特許第6182920号(P6182920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6182920-便蓋・便座の開閉装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182920
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】便蓋・便座の開閉装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/10 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   A47K13/10
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-58411(P2013-58411)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-180508(P2014-180508A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】大西 将弘
(72)【発明者】
【氏名】田邉 幸典
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−009317(JP,A)
【文献】 特開2003−153824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00−17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便蓋・便座の位置を検出可能な検出手段と、
前記便蓋または前記便座に動力を伝達可能な駆動源と、
前記駆動源を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記便蓋または前記便座がその自重により閉方向に移動する自重移動領域において、前記駆動源の動力によらず閉方向に移動していた前記便蓋または前記便座が所定時間以上停止したことが前記検出手段によって検出されたときには、前記便蓋または前記便座を閉方向に移動させるよう前記駆動源を制御し、
前記駆動源の動力が前記便蓋または前記便座に伝達された後、前記便蓋または前記便座の閉方向への移動が検出されたときには前記駆動源を停止させる
ことを特徴とする便蓋・便座の開閉装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記駆動源の動力が前記便蓋または前記便座に伝達されたにも拘わらず、所定時間以上前記便蓋または前記便座の移動が検出されないときには、前記駆動源を停止させることを特徴とする請求項に記載の便蓋・便座の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器に対して開閉自在に設けられる便蓋・便座の開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便蓋・便座の開閉装置としては、大きくは開閉が手動でなされるものと下記特許文献1に記載されるような自動でなされるものに大別できる。また、例えば下記特許文献2に記載されるように、手動、自動いずれでも開閉操作できる装置が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−70686号公報
【特許文献2】特開2006−239311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような便蓋・便座の開閉装置では、便蓋・便座を回転自在に支持する部分(ヒンジ)などの機械的要素の経年劣化などによって、移動する便蓋・便座に対する抵抗(摺動抵抗等)が大きくなってしまうことがある。当該抵抗の増大によって、移動する便蓋・便座が停止してしまうことがある。
【0005】
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、移動する便蓋・便座に作用する抵抗が大きくなり便蓋・便座が停止するような場合であっても、便蓋・便座をそのまま移動させ続けることを可能にする便蓋・便座の開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にかかる便座・便蓋の開閉装置は、便蓋・便座の位置を検出可能な検出手段と、前記便蓋または前記便座に動力を伝達可能な駆動源と、前記駆動源を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記便蓋または前記便座がその自重により閉方向に移動する自重移動領域において、前記駆動源の動力によらず閉方向に移動していた前記便蓋または前記便座が所定時間以上停止したことが前記検出手段によって検出されたときには、前記便蓋または前記便座を閉方向に移動させるよう前記駆動源を制御し、前記駆動源の動力が前記便蓋または前記便座に伝達された後、前記便蓋または前記便座の閉方向への移動が検出されたときには前記駆動源を停止させることを特徴とする。
【0008】
前記制御手段は、前記駆動源の動力が前記便蓋または前記便座に伝達されたにも拘わらず、所定時間以上前記便蓋または前記便座の移動が検出されないときには、前記駆動源を停止させるように構成されていればよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる便蓋・便座の開閉装置では、駆動源の動力によらず便蓋・便座が移動していたときにその便蓋・便座が所定時間以上停止したときには、駆動源の動力を便蓋・便座に伝える。つまり、移動する便蓋・便座に作用する抵抗によって当該便蓋・便座が停止したときに駆動源の動力が伝達される構成であるから、便蓋・便座を当該方向に移動させることが可能となる
また、上記駆動源の動力によらず便蓋・便座が移動する構成の例としては、便蓋・便座がその自重により移動することがあるもの(自重移動領域が設定されたもの)が挙げられる。このような構成の場合には、便蓋・便座の自重では閉方向に移動することができない抵抗が便蓋・便座に作用しているときに、駆動源の動力が便蓋・便座に伝達されることとなるため、従来であれば抵抗によって途中で便蓋・便座の移動が停止してしまうような場合であったとしても、便蓋・便座を閉方向に移動させることができる。
また、移動する便蓋・便座の停止が発生する多くのケースは、便蓋・便座の移動範囲における特定の箇所のみ便蓋・便座に作用する抵抗が大きくなり(局所的に抵抗が大きくなり)、当該箇所で便蓋・便座が停止するものである。したがって、駆動源の動力が便蓋・便座に伝達された後、便座の閉方向への移動が検出されたときには、当該抵抗が大きい箇所を通過したということであり、駆動源の動力による補助がなくても、そのまま便蓋・便座が移動し続けることとなる可能性が高いから、駆動源を停止させて出力の無駄を防止する。
【0012】
移動している便蓋・便座に作用する抵抗が著しく大きくなった場合や、部材の破損などにより便蓋・便座が所定位置から移動することができなくなった場合等、便蓋・便座の移動が不可能または極めて不可能に近い状態にある場合に、駆動源から動力を出力し続けると駆動源の故障や部材の破損などを招くおそれがある。このように、駆動源の動力が便蓋・便座に伝達されたにも拘わらず、所定時間以上便蓋・便座の閉方向への移動が検出されない場合には、駆動源を停止させる構成とすることで、上記駆動源の故障や部材の破損などを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】便蓋・便座とそれを駆動する開閉装置の外観図である。
図2】開閉機構を模式的に示した図である。
図3】便蓋・便座の基本的な動作を説明するための概念図である。
図4】開閉装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態にかかる便蓋91・便座92の開閉装置は、図1に示されるように、開閉機構1と、開閉機構1を制御する制御手段30と、を備える。また、図2に示されるように、開閉機構1の内部には、駆動源10および検出手段20を備える。なお、本実施形態では、便蓋91・便座92それぞれに開閉機構1が設けられている。
【0016】
駆動源10は、制御手段30によって制御される便蓋91・便座92を移動(回転)させる動力源である。本実施形態では、駆動源として正転・逆転の切替制御が可能なモータ10を用いている。モータ10にはエンコーダ11が取り付けられており、その回転量(回転数)が検出可能である。モータ10の動力は複数の歯車(本実施形態ではウォーム歯車である一番車121、二番車122、三番車123、および四番車124)を介して出力歯車13に伝達される。モータ10から出力歯車13までの減速比は適宜設定される。出力歯車13は図示されない出力軸と一体的に回転する。この出力軸に便蓋91・便座92が接続される。すなわち、モータ10が駆動すると、便蓋91・便座92は出力軸の軸線を回転中心として回転する。
【0017】
検出手段20は、便蓋91・便座92の位置を検出する。本実施形態では、出力歯車13に固定されたマグネット21をホールIC22が検出することにより、出力歯車13の回転数(歯車が一回転する度に得られるパルスの数。以下単にパルス数とする)を得て、それに基づき便蓋91・便座92の位置(回転方向位置)を導出する。なお、便蓋91・便座92の位置を検出する手法(検出手段20の構成)としてはこのような手法に限られない。エンコーダ11によって得られるモータ10の回転量から出力歯車13までの減速比を考慮して当該位置を算出するように構成してもよいし、駆動源としてステッピングモータ10を用い、そのステップ数から当該位置を算出するように構成してもよい。ただし、できるだけ検出誤差を小さくするという観点から言えば、本実施形態のように出力系統における便蓋91・便座92に近い側で検出するとよい。
【0018】
以下、このような開閉機構1を備える開閉装置の動作(作用)について説明する。なお、以下の説明において、便蓋91・便座92を開方向に移動させる際のモータ10の回転方向を正転、便蓋91・便座92を閉方向に移動させる際のモータ10の回転方向を逆転と称することがある。
【0019】
便蓋91・便座92の基本的な動作は次のとおりである。全閉位置に位置する便蓋91・便座92を開方向に移動させる際には、モータ10を正転させる。当該開方向への移動は、便蓋91・便座92の重力に逆らって行うものであるため、便蓋91・便座92が全閉位置から全開位置に到達するまでモータ10を駆動し続ける。
【0020】
一方、全開位置に位置する便蓋91・便座92を閉方向に移動させる際には、モータ10を逆転させる。図3に示すように、便蓋91・便座92が全閉位置から第一の所定角度θ1に到達するまではモータ10を駆動し続ける。本実施形態では、所定のパルス数X1が検出されるまでモータ10を駆動し続ける。このように、全閉位置から第一の所定角度θ1に到達するまでは、便蓋91・便座92はモータ10の動力によって移動する。当該第一の所定角度θ1は、水平方向を0度とした場合、0度<θ1<90度を満たす角度であり、当該角度θ1に到達した以降は便蓋91・便座92がその自重によって閉方向に移動することが可能となる。なお、第一の所定角度は、便蓋91、便座92のそれぞれついて異なる角度が設定されてもよいし、同じ角度が設定されてもよい。
【0021】
便蓋91・便座92が第一の所定角度θ1に到達した以降は、便蓋91・便座92はその自重によって閉方向に移動する。このとき、閉方向に移動する便蓋91・便座92に勢いがつき過ぎてしまわないよう、モータ10端子間をショートさせてショートブレーキ(発電ブレーキ)をかける。すなわち、自重によって便蓋91・便座92が移動することで出力軸(モータ10のロータ)が回転し、発電電流が流れることによるブレーキが便蓋91・便座92に作用する。このように、便蓋91・便座92は、第一の所定角度θ1から第二の所定角度θ2に到達するまでその自重によって(本実施形態ではブレーキが作用した状態で)移動する。本実施形態では、所定のパルス数X2(X1<X2)が検出されるまでモータ10を駆動し続ける。第二の角度θ2は、0度<θ2<θ1を満たす角度である。なお、第二の所定角度θ2は、便蓋91、便座92のそれぞれついて異なる角度が設定されてもよいし、同じ角度が設定されてもよい。
【0022】
便蓋91・便座92が第二の所定角度θ2に到達した以降は、便蓋91・便座92に作用するブレーキを大きくする。具体的には、モータ10から閉方向への微弱動力(便蓋91・便座92を開方向に移動させるときよりも弱い動力(トルク))を出力させることによるブレーキを便蓋91・便座92に作用させる。当該ブレーキは、ブレーキが開方向に作用する力<便蓋91・便座92の自重による閉方向に向かう力、となるように設定する。このようなブレーキを作用させることにより、第二の所定角度θ2に到達した以降、閉方向に移動する便蓋91・便座92の移動速度がさらに減速される。この減速された状態で便蓋91・便座92が全閉位置に到達するから、便座92が勢いよく便器に、便蓋91が勢いよく便座92に衝突することによる騒音の発生や、衝撃による便蓋91・便座92の破損などを防止することができる。本実施形態では、所定のパルス数X3(X2<X3)が検出されたことをもって便蓋91・便座92が全閉位置に到達したと判断する。
【0023】
本実施形態では、このように便蓋91・便座92を閉方向に移動させる過程において、移動する便蓋91・便座92に作用する抵抗が大きくなって当該便蓋91・便座92の移動が停止してしまった場合でも、便蓋91・便座92の閉方向への移動が継続されるように、制御手段30は図4に示すフローで制御する。具体的には次の通りである。
【0024】
上述したように、便蓋91・便座92は、第一の所定角度θ1に到達するまでは、モータ10の閉方向への出力(逆転)によって移動する(S1)。第一の所定角度θを超えたこと、すなわちパルス数がX1を超えたことが検出された場合(S2「Yes」)、モータ10の端子間をショートさせて、自重で閉方向に移動する便蓋91・便座92にショートブレーキを作用させる(S3)。パルス出力が継続して検出されるとき(S4「Yes」)、すなわち便蓋91・便座92の閉方向への移動が検出され続けているときには、便蓋91・便座92が第二の所定角度θ2に到達するまでショートブレーキを作用させた状態が続く。
【0025】
一方、パルス出力が検出されなくなったとき(S4「No」)には、便蓋91・便座92の閉方向への移動が何らかの理由で停止してしまったということであるため、モータ10から閉方向への動力を出力させる。すなわち、第一の所定角度θ1に到達した後、閉方向への出力を停止した(ブレーキに切り替わった)モータ10から再び閉方向への動力を出力させる(S5)。この閉方向の出力後、パルス出力が検出されたとき(S6「Yes」)には、停止していた便蓋91・便座92が再び閉方向に移動しはじめたということであるから、モータ10の閉方向への出力を停止し、再びショートブレーキを作用させた状態(S3)とし、第二の所定角度θ2に到達するまで便蓋91・便座92の移動を監視し続ける(S4)。
【0026】
このように、便蓋91・便座92が再び閉方向に移動したことが検出されたときにモータ10の閉方向への出力を停止させるのは、便蓋91・便座92の移動が停止してしまう多くの場合が、係合する部材同士が局所的に引っ掛かる等して抵抗が増大してしまうケースが多いからである。例えば、本実施形態のように、モータ10から便蓋91・便座92までの動力伝達要素として歯車が用いられる構成の場合、局所的に発生する歯車の噛み合い不良によって便蓋91・便座92が停止してしまうことが考えられる。このようなとき、モータ10を閉方向に駆動させることで、当該不良状態が解消されることが考えられる。つまり、モータ10を閉方向に短時間駆動させることがきっかけとなって、便蓋91・便座92が停止していた原因が解消される場合が多いから、便蓋91・便座92が再び閉方向に移動したことが検出されたときにモータ10の閉方向への出力を停止させる。
【0027】
これに対し、S5においてモータ10から閉方向への動力を出力したにも拘わらず、当該出力から所定時間経過してもパルス出力が検出されなかったとき(S6「No」、S7「Yes」)には、モータ10の動力を加えても便蓋91・便座92が閉方向に移動することができない抵抗が当該便蓋91・便座92に作用しているということであるから、モータ10の閉方向への出力を停止させる(S8)。これにより、極めて大きな抵抗が便蓋91・便座92に作用しているにも拘わらず(それ以上便蓋91・便座92を閉方向に移動させることが不可能な状態であるにも拘わらず)無理矢理モータ10を駆動させ続けることによるモータ10や各部材の損傷が防止される。
【0028】
ショートブレーキが作用した状態で、便蓋91・便座92がその自重によって第二の所定角度θ2まで到達したこと、すなわちパルス数がX2を超えたことが検出されたとき(S9「Yes」)には、モータ10から開方向へ微弱動力(微弱トルク)を出力させる(S10)。すなわち、便蓋91・便座92に作用するブレーキ力を増加させる。そのまま便蓋91・便座92が全閉位置に到達したこと、すなわちパルス数がX3となったことが検出されたとき(S16)には、モータ10を停止する。これをもって、便蓋91・便座92の閉方向への移動が完了する(S17)。
【0029】
一方、パルス出力が検出されなくなったとき(S11「No」)には、便蓋91・便座92の閉方向への移動が何らかの理由で停止してしまったということであるため、モータ10から閉方向への動力を出力させる。すなわち、第二の所定角度θ2に到達した後、開方向へ微弱動力を出力していたモータ10から閉方向への動力を出力させる(S12)。この閉方向の出力後、パルス出力が検出されたとき(S13「Yes」)には、停止していた便蓋91・便座92が再び閉方向に移動しはじめたということであるから、モータ10の閉方向への出力を停止し、再び開方向へ微弱トルクを出力した状態(S10)とし、全閉位置に到達するまで便蓋91・便座92の移動を監視し続ける(S11)。
【0030】
これに対し、S12においてモータ10から閉方向への動力を出力したにも拘わらず、当該出力から所定時間経過してもパルス出力が検出されなかったとき(S13「No」、S14「Yes」)には、モータ10の動力を加えても便蓋91・便座92が閉方向に移動することができない抵抗が当該便蓋91・便座92に作用しているということであるから、モータ10の閉方向への出力を停止させる(S15)。上述したS8における出力停止動作と同様に、極めて大きな抵抗が便蓋91・便座92に作用しているにも拘わらず(それ以上便蓋91・便座92を閉方向に移動させることが不可能な状態であるにも拘わらず)無理矢理モータ10を駆動させ続けることによるモータ10や各部材の損傷が防止される。
【0031】
このように本実施形態では、便蓋91・便座92がモータ10の動力によらず自重によって移動する自重移動領域(本実施形態では第一の所定角度θ1から全閉位置までの区間)において所定時間以上停止したことが検出手段20によって検出されたときには、ブレーキ機能を発現していたモータ10(換言すれば、開方向への動力を出力していたモータ10)の動力を敢えて閉方向に切り替え、便蓋91・便座92が再び閉方向に向かって移動を開始するきっかけを与える。これにより、従来では便蓋91・便座92に作用する抵抗によって途中で移動が停止してしまっていたであろう多くの場合においても、便蓋91・便座92の全閉位置までの移動が完了することとなる。ただし、モータ10からの閉方向への出力によっても、便蓋91・便座92が閉方向に移動しなければ、モータ10や各部材の損傷を防止するため、当該閉方向への出力を停止する。なお、このように閉方向への出力によっても便蓋91・便座92が閉方向に移動しなかった場合には、使用者に異常を報知するように設定してもよい。
【0032】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0033】
上記実施形態では、便蓋91・便座92がその自重で閉方向に移動する自重移動領域が設定される開閉装置において、当該自重移動領域で便蓋91・便座92が停止したことが検出されたとき、モータ10の動力を閉方向に出力させることを説明したが、本発明の技術思想は、それ以外の構成に適用することもできる。
【0034】
例えば、上述した便蓋91・便座92を手動操作でも開閉操作可能な装置(手動操作のみで開閉可能な装置と、手動および自動操作の両方が可能な装置の両方を含む)において、便蓋91・便座92を手動で操作している際に便蓋91・便座92が停止したことが検出された場合に、駆動源を駆動させて当該手動による開閉操作をサポートする機構としてもよい。手動で便蓋91・便座92を開閉操作する際には、係合する部材同士が局所的に引っ掛かったりすることなどによって、開閉操作がスムーズに行うことができなくなる可能性があるところ、駆動源の出力によって当該局所的な引っ掛かりなどの開閉操作を妨げる要因を解消させ、スムーズな開閉操作を実現する。つまり、本発明にかかる開閉機構は、駆動源の動力によらずに便蓋91・便座92が移動する領域が設定される開閉装置において、当該領域で便蓋91・便座92の移動が停止する可能性があるものに適用することができる。
【0035】
また、上記実施形態における自重移動領域は、自重で閉方向に移動する便蓋91・便座92に対してモータ10のブレーキが作用する区間であるが、当該ブレーキの有無は問わない。すなわち、ブレーキが作用しない自重で移動する領域が設定され、当該領域で便蓋91・便座92が停止したことが検出されたとき、モータ10の動力を閉方向に出力させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 開閉機構
10 モータ(駆動源)
20 検出手段
30 制御手段
91 便蓋
92 便座
図1
図2
図3
図4