(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記子機制御部は、前記パルス識別情報である前記パルスバースト波内で時間軸上に並ぶパルス番号と前記パルスバースト波の繰り返し周期の時間長とを用いて前記応答信号の送信タイミングを決定する、
請求項11に記載の無線式情報取得システムの子機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1,2に記載の無線式情報取得システムでは、質問信号のパルスバースト信号のバースト時間長(送信期間の時間長)は考慮しておらず、子機は、送信期間内のどのタイミングで質問信号を受信しても、乱数に基づく同じタイミングで応答信号を送信してしまう。
【0009】
特に、例えば、質問信号のバースト波形の立ち上がり付近で質問信号を受信した場合とバースト波形の立ち下がり付近で質問信号を受信した場合では、質問信号の受信タイミングに時間差がある。このような二つの場合において同じ乱数を設定したとすると、この時間差分だけ応答信号の送信タイミングが異なる。これにより、応答信号が親機の送信期間にかかってしまうことがある。また、受信期間の時間を有効に利用することが難しい。
【0010】
したがって、本発明の目的は、親機の送信期間に親機が送信した質問信号に対して、子機が親機の受信期間内に、より確実に応答信号を送信することができる無線式情報取得システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、送信期間と受信期間を交互に設け、送信期間中にパルスバースト波からなる質問信号を送信する親機と、質問信号を受信して、該質問信号に対する応答信号に少なくとも子機識別情報を乗せて送信する子機と、を備えた無線式情報取得システムに関するものあり、次の特徴を有する。
【0012】
親機は、質問信号を、複数のパルス波の連続波からなるパルスバースト波で形成し、各パルス波に固有のパルス識別情報を重畳している。
【0013】
子機は、質問信号の受信タイミングのパルス識別情報を取得して、このパルス識別情報から応答信号の送信タイミングを決定する。
【0014】
この構成では、子機は、質問信号を形成するパルスバースト波の時間軸上におけるどの位置で、質問信号を受信したかを識別でき、この受信タイミングに応じて、応答信号の送信タイミングを適切に設定することができる。
【0015】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、パルス識別情報は、パルスバースト波内で時間軸上に並ぶパルス番号であることが好ましい。さらに、この発明の無線式情報取得システムでは、子機は、パルス番号とパルスバースト波の繰り返し周期の時間長とを用いて応答信号の送信タイミングを決定することが好ましい。
【0016】
この構成では、応答信号の送信タイミングを容易な演算処理で決定することができる。
【0017】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、子機は、さらに乱数を用いて応答信号の送信タイミングを決定することが好ましい。
【0018】
この構成では、子機が複数存在する場合であっても、子機毎に乱数が異なれば子機毎の応答信号の送信タイミングが異なるので、子機の応答信号同士が衝突することを抑制できる。
【0019】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、次の構成であってもよい。子機は複数である。子機は、応答信号を送信する前に、他の子機の応答信号送信状況を確認し、他の子機の応答信号を検出しなければ、自身の応答信号を送信する。
【0020】
この構成では、複数の子機が存在していても、それぞれの子機から衝突しないタイミングで応答信号が送信される。
【0021】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、複数の親機に対して同期信号を与える同期制御機を備え、複数の親機は、同期信号に基づいて質問信号の送信タイミングを決定してもよい。
【0022】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、次の構成であってもよい。親機は複数であって、ネットワーク・タイム・プロトコル・サーバ(NTPサーバ)にそれぞれ接続されている。各親機は、ネットワーク・タイム・プロトコル・サーバから同期信号を取得して、同期信号に基づいて質問信号の送信タイミングを決定する。
【0023】
これらの構成では、親機が複数ある場合であっても、子機は、親機の受信期間に確実に応答信号を送信することができる。
【0024】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、複数の親機は、同期信号に基づいて質問信号の送信タイミングを一致させてもよい。
【0025】
この構成では、応答信号が届く範囲に存在する全ての親機がその応答信号を確実に受信することができる。
【0026】
また、この発明の無線式情報取得システムでは、複数の親機は、同期信号を取得すると、他の親機信号の質問信号送信状況を確認し、他の親機の送信信号を検出しなければ、自身の質問信号を送信するようにしてもよい。
【0027】
この構成では、複数の親機が送信する質問信号が干渉せず、良好な質問信号の送信状況を実現できる。
【0028】
また、この発明は、無線式情報取得システムの親機に関し、当該親機は、次の構成を備えることを特徴としている。親機は、質問信号生成部、親機受信部、および送受切替部を備える。質問信号生成部は、複数のパルス波の連続波からなるパルスバースト波で形成され、各パルス波に固有のパルス識別情報が重畳された質問信号を生成する。親機受信部は、質問信号に対する応答信号を含む外部からの信号を受信する。送受切替部は、送信期間は質問信号生成部とアンテナを接続し、受信期間は親機受信部とアンテナを接続する。
【0029】
この構成では、受信した子機が受信タイミングを精確に検出できる質問信号を生成して、送信することができる。
【0030】
また、この発明は、無線式情報取得システムの子機に関し、当該子機は、次の構成を備えることを特徴としている。子機は、子機受信部、応答信号生成部、送受切替部、および子機制御部を備える。子機受信部は、複数のパルス波の連続波からなるパルスバースト波で形成され、各パルス波に固有のパルス識別情報が重畳された質問信号を含む外部からの信号を受信する。応答信号生成部は、質問信号に対する少なくとも子機識別情報を重畳させた応答信号をパルス識別情報に基づく送信タイミングで送信するように生成する。送受切替部は、子機受信部と応答信号生成部とを切り替えてアンテナに接続する。子機制御部は、応答信号の送信タイミングをパルス識別情報に基づいて決定する。
【0031】
この構成では、質問信号を受信して、当該質問信号に対応する適正なタイミングで応答信号を生成して送信することができる。
【0032】
また、この発明の無線式情報取得システムの子機における子機制御部は、パルス識別情報であるパルスバースト波内で時間軸上に並ぶパルス番号とパルスバースト波の繰り返し周期の時間長とを用いて応答信号の送信タイミングを決定することが好ましい。
【0033】
この構成では、応答信号の送信タイミングを容易な演算処理で決定することができる。
【0034】
また、この発明の無線式情報取得システムの子機における子機制御部は、さらに乱数を用いて応答信号の送信タイミングを決定することが好ましい。
【0035】
この構成では、当該子機が属する無線式情報取得システムに、他の子機が存在していても、子機間での応答信号の衝突を抑制することができる。
【発明の効果】
【0036】
この発明によれば、親機の質問信号と子機の応答信号による無線通信を、より確実に成立させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の第1の実施形態に係る無線式情報取得システムについて、図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線式情報取得システムの構成を示すブロック図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る無線式情報取得システムの送受信概念を示す図であり、波形および動作状態を示している。また、
図2(A)は送受信状況例を示す図であり、
図2(B)はパルスバースト波の具体的な波形例を示す図である。
【0039】
まず、情報取得システム10の機能構成について、
図1を参照して説明する。
【0040】
図1に示すように、情報取得システム10は、親機20および子機31を備える。なお、親機数および子機数は複数であってもよく、個々の親機及び子機は基本的に図
1に示す親機20および子機31の構成を有する。
【0041】
親機20は、電源200、親機制御部201、質問信号生成部202、送受切替部203、アンテナ204、および、親機受信部205を備える。親機20は、例えば無線のアクセスポイントである。
【0042】
電源200は、親機20の各部に電源供給をする。親機制御部201は、親機20全体の制御を行い、例えば、送信期間と受信期間を設定したり、質問信号Spbの送信条件を設定したり、復調された応答信号Sreから子機識別情報や、当該子機識別情報に添付された子機の状態情報を検出する。
【0043】
質問信号生成部202は、与えられた送信条件(パルスバースト波の時間長(バースト時間長)Ttxp)に基づいて、連続する複数のパルス波によって形成されたパルスバースト波からなる質問信号Spbを生成し、送受切替部203へ出力する。この際、質問信号生成部20は、各パルス波に対してパルス番号Bを重畳させている。
【0044】
送受切替部203は、例えばスイッチ回路であり、送信期間は質問信号生成部202とアンテナ204を接続し、受信期間は親機受信部205とアンテナ204を接続する。これにより、送信期間では、質問信号生成部202から出力された質問信号Spbは、送受切替部203を介してアンテナ204に供給され、当該アンテナ204から外部へ送信される。一方、受信期間では、アンテナ204が受信した外部からの信号(応答信号Sreを含む)を、親機受信部205に出力する。
【0045】
親機受信部205は、受信信号を検波し、受信信号が応答信号Sreであれば、当該応答信号Sreを復調して、親機制御部201に出力する。なお、この際、親機受信部205は、応答信号Sreに子機状況情報が重畳されていれば、これも復調する。
【0046】
子機31は、電池310、子機制御部311、子機受信部312、送受切替部313、アンテナ314、および応答信号生成部315を備える。子機は、情報取得対象に装着されたアクティブRFIDタグである。
【0047】
電池310は、子機31の各部に電源供給する。電池310は、一次電池であってもよく二次電池であってもよい。子機制御部311は、子機31全体の制御を行い、例えば、復調された質問信号Spbが応答すべき質問信号であるかどうかを検出したり、復調された質問信号Spbのパルス番号Bを検出して、当該パルス番号Bから応答信号Sreの送信タイミングを決定する。
【0048】
子機受信部312は、受信した信号を検波し、質問信号Spbを検出して復調する。送受切替部313は、例えばスイッチ回路であり、応答信号Sreを送信する期間は、アンテナ314と応答信号生成部315とを接続し、それ以外の期間は、アンテナ314と子機受信部312とを接続する。
【0049】
応答信号生成部315は、子機制御部311から与えられる応答信号Sreの送信タイミングに基づいて、応答信号Sreを生成する。応答信号Sreには、子機31に固有の子機識別情報(子機識別ID)が重畳されており、必要に応じて子機31の置かれている状況に応じた子機状況情報が重畳されている。
【0050】
次に、具体的な本実施形態の質問信号Spbと応答信号Sreを用いた送受信概念について説明する(
図2参照)。
【0051】
親機20が送信する質問信号Spbは、振幅レベルがHiの期間(パルスバースト期間)と振幅レベルがLowの期間が交互に現れる波形からなる。振幅レベルがHiの期間が送信期間に対応し、振幅レベルがLowの期間が受信期間に対応する。親機20は、振幅レベルがHiの期間(送信期間)と振幅レベルがLowの期間(受信期間)とを1サイクルとして、子機31への質問信号Spbの送信と子機31から応答信号Sreの受信を繰り返し行う。振幅レベルがHiの期間である送信期間は、すなわちパルスバースト波の時間長(バースト時間長)Ttxpは、例えば親機20が送信する送信距離に基づいて決定されている。また、振幅レベルがLowとの期間である受信期間は、子機31に対する通信頻度等によって設定される。例えば、通信頻度を上げる場合には受信期間を短くし、通信頻度を上げる必要が無い場合には受信期間を長く設定する。
【0052】
例えば、具体的な例としては、次のような送信期間と受信期間の組合せがある。第1の組合せとしては、送信期間(=バースト時間長Ttxp)が10秒であり受信期間が50秒であり、パルスバースト波の繰り返し周期(質問信号繰り返し周期)は60秒である。第2の組合せとしては、送信期間(=バースト時間長Ttxp)が5秒であり受信期間が15秒であり、パルスバースト波の繰り返し周期(質問信号繰り返し周期)は20秒である。第3の組合せとしては、送信期間(=バースト時間長Ttxp)が2秒であり受信期間が2秒であり、パルスバースト波の繰り返し周期(質問信号繰り返し周期)は4秒である。なお、上記組合せは任意であり、使用状況や使用目的によって適宜変更可能である。
【0053】
ここで、振幅レベルがHiの期間に相当するパルスバースト波は、
図2(B)に示すように、パルス繰り返し周期Tbで連続的に発生する複数のパルス波によって形成されている。
【0054】
各パルス波は個別に変調されており、各パルスに固有のパルス番号が重畳されている。より具体的には、
図2(B)に示すように、パルス数(パルスバースト波に含まれるパルス波の個数)がn+1の場合には、パルス番号は、パルスバースト波(振幅レベルがHiの期間)の立ち下がり側を基準として、パルスバースト波の立ち上がり方向に沿って、B(0),B(1),・・・,B(n−1)の順で設定され、立ち上がりのパルス番号はB(n)に設定されている。パルス番号は整数である。
【0055】
子機31は、所定の周期で親機20からの質問信号Spbをセンシングする。この際、子機31の子機制御部311は、最初に質問信号Spbを受信するまでは、センシングを行う期間(
図2のセンシング期間Tsen)のみ、子機受信部312の電源をオン状態にし、アンテナ314で受信した信号を検波する。子機制御部311は、センシングを行う期間以外では、子機受信部312の電源をオフ状態(スリープ状態)にする。また、子機制御部311は、最初に質問信号Spbを受信するまでは、応答信号生成部315の電源をオフ状態にする。これにより、子機31の消費電力を低減することができ、電池310を長寿命化することができる。この、最初の質問信号Spbを検出するまでのセンシング間隔、すなわち応答繰り返し周期Trepは、バースト時間長Ttxp以下に設定されている(Trep≦Ttxp)。これにより、子機31は、質問信号Spbを確実に検出することができる。なお、一旦質問信号Spbを受信すると、質問信号Spbの繰り返し周期で、センシングを繰り返せばよい。そして、この繰り返し周期は、例えば予め親機20と子機31との間で共有していてもよいし、質問信号Spbに重畳しておいてもよい。
【0056】
なお、子機受信部312のセンシング期間Tsenは、パルス波の繰り返し周期Tbよりも長く設定されている。なお、センシング期間Tsenは、パルス波の繰り返し周期Tb以上であればできる限り短い方が好ましい。これにより、センシング期間Tsenによってパルス波1つ分を確実に受信でき、パルス番号Bを確実に検出することができる。さらに、必要以上にセンシング期間Tsenが長くならないので、省電力化できる。
【0057】
子機制御部311は、センシング期間において、子機受信部312が質問信号Spbを検出すると、復調された質問信号Spbからセンシングタイミングでのパルス番号Bを検出する。子機制御部311は、パルス番号Bを用いて、次式から応答信号Sreを送信するまでのウェイト時間Twatを算出する。
【0058】
Twat=A*B*Tb+Trw
ここで、Aは1以上の係数であり、Trwは子機31が設定する乱数値である。なお、乱数値Trwは固定値であってもよく、省略することもできる。
【0059】
このようなウェイト時間Twatの設定を行うことで、ウェイト時間Twatは、パルスバースト波の立ち下がりタイミング、すなわち送信期間から受信期間に切り替わるタイミングと子機31が質問信号Spbを検出したタイミングとの時間差(時間長)に応じた値となる。例えば、パルスバースト波の立ち上がり付近で子機31が質問信号Spbを検出すれば、ウェイト時間Twatは長くなり、パルスバースト波の立ち下がり付近で子機31が質問信号Spbを検出すれば、ウェイト時間Twatは短くなる。
【0060】
これにより、応答信号Sreの送信タイミングは、確実に親機20の受信期間内となる。また、質問信号Spbの検出タイミングに応じてウェイト時間Twatが設定されるので、ウェイト時間Twatが不要に長くならず、適切なタイミングで応答信号Sreを送信することができる。
【0061】
さらに、乱数を用いることで、後述する子機が複数存在する場合であって、質問信号Spbの検出タイミングが一致しても、乱数によりウェイト時間Twatが子機毎に異なりやすい。したがって、各子機の応答信号Sreが衝突する可能性を低くすることができる。
【0062】
子機制御部311は、質問信号Spbを検出すると、この検出タイミングからウェイト時間Twat後に、応答信号Sreを生成して送信するように、応答信号生成部315を制御する。その後、子機制御部311は、応答信号生成部315に対して応答信号繰り返し周期Trepを設定する。この際、応答信号繰り返し周期Trepは、上述のように、バースト時間長Ttxp以下に設定されている(Trep≦Ttxp)。これにより、子機制御部311は、次に質問信号Spbが送信されても、当該質問信号Spbを確実に検出することができる。応答信号生成部315は、応答信号繰り返し周期Trepに基づいて、応答信号Sreを生成して送信する。
【0063】
以上のように、本実施形態の構成および処理を用いれば、親機20の質問信号と子機31の応答信号による無線通信を、より確実に且つ適正なタイミングで成立させることができる。
【0064】
次に、第2の実施形態に係る無線式情報取得システムについて、図を参照して説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る無線式情報取得システムの構成を示すブロック図である。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る無線式情報取得システムの送受信概念を示す図であり、波形および動作状態を示している。
【0065】
本実施形態の無線式情報取得システム10Aは、第1の実施形態に示した無線式情報取得システム10に対して、子機が複数存在する点で異なる。したがって、第1の実施形態に示した無線式情報取得システム10と異なる点のみを具体的に説明する。なお、以下の説明では、子機が2台(子機31,32)の場合を示すが、3台以上であっても本実施形態の構成および処理を適用することができる。
【0066】
子機32は、電池320、子機制御部321、子機受信部322、送受切替部323、アンテナ324、および応答信号生成部325を備える。子機32は、子機31と基本的構成は同じであり、子機制御部311,321の処理、応答信号生成部315,325の処理が本実施形態に特有のものである。
【0067】
子機制御部311は、質問信号Spbを検出すると、パルス番号Bを用いて、次式から応答信号Sre1を送信するまでのウェイト時間Twat1を算出する。
【0068】
Twat1=A1*B*Tb+Trw1
ここで、A1は1以上の係数であり、Trw1は子機31が独自に設定する乱数値である。
【0069】
子機制御部311は、この検出タイミングからウェイト時間Twat1後に、他の子機(本実施形態では子機32)の応答信号送信状況を確認する。すなわち、他の子機の応答信号に対するセンシング処理を行う。具体的には、子機制御部311は、子機受信部312を起動して、アンテナ314の受信信号の他の子機の応答信号が含まれていないか検出する。子機制御部311は、他の子機の応答信号を検出しなければ、応答信号Sre1を生成して送信するように、応答信号生成部315を制御する。その後、子機制御部311は、応答信号繰り返し周期Trep1を設定する。この際、応答信号繰り返し周期Trep1は、上述のように、バースト時間長Ttxp以下に設定されている(Trep1≦Ttxp)。これにより、子機制御部311は、さらに質問信号Spbが送信されても当該質問信号Spbを確実に検出することができる。子機制御部311は、応答信号繰り返し周期Trep1毎に、他の子機の応答信号送信状況を確認し、他の子機の応答信号を検出しなければ、応答信号生成部315は、応答信号Sre1を生成して送信する。
【0070】
子機制御部321は、質問信号Spbを検出すると、パルス番号Bを用いて、次式から応答信号Sre2を送信するまでのウェイト時間Twat2を算出する。
【0071】
Twat2=A2*B*Tb+Trw2
ここで、A2は1以上の係数であり、Trw2は子機32が独自に設定する乱数値である。
【0072】
子機制御部321は、この検出タイミングからウェイト時間Twat2後に、他の子機(本実施形態では子機31)の応答信号送信状況を確認する。すなわち、他の子機の応答信号に対するセンシング処理を行う。具体的には、子機制御部321は、子機受信部322を起動して、アンテナ324の受信信号の他の子機の応答信号が含まれていないか検出する。子機制御部321は、他の子機の応答信号を検出しなければ、応答信号Sre2を生成して送信するように、応答信号生成部325を制御する。その後、子機制御部321は、応答信号繰り返し周期Trep2を設定する。この際、応答信号繰り返し周期Trep2は、上述のように、バースト時間長Ttxp以下に設定されている(Trep2≦Ttxp)。これにより、子機制御部321は、さらに質問信号Spbが送信されても当該質問信号Spbを確実に検出することができる。子機制御部321は、応答信号繰り返し周期Trep2毎に、他の子機の応答信号送信状況を確認し、他の子機の応答信号を検出しなければ、応答信号生成部325は、応答信号Sre2を生成して送信する。
【0073】
なお、子機制御部321は、応答信号送信状況を確認し、他の子機の応答信号を検出すると、所定の再ウェイト時間Trw2後に応答信号送信状況を確認する。この再ウェイト時間Trw2は、応答信号Sre1,Sre2の時間長、質問信号Spbの繰り返し周期に基づいて適宜設定すればよい。この際、再ウェイト時間Trw2は応答信号繰り返し周期Trep2未満であることが好ましい。この処理は、他の子機の応答信号が検出されなくなるまで継続的に行われ、他の子機の応答信号が検出されなった時点で、応答信号生成部325は、応答信号Sre2を生成して送信する。
【0074】
上述の説明では、子機32が子機31の応答信号の送信を検出してウェイト処理を行う例を示したが、図示していないが子機31も同様の処理を行うことができる。すなわち、子機31が子機32の応答信号の送信を検出してウェイト処理を行うこともある。
【0075】
具体的に、
図4の例では、子機31による応答信号Sre1が送信されている期間に、子機32が他の子機の応答信号を検出する処理を行っている。したがって、子機32は、子機31の応答信号Sre1を検出する。子機32は、応答信号Sre1を検出したことにより、この検出タイミングから再ウェイト時間Trw2をおいて、他の子機の応答信号を検出する処理を再度行っている。この時点では、子機31の応答信号Sre1は存在しないので、子機32は、このタイミングで応答信号Sre2を生成して送信する。
【0076】
以上のように、本実施形態の構成を用いることで、第1の実施形態に示した効果とともに、複数の子機が存在していても、子機が送信する応答信号間の衝突を防止することができる。これにより、親機20の質問信号と複数の子機31,32の応答信号とによる無線通信を、より確実に成立させることができる。この際、上述のように、応答信号の送信タイミングを適切に設定できるため、受信期間の初めの頃に設定できる。これにより、受信期間を有効に利用することができ、親機と複数の子機との間の通信をより確実に成立することができる。
【0077】
次に、第3の実施形態に係る無線式情報取得システムについて、図を参照して説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る無線式情報取得システムの構成を示すブロック図である。
図6は、本発明の第3の実施形態に係る無線式情報取得システムの親機の送信を同期させる処理を示す図であり、各信号の波形を示している。
【0078】
本実施形態の無線式情報取得システム10Bは、複数の親機20A,20B,20C,20D、複数の子機31,32,33,34,35、同期制御機40を備える。
【0079】
同期制御機40は、同期信号発生部401とアンテナ402を備える。同期信号発生部401は同期制御信号Ssyを生成して、アンテナ402から外部へ放送する。
【0080】
親機20A〜20Dは、質問信号Spb1〜Spb4の基本的な送信処理および応答信号Sre1〜Sre5の基本的な受信処理を行う構成については、上述の親機20と同じである。また、親機20A〜20Dは同じ構成であるので、親機20Aの構成のみを説明する。
【0081】
複数の子機31〜35は、第2の実施形態に示した子機31,32と同様の構成であり、同様の応答信号の生成送信処理を実行する。子機31〜35は、いずれかの親機20A〜20Dの質問信号Spb1〜Spb4に対して、それぞれに応答信号Sre1〜Sre5を送信する。
【0082】
親機20Aは、電源200A、親機制御部201A,質問信号生成部202A、送受切替部203A、アンテナ204A、親機受信部205Aを備える、これらの親機20Aを構成する各部は、上述の親機20と基本構成及び基本処理は同じである。親機20Aは、システム側送受信部206A、システム側アンテナ207Aをさらに備える。
【0083】
システム側送受信部206は、システム側アンテナ207Aが受信した同期制御信号Ssyを受信して、親機制御部201Aに与える。親機201Aは、同期制御信号Ssyに基づいて、質問信号Spb1の送信タイミングを決定する。
【0084】
親機20B,20C,20Dについても、同様に、同期制御信号Ssyを受信し、同期制御信号Ssyに基づいて、それぞれに質問信号Spb2,Spb3,Spb4の送信タイミングを決定する。
【0085】
ここで、
図6に示すように、親機20A〜20Dは、同期制御信号Ssyの立ち上がりタイミングを質問信号Spb1,Spb2,Spb3,Spb4の送信タイミングに設定する。これにより、各親機20A〜20Dから送信される質問信号Spb1〜Spb4は、一致したタイミングで、子機31〜35に放送される。
【0086】
したがって、子機31〜35は、どの親機20A〜20Dからの質問信号Spb1〜Spb4を受信しても、質問信号Spb1〜Spb4に依存することなく、同じ送信タイミングで応答信号Sre1〜Sre5を送信することができる。これにより、いずれかの親機20A〜20Dの受信期間で、応答信号Sre1〜Sre5を確実に受信することができる。すなわち、複数の親機と複数の子機とが存在する状況で、親機子機間の通信を確実に成立することができる。そして、このように親機を複数用いて、各親機の送信範囲が部分的に重なるように各親機を配置することで、子機からの情報を取得できる範囲を広くすることができる。
【0087】
なお、第3の実施形態では、各親機20A〜20Dと同期制御機40とが無線通信を行い、同期制御機40から同期制御信号を送信する例を示した。しかしながら、同期制御機40に代えて、NTP(Network Time Protocol)サーバを利用し、NTPサーバと各親機とを有線接続してもよい。この場合、各親機がNTPサーバにアクセスして、基準時刻(RTC)を取得し、当該基準時刻に対して同期を行えばよい。この基準時刻が本発明の同期信号に対応する。
【0088】
次に、第4の実施形態に係る無線式情報取得システムについて、図を参照して説明する。
図7は、本発明の第4の実施形態に係る無線式情報取得システムの親機の送信を衝突させずに同期させる処理を示す図であり、各信号の波形を示している。
【0089】
本実施形態の無線式情報取得システムにおける複数の親機、複数の子機、同期制御機の構成は、第3の実施形態に係る無線式情報取得システムと同じであり、各親機の質問信号送信処理が異なる。したがって、質問信号の送信処理について具体的に説明する。なお、ここで、2台の親機20A,20Bの場合を例に示すが、3台以上であっても同様の処理を適用できる。
【0090】
親機20A,20Bは、同期制御信号Ssyを検出すると、他の親機の質問信号送信状況を確認する。すなわち、他の親機の質問信号に対するセンシング処理を行う。具体的には、親機制御部は、親機受信部を起動して、親機のアンテナで受信した信号に他の親機の質問信号が含まれていないか検出する。親機制御部は、他の親機の質問信号を検出しなければ、質問信号Spb1,Spb2を生成して送信するように、質問信号生成部を制御する。その後、親機制御部は、質問信号繰り返し周期を設定する。親機制御部は、質問信号繰り返し周期毎に、他の親機の質問信号送信状況を確認し、他の親機の質問信号を検出しなければ、質問信号生成部は、質問信号Spb1,Spb2を生成して送信する。
【0091】
なお、親機制御部は、質問信号送信状況を確認し、他の親機の質問信号を検出すると、所定の再ウェイト時間後に質問信号送信状況を確認する。この再ウェイト時間は、質問信号Spb1,Spb2の時間長、質問信号Spb1,Spb2の繰り返し周期に基づいて適宜設定すればよい。この際、再ウェイト時間は質問信号繰り返し周期未満であることが好ましい。この処理は、他の親機の質問信号が検出されなくなるまで継続的に行われ、他の親機の質問信号が検出されなった時点で、質問信号生成部は、質問信号Spb1,Spb2を生成して送信する。
【0092】
具体的に、
図7の例では、親機20Aによる質問信号Spb1が送信されている期間に、親機20Bが他の親機の質問信号を検出する処理を行っている。したがって、親機20Bは、親機20Aの質問信号Spb1を検出する。親機20Bは、質問信号Spb1を検出したことにより、この検出タイミングから再ウェイト時間をおいて、他の親機の質問信号を検出する処理を再度行っている。この時点では、親機20Aの質問信号Spb1は存在しないので、親機20Bは、このタイミングで質問信号Spb2を生成して送信する。
【0093】
このような構成とすることで、複数の親機が送信する質問信号が干渉しない。これにより、複数の質問信号が干渉して相殺されてしまう可能性がなく、確実に質問信号を送信することができる。
【0094】
また、このような構成を用いることで、各親機が送信する質問信号の基準となるタイミングは同期されているので、送信元の親機が変更しても、子機による応答信号の送信タイミングが親機の送信期間内になることはなく、親機子機間の無線通信を確実に成立させることができる。
【0095】
次に、第5の実施形態に係る無線式情報取得システムについて、図を参照して説明する。
図8は、本発明の第5の実施形態に係る無線式情報取得システムの送受信概念を示す図であり、波形および動作状態を示している。
【0096】
本実施形態の無線式情報取得システムは、第1の実施形態に示した無線式情報取得システムと同じ構成からなり、親機子機間の送受信処理の態様が異なる。したがって、異なる箇所のみを具体的に説明する。本実施形態の無線式情報取得システムでは、上述の送信期間と受信期間の組合せを切り替えるための態様を具体的に示している。例えば、上述の第1の組合せから第2の組合せや第3の組合せに切り替えるための態様を示している。
【0097】
親機20は、バースト時間長Ttxp1で質問信号繰り返し周期Ttx1の質問信号Spb1を送信している。ここで、親機20は、バースト時間長Ttxp12で質問信号繰り返し周期Ttx12の質問信号Spb12に切り替える準備処理を行う。具体的には、親機20は、新たな質問信号Spb12のバースト時間長Ttxp12および質問信号繰り返し周期Ttx12を、質問信号Spb1に対して重畳する。
【0098】
質問信号Spb1が送信されている期間は、子機31は、上述のように、質問信号Spb1の検出タイミングからウェイト時間Twat1後に、他の信号に対するセンシング処理を行って、応答信号Sre1を送信する。その後、子機31は、応答信号繰り返し周期Trep1の間隔で、他の信号に対するセンシング処理を行って応答信号Sre1を送信する。
【0099】
ここで、子機31は、質問信号Spb1を復調することで、変更後の質問信号Spb12のバースト時間長Ttxp12および質問信号繰り返し周期Ttx12を取得することができる。
【0100】
親機20は、子機31からの応答信号Sre1を受信すると、質問信号Spb1の1サイクルが終了するタイミングで、バースト時間長がTtxp12からなる質問信号Spb12を質問信号繰り返し周期Ttx12で送信する。
【0101】
子機31は、質問信号Spb12の検出タイミングからウェイト時間Twat12後に、他の信号に対するセンシング処理を行って、応答信号Sre12を送信する。その後、子機31は、応答信号繰り返し周期Trep12の間隔で、他の信号に対するセンシング処理を行って応答信号Sre12を送信する。
【0102】
このように、本実施形態の構成および処理を用いることで、質問信号Spbのバースト時間長Ttxpや繰り返し周期Ttxが変化しても、親機20の質問信号と子機31の応答信号による無線通信を、より確実に且つ適正なタイミングで成立させることができる。
【0103】
そして、このような構成を用いることで、情報取得周期が長くても問題でない状況と情報取得周期を短くするべき状況のそれぞれに適した親機子機間の無線通信を確実に成立させることができる。例えば、子機の動きが少ない状況から子機の動きが多い状況に変化した場合において、それぞれの状況に適した親機子機間の無線通信を確実に成立させることができる。
【0104】
なお、本実施形態の構成および処理において、子機31は、変更後の質問信号Spb12のバースト時間長Ttxp12および質問信号繰り返し周期Ttx12を取得できるまで、応答信号Sre1を送信しないようにしてもよい。これにより、親機20の質問信号と子機31の応答信号による無線通信を、さらに確実に成立させることができる。
【0105】
また、本実施形態では、単一の子機の場合を例に示したが、複数の子機の場合も同様に適用することができる。ただし、複数の子機を用いる場合には、質問信号Spb1で受信していた全ての子機が、質問信号の変更準備処理後に応答信号を送信した場合に、質問信号を変更するようにする。これにより、複数の子機を用いる場合であって、質問信号のパルスバースト波の時間長や繰り返し周期が変更されても、親機の質問信号と複数の子機の応答信号による無線通信を、確実に成立させることができる。
【0106】
なお、上述の説明では、パルス波の識別情報としてパルス番号を用いる例を示したが、各パルス波を個別に識別できる情報であれば、他の情報であってもよい。ただし、上述のようなパルス番号の設定方法を用いることで、パルス番号を直接用いてウェイト時間Twatを容易に算出することができる。
【0107】
また、上述の各実施形態は、必要に応じて組み合わせて利用することができ、この組合せの構成によっても、上述の作用効果を得ることができる。
【0108】
また、上述の各実施形態の無線式情報取得システムは、次に示すような応用アプリケーションに適用することができる。
図9は、本発明の無線式情報取得システムを適用した応用アプリケーションの一例を示す概略構成図である。
【0109】
図9に示すように、情報取得システム10Cが適用される応用アプリケーションは所在管理システムである。情報取得システム10Cには親機20と子機31〜35が属している。
【0110】
親機20は、所在管理システムを利用するオフィスビルに設置されている。子機31は、オフィスに属する社員91が携帯している。子機32は、オフィスに属する社員92が携帯している。子機33は、オフィスに属する社員93が携帯している。子機34は、オフィスに属する社員94が携帯している。子機31〜34は、例えば社員91〜94が携帯する社員IDカードに装着または内蔵されている。子機35は、オフィスが所有するパーソナルコンピュータ950に装着もしくは内蔵されている。
【0111】
図9に示すように、社員91が会議室Aに在室中の場合、子機31には会議室Aに在室中であることを示す子機状況情報が備えられている。例えば、この子機状況情報は、会議室A内に入室することにより取得できる。このような状況では、子機31は、親機20と無線通信可能である。したがって、親機20が子機31と上述の無線通信を確立することで、親機20に接続する管理システムは、子機31すなわち社員91が会議室Aに在籍中であることを検出することができる。
【0112】
同様に、社員92が商談室Bに在室中の場合、子機32には商談室Bに在室中であることを示す子機状況情報が備えられている。例えば、この子機状況情報は、商談室B内に入室することにより取得できる。このような状況では、子機32は、親機20と無線通信可能である。したがって、親機20が子機32と上述の無線通信を確立することで、親機20に接続する管理システムは、子機32すなわち社員92が商談室Bに在籍中であることを検出することができる。
【0113】
同様に、社員93がワークフロアCに在室中の場合、子機33にはワークフロアCに在室中であることを示す子機状況情報が備えられている。例えば、この子機状況情報は、ワークフロアCに入室することにより取得できる。このような状況では、子機33は、親機20と無線通信可能である。したがって、親機20が子機33と上述の無線通信を確立することで、親機20に接続する管理システムは、子機33すなわち社員93がワークフロアCに在籍中であることを検出することができる。
【0114】
一方、社員94は休暇中であり、オフィスビル内にはいない。このような状況では、子機34と親機20との無線通信は不可能である。したがって、親機20が子機34と上述の無線通信を確立できず、子機34の情報を得られない。親機20に接続する管理システムは、子機34の情報が得られないことを検出して、社員94がオフィスビル内にいないこと、例えば休暇中であることを検出することができる。
【0115】
なお、社員91〜94のみでなく、パーソナルコンピュータ950にも同様の在席管理を行うことができる。パーソナルコンピュータ950が会議室Dに置かれている場合、子機35には会議室Dに存在することを示す子機状況情報が備えられている。例えば、この子機状況情報は、会議室D内に配置されることにより取得できる。このような状況では、子機35は、親機20と無線通信可能である。したがって、親機20が子機35と上述の無線通信を確立することで、親機20に接続する管理システムは、子機35すなわちパーソナルコンピュータ95が会議室Dに置かれていること、例えば貸し出されていることを検出することができる。
【0116】
なお、本応用例では、
図9に示すように、1つの親機20を用いる場合を示したが、例えば第3、第4の実施形態に示したように、複数の親機を用いるようにしてもよい。