法を採っている。つまり、入力信号からボイスコイル変位xを予測して、変位xを非線形パラメータの引数にして、線形化に必要な補正信号を生成するという方法である。これらの非線形歪補正の方法は、動電型スピーカーの非線形モデルに基づいているのでモデルの理解が容易であり、ヴォルテラフィルタ(Volterra filter)を用いるような他の方法(特許文献3)に比較して、高次の非線形歪補正信号の生成も比較的に容易であるという利点がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1または2の従来技術では、動電型スピーカーの特定の次数の高調波歪成分について、増減を調整するのが難しいという問題がある。これは、特許文献1または2の従来技術が、動電型スピーカーを1自由度振動系の線形モデルを基礎に、一部の非線形パラメータをボイスコイル変位xを引数にして非線形モデル化しているので、主要な非線形パラメータが相互に影響を及ぼすからである。例えば、主な偶数次歪成分である2次高調波歪のみを低減する、あるいは、主な奇数次歪成分である3次高調波歪のみを低減する、等のコントロールができれば、動電型スピーカーにおける再生音質の調整が可能になるという利点がある。したがって、動電型スピーカーの非線形歪補正の方法を改善することが要望されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「スピーカの評価を目的とした倍音検知閾の測定」日本音響学会 聴覚研究会資料 40(10), 839-844, 2010-12-10 、平野仁 、久本 禎俊、定家弘一 (オンキヨー株式会社)
【非特許文献2】「信号処理技術によるスピーカシステムの非線形歪補正」日本音響学会誌 67巻10号(2011),pp.470−475 梶川 嘉延(関西大学システム理工学部)
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許 5,438,625公報
【特許文献2】特許第3785629号公報
【特許文献3】特許第4034853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、動電型スピーカーの非線形歪特性を反映した非線形歪補正信号を生成する信号処理回路を含む音声再生装置であって、動電型スピーカーが再生する音声に含まれる非線形歪を低減させることを含めて調整可能にする非線形歪補正信号を生成する音声再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の音声再生装置は、動電型スピーカーと、動電型スピーカーの非線形歪特性を反映した非線形歪補正信号を生成する信号処理回路と、を含む音声再生装置であって、信号処理回路が、入力音声信号が入力されるn次(n:2以上の整数)非線形歪生成部と、n次非線形歪生成部の出力信号に基づいて非線形歪補正信号を生成する非線形歪補正信号生成部と、非線形歪補正信号生成部からの出力信号を増幅して動電型スピーカーへ出力する増幅部と、を備え、n次非線形歪生成部が、動電型スピーカーの線形パラメータより設定される線形フィルタ部と、線形パラメータおよび動電型スピーカーの非線形パラメータにより設定されるn次ヴォルテラフィルタ部と、を含み、入力音声信号に対する線形フィルタ部の出力および入力音声信号に対するn次ヴォルテラフィルタ部の出力を加算して非線形歪補正信号生成部へ出力し、非線形歪補正信号生成部が、n次非線形歪生成部の出力信号と、動電型スピーカーの線形パラメータおよび非線形パラメータと、に基づいて非線形歪補正信号を生成する。
【0011】
また、好ましくは、本発明の音声再生装置は、信号処理回路のn次非線形歪生成部のn次ヴォルテラフィルタ部が、2次ヴォルテラフィルタを少なくとも含み、次数nが3以上の場合には、2次ヴォルテラフィルタに並列接続されるn次ヴォルテラフィルタをそれぞれさらに含み、動電型スピーカーから再生される(n+1)次以上の高調波歪成分を低減するように非線形歪補正信号を生成する。
【0012】
また、好ましくは、本発明の音声再生装置は、信号処理回路のn次非線形歪生成部のn次ヴォルテラフィルタ部が、それぞれのヴォルテラフィルタの出力に係数αnを乗算する乗算器を有し、乗算器の係数αnを変更することにより、動電型スピーカーから再生されるn次以上の高調波歪成分を低減する、または、低減しないように非線形歪補正信号を生成する。
【0013】
また、好ましくは、本発明の音声再生装置は、動電型スピーカーの非線形パラメータが、少なくとも予測変位xをパラメータとして変化する力係数bl(x)、並びに、スティフネスk (x)を含み、予測変位xの2次以上の多項式により近似される。
【0014】
以下、本発明の作用について説明する。
【0015】
本発明の音声再生装置は、動電型スピーカーと、動電型スピーカーの非線形歪特性を反映した非線形歪補正信号を生成する信号処理回路と、を含む音声再生装置である。信号処理回路は、動電型スピーカーが再生する音声に含まれる非線形歪を低減させることを含めて調整可能にする非線形歪補正信号を生成する。信号処理回路は、入力音声信号が入力されるn次(n:2以上の整数)非線形歪生成部と、n次非線形歪生成部の出力信号に基づいて非線形歪補正信号を生成する非線形歪補正信号生成部と、非線形歪補正信号生成部からの出力信号を増幅して動電型スピーカーへ出力する増幅部と、を備える。
【0016】
ここで、音声再生装置の信号処理回路は、n次非線形歪生成部が、動電型スピーカーの線形パラメータより設定される線形フィルタ部と、線形パラメータおよび動電型スピーカーの非線形パラメータにより設定されるn次ヴォルテラフィルタ部と、を含む。n次非線形歪生成部では、入力音声信号に対する線形フィルタ部の出力および入力音声信号に対するn次ヴォルテラフィルタ部の出力を加算して非線形歪補正信号生成部へ出力する。具体的には、n次非線形歪生成部のn次ヴォルテラフィルタ部は、2次ヴォルテラフィルタを少なくとも含む。次数nが3以上の場合には、n次非線形歪生成部は、2次ヴォルテラフィルタに並列接続されるn次ヴォルテラフィルタをそれぞれさらに含み、動電型スピーカーから再生される(n+1)次以上の高調波歪成分を低減するように、非線形歪補正信号生成部に非線形歪補正信号を生成させることができる。
【0017】
次に、信号処理回路の非線形歪補正信号生成部は、n次非線形歪生成部の出力信号と、動電型スピーカーの線形パラメータおよび非線形パラメータと、に基づいて非線形歪補正信号を生成する。非線形歪補正信号生成部は、入力音声信号に対して増幅部を介して接続される動電型スピーカーの非線形歪を低減するように調整されている。動電型スピーカーの線形パラメータおよび非線形パラメータは、入力音声信号に対するボイスコイルの線形予測変位xに基づいて特定されている。したがって、信号処理回路の非線形歪補正信号生成部は、入力される信号が線形応答であり非線形歪成分を含まない場合に、動電型スピーカーの非線形歪を最小になるように動作する。その一方で、非線形歪補正信号生成部は、n次非線形歪生成部からの出力信号が特定の非線形歪成分を含む場合には、動電型スピーカーの対応する非線形歪を低減しないように動作する。
【0018】
つまり、n次非線形歪生成部は、特定のn次非線形成分のみを非線形歪補正の対象にしないように、非線形歪補正信号生成部を調整できる。動電型スピーカーから再生される(n+1)次以上の高調波歪成分は、非線形歪補正信号生成部の本来の動作により非線形歪を低減できるからである。好ましくは、信号処理回路のn次非線形歪生成部のn次ヴォルテラフィルタ部が、それぞれのヴォルテラフィルタの出力に係数αnを乗算する乗算器を有していれば、乗算器の係数αnを変更することにより、動電型スピーカーから再生されるn次以上(n次を含む)の高調波歪成分を低減する、または、低減しないように非線形歪補正信号を生成することができる。
【0019】
動電型スピーカーの非線形パラメータは、少なくとも予測変位xをパラメータとして変化する力係数Bl(x)、並びに、スティフネスK(x)を含む。これらを予測変位xの2次以上の多項式により近似すれば、動電型スピーカーから再生される(n+1)次以上の高調波歪成分を低減する対象に選択することができる。非線形パラメータである力係数並びにスティフネスは、少なくとも2次の多項式
(Bl(x)=b0+b1・x+b2・x^2、K(x)=k0+k1・x+k2・x^2:b1、k1、b2およびk2は、一定値の係数。)で近似することができ、非対称性を示す係数b1およびk1が偶数次の歪に主に影響し、非線形性を示す係数b2およびk2が奇数次の歪に主に影響することはよく知られている。しかし、特定のn次の非線形歪成分を非線形歪補正の対象にするかどうかの調整は、係数b1、k1、b2およびk2の組み合わせになるために調整が困難である。本発明の場合には、信号処理回路のn次非線形歪生成部のn次ヴォルテラフィルタ部の構成を変えることで、動電型スピーカーから再生される特定のn次以上(n次を含む)の高調波歪成分を低減する、または、低減しないように非線形歪補正信号を生成することができるという利点がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明の音声再生装置は、動電型スピーカーの非線形歪特性を反映した非線形歪補正信号を生成する信号処理回路を含む音声再生装置であって、動電型スピーカーが再生する音声に含まれる非線形歪を低減させることを含めて調整可能にする非線形歪補正信号を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の好ましい実施形態による音声再生装置1について説明する図である。(実施例1)
図2】音声再生装置1を構成するスピーカーシステム3の力係数の非線形性を示すグラフである。(実施例1)
図3】音声再生装置1を構成するスピーカーシステム3のスティフネスの非線形性を示すグラフである。(実施例1)
図4】音声再生装置1のスピーカーシステム3からの再生音に含まれる非線形歪について説明するグラフである。(実施例1)
図5】音声再生装置1のスピーカーシステム3からの再生音に含まれる非線形歪について説明するグラフである。(実施例1)(実施例1)
図6】音声再生装置1のスピーカーシステム3からの再生音に含まれる非線形歪について説明するグラフである。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態による音声再生装置について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の好ましい実施形態による音声再生装置1について説明する図である。具体的には、図1は、音声再生装置1の構成を示すブロック図である。また、図2は、音声再生装置1を構成するスピーカーシステム3の力係数の非線形性を示すグラフである。また、図3は、スピーカーシステム3のスティフネスの非線形性を示すグラフである。また、図4〜6は、音声再生装置1のスピーカーシステム3からの再生音に含まれる非線形歪について説明するグラフである。なお、説明に不要な一部の構造や、内部構造等は、図示ならびに説明を省略している。
【0024】
音声再生装置1は、信号処理回路2と、スピーカーシステム3と、から構成される。音声再生装置1は、入力端子Inputに入力されるデジタル音声信号を、内蔵するDSP5で信号処理し、D/A変換器6でアナログ信号に変換した後にアンプ回路7を介してスピーカーシステム3に出力する。スピーカーシステム3は、キャビネット30に動電型スピーカー31が取り付けられて構成されている。動電型スピーカー31の後述するボイスコイル33には、接続線32を介して信号処理回路2からの出力信号が供給される。したがって、動電型スピーカー31のボイスコイル33および振動板34が振動すると、音声再生装置1は、音声信号を音波に変換して音声を再生することができる。
【0025】
信号処理回路2は、音声再生装置1の動作を制御する制御回路4と、デジタル音声信号を入力して信号処理するDSP(デジタルシグナルプロセッサ)5と、DSP5の出力を受けてアナログ信号に変換するD/A変換器6、および、これらのアナログ信号をそれぞれ増幅してスピーカーシステム3へ出力するアンプ回路7と、を少なくとも含む。DSP5を制御する制御回路4は、D/A変換器6およびアンプ回路7でのゲインA(増幅率)をDSP5に反映させるものであってもよい。本実施例の信号処理回路2は、モノラル信号を対象に説明しているが、ステレオ信号(左信号Lおよび右信号R)を対象としてDSP5に供給されてもよい。具体的には、信号処理回路2は、DSPおよびアンプ回路を内蔵するオーディオ製品(ステレオアンプ、AVレシーバー、等)により構成し得る。もちろん、信号処理回路2は、DSPと、D/A変換器と、アンプ回路と、を含む他の音声再生装置により構成してもよい。
【0026】
スピーカーシステム3は、密閉型スピーカーの音響容量を規定するキャビネット30と、直接放射型の動電型スピーカー31とから構成される。図1において断面図で示す動電型スピーカー31では、ボイスコイル33および振動板34が、エッジ35およびダンパー36によって図示する矢印xの一軸方向に振動可能に支持されている。動電型スピーカー31のフレーム37は、動電型スピーカー31をキャビネット30に固定すると共に、磁気空隙を有する磁気回路38の位置を固定する。したがって、ボイスコイル33および振動板34は、音声信号電流が流されると、磁気回路38の磁気空隙の磁界により駆動力を受けて相対的に振動する。音声信号電流が流されていない場合のボイスコイル33の静止位置を変位x=0とする。
【0027】
スピーカーシステム3の最低共振周波数f0は、動電型スピーカー31のボイスコイル33および振動板34に起因する重量m0と、エッジ35およびダンパー36ならびにキャビネット30の空気の音響容量に起因するスティフネスKと、により定まる。動電型スピーカー31のスティフネスKは、動電型スピーカー31のボイスコイル33および振動板34の重量m0を支持するバネの固さを意味する。動電型スピーカー31のスティフネスKは、ボイスコイル変位xの絶対値が小さい時に比較して、ボイスコイル変位xの絶対値が大きくなればバネとして固くなるといえるので、ボイスコイル変位xによって変化する非線形パラメータK(x)とみなすことができる。例えば、図3のグラフにおいて実線で図示するように、動電型スピーカー31を含むスピーカーシステム3のスティフネスKは、ボイスコイル変位xの絶対値が小さいときには変化量が少ない一方で、ボイスコイル変位xの絶対値が大きくなるにつれて大きくなるように変化する。
【0028】
スピーカーシステム3の音圧周波数特性は、動電型スピーカー31の能率が高いほど、音圧レベルが高くなる。動電型スピーカー31の能率は、磁束密度とコイル長の積である力係数Blと、ボイスコイル33および振動板34に起因する重量m0と、等より定まる。動電型スピーカー31の磁気回路38の磁気空隙は有限なので、磁束密度は、ボイスコイル変位xに対して一定にならずに変化する。一般的に、ボイスコイル変位xの絶対値が小さい時に比較して、ボイスコイル変位xの絶対値が大きくなれば、力係数Blは小さくなるので、ボイスコイル変位xによって変化する非線形パラメータBl(x)とみなすことができる。例えば、図2のグラフにおいて実線で図示するように、スピーカーシステム3を構成する動電型スピーカー31の力係数Blは、最も大きくなる位置がボイスコイルの静止位置(x=0)からずれて非対称になっており、ボイスコイル変位xの絶対値が大きくなるにつれて小さくなるように変化する。
【0029】
動電型スピーカー31を含むスピーカーシステム3では、最低共振周波数f0以下の周波数帯域の音声信号をブーストすることで実質的に再生可能な周波数帯域を低く拡大しようとする場合に、線形成分である基本波に対して非線形歪成分である高調波歪または混変調歪が相対的に著しく大きくなる。つまり、ボイスコイル変位xの絶対値が大きくなると、非線形パラメータであるスティフネスK(x)および力係数Bl(x)がボイスコイル変位xに伴って変化するので、振幅変調が発生して非線形歪成分が音声信号に含まれることになる。したがって、この音声再生装置1の信号処理回路2は、n次非線形歪生成部20および非線形歪補正信号生成部10を構成するDSP5において、動電型スピーカー31を含むスピーカーシステム3の非線形歪特性を反映した非線形歪補正信号を生成し、スピーカーシステム3が再生する音声に含まれる非線形歪を低減させることができる。
【0030】
信号処理回路2の制御回路4は、n次非線形歪生成部20に、スピーカーシステム3の線形パラメータを反映させた線形フィルタ部21と、非線形パラメータを反映させたn次ヴォルテラフィルタ部22〜23を設定する。本実施例では、n次ヴォルテラフィルタ部として、2次ヴォルテラフィルタ部22と、3次ヴォルテラフィルタ部23を構成する場合を図示する。2次ヴォルテラフィルタ部22の出力には係数α2を乗算する乗算器25が設けられており、3次ヴォルテラフィルタ部23の出力には係数α3を乗算する乗算器26が設けられている。加算器24は、線形フィルタ部21の出力と、乗算器25を介した2次ヴォルテラフィルタ部22の出力と、乗算器26を介した3次ヴォルテラフィルタ部23の出力と、を加算して非線形歪補正信号生成部10に出力する。
【0031】
また、信号処理回路2の制御回路4は、スピーカーシステム3の線形パラメータおよび非線形パラメータをDSP5の非線形歪補正信号生成部10に設定する。本実施例の場合には、スピーカーシステム3は、図2のグラフに示すように、磁気回路38における力係数Bl(x)が非対称性および非線形性を有し、さらに、図3のグラフに示すように、支持系のスティフネスK(x)も非対称性および非線形性を有する。
【0032】
次に、信号処理回路2のn次非線形歪生成部20のn次ヴォルテラフィルタ部22〜23の導出について、n=2の場合に限って説明する。入力音声信号に対する2次高調波歪成分を生成する2次ヴォルテラフィルタ部22は、以下の式を展開して得られる。動電型スピーカー31を含むスピーカーシステム3の等価回路モデルは、式(1)のようになる。式(1)から電流i(t)を消去し、一つの式にまとめると式(2)となるので、これに基づいて2次ヴォルテラフィルタを求めることができる。
【数1】
【数2】
【0033】
なお、各パラメータは、以下の意味である。
Re: ボイスコイルの抵抗値(DC)
Bl(x) :磁気回路の力係数
K(x) :スピーカー振動系のスティフネス
m:スピーカー振動系の質量
Rm: スピーカー振動系の機械抵抗
u:入力音声信号電圧
i:音声信号電流
【0034】
したがって、動電型スピーカー31のボイスコイル33の変位x(t)は、式(3)に示すように入力u(t)の1次式と2次式の和で表すことで得られる。Hx(s)は、入力音声信号電圧u(t)の1次の項にかかる線形の伝達関数であり、Hx(s、s)は入力音声信号電圧u(t)の2次の項にかかる非線形の伝達関数である。速度v(t)および加速度a(t)は、式(4)に示すように変位x(t)を微分演算して得られる。
【数3】
【数4】
【0035】
次に、力係数ならびにスティフネスを予測変位xの2次多項式で表した場合には、式(5)のように表される。なお、図2の場合には、力係数Bl(x)=b0+b1・x+b2・x^2における係数b1およびb2を負の所定値に設定している。一方で、図3の場合には、スティフネスK(x)=k0+k1・x+k2・x^2における係数k1を負の所定値に、係数k2を正の所定値に設定している。
【数5】
【0036】
式(3)〜(5)を式(2)に代入すると上記の伝達関数Hx(s)を求めることができる。伝達関数Hx(s、s)についてまとめると式(6)となり、ラプラス変換を適用すると式(7)となる。また、伝達関数Hx(s)は、式(8)のように表されて、動電型スピーカー31のボイスコイル33の変位xの伝達関数と同じ式になる。なお、上記の式では、DA変換器6およびアンプ回路7でのゲインを1と仮定して数式を単純化している。
【数6】
【数7】
【数8】
【0037】
次に、伝達関数Hx(s、s)について、ラプラス変換を適用してまとめると式(9)となる。伝達関数Hx(s、s)は、伝達関数Hx(s)とヴォルテラカーネルK(s、s)との積で、式(10)のように表すことができる。したがって、動電型スピーカー31のボイスコイル33の変位xは、式(11)のように表すことができる。つまり、ヴォルテラカーネルK(s、s)を含む式(11)がn次非線形歪生成部20(n=2)の出力を説明する式であり、式(11)を展開した場合の第1項が線形フィルタ部21に相当し、式(11)を展開した場合の第2項が2次ヴォルテラフィルタ部22に相当することになる。すなわち、n次非線形歪生成部20は、入力音声信号に対する線形及び2次非線形の応答を含む変位xを、非線形歪補正信号生成部10へ出力する。2次ヴォルテラフィルタ部22のヴォルテラカーネルK(s、s)は、展開すれば線形応答の和として表すことができるので、2次元畳込みを行うフィルタの代わりに展開した複数のフィルタで構成してもよい。
【数9】
【数10】
【数11】
【0038】
次に、信号処理回路2の非線形歪補正信号生成部10での動作について、同様にn=2の場合に限って説明する。信号処理回路2のDSP5では、非線形歪補正信号生成部10が、下記のようにして非線形歪補正信号を生成し、DSP5からの出力信号としてD/A変換器6に出力する。非線形歪補正信号生成部10は、スピーカーシステム3の線形パラメータおよび非線形パラメータを設定されているので、入力音声信号に対してDA変換器6およびアンプ回路7を介して接続されるスピーカーシステム3の非線形歪を低減することができる。n次非線形歪生成部20から非線形歪補正信号生成部10へ入力する音声信号をu’(t)とすると、式(12)が導出される。その結果、非線形歪補正信号生成部10からは、3次(n=2の場合、(n+1)次)以上の非線形歪のみを補正する非線形歪補正信号が出力される。したがって、式(13)のように任意の変数αをu(t)^2の項に掛けるように、2次ヴォルテラフィルタ部22に乗算器25を設け、乗算する係数α2を調整することで2次の非線形歪のみを調整することができる。
【数12】
【数13】
【0039】
なお、この実施例は、(n=2)次の場合であるが、次数nが3以上の場合には、2次ヴォルテラフィルタ部22に並列接続される3次ヴォルテラフィルタ部23をさらに含むようにすればよい。n次非線形歪生成部20は、入力音声信号に対する線形及び2次ならびに3次非線形の応答を含む変位xを、非線形歪補正信号生成部10へ出力する。3次の非線形歪のみを調整する場合には、3次ヴォルテラフィルタ部23に乗算器26を設け、乗算する係数α3を調整すればよい。したがって、非線形歪補正信号生成部10は、動電型スピーカー31から再生される4次以上の高調波歪成分を低減するように非線形歪補正信号を生成することができる。もちろん、次数nが4以上の場合には、同様である。
【0040】
図4は、音声再生装置1のスピーカーシステム3からの再生音に含まれる非線形歪について説明するグラフである。具体的には、入力音声信号が150Hzの正弦波信号であり、信号処理回路2の制御回路4が、DSP5を非線形歪補正信号を生成しないように動作させる非線形歪補正OFF状態と、DSP5を非線形歪補正信号を生成するように動作させる非線形歪補正ON状態と、を切り換えるようにして動作する場合に、150Hzの2次高調波300Hzと、3次高調波450Hzと、4次高調波600Hzと、5次高調波750Hzと、における高調波歪率を測定して図示したグラフである。
【0041】
非線形歪補正OFF状態は、信号処理回路2のn次非線形歪生成部20および非線形歪補正信号生成部10が、入力音声信号をスルーさせる場合であって、スピーカーシステム3の線形および非線形の特性のみが反映されていると仮定できる。動電型スピーカー31を含むスピーカーシステム3では、ボイスコイル33およびスピーカー振動板34の変位xの絶対値が大きくなる150Hzでは、2次〜5次の非線形歪が相対的に大きくなる。非線形歪補正信号を生成しない非線形歪補正OFF状態では、グラフに図示するように、高い次数の非線形歪につれてレベルが低下しているが、5次高調波歪でも高調波歪率は−60dBを下回っていない。
【0042】
一方で、本実施例の場合のように、信号処理回路2のn次非線形歪生成部20および非線形歪補正信号生成部10が、非線形歪補正信号を生成する非線形歪補正ON状態にすると、3次以上の高調波歪を十分に低減することができる。ただし、本実施例では、次数n=2であり、2次ヴォルテラフィルタ部22の出力の乗算器25での乗算係数α2=1である。なお、図4のグラフに於いて、非線形歪補正ON状態での5次高調波歪は、−60dBを下回っているのでグラフ表示されていない。ただし、2次の非線形歪は、非線形歪補正ON状態でも、ほとんど変化させないようにすることができている。したがって、本実施例では、スピーカーシステム3から再生される3次以上の高調波歪成分のみを低減するような非線形歪補正信号を生成することができる。
【0043】
入力音声信号が純音である場合には、動電型スピーカー31における非線形歪補正が適正な場合には、非線形歪補正OFF状態から非線形歪補正ON状態に切り換えると、非線形歪が低減して再生音から濁り感が少なくなる。一方で、非線形歪補正が不適当な場合には、非線形歪補正OFF状態から非線形歪補正ON状態に切り換えると、非線形歪が逆に増大して再生音の濁り感が増して、音量も大きくなるように聴き取れる場合がある。ただし、基本波に周波数が最も近い2次高調波歪は、低音である基本波と弁別することが難しく、2次高調波歪成分のみを非線形歪補正で低減すると、単に基本波の再生レベルが低下したかのような聴感上の印象を与えてしまう場合がある。この音声再生装置1では、低音の音量感につながる2次高調波歪成分に影響を与えることなく、かつ、再生音の濁り感につながる3次以上の高調波歪成分のみを低減するように非線形歪補正信号を生成することができるので、動電型スピーカーにおける再生音質の調整が可能になるという利点がある。
【0044】
図5および図6は、音声再生装置1のスピーカーシステム3からの再生音に含まれる非線形歪について説明するグラフである。具体的には、入力音声信号が150Hzの正弦波信号であり、信号処理回路2の制御回路4が、DSP5を非線形歪補正信号を生成しないように動作させる非線形歪補正OFF状態と、DSP5を非線形歪補正信号を生成するように動作させる非線形歪補正ON状態と、を切り換えるようにして動作させるのは、図4での場合と同様である。ここでは、2次ヴォルテラフィルタ部22の出力の乗算器25での乗算係数α2を、図5はα2=2.0と設定した場合であり、図6はα2=0.25と設定した場合に、150Hzの2次高調波300Hzにおける高調波歪率を測定して図示したグラフである。なお、3次高調波450Hzと、4次高調波600Hzと、5次高調波750Hzと、は、非線形歪補正信号を生成する非線形歪補正ON状態にすると3次以上の高調波歪を低減できる図4での場合と同様であるので、図示を省略している。
【0045】
2次ヴォルテラフィルタ部22の出力の乗算器25での乗算係数α2=1としている図4のグラフに於いて、非線形歪補正ON状態での2次高調波歪は、非線形歪補正OFF状態からほとんど変わらない。一方で、図5に示す場合に乗算係数α2=2.0と大きく設定すると、2次高調波歪は逆に増大している。また、図6に示す場合に乗算係数α2=0.25と小さく設定すると、2次高調波歪は減少している。このように、信号処理回路2のn次非線形歪生成部20のn次ヴォルテラフィルタ部が、それぞれのヴォルテラフィルタの出力に係数αnを乗算する乗算器を有していれば、乗算器の係数αnを変更することにより、動電型スピーカー31を含むスピーカーシステム3から再生されるn次以上(n次を含む)の高調波歪成分を低減する、または、低減しないように非線形歪補正信号を生成することができる。
【0046】
本実施例の音声再生装置1では、動電型スピーカー31の非線形パラメータをスティフネスK(x)と、力係数Bl(x)と存在すると仮定したが、ボイスコイル変位に伴うインダクタンスの非線形パラメータL(x)を含む他の非線形モデルに基づいて、DSP5のn次非線形歪生成部20および非線形歪補正信号生成部10を構成しても良い。もちろん、他の非線形性を考慮した非線形モデルを採用してもよい。
【0047】
もちろん、動電型スピーカー31を含むスピーカーシステム3は、密閉型に限らず、位相反転型(バスレフ型、パッシブラジエータ型)、ケルトン型、ダブルパスレフ型、等の他のキャビネット方式であってもよい。いずれのキャビネット方式であっても、ボイスコイル状態演算部20が、仮想スピーカーシステム300の線形パラメータおよび非線形パラメータを反映し、非線形歪補正信号生成部10が、仮想スピーカーシステム300に加えてスピーカーシステム3の線形パラメータおよび非線形パラメータを反映していればよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の音声再生装置は、動電型スピーカーを内蔵して音声信号を再生するオーディオ装置、あるいは、ステレオ再生装置、マルチチャンネルサラウンド音声再生装置のみならず、ディスプレイ等の映像・音響機器、サブウーファー装置、または、音声を再生するスピーカーを内蔵するキャビネットを有するゲーム機、スロットマシン等の遊戯機にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 音声再生装置
2 信号処理回路
3 スピーカーシステム
4 制御回路
5 DSP
6 D/A変換器
7 アンプ回路
10 非線形歪補正信号生成部
20 n次非線形歪生成部
30 キャビネット
31 動電型スピーカー
32 接続線
33 ボイスコイル
34 振動板
35 エッジ
36 ダンパー
37 フレーム
38 磁気回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6