(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1はパチンコ機10の正面図、
図2はパチンコ機10を正面側から見た斜視図、
図3及び
図4はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、
図3では便宜上パチンコ機10における遊技領域内の構成を省略している。
【0011】
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とにより構成されている。
【0012】
図2に示すように、外枠11は長尺状のフレーム材を四辺に連結し構成されるものであって全体として矩形枠状をなすように形成されている。この外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技ホールの島設備等に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
【0013】
遊技機主部12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている(
図3及び
図4参照)。
【0014】
図3及び
図4に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、遊技機正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
【0015】
内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、遊技機正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、遊技機正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
【0016】
(前扉枠14)
次に、前扉枠14について説明する。
図1に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット22によって同前扉枠14の背面側から塞がれている。
【0017】
ガラスユニット22は、透明性を有する複数のガラスパネル23と、それらガラスパネル23を保持するガラスホルダとを備えている。ガラスホルダには、ガラスパネル23の保持領域を前後に仕切る仕切り部が形成されており、両ガラスパネル23は仕切り部を挟んで前後に相対向している。つまり、両ガラスパネル23の間に所定の隙間を確保することにより、ガラスパネル23同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
【0018】
なお、必ずしも両ガラスパネル23をガラスホルダを用いてユニット化する必要は無く、各ガラスパネル23を枠体20に対して個々に取り付ける構成としてもよい。更には、ガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としてもよい。但し、安全性及び防犯性向上に鑑みれば、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
【0019】
ガラスユニット22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部26が設けられている。環状電飾部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部26の中央であってパチンコ機10の最上部にはエラー等の不具合が発生した場合に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、さらにその左右には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。また、左右の賞球ランプ部28に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音やBGM等が出力されるスピーカ部29が設けられている(
図3参照)。
【0020】
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている(
図2参照)。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能及び遊技球発射機構によって発射された遊技球のうち遊技領域PE(
図3参照)に到達しなかった遊技球が遊技者に戻された場合に当該排出された遊技球を貯留する受け皿としての機能を有する。
【0021】
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。なお、遊技球の発射速度は、遊技球発射ハンドル41の操作量(回動量)が大きくなるに従って速くなり、この操作量が遊技者により調整されて所定の量となった場合に遊技球が遊技領域PEへ到達することとなる。
【0022】
図3に示すように、前扉枠14の背面には、通路形成ユニット45が取り付けられている。通路形成ユニット45は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路と、下皿34に通じる前扉側下皿通路とを有してなる。通路形成ユニット45において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部が形成されており、当該受口部を仕切壁によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路の入口部分と前扉側下皿通路の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路及び前扉側下皿通路は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿34に導かれる。
【0023】
前扉枠14の背面における回動基端側には、その上端部及び下端部に突起軸が設けられている。これら突起軸は内枠13に対する組付機構を構成する。
【0024】
次に、
図5に基づき内枠13について詳細に説明する。
図5は内枠13の正面図である。なお、
図5においては
図3と同様に便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
【0025】
(内枠13)
内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす内枠ベース体50を主体に構成されている。内枠ベース体50の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、内枠ベース体50は外枠11の上枠部に寄せて配置され、外枠11の下枠部と内枠ベース体50との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、内枠ベース体50(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では内枠ベース体50が幕板の上に載ることとなる。なお、幕板と内枠ベース体50との間に相互干渉の防止等を目的として若干のクリアランスを設けてもよい。
【0026】
内枠ベース体50の前面における回動基端側(
図5の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具71,72は軸部を有しており、それら軸部に前扉枠14に設けられた軸受け部が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
【0027】
内枠ベース体50の回動先端側(
図5の右側)には、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置75が配設されている。施錠装置75は内枠ベース体50の右端部(後述する縦フレーム部材)に沿うようにして上下に延びており、その長手方向(上下方向)に散在して配置された前扉用鉤部材76を有している。内枠ベース体50には前扉枠14の背面に設けられた鉤受け部材49(
図3参照)内枠13の正面側に突出させるためのスリットが各前扉用鉤部材76にそれぞれ対応するようにして形成されている。それらスリットを通じて突出した前扉用鉤部材76が、前扉枠14に各前扉用鉤部材76に1対1で対応させて設けられた前扉用鉤部材76に係止されることによって、前扉枠14が内枠13に対して開放不能に施錠される。また、施錠装置75は、内枠13の後方側に延出する内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11に固定された鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
【0028】
内枠ベース体50(施錠装置75)には、施錠装置75の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置75の主要部分を構成する施錠ユニット(各鉤部材76,77や連動杆等)とは別体で設けられており、当該施錠ユニットと隣接して配置されている。シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右(時計回り)に回すと内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを左(反時計回り)に回すと外枠11に対する内枠13の施錠が解除されるように構成されている。
【0029】
内枠ベース体50の中央部分には遊技盤ユニット80を収容する収容凹部51が形成されている。収容凹部は遊技盤ユニット80の外形に合わせて遊技機後方に窪んでおり、遊技盤ユニット80はこの収容凹部51に遊技機前方から嵌まった状態で手動式のロック機構によって固定されている。収容凹部51の底部には、略矩形状の窓孔52が形成されており、この窓孔52を通じて遊技盤ユニット80の背面構成(後述する背面ブロック80b)が内枠13の後方に突出している。なお、この窓孔52については、内枠ベース体50に装着された遊技盤ユニット80によってそのほぼ全域が遊技機前方から覆われた状態となっている。
【0030】
(遊技盤ユニット80)
遊技盤ユニット80は、前面に遊技球が流下する遊技領域PEが形成され遊技領域形成体80aと、遊技領域形成体80aの背面側に設けられ、後述する各種遊技部品(可変表示ユニット、制御装置、可動式の演出機構、発光可能な装飾部材等)がベース体251に搭載されてなる背面ブロック80bとが一体化されてなる。遊技領域形成体80aは透明な合成樹脂材料(詳しくはFRP)からなり、背面ブロック80bの前面部分が当該遊技領域形成体80aを通じて視認可能となっている。
【0031】
既に説明したように遊技領域PEはガラスユニット22(詳しくは後側のガラスパネル23)によって覆われている。ガラスユニット22は、後側のガラスパネル23と遊技領域形成体80aの前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技領域形成体80aは透明性を有する合成樹脂材料であれば足り例えばアクリル製とすることも可能である。
【0032】
以下、
図6〜
図8に基づき遊技盤ユニット80(特に遊技領域形成体80aの遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。
図6は遊技盤ユニット80の正面図、
図7は遊技盤ユニット80を前方から見た斜視図、
図8は遊技盤ユニット80を後方から見た斜視図である。なお、
図7においては遊技領域形成体80aを通じて視認可能となる構成についても2点差線によって表示し、実際に遊技盤ユニット80を見た場合の概観に近い状態としている。
【0033】
遊技領域形成体80aには、自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。
図6に示すように、各開口には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83a,83b、スルーゲート84等がそれぞれ配設されている。一般入賞口81、可変入賞装置82及び作動口83a,83bに遊技球が入ると、それら遊技球が各入球部に対応して設けられた検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球(遊技球の払い出し)等の特典が遊技者に付与される。その他に、遊技領域形成体80aの最下部にはアウト口89が設けられており、各種入球部等に入らなかった遊技球はアウト口89を通って遊技領域PEから排出される。以下の説明では、アウト口89への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83a,83bへの遊技球の入球を「入賞」とも表現する。
【0034】
また、遊技領域形成体80aには、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘部材93が植設されているとともに、風車94等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘部材93や風車94等の各種構成によって遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
【0035】
遊技領域形成体80aの中央には中央開口85が形成されており、この中央開口85を遊技領域形成体80aの背面側から覆うようにして透明な開口カバー86が取り付けられている。この中央開口85の背後には、背面ブロック80bに属する可変表示ユニット252等が位置しており、遊技機前方から当該中央開口85(開口カバー86)を通じて可変表示ユニット252等を視認可能となっている。なお、
図6においては説明の便宜上、開口カバー86を二点鎖線によって表示し、可変表示ユニット252が視認可能な状態を示している。
【0036】
中央開口85の周辺に作動口83a,83bやスルーゲート84等が配設されている。作動口83a,83bは、可変表示ユニット252の下方に配設された上作動口83aと、上作動口83aの直下に配設された下作動口83bとによって構成されており、特に下作動口(抽選契機入球部)83bには、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物91が設けられている。電動役物91は、可動片と同可動片を駆動させるソレノイド式の駆動部とを有してなり、可動片の位置が駆動部によって変更されることにより、下作動口83bへの入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。
【0037】
この下作動口83bよりも上流側(詳しくは可変表示ユニット252の側方)には上記スルーゲート84が配置されており、遊技球のスルーゲート84の通過をトリガとした抽選にて当選となった場合には、電動役物91が所定時間だけ閉状態から開状態に切り替えられることとなる。
【0038】
なお、上作動口83aへの入球が発生した場合には3個の遊技球の払出が実行され、下作動口83bへの入球が発生した場合には4個の遊技球の払出が実行されるが、遊技球の払出個数は上記のものに限定されることはない。但し、上作動口83aに対する下作動口83bの有利性を高める上では、上作動口83aに係る払出個数よりも下作動口83bに係る払出個数を多く設定することが好ましい。
【0039】
可変入賞装置(特別入球装置又は特別入球手段)82には、遊技領域形成体80aの背面側へと通じる大入賞口が形成されているとともに、当該大入賞口を開閉する開閉部材(開閉手段)としての開閉扉が設けられている。開閉扉は、遊技球の入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。また、同開閉扉は、遊技領域形成体80aの背面側に設けられた可変入賞駆動部(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においては開閉扉は閉状態のまま維持され、内部抽選において開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に(大当たり:通常の遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態への移行に当選した場合に)開状態に切り替えられるようになっている。
【0040】
ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードにおける可変入賞装置82の開放態様としては、例えば所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば16ラウンド)を上限とした開閉扉の開放が繰り返されるように設定されている。
【0041】
ここで、可変表示ユニット252について補足説明する。可変表示ユニット252は、作動口83a,83bへの入賞をトリガとして図柄を可変表示(変動表示)する図柄表示装置253を有している。図柄表示装置253は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置によりその表示内容が制御される。図柄表示装置253の表示画面253aにおいては、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、大当たりに当選した場合には、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示され、上記開閉実行モード(特別遊技状態又は大当たり)に移行することとなる。なお、図柄表示装置253については必ずしも液晶表示装置である必要はなく、ドットマトリクスや7セグタイプの表示装置であってもよい。
【0042】
遊技領域形成体80aには、中央開口85を囲むようにしてセンターフレーム95が設けられている。センターフレーム95は、遊技領域形成体80a(詳しくは板体)に対してその前面側から固定されており、このように固定された状態では遊技領域形成体80aの前面から起立した状態となることで当該センターフレーム95と上記ガラスユニット22との間の隙間寸法が遊技球の直径寸法よりも小さくなるように構成されている。これにより、遊技領域PEを流下する遊技球が図柄表示装置253に衝突することが回避され、且つ遊技領域PEを流下する遊技球の流下経路が可変表示ユニット252(詳しくはセンターフレーム95)を右側から迂回するルートと、左側から迂回するルートに大別されている。
【0043】
センターフレーム95の下部を構成している枠部の上面には、遊技球が左右に転動可能なステージ部が形成されている。センターフレーム95の左右の左枠部に形成された流入口から流入した遊技球は、同じくセンターフレーム95に形成されたワープ通路を通じてステージ部上に排出される。ステージ部については、当該ステージ部に到達した遊技球が比較的上作動口83aへと流入しやすくなるように構成されており、このステージ部上での遊技球の動きに対する遊技者の注目度向上に貢献している。
【0044】
ここで、本実施の形態においては上述したように透明な開口カバー86によって中央開口85を覆っており、ステージ部上に到達した遊技球が背面ブロック80b(可変表示ユニット252)側へ移動しないように規制されている。
【0045】
またセンターフレーム95の下部を構成している枠部の前面には、第1保留ランプ部98a及び第2保留ランプ部98bが設けられている。左側の第1保留ランプ部98aは、上作動口83aに対応しており遊技球が上作動口83aを通過した回数は最大4回まで保留され第1保留ランプ部98aの点灯によってその保留数が表示されるようになっている。右側の第2保留ランプ部98bは、下作動口83bに対応しており、遊技球が下作動口83bを通過した回数は最大4回まで保留され第2保留ランプ部98bの点灯によってその保留数が表示されるようになっている。
【0046】
作動口83a,83bは、中央開口85(可変表示ユニット252)寄りとなる位置に配置されている。作動口83a,83bへの入賞をトリガとして特別遊技状態に移行し得るため、遊技者は作動口83a,83bに入賞するか否かに注目するとともに、特別遊技状態に移行するか否かを把握するため図柄表示装置253に注目するものと考えられる。作動口83a,83bを可変表示ユニット252寄りに設けたことは、遊技者が注目したい箇所を可変表示ユニット252周辺に集中させるための工夫である。
【0047】
遊技領域形成体80aにおける右側の端部(後述する遊技盤ユニット80の回動先端部)には後述する誘導レール100とともに遊技領域PEを区画形成する遊技領域区画部材99が配設されている。遊技領域区画部材99には、主表示ユニット87や誘導レール100に沿って飛翔した遊技球が衝突するストッパ部材が配設されている。ストッパ部材は誘導レール100の先端付近に配置された緩衝部材であり、当該ストッパ部材に衝突した遊技球はその勢いが弱められた後、遊技領域PEを流下することとなる。つまり、ストッパ部材には衝突した遊技球の勢いを弱める減勢機能が付与されている。
【0048】
ここで、主表示ユニット87について補足説明する。主表示ユニット87は遊技領域区画部材99に埋設されており、その一部がガラスユニット22と対向するように配置されている。この対向している部分には、所定の絵柄等が表示される主表示部が設けられている。主表示ユニット87については、後述する主制御装置に電気的に接続されており、主表示部の表示内容は当該主制御装置によって制御される構成となっている。
【0049】
主表示部は、上作動口83aへの入賞に基づいた抽選結果を表示する下作動口用表示部と、下作動口83bへの入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する右作動口用表示部とを有してなる。下作動口用表示部では、上作動口83aへの入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口83aへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。上作動口83aへの入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、下作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードへ移行される。
【0050】
下作動口用表示部では、下作動口83bへの入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、下作動口83bへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。下作動口83bへの入賞に基づく内部抽選の結果が大当たりに対応した当選結果であった場合には、右作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、その結果に応じて上記開閉実行モードへ移行される。
【0051】
ここで、いずれかの作動口83a,83bへの入賞に基づいて、対応する作動口用表示部にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。但し、遊技回の1回は、上記の内容に限定されることはなく、例えば、単一の表示領域が設けられ、いずれの作動口83a,83bへの入賞が発生したとしてもその単一の表示領域にて変動表示が行われる構成においては、当該単一の表示領域にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示した状態で上記変動表示が停止されるまでを遊技回の1回とすることも可能である。
【0052】
また、主表示ユニット87の主表示部には上記両表示部以外に、スルーゲート84への入賞に基づいた抽選結果を表示するスルーゲート用表示部が併設されている。スルーゲート用表示部では、スルーゲート84への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。スルーゲート84への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、スルーゲート用表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口83bに設けられた上記電動役物91が所定の態様で開放される。
【0053】
更に、本実施の形態においては遊技球がスルーゲート84を通過した回数は最大4回まで保留される構成が採用されているが、主表示ユニット87の主表示部にはその保留個数を表示する保留数用表示部が設けられている。
【0054】
以上詳述した主表示部については、前扉枠14のガラスユニット22を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、これら各種表示部の前方を遊技球が移動することが回避されているため、その視認性が担保されている。
【0055】
再び
図5を用いて内枠13の構成について説明すれば、内枠ベース体50における遊技盤ユニット80の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。
【0056】
(遊技球発射機構110)
遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が内枠ベース体50に固定されることで、同内枠ベース体50に対して一体化されている。
【0057】
発射レール112は、遊技領域形成体80a側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112には断面略V字状の溝部が形成されており、その溝状部分に遊技球が嵌ることにより当該遊技球の前後位置が規定されるように構成されている。
【0058】
発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
【0059】
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技領域形成体80a側、詳しくは遊技領域形成体80aに装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
【0060】
誘導レール100は、遊技領域形成体80a(詳しくは板体の前面)に固定された遊技領域区画部材99とともに遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分104と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分105とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分104→出口部分105)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技領域形成体80aにおいて出口部分105の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
【0061】
誘導レール100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。つまり、遊技領域PEへと遊技球を届けるようにして遊技球を発射した場合には誘導通路103において外レール102に沿った領域が実質的に遊技球が通過する通過領域(通過経路)を構成し、内レール101に沿う領域については実質的に遊技球が通過しない領域となる。
【0062】
同
図5に示すように、誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技領域形成体80aの下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技領域形成体80aの下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技領域形成体80aの下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分104と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
【0063】
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路が配設されている。ファール球通路は前扉枠14の通路形成ユニット45に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路内に入ることとなる。ファール球通路は前扉側下皿通路に通じており、ファール球通路に入った遊技球は
図1に示した下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
【0064】
遊技領域形成体80aの左端部には外レール102を側方から覆うようにしてレールカバー107が設けられている。遊技盤ユニット80については、製造時やメンテナンス作業時に単体で取り扱われることが多く、この際に外レール102が遊技台等に衝突し得る。レールカバー107はこのような事情に鑑みて搭載された部材であり、外レール102が上記要因等によって変形することを防止する保護機能が付与されている。
【0065】
内枠ベース体50において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には内枠ベース体50を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、内枠ベース体50に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニットの受口部が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路が配置されている。
【0066】
内枠ベース体50において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124は本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する前方位置に付勢されており、前扉枠14が開放された場合には、この付勢力によって各開閉部材124が閉状態となることで、各通路122,123からの遊技球の脱落が回避されることとなる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット45に設けられた受口部により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路122と前扉側上皿通路とが連通し、さらに本体側下皿通路123と前扉側下皿通路とが連通する。
【0067】
次に、
図8及び
図9に基づき内枠13(内枠ベース体50及び遊技盤ユニット80)の背面構成について説明する。
図9は内枠13の背面図である。
【0068】
図9に示すように内枠ベース体50の背面における回動基端側(
図9の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、内枠ベース体50の背面には、裏パックユニット15を閉じた状態で同内枠ベース体50に固定するための固定レバー134が複数設けられている。
【0069】
既に説明したように内枠ベース体50における収容凹部(遊技盤収容部)51の底部分には内枠ベース体50の厚さ方向に貫通し同内枠ベース体50の背面側に開放された窓孔52が形成されており、その窓孔52が収容凹部51に収容された遊技盤ユニット80によって内枠13の正面側から覆われている。遊技盤ユニット80(背面ブロック80b)の背面には制御装置等の各種構成が搭載されており、それら各種構成は窓孔52を通じて内枠13の背側に露出した状態となっている。ここで、遊技盤ユニット80の背面の構成について説明する。
【0070】
既に説明したように遊技領域形成体80aの背面には、背面ブロック80bが取り付けられている。背面ブロック80bは、遊技領域形成体80a側に開放された略箱状のベース体251を有してなり、このベース体251が遊技領域形成体80aの背面に固定されることで、遊技領域形成体80aと背面ブロック80bとが一体化されている。
【0071】
ベース体251の前面側は、可動式の演出機構や発光可能な装飾部材等の配置領域となっており、その背面側はそれら各種構成を制御する制御装置や上記可変表示ユニット252(図柄表示装置253)の配置領域となっている。
【0072】
より具体的には、ベース体251の一部が内枠ベース体50の背面側に突出しており、その突出した部分に対して上述した図柄表示装置253(
図6参照)と、その図柄表示装置253を駆動するための表示制御装置とが取り付けられている。これら図柄表示装置253及び表示制御装置は前後方向(内枠ベース体50の厚さ方向)に図柄表示装置が前側且つ表示制御装置が後側となるように重ねて配置されている。さらに、ベース体251の背面部には、表示制御装置の後方に位置するようにして報知・演出制御装置140が搭載されている。
【0073】
報知・演出制御装置140は、後述する主制御装置からの指示に従い音声の出力やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る報知・演出制御基板を具備しており、報知・演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス141に収容されて構成されている。
【0074】
報知・演出制御装置140の下方には、ベース体96を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が設けられている。主制御装置ユニット160は、遊技盤ユニット80(詳しくは背面ブロック80b)の背面に固定された合成樹脂製の取付台161と、その取付台161に搭載された主制御装置162とを有している。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
【0075】
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としてのボックス封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。ボックス封印部164は、基板ボックス163の短辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも1つが用いられて封印処理が行われる。
【0076】
ボックス封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、ボックス封印部164を構成する係止孔部に係止ピンを挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。ボックス封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数のボックス封印部164のうち、少なくとも1つの係止孔部に係止ピンを挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止ピンが挿入されたボックス封印部と基板ボックス163本体との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の係止孔部に係止ピンを挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
【0077】
基板ボックス163と取付台161とは台座封印部165によって開封不能に連結されている。詳しくは、台座封印部165は、ボックス封印部164と同様に係止孔部及び係止ピンを有しており、係止孔部に対して係止ピンが挿入されることで基板ボックス163と取付台161とが分離不能に結合されるようになっている。これにより、基板ボックス163の不正な取り外しが行われた場合に、その事実を把握しやすくなっている。
【0078】
ベース体251の前面部において遊技領域形成体80aの背面下部と対向している部分には、前記一般入賞口81,可変入賞装置82、作動口83a,83bの遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路(図示略)が形成されている。これにより、一般入賞口81等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤ユニット80の下方に集合する構成となっている。つまり、ベース体251には各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。
【0079】
遊技盤ユニット80の下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤ユニット80の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口89についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口89を介して排出通路内に導出される。
【0080】
また、背面ブロック80bを構成するベース体251には、上述した各入球部用の検知センサとして、上記一般入賞口81に入賞した遊技球を検知する一般入賞口用検知センサと、可変入賞装置82に入賞した遊技球を検知する可変入賞装置用検知センサと、作動口83a,83bに入った遊技球を検知する作動口用検知センサとが装着されており、それら各種検知センサによって入賞検知機構が構成されている。これら各種検知センサは主制御装置162に対して電気的に接続されており、各検知センサから検知情報(検知信号)が同主制御装置162に出力される構成となっている。
【0081】
次に、
図10及び
図11に基づき裏パックユニット15について説明する。
図10はパチンコ機10の背面図、
図11は裏パックユニット15の正面図である。
【0082】
図10に示すように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パックユニット15の本体部としての裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
【0083】
裏パック201は、透明性を有する合成樹脂により成形されており、
図11に示すように払出機構部202等が取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有してなる。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット252を囲むのに十分な大きさを有する(
図10参照)。
【0084】
ベース部211には、外部端子板(図示略)が設けられている。外部端子板には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータ)に対して各種信号が出力される。また、
図11に示すように、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。ベース部211には、内枠13に設けられた固定レバー134が挿通される複数の挿通部が形成されており、固定レバー134が挿通部に挿通された状態にてベース部211に後方から当接することにより内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
【0085】
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の側方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
【0086】
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路を介して下皿34に通じるように形成されている。
【0087】
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
【0088】
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
【0089】
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
【0090】
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されている。電源・発射制御基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。具体的には、遊技球発射機構110を構成しているソレノイド111の駆動制御や球送装置113の駆動制御が実行される。
【0091】
また、電源・発射制御装置243には電源スイッチ247が設けられている。電源スイッチ247を操作することにより、パチンコ機10の電源を投入状態(オン状態)又は遮断状態(オフ状態)に切り替え可能となっている。
【0092】
ここで、本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持される。一方、主制御装置162に設けられたRAM消去スイッチ166を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
【0093】
これら各種スイッチについては、遊技機主部12(内枠13)を開放して内枠13の背面部を露出させることで遊技機正面側から操作可能となる。一方で、上記施錠装置75によって遊技機主部12の開放が規制されている状態では、遊技機正面側からそれら各種スイッチを操作することができない。つまり、上記各種スイッチについては遊技機主部12を閉じた状態では操作されにくくなっており、施錠装置75用のキーを所有していないもの(例えば不正行為者)による遊技機正面側からの操作を困難なものとしている。
【0094】
既に説明したように、本実施の形態においては、透明な遊技領域形成体80aの背後に、可動式の各種演出装置(以下、可動演出装置という)や発光機能する装飾部材が搭載されてなる背面ブロック80bを設け、遊技領域形成体80aを通じてそれら演出装置等を視認可能としている。
【0095】
特に、
図12(遊技盤ユニット80の正面図)において2点鎖線により表示しているように、背面ブロック80bの一部は遊技領域PEの背後に位置している。これにより、遊技球が流下する遊技領域PEの背後を各種遊技演出用の実行領域として活用することが可能となっている。かかる構成によれば、従来周知の木製遊技盤が搭載された遊技機と比較して、遊技盤ユニット80の見栄え向上や演出実行領域の広域化に貢献できる。
【0096】
また、背面ブロック80bを遊技領域形成体80aの背後に設けることにより、可変表示ユニット252と遊技領域形成体80aとの間のスペースを可動演出装置の設置領域とすることが可能となっており、上述した従来周知の構成と比較して可動演出装置の大型化や動作の多様化を容易なものとしている。
【0097】
ここで、
図13及び
図14を参照して、遊技盤ユニット80が有する上記可動演出装置及びそれに関連する構成について補足説明する。
図13は遊技領域形成体80aの正面図、
図14は背面ブロック80bの正面図である。なお、遊技領域形成体80aが透明であることを考慮して、
図12においては遊技領域形成体80aを通じて実際に視認可能となる背面ブロック80bの一部を2点鎖線によって表示している。
【0098】
遊技領域形成体80aについては、主として遊技球の流下する領域(遊技領域PE)を形成する機能が付与されている。ここで、遊技にかかる各種装飾機能や演出機能の向上と遊技領域PEの確保とを両立しようとした場合、前者を優先することで必然的に遊技領域PEが圧迫される。この点、
図13に示すように遊技領域形成体80aの前面には遊技球の流下経路の確保や流入口等の確保にかかる必要最少限の構成を配置し、演出や装飾にかかる付加的な構成を背面ブロック80b側へ移設することにより、遊技領域PEが圧迫されることを回避している。つまり、遊技領域形成体80a(詳しくは板体)の前面という限られた範囲内で、できるだけ広く遊技領域PEを確保することが可能となっている。
【0099】
次に、
図14を参照して既出の背面ブロック80bについて説明する。既に説明したように、背面ブロック80bは、可変表示ユニット252等の各種演出装置や報知・演出制御装置140等の各種制御装置が搭載される台座として上記ベース体251を有している。
【0100】
ベース体251は遊技領域形成体80aの背面に対向する平板状の対向部255と、対向部255から後方に膨出する膨出部256とが透明な合成樹脂材料によって一体成形されてなり、正面視における外形が遊技領域形成体80aよりも上下幅が若干小さくなるように構成されている。
【0101】
膨出部256は、前方(遊技領域形成体80a側)に開放された箱状をなしており、その開口縁に沿って形成された取付用のフランジによって上記対向部255が構成されている。対向部255が遊技領域形成体80aの背面に当接した状態で当該遊技領域形成体80aにねじ止めされることにより、遊技領域形成体80aと背面ブロック80bとが1ユニット化されている。
【0102】
膨出部256の底部には、前後に貫通するようにして、すなわち上記遊技領域形成体80aの中央開口85(
図13参照)と連通するようにして開放部が形成されている。上記可変表示ユニット252はこの開放部を塞ぐようにして膨出部256の背面部に取り付けられており、当該開放部を通じて図柄表示装置253の表示画面253aが遊技機正面側に露出している。また報知・演出制御装置140及び表示制御装置が後者が前側、前者が後側となるように可変表示ユニット252(詳しくは図柄表示装置253)に対して積層配置されており、更にその下方には、膨出部256に対して主制御装置162が取り付けらている点に鑑みれば、膨出部の背面部については、見栄えに影響しない各種電気的構成を取り付ける取付部として機能している(
図8等参照)。
【0103】
ベース体251における左枠部261及び右枠部262、上枠部263、下枠部264にはそれぞれ可動演出装置が設置されており、これら可動演出装置によって表示画面253aが囲まれている。各可動演出装置は、膨出部256により形成された凹み内に収容されており、製造時等に背面ブロック80bが単体で持ち運びされる場合であっても、それら可動演出装置がジグ等の他の構成に干渉することが抑制されている。
【0104】
また、左右の枠部261,262及び下枠部264に跨るようにして一連の装飾部材271が配置されている。装飾部材271については有色透明な樹脂材料によって形成されており、LED等の発光体が内蔵されている。これら発光体は、報知・演出制御装置140に接続されており、当該報知・演出制御装置140により遊技状況に応じて発光制御が行われることで遊技領域PEの背後にて発光演出が実行されることとなる。
【0105】
また、装飾部材271には、遊技領域形成体80aに形成された一般入賞口81や作動口83a,83b等の入球部へ流入した遊技球を回収する回収通路272が形成されており、その入口部分がそれら各入賞部に連通している。つまり、遊技領域形成体80aにおける入球部へ流入した遊技球は、背面ブロック80bの回収通路272へ導かれ、その後裏パックユニット15の排出通路を通じて遊技ホールの島設備等へと返却されることとなる。
【0106】
ここで、上記可動演出装置について補足説明する。下枠部264には、昇降可能且つ左右にスライド可能に設けられた装飾体を有する第1可動演出装置273が設けられている。この第1可動演出装置273の装飾体については、表示画面253aと重なる位置に突出しており、遊技機前方から視認可能となっている。一方、当該装飾体を移動させるための駆動機構は、上記装飾部材271によって前方から覆われており視認不可となるように構成されている。これは、第1可動演出装置273の見栄えを担保するための工夫である。
【0107】
次に、上枠部263には、左右一対の扉部材を有してなる横長状の開閉扉281と、同開閉扉281を有する第2可動演出装置274が配置されている。第2可動演出装置274は、遊技領域形成体80aの板材又は中央開口85を通じて遊技機前方から視認可能な位置に配置されている。駆動部282は報知・演出制御装置140に電気的に接続されており、当該報知・演出制御装置140からの駆動信号が入力されることにより、開閉扉281を開状態と閉状態とに切替可能となっている。
【0108】
第2可動演出装置274(詳しくは開閉扉281)は、当該第2可動演出装置274にかかる演出が実行されない状況下においては、閉状態に維持される。この第2可動演出装置274の背後には、同第2可動演出装置274に重なるようにして第3可動演出装置275が配置されている。第3可動演出装置275は、第2可動演出装置274の背後に隠れる待機位置と、表示画面253aの中央部分の前方となる演出位置とに移動可能となっており、遊技状況に応じて当該第3可動演出装置275単独での演出又は第2可動演出装置274との連動演出が実行される構成となっている。
【0109】
<パチンコ機10の製造工程の概要>
以下、
図15(a)を参照して上述したパチンコ機10を製造する製造工程の概要について説明する。パチンコ機10の製造工程については、部位毎に分別された複数のサブアセンブリユニット(遊技ユニット)を形成する工程と、それらサブアセンブリ化された遊技ユニット(例えば外枠11や前扉枠14)を組み立てる組み立て工程に大別される。このように細かな部品の組み合わせ等を行うサブアセンブリ工程と、同サブアセンブリ工程を経て組み上げられた遊技ユニットを組み立てるアセンブリ工程とを分けることにより、分業化を促進し生産効率の向上等が図られている。
図15(a)は、パチンコ機10の組み立て工程の流れを示す概略図である。
【0110】
組み立て工程におけるステップS101の第1の組付工程では、遊技球発射機構110や通路形成部材121等の各種構成が内枠ベース体50に搭載されてなる内枠ベース(詳しくは内枠13から遊技盤ユニット80を除外したもの)に対して遊技盤ユニット80の組付けを行う。
【0111】
具体的には、遊技盤ユニット80の左端部を内枠ベース体50の挿入部69に挿入し、遊技盤ユニット80の切欠き部90を内枠ベース体50の仮置き部66に乗せた状態で回動させることで遊技盤ユニット80を所定の装着位置完了へ配置し、その後ロックレバーを用いて当該遊技盤ユニット80を装着完了位置に固定することにより、内枠ベースと遊技盤ユニット80とが一体化される(
図5参照)。なお、本実施の形態においては、遊技盤ユニット80の背面に設けられたコネクタが内枠ベース体50に設けられた可動式のコネクタ(所謂フローティングコネクタ)に遊技盤ユニット80の装着完了位置への移動に伴って結合されることにより、遊技盤ユニット80と内枠ベース体50とが電気的に接続された状態となる。この組付工程にて内枠13が完成することとなる。
【0112】
その後、ステップS102に示す第2の組付工程では枠体に幕板等が固定されてなる外枠11に対して内枠13の組み付けを行い、続くステップS103に示す第3の組付工程では外枠11に組み付けられた内枠13に裏パックユニット15を組み付ける。
【0113】
具体的には、外枠11に設けられた支持用金具17,18に対して、内枠13に設けられた支持金具71,72を係合させることにより、外枠11に対して内枠13が回動可能な状態で取り付けられることとなる。内枠13を外枠11に取り付ける場合には、当該内枠13をある程度開いた状態としておく必要がある。つまり、外枠11に内枠13を取り付けた状態では
図4に示したように内枠13の背面が遊技機正面側に露出している。
【0114】
そこで、直後の第3の組付工程では、当該露出している状況を利用して内枠13の背面に裏パックユニット15を取り付ける作業を行う。詳しくは、内枠13に設けられた軸受け金具132(
図9参照)に裏パックユニット15の掛止ピン214(
図11)参照を係合させることにより裏パックユニット15が内枠13によって回動可能な状態で一体化される。内枠13の背面に設けられた固定レバー134により裏パックユニット15を閉じた状態で固定することにより裏パックユニット15の脱落が回避されることとなる。なお、裏パックユニット15及び内枠13は、電気配線がまとめられたケーブルを接続することで電気的に接続された状態となる。
【0115】
第3の組付工程にて内枠13への裏パックユニット15の組み付けが完了した後は、ステップS104の第4の組付工程にて内枠13に対する前扉枠14の組み付けを行う。詳しくは内枠13に設けられた支持金具71,72に前扉枠14に設けられた上記突起軸を係合させることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能な状態で一体化される。そして、内枠13に対して前扉枠14を閉じることで施錠装置75(
図4参照)が動作し、前扉枠14の開放が規制された状態となる。
【0116】
以上詳述した第1の組付工程〜第4の組付工程を経て、遊技機主部12が外枠11と一体化された後は、遊技機主部12を外枠11に対して閉じることで施錠装置75が動作し、遊技機主部12(内枠13)の開放が規制された状態となる。これにより、パチンコ機10の組み立てが完了する。
【0117】
パチンコ機10が完成した後は、ステップS105に示す第5の検査工程にてパチンコ機10の動作等の最終検査を行う。このようにして動作確認が行われたパチンコ機10は包装(所謂セキュリティラッピング)がなされた後に遊技ホール等へ出荷されることとなる。
【0118】
上述の如くパチンコ機10を部分毎にサブアセンブリ化したもの(外枠11、内枠13、前扉枠14、裏パックユニット15)を最終組立工程にてアセンブリ化することにより、各遊技ユニット毎に固有の生産ラインを設定することが可能となり、組立作業のオートメーション化や作業者の作業負荷の軽減等が促進されている。
【0119】
ここで、本実施の形態に示す遊技盤ユニット80には遊技機の仕様に係る構成(遊技領域形成体80aや各種御装置140,162等)のほとんどが集約されている。そして、遊技盤ユニット80を入れ替えることにより、遊技機の機種変更(マイナーチェンジ)を行うことが可能となっている。遊技機メーカでは遊技盤ユニット80単体での出荷を行い、遊技ホールでは既存の構成(例えば外枠11や内枠13等の各種遊技ユニット)を流用して遊技盤ユニット80のみを入れ替えることで機種変更を行うことが可能となっており、環境面及び経済面の両方に配慮した実用上好ましいビジネスモデルが確立されている。
【0120】
特に、本実施の形態に示す遊技盤ユニット80については、透明な遊技領域形成体80aと当該遊技領域形成体80aを通じて視認可能となる背面ブロック80bとを備え、これら各種構成によって遊技態様や光/音/可動演出装置による演出機能が具現化されている。つまり、遊技盤ユニット80を変更することにより遊技機のイメージをがらりと変えることができ、あたかも新台入替が行われたかのように見せることが可能となる。このようなイメージチェンジを敢行する上で、上記遊技領域形成体80aを透明な合成樹脂材料とすることには、視覚的な差異を大きくすることが可能になる等の技術的意義が存在する。
【0121】
従来周知の木製から合成樹脂製への材質変更に応じて、遊技盤ユニット80の製造工程(サブアセンブリ工程)には、製造効率の維持や歩留まりの低下抑制等を目的として当該変更に配慮した各種工夫がなされている。そこで以下、
図15(b)を参照して遊技盤ユニット80の製造工程の概略について説明し、その後、当該製造工程に適用された特徴的構成について個々に詳しく説明する。
【0122】
<遊技盤ユニット80の製造工程の概要>
図15(b)に示すように、遊技盤ユニット80の製造工程においては、先ずステップS201の工程にて遊技領域形成体80aへの釘部材93の取り付け(植設)を行う。詳しくは、何れの遊技部品も配置されていない状態の遊技領域形成体80aがその前面が上方を向くようにして釘打ち台のテーブルに設置される。遊技領域形成体80aの上端部や下端部等には
図13等に示すように位置決め用の貫通孔が形成されており、テーブルに形成された位置決めピンがこれら貫通孔に挿通されることで遊技領域形成体80aの位置が規定されることとなる。
【0123】
その後、釘部材93用の取り付け孔が形成されている箇所に釘打ち用のロボットによって上方から釘部材93がねじ込まれる。本実施の形態に示す遊技領域形成体80aは上述の如く合成樹脂製である。このため、釘打ちを行う際に過度に大きな衝撃が加わると遊技領域形成体80aにひび割れ等が生じ得る。また、釘部材93については、遊技領域形成体80aの前面に対して僅かに傾けて取り付けられるが、遊技領域形成体80aの表面が滑らかであるため、釘部材93が当該前面に沿って滑る等して釘部材93の位置がずれやすくなると懸念される。
【0124】
この点、本実施の形態に示す遊技領域形成体80aでは、当該遊技領域形成体80aの成形時に釘部材93用の取付孔を形成しておくことにより、それら取付孔が釘部材93を取り付ける際のガイドとして機能し、上述した各種不都合の発生が好適に回避されている。なお、本実施の形態におけるテーブル(釘打ち台)には自身が上下方向へ変位又は変形することにより上述した衝撃を緩和させる機能が付与されており、釘部材93を挿入する際の衝撃に起因した上記ひび割れの発生をより確実に回避することが可能となっている。
【0125】
ステップS201にて釘部材93の取り付けが完了した後は、ステップS202に進み遊技領域PEを区画形成する誘導レール100(詳しくは内レール101及び外レール102)の取り付けが行われる。誘導レール100の取り付けが完了した後は、ステップS203にて風車94の取り付けがなされる。
【0126】
なお、誘導レール100及び風車94についても取付台(テーブル)に遊技領域形成体80aが平置きされた状態で工作用のロボットによる取り付けがなされる構成となっており、取付工程の自動化が図られている。因みに、遊技領域形成体80aには釘部材93用の取付孔と同様に、誘導レール100及び風車94に対応させて取付用の下孔が形成され、当該下孔の存在により取り付け時の衝撃に起因したひび割れ等の発生が回避されている。
【0127】
以上詳述した3つの工程が1つの生産ラインに組み込まれており、これら第1〜第3工程を経た遊技領域形成体80aは、他の遊技部品の組み付け及び検査を行うラインへと搬送される。
【0128】
ステップS204に示す取付工程では、作業者によって遊技領域形成板83の前面側に配設される可変入賞装置82、センターフレーム95、遊技領域区画部材99等の遊技部品が取り付けられ、続くステップS205の取付工程では遊技盤ユニット80の背面部を構成する背面ブロック80bの取り付けが行われる。具体的には、ステップS204の取付工程においては作業者がセンターフレーム95等の遊技部品を所定位置に配置した後に、ビス止め用ロボットによる同遊技部品の固定作業が実行され、ステップS205の取付工程においては作業者が同ビス止め用ロボットによる背面ブロック80bの固定作業が実行される。これにより遊技盤ユニット80の組み立てが完了する。
【0129】
ステップS201〜S205の各工程を経て遊技盤ユニット80が完成した後は、ステップS206の検査工程にて遊技盤ユニット80が正しく組み立てられているか、更には、電動役物91や可動演出装置273〜275等の機構部品や図柄表示装置253等の電気機器等が正常に動作するか検査される。
【0130】
ステップS206の検査工程にて遊技盤ユニット80に異常が発見されなかった場合には、遊技盤ユニット80が出荷態様に応じて設定された後工程へと搬送される。具体的には、遊技盤ユニット80単体を出荷する場合には、ステップS207の出荷工程にて出荷の準備が行われる。詳しくは、遊技盤ユニット80に証紙が取り付けられた後に梱包される。一方、遊技盤ユニット80が内枠13に搭載されてパチンコ機10として出荷される場合には、完成した遊技盤ユニット80が遊技機の製造工程(
図15(a)のステップS101に示した工程)に搬送されることとなる。
【0131】
ここで、遊技盤ユニット80の製造工程においては遊技盤ユニット80(遊技領域形成体80a)の姿勢や位置を変える際の保持態様や工程間等にて遊技盤ユニット80(遊技領域形成体80a)を搬送する際の搬送態様が、各種遊技部品の取付状況等(製造過程)に合わせて工夫されている。
【0132】
<遊技領域形成体80a>
以下、先ず
図16及び
図17を参照して遊技領域形成体80aの構造について補足説明し、その後、ステップS201〜ステップS203の各工程にて採用されている遊技領域形成体80aの保持の態様について説明する。
図16は釘部材93及び誘導レール100が取り付けられた状態での(すなわち釘打ち工程及びレール取付工程を経た状態での)遊技領域形成体80aを示す斜視図、
図17(a)は同状態での遊技領域形成体80aの正面図、
図17(b)は同状態での遊技領域形成体80aの平面図である。なお、
図16(b)においては説明の便宜上釘部材93用の取付孔(貫通孔)の表示を省略しているが、実際には当該取付孔は遊技領域形成体80aの前面側から背面側へと貫通している。
【0133】
図16(a)に示すように、遊技領域形成体80aは、略平板状の本体部301を有しており、同本体部301の前面が上記遊技領域PEの形成対象となっている。本体部301は、遊技領域形成体80aの正面視にて略矩形状をなしており、その外周縁には遊技領域形成体80aの背側へ起立するようにして外周フランジ部305が形成されている。
【0134】
図16(b)に示すように、外周フランジ部305は、本体部301の外縁に沿って形成されており、全体として環状をなしている。この外周フランジ部305によって略板状の本体部301が補強され、遊技領域形成体80aの剛性確保が図られている。
【0135】
ここで、遊技領域形成体80aの成形方法について補足説明する。遊技領域形成体80aは、その厚さ方向に並設された固定型及び可動型を有する金型に上記合成樹脂材料を充填して成形される。このような成形方法を用いて遊技領域形成体80aを量産する場合には、金型から成形品を型から取り外すための抜き勾配(所謂ドラフト)が必要となる。本実施の形態に示す遊技領域形成体80aについてもその各部に抜き勾配に応じた傾斜が形成されている。
【0136】
例えば
図17(b)に示すように、上述した外周フランジ部305は、本体部301の前面から遠ざかるにつれて裾拡がりとなるように傾斜している。つまり、外周フランジ部305を構成する左右のフランジ部306,307の間隔(詳しくは外面同士の距離)や上下のフランジ部308,309の間隔が、それら各フランジ部306〜309の先端部分に近づくにつれて大きくなるように構成されている。
【0137】
従来周知の木製遊技盤の場合には、板材を切削して切り出す工法が用いられており、遊技盤の端部に上述したような傾斜は存在しなかった。上述したように遊技領域形成体80aの端部(外周フランジ部305)が傾斜することは、遊技領域形成体80aの材質変更を行うにあたり当該遊技領域形成体80aの量産機能の担保や金型の簡素化を実現しようとした場合に必然的に生じる変化である。
【0138】
ここで、従来周知の木製の遊技盤を釘打ち台のテーブルから取り外す場合には、遊技盤の端面を側方から挟み込んで持ち上げる保持装置が採用されていた。特に保持装置において遊技盤と当接する部分には複数のニードルが形成され、これらニードルが遊技盤に食い込むことにより、当該遊技盤と保持装置の掛かりが外れることを抑制していた。しかしながら、このような構成を単に合成樹脂製の遊技領域形成体80aに適用した場合には以下の不都合が生じると想定される。すなわち、ニードルが遊技領域形成体80aの端面(外周フランジ部305)に食い込むことで遊技領域形成体80aにひび割れ等が生じやすくなる。
【0139】
なお、木製の遊技盤では自身が不透明であり更には表面に有色不透明なセルシートが付与されているため遊技盤の端面が遊技機前方から視認不可となるように制限されていた。一方、本実施の形態に示す遊技領域形成体80aについては透明であるため、仮に遊技領域形成体80aに傷がついたり上記ひび割れが発生したりした場合には当該傷等が目立ちやすくなる。これは遊技盤ユニット80の見栄えを低下させる要因になり得るため好ましくない。特に、本実施の形態においては、
図5に示すように遊技盤ユニット80の横幅を大きくして、遊技者から視認可能となる領域を拡張している。このため、遊技領域形成体80aを通じて遊技盤ユニット80の外周付近(例えば外周フランジ部305やその周辺)が目に入る可能性が高くなっており、そのような傷等の存在が見栄えの低下の要因になりやすい。
【0140】
以上例示した事情等に鑑みて、本実施の形態における保持装置400には、遊技領域形成体80aの保持機能を担保しつつ上記例示した課題を解決する工夫が施されている。そこで以下、
図18及び
図19を参照して本実施の形態に示す保持装置400について説明する。
図18は保持装置400を示す概略図、
図19は保持装置400と遊技領域形成体80aとの関係を示す概略図である。
【0141】
<保持装置400>
遊技領域形成体80aに釘部材93や誘導レール100を取り付ける生産ラインには、工程毎に作業台(上記テーブルTB)が設けられているとともに、それらテーブルTBから遊技領域形成体80aを取り外す際に当該遊技領域形成体80aを保持する上記保持装置400が設けられている。
【0142】
図18に示すように、保持装置400は遊技領域形成体80aを側方から挟み込む挟持機構410を有している。挟持機構410には遊技領域形成体80aをその短手方向両側に位置する一対のアーム411が設けられており、アーム411の先端部において遊技領域形成体80aの端面(外周フランジ部305の外面)に対向する部分には、遊技領域形成体80aを挟み込む際にそれら端面に当接するブロック状の当接部材412が取り付けられている。
【0143】
当接部材412は、弾性変形可能な合成樹脂製(詳しくは硬質ゴム製)となっており、遊技領域形成体80aを押圧した場合に自身が僅かに撓む構成となっている。このように、当接部材412を介して遊技領域形成体80aを挟み込む構成とすることで、当接部材412が遊技領域形成体80aに当たった際の衝撃が緩和されることとなる。
【0144】
また、当接部材412を硬質ゴム製として遊技領域形成体80aとの当接箇所に生じる摩擦を大きくすることにより、挟み込む力を弱めに設定したとしても当該摩擦によって遊技領域形成体80aの滑りを抑制することが可能となっている。
【0145】
図19(b)に示すように、当接部材412はその縦幅が遊技領域形成体80aの厚さ寸法よりも大きく設定されており、遊技領域形成体80aを挟み込む際には遊技領域形成体80aの外周フランジ部305の先端部、すなわち本体部301から最も離れた部分が当接するように構成されている。
【0146】
当接部材412によって外周フランジ部305を押圧した場合には、外周フランジ部305の先端部が当接部材412に食い込むことにより、当接部材412と外周フランジ部305とが引っ掛かりやすくなっている(
図19(b)の部分拡大図参照)。
【0147】
そもそも、従来周知の木製遊技盤の場合には、遊技盤に十分な厚みが確保されているだけでなく板材の端面が挟み込み時の当接対象となっているため、遊技盤をある程度強く挟み込んだとしても遊技盤が変形すること(例えば撓みや座屈が生じること)を容易に回避することが可能となっていた。
【0148】
一方、本実施の形態に示すように遊技領域形成体80aを合成樹脂製とする場合には、成形性担保(ブランク等の回避や収縮時の反りの回避、更には軽量化等)の観点から本体部301が薄型化される。このような事情から強度が不足しがちになるという背景を考慮して上記外周フランジ部305を形成することで補強を図っているものの従来周知の木製遊技盤と同じレベルの剛性を確保することは困難である。
【0149】
このような事情から、仮に保持機能を担保すべく挟み込みの強度(押圧力)を高く設定すると、遊技領域形成体80aが容易に変形し、本体部301に撓み等が発生し得る。上述したように、本体部301は釘部材93等の遊技部品の取付対象となっているため、上記変形はそれら遊技部品の取り付けを困難とするだけでなく、同遊技部品取付後の外れを誘発する要因になるため好ましくない。
【0150】
この点、本実施の形態においては、当接部材412の材質や外周フランジ部305との当接関係を工夫することにより、挟持機構410による押圧力を抑えつつ保持機能を向上させている。
【0151】
また、
図16(b)に示したように遊技領域形成体80aの外周フランジ部305は、左側フランジ部306、右側フランジ部307、上側フランジ部308及び下側フランジ部309が相互に連結されてなり、これら各フランジ部306〜309のうち遊技領域形成体80aの長辺部(
図19(a)に示すように遊技領域形成体80aは縦長の略矩形状をなしている)を構成する左右のフランジ部306,307が当接部材412による押圧対象となっている。
図19(a)に示すように遊技領域形成体80aを短辺側ではなく長辺側から挟み込む構成とすることにより、遊技領域形成体80aを押圧した際に当該遊技領域形成体80a(詳しくは本体部301)が撓むことを抑制している。
【0152】
このように、本実施の形態では遊技領域形成体80aを保持する際に、当該遊技領域形成体80aの変形を抑える工夫をすることで、挟持機構410による押圧力を軽減している。しかしながら、これら各種工夫を適用したとしても押圧力の低下や上記ニードル等の廃止による保持機能の低下を完全に補完することは困難である。そこで、保持装置400には、上記挟持機構410に連動し、遊技領域形成体80aを吸着した状態で保持する吸着機構420が併設されている。
【0153】
吸着機構420は、
図19(b)に示すように、テーブルTBに載置された遊技領域形成体80aの前面に当接する合成樹脂製の吸盤421と、吸盤421内の気体を吸引するポンプ(図示略)が配設された本体部425と、本体部425に設けられポンプ及び吸盤421を連結する金属性の配管422とを有してなり、吸盤421が遊技領域形成体80aの前面に当接している状況下にて配管422を通じて吸盤421と遊技領域形成体80aとの間に存在する気体を吸引することで吸盤421と遊技領域形成体80aとを密着させることが可能となっている(
図19(b)参照)。
【0154】
吸着機構420は、上記挟持機構410と連動して移動可能となっており、遊技領域形成体80aを吸着した状態で同挟持機構410とともに上昇することにより、遊技領域形成体80aを持ち上げるように作用する。
【0155】
吸着機構420については、挟持機構410と同様に保持装置400の保持制御装置によって駆動制御されており、当該駆動制御によってポンプによる吸引が停止されたり吸盤421内への給気が行われたりすることにより吸着状態が解除されることとなる。ここで、上記保持制御装置は、挟持機構410による遊技領域形成体80aの挟み込みと、吸着機構420による遊技領域形成体80aの吸着とが同時に実行されるように両機構410,420を駆動制御し、遊技領域形成体80aが両機構410,420によって保持された状態となった後にそれら各機構410,420を同じタイミングで上昇させるように保持装置400の昇降機を駆動させる。このように、各機構410,420の動作タイミングを揃えることにより、遊技領域形成体80aの移動に要する期間の短縮に貢献している。
【0156】
既に説明したように吸着機構420の吸盤421は、遊技領域形成体80aの前面に接触する。このため、過度に大きな吸着力を発生させると、遊技領域形成体80aの前面における吸盤421との接触箇所(吸着箇所)に擦り傷等が形成される可能性がある。また、吸着方向と異なる方向に遊技領域形成体80aがずれることで、擦り傷が形成される可能性が高くなる。
【0157】
この点、挟持機構410と吸着機構420とを併用することにより、吸着機構420単体で遊技領域形成体80aを持ち上げる必要がなく、吸着機構420による吸着力が過度に強くなることを抑制することが可能となっている。また、挟持機構410によって遊技領域形成体80aの横ズレを防止することにより、吸着箇所のズレに伴って擦り傷が生じるといった上記不都合の発生を好適に抑制することが可能となっている。
【0158】
図19(a)に示すように、吸盤421による吸着箇所は、遊技領域形成体80aの前面の4隅、詳しくは遊技領域形成体80aの前面において遊技領域PEの外となる領域に設けられている。このように、吸盤421を遊技領域形成体80aの4隅に配置することは、保持姿勢を安定させる上で好ましい構成である。また、遊技領域PEが形成される部分については、遊技者の目が届きやすい部分である。この点、遊技領域PE外となる部分、すなわち遊技領域PEが形成されている部分と比較して遊技者の目が届きにくい部分を吸着対象とすることにより、仮に吸着に起因して擦り傷等が形成されたとしても、当該擦り傷が目立って遊技盤ユニット80の見栄えが低下することを好適に抑制することができる。
【0159】
また、遊技盤の製造工程において少なくとも上記第1工程〜第3工程では、遊技領域形成体80aを各工程に設置されたテーブルTBに対して載置/載降を繰り返す必要がある。ここで、遊技領域PE外となる部分を吸着対象としておくことにより何れの工程でも遊技領域形成体80aの吸着箇所を統一することが可能となっている。このようにして吸着箇所を統一することにより、検査等の工程にて傷等の確認が必要な箇所が無駄に広くなることを抑制し、確認作業の手間を最小限に抑えることが可能となる。
【0160】
以上詳述した遊技領域形成体80aの製造工程(第1工程〜第3工程)においては、工程間の移動にコンベアが使用されている。このため、移動に伴って発生する摩擦等により遊技領域形成体80aが帯電する可能性が高い。第1工程〜第3工程にて取り扱われる遊技品には電気機器が含まれていないため、仮に上記帯電が発生したとしても当該帯電によって遊技領域形成体80aに不具合が生じる可能性は低い。しかしながら、続く第4工程以降では取り付けられる遊技部品に図柄表示装置253や制御装置140,162等の電気機器が含まれるため、遊技領域形成体80aが帯電したままの状態で後工程に搬送されることは好ましくない。
【0161】
第1工程〜第3工程を経て釘部材93、風車94、誘導レール100が取り付けられた遊技領域形成体80aは搬送用のパレット440に複数積み上げられた状態で第4工程へ搬送されるが、この遊技領域形成体80a及びその搬送工程には上記帯電を除去する工夫が施されている。以下、
図16、
図17及び
図20を参照して、帯電除去に係る構成について説明する。
図20(a)は釘部材93と誘導レール100及び遊技領域形成体80aとの関係を示す概略図、
図20(b)はパレット440に遊技領域形成体80aを搭載した状態を示す概略図である。
【0162】
<遊技領域形成体80aの放電に係る構成>
再び
図16を参照して遊技領域形成体80aの構造について補足説明する。
【0163】
遊技領域形成体80aの本体部301には、背側に突出するようにして略円柱状の突起302が複数形成されている。これら突起302は、遊技領域形成体80aの正面視にて誘導レール100(詳しくは内レール101及び外レール102)と重なる位置に並べて設けられている(
図17(a)参照)。
【0164】
突起302の先端には、遊技領域形成体80aを積み上げた場合に誘導レール100の先端部が挿入される溝部303が形成されている。
【0165】
突起302の起立量、誘導レール100の起立量及び溝部303の深さ寸法は、上述した遊技領域形成体80aの積み上げ時に、下側の遊技領域形成体80aに属する釘部材93の先端部が、上側の遊技領域形成体80aの本体部301の背面に当接しないように設定されている。つまり、釘部材93及び誘導レール100が取り付けられた状態では、誘導レール100と突起302を介して遊技領域形成体80aを積み上げることが可能となり、この際に釘部材93と遊技領域形成体80aの本体部301との間に空隙が確保されることとなる。これにより下側の遊技領域形成体80aの釘部材93と上側の遊技領域形成体80aの本体部301とが擦れる等して遊技領域形成体80aが帯電するといった不都合を生じにくくしている。更には、上下の遊技領域形成体80aの樹脂部分同士が擦れることを回避して、帯電防止機能の向上に貢献している。
【0166】
図20(a)に示すように、釘部材93は遊技球が遊技領域PEを流下する過程でガラスパネル23に衝突することを回避できるように、すなわち遊技球が遊技領域形成体80aの前面に沿って移動するように当該遊技領域形成体80aの前面に対して僅かに傾けて取り付けられている。より詳しくは、遊技領域形成体80aを垂直に立てた状態にて、釘部材93の前端が後端よりも上方に位置するように水平線HLに対して斜めに傾けて取り付けられている。このため、仮に釘部材93に対して遊技領域形成体80aの厚さ方向に向けた外力が加わった場合には、当該釘部材93が更に傾倒しやすくなると想定される。上述したように、釘部材93は遊技球の動きに影響を与えるものであるため、そのような変形が生じることは好ましくない。
【0167】
この点、本実施の形態においては、下側の遊技領域形成体80aに属する釘部材93と、上側の遊技領域形成体80aの本体部301との干渉を回避することにより、同釘部材93に上側の遊技領域形成体80aの重さが加わることを回避することができる。これにより、遊技領域形成体80aを積み上げた場合であっても、釘部材93が変形するといった不都合を生じない。
【0168】
特に、本実施の形態に示す遊技領域形成体80aについては合成樹脂材料を用いて形成されており、上述した理由から釘部材93の取付対象となる本体部301の厚さが薄くなっている。このため、釘部材93の本体部301に対する掛かり代を大きく設定することが困難である。仮に、釘部材93を傾倒させるような外力が加わった場合には、釘部材93自体が変形するだけでなく、その取付対象たる本体部301が変形したり割れたりする可能性が高くなる。しかしながら、上述の如く釘部材93への外力の付加を回避する構成とすることにより、合成樹脂材料を用いて遊技領域形成体80aを成形した場合であっても、それに起因した不都合の発生を好適に回避できる。
【0169】
一方、誘導レール100は、
図20(b)に示すように遊技領域形成体80aの前面から垂直に起立している。更には、釘部材93の配設領域を囲むようにして円弧状をなすように湾曲している。これにより、誘導レール100によって遊技領域形成体80aを支える構成としても、誘導レール100が変形するといった不都合は生じにくくなっており、積層状態での姿勢が乱れることも好適に回避される。
【0170】
ここで、誘導レール100の固定構造について補足説明する。誘導レール100は、長尺状をなしており、一方の長辺が遊技領域形成体80a(本体部301)の前面に当接している。この当接している側の長辺には、本体部301側へと突出する脚部100aが形成されている。
【0171】
遊技領域形成体80aには、この脚部100aが挿入される挿入部304が形成されている。挿入部304は、本体部301と突起302とに跨り、本体部301の前面と突起302の溝部303の底部とに連通する貫通孔となっている。この挿入部304に脚部100aが嵌入されることで誘導レール100と遊技領域形成体80aとが一体化されている。
【0172】
ここで、脚部100aの長さ寸法は、当該脚部100aの先端部が溝部303の底部と同一平面上に位置するように設定されている。また、溝部303は底部に向けて溝幅が小さくなるテーパ状をなしており、脚部100aの先端部と誘導レール100における板状部分の先端部との接触が担保される構成となっている。
【0173】
このため、
図20(b)に示すように、遊技領域形成体80aを積み上げた状態では、誘導レール100を介して電荷の移動経路が確保される。仮に何れかの遊技領域形成体80aが帯電している場合であっても、積み上げられた遊技領域形成体80aのうち少なくとも何れかを接地(アース)することにより、当該電荷を放電させて遊技領域形成体80aの帯電を解消することができる。
【0174】
なお、遊技領域形成体80aが積層配置されるパレット440には、上記突起302の溝部303に挿入されるピン(図示略)が各溝部303に対応して形成されている。これらピンによって、パレット440に直接載っている遊技領域形成体80aの位置が規定され、パレット440上で遊技領域形成体80aが横ズレ等することが抑制されている。
【0175】
それらピンは金属性となっており、その先端部が上記誘導レール100の脚部100aに当接している。そして、パレット440には、製造ライン(詳しくはアース)に電気的に接続される放電バンドが設けられており、パレット440上に配置された遊技領域形成体80aが帯電している場合には、その電荷が誘導レール100→ピン→放電バンドを介して製造ライン側に放電されることとなる。これにより、遊技領域形成体80aを積層した状態で後工程へ搬送する場合には、その過程で帯電が解消され、当該後工程にて帯電の影響が各種電気機器に及ぶことを回避することが可能となっている。
【0176】
次に、
図21を参照して、パレット440に積層された複数の遊技領域形成体80aを上記第3工程(以下、説明の便宜上「前工程」と称する)から第4工程(以下、説明の便宜上「後工程」と称する)へと搬送する第1の搬送工程について説明する。当該第1の搬送工程には、パレット440を搬送する手段として第1搬送機構430が設けられている。
図21は第1搬送機構430の構成を示す概略図である。
【0177】
<第1搬送機構430>
第1搬送機構430は、前工程と後工程とに亘って設けられた上下一対の搬送装置431,432を備えている。各搬送装置431,432は、遊技領域形成体80aの(詳しくはパレット440)の搬送方向と同じ方向に延びる一組のレール部材とそれらレール部材によって回動可能に保持されたローラ433,434とを有してなり、これらローラ433,434が回動することで、搬送装置431,432上に配置されたパレット440を移動させる機能が付与されている。
【0178】
ここで、上側の搬送装置431(以下「上側搬送装置431」と称する)は遊技領域形成体80aが搭載されたパレット440を前工程側から後工程側に向けて送るように構成されているのに対して、下側の搬送装置432(以下「下側搬送装置432」と称する)は遊技領域形成体80aが非搭載となったパレット440を後工程側から前工程側へと送り返すように構成されている。
【0179】
上側搬送装置431の上流側(前工程側)となる位置には、上流側リフト435が設けられている。上流側リフト435は、パレット440が搭載される可動式の台座435aと、この台座435aを上側搬送装置431に連通する受渡位置、及び下側搬送装置432に連通する受取位置に昇降させる駆動機構とを有している。
【0180】
前工程を経て釘部材93や誘導レール100等が取り付けられた遊技領域形成体80aは、上記台座435aが上記受取位置に配置されている場合に、その台座435a上に載置されているパレット440に積載されることとなる。
【0181】
また、上側搬送装置431の下流側(後工程側)となる位置には下流側リフト436が設けられている。下流側リフト436は、パレット440が搭載される可動式の台座436aと、この台座436aを上側搬送装置431に連通する待機位置、及び下側搬送装置432に連通する受渡位置に昇降させる駆動機構とを有している。
【0182】
下流側リフト436の台座436aが待機位置に配置されている状況下にて当該台座436aに遊技領域形成体80aが積載されたパレット440が待機している場合には、当該パレット440から遊技領域形成体80aの後工程への受渡しがなされる。つまり、上記上側搬送装置431は、第1搬送機構430に届けられた遊技領域形成体80aを上記待機位置へ送る機能が付与されている。
【0183】
上側搬送装置431と下流側リフト436との間には、台座436aにパレット440が載置されている場合に後続のパレット440の上側搬送装置431から台座436aへの移動を阻止し、台座436aにパレット440が載置されていない場合に上側搬送装置431から当該台座436aへのパレット440の移動を許容するストッパ437が設けられ、下側搬送装置432と上流側リフト435との間には、台座435aにパレット440が載置されている場合に後続のパレット440の下側搬送装置432から台座435aへの移動を阻止し、台座435aにパレット440が載置されていない場合に下側搬送装置432から当該台座435aへのパレット440の移動を許容するストッパ438が設けられている。これら各ストッパ437,438についてもローラ433,434、リフト435,436と同様に生産ラインの搬送制御装置に接続されており、当該搬送制御装置によって駆動制御される構成となっている。
【0184】
なお、搬送装置431,432については、必ずしも上下に配置されている必要はない。少なくともパレット440が第1搬送機構430内を循環可能となるように往路と復路とが形成されるようにして並設されていればよい。
【0185】
ここで
図22を参照して、第1搬送機構430による搬送態様について例示する。
図22は第1搬送機構430による搬送の流れを示す概略図である。なお、
図21及び
図22においては、第1搬送機構430の構成の概要を説明しており、搬送工程の長さや搬送工程にて循環するパレット440の数については、これらの図に記載された内容に限定されるものではない。
【0186】
図22(a)に示すように、上流側リフト435の台座435aが待機位置(下限位置)に配置され、同台座435aに空となったパレット440が搭載されている場合には、前工程を経て釘部材93や誘導レール100等が取り付けられた遊技領域形成体80aが当該パレット440に積載される。
【0187】
パレット440に積載されたワーク(遊技領域形成体80a)の数が予め設定された数に達すると、
図22(a)→
図22(b)に示すように、上流側リフト435が動作して台座435aが待機位置から受渡位置(上限位置)へ上昇することとなる。
【0188】
図22(c)に示すように台座435aが受渡位置へ到達すると、パレット440が台座435aから上側搬送装置431へと移動する。詳しくは台座435aには当該台座435a上に位置するパレット440を上側搬送装置431へと導くガイド機能(例えばガイドローラ)が付与されており、当該ガイド機能によってパレット440が上流側リフト435から上側搬送装置431へ受け渡される。
【0189】
上側搬送装置431への受渡しがなされたパレット440は、
図22(c)→
図22(d)に示すように、当該上側搬送装置431のローラ433の回転に伴って後工程側(下流側リフト436)へ向けて移動する。ここで、既に上側搬送装置431上にパレット440が待機している場合には、当該待機中のパレット440に上流側から当たることでそれ以上の移動が制限され、上側搬送装置431上に複数のパレット440が列を成すようにして並んだ状態となる。
【0190】
図22(c)→
図22(d)に示すように、下流側リフト436の台座436aに搭載されているパレット440から遊技領域形成体80aの積み下ろし(すなわち後工程への受渡し)が完了し、当該パレット440が空になると、
図22(d)→
図22(e)に示すように下流側リフト436が動作して台座436aが待機位置から受渡位置へと降下する。
【0191】
台座436aが受渡位置へと到達すると、搭載されているパレット440が当該台座436aから下側搬送装置432へと移動する。詳しくは台座436aには当該台座436a上に位置するパレット440を下側搬送装置432へと導くガイド機能(例えばガイドローラ)が付与されており、当該ガイド機能によってパレット440が下流側リフト436から下側搬送装置432へ受け渡される。下側搬送装置432への受渡しがなされたパレット440は、下側搬送装置432のローラ434の回転に伴って上流側リフト435へと返却されることとなる。
【0192】
このようにして台座436aが空になった場合には、
図22(f)→
図22(a)に示すように再び下流側リフト436が動作して台座436aが受渡位置から待機位置へと復帰することとなる。その後、ストッパ437による移動規制が解除され、上側搬送装置431に待機中のパレット440が台座436aへ移る。
【0193】
また、
図22(d)に示すように上流側リフト435の台座435aが空になった場合には、上流側リフト435が動作して台座435aが受渡位置から待機位置へと復帰することとなる(
図22(d)→
図22(e)参照)。このようにして、台座435aが待機位置へと復帰した場合には、ストッパ438による移動規制が解除され、下側搬送装置432の待機中の空のパレット440が台座435aへ移る。
【0194】
本実施の形態においては、後工程の作業が一部作業者の手によって行われる構成となっており、作業スピードによっては
図22(e)に示すように上側搬送装置431上に複数のパレット440が連なるようにして待機する場合がある。このような事象は、後工程での作業が前工程からの遊技領域形成体80aの供給に対して遅れることで顕著に発生し得る。
【0195】
ここで、先行するパレット440に対して後続するパレット440が衝突した場合に生じる衝撃は、パレット440に変形や破損等の弊害が生じたり、パレット440に積載されている遊技領域形成体80aがパレット440から脱落したり、遊技領域形成体80aに取り付けられている遊技部品が外れたりする要因になり得る。そこで、本実施の形態においては、上記衝撃を緩和する構成が設けられていることを特徴の1つとしている。以下、
図23(a)を参照して衝撃緩和に係る構成について説明する。
図23(a)は、パレット440に付与された緩衝構造を説明するための概略図である。
【0196】
<パレット440の緩衝構造>
パレット440において上側搬送装置431による搬送方向における上流側となる端部には、内部に気体(詳しくは空気)を充填可能に形成されたエアクッション441が取り付けられている。上側搬送装置431上でパレット440同士が衝突した場合には、充填されている空気が圧縮される等してエアクッション441が変形することにより、衝突時に発生する衝撃が緩和される。
【0197】
エアクッション441において、第1搬送機構430(上側搬送装置431及び下側搬送装置432)によるパレット440の送り方向と交差する方向の端部、すなわちパレット440同士の衝突時に接触しない部分には、当該エアクッション441に圧力が加わった場合に、その圧力が規定値を超えることでエアクッション441内の空気を排出する排気バルブ443が設けられている。緩衝手段としてエアクッション441を採用し、当該エアクッション441に排気バルブ443を設けることにより上記緩衝機能を更に好適に発揮させることが可能となっている。
【0198】
なお、排気バルブ443は、上記圧力が規定値を下回ることにより開状態から閉状態へ復帰し、それ以上の空気の流出を阻止するように構成されている。
【0199】
ここで、
図23(b)〜(d)の概略図を参照して、パレット440が上側搬送装置431上で衝突した際の様子について説明する。
図22(b)に示すようにストッパ437によってパレット440Aの移動が規制されている状況下においては、当該パレット440Aに当接しているローラ433が空転し、パレット440Aは上側搬送装置431の最下流位置にて待機した状態となる。ここで、当該パレット440Aに続くパレット440Bが上側搬送装置431へ供給されると、後続のパレット440はローラ433の回転によって下流側へ移動する。そして、
図22(c)に示すように、待機中のパレット440A(詳しくはエアクッション441A)に衝突することとなる。
【0200】
この衝突によって発生する衝撃は、ローラ433による送り速度とパレット440Bの重量(詳しくはパレット440B及び当該パレット440Bに積載されている遊技領域形成体80aの数)によって変化する。この衝突によってエアクッション441Aに加わる圧力が上記規定値を超えると、排気バルブ443が閉状態から開状態に切り替り、送り方向とは交差する方向へエアクッション441A内の空気が放出される。このようにして充填されている空気を放出することにより、パレット440A,440B同士の衝突に伴って発生する衝撃を大幅に軽減することができる。
【0201】
本実施の形態における第1搬送機構430はローラ433等の回転によりパレット440を搬送する構成となっているが、後工程の進捗状況によっては作業者が手でパレット440を押すことにより、当該パレット440を上記送り方向へ移動させることが可能であり、作業自由度が担保されている。このような構成においては、作業者がパレット440の衝突時に発生する衝撃がどの程度の大きさになるかは作業者に依存し得るため、エアクッション441の内圧の適正値を一義的に定めることは困難であるが、上述した排気機能を付与することにより、当該事象に起因する大きな衝撃にも好適に対応することが可能である。
【0202】
また、エアクッション441Aの内圧を下げることにより、後続のパレット440Bの跳ね返りを抑制し、パレット440A,440Bが繰り返し衝突することを抑制することが可能となる。これによりエアクッション441Aを保護することができる。
【0203】
既に説明したように、排気バルブ443は上記圧力が規定値を下回ることにより開状態から閉状態へ復帰する。衝突時の圧力増大によって開放された排気バルブ443が再び閉状態へと切り替った後は、少なくともエアクッション441A内に空気が残った状態となる。このため、更なる後続パレットの衝突時においても緩衝機能を発揮することが可能である。また、このような事象が発生した場合には、エアクッション441Aだけでなく後続のパレット440Bに付属のエアクッション441Bによる緩衝機能も発揮されるため、エアクッション441Aに残存する空気の量が減っていたとしても、上記緩衝機能が担保できる。
【0204】
このように、エアクッション441が排気バルブ443を有する構成においては、緩衝機能を好適に発揮させることができるだけでなく、エアクッション441に加わる負荷も軽減することができるため、繰り返しの使用による劣化を抑制することが可能となる。しかしながら、その反面、繰り返しの使用により内部に充填されている空気の量が減少するため、緩衝機能を担保するための工夫が必要となる。
【0205】
ここで、本実施の形態に示すエアクッション441には、当該エアクッション441内の空気が十分でなくなった場合に、空気を注入する給気バルブ442が設けられており、第1搬送機構430には給気バルブ442に接続され、エアクッション441に空気を充填する給気装置445が設けられている(
図23(a)参照)。給気バルブ442は、排気バルブ443と同様に第1搬送機構430(上側搬送装置431及び下側搬送装置432)によるパレット440の送り方向と交差する方向の端部、すなわちパレット440同士の衝突時に接触しない部分に配置されており、給気バルブ442が衝突対象になることが回避されている。
【0206】
給気装置445は上記搬送制御装置によって駆動制御される構成となっており、搬送制御装置による給気制御は、主として第1搬送機構430の運転開始時と、
図22に示すように第1搬送機構430による搬送が行われている最中(運転中)とで実行されることとなる。以下、先ず
図24のフローチャートを参照して、運転中に実行される給気制御の流れについて説明する。
【0207】
給気制御装置においては、先ずステップS301にて上流側リフト435(第1昇降機)の台座435aが待機位置に配置されており当該台座435aにパレット440が配置されているか否かを判定する。
【0208】
ステップS301にて否定判定をした場合には、そのまま本エアー充填処理を終了する。一方、ステップS301にて肯定判定をした場合には、ステップS302に進みエアクッション441の内圧が規定値以上となっているか否かを判定する。具体的には、給気装置445にはエアクッション441の圧力を検出する圧力センサが設けられており、この圧力センサが搬送制御装置に接続されている。搬送制御装置では圧力センサからの検知情報に基づいてステップS302の判定を行う。
【0209】
ステップS302にて肯定判定をした場合、すなわちエアクッション441内に残存する気体が十分であると判定した場合には、そのまま本エアー充填処理を終了する。一方、ステップS302にて否定判定をした場合には、給気装置445に設けられたエアノズルをエアクッション441の給気バルブ442に接続する処理を行う。
【0210】
本実施の形態に示すように、都度の給気時に必ず給気用の接続を行うのではなく、エアクッション441の緩衝機能が十分に担保されている場合には、給気用の接続を回避する構成とすることにより、給気バルブ442等の劣化を抑制することが可能となっている。
【0211】
ステップS303にてノズルの接続を実行した後は、給気装置445からエアクッション441への充填処理を実行する。この際、仮に空気が過剰に供給された場合には、エアクッション441の排気バルブ443が閉状態から開状態に切り替ることにより、エアクッション441を保護することが可能となっている。
【0212】
ステップS304の充填処理を実行した後は、予め設定された条件を満たすことで(例えば充填した空気量が所定量に達した場合や、充填時間が所定時間に達した場合)ステップS305にてノズルの接続解除処理を実行して本充填処理を終了する。
【0213】
このように、上側搬送装置431にパレット440が移る前に、エアクッション441への空気の充填を行うことにより、第1搬送機構430にてパレット440を循環させる構成においても、都度の衝突発生時に緩衝機能を好適に発揮させることが可能となる。
【0214】
また、例えば工場等で生産が中止→再開された場合には、その休業期間が長くなることにより、エアクッション441から空気が漏れたり、気温等の影響によって空気が圧縮されたりする可能性がある。そこで、第1搬送機構430の運転終了時には、パレット440を下側搬送装置432に待機させる構成とすることにより、運転再開時には上記充填処理が確実に実行されるように第1搬送機構430の駆動制御がなされる。
【0215】
なお、給気バルブ442はパレット440同士の衝突時に接触しない部分に配置されているため、パレット440同士が衝突し得る状況下においても上記給気装置445による給気を行うことが可能となる。この点を考慮すれば、給気装置445による給気のタイミングを以下のように変更することも可能である。例えば、下流側リフト436(第2昇降機)の台座436aが受渡位置に配置されてから上流側リフト435(第1昇降機)の台座435aの待機位置に配置されるまでの間(下側搬送装置432による搬送中)に給気を行う構成としてもよい。
【0216】
以上詳述した搬送工程により上記第3工程から第4工程へと遊技領域形成体80aが搬送される時点、すなわち第4工程以前では遊技領域形成体80aの背面に遊技部品等の取り付けが行われていない。このため、第1搬送機構430ではパレット440を用いて遊技領域形成体80aを寝せた状態で搬送する構成とした。
【0217】
しかしながら、第4工程にて遊技領域形成体80aに背面ブロック80b等を取り付けた状態では、背面ブロック80bの保護やその後の検査工程での作業性を考慮した場合、遊技盤ユニット80を立てた状態で1つずつ搬送することが好ましい。本実施の形態では、このような事情に鑑みて、上記第4工程を経て遊技盤ユニット80が完成した後は、当該遊技盤ユニット80を立てた状態で第5工程(検査工程)へ搬送する第2の搬送工程を有していることを特徴の1つとしている。
【0218】
以下、
図25を参照して遊技盤ユニット80を上記第4工程(以下、説明の便宜上「サブアセンブリ工程」と称する)から第5工程(以下、説明の便宜上「検査工程」と称する)へと搬送する第2の搬送工程について説明する。当該搬送工程には、遊技盤ユニット80を搬送する手段として第2搬送機構450が設けられている。
図25は第2搬送機構450の構成を示す概略図である。なお、
図25(a)では後述する送り手段を構成するローラの表示を省略している。
【0219】
<第2搬送機構450>
第2搬送機構450はサブアセンブリ工程と検査工程とに亘って設けられた搬送装置451を備えている。
図25(a)に示すように、搬送装置451は上記搬送方向に延びる一対のガイドレール452とそれらガイドレール452によって回動可能に保持された複数のローラ454(
図25(b)参照)とを有している。ローラ454は、回動中心軸線が第2搬送機構450による搬送方向と直交する方向に延びるように構成されており、ガイドレール452に沿って等間隔となるように並べて配置されている。これらローラ454が回動することで、搬送装置451上に配置された遊技盤ユニット80が上記搬送方向へと移動することとなる。なお、上記第1の搬送工程においてはパレット440を使用して複数のワーク(遊技領域形成体80a)をまとめて搬送する構成としたが、本第2の搬送工程ではワーク(遊技盤ユニット80)を1つずつ搬送する構成となっている。
【0220】
ガイドレール452には、上方へ延びる複数の支柱455が当該ガイドレール452の長手方向に並ぶようにして固定されている。これら支柱455には、ガイドレール452と同じ方向(搬送方向)に延びる支持レール456が取り付けられている。支持レール456は、遊技盤ユニット80の背面ブロック80bよりも上方であって、遊技領域形成体80aの上端部(上側フランジ部308)よりも下方となる位置に配置されており、遊技盤ユニット80(詳しくは遊技領域形成体80a)に対してその背面側から当接する構成となっている(
図25(b)参照)。
【0221】
遊技盤ユニット80を立てた状態で搬送する場合には、寝せた状態で搬送する場合と比較して同遊技盤ユニット80の姿勢が不安定になりやすい。そこで、本実施の形態においては、遊技盤ユニット80を背面側に僅かに傾倒させた状態で搬送する構成としている。以下、遊技盤ユニット80の傾倒を実現するための構成について補足説明する。
【0222】
一対のガイドレール452のうち上記支柱455が固定されていない側の一方には、ローラ454よりも上方に突出するストッパ453が形成されている。ローラ454に沿って遊技盤ユニット80が当該ローラ454の回動中心軸線方向へ移動しようとした場合には、同遊技盤ユニット80が当該ストッパ453に当接することにより、それ以上の移動が規制されることとなる。
【0223】
搬送装置451へ投入された遊技盤ユニット80はその下端部がストッパ453に当接し、その背面部が支持レール456に当接することにより背面側へ傾倒した状態で搬送される。ここで、遊技盤ユニット80については、背面ブロック80bの存在によりその重心位置が遊技領域形成体80aよりも後ろ側に偏移している。このため、ストッパ453及び支持レール456によって規定された傾きが小さいとしても、遊技盤ユニット80の自重によって姿勢が安定することとなる。
【0224】
このような工夫によって遊技盤ユニット80の姿勢を安定させたとしても、例えば作業者が遊技盤ユニット80に触れた場合等に遊技盤ユニット80が搬送装置451から落下(脱落)する可能性を完全に払拭できるものではない。つまり、遊技盤ユニット80を立てた状態で搬送する前提では、搬送装置451からの落下の可能性を遊技盤ユニット80の自重に依存して解消するには限度がある。そこで、第2搬送機構450にはそのような不都合を解消するために搬送装置451からの遊技盤ユニット80の落下(脱落)を規制する落下規制装置460が別途設けられている。
【0225】
落下規制装置460は、遊技盤ユニット80の端部に係合することにより搬送方向と交差する方向への遊技盤ユニット80の移動を規制するホルダ462と、当該ホルダ462を上記搬送方向へ移動可能に保持するケース体461とを有してなり、支柱455の上端部に配置されている。
図25(a)に示すように、搬送装置451によって遊技盤ユニット80が搬送される場合には、当該遊技盤ユニット80に係合したホルダ462が遊技盤ユニット80に追従して移動することで係合状態が維持される。
【0226】
本実施の形態に示すホルダ462は遊技盤ユニット80が検査工程へ到達するまで追従し、検査工程にて所定の解除操作が行われた場合に、上記係合(落下規制)が解除されるように構成されている。以下、
図25、
図26を参照してホルダ462及びそれに付随する構成について説明する。
図26(a)はホルダ462の構成を示す斜視図、
図26(b)ホルダ462と遊技盤ユニット80との関係を示す概略図である。
【0227】
ホルダ462は、遊技盤ユニット80(遊技領域形成体80a)の上端部に係合する係合位置(
図25(b)参照)と上記ケース体461内に収容される収容位置とに昇降可能な状態で同ケース体461により支持されている。
【0228】
図26に示すように、ホルダ462は遊技盤ユニット80(詳しくは遊技領域形成体80a)の前面側及び背面側から対向する一対の対向壁部463を有しており、全体として搬送装置451による送り方向に延び、下方(遊技盤ユニット80側)に開放された溝状をなすように形成されている。
【0229】
ホルダ462の対向壁部463は前記送り方向と直交する方向を向いており、各対向壁部463の下端部には溝内側に折れ曲がるようにしてフランジ部464が形成されており、これら両フランジ部464が遊技盤ユニット80に当接することにより、ホルダ462と遊技盤ユニット80とが係合し上記規制状態となる。
【0230】
ここで、フランジ部464は、それらフランジ部464の間隔寸法が搬送装置451の送り方向に向けてじょじょに大きくなるように形成されている。具体的には、上記送り方向における下流側での間隔寸法H1が上流側での間隔寸法H2よりも大きくなるように構成されており、送り方向下流側へ向けて拡がっている。
【0231】
ここで、遊技盤ユニット80(詳しくは遊技領域形成体80a)の傾きは上記ストッパ453及び支持レール456によって規定されており、上記フランジ部464による係合部分での水平方向での長さ寸法(擬似厚さ寸法)LXが上記間隔寸法H2よりも小さく且つ上記間隔寸法H1よりは大きくなるように形成されている。つまり、ホルダ462における送り方向下流側の端部は遊技盤ユニット80の挿入口465を形成しており、上記フランジ部464には当該挿入口465に入った遊技盤ユニット80の端部を係合位置へ誘導する誘導機能が付与されている。
【0232】
第2搬送機構450には、上記搬送装置451及び落下規制装置460を駆動制御する駆動制御装置が設けられており、この駆動制御装置によって搬送装置451及び落下規制装置460の動きが規定されている。以下、
図27を参照して第2搬送機構450による遊技盤ユニット80の搬送の流れについてする。
図27は第2搬送機構450における遊技盤ユニット80の搬送の流れを示す概略図である。なお、
図27においては第2搬送機構450における遊技盤ユニット80の初期待機位置を1点鎖線によって表示している。
【0233】
図27(a)に示すように、遊技盤ユニット80が初期待機位置に配置された場合には、落下規制装置460のケース体461内に収容されているホルダ462が同遊技盤ユニット80よりも上記送り方向における上流側となる箇所で上限位置(収容位置又は待機位置)から下限位置(係合可能位置)に降下する。なお、本実施の形態における第2の搬送工程では、当該第2の搬送工程内にてホルダ462が循環するように、ケース体461内には、往路用の支持レールと復路用の支持レールとが内蔵されている。
【0234】
ホルダ462が係合可能位置に落下した後は、
図27(b)→
図27(c)に示すように、上記初期待機位置にて待機中の遊技盤ユニット80に向けてホルダ462がスライド移動する。
図27(c)に示すように、遊技盤ユニット80の上端部が挿入口465を通じてホルダ462内へ挿入された後は当該ホルダ462の動きに伴って遊技盤ユニット80がフランジ部464沿って奥側へと誘導される。そして、ホルダ462と遊技盤ユニット80とが係合した後のタイミングにて、搬送装置451が動作して遊技盤ユニット80とホルダ462とが一体となって送り方向へ移動する。搬送装置451による遊技盤ユニット80の送り速度は、ホルダ462の移動速度と同等又は当該移動速度よりも僅かに遅く設定されている。このため、搬送装置451の動作に起因していホルダ462と遊技盤ユニット80とが分離されるといった不都合が生じない(
図27(c)→
図27(d)参照)。
【0235】
なお、ホルダ462が遊技盤ユニット80に係合したか否かを検知する方法については任意であるが、例えばホルダ462の駆動に生じる抵抗を検知する検知手段を設け、この検知手段による検知結果に基き(すなわち負荷の増大に基き)係合状態となったものと判定して搬送装置451を動作させる構成としてもよいし、ホルダ462が予め設定された係合位置に到達したことを検知する位置検知手段を儲け、この検知手段による検知結果に基き(すなわち係合位置への到達に基き)係合状態となったものと判定して搬送装置451を動作させる構成としてもよい。
【0236】
また、遊技盤ユニット80については、初期待機位置からの移動が規制されているのではなく、搬送装置451の動きが停止していることで当該初期待機位置に留まっている。このため、ホルダ462が遊技盤ユニット80に係合する際に、ホルダ462によって押された遊技盤ユニット80が送り方向へ逃げることとなり、ホルダ462が遊技盤ユニット80に過度に食い込むことが回避される。
【0237】
遊技盤ユニット80が検査工程へと搬送された後に作業者によって規制解除操作が行われた場合には、ホルダ462が上昇してケース体461内に収容される。なお、本実施の形態におけるホルダ462は送り方向と直交する方向に水平移動可能に保持されている。これにより、ホルダ462が上昇にともなって遊技盤ユニット80の背面側(傾倒している側)へとスライドする。故に、規制解除時に遊技盤ユニット80の姿勢が変わることが抑制されている。
【0238】
また、規制解除時のホルダ462移動方向を送り方向とは逆方向とするのではなく、上方とすることにより、遊技盤ユニット80がホルダ462に引っ張られて送り方向とは逆側へ移動することを回避している。
【0239】
遊技盤ユニット80におけるホルダ462との係合箇所については、ホルダ462との擦れることにより傷等が生じる可能性がある。このような事象は係合が強くなればなるほど大きくなると想定される。ホルダ462の移動方向に遊技盤ユニット80を逃がす構成とすることにより、係合が過度に強くなることを抑制し、上記不都合の発生を好適に抑制することが可能となる。
【0240】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
【0241】
(1)上記実施の形態では、「緩衝部材」を構成するエアクッション441に排気バルブ443を設け、エアクッション441の内圧が規定値を超えることで当該排気バルブ443が開状態となり、内圧が当該規定値を下回ったことを条件として閉状態に復帰する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、エアクッション441の内圧が規定値を超えることで排気バルブが開状態となり、当該開状態が空気の充填が行われるまで維持される構成、すなわち空気の充填が開始される場合に閉状態に切り替えられる構成としてもよい。
【0242】
なお、排気バルブ443については必須の構成ではないためこれを省略することも可能である。しかしながら、上記実施の形態に示したようにパレット440の移動速度や総重量等が不確定となりやすい構成においては、緩衝機能を発揮させる上でのエアクッションに充填される空気量の最適値を算出することは困難である。この点、上述した排気バルブを採用することにより、様々な状況に好適に対応させることができ状況に応じて空気量の微調がひつようとなることもない。故に、充填工程(給気工程)が複雑になることを好適に抑制できる。
【0243】
(2)上記実施の形態では、第1搬送機構430にてパレット440が上流側リフト435に配置された状態にて「ワーク」としての遊技領域形成体80aが搭載される構成としたが、パレット440への遊技領域形成体80aの搭載タイミングについては任意である。例えば、パレット440に遊技領域形成体80aが搭載された状態にて当該パレット440が上流側リフト435に配置される構成とすることも可能である。
【0244】
(3)上記実施の形態では、上流側リフト435の台座435aが待機位置に配置されている状態にて当該台座435aへパレット440が配置された場合に、同パレット440に付属するエアクッション441へ給気装置445から空気を充填する構成としたが、空気の充填については上側搬送装置431へパレット440が受け渡される前のタイミング(「送り工程」前)までに完了していればよく、例えば下側搬送装置432により移動している最中(「復帰工程」に相当)に充填する構成とすることも可能である。
【0245】
(4)上記実施の形態では、エアクッション441の配置をパレット440の一端(送り方法における上流側の端部)としたが、エアクッション441をパレット440の他端に配置したり、エアクッション441をパレット440における上記一端及び他端の両方に配置したりすることも可能である。
【0246】
但し、上記実施の形態に示したようにエアクッション441を送り方法における上流側の端部に配置したことには以下の技術的意義がある。すなわち、エアクッション441に気体が十分に充填されていない場合(例えば緩衝機能が発揮された後であって充填工程に到達する前等)には、エアクッション441が自重等によって垂れ下がる可能性がある。この場合、仮にエアクッション441が搬送装置431,432に引っ掛かるとパレット440の移動が妨げられやすくなるだけでなく、エアクッション441が破損するといった不都合が生じやすくなる。このような不都合はパレット440に遊技領域形成体80aが搭載されて重量が嵩むことにより顕著になる。この点、上記実施の形態に示したように気体充填式のエアクッション441を用いる場合には、パレット440において上記送り工程の上流側に位置する端部にエアクッション441を配することにより、上述した不都合の発生を抑制することができるという効果が発揮される。故に、望ましくは、上記実施の形態に示したように、エアクッション441をパレット440における送り方法における上流側の端部に配置するとよい。
【0247】
(5)パレットを用いた搬送工程であれば、他の搬送工程(例えば遊技機の搬送工程等)にエアクッション441及び給気装置445による緩衝機能を付与することも可能である。
【0248】
(6)上記実施の形態では、初期待機位置に停留している遊技盤ユニット80に向けてホルダ462が移動する構成としたが、遊技盤ユニット80とホルダ462との相対位置の変化によって規制状態へ移行されるのであれば足り、特定位置に待機中のホルダに向けて遊技盤ユニット80が移動する構成とすることも可能である。
【0249】
搬送装置451によって移動する遊技盤ユニット80が自らホルダの挿入口へ入って係合する構成とした場合、ホルダ自体を遊技盤ユニット80に追従させるようにして移動させるための駆動機構が不要となり、落下規制装置の構成を簡素化できる。
【0250】
(7)上記実施の形態では、ホルダ462のフランジ部464が遊技盤ユニット80に当接する構成としたが、フランジ部464を省略し対向壁部463に当接機能を付与することも可能である。
【0251】
(8)上記実施の形態における第2搬送機構450では、遊技盤ユニット80における送り方向上流側の端部をホルダ462による係合箇所に設定したが、上記変形例(6)に示した技術的思想を組み合わせて遊技盤ユニット80の送り方向上流側・下流側の両端部(詳しくは上端部の左右の隅部)をホルダの係合箇所とすることも可能である。後の検査工程においては、遊技盤ユニット80を前後に回転させて前面側及び背面側の両方を検査することがあるためが、両隅にホルダを係合させておくことにより遊技盤ユニット80の回転時に同遊技盤ユニット80のバランスを好適に維持できる。
【0252】
(9)上記実施の形態においては、ホルダ462のフランジ部464の間隔を挿入口465側で大きくし、挿入口465とは反対側で小さくすることで、遊技盤ユニット80とホルダ462とが両者をある程度ラップさせた状態で係合させる構成としたが、これに限定されるものではない。
【0253】
例えば、変形例(6)に示した技術的思想を発展させて遊技盤ユニット80の傾きを調整することにより規制状態への移行を行う構成とすることも可能である。以下、
図28の概略図を参照して具体例を説明する。
【0254】
第2搬送機構450Xの落下規制装置460Xには、搬送装置451による遊技盤ユニット80(詳しくは遊技領域形成体80aの上端部)が移動する経路上に配置されたホルダ462Xが設けられている。このホルダ462Xの構造及びその取付構造については上記実施の形態に示したホルダ462と同一であり、その向きが逆となっている点で構成が相違している。
【0255】
ここで、上記支持レール456については、水平方向に延びており、遊技盤ユニット80の傾きが常に一定角度で維持される構成であったが、本変形例においては支持レール456Xが途中から下方に傾くように折れ曲がっており、遊技盤ユニット80Xとホルダ462Xの挿入口465Xに遊技盤ユニット80Xが入った後に、遊技盤ユニット80Xの傾きが徐々に大きくなるように変更されることとなる(
図28(a)のANG1→
図28(b)ANG2参照)。
【0256】
図28(a)に示すように、ホルダ462Xにおいてフランジ部464Xの間隔が最も小さくなる部分での隙間寸法HXについては、遊技盤ユニット80Xの傾きANG1のままの状態では水平方向における遊技盤ユニット80(詳しくは遊技領域形成体80a)の係合箇所の距離寸法L1よりも大きいため、ホルダ462Xと遊技盤ユニット80Xとの係合が回避される。
【0257】
図28(b)に示すように、ホルダ462Xが遊技盤ユニット80Xの幅方向における中央部分に到達すると、遊技盤ユニット80Xの傾きが大きくなって水平方向における遊技盤ユニット80(詳しくは遊技領域形成体80a)の係合箇所の距離寸法L2=隙間寸法HXとなる。これにより、遊技盤ユニット80Xとホルダ462Xとが係合することとなる。
【0258】
このように、係合タイミングを遊技盤ユニット80Xの傾き調整によって遅らせる構成とすることにより、係合位置を遊技盤ユニット80Xの隅部ではなく、同遊技盤ユニット80Xの幅方向における中央付近とすることが可能となる。これにより、後の検査工程等にて遊技盤ユニット80Xを回転させる場合にも係合状態を維持することが可能となり、実用上好ましい構成が実現される。
【0259】
なお、本変形例では遊技盤ユニット80Xの傾き調整を支持レール456Xの高さ位置を下げることで実現したが、例えば支持レール456Xの厚さを小さくすることで変更してもよい。
【0260】
(10)上記実施の形態に示した第2搬送機構450では、遊技盤ユニット80を背面側に傾けた状態で搬送する構成としたが、遊技盤ユニット80を前面側に傾けた状態で搬送する構成とすることも可能である。
【0261】
(11)上記実施の形態では、落下規制装置460のホルダ462が遊技盤ユニット80の上端部に係合する構成としたが、遊技盤ユニット80の左右の端部に係合する構成とすることも可能である。但し、遊技盤ユニット80が横方へスライド移動する前提である点を配慮した場合には、このような係合態様では解除が上手く行われない可能性が高くなる。故に、上記実施の形態に示したように、係合箇所を上端部とするとともに係合解除時のホルダの移動方向を上方とすることが好ましい。
【0262】
(12)上記実施の形態では、保持装置400の挟持機構410による押圧対象を遊技領域形成体80aの長辺部分としたが、押圧対象を遊技領域形成体80aの短辺部分とすることも可能である。
【0263】
(13)遊技領域形成体80a(詳しくは外周フランジ部305)に付与された型抜き用のテーパを逆向きとすることも可能である。このような変更を行う場合には、
図29の概略図に示すように当接部材412Yにおいて外周フランジ部305Yと対向する部分を当該外周フランジ部305Yの外面と平行となるように形成することが好ましい。保持工程にて遊技領域形成体を挟み込んだ場合に、遊技領域形成体が上記テーパに沿って吸着機構(吸盤)側に押し付けられることとなり、吸着機能が好適に発揮される。
【0264】
(14)上記実施の形態では、保持装置400による遊技領域形成体80aの吸着と挟み込みとを同時に並行して行う構成としたが、何れか一方を他方に先行させて行ってもよい。例えば、遊技領域形成体80aを挟み込んで、すなわち遊技領域形成体80aの重さがテーブルTBによって支えられた状態で吸着する構成とするとよい。
【0265】
(15)上記実施の形態では、遊技領域形成体80aの前面において遊技領域PE以外の部位(4隅)を吸着機構420による吸着箇所として設定したが、遊技領域PEに釘部材93等が取り付けられる前の状態で遊技領域形成体80aを搬送する場合には、吸着箇所を遊技領域PE内としてもよい。但し、遊技領域形成体80aについては、透明な合成樹脂材料を用いて形成されており、当該遊技領域形成体80aを通じてその背後を視認可能としている。吸着箇所では、吸盤421と遊技領域形成体80aとの間に擦れが生じ得る点を考慮すれば、遊技領域PEが形成される以外の部分を吸着対象とすることが好ましい。
【0266】
(16)上記実施の形態では、遊技領域形成体80aを重ねて配置した場合に、下側の遊技領域形成体80aの誘導レール100の先端部分と上側の遊技領域形成体80aの脚部100aの先端部分とが遊技領域形成体80aの積層方向(遊技領域形成体の厚さ方向)にて当接する構成としたが、これを変更し、当該積層方向と交差する方向にて当接する構成とすることも可能である。
【0267】
(17)上記実施の形態では、誘導レール100を構成する内レール101及び外レール102の両方に放電機能を付与する構成としたが、それら両レール101,102のうち少なくとも一方に放電機能を付与する構成とすることも可能である。但し、放電機能を強化するには、遊技領域形成体80a全域をカバーすることが好ましい。半円状をなす2つのレール101,102がずらして配置されている点を考慮すると、放電機能の付与対象は両レール101,102であることが好ましい。
【0268】
(18)上記実施の形態に示した突起302の溝部303についてもテーパ状とし、当該溝部303に挿入された誘導レール100を他の誘導レール100の脚部100aの先端部分へ誘導する構成とすればアース機能を好適に担保できる。
【0269】
(19)上記実施の形態では、遊技領域形成体80aに取り付けられた誘導レール100によって他の遊技領域形成体80aを支える構成とし、遊技領域形成体80aの樹脂部分同士が擦れることを回避する構成としたが、遊技領域形成体80aの本体部301に支柱を設けたり、外周フランジ部305に支持機能を付与したりすることも可能である。遊技領域形成体80aが複数重ねて配置された状態にて仮に合成樹脂部分同士が搬送中等の振動や揺れ等によって擦れる等して帯電した場合であってもは誘導レール100同士が接触することにより遊技領域形成体80aの帯電が好適に解消されることとなる。
【0270】
(20)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
【0271】
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されることでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
【0272】
更に、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
【0273】
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0274】
<特徴A群>
以下の特徴A群は「パチンコ機等の遊技機には、例えば遊技盤ユニットや裏パックユニット等の各種遊技ユニットが組み合わされてなるものがある。この種の遊技機では、例えば、複数の工程を経てサブアッセンブリ化された遊技ユニットをアセンブリラインにて組み合わせる手法が採用される等の工夫がなされ、生産効率の向上や生産コストの低減等が実現されている。ここで、例えば工程間での遊技ユニットの移動には搬送機構が利用され、搬送の効率化や作業者の負担の軽減等が図られている(例えば特許文献特開2006−239193参照)。このような搬送工程を有する生産ラインにおいては、遊技ユニットを直接搬送機構に搭載するのではなく、例えば遊技ユニットを積載可能なパレットを用いて、パレットごと遊技ユニットを移動させることにより、搬送効率の向上や遊技ユニットの保護等が図られているものがある。ここで、パレットを用いて遊技ユニットを搬送する工程では、パレットの移動時にパレット同士が接触(例えば衝突)する場合がある。これは、パレットの損傷、遊技ユニットの脱落、遊技ユニットからの遊技部品の脱落といった各種不都合が発生する要因になり得る。このような事情を配慮した場合、パレット間に発生する衝撃を緩和させる緩衝部材を導入することが有用であると想定される。しかしながら、緩衝部材によって上記不都合の発生を抑えようとした場合、緩衝機能を強化すれば緩衝部材に生じる負荷が過度に大きくなって当該緩衝部材の耐久性の担保が困難になると想定される。緩衝部材の耐久性が低くなることは、当該緩衝部材の確認や交換等の別途メンテナンス作業が必要となる要因となって生産効率の向上の妨げになると懸念される。一方、緩衝部材の耐久性を優先した場合には緩衝機能を十分に発揮させることが困難になると想定される。緩衝機能を上手く発揮させることができない場合には、ライン停止等の不都合が生じやすくなり、結果として生産効率の向上が困難になり得る。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
【0275】
特徴A1.遊技機(パチンコ機10)を構成する遊技ユニット(遊技領域形成体80a)を前工程(例えば釘打ち工程)から後工程(例えば装飾等の組付工程)に搬送する搬送工程を備えた遊技ユニットの製造方法であって、
前記搬送工程は、搬送機構(第1搬送機構430)によって、前記遊技ユニットが搭載されたパレット(パレット440)を所定位置へ送る送り工程と、前記所定位置に到達した前記パレットに搭載された前記遊技ユニットを前記後工程に受け渡す受渡工程と、前記受渡工程を経て前記遊技ユニットが非搭載になった前記パレットを当該搬送工程における初期位置に復帰させる復帰工程とを有し、前記パレットが当該搬送工程内で循環する構成となっており、
前記送り工程にてパレット同士が接触した場合の衝撃が緩衝部材(エアクッション441)によって緩和される構成となっており、
前記緩衝部材は、前記パレットの端部に設けられ、内部に充填された気体の圧縮又は移動に基づいて変形することにより前記衝撃を緩和させるものであり、
前記搬送工程は、前記緩衝部材に気体を充填する充填工程を有していることを特徴とする遊技ユニットの製造方法。
【0276】
特徴A1に示す搬送工程においては、後工程や先工程の進捗によって搬送機構(搬送経路)上に複数のパレットが連なるようにして列を成す可能性がある。遊技ユニット(パレット)の搬送時に、仮に後続のパレットが先行するパレットと接触した場合には、搭載している遊技ユニットの重量や移動速度等に応じてパレット間に衝撃が発生する。この点、本特徴に示すように緩衝部材を用いて衝撃を緩和すれば、パレットの破損やパレットからの遊技ユニットの脱落等の各種不都合が生じることを抑制することができる。
【0277】
本特徴に示す緩衝部材はその内部に気体が充填されており、その気体が圧縮又は移動することにより緩衝部材が変形して衝撃緩和機能が発揮されることとなる。このような緩衝部材を備えている場合には、例えば衝撃が大きくなったり繰り返し衝撃が加わったりすることにより、緩衝部材に充填されている気体が漏れる可能性がある。また、気温等の影響によって気体が収縮する可能性もある。このようにして想定以上に気体が減ってしまった場合には上述した衝撃緩和機能が上手く発揮されなくなると懸念される。
【0278】
この点、本特徴では搬送工程に設けられた充填工程にて緩衝部材に気体が充填されるため、緩衝部材内の気体が不足して緩衝機能が上手く発揮されなくなることを抑制することができる。このようにして緩衝機能を担保することにより、パレットの破損、パレットからの遊技ユニットの脱落等の不都合や緩衝部材の換装作業が頻発するといった不都合が生じることを抑制できる。故に、遊技ユニットの生産効率等の向上に貢献することが可能となる。
【0279】
特徴A2.前記充填工程は、前記パレットが前記初期位置に復帰した場合に又は同パレットが同初期位置へ復帰する搬送中に前記充填を行うように構成されていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技ユニットの製造方法。
【0280】
特徴A2によれば、パレット(遊技ユニット)が送り工程へ進む前に緩衝部材への気体の充填が行われるため、送り工程にて緩衝機能が上手く発揮されなくなることを抑制できる。上述の如くパレットが繰り返し使用される(循環する)構成であっても、都度の送り工程にて上記緩衝機能を担保することができる。
【0281】
特に、初期位置へ復帰する搬送中(例えば移動中)に気体の充填を行う場合、充填に要する期間を充填専用期間とする必要がなく、充填期間の確保に起因して遊技ユニットの生産効率が低下するといった不都合が生じることを回避できる。
【0282】
特徴A3.前記充填工程は、
生産ラインに設けられた充填機器(給気装置445)を前記緩衝部材に接続する接続工程と、
前記接続工程が実行された後に、前記緩衝部材に気体を補充する補充工程と、
前記充填機器と前記緩衝部材との接続を解除する解除工程と
を有していることを特徴とする特徴A2に記載の遊技ユニットの製造方法。
【0283】
特徴A2に示した技術的思想を具現化する場合には、例えばパレットにボンベ等の充填機器を搭載することも可能である。しかしながら、このような構成では、パレットの重量が嵩んでしまい、発生する衝撃も大きくなりやすい。更には、このような衝撃の増大は緩衝部材に加わる負荷を増大させて、緩衝部材の耐久性の低下を要因となり得るため好ましくない。
【0284】
この点、本特徴に示すように、充填機器を生産ライン側に設け、接続→補充→接続解除の工程を得て緩衝部材への気体の充填が完了する構成とすれば、パレット及びそれに付随する構成の軽量化に貢献できる。故に、上述した不都合の発生を好適に抑制することが可能となる。
【0285】
特徴A4.前記充填工程は、前記緩衝部材における気体の充填状況を判定する判定工程を有し、前記判定工程にて前記緩衝部材への気体の充填が必要な状況であると判定された場合に、前記接続工程、前記補充工程、前記解除工程へ移行し、前記判定工程にて気体の充填が必要な状況ではないと判定された場合に、前記接続工程、前記補充工程、前記解除工程へ移行しないように構成されていることを特徴とする特徴A3に記載の遊技ユニットの製造方法。
【0286】
特徴A3に示したように接続工程、補充工程、解除工程によって気体の充填が完了する構成では、毎度このような工程を繰り返すことで、緩衝部材の本体や充填工程に各種機器との接続箇所等の劣化が早まる可能性がある。そこで、本特徴に示すように充填状況を判定する判定工程を経て上記接続工程等を行うか否かを決める構成とすることにより、無駄に充填が繰り返されることを回避して上記劣化を抑制することが可能となる。
【0287】
特徴A5.前記緩衝部材は、当該緩衝部材に充填された気体に加わる圧力が所定値よりも大きくなることにより同衝撃部材に充填された気体の少なくとも一部を放出する放出手段(排気バルブ443)を備えていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A4のいずれか1つに記載の遊技ユニットの製造方法。
【0288】
特徴A5によれば、パレット同士が接触して緩衝部材に負荷(圧力)が加わった場合には、その圧力が所定値を超えることで緩衝部材に充填されている気体の少なくとも一部が放出される。このように、気体を放出して衝撃を逃がす構成とすることにより、接触したパレットの跳ね返り等を抑制できる。
【0289】
また、充填機器を用いて気体を充填する場合に、仮に気体の過剰供給が生じた場合には放出手段によって過剰となった気体を逃がすことができ、緩衝部材の保護に貢献できる。
【0290】
なお、緩衝部材からの気体の放出方向については上記送り方向と交差する方向となるように設定することが好ましい。当該構成とすれば、放出時の反作用によってパレットが上流側又は下流側に移動することを抑制できる。
【0291】
特徴A6.前記放出手段は、前記緩衝部材からの気体の放出を許容する開状態と当該緩衝部材からの気体の放出を阻止する閉状態とに切り替え可能であって、前記緩衝部材に充填された気体に加わる圧力が前記所定値よりも小さくなった場合に前記開状態から前記閉状態に切り替る構成となっていることを特徴とする特徴A5に記載の遊技ユニットの製造方法。
【0292】
既に説明したように搬送工程(詳しくは送り工程)にてパレットを送る場合には、搬送経路上にパレットが連なるようにして待機した状態となり得る。このため、それら待機しているパレットの最後尾に後続のパレットが次々と接触する可能性がある。ここで、本特徴に示す構成によれば、充填された気体が一度の接触を契機に全て放出されることを回避し、1度の送り工程中に複数回の接触が発生したとしてもその都度緩衝機能を発揮させることが可能となる。これにより、特徴A1等に示した各種効果を好適に発揮させることができる。
【0293】
特徴A7.前記緩衝部材は、前記パレットにおいて前記送り工程における上流側に位置する端部に突出した状態で取り付けられていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A6のいずれか1つに記載の遊技ユニットの製造方法。
【0294】
特徴A1等に示す緩衝部材を採用した場合には、気体が十分に充填されていない場合(例えば緩衝機能が発揮された後であって充填工程に到達する前等)には、緩衝部材が自重等によって垂れ下がる可能性がある。この場合、仮に緩衝部材が搬送機構に引っ掛かるとパレットの移動が妨げられやすくなるだけでなく、緩衝部材が破損するといった不都合が生じやすくなる。このような不都合はパレットに遊技ユニットが搭載されて重量が嵩むことにより顕著になる。そこで、特徴A1等に示す気体充填式の緩衝部材を用いる場合には、パレットにおいて上記送り工程の上流側に位置する端部に緩衝部材を配することにより、上述した不都合の発生を抑制することができる。
【0295】
特徴A8.前記搬送機構は、前記送り方向における下流側のパレットの上流側の端部と上流側のパレットの下流側の端部とが同じ高さ位置となるようにして前記パレットの搬送を行うことを特徴とする特徴A7に記載の遊技機。
【0296】
特徴A8によれば、パレット接触時に緩衝部材が上流側・下流側のパレットの端部の間に挟まれることとなり、特徴A1等に示した緩衝機能を好適に発揮させることができる。
【0297】
特徴A9.遊技機(パチンコ機10)の製造方法であって、
遊技機を搬送する搬送工程を備え、
当該搬送工程は、搬送機構によって、前記遊技機が搭載されたパレットを所定位置へ送る送り工程と、前記所定位置へ到達した前記パレットに搭載された前記遊技機を降載する降載工程と、前記降載工程を経て前記遊技機が非搭載になった前記パレットを前記搬送工程における初期位置に復帰させる復帰工程とを有し、前記パレットが当該搬送工程内で循環する構成となっており、
前記送り工程にてパレット同士が接触した場合の衝撃が緩衝部材によって緩和される構成となっており、
前記緩衝部材は、前記パレットの端部に設けられ、内部に充填された気体の圧縮又は移動に基づいて変形することにより前記衝撃を緩和させるものであり、
前記搬送工程は、前記緩衝部材に気体を充填する充填工程を有していることを特徴とする遊技機の製造方法。
【0298】
特徴A9に示す搬送工程においては、例えば後工程や先工程の進捗によっては搬送機構上に複数のパレットが連なる可能性がある。遊技機(パレット)の搬送時に、仮に同パレットが先行するパレットと接触した場合には、搭載している遊技機の重量や移動速度等に応じた衝撃がパレット間に発生することとなる。この点、本特徴に示すように緩衝部材を用いて衝撃を緩和すれば、パレットの破損やパレットからの遊技ユニットの脱落等の各種不都合が生じることを抑制することができる。
【0299】
本特徴に示す緩衝部材はその内部に気体が充填されており、その気体が圧縮又は移動することにより緩衝部材が変形して衝撃緩和機能が発揮されることとなる。このような緩衝部材を備えている場合には、例えば衝撃が大きくなったり繰り返し衝撃が加わったりすることにより、緩衝部材に充填されている気体が漏れる可能性がある。また、気温等の影響によって気体が収縮する可能性もある。このように、想定以上に気体が減ってしまうと上述した衝撃緩和機能が上手く発揮されなくなると懸念される。
【0300】
この点、本特徴では搬送工程に設けられた充填工程にて、緩衝部材に気体が充填されるため、緩衝部材内の気体が不足して、緩衝機能が上手く発揮されなくなることを抑制することができる。このようにして緩衝機能を担保することにより、パレットの破損、パレットからの遊技ユニットの脱落等の不都合や緩衝部材の換装作業が頻発するといった不都合が生じることを抑制できる。故に、遊技ユニットの生産効率等の向上に貢献することが可能となる。
【0301】
なお、本特徴に示す遊技機の製造方法に特徴A2乃至特徴A8に示した技術的思想を適用することも可能である。
【0302】
<特徴B群>
以下の特徴B群は「パチンコ機等の遊技機には、前面に遊技領域が形成された遊技盤を備えているものがある。遊技盤には、例えば遊技領域に散在する釘、遊技球が入球する各種入球部、特定の入球部への入球が発生した場合に絵柄の可変表示を行う可変表示装置等が配設されている(例えば特許文献1参照)。工場に設けられた遊技盤の生産ラインには、例えば遊技盤を製造する製造工程や完成した遊技盤の動作を確認する検査工程、更には各種工程間にて遊技盤を搬送する搬送工程が設けられている。特に、搬送工程には、遊技盤を寝かせた状態で搬送する搬送工程と、遊技盤を立てた状態で搬送する搬送工程とが設けられており、採用される搬送工程が、後工程での作業内容や遊技盤の完成度等に応じて異なることとなる。ここで、遊技盤を立てた状態で搬送する場合には、遊技盤を寝かせた状態で搬送する場合と比較して搬送中に遊技盤の姿勢が乱れやすくなる。このような姿勢の乱れは後工程の作業等を難しくする要因となり、ひいては遊技盤の生産効率の向上の妨げとなると懸念される。このように、遊技盤を立てた状態で搬送する工程においては遊技盤の搬送態様に未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
【0303】
特徴B1.遊技機(パチンコ機10)を構成する遊技盤(遊技盤ユニット80)の製造方法であって、
前記遊技盤を立てた状態で搬送する搬送工程を備え、
前記搬送工程は、
前記遊技盤を立てた状態で搬送機構(第2搬送機構450)に載せる搭載工程と、
前記搬送機構に載った前記遊技盤を所定位置へ送る送り工程と、
前記搬送機構に載った前記遊技盤の端部をホルダ(ホルダ462)へ挿入させて、当該ホルダを構成する一対の当接部によって同遊技盤を挟み込んだ状態とすることにより、前記送り方向とは異なる方向への同遊技盤の動きを規制する規制工程と
を有し、
前記一対の当接部は、少なくとも前記遊技盤が挿入される側ではそれら当接部間の隙間が前記遊技盤の通過を許容するように形成されており、
前記規制工程は、前記挿入側での前記ホルダと前記遊技盤との相対位置の変化に基づいて前記当接部と前記遊技盤と隙間が小さくなり、それら当接部に対して前記遊技盤の前面部及び背面部が当接することで前記挟み込んだ状態となるように構成されていることを特徴とする遊技盤の製造方法。
【0304】
遊技盤を搬送機構によって立てた状態で搬送しようとした場合には、遊技盤を寝かせた状態で搬送する場合と比較して同遊技盤の姿勢が不安定になりやすい。ここで、本特徴によれば、遊技盤を立てた状態で搬送する際には、同遊技盤の端部がホルダによって挟まれた状態となり送り方向(搬送方向)とは異なる方向への遊技盤の動きが規制されることとなる。これにより、遊技盤が搬送機構から脱落したり、遊技盤の姿勢が乱れて後工程に支障が生じたりすることを抑制できる。このように、遊技盤を立てた状態であっても安定した搬送を実現することにより、遊技盤の生産効率向上に貢献できる。
【0305】
特徴B2.前記搬送工程は、前記ホルダを当該ホルダと前記遊技盤との相対移動方向と交差する方向へ移動させることにより前記規制を解除する規制解除工程を有していることを特徴とする特徴B1に記載の遊技盤の製造方法。
【0306】
特徴B1に示したようにホルダによって遊技盤を挟み込む構成においては、ホルダと遊技盤との間に摩擦が生じる。ここで、ホルダと遊技盤との相対移動方向と同じ方向にホルダを移動させようとした場合には、上記摩擦によって遊技盤がホルダに追従して移動し得るため上手く規制解除を行うことができない可能性が高くなる。この点、本特徴に示すように、ホルダと遊技盤との相対移動方向と交差する方向へ移動させることで移動規制を解除する構成とすることにより、ホルダと遊技盤との掛かりを容易に解除することができる。故に、当該解除動作によって遊技盤の姿勢や位置が変化することを容易に回避可能となる。
【0307】
特徴B3.前記搬送工程では、前記ホルダに前記遊技盤が挿入される当初は当該ホルダによって前記遊技盤が挟み込まれた状態となることが回避され、その後、同遊技盤と同ホルダとの相対位置の変化に伴って当該ホルダにより当該遊技盤が挟み込まれた状態となることを特徴とする特徴B1又は特徴B2に記載の遊技盤の製造方法。
【0308】
特徴B1に示すように遊技盤を立てた状態で搬送する場合には、遊技盤を寝かせた状態で搬送する場合と比較して、遊技盤の位置や傾き(姿勢)等のばらつきが生じやすい。このため、単に遊技盤をホルダに挿入しようとしても同遊技盤がホルダの入口等に干渉する等して上記規制が上手く行われなくなる可能性が高い。そこで、本特徴に示すように、挿入当初は遊技盤の挟み込みを回避して、更なる相対位置の変位に基づいて遊技盤が挟み込まれる構成とすることにより、遊技盤の移動規制を円滑に行うことが可能となる。
【0309】
なお本特徴に示す技術的思想を実現するには、例えば「前記一対の当接部は、それら当接部間の隙間寸法が、前記搬送機構に搭載されている前記遊技盤が挿入される側となる部分では同当接部の並び方向における前記端部での遊技盤の厚さ寸法よりも大きく、それとは反対側では同並設方向における当該端部での遊技盤の厚さ寸法と同等又は同厚さ寸法よりも小さくなるように一方に対して他方が傾斜している」構成とするとよい。ホルダの当接部の間隔(隙間)を入口側にて大きくしてゆとりを持たせることにより上記不都合の発生を抑えることが可能となる。更に遊技盤が奥側へと挿入されると、例えば遊技盤が当接部の傾斜に沿って当接部の間隔が小さく設定された奥側へ誘導され、最終的に遊技盤が当接部によって挟まれた状態となる。
【0310】
特徴B4.前記搬送工程では、前記搬送機構による搬送速度を超えて同送り方向へ前記遊技盤が移動することを許容する構成となっており、
前記規制工程は、前記ホルダを前記送り方向における下流側に移動させることにより前記遊技盤の端部を当該ホルダに挿入させる工程であることを特徴とする特徴B3に記載の遊技盤の製造方法。
【0311】
特徴B4によれば、遊技盤を追いかけるようにしてホルダが移動する。ホルダに遊技盤の端部が挿入され所定位置まで挿入されると当接部によって遊技盤が挟み込まれた状態となるが、この際、仮に過度に強くホルダが押し込まれると遊技盤に擦り傷等がついてしまったり、規制解除が難しくなったりすると懸念される。この点、本特徴においては、ホルダによって押された遊技盤は上記搬送方向へ逃げることができ、過剰な食い込みを回避することが可能となる。故に、上述した商品価値の低下等の不都合の発生を好適に回避することができる。
【0312】
特徴B5.前記規制工程は、前記送り工程によって前記遊技盤の前記端部が移動する経路上に前記ホルダを配置する配置工程を有し、
前記ホルダは、前記遊技盤がその移動に伴い当該ホルダに挿入され、その挿入により前記規制状態となった場合には当該遊技盤と共に前記送り方向へ移動するように構成されていることを特徴とする特徴B3に記載の遊技盤の製造方法。
【0313】
特徴B5によれば、遊技盤の移動経路上に配置されたホルダに対して遊技盤自体が入り込んでくる。そして、規制状態となった後には遊技盤に押されるようにして(遊技盤に追従するようにして)ホルダも送り方向へと移動する。このように、待機中のホルダへ遊技盤自ら入り込んでくる構成とすれば、ホルダの位置ばらつき等の影響が大きくなることを抑制し、規制状態への移行が上手く行われなくなることを回避できる。また、流れてくる遊技盤の間にホルダを配置することで遊技盤自体の動きを利用して規制状態へと移行するため規制状態への移行が容易に実現される。
【0314】
特徴B6.前記送り工程は、前記遊技盤を当該遊技盤の背面側又は前面側の何れかに傾けた状態で前記送り方向へ移動させる工程であり、
前記送り工程は、前記遊技盤をその移動経路中に前記遊技盤の傾きが大きくなるように調整する傾斜調整工程を有し、
前記傾斜調整工程における前記傾きの調整により、前記遊技盤が前記ホルダによって挟み込まれていない状態から同ホルダによって挟み込まれた状態となることを特徴とする特徴B1又は特徴B2に記載の遊技盤の製造方法。
【0315】
特徴B6によれば、遊技盤が傾くことにより一対の当接部の並設方向における遊技盤の厚さ寸法(端部における厚さ寸法)が大きくなる。これにより、遊技盤の端部がホルダに挟み込まれた状態となり、上記規制機能が有効に作用することとなる。
【0316】
また、本特徴によれば、遊技盤を傾けるタイミングを調整することにより、遊技盤を挟み込む位置(上記所定位置)を遊技盤の中央付近に設定することができる。これにより、遊技盤の移動規制の機能をより一層安定して発揮させることが可能となる。
【0317】
なお、特徴B1等に示した構成では遊技盤(端部)の厚さ寸法を同遊技盤における幅方向の中央に向けて大きくなるように設定することにより、上記所定位置を遊技盤の端部における中央付近とすることも可能ではあるが、このような構成とすることは、遊技盤の構造上の制約を強くする要因になり得る。
【0318】
因みに、本特徴に示す機能を実現する上では、例えば「前記傾斜調整工程は、前記ホルダに前記遊技盤の端部が挿入されている間に、前記一対の当接部の並び方向における当該端部での遊技盤の厚さ寸法がそれら当接部間の隙間寸法と同等となるようにして前記傾き調整を行う」構成とするとよい。
【0319】
特徴B7.前記傾斜調整工程は、前記遊技盤の傾きが大きくなるように調整する第1傾斜調整工程であり、
前記搬送工程は、前記ホルダによる前記移動規制を解除する規制解除工程を備え、
前記規制解除工程は、前記第1傾斜調整工程にて調整された前記遊技盤の傾きを、小さくなるように変更させる第2傾斜調整工程を有していることを特徴とする特徴B6に記載の遊技盤の製造方法。
【0320】
特徴B7によれば、ホルダと遊技盤との掛かりを解消する際に、両者の間に摩擦等の抵抗が生じることを抑制することができる。このように、規制解除時の抵抗を軽減することにより、ホルダの移動(取り外し)等に伴って遊技盤に擦り傷等がつくこと好適に回避し、遊技盤の見栄えが悪化することを好適に抑制することができる。
【0321】
<特徴C群>
以下の特徴C群は「パチンコ機等の遊技機には、前面に遊技領域が設けられた遊技盤を備えているものがある。従来の遊技機では遊技盤を構成する遊技領域形成体を木製とすることが一般的であったが、近年では遊技領域形成体を透明な合成樹脂材料により形成し、その背後に配置された装飾部材や表示装置等の各種遊技部品を同遊技領域形成体を通じて視認可能とすることにより、遊技機の見栄えの向上や、光等による遊技演出を視認可能となる範囲の拡大が図られているものがある。遊技領域形成体を合成樹脂製とした場合には、上記各種効果を享受できるものの、従来の木製のものと比較して、製造時等についた傷が目立ったり、割れや変形等が生じたりする可能性が高いと想定される。これは生産ラインの歩留まりの向上や製品精度の担保等を妨げる要因となり得る。このように、合成樹脂製の遊技領域形成体を有する遊技盤の製造方法には未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
【0322】
特徴C1.前面に遊技領域(遊技領域PE)が形成された合成樹脂製の遊技領域形成体(遊技領域形成体80a)を有する遊技盤(遊技盤ユニット80)の製造方法であって、
前記遊技領域形成体の端面(外周フランジ部305の外面)を押圧するようにして同遊技領域形成体を挟み込むとともに同遊技領域形成体の前面または背面を吸着することにより、前記遊技領域形成体を保持する保持工程を備えていることを特徴とする遊技盤の製造方法。
【0323】
従来周知の遊技盤のように遊技領域形成体が木製である場合には、遊技領域形成体の厚さ(強度)が十分に確保されていることから、遊技領域形成体を挟む力を強くすることにより、保持機能を高くすることが可能であった。また、端面は視認可能となる部分でもなく少々傷がついても見栄え等の問題が生じないため、同端面との接触部分にニードル等を配設して同ニードルを遊技領域形成体に食い込ませたりすることにより、保持機能を担保することが可能であった。
【0324】
しかしながら、遊技領域形成体を合成樹脂製とした場合には、成形性等の観点から遊技領域形成体の厚さを厚くすることは困難であり、遊技領域形成体を強く挟み込むことで当該遊技領域形成体が変形する可能性がある。また、ニードル等の使用は、遊技領域形成体に傷が生じて見栄えが低下するだけでなく、その傷が原因でクラック等の破損が生じる要因になる。一方、単に遊技盤を吸着しようとしても、吸着可能な箇所が限られるため、その強度確保や保持バランスの維持が困難になると想定される。
【0325】
この点、本特徴に示すように、遊技領域形成体の端面を押圧するようにして同遊技領域形成体を挟み込むとともに同遊技領域形成体の前面または背面を吸着することにより遊技領域形成体を保持する構成とすれば、遊技領域形成体の保持機能を担保しつつ、上記各種不都合の発生を抑制することができる。故に、遊技領域形成体の材料変更に起因した遊技盤の製造工程における歩留まりの低下を好適に抑制することができる。
【0326】
特徴C2.前記遊技領域形成体は前面から見て外形が略矩形状をなしており、
前記遊技領域形成体の前面に遊技領域を区画形成する弧状のレール部材(誘導レール100)を取り付けるレール部材取付工程を備え、
前記保持工程は、前記遊技領域形成体の前面において前記レール部材によって区画されない外側部分を吸着することを特徴とする特徴C1に記載の遊技盤の製造方法。
【0327】
特徴C2に示すように遊技領域から外れた遊技領域形成体の外側部分(例えば隅部)を吸着対象とすれば、仮に吸着に起因した擦れ等が生じたとしてもその箇所が遊技領域から外れることとなる。故に、当該擦れ等の発生が遊技盤の見栄えを低下させる要因となって遊技盤製造時の歩留まりが低下することを抑制できる。
【0328】
なお、遊技領域には釘部材等の遊技部品が多数配設されるが、これら遊技部品の取り付け後に遊技領域形成体を保持する場合であってもそれら遊技部品の存在が保持の妨げになることを回避できる。つまり、製造工程にて複数回に亘って遊技領域形成体の保持がなされる場合であっても工程の進行に応じて吸着箇所を都度変更する必要がなく、実用上好ましい構成が実現される。
【0329】
因みに、レール部材が略円形状をなす場合には、吸着箇所を遊技領域形成体の四隅とすることにより、バランスよく遊技領域形成体を保持することが可能である。
【0330】
特徴C3.前記保持工程は、前記遊技領域形成体における長辺側の端面を挟持対象としていることを特徴とする特徴C1又は特徴C2に記載の遊技盤の製造方法。
【0331】
遊技領域形成体を挟持する場合、その押圧力によって遊技領域形成体に歪みが生じると、上記吸着機能が上手く発揮されなくなる可能性がある。この点、本特徴に示すように、挟持対象を遊技領域形成体の長辺側の端面とすれば、短辺側の端面を挟持対象とする場合と比較して上記歪み等の発生を抑え、吸着機能を好適に発揮させることが可能となる。
【0332】
特徴C4.前記遊技領域形成体の前記端面は、当該遊技領域形成体の前面側よりも背面側にて同遊技領域形成体の幅が大きくなるようにテーパ状をなすように形成されており、
前記保持工程においては、前記端面を押圧する押圧部分が少なくとも前記テーパにおける最大幅部位にて同端面と当たるようになっており、同押圧部分が当該端面からの反力によって弾性変形し得るように構成されていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C3のいずれか1つに記載の遊技盤の製造方法。
【0333】
特徴C1に示したように、遊技領域形成体を合成樹脂製とした場合には、製造上の制約(型の抜き方向等)からその端面にテーパが生じる。ここで、本特徴に示すように、当該端面を押圧する押圧部分が少なくともテーパにおける最大幅部位にて同端面と当たり、同押圧部分が当該端面からの反力によって変形することにより、遊技領域形成体と押圧部分との掛かりを強くし、保持工程における遊技領域形成体の脱落を好適に抑制することができる。
【0334】
特徴C5.前記遊技領域形成体の前記端面は、当該遊技領域形成体の背面側よりも前面側にて同遊技領域形成体の幅が大きくなるようにテーパ状をなすように形成されていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C3のいずれか1つに記載の遊技盤の製造方法。
【0335】
特徴C5によれば、保持工程にて遊技領域形成体を挟み込んだ場合に、遊技領域形成体が上記テーパに沿って逃げたとしても、それにより吸着機能が上手く発揮されなくなることを回避できる。
【0336】
なお、例えば前記保持工程にて前記端面を押圧する押圧部分を前記遊技領域形成体の前記端面と平行となるように構成するとよい。
【0337】
特徴C6.前記保持工程は、前記遊技領域形成体の挟み込みと前記吸着とを並行して行うように構成されていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C5のいずれか1つに記載の遊技盤の製造方法。
【0338】
特徴C1に示したように、複数の保持手段を併用して遊技領域形成体の保持を実現する場合には、それら各手段が順次動作する構成となることで、保持に要する期間が間延びすると想定される。この点、両手段を並行して動作させる構成とすることにより、保持状態への迅速な移行が可能となる。
【0339】
遊技領域形成体の端面がテーパ状をなしている場合には、押圧によって遊技領域形成体の位置がずれる(逃げる)ことにより、吸着機能が上手く作用しなくなると懸念される。この点、特徴C5や特徴C6との組み合わせによれば、遊技領域形成体の逃げを抑制することにより、吸着と挟持とが同じタイミングで行われる構成としたとしても上記不都合の発生を好適に回避できる。
【0340】
<特徴D群>
以下の特徴D群は、「パチンコ機等の遊技機には、前面に遊技領域が形成された遊技盤を備えているものがある。従来の遊技機では遊技盤(ベース体)を木製とすることが一般的であったが、近年では遊技盤を構成する(詳しくは遊技領域形成が設けられた)ベース体を透明な合成樹脂材料により形成し、その背後に配置された装飾部材や表示装置等の各種遊技部品を同ベース体を通じて視認可能とすることにより、遊技機の見栄えの向上や、光等による遊技演出を視認可能となる範囲の拡大が図られているものがある。ベース体を合成樹脂製とした場合には、上記各種効果を享受できるものの、従来の木製のものと比較してベース体が帯電しやすくなるといった不都合が生じやすくなると想定される。遊技盤(ベース体)には、表示装置や制御装置等の電気機器(電気的構成)が搭載される。このため、ベース体の帯電は遊技盤の電気的構成に影響を及ぼす要因になり、ひいては遊技機の動作不良等の発生要因になり得る。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
【0341】
特徴D1.合成樹脂材料により形成されたベース体(遊技領域形成体80a)を有する遊技盤(遊技盤ユニット80)を備えた遊技機(パチンコ機10)であって、
前記ベース体の前面には、遊技領域を区画形成する金属製のレール部材(誘導レール100)が取り付けられており、
前記ベース体には、当該ベース体の背面であって前記レール部材と当該ベース体の厚さ方向に重なる位置に、同ベース体の背面から起立する突起(突起302)が形成されており、
前記突起の先端部分には、前記ベース体を複数重ねて配置した場合に、下側に位置するベース体に設けられた前記レール部材の先端部が挿入される挿入部(溝部303)が形成されていることを特徴とする遊技機。
【0342】
特徴D1に示すように遊技領域が形成されたベース体を合成樹脂製とした場合には、従来周知の木製のものと比較して、遊技盤が帯電しやすくなる。遊技盤が絵柄表示装置(図柄表示装置253)や制御装置(主制御装置162)等の各種電気機器の搭載対象となることを考慮すれば、このような帯電はそれら電気機器に影響を及ぼす要因になるため好ましくない。
【0343】
ここで、工場等の生産工程にてベース体を扱う場合には、複数のベース体を重ねた状態で搬送したり、ストックしたりすると想定される。この場合、ベース体の帯電を個々に解消しようとした場合には、作業が複雑になるだけでなく、生産効率の向上の妨げになり得る。この点、本特徴によれば、レール部材の先端部分が突起の挿入部に挿入されるようにしてベース体が積層されるため、電荷を通しやすい金属製のレール部材を介してベース体が積層されることとなり、それら積層されたベース体が導通される。これにより、それらベース体の一部をアースすることにより帯電を抑えることが可能となる。故に、遊技盤に蓄積された静電気が原因となって上記電気機器が損傷したり例えば検査工程等にて動作不良を起したりすること、すなわち遊技盤を合成樹脂製とすることに起因して不都合が発生することを好適に抑制することができる。
【0344】
特に、ベース体が積み上げられた状態では、レール部材→突起→レール部材という位置関係が確立されるため、導通機能が付与されたレール部材同士を近づけることが可能となり、上述したアース機能を好適に発揮させることができる。
【0345】
特徴D2.前記レール部材は、前記ベース体の前面に湾曲させて設けられており、遊技球発射手段(遊技球発射機構110)から発射された遊技球を前記遊技領域へと誘導する誘導機能を有し、
前記突起は、前記レール部材に沿うようにして、複数配設されていることを特徴とする特徴D1に記載の遊技機。
【0346】
特徴D1に示したようにレール部材を介してベース体を積み上げようとすれば、レール部材に生じる負荷が大きくなりレール部材に撓み等の変形が生じやすくなると想定される。レール部材に遊技球を誘導する誘導機能等を付与しようとした場合には、同レール部材に変形が生じることは当該誘導機能の発揮を妨げる要因になり得る。そこで、本特徴に示すようにレール部材をベース体の前面に沿って湾曲させる構成とすれば(例えば全体として弧状又は環状となるように形成すれば)、上述した支持強度を好適に向上させることができる。
【0347】
特徴D3.前記遊技領域には、複数の釘部材(釘部材93)が配設されており、
前記突起、前記レール部材及び前記釘部材は、複数の前記ベース体が重ねて配置され前記レール部材の先端部が前記挿入部に挿入された状態において、下側に位置するベース体の前記釘部材の先端部と上側に位置するベース体の背面との間に隙間が形成されるように構成されていることを特徴とする特徴D1又は特徴D2に記載の遊技機。
【0348】
特徴D3によれば、レール部材の先端部が突起の挿入部に挿入された状態では、ベース体と釘部材との接触が回避される。これにより、釘部材とベース体との擦れに起因した帯電を回避することができる。
【0349】
特徴D4.前記釘部材は前記ベース体の前面に対して斜めに傾けて配置され、前記レール部材は前記ベース体の前面に対して直交するようにして配置されていることを特徴とする特徴D3に記載の遊技機。
【0350】
釘部材がベース体の前面に対して斜めに傾けて配置されている構成においては、この釘部材にて重ねて配置されたベース体を支えようとすると、釘部材又はその取付部分に変形や破損等が生じやすくなると想定される。特に、合成樹脂製のベース体においては板厚の薄型化(軽量化)が可能であるが、このような構成ではベース体に対する釘部材の掛かりが小さくなるため、上記不都合が顕著に発生すると想定される。この点、特徴D3に示した技術的思想を適用すれば、ベース体と釘部材との干渉を回避して、釘部材を保護することができる。
【0351】
特徴D5.前記レール部材には、前記ベース体に挿通されることにより当該レール部材と同ベース体とを一体化する脚部(脚部101a,102a)が形成されており、
前記脚部は、前記突起に埋設されていることを特徴とする特徴D1乃至特徴D4のいずれか1つに記載の遊技機。
【0352】
特徴D5に示すように、レール部材の取付用の脚部が突起に埋設される構成とすることにより、ベース体の薄型化(軽量化)を図りつつ、レール部材の取付強度を担保することが可能である。
【0353】
ここで、重ねて配置されたベース体同士を同レール部材を介して導通させるには、レール部材同士の距離が近い程、アースとしての機能が上手く発揮される。上述したように突起に脚部を埋設する構成と突起にレール部材の先端部が挿入される構成とを併用すれば、上記距離を小さくして、アース機能の強化に貢献できる。
【0354】
特徴D6.前記脚部の一部は、前記挿入部に露出しており、当該挿入部に前記レール部材の先端部が挿入された状態では、上側の遊技盤の前記脚部と下側の遊技盤の前記レール部材の先端部とが接触するように構成されていることを特徴とする特徴D5に記載の遊技機。
【0355】
特徴D6によれば、レール同士が直接触れる構成とすることにより特徴D5に示したアース機能を一層好適に発揮できる。
【0356】
なお、ベース体の厚さ方向と交差する方向にてレール部材の先端部と脚部とが接触する構成とすることが好ましい。
【0357】
特徴D7.前記遊技盤(遊技盤ユニット80)を構成するベース体(遊技領域形成体80a)を前工程(例えば釘打ち工程)から後工程(例えば装飾等の組付工程)に搬送する搬送工程を備えた遊技盤の製造方法であって、
前記搬送工程では前記ベース体のレール部材の先端部が前記突起の前記挿入部に挿入されるようにして前記ベース体が複数重ねられた状態で搬送されることを特徴とする特徴D1乃至特徴D6のいずれかに記載された遊技盤の製造方法。
【0358】
遊技盤を生産工程にてベース体を搬送する場合には、それらベース体を重ねて配置することにより、ベース体同士のこすれによる帯電を抑制することができ、更にはそれらベース体の少なくとも何れかをアースすることにより、積層された全てのベース体の帯電を解消することができる。これにより、ベース体が帯電したままの状態で後工程へ流れることを抑制できる。
【0359】
特徴D8.前記遊技盤は、当該遊技盤の背面部を構成し、電気機器(図柄表示装置253や主制御装置162等)を有する背面ユニット(背面ブロック80b)を備え、
前記前工程は、前記ベース体の前面に前記レール部材を含む遊技部品を取り付ける取付工程であり、
前記搬送工程は、前記遊技部品が取り付けられた前記ベース体を複数積み上げた状態で前記後工程に搬送し、その過程にて前記ベース体の少なくとも何れかをアースすることによりそれら複数のベース体に蓄積された電荷を除去する工程であり、
前記後工程は、前記背面ユニットを前記ベース体の背面に取り付ける取付工程であることを特徴とする特徴D7に記載の遊技盤の製造方法。
【0360】
遊技盤を構成するベース体に対してレール部材を含む遊技部品が取り付けられた後は、同ベース体が複数積み上げた状態で後工程へと搬送される。後工程では遊技盤に電気機器を含む背面ユニットが取り付けられることとなるが、後工程に搬送する際にベース体の帯電が解消されることによりベース体に蓄積されていた電荷が電気機器に何らかの影響を及ぼすことを抑制することができる。これにより、生産工程の歩留まりの向上に貢献することができる。
【0361】
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
【0362】
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
【0363】
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
【0364】
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。