特許第6182886号(P6182886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182886
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】燃料電池式産業車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20170814BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20170814BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170814BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20170814BHJP
   B60K 8/00 20060101ALI20170814BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20170814BHJP
【FI】
   H01M8/04 N
   H01M8/04 Z
   H01M8/04 J
   H01M8/00 Z
   B60L11/18 G
   B60K1/04 Z
   B60K8/00
   !H01M8/10
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-21497(P2013-21497)
(22)【出願日】2013年2月6日
(65)【公開番号】特開2014-154283(P2014-154283A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】下簗 祐介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 浩
【審査官】 清水 康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−242434(JP,A)
【文献】 特開2009−164136(JP,A)
【文献】 特開2012−233637(JP,A)
【文献】 特開平08−185883(JP,A)
【文献】 特開2011−054451(JP,A)
【文献】 特開2003−288936(JP,A)
【文献】 特開2009−170334(JP,A)
【文献】 特開2008−235203(JP,A)
【文献】 特開2009−252594(JP,A)
【文献】 米国特許第03479224(US,A)
【文献】 特開2012−099394(JP,A)
【文献】 特開2007−134247(JP,A)
【文献】 特開2008−027587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/2495
B60K 1/04
B60K 8/00
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に、
燃料電池を備える燃料電池ユニットと、
前記燃料電池の発電に伴って排出されたオフガスを水とガスに分離する気液分離部と、
該気液分離部より下方に位置し、前記気液分離部で分離された水が流入する貯留部と、を有する燃料電池式産業車両において、
前記気液分離部の側面の壁部に設けられた入口には、前記オフガスの流入路が接続され、
前記気液分離部と前記貯留部とは連通路を介して連通した別体であり、
前記貯留部に一端が連通するとともに、該一端より上方にある他端が大気開放されたリリーフ管を備え、
前記リリーフ管は、前記気液分離部及び前記貯留部での水位を計測するための水位計測部を有し、
前記リリーフ管に流入した水が前記他端から洩れるときの水位を洩れ水位とすると、前記リリーフ管は、前記洩れ水位が前記貯留部での満水位よりも上方に位置するように設けられているとともに、前記洩れ水位が前記気液分離部の側面の壁部に設けられた前記入口の最下部よりも下方に位置するように設けられていることを特徴とする燃料電池式産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に燃料電池を搭載した燃料電池式産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の燃料電池式産業車両において、燃料電池ユニットにおける燃料電池に水素と空気(酸素)とを供給して電気化学反応によって発電させるとき、燃料電池からは水を含んだオフガスが生成される。燃料電池式産業車両においては、工場内を走行することがあるため、水を含んだオフガスをそのまま車体の外へ排出すると、排出された水が工場内を濡らしてしまうことになる。そこで、燃料電池式産業車両においては、生成される水の対策として気液分離器によってオフガスを水とガスに分離し、水が分離されたガスのみを排気管から排出するとともに、水は産業車両に設けたタンクに貯めることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5に示すように、特許文献1の産業車両の排気システム80は、燃料電池81から排出されたオフガスから水を分離する気液分離器82を有している。また、排気システム80は、気液分離器82で分離された水が流入するタンク(貯留部)83と、水が分離されたガスが流入する排気管84を有している。排気管84の一部は、排気管84から分岐してタンク83に連通しているとともに、排気管84にはマフラ85が設けられている。そして、気液分離器82で分離された水、及び排気管84での凝縮によって発生した水は、タンク83に流入し、タンク83で貯められる。一方、水が分離されたガスは、マフラ85を経て排気される。タンク83に貯まった水は、例えば、水素を充填するのに合わせて排水されたり、産業車両が一定期間走行した後に、排水設備を備えた所定の場所で排水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−242434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のような水を貯めるタンクを有する産業車両においては、作業者の排水忘れ等により、タンク内の水の排水が長期に亘って行われないと、タンクが満水になり、さらにはタンクから水がオーバーフローしてしまう。すると、タンクからオーバーフローした水が燃料電池ユニットに影響を及ぼしてしまう虞がある。
【0006】
本発明は、貯留部から水がオーバーフローしても燃料電池ユニットに影響が及ぶことを防止することができる燃料電池式産業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の燃料電池式産業車両は、車体に、燃料電池を備える燃料電池ユニットと、前記燃料電池の発電に伴って排出されたオフガスを水とガスに分離する気液分離部と、該気液分離部より下方に位置し、前記気液分離部で分離された水が流入する貯留部と、を有する燃料電池式産業車両において、前記気液分離部の側面の壁部に設けられた入口には、前記オフガスの流入路が接続され、前記気液分離部と前記貯留部とは連通路を介して連通した別体であり、前記貯留部に一端が連通するとともに、該一端より上方にある他端が大気開放されたリリーフ管を備え、前記リリーフ管は、前記気液分離部及び前記貯留部での水位を計測するための水位計測部を有し、前記リリーフ管に流入した水が前記他端から洩れるときの水位を洩れ水位とすると、前記リリーフ管は、前記洩れ水位が前記貯留部での満水位よりも上方に位置するように設けられているとともに、前記洩れ水位が前記気液分離部の側面の壁部に設けられた前記入口の最下部よりも下方に位置するように設けられていることを要旨とする。
【0008】
これによれば、燃料電池の発電に伴って排出されたオフガスは、気液分離部によって水とガスに分離され、水は貯留部に貯められる。万一、作業者の排水忘れ等により長期に亘って貯留部内の水の排水が行われず、貯留部から水がオーバーフローしてしまうと、オーバーフローした水は貯留部から気液分離部に流入する。ここで、気液分離部は貯留部に連通し、この貯留部にはリリーフ管が連通していることから、気液分離部の水位とリリーフ管の水位は同じである。そして、気液分離部の水位が上昇するのと同時に、リリーフ管での水位も上昇していき、洩れ水位に近付いていく。この洩れ水位は、気液分離部でのオフガスの入口よりも下方に設定されているため、気液分離部での水位が入口に達する前に、リリーフ管での水位が洩れ水位を超え、貯留部の水がリリーフ管から排水される。よって、気液分離部での水位が、オフガスの入口より高くなること、すなわち、入口が水で塞がれることが防止され、貯留部から水がオーバーフローしても燃料電池ユニットに影響が及ぶことが防止される。
また、気液分離部におけるオフガスの入口が、気液分離部に流入した水で塞がることを確実に防止できる。
さらに、貯留部から水がオーバーフローする前にリリーフ管から水が洩れてしまうことが防止できる。
【0009】
リーフ管の水位計測部を視認することで、気液分離部及び貯留部の水位を計測することができる。また、上述のようにリリーフ管は、燃料電池ユニットが、オーバーフローした水による影響を受けないようにするための機能を持っており、リリーフ管は水位計測機能と合わせて2つの機能を持っている。したがって、水位計測機能と、燃料電池ユニットが水による影響を受けないための構成とを別々に設ける場合と比べて、燃料電池周辺の構成を簡素化できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、貯留部から水がオーバーフローしても燃料電池ユニットに影響が及ぶことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】フォークリフトにおける燃料電池システムの概略構成図。
図2】貯水タンクにおけるオフガスの入口とリリーフ管との位置関係を示す図。
図3】貯水タンクからオーバーフローし、リリーフ管から漏水した状態の模式図。
図4】別例の気液分離装置を備える燃料電池システムを示す図。
図5】背景技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、燃料電池式産業車両をフォークリフトに具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。
図1に示すように、フォークリフトの車体10には、燃料電池システム11が搭載されている。燃料電池システム11は、燃料電池ユニット13と、気液分離器15と、貯水タンク18と、リリーフ管21と、それらに接続された各流路14,16,17,19をユニット化し、ケース内に組み込んだものである。
【0016】
燃料電池ユニット13は、燃料電池FCを備え、この燃料電池FCは、本実施形態では、固体高分子型燃料電池によって構成されており、高分子電解質膜で区画された燃料極及び空気極からなる複数のセルを内蔵する。燃料電池FCでは、燃料極に供給される水素と、空気極に供給される空気中の酸素との電解質膜を介した起電反応により発電が行われる。燃料電池FCで発電された電力は、燃料電池システム11に接続される走行用モータなどの負荷12に供給される。
【0017】
燃料電池システム11において、燃料電池ユニット13には流入路14の一端が接続されるとともに、流入路14の他端は気液分離部としての気液分離器15に接続されている。気液分離器15の壁部15aにはオフガスの入口15bが設けられ、この入口15bと流入路14の他端が連通している。よって、燃料電池FCで排出されたオフガスは、流入路14を介して気液分離器15に流入する。
【0018】
気液分離器15では、自然落下方式によりオフガスが水とガスに分離される。気液分離器15において、入口15bが設けられた壁部15aとは別の壁部15cには、排気路16の一端が接続されている。なお、排気路16は、入口15bよりも上方に配置されている。そして、気液分離器15で水と分離されたガスは、排気路16から排気される。
【0019】
気液分離器15において、排気路16が接続された別の壁部15cには、入口15bより下方に位置する出口15dが設けられている。気液分離器15の別の壁部15cには、出口15dに連通するように連通路17の一端が接続されるとともに、この連通路17の他端は貯留部としての貯水タンク18に接続されている。貯水タンク18は、気液分離器15より下方に配置されている。貯水タンク18の上壁18aには、流入口18bが設けられ、この流入口18bは連通路17の他端と連通している。気液分離器15で分離された水は、出口15d、連通路17及び流入口18bを経て貯水タンク18に流入する。
【0020】
貯水タンク18において、上壁18aとは別の側壁18cには、排水口18dが設けられている。排水口18dが設けられた側壁18cには、排水路19の一端が排水口18dと連通する状態に接続されるとともに、排水路19の他端は排水カプラ20によって閉じられている。排水路19は、水平状態、又は貯水タンク18から排水カプラ20に向けて若干下り傾斜する状態に設けられている。貯水タンク18は、車体10の下部に配置されるとともに、排水路19は車体10の下部に取り回され、排水カプラ20は車体10の外側に配設されている。
【0021】
排水路19の途中には、筒状のリリーフ管21が立設され、このリリーフ管21は車体10の外部に配設されている。リリーフ管21は、一端(下端)が排水路19に連通し、排水路19を介して貯水タンク18内に連通している。よって、リリーフ管21は、排水路19、貯水タンク18、及び連通路17を介して気液分離器15にも連通しており、リリーフ管21は、貯水タンク18及び気液分離器15と同圧である。
【0022】
リリーフ管21は、透明樹脂製であり、排水路19から上方に向けて筒状に延びるとともに目盛りMが付された水位計測部21aを備える。リリーフ管21は、水位計測部21aの軸方向に直交する方向に筒状に延びる導通部21bを備え、さらに、導通部21bの軸方向に直交し、かつ水位計測部21aの軸方向に平行に延びる筒状の排出部21cを備える。排出部21cの先端であるリリーフ管21の他端は、大気開放されるとともに、リリーフ管21の一端(下端)より上方に位置している。また、リリーフ管21の他端は、下方に向けて開口している。
【0023】
図2に示すように、リリーフ管21の上端21d(導通部21bの上端)は、流入路14の下端14a、及び気液分離器15の入口15bの最下部Saよりも若干下方に位置しているとともに、気液分離器15の底壁部15fよりも上方に位置している。すなわち、リリーフ管21は流入路14より下方に配設されている。
【0024】
排水カプラ20によって排水路19が閉じられた状態では、リリーフ管21内には、排水路19内の水が流入する。水位計測部21a内での水位は、リリーフ管21の他端が大気開放されているので、貯水タンク18及び気液分離器15での水位を示している。
【0025】
図3に示すように、リリーフ管21での水位Laのうち、水が水位計測部21aから導通部21bに流れ込む時点での水位を、洩れ水位Lとする。この洩れ水位Lは、リリーフ管21から水が洩れ出てしまう水位のことである。
【0026】
一方、図1及び図2に示すように、貯水タンク18で水がオーバーフローしていないときや、貯水タンク18をオーバーフローした水が気液分離器15に流入し、かつ気液分離器15での水位が入口15bより下方にあるときの水位Laは、洩れ水位Lより低い位置にある。
【0027】
リリーフ管21は、洩れ水位Lが気液分離器15の入口15bより下方に位置するように立設高さが設定されている。すなわち、導通部21bの内周面における最下部Sb(洩れ水位L)は、入口15bの最下部Saよりも下方に位置している。したがって、入口15bの最下部Saと、導通部21bの最下部Sbとの間には、距離Xが確保されている。
【0028】
また、リリーフ管21は、洩れ水位Lが貯水タンク18の満水位Fよりも上方に位置するように立設高さが設定されている。すなわち、導通部21bの内周面における最下部Sb(洩れ水位L)は、貯水タンク18の上壁18aにおける内面18fよりも上方に位置している。したがって、洩れ水位L(導通部21bの最下部Sb)と、貯水タンク18の内面18fとの間には距離Yが確保されている。
【0029】
次に、フォークリフトの作用を記載する。
さて、図1に示すように、燃料電池ユニット13における燃料電池FCの発電に伴って排出されたオフガスは、流入路14を介して入口15bから気液分離器15内に流入する。気液分離器15では、比重の大きい水がガスから落下し(自然落下)、オフガスが水とガスに分離され、ガスは排気路16から排気される。一方、水は気液分離器15の底壁部15f側に一時的に貯留されつつ、出口15dから連通路17に流出し、流入口18bから貯水タンク18内に流入する。貯水タンク18が満水になっていない状態では、リリーフ管21での水位Laは、洩れ水位Lに達しておらず、水位計測部21aによって確認できる。
【0030】
そして、図3に示すように、貯水タンク18の貯水量が増加していき、満水位Fが上壁18aの内面18fに達すると、貯水タンク18の水は貯水タンク18からオーバーフローし、流入口18bから連通路17に流入する。さらには、オーバーフローした水は、出口15dから気液分離器15内に流入する。すると、リリーフ管21での水位Laも上昇し、水位計測部21aの上部に達する。
【0031】
そして、気液分離器15での水位が上昇して入口15bに近付いていくと、気液分離器15での水位が入口15bに達するより前に、リリーフ管21での水位Laが洩れ水位Lに達する。すると、水位計測部21aから導通部21bに水が流入し、排出部21cから洩れ出る。このとき、作業者が、排出部21cの先端を目視したり、手で触れてみるなどして排出部21cの先端から水が出ていることを確認できたら、作業者は貯水タンク18から水がオーバーフローしていることを認識できる。また、リリーフ管21は、車体10の外部に配置されているため、排出部21cから洩れた水が燃料電池ユニット13にかかることはなく、貯水タンク18からオーバーフローした水の影響が燃料電池ユニット13、特に燃料電池FCに及ばない。
【0032】
貯水タンク18から水がオーバーフローし続け、気液分離器15での水位が洩れ水位Lを超え続けると、リリーフ管21の排出部21cから排水が継続される。その結果、気液分離器15では、気液分離器15に水が流入しても、気液分離器15での水位が入口15bに達することはなく、入口15b、すなわち流入路14が水で塞がれることが防止される。
【0033】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)リリーフ管21は、その洩れ水位Lが気液分離器15でのオフガスの入口15bより下方に位置するように設けられている。このため、貯水タンク18からオーバーフローした水が気液分離器15に流入しても、気液分離器15での水位が入口15bに達する前にリリーフ管21から貯水タンク18の水を排水することができる。よって、気液分離器15の入口15bが、オーバーフローした水で塞がれてしまうことを防止できる。その結果、オフガスの排出が流入路14で止まることはなく、燃料電池ユニット13に水の影響が及ぶことが未然に防止される。
【0034】
また、リリーフ管21は、車体10の外部に配置されている。このため、リリーフ管21から排水されても、その水が燃料電池ユニット13に直接かかることが無く、燃料電池ユニット13に影響を及ぼさない。
【0035】
(2)貯水タンク18からオーバーフローした水が、気液分離器15に流入しても、気液分離器15での水位がリリーフ管21での洩れ水位Lに達すると、リリーフ管21から貯水タンク18の水が排水される。このリリーフ管21からの水洩れを確認することで、車体10の外部に洩れた水が、貯水タンク18からオーバーフローした水なのか、連通路17等の配管から洩れた水なのかを確認することができる。
【0036】
(3)リリーフ管21における洩れ水位Lを流入路14より下方で、かつ気液分離器15の底壁部15fよりも上方に設定した。このため、貯水タンク18をオーバーフローした水が気液分離器15に流入しても、即座にリリーフ管21から水が洩れることはなく、気液分離器15の一部を水を貯める部位として利用できる。このため、貯水タンク18だけで水を貯める場合と比べると、気液分離器15を利用する分だけ貯水タンク18をコンパクトにすることができる。
【0037】
(4)貯水タンク18からオーバーフローした水が、気液分離器15に流入しても、気液分離器15での水位がリリーフ管21での洩れ水位Lに達すると、水がリリーフ管21から洩れ出る。この洩れを確認することで、作業者は、貯水タンク18から水がオーバーフローしていることを確認できる。このため、貯水タンク18から水がオーバーフローしているか否かをセンサ等を用いて検出するのではなく、作業者が直接確認することができる。よって、フォークリフトを用いた作業中に、貯水タンク18から水がオーバーフローしていたことが報知されると、作業者は直ぐに排水の作業を行い、問題を解決することができる。
【0038】
(5)リリーフ管21の洩れ水位Lは、貯水タンク18の満水位F(上壁18aの内面18f)よりも上方に設定されている。このため、リリーフ管21から水が洩れたことを確認することで、貯水タンク18から水がオーバーフローしていることを確実に確認することができる。
【0039】
(6)リリーフ管21に洩れ水位Lを設定し、貯水タンク18からオーバーフローした水が気液分離器15の入口15bを塞ぐ前に、リリーフ管21から貯水タンク18を排水させるようにした。よって、リリーフ管21は、燃料電池ユニット13に水の影響を及ぼさないための機能に加え、気液分離器15及び貯水タンク18の水位を計測する機能も持つ。したがって、2つの機能を発揮させるための構成を燃料電池システム11に別々に設ける場合と比べて、燃料電池システム11の構成を簡素化できる。
【0040】
(7)気液分離器15と貯水タンク18は連通路17を介した別体である。気液分離器15と貯水タンク18を一体化した場合と比べて、貯水タンク18をコンパクトにできるとともに、気液分離器15及び貯水タンク18の配置自由度が高まる。
【0041】
(8)気液分離器15におけるオフガスの入口15bは、気液分離器15から排出されるガスの出口(排気路16)よりも下方に位置している。このため、貯水タンク18からオーバーフローした水が気液分離器15に流入しても、水が分離されたガスは気液分離器15から排出し続けることができる。
【0042】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図4に示すように、燃料電池システム11は、気液分離部30と貯留部31とを一体化した気液分離装置25を備えた構成としてもよい。気液分離装置25はケース34を備え、このケース34内の上側に気液分離部30が設けられ、ケース34内における気液分離部30より下方に貯留部31が設けられている。
【0043】
○ リリーフ管21は、洩れ水位Lが気液分離器15の入口15bより下方に位置するように設けられるのであれば、リリーフ管21の立設高さは適宜変更してもよい。例えば、リリーフ管21は、洩れ水位Lが気液分離器15の底壁部15fよりも下方であってもよい。
【0044】
○ 実施形態では、リリーフ管21は流入路14より下方に位置していたが、これに限らない。リリーフ管21において、導通部21bの内周面における最下部Sb(洩れ水位L)が、入口15bの最下部Saよりも下方に位置していれば、リリーフ管21の導通部21bが流入路14及び入口15bよりも上方に位置していてもよい。
【0045】
○ リリーフ管として、リリーフ管21が水位計測部21aを備える構成としたが、リリーフ管は水位計測部21aを備えず水位を計測できないものであってもよく、単なる空気抜きであってもよい。
【0046】
○ リリーフ管21は、透明な樹脂製として説明したが、水位計測部21aにて管内の水位が見られるように透明であればよく、ガラス製などであってもよい。
○ リリーフ管21は、水位計測部21aに加え、導通部21b及び排出部21cを備える構成であったが、洩れ水位Lが気液分離器15の入口15bより下方に位置していれば、導通部21bが無く、上端に排出部21cが開口する筒状であってもよいし、形状は特に限定されない。
【0047】
○ 実施形態では、リリーフ管21を排水路19に接続して貯水タンク18内と連通させたが、リリーフ管21は貯水タンク18の上壁18aや側壁18cに接続された状態で貯水タンク18内と連通していてもよい。
【0048】
○ 気液分離器15は、自然落下方式でなく、遠心分離方式であってもよい。
○ 気液分離器15において、入口15bを出口15dより下方に配置したが、入口15bと出口15dと同じ高さに配置してもよい。
【0049】
○ 燃料電池システム11として、燃料電池ユニット13、気液分離器15、貯水タンク18をケース内に組み込んでユニット化したが、ユニット化しなくてもよい。
○ 燃料電池式産業車両としてフォークリフトに具体化したが、フォークリフト以外の燃料電池式産業車両に具体化してもよい。
【0050】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想についてに以下に追記する。
(イ)前記気液分離部の前記入口は、前記気液分離部で前記オフガスから分離されたガスの出口よりも下方に位置している燃料電池式産業車両。
【符号の説明】
【0051】
F…満水位、L…洩れ水位、La…水位、FC…燃料電池、10…車体、13…燃料電池ユニット、14…流入路、14a…下端、15…気液分離部としての気液分離器、15b…入口、17…連通路、18…貯留部としての貯水タンク、21…リリーフ管、21a…水位計測部、30…気液分離部、31…貯留部。
図1
図2
図3
図4
図5