(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182925
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20170814BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20170814BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20170814BHJP
【FI】
H01M4/04 A
H01M4/139
H01G13/00 381
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-62208(P2013-62208)
(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-186926(P2014-186926A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2015年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】早川 文隆
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 雅巳
(72)【発明者】
【氏名】木下 恭一
【審査官】
佐藤 知絵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−075334(JP,A)
【文献】
特開平8−112798(JP,A)
【文献】
特開2008−221429(JP,A)
【文献】
特開平1−164591(JP,A)
【文献】
特開2000−315518(JP,A)
【文献】
特開2008−258136(JP,A)
【文献】
特開平10−244488(JP,A)
【文献】
特開平10−086094(JP,A)
【文献】
特表2009−545461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/04
H01M 4/139
H01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置の電極用金属箔を含む帯状体を切断する切断装置であって、
ローラーカッターと、該ローラーカッターに対向して配置された受け具と、を備え、
前記ローラーカッターは、回転軸周りに回転可能なドラム状のローラー本体、及び、該ローラー本体の外周面上に螺旋状に形成された切断刃を有し、
前記ローラー本体は、前記切断刃の根本部分が盛り上がったカム形状を有し、
前記ローラーカッターは、前記帯状体の上方に配置されており、
前記ローラーカッターは、前記ローラー本体がカム形状を有していることにより、切断時に前記帯状体と接触して前記帯状体を押し下げ、切断後に前記帯状体と非接触の状態となるように構成されており、且つ、前記ローラーカッターの前記切断刃が上方を向いている場合、前記ローラーカッターと前記帯状体とが非接触の状態となるように構成されており、
前記ローラーカッターと前記受け具とで前記帯状体を切断する、切断装置。
【請求項2】
前記ローラーカッターは、前記回転軸が前記帯状体の搬送方向に対して斜めになるように配置されている、請求項1記載の切断装置。
【請求項3】
前記切断刃は、その刃先が前記帯状体に接した時点での前記帯状体の表面と、前記切断刃における前記ローラーカッターの回転方向側の面との成す角度が、前記帯状体の搬送方向の逆側において45°以上90°未満となるように形成されている、請求項1又は2記載の切断装置。
【請求項4】
前記受け具は、前記切断刃と噛合する受け刃を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の切断装置。
【請求項5】
蓄電装置の電極用金属箔を含む帯状体を切断する切断装置であって、
ローラーカッターと、該ローラーカッターに対向して配置された受け具と、を備え、
前記ローラーカッターは、回転軸周りに回転可能なドラム状のローラー本体、及び、該ローラー本体の外周面上に螺旋状に形成された切断刃を有し、
前記ローラー本体は、前記切断刃の根本部分が盛り上がったカム形状を有し、
前記ローラーカッターは、前記帯状体の上方に配置されており、
前記ローラーカッターは、前記ローラー本体がカム形状を有していることにより、切断時に前記帯状体と接触して前記帯状体を押し下げ、切断後に前記帯状体と非接触の状態となるように構成されており、
前記切断刃は、その刃先が前記帯状体に接した時点での前記帯状体の表面と、前記切断刃における前記ローラーカッターの回転方向側の面との成す角度が、前記帯状体の搬送方向の逆側において45°以上90°未満となるように形成されており、
前記ローラーカッターと前記受け具とで前記帯状体を切断する、切断装置。
【請求項6】
蓄電装置の電極用金属箔を含む帯状体を切断する切断装置であって、
ローラーカッターと、該ローラーカッターに対向して配置された受け具と、を備え、
前記ローラーカッターは、回転軸周りに回転可能なドラム状のローラー本体、及び、該ローラー本体の外周面上に螺旋状に形成された切断刃を有し、
前記ローラー本体は、前記切断刃の根本部分が盛り上がったカム形状を有し、
前記切断刃は、その刃先が前記帯状体に接した時点での前記帯状体の表面と、前記切断刃における前記ローラーカッターの回転方向側の面との成す角度が、前記帯状体の搬送方向の逆側において45°以上90°未満となるように形成されており、
前記ローラーカッターと前記受け具とで前記帯状体を切断する、切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置の電極用金属箔を含む帯状体を切断するための切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電装置に用いられる電極は、通常、長尺の金属箔に電極活物質のペーストを塗布して乾燥し、圧延等の処理を行って金属箔と活物質層とが積層された長尺の帯状体を作製した後、それを切断装置によって所望の寸法に切断することで製造される。
【0003】
上記帯状体を切断する切断装置としては、例えば、帯状体を一定の方向に間欠的に搬送し、金型等により裁断する切断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、帯状体を搬送しながらローラーカッターにより順次切断する切断装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−297754号公報
【特許文献2】特開平10−032001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたような切断装置は、帯状体を間欠的に走行させて裁断するものであり、走行させながら連続的に切断することができないため、マシンサイクルタイムが長くなる。一方、特許文献2に記載されたような切断装置は、帯状体の連続的な切断が可能であるものの、搬送しながら帯状体の幅方向を一度に切断するものであり、また、切断時に帯状体に十分なテンションを掛けられないため、切断面にバリが生じたり、帯状体がよれてシワが生じたりといった問題が起こりやすい。
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、マシンサイクルタイムを低減できるとともに、バリ及びシワの発生を抑制できる、蓄電装置の電極用金属箔を含む帯状体を切断するための切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、蓄電装置の電極用金属箔を含む帯状体を切断する切断装置であって、ローラーカッターと、該ローラーカッターに対向して配置された受け具と、を備え、上記ローラーカッターは、回転軸周りに回転可能なドラム状のローラー本体、及び、該ローラー本体の外周面上に螺旋状に形成された切断刃を有し、上記ローラー本体は、上記切断刃の根本部分が盛り上がったカム形状を有し、上記ローラーカッターと上記受け具とで上記帯状体を切断する、切断装置を提供する。
【0008】
上記切断装置では、帯状体を幅方向に一度に切断するのではなく、螺旋状に形成された切断刃の一端側が帯状体に接触して切断が始まり、ローラーカッターの回転に合わせて切断が進み、切断刃の他端側において切断が完了することとなる。このように、上記切断装置では、帯状体をその幅方向の一端から他端まで徐々に切断するため、切断面へのバリの発生を十分に抑制しつつ、帯状体を搬送しながら連続的に切断を行うことができ、マシンサイクルタイムを低減することができる。また、上記切断装置では、ローラーカッターがカム形状を有しているため、帯状体はカムにならって上下に移動し、適度なテンションが掛かった状態で切断される。そのため、帯状体がよれてシワが生じたることを抑制することができる。さらに、カム形状のローラーカッターは、切断時にのみ帯状体に接触することとなるため、特に帯状体が活物質層を有している場合、接触による活物質層への異物混入を抑制することができる。また、非切断時にはローラーカッターは帯状体に接触せず、帯状体の搬送が容易となる。
【0009】
上記切断装置において、上記ローラーカッターは、上記回転軸が上記帯状体の搬送方向に対して斜めになるように配置されていてもよい。上記切断装置では、帯状体を搬送しながら螺旋状に形成された切断刃によって徐々に切断するため、帯状体の搬送方向に対してローラーカッターの回転軸が垂直であると、切断面は搬送方向に対して斜めになり、長方形又は正方形のシート(切断物)を切り出すことができない。これに対し、ローラーカッターを、その回転軸が帯状体の搬送方向に対して斜めになるように配置することにより、切断面が搬送方向に対して垂直になるように調整でき、長方形又は正方形のシートを切り出すことが可能となる。
【0010】
上記切断装置において、上記切断刃は、その刃先が上記帯状体に接した時点での上記帯状体の表面と、上記切断刃の進行方向側の面との成す角度が、上記帯状体の搬送方向の逆側において45°以上90°未満となるように形成されていてもよい。上記条件を満たすように切断刃を設けることにより、搬送されている帯状体の流れに逆らわずに切断刃を当てることができるため、帯状体の切断面でのバリの発生をより十分に抑制することができる。また、切断刃に応力が生じにくくなり、切断刃の寿命を長くすることができる。
【0011】
上記切断装置において、上記受け具は、上記切断刃と噛合する受け刃を有していてもよい。これにより、帯状体をよりスムーズに切断することができ、帯状体の切断面でのバリの発生をより十分に抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マシンサイクルタイムを低減できるとともに、バリ及びシワの発生を抑制できる、蓄電装置用の帯状体の切断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の切断装置における切断ユニットの一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の切断装置における切断ユニットの他の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】切断ユニットにより帯状体を切断する際の一連の動きを説明する説明図である。
【
図4】本発明の切断装置の一実施形態を示す側面図である。
【
図5】ローラーカッターと帯状体との配置関係の一例を示す上面図である。
【
図6】ローラーカッターの切断刃の刃先が帯状体に接した状態を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0015】
図1は、本発明の切断装置における切断ユニットの一実施形態を示す斜視図である。
図1に示すように、切断ユニット100は、ローラーカッター10と、該ローラーカッター10に対向して固定配置された板状の受け具20とで構成されている。ローラーカッター10は、回転軸A周りに回転可能なドラム状のローラー本体12と、該ローラー本体12の外周面上に螺旋状に形成された切断刃14とを有している。また、ローラー本体12は、切断刃14の根本部分が盛り上がったカム形状を有している。ローラーカッター10は、その回転駆動を行う駆動装置(図示せず)に接続されている。一方、受け具20は、板状の支持部材22と、該支持部材22の表面に溝状に形成された、切断刃14と噛合する受け刃24とを有している。
【0016】
帯状体40は、
図1中の矢印Bの方向に搬送され、ローラーカッター10と受け具20との間で、切断刃14と受け刃24との噛み合わせにより切断される。このとき、帯状体40は、ローラーカッター10の回転に合わせて徐々に切断される。すなわち、螺旋状に形成された切断刃14の一端側(
図1中の右奥側)が帯状体40に接触して切断が始まり、ローラーカッター10の回転とともに切断が進み、切断刃14の他端側(
図1中の左手前側)において切断が完了する。なお、ローラーカッター10及び受け具20の幅(回転軸A方向の長さ)は、通常、帯状体40の幅よりも大きくなるように設計される。
【0017】
図2は、本発明の切断装置における切断ユニットの他の一実施形態を示す斜視図である。
図2に示した切断ユニット200は、
図1に示したものと同様のローラーカッター10と、該ローラーカッター10に対向して配置されたドラム状の受け具30とで構成されている。受け具30は、ドラム状の支持部材32と、該支持部材32の表面に溝状に形成された、切断刃14と噛合する受け刃34とを有している。この受け刃34は、支持部材32の外周面上に螺旋状に形成されている。受け具30は、その回転駆動を行う駆動装置(図示せず)に接続されており、ローラーカッター10の回転と同期して回転する。そして、切断ユニット200においても、切断ユニット100の場合と同様に、ローラーカッター10と受け具30との間で、切断刃14と受け刃34との噛み合わせにより帯状体40が切断される。
【0018】
ローラー本体12及び支持部材22,32の材質としては特に制限されないが、金属及び硬質ゴム等が挙げられる。また、切断刃14及び受け刃24,34の材質としては特に制限されないが、金属等が挙げられる。
【0019】
ローラー本体12のカム形状は特に制限されず、ローラー本体12の表面における切断刃14の根元部分の回転軸Aからの距離が、他の部分の回転軸Aからの距離よりも長くなるように突出していればよい。切断刃14の根本部分の突出が大きいほど、切断時に帯状体40に対してより大きなテンションを掛けることができる。帯状体40に適度なテンションを掛けて、シワが発生することを十分に抑制する観点から、切断刃14の根本部分の回転軸Aからの距離は、他の突出してない部分の回転軸Aからの距離の1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることがより好ましく、2.0倍以上であることが特に好ましい。一方、帯状体40に過剰なテンションが掛かることを抑制する観点から、切断刃14の根本部分の回転軸Aからの距離は、他の突出してない部分の回転軸Aからの距離の4.0倍以下であることが好ましく、3.0倍以下であることがより好ましい。
【0020】
切断刃14の螺旋のピッチは特に制限されないが、ローラー本体12の外周面を切断刃14が一周以上していると、切断刃14が常に帯状体40に接触した状態となるため好ましくない。切断刃14が帯状体40に接しない状態で、所望の長さの帯状体40を搬送できるようにする観点から、ローラー本体12の周方向において切断刃14の一端から他端までが形成されている領域は、ローラー本体12の2/3周以下であることが好ましく、半周以下であることがより好ましい。一方、帯状体40のスムーズな切断を行う観点から、ローラー本体12の周方向において切断刃14の一端から他端までが形成されている領域は、ローラー本体12の1/5周以上であることが好ましく、1/4周以上であることがより好ましい。
【0021】
帯状体40は、例えば、集電体となる長尺の金属箔と、該金属箔の片面又は両方に形成された電極活物質を含む活物質層とが積層された構造を有する。活物質層は、例えば、金属箔の表面に電極活物質を含むペースト又はゲルを塗工した後、乾燥及び圧延等の処理を施すことで形成される。活物質層は、金属箔の全面に形成されていてもよく、間欠塗工等の方法により所定の間隔を空けて形成されていてもよい。
【0022】
帯状体40は、蓄電装置の電極として使用するものである。蓄電装置としては、リチウムイオン二次電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタが挙げられる。帯状体40を構成する金属箔及び電極活物質としては、作製する蓄電装置に対応する材料が用いられる。
【0023】
例えば、蓄電装置がリチウムイオン二次電池の場合、金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔、ステンレス箔、ニッケル箔等が挙げられる。負極活物質としては、黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素等が挙げられる。正極活物質としては、複合酸化物、金属リチウム、硫黄等が挙げられる。複合酸化物は、マンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとを含む。また、活物質層は、上記電極活物質のほかに、バインダを含んでいてもよい。バインダとしては、PTFEディスパージョン、カルボキシメチルセルロース、スチレンンブタジエンゴム及びPVDF、並びに、これらの2種以上を混合したもの等が挙げられる。
【0024】
金属箔の厚みは、通常、5〜30μmであり、好ましくは10〜20μmである。活物質層の厚みは片面が、通常、30〜100μmであり、好ましくは50〜80μmである。
【0025】
切断ユニット100,200においては、帯状体40の金属箔と活物質層とが積層された部分を切断してもよいし、活物質層が所定の間隔を空けて形成されている場合には、活物質層が形成されていない金属箔のみの部分を切断してもよい。
【0026】
なお、帯状体40は、金属箔のみからなるものであってもよい。この場合、切断後に活物質層が形成される。
【0027】
図3(a)〜(e)は、切断ユニット100により帯状体を切断する際の一連の動きを説明する説明図(端面図)である。
図3(a)に示すように、ローラーカッター10の切断刃14が上方(帯状体40とは逆方向)を向いている場合、ローラーカッター10は帯状体40と非接触の状態となっている。ローラーカッター10が回転して切断刃14が帯状体40の方に向かうと、
図3(b)に示すようにローラーカッター10は帯状体40と接触し、帯状体40を押し下げる。次いで、
図3(c)に示すように、ローラーカッター10の切断刃14と受け具20の受け刃24とが噛み合わされ、帯状体40が切断される。このとき、ローラー本体12がカム形状を有していることにより、
図3(b)の状態から
図3(c)の状態にかけて、帯状体40は下方に押し下げられてテンションが掛かる。そのため、切断時に帯状体40がよれてシワが生じることが抑制される。
図3(d)に示すように切断が完了すると、切り離されたシート(切断物)42はそのままローラーカッター10の回転によって押し出され、目的物として回収される。なお、上記切断中でも、帯状体40は停止することなく矢印Bの方向に搬送され、
図3(e)に示すように、次の切断が再び行われる。このようにして、帯状体40の切断が連続的に行われる。
【0028】
本発明の切断装置において、切断ユニット100,200以外の構成は特に限定されない。
図4は、本発明の切断装置の一実施形態を示す側面図である。
図4に示した切断装置500は、長尺の帯状体40を巻き取ったリール50と、帯状体40を搬送するガイドローラー52,54,56,58,60と、切断ユニット100と、切断されたシート42を搬送する傾斜台70と、切断されたシート42を回収する回収トレイ72と、を備えている。また、図示していないが、切断装置500は、リール50、ガイドローラー52,54,56,58,60、及び、ローラーカッター10のそれぞれの回転駆動を行う駆動装置を備えている。ガイドローラー52,54,56,58,60は、少なくとも鋼製のローラの表面にクロムメッキで耐摩耗性を持たせたもので形成されていることが好ましいが、外表面が硬質ゴム等の弾性体で覆われたようなものでもよい。
【0029】
切断装置500では、リール50から巻き出された帯状体40がガイドローラー52,54,56,58,60によって切断ユニット100に搬送される。切断ユニット100において、上述したように帯状体40の切断が行われ、切断されたシート42は自重によって傾斜台70を滑り落ち、回収トレイ72に回収される。このようにして、所望の寸法に切断されたシート42を得ることができる。このシート42は、蓄電装置の電極として用いられる。
【0030】
上述した切断ユニット100,200では、帯状体40を搬送しながら螺旋状に形成された切断刃14によって徐々に切断するため、帯状体40の搬送方向Bに対してローラーカッター10の回転軸Aが垂直であると、切断面は搬送方向Bに対して斜めになり、切断後のシート42の平面形状は、直角を有しない(長方形及び正方形以外の)平行四辺形となる。切断後のシート42の平面形状は、ローラーカッター10の回転速度、切断刃14の螺旋のピッチ、及び、帯状体40の搬送速度に依存し、それぞれ回転速度を速く、螺旋のピッチを長く、搬送速度を遅くすることで、平面形状は長方形又は正方形に近づく。これらの条件は、適宜調整することができる。
【0031】
また、ローラーカッター10を、その回転軸Aが帯状体40の搬送方向Bに対して斜めになるように配置することにより、切断面が搬送方向Bに対して垂直になるように調整することができ、長方形又は正方形のシート42を切り出すことが可能となる。
図5は、ローラーカッター10と帯状体40との配置関係の一例を示す上面図である。
図5に示すように、ローラーカッター10の回転軸Aが帯状体40の搬送方向Bに対して斜めになるように、ローラーカッター10を配置することができる。このとき、
図5に示すように、ローラーカッター10は、切断刃14において帯状体40の切断を開始する一端側が帯状体40の搬送方向の上流側となり、切断刃14において帯状体40の切断を完了する他端側が帯状体40の搬送方向の下流側となるように配置する。また、受け具20,30も、ローラーカッター10に合わせて帯状体40の搬送方向Bに対して斜めに配置される。ローラーカッター10の回転軸Aと帯状体40の搬送方向Bとの成す角度(鋭角)θ1は、切断後のシート42が長方形又は正方形等の所望の形状となるように適宜調整され、その範囲は特に限定されないが、切断をスムーズに行う観点から、通常は45°以上90°未満であり、好ましくは60°以上90°未満である。長方形又は正方形の平面形状を有するシート42を切り出すには、帯状体40の切り始めから切り終わりまでの間に帯状体40が矢印Bの方向へ移動する移動距離が、(帯状体40の幅W× tanθ1)の値、すなわち図中のXの値と一致するように調節すればよい。この条件を満たすように、ローラーカッター10の回転速度、切断刃14の螺旋のピッチ、帯状体40の搬送速度、及び、角度θ1が調整される。
【0032】
ローラーカッター10の回転速度と、帯状体40の搬送速度とは、帯状体40の切断時においては一致させることが好ましい。両者の速度は、非切断時においては異なっていてもよい。例えば、帯状体40の搬送速度は常に一定とし、ローラーカッター10の回転速度のみを切断時と非切断時とで変えてもよい。
【0033】
ローラーカッター10において、切断刃14は、
図1及び
図2等に示すように切断刃14が設けられたローラー本体12表面の接線方向に延びていてもよいし、上記法線方向から傾いていてもよい。
図6は、ローラーカッター10の切断刃14の刃先が帯状体40に接した状態を示す端面図である。
図6に示したローラーカッター10において、切断刃14は上記法線方向から傾いた状態となっている。切断刃14は、帯状体40の表面と、切断刃14の進行方向側の面Fとの成す角度θ2が、帯状体40の搬送方向Bの逆側において45°以上90°未満となるように形成されていることが好ましい。また、この角度は、60°以上90°未満であることがより好ましい。上記条件を満たすように切断刃14を設けることにより、搬送されている帯状体40の流れに逆らわずに切断刃14を当てることができるため、帯状体40の切断面でのバリの発生をより十分に抑制することができるとともに、切断刃14に過剰な応力が掛かりにくいため、切断刃14の寿命を長くすることができる。
【0034】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0035】
例えば、上記実施形態では、受け具20,30が受け刃24,34を備える場合について説明したが、受け刃24,34は必須ではない。例えば
図1において、受け具20は、溝のない支持部材22のみで構成された板状の部材であってもよいし、
図2において、受け具30は、溝のない支持部材32のみで構成されたドラム状の部材であってもよい。また、受け具30が、支持部材32のみで構成された部材である場合、当該部材は回転させずに固定していてもよい。
【符号の説明】
【0036】
10…ローラーカッター、12…ローラー本体、14…切断刃、20,30…受け具、22,32…支持部材、24,34…受け刃、40…帯状体、100,200…切断ユニット、500…切断装置。