【実施例1】
【0013】
図1は本発明の空気調和機の室内機1の外観斜視図であり、
図2は室内機1の中央部の垂直断面図であり、
図3は室内機の一部を分解した図である。本発明の室内機1は、主に空調室の天井近くの壁面に取り付けられ、
図1乃至
図3に示すように本体ユニット2と、本体ユニット2の左右両側に設けた1対のファンユニット50、51とからなる。また、ファンユニット50、51はどちらか一方だけ設けても良い。
【0014】
<本体ユニット>
本体ユニット2は横長の矩形状であり、内部には本体と平行に横長のクロスフローファンタイプの第1送風ファン20と第1送風ファン20の周囲を囲む熱交換器21を備える。第1送風ファン20は本体ユニット2の片側で図示しない第1ファンモータに軸支される。第1ファンモータと熱交換器21は、ケーシング23に支えられ、ケーシング23は後述する吸込口24と吹出口25を結ぶ送風路26を形成する。
本体ユニット2の外郭は熱交換器21の前面側と天面を覆うメインフレーム27と、送風路26の出口である吹出口25に取り付けられ運転停止状態の時は吹出口25を塞ぐ上風向板28aと下風向板28bからなる風向板28と、下風向板28bよりも底面でケーシング23を塞ぐ底板29と、メインフレーム27の前面に覆い被さる前面パネル30で構成される。前面パネル30の前面は着脱自在で表面がフラット状の吸込パネル31で覆われる。メインフレーム27に設けた開口と前面パネル30と吸込パネル31の上端に設けた隙間が吸込口24となる。
【0015】
尚、
図1において室内機1の吸込パネル31のある面を前面とし、前面の対面を背面とし、ファンユニット50側を右側面とし、ファンユニット51側を左側面として以下説明する。
【0016】
本体ユニット2は第1ファンモータの回動により第1送風ファン20が回転することで吸込口24から取り入れられた室内空気を、熱交換器21で冷媒と熱交換して冷気または暖気に換え送風路26を通過して吹出口25から上風向板28aと下風向板28bで風向調整をして空調室に吹き出す。
【0017】
<側面カバー>
本体ユニット2の左右両側には、それぞれ側面カバー40、41を備える。側面カバー40、41は本体ユニット2と一体で本体ユニット2の側面の外郭を構成する部品でも良いし、別体の部品を本体ユニット2に取り付けてもよい。
側面カバー40は本体ユニット2の右側面側に備えられファンユニット50を取り付ける。側面カバー41は本体ユニット2の左側面側に備えられファンユニット51を取り付ける。側面カバー40と側面カバー41は略対称形であるため、ここでは側面カバー40について説明する。
側面カバー40は、
図1と
図3と
図4に示すように本体ユニット2のメインフレーム27の天面27aと吸込パネル31の上部31aと同一面となるように形成された天面部42と、底板29と同一面となるように形成された底面部43と、前面パネル30の側面30aの端に取り付けられ側面30aと同一面になり本体ユニット2の側面を塞ぐ壁面部44と、天面部42と底面部43を結んだ垂直面に設けられ本体ユニット2の外壁面となる外壁面部45と、壁面部44と外壁面部45の内側を繋ぐ内壁面部46とからなり、壁面部44と外壁面部45と内壁面部46によりできる空間がファンユニット取付部47となる。
側面カバー40の天面部42と底面部43の間で前面から底面に掛けては開口部47aがあり、開口部47aからファンユニット取付部47に取り付けられたファンユニット50の前面部50aと底面部50bが露出する。
外壁面部45には中央に複数の桟48が設けられ、桟48と桟48の間の開口が補助吸込口49となる。補助吸込口49の前面寄りで桟48と外壁面部45の間の開口されたフィルター挿入口48aにはファンユニット用フィルター90が挿入される。
【0018】
<ファンユニット>
ファンユニット50、51は、
図1と
図3に示すように側面カバー40に取り付けられるファンユニット50と、側面カバー41に取り付けられるファンユニット51の一対のファンユニット50、51で構成される。ファンユニット50とファンユニット51は対称形であるため、ここではファンユニット50を説明する。
ファンユニット50は、本体ユニット2に対して回動可能となるように、側面カバー40の壁面部44に支持される。ここではファンユニット50は側面カバー40の側面である壁面部44に交差し、第2送風ファン63を回転させる第2ファンモータ61の駆動軸61a線上に合わせた仮想の回転軸回りで
図4から
図5(B)に示すように運転停止状態の水平状態から下方へ回動可能となる。本実施例においてファンユニット50の仮想の回転軸は水平軸線52とする。
ファンユニット50は、
図3に示す駆動軸61aを備えた第2ファンモータ61を固定した図示しないモータ取付板が、側面カバー40の壁面部44に対向する左側面50eに固定される。モータ取付板には他に図示しないステッピングモータが固定され、ステッピングモータの回転でファンユニット50が水平線軸52を回動の中心として回動するようにした回動機構を備える。
【0019】
ファンユニット50は、
図3と
図4に示すように内部に第2送風ファン63を備える。第2送風ファン63は円柱型の周囲に羽根63aを備え中央部がドーム型63bをした所謂シロッコファンが用いられる。ドーム型63bの内側に第2ファンモータ61が収納され、第2ファンモータ61の駆動軸61aにより第2送風ファン63が回転する。
ファンユニット50は、第2送風ファン63の周囲に送風路70を備える。送風路70は、
図4においては第2送風ファン63に沿って徐々に半径を大きくして前方上方に延びるノズル71を備え出口側に補助吹出口54を有する。補助吹出口54には補助風向板60を備える。補助風向板60の上部には送風路70の壁を挟んで補助風向板60を駆動する補助風向板用モータ60aが備わる。
ファンユニット50は
図4においては運転停止状態となっており、この状態では補助吹出口54は前方上方に向けられ、側面カバー40の天面部42の内側で内壁面部46の前面寄りに収容されている。
補助吹出口54が側面カバー40の内側に収容されることで、補助吹出口54を塞ぐ機構がなくても補助吹出口内に埃が溜まることを防ぐことができ、補助吹出口54が在室者から視認されなくなることで美観の向上が図れる。
【0020】
ファンユニット50の外郭は、
図3に示すように内部に第2送風ファン63と送風路70を包み込み、前方上方に補助吹出口54を備える。
図1に示すファンユニット取付部47に取り付けられファンユニット50が運転停止状態の時に、ファンユニット50の前面部50aと底面部50bは、側面カバー40の開口部47aを塞いで本体ユニット2と同一面に見えるように本体ユニット2に合わせた形で形成される。
また、
図3に示すように側面カバー40の外壁面部45に対向するファンユニット50の右側面50dは平滑面で形成され、第2送風ファン63に合わせた円形の開口部55を有する。側面カバー40の補助吸込口49から取り込まれた室内空気は開口部55から第2送風ファン63に流入する。
また、壁面部44に対向するファンユニット50の左側面50eも平滑面で形成され上述したモータ取付板が備わる。
この形態により、ファンユニット50が本体ユニット2との間に一体感のある意匠となり意匠性が向上する。
【0021】
図4において、ファンユニット取付部47に収容されたファンユニット50の後方の外郭は、上部が補助吹出口54の上部と水平線軸52とを結ぶ半径D1で形成される第1円周面56でなり、下部が底面部50bの背面側の端で側面カバー40の底面部43と近接する角部50cと水平線軸52とを結ぶ半径D2で形成される第2円周面57でなる。
第1円周面56と第2円周面57は水平線軸52上の水平面近傍で水平面と平行な面で繋ぐ。この面がファンユニット50の上方への回動を規制をする規制壁58となる。
【0022】
尚、側面カバー40の内壁面部46は、上述したファンユニット50の形状に合わせて第1円周面56と第2円周面57と規制壁58との間に回動に必要な等間隔な隙間を設けて形成される。
【0023】
<ファンユニットの回動>
次にファンユニット50の回動した状態について説明する。ファンユニット50は
図4の本体ユニット2と前面部50aと底面部50bが同一面となる状態から、駆動機構により
図5の水平線軸52を中心に前面が下方に70度回転した状態、さらに
図6の水平線軸52を中心に前面が下方に最大110度まで回動することができる。尚、ここでは以下
図4から
図6へ前面が下方へ傾斜することを下流とし、逆に前面が上方へ戻ることを上流として説明する。
【0024】
図5は室内機1の暖房運転状態の時の一具体例を示す図である。暖房運転が設定されると本体ユニット2は風向板28が駆動し、冷媒と熱交換した暖気95を吹出口25から下方方向に空調室Rに向けて吹き出すとともに、ファンユニット50、51が水平線軸52回りで下流へ70°回動する。
ファンユニット50、51が回動すると、補助吹出口54と第1円周面56の一部が側面カバー40の中から現れる。補助吹出口54は本体ユニット2の前面よりも前方に突出し、本体ユニット2の吹出口25よりも上位に位置して補助吸込口49から取り込んだ室内空気Sを補助吹出口54から吹き出す。補助吹出口54には補助風向板用モータ60aで変位する補助風向板60が取り付けられる。補助風向板60は補助吹出口54から吹出される気流の向きを水平方向に偏向させることができる。
暖気95は、室内空気よりも軽いため徐々に上昇する。この場合にファンユニット50、51は吹出口25よりも上方に向けた補助吹出口54から室内空気Sを暖気95より上方に向けて吹き出す。室内空気Sは暖気95よりも冷たいため、暖気95は室内空気Sに抑えられてすぐに上昇せずに空調室Rに広く吹きわたるとともに、在室者Mには足元が温まり心地よい暖感を与えることができる。
【0025】
図6は室内機1の冷房運転状態の時の一具体例を示す図である。冷房運転が設定されると本体ユニット2は風向板28が駆動し、冷媒と熱交換した冷気96を吹出口25から水平方向に空調室Rに向けて吹き出すとともに、ファンユニット50、51が水平線軸52回りで下流へ110°回動する。
ファンユニット50、51が回動すると、補助吹出口54と第1円周面56の一部が側面カバー40の中から現れる。補助吹出口54は本体ユニット2の底面よりも下方に突出し、本体ユニット2の吹出口25よりも下位に位置して補助吸込口49から取り込んだ室内空気Sを補助吹出口54から吹き出す。補助吹出口54には補助風向板用モータ60aで変位する補助風向板60が取り付けられる。補助風向板60は補助吹出口54から吹出される気流の向きを下方向に偏向させることができる。
冷気96は、室内空気よりも重いため徐々に下降する。この場合にファンユニット50、51は吹出口25よりも下方に向けた補助吸込口54から室内空気Sを下方に向けて吹き出す。室内空気Sは冷気96よりも暖かいため、冷気96は室内空気Sに押し上げられてすぐに下降せずに空調室Rに広く吹きわたるとともに、在室者Mには直接冷気が当たらないことで心地よい涼感を与えることができる。
【0026】
以上のように、本体ユニット2と、本体ユニット2の左右両側に設けられたファンユニット50、51とからなる空気調和機の室内機1は、ファンユニット50、51の補助吹出口54が運転停止状態に側面カバー40、41の内側に収容されることで、補助吹出口54を塞ぐ機構がなくても埃が溜まることを防ぐことができ、さらに補助吹出口54が視認させずに美観の向上を図れる。
また、ファンユニット50、51の前面部50aと底面部50bで側面カバー40の開口部47aを塞いで、本体ユニット2と同一面に見えるように形成したことで、本体ユニット2と一体感のある形状となる。
さらに、回動時は補助吹出口54が本体ユニット2の吹出口25よりも前方または下方へ突出した位置に移動することで、送風路70のノズル71が長くなり風力が強くなり吹き出したい方向へ確実に送風することができ、吹出口25から吹き出された暖気95または冷気96に大きく影響を与える。