(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1アシストタンクの水位が前記第1水位よりも低い第2水位を下回った場合に、前記第1蒸気供給弁を閉鎖すると共に、前記第1連通弁及び前記第1ドレン供給弁を開放する請求項1に記載のドレン回収システム。
前記制御部は、前記第1アシストタンクの水位が前記1水位を上回った場合に、前記第1蒸気供給弁を開放すると共に前記第1ドレン供給弁及び前記第1連通弁を閉鎖する請求項2に記載のドレン回収システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のドレン回収システムの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態のドレン回収システムは、負荷機器において発生したドレンを、耐圧性を有する密閉型のタンクに高温高圧の状態で回収して、このドレンをボイラに給水するクローズド方式のドレン回収システムである。
【0015】
まず、
図1を参照して、第1実施形態のドレン回収システム1の全体構成について説明する。以下の説明において「ライン」とは、流路、経路、管路等の総称である。
本実施形態のドレン回収システム1は、ボイラ10と、負荷機器20と、バッファタンク30と、アシストタンク40と、オープンタンク50と、給水ポンプとしてのドレンポンプ60と、を備える。
【0016】
また、ドレン回収システム1は、これらの機器を接続し、蒸気又は水が流通する複数のライン、及びこれら複数のラインを開閉させる複数の弁、及びこれら複数の弁等の動作を制御する制御部9を備える。具体的には、ドレン回収システム1は、ラインとして、第1蒸気供給ラインL1と、第1ドレン供給ラインL2と、アシストタンクドレン供給ラインL3と、アシストタンク蒸気供給ラインL4と、第2蒸気供給ラインL5と、連通ラインL6と、給水ラインL7と、補給水供給ラインL8と、フラッシュ蒸気排出ラインL9と、を備える。また、ドレン回収システム1は、弁として、ドレン供給弁71と、蒸気供給弁72と、連通弁73と、を備える。
【0017】
ボイラ10は、蒸気を発生させる複数の缶体11と、これら複数の缶体11で発生した蒸気が集合される蒸気ヘッダ12と、複数の缶体11と蒸気ヘッダ12とを連結する連結管13と、を備える。
複数の缶体11は、これらの缶体11に供給された水を加熱して蒸気を発生させる。複数の缶体11で発生した蒸気は、連結管13を通って蒸気ヘッダ12に供給される。
【0018】
負荷機器20は、ボイラ10で発生した蒸気を熱源として利用し、加熱対象物との間で熱交換を行う。
【0019】
バッファタンク30は、負荷機器20において熱交換に用いられた蒸気の一部が凝集して生じるドレンを回収して収容する。このバッファタンク30は、耐圧性を有し密閉可能な圧力容器により構成される。バッファタンク30は、ボイラ10よりも上方に配置される。
【0020】
アシストタンク40は、バッファタンク30の下流側に配置される。このアシストタンク40は、バッファタンク30よりも下方、かつ、ボイラ10よりも上方に配置される。アシストタンク40は、バッファタンク30から供給されたドレンを収容する。アシストタンク40に収容されたドレンは、ボイラ10に供給される。
【0021】
本実施形態では、アシストタンク40は、第1アシストタンク40A及び第2アシストタンク40Bの2つのタンクを備える。第1アシストタンク40Aには、収容されたドレンの水位を検知する第1水位検知部としての第1水位センサSAが取り付けられている。第1水位センサSAは、第1アシストタンク40Aに収容されたドレンの水位を検知する。第2アシストタンク40Bには、収容されたドレンの水位を検知する第2水位検知部としての第2水位センサSBが取り付けられている。第2水位センサSBは、第2アシストタンク40Bに収容されたドレンの水位を検知する。
【0022】
アシストタンク40は、耐圧性を有し密閉可能な圧力容器により構成される。より具体的には、アシストタンク40は、
図2に示すように、タンク本体41と、このタンク本体41に設けられる蒸気導入口42と、タンク本体41の内部に配置される板状部材43と、を備える。
【0023】
タンク本体41は、円筒形状に形成され、高さ方向が鉛直方向に沿って配置される。このタンク本体41は、直径よりも高さが高い縦長の円筒形状に形成される。
蒸気導入口42は、タンク本体41の上面の中央部に設けられる。この蒸気導入口42には、後述するアシストタンク蒸気供給ラインL4の下流側の端部が接続される。アシストタンク蒸気供給ラインL4から供給される蒸気は、蒸気導入口42から下方に向かってタンク本体41の内部に導入される。
【0024】
板状部材43は、タンク本体41の直径よりも小さい直径を有する円板形状に形成される。この板状部材43は、蒸気導入口42の下方に、水平方向に広がって配置される。板状部材43は、蒸気導入口42からタンク本体41に導入される蒸気を整流する整流板として機能する。板状部材43は、例えば、タンク本体41の上面の内面に設けられた吊り下げ部材(図示せず)により吊り下げられて、蒸気導入口42の下方に配置される。
【0025】
オープンタンク50は、大気に開放されている。このオープンタンク50は、バッファタンク30及びアシストタンク40を介してボイラ10に供給される補給水を貯留する。また、オープンタンク50には、バッファタンク30においてドレンから発生したフラッシュ蒸気が導入される。
【0026】
ドレンポンプ60は、後に詳述する給水ラインL7に配置される。このドレンポンプ60は、アシストタンク40から供給されたドレンを昇圧してボイラ10に供給する。
【0027】
第1蒸気供給ラインL1は、蒸気ヘッダ12と負荷機器20とを接続し、ボイラ10で発生した蒸気を負荷機器20に供給する。
第1ドレン供給ラインL2は、負荷機器20とバッファタンク30とを接続し、負荷機器20で発生したドレンをバッファタンク30に供給する。この第1ドレン供給ラインL2には、負荷機器20において発生したドレンを排出し、かつ、蒸気の排出を防ぐスチームトラップ81が配置される。
【0028】
アシストタンクドレン供給ラインL3は、バッファタンク30とアシストタンク40とを接続し、バッファタンク30に収容されたドレンをアシストタンク40に供給する。本実施形態では、アシストタンクドレン供給ラインL3の上流側の端部は、バッファタンク30の下部に接続される。また、アシストタンクドレン供給ラインL3の下流側は、第1アシストタンク40Aにドレンを供給する第1アシストタンクドレン供給ラインL3Aと、第2アシストタンク40Bにドレンを供給する第2アシストタンクドレン供給ラインL3Bとに分岐している。アシストタンクドレン供給ラインL3における第1アシストタンクドレン供給ラインL3A及び第2アシストタンクドレン供給ラインL3Bに分岐する部分よりも上流側は、第1アシストタンクドレン供給ラインL3Aの上流側及び第2アシストタンクドレン供給ラインL3Bの上流側と共通のラインにより構成される。
【0029】
第1アシストタンクドレン供給ラインL3Aは、バッファタンク30と第1アシストタンク40Aとを接続し、バッファタンク30に収容されたドレンを第1アシストタンク40Aに供給する。第2アシストタンクドレン供給ラインL3Bは、バッファタンク30と第2アシストタンク40Bとを接続し、バッファタンク30に収容されたドレンを第2アシストタンク40Bに供給する。そして、第1アシストタンクドレン供給ラインL3Aの下流側の端部は、第1アシストタンク40Aの底部に接続され、第2アシストタンクドレン供給ラインL3Bの下流側の端部は、第2アシストタンク40Bの底部に接続される。
【0030】
ドレン供給弁71は、モータバルブにより構成され、アシストタンクドレン供給ラインL3に配置される。本実施形態では、ドレン供給弁71として、第1アシストタンクドレン供給ラインL3Aに第1ドレン供給弁71Aが配置され、第2アシストタンクドレン供給ラインBに第2ドレン供給弁71Bが配置される。第1ドレン供給弁71Aは、第1アシストタンクドレン供給ラインL3Aを開閉する。第2ドレン供給弁71Bは、第2アシストタンクドレン供給ラインL3Bを開閉する。また、第1アシストタンクドレン供給ラインL3Aにおける第1ドレン供給弁71Aの下流側、及び第2アシストタンクドレン供給ラインL3Bにおける第2ドレン供給弁71Bの下流側には、アシストタンク40からバッファタンク30へのドレンの逆流を防ぐ逆止弁82A,82Bが配置されている。
【0031】
アシストタンク蒸気供給ラインL4は、蒸気ヘッダ12とアシストタンク40とを接続し、ボイラ10で発生した蒸気をアシストタンク40に供給する。本実施形態では、アシストタンク蒸気供給ラインL4は、下流側において、第1アシストタンク40Aに蒸気を供給する第1アシストタンク蒸気供給ラインL4Aと、第2アシストタンク40Bに蒸気を供給する第2アシストタンク蒸気供給ラインL4Bとに分岐している。アシストタンク蒸気供給ラインL4における第1アシストタンク蒸気供給ラインL4A及び第2アシストタンク蒸気供給ラインL4Bに分岐する部分よりも上流側は、第1アシストタンク蒸気供給ラインL4Aの上流側及び第2アシストタンク蒸気供給ラインL4Bの上流側と共通のラインにより構成される。
【0032】
第1アシストタンク蒸気供給ラインL4Aは、ボイラ10と第1アシストタンク40Aとを接続し、ボイラ10で発生した蒸気を第1アシストタンク40Aに供給する。第2アシストタンク蒸気供給ラインL4Bは、ボイラ10と第1アシストタンク40Aとを接続し、ボイラ10で発生した蒸気を第1アシストタンク40Aに供給する。そして、第1アシストタンク蒸気供給ラインL4Aの下流側の端部は、第1アシストタンク40Aの上部に接続され、第2アシストタンク蒸気供給ラインL4Bの下流側の端部は、第2アシストタンク40Bの上部に接続される。
【0033】
蒸気供給弁72は、モータバルブにより構成され、アシストタンク蒸気供給ラインL4に配置される。本実施形態では、蒸気供給弁72として、第1アシストタンク蒸気供給ラインL4Aに第1蒸気供給弁72Aが配置され、第2アシストタンク蒸気供給ラインL4Bに第2蒸気供給弁72Bが配置される。第1蒸気供給弁72Aは、第1アシストタンク蒸気供給ラインL4Aを開閉する。第2蒸気供給弁72Bは、第2アシストタンク蒸気供給ラインL4Bを開閉する。また、第1アシストタンク蒸気供給ラインL4Aにおける第1蒸気供給弁72Aの下流側、及び第2アシストタンク蒸気供給ラインL4Bにおける第2蒸気供給弁72Bの下流側には、アシストタンク40からの蒸気の逆流を防ぐ逆止弁83A,83Bが配置されている。
【0034】
第2蒸気供給ラインL5は、蒸気ヘッダ12とバッファタンク30とを接続し、ボイラ10で発生した蒸気をバッファタンク30に供給する。本実施形態では、第2蒸気供給ラインL5の上流側は、アシストタンク蒸気供給ラインL4における第1アシストタンク蒸気供給ラインL4Aと第2アシストタンク蒸気供給ラインL4Bとの分岐部よりも上流側に接続されている。即ち、本実施形態では、アシストタンク蒸気供給ラインL4の上流側及び第2蒸気供給ラインL5の上流側は、共通のラインにより構成される。第2蒸気供給ラインL5の下流側の端部は、バッファタンク30の上部に接続される。第2蒸気供給ラインL5には、バッファタンク30に所定の圧力で蒸気を供給するための圧力調整弁84が配置されている。
【0035】
連通ラインL6は、アシストタンク40とバッファタンク30とを接続し、アシストタンク40の内部空間とバッファタンク30の内部空間とを連通させる。本実施形態では、連通ラインL6のバッファタンク30側の端部は、バッファタンク30の上部に接続される。そして、連通ラインL6は、アシストタンク40側において、第1アシストタンク40Aの上部に接続される第1連通ラインL6Aと、第2アシストタンク40Bの上部に接続される第2連通ラインL6Bとに分岐している。連通ラインL6における第1連通ラインL6A及び第2連通ラインL6Bに分岐する部分よりも上流側は、第1連通ラインL6Aの上流側及び第2連通ラインL6Bの上流側と共通のラインにより構成される。
【0036】
第1連通ラインL6Aは、第1アシストタンク40Aとバッファタンク30とを接続し、第1アシストタンク40Aの内部空間とバッファタンク30の内部空間とを連通させる。第2連通ラインL6Bは、第2アシストタンク40Bとバッファタンク30とを接続し、第2アシストタンク40Bの内部空間とバッファタンク30の内部空間とを連通させる。
【0037】
連通弁73は、モータバルブにより構成され、連通ラインL6に配置される。本実施形態では、連通弁73として、第1連通ラインL6Aに第1連通弁73Aが配置され、第2連通ラインL6Bに第2連通弁73Bが配置される。第1連通弁73Aは、第1連通ラインL6Aを開閉する。第2連通弁73Bは、第2連通ラインL6Bを開閉する。また、第1連通ラインL6Aにおける第1連通弁73Aのバッファタンク30側及び第2連通ラインL6Bにおける第2連通弁73Bのバッファタンク30側には、バッファタンク30からアシストタンク40への蒸気の逆流を防ぐ逆止弁85A,85Bが配置されている。
【0038】
給水ラインL7は、アシストタンク40(第1アシストタンク40A及び第2アシストタンク40B)とボイラ10とを接続し、アシストタンク40(第1アシストタンク40A及び第2アシストタンク40B)に収容されたドレンをボイラ10に供給する。本実施形態では、給水ラインL7は、第1給水ラインL7Aと、第2給水ラインL7Bと、ボイラ側給水ラインL7Cと、を有する。
【0039】
第1給水ラインL7Aは、上流側の端部が第1アシストタンク40Aに接続される。第2給水ラインL7Bは、上流側の端部が第2アシストタンク40Bに接続される。第1給水ラインL7Aの下流側の端部と第2給水ラインL7Bの下流側の端部とは、接続部86において接続されて合流しており、接続部86において、ボイラ側給水ラインL7Cの上流側の端部に接続される。ボイラ側給水ラインL7Cの下流側の端部は、ボイラ10と接続される。
ボイラ側給水ラインL7Cは、複数の缶体11と同数に分岐し、分岐したラインそれぞれの端部は、複数の缶体11に接続される。上述したドレンポンプ60は、ボイラ側給水ラインL7Cに配置される。
【0040】
本実施形態では、第1給水ラインL7A及び第2給水ラインL7Bには、それぞれ、ボイラ10からの水の逆流を防ぐ逆止弁87A,87Bが配置されている。また、第1給水ラインL7Aにおける逆止弁87Aの上流側及び第2給水ラインL7Bにおける逆止弁87Bの上流側は、第1アシストタンクドレン供給ラインL3Aの下流側及び第2アシストタンクドレン供給ラインL3Bの下流側と共通のラインにより構成される。
【0041】
補給水供給ラインL8は、オープンタンク50とバッファタンク30とを接続し、オープンタンク50に貯留された補給水をバッファタンク30に供給する。この補給水供給ラインL8には、補給水供給ポンプ88が配置され、この補給水供給ポンプ88を駆動させることにより、オープンタンク50からバッファタンク30に補給水が供給される。
【0042】
フラッシュ蒸気排出ラインL9は、バッファタンク30とオープンタンク50とを接続し、バッファタンク30で発生したフラッシュ蒸気をオープンタンク50に排出する。このフラッシュ蒸気排出ラインL9には、圧力調整弁89が配置されている。圧力調整弁89は、バッファタンク30の内部の圧力が所定の圧力を超えた場合に、フラッシュ蒸気をオープンタンク50側に逃がして、バッファタンク30の内部の圧力を低下させる。
【0043】
制御部9は、ボイラ10からの信号、第1水位センサSA、及び第2水位センサSBにより検知された水位に基づいて、第1ドレン供給弁71A、第2ドレン供給弁71B、第1蒸気供給弁72A、第2蒸気供給弁72B、第1連通弁73A及び第2連通弁73Bの開閉等を制御する。制御部9による各弁の制御の詳細については、後述する。
【0044】
本実施形態のドレン回収システム1では、負荷機器20において発生したドレンは、第1ドレン供給ラインL2を介してバッファタンク30に収容される。バッファタンク30に収容されたドレンは、アシストタンクドレン供給ラインL3を介して、第1アシストタンク40A又は第2アシストタンク40Bに供給される。そして、ドレンは、第1アシストタンク40A又は第2アシストタンク40Bのいずれかから給水ラインL7を介してボイラ10に供給される。
【0045】
ここで、本実施形態では、アシストタンク40をバッファタンク30の下方に配置したこと、及びアシストタンク40の内部空間とバッファタンク30の内部空間とを連通させる連通ラインL6を設けたことにより、バッファタンク30からアシストタンク40へのドレンの供給を、ポンプ等の動力を用いることなく行える。
【0046】
また、アシストタンク40に、蒸気を供給するアシストタンク蒸気供給ラインL4を設けたことにより、アシストタンク40の内部の圧力をボイラ10の圧力と略同一の圧力まで昇圧できる。これにより、ドレンポンプ60を駆動させる動力を低減した状態でボイラ10への給水を行えるので、ドレン回収システム1を、低コストで運転できる。
また、アシストタンク40をボイラ10よりも上方に配置したので、アシストタンク40からボイラ10への給水に、アシストタンク40とボイラ10との高低差も利用でき、ドレンポンプ60を駆動させる動力をより低減できる。
【0047】
また、アシストタンク40を、タンク本体41と、板状部材43と、を含んで構成し、この板状部材43をタンク本体41の内部における蒸気導入口42の下方に配置した。これにより、蒸気導入口42から下方に向かって導入された蒸気を、板状部材43により整流できるので、タンク本体41の内部において偏った流れを形成することなく、タンク本体41の内部に均等に蒸気を導入できる。よって、タンク本体41に収容されたドレンの水面を、導入された蒸気により乱さないので、ドレンと蒸気との界面における熱交換を抑制できる。その結果、アシストタンク40の内部の圧力を短時間で上昇させられる。また、アシストタンク40に供給する蒸気の量を少なくできるので、省エネルギーの効果を向上できる。
【0048】
また、タンク本体41を縦長の円筒形状に構成した。これにより、タンク本体41の内部におけるドレンと蒸気との界面の面積を小さくできる。よって、水蒸気の飽和状態を維持させるべき界面の面積を小さくできるので、アシストタンク40の内部の圧力を短時間で上昇させられる。また、アシストタンク40に供給する蒸気の量を少なくできるので、省エネルギーの効果を向上できる。
【0049】
また、アシストタンク蒸気供給ラインL4及び第2蒸気供給ラインL5の上流側の端部を蒸気ヘッダ12に接続した。これにより、複数の缶体11で発生した蒸気が集合される蒸気ヘッダ12からバッファタンク30及びアシストタンク40に蒸気を供給できるので、バッファタンク30及びアシストタンク40において蒸気を使用した場合における複数の缶体11それぞれの圧力の変化を低減できる。
【0050】
更に、アシストタンク40を、第1アシストタンク40A及び第2アシストタンク40Bの2つのタンクにより構成したことで、ボイラ10への連続給水が可能となる。
【0051】
次に、第1実施形態のドレン回収システム1の具体的な動作について説明する。
ドレン回収システム1におけるドレンのボイラ10への供給は、主として、第1ドレン供給弁71A、第2ドレン供給弁71B、第1蒸気供給弁72A、第2蒸気供給弁72B、第1連通弁73A、及び第2連通弁73Bを、
図3に示す以下の手順で開閉させることで実現できる。
図3は、ドレン回収システム1によりボイラ10に連続給水を行う場合の各工程における第1ドレン供給弁71A、第2ドレン供給弁71B、第1蒸気供給弁72A、第2蒸気供給弁72B、第1連通弁73A、及び第2連通弁73Bの開閉状態を示す図である。
【0052】
図3では、第1アシストタンク40Aの水位が満水状態(後述の第1水位よりも高い水位の状態)であり、第2アシストタンク40Bの水位が低下した状態(後述の第2水位よりも低い状態)において、ボイラ10への給水が開始される場合について説明する。この場合、
図3に示すように、第1A工程、第1B工程、第1C工程及び第1D工程の順に各弁が開閉され、これら第1A工程〜第1D工程が繰り返される。尚、ボイラ10に給水が行われている間は、ドレンポンプ60は、連続駆動している。
【0053】
第1A工程では、第1アシストタンク40Aからボイラ10に給水が行われ、第2アシストタンク40Bにドレンが供給される。
この場合、
図3に示すように、まず、第1蒸気供給弁72Aが開放されて第1アシストタンク40Aに蒸気が供給される。そして、第1アシストタンク40Aの内部が昇圧されて、第1アシストタンク40Aの内部の圧力とボイラ10の圧力との差が所定の値(例えば、0.2MPa)よりも小さくなると、ドレンポンプ60の駆動力により、第1アシストタンク40Aからボイラ10へのドレンの供給が開始される。尚、この状態では、第1ドレン供給弁71A及び第1連通弁73Aは、閉鎖されている。
【0054】
一方、この第1A工程においては、第2水位センサSBにより検知される水位が、第2アシストタンク40Bに収容されるドレンが残り少なくなったことを示す水位である第2水位(第2アシストタンク40Bの満水状態を示す水位である第1水位よりも低い水位)を下回っている。第2水位センサSBにより検知される水位が第2水位を下回ると、制御部9は、第2蒸気供給弁72Bを閉鎖すると共に、第2連通弁73B及び第2ドレン供給弁71Bを開放する。すると、第2連通弁73Bが開放されることで、第2アシストタンク40Bの内部空間とバッファタンク30の内部空間とが連通し、第2アシストタンク40Bの内部の圧力とバッファタンク30の内部の圧力とが同一となる。ここで、バッファタンク30は、第2アシストタンク40Bよりも上方に配置されている。これにより、バッファタンク30と第2アシストタンク40Bとの高低差によって、第2アシストタンク40Bには、バッファタンク30からドレンが供給される。
【0055】
尚、本実施形態では、第2アシストタンクドレン供給ラインL3Bには逆止弁82Bが配置されている。そのため、第2連通弁73B及び第2ドレン供給弁71Bを同時に開放した場合であっても、第2アシストタンクドレン供給ラインL3Bからバッファタンク30へのドレンの逆流を防げる。
【0056】
第1B工程では、第1アシストタンク40Aからボイラ10への給水が行われている状態で、第2アシストタンク40Bへのドレンの供給が完了し、第2アシストタンク40Bからボイラ10に給水が行われる。つまり、第1アシストタンク40Aからボイラ10への給水と、第2アシストタンク40Bからボイラ10への給水とが同時に行われる。
この第1B工程では、第1蒸気供給弁72Aが開放され、第1ドレン供給弁71A及び第1連通弁73Aが閉鎖された状態は維持され、第1A工程と同様に、第1アシストタンク40Aからボイラ10への給水は継続される。そして、第1アシストタンク40Aに収容されるドレンの水位は低下していく。
【0057】
一方、第1B工程では、第2アシストタンク40Bの水位が、第2水位よりも高い水位であり、第2アシストタンク40Bの満水状態を示す水位である第1水位まで上昇すると、第2水位センサSBにより第1水位を上回ったことが検知される。第2水位センサSBにより第1水位を上回ったことが検知されると、制御部9は、第2蒸気供給弁72Bを開放すると共に、第2ドレン供給弁71B及び第2連通弁73Bを閉鎖する。すると、第2アシストタンク40Bに蒸気が供給されて、第2アシストタンク40Bの内部が昇圧される。そして、第2アシストタンク40Bの内部の圧力とボイラ10の圧力との差が所定の値(例えば、0.2MPa)よりも小さくなると、ドレンポンプ60の駆動力により、第2アシストタンク40Bからボイラ10へのドレンの供給が開始される。この第1B工程では、第1アシストタンク40A及び第2アシストタンク40Bからボイラ10へ同時に給水が行われ、第1アシストタンク40A及び第2アシストタンク40Bに収容されるドレンの水位は、同じ高さの差を保ったまま低下していく。
【0058】
第1C工程では、第2アシストタンク40Bからボイラ10への給水が行われている状態で、第1アシストタンク40Aからボイラ10への給水が停止され、第1アシストタンク40Aには、バッファタンク30からドレンが供給される。つまり、第1C工程では、第1B工程において第1アシストタンク40A及び第2アシストタンク40Bからボイラ10へ同時に給水が行われた状態から、第1アシストタンク40Aからボイラ10への給水が停止され、第2アシストタンク40Bのみからボイラ10へ給水が行われる。
【0059】
この第1C工程では、第2蒸気供給弁72Bが開放され、第2ドレン供給弁71B及び第2連通弁73Bが閉鎖された状態は維持され、第1B工程と同様に、第2アシストタンク40Bからボイラ10への給水は継続される。そして、第2アシストタンク40Bに収容されるドレンの水位は低下していく。
【0060】
一方、第1C工程では、第1アシストタンク40Aの水位が所定の第2水位(前述の第1水位よりも低い水位)まで低下すると、第1水位センサSAにより第2水位を下回ったことが検知される。第1水位センサSAにより第2水位を下回ったことが検知されると、制御部9は、第1蒸気供給弁72Aを閉鎖する。すると、第1アシストタンク40Aへの蒸気の供給が停止され、第1アシストタンク40Aの内部の圧力が低下する。そして、第1アシストタンク40Aの内部の圧力とボイラ10の圧力との圧力差が所定の値(例えば、0.2MPa)を超えると、第1アシストタンク40Aからボイラ10への蒸気の供給は停止される。
【0061】
また、第1C工程では、制御部9は、第1蒸気供給弁72Aを閉鎖した後、又は第1蒸気供給弁72Aを閉鎖すると同時に、第1連通弁73A及び第1ドレン供給弁71Aを開放する。すると、第1アシストタンク40Aの内部空間とバッファタンク30の内部空間とが連通することで、第1アシストタンク40Aの内部の高圧の蒸気がバッファタンク30に流れ、第1アシストタンク40Aの内部の圧力とバッファタンク30の内部の圧力とが同一になる。これにより、バッファタンク30と第1アシストタンク40Aとの高低差によって、第1アシストタンク40Aには、バッファタンク30からドレンが供給される。
【0062】
尚、本実施形態では、第1アシストタンクドレン供給ラインL3Aには逆止弁82Aが配置されている。そのため、第1連通弁73A及び第1ドレン供給弁71Aを同時に開放した場合であっても、第1アシストタンクドレン供給ラインL3Aからバッファタンク30へのドレンの逆流を防げる。
【0063】
第1D工程では、第2アシストタンク40Bからボイラ10への給水が行われている状態で、第1アシストタンク40Aへのドレンの供給が完了し、第1アシストタンク40Aからボイラ10へ給水が行われる。つまり、第2アシストタンク40Bからボイラ10への給水と、第1アシストタンク40Aからボイラ10への給水とが同時に行われる。
この第1D工程では、第2蒸気供給弁72Bが開放され、第2ドレン供給弁71B及び第2連通弁73Bが閉鎖された状態は維持され、第1C工程と同様に、第2アシストタンク40Bからボイラ10への給水は継続される。そして、第2アシストタンク40Bに収容されるドレンの水位は低下していく。
【0064】
一方、第1D工程では、第1アシストタンク40Aの水位が、第2水位よりも高い水位であり、第1アシストタンク40Aの満水状態を示す水位である第1水位まで上昇すると、第1水位センサSAにより第1水位を上回ったことが検知される。第1水位センサSAにより第1水位を上回ったことが検知されると、制御部9は、第1蒸気供給弁72Aを開放すると共に、第1ドレン供給弁71A及び第1連通弁73Aを閉鎖する。すると、第1アシストタンク40Aに蒸気が供給されて、第1アシストタンク40Aの内部が昇圧される。そして、第1アシストタンク40Aの内部の圧力とボイラ10の圧力との差が所定の値(例えば、0.2MPa)よりも小さくなると、ドレンポンプ60の駆動力により、第1アシストタンク40Aからボイラ10へのドレンの供給が開始される。この第1D工程では、第1アシストタンク40A及び第2アシストタンク40Bからボイラ10へ同時に給水が行われ、第1アシストタンク40A及び第2アシストタンク40Bに収容されるドレンの水位は、同じ高さの差を保ったまま低下していく。
【0065】
ボイラ10への給水が続いている間は、上記第1A工程〜第1D工程が繰り返される。
【0066】
以上説明した第1実施形態のドレン回収システム1によれば、以下のような効果を奏する。
【0067】
(1)ドレン回収システム1を、第2アシストタンク40Bに設けた第2水位センサSBと、第1蒸気供給弁72Aが開放されると共に第1ドレン供給弁71A及び第1連通弁73Aが閉鎖され、かつ、第2蒸気供給弁72Bが閉鎖されると共に第2連通弁73B及び第2ドレン供給弁71Bが開放された状態において、第2水位センサSBにより検知された第2アシストタンク40Bの水位が第1水位を上回った場合に、第2蒸気供給弁72Bを開放すると共に第2ドレン供給弁71B及び第2連通弁73Bを閉鎖する制御部9と、を含んで構成した。これにより、第1アシストタンク40A及び第2アシストタンク40Bからボイラ10へ同時に給水された後に、第2アシストタンク40Bのみからボイラ10へドレンを給水させた。よって、第2アシストタンク40Bの内部の圧力が上昇した後に、第2アシストタンク40Bのみからボイラ10へドレンが給水される。従って、第2アシストタンク40Bからボイラ10へ給水を開始するタイミングのタイムラグを低減できる。
【0068】
(2)制御部9に、第1アシストタンク40Aの水位が第1水位よりも低い第2水位を下回った場合に、第1蒸気供給弁72Aを閉鎖すると共に、第1連通弁73A及び第1ドレン供給弁71Aを開放させた。これにより、第1アシストタンク40A及び第2アシストタンク40Bからボイラ10へ同時にドレンを供給した後において、第1アシストタンク40Aの水位が第2水位を下回った場合に、第2アシストタンク40Bからボイラ10へ給水を行っている状態で、第1アシストタンク40Aにドレンを供給できる。
【0069】
(3)制御部9に、第1アシストタンク40Aの水位が1水位を上回った場合に、第1蒸気供給弁72Aを開放すると共に第1ドレン供給弁71A及び第1連通弁73Aを閉鎖させた。これにより、第1アシストタンク40A及び第2アシストタンク40Bからボイラ10へ同時に給水された後に、第1アシストタンク40Aのみからボイラ10へドレンを給水させた。よって、第1アシストタンク40Aの内部の圧力が上昇した後に、第1アシストタンク40Aのみからボイラ10へドレンが供給される。従って、第1アシストタンク40Aからボイラ10へ給水を開始するタイミングのタイムラグを低減できる。
【0070】
次に、本発明の第2実施形態に係るドレン回収システム1Aについて、
図4及び
図5を参照しながら説明する。尚、第2実施形態の説明にあたって、第1実施形態と同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0071】
第2実施形態のドレン回収システム1Aは、給水弁74が給水ラインL7に配置される点において、第1実施形態と異なる。第2実施形態では、
図4に示すように、給水弁74として、第1給水ラインL7Aに第1給水弁74Aが配置され、第2給水ラインL7Bに第2給水弁74Bが配置される。第1給水弁74Aは、第1給水ラインL7Aを開閉する。第2給水弁74Bは、第2給水ラインL7Bを開閉する。
【0072】
制御部9は、ボイラ10からの信号、第1水位センサSA、及び第2水位センサSBにより検知された水位に基づいて、第1ドレン供給弁71A、第2ドレン供給弁71B、第1蒸気供給弁72A、第2蒸気供給弁72B、第1連通弁73A、第2連通弁73B、第1給水弁74A及び第2給水弁74Bの開閉等を制御する。制御部9による各弁の制御の詳細については、後述する。
【0073】
次に、第2実施形態のドレン回収システム1Aの具体的な動作について説明する。
ドレン回収システム1Aにおけるドレンのボイラ10への供給は、主として、第1ドレン供給弁71A、第2ドレン供給弁71B、第1蒸気供給弁72A、第2蒸気供給弁72B、第1連通弁73A、第2連通弁73B、第1給水弁74A及び第2給水弁74Bを、
図5に示す以下の手順で開閉させることで実現できる。
図5は、ドレン回収システム1Aによりボイラ10に連続給水を行う場合の各工程における第1ドレン供給弁71A、第2ドレン供給弁71B、第1蒸気供給弁72A、第2蒸気供給弁72B、第1連通弁73A、第2連通弁73B、第1給水弁74A及び第2給水弁74Bの開閉状態を示す図である。
【0074】
図5では、第1アシストタンク40Aの水位が満水状態(第1水位よりも高い水位の状態)であり、第2アシストタンク40Bの水位が低下した状態(第2水位よりも低い状態)において、ボイラ10への給水が開始される場合について説明する。この場合、
図5に示すように、第2A工程、第2B工程、第2C工程、第2D工程、第2E工程、第2F工程及び第2G工程の順に各弁が開閉され、これら第2A工程〜第2G工程が繰り返される。尚、ボイラ10に給水が行われている間は、ドレンポンプ60は、連続駆動している。
【0075】
第2A工程では、第1アシストタンク40Aからボイラ10に給水が行われ、第2アシストタンク40Bにドレンが供給される。
この場合、
図5に示すように、まず、第1給水弁74Aが開放された状態で、第1蒸気供給弁72Aが開放されて第1アシストタンク40Aに蒸気が供給される。そして、第1アシストタンク40Aの内部が昇圧されて、第1アシストタンク40Aの内部の圧力とボイラ10の圧力との差が所定の値(例えば、0.2MPa)よりも小さくなると、第1給水弁74Aが開放されているため、ドレンポンプ60の駆動力により、第1アシストタンク40Aからボイラ10へのドレンの供給が開始される。尚、この状態では、第1ドレン供給弁71A及び第1連通弁73Aは、閉鎖されている。
【0076】
一方、この第2A工程においては、第2水位センサSBにより検知される水位が、第2アシストタンク40Bに収容されるドレンが残り少なくなったことを示す水位である第2水位を下回っている。第2水位センサSBにより検知される水位が第2水位を下回ると、制御部9は、第2給水弁74Bが閉鎖された状態で、第2蒸気供給弁72Bを閉鎖すると共に、第2連通弁73B及び第2ドレン供給弁71Bを開放する。すると、第2連通弁73Bが開放されることで、第2アシストタンク40Bの内部空間とバッファタンク30の内部空間とが連通し、第2アシストタンク40Bの内部の圧力とバッファタンク30の内部の圧力とが同一となる。ここで、バッファタンク30は、第2アシストタンク40Bよりも上方に配置されている。これにより、バッファタンク30と第2アシストタンク40Bとの高低差によって、第2アシストタンク40Bには、バッファタンク30からドレンが供給される。
【0077】
第2B工程では、第1アシストタンク40Aからボイラ10への給水が行われている状態で、第2アシストタンク40Bへのドレンの供給が完了し、第2アシストタンク40Bが待機状態となる。
この第2B工程では、第1給水弁74Aが開放された状態が維持された状態で、第1蒸気供給弁72Aが開放され、第1ドレン供給弁71A及び第1連通弁73Aが閉鎖された状態は維持されている。この状態では、第2A工程と同様に、第1アシストタンク40Aからボイラ10への給水は継続される。そして、第1アシストタンク40Aに収容されるドレンの水位は低下していく。
【0078】
一方、第2アシストタンク40Bの水位が、第2水位よりも高い水位であり、第2アシストタンク40Bの満水状態を示す水位である第1水位まで上昇すると、第2水位センサSBにより第1水位を上回ったことが検知される。第2水位センサSBにより第1水位を上回ったことが検知されると、制御部9は、第2給水弁74Bが閉鎖された状態が維持された状態で、第2ドレン供給弁71B及び第2連通弁73Bを閉鎖する。これにより、第2アシストタンク40Bは、ボイラ10への給水が待機された待機状態となる。
【0079】
第2C工程では、第1アシストタンク40Aからボイラ10への給水が行われている状態で、第2アシストタンク40Bの内部に蒸気が供給されて、第2アシストタンク40Bからボイラ10への給水が準備された給水準備状態となる。
この第2C工程では、第1給水弁74Aが開放された状態が維持された状態で、第1蒸気供給弁72Aが開放され、第1ドレン供給弁71A及び第1連通弁73Aが閉鎖された状態は維持されている。この状態では、第2B工程と同様に、第1アシストタンク40Aからボイラ10への給水は継続される。そして、第1アシストタンク40Aに収容されるドレンの水位は低下していく。
【0080】
一方、この第2C工程では、第2給水弁74Bが閉鎖された状態が維持された状態で、第2蒸気供給弁72Bが開放されて第2アシストタンク40Bに蒸気が供給される。また、第2ドレン供給弁71B及び第2連通弁73Bが閉鎖された状態は維持される。これにより、第2給水弁74Bが閉鎖された状態で、第2アシストタンク40Bの内部にボイラ10からの蒸気が供給される。また、第2アシストタンク40Bの内部に供給された蒸気は、第2給水弁74Bが閉鎖されているため、第2給水ラインL7Bにおける第2給水弁74Bよりも下流側に流れ出ない状態となる。これにより、第2アシストタンク40Bは、内部の圧力が上昇されると共にボイラ10への給水が準備された給水準備状態となる。この給水準備状態においては、第2アシストタンク40Bの内部の圧力とボイラ10の圧力との差が所定の値(例えば、0.2MPa)よりも小さくなった状態で維持されている。
【0081】
第2D工程では、第1アシストタンク40Aの水位が低下して、第1アシストタンク40Aからボイラ10への給水が停止される。また、第2アシストタンク40Bからボイラ10への給水が開始され、第1アシストタンク40Aには、バッファタンク30からドレンが供給される。
この第2D工程では、第1アシストタンク40Aの水位が所定の第2水位まで低下すると、第1水位センサSAにより第2水位を下回ったことが検知される。第1水位センサSAにより第2水位を下回ったことが検知されると、制御部9は、第1蒸気供給弁72Aを閉鎖する。すると、第1アシストタンク40Aへの蒸気の供給が停止され、第1アシストタンク40Aの内部の圧力が低下する。そして、第1アシストタンク40Aの内部の圧力とボイラ10の圧力との圧力差が所定の値(例えば、0.2MPa)を超えると、第1アシストタンク40Aからボイラ10への蒸気の供給は停止される。
【0082】
また、第2D工程では、制御部9は、第1蒸気供給弁72Aを閉鎖した後、又は第1蒸気供給弁72Aを閉鎖すると同時に、第1連通弁73A及び第1ドレン供給弁71Aを開放する。すると、第1アシストタンク40Aの内部空間とバッファタンク30の内部空間とが連通することで、第1アシストタンク40Aの内部の高圧の蒸気がバッファタンク30に流れ、第1アシストタンク40Aの内部の圧力とバッファタンク30の内部の圧力とが同一になる。これにより、バッファタンク30と第1アシストタンク40Aとの高低差によって、第1アシストタンク40Aには、バッファタンク30からドレンが供給される。
【0083】
尚、本実施形態では、第1アシストタンクドレン供給ラインL3Aには逆止弁82Aが配置されている。そのため、第1連通弁73A及び第1ドレン供給弁71Aを同時に開放した場合であっても、第1アシストタンクドレン供給ラインL3Aからバッファタンク30へのドレンの逆流を防げる。
【0084】
一方、第2D工程では、第1アシストタンク40Aの第1水位センサSAにより第2水位を下回ったことが検知されると、制御部9は、第2蒸気供給弁72Bが開放された状態で、第2給水弁74Bを開放する。ここで、第2C工程において第2アシストタンク40Bが給水準備状態となっており、第2アシストタンク40Bの内部の圧力とボイラ10の圧力との差が所定の値(例えば、0.2MPa)よりも小さくなった状態で維持されている。そのため、ドレンポンプ60の駆動力により、第2アシストタンク40Bからボイラ10へ給水を開始するタイミングのタイムラグが低減された状態で、第2アシストタンク40Bからボイラ10へのドレンの供給が開始される。尚、この状態では、第2ドレン供給弁71B及び第2連通弁73Bは、閉鎖された状態で維持されている。
【0085】
このように、第2D工程においては、第2アシストタンク40Bの内部の圧力が上昇された状態で、第2給水弁74Bを開放した。これにより、第2アシストタンク40Bの内部の圧力とボイラ10の圧力との差が所定の値(例えば、0.2MPa)よりも小さくなった状態から第2給水弁74Bが開放されることで、第2アシストタンク40Bからボイラ10へ給水を開始するタイミングのタイムラグを低減できる。
【0086】
第2E工程では、第2アシストタンク40Bからボイラ10への給水が行われている状態が維持された状態で、第1アシストタンク40Aへのドレンの供給が完了し、第1アシストタンク40Aが待機状態となる。
この第2E工程では、第2給水弁74Bが開放された状態が維持された状態で、第2蒸気供給弁72Bが開放され、第2ドレン供給弁71B及び第2連通弁73Bが閉鎖された状態は維持されている。この状態では、第2D工程と同様に、第2アシストタンク40Bからボイラ10への給水は継続される。そして、第2アシストタンク40Bに収容されるドレンの水位は低下していく。
【0087】
一方、第2E工程では、第1アシストタンク40Aの水位が、第1水位よりも高い水位であり、第1アシストタンク40Aの満水状態を示す水位である第1水位まで上昇すると、第1水位センサSAにより第1水位を上回ったことが検知される。第1水位センサSAにより第1水位を上回ったことが検知されると、制御部9は、第1給水弁74Aが閉鎖された状態が維持された状態で、第1ドレン供給弁71A及び第1連通弁73Aを閉鎖する。これにより、第1アシストタンク40Aは、ボイラ10への給水が待機された待機状態となる。
【0088】
第2F工程では、第2アシストタンク40Bからボイラ10への給水が行われている状態で、第1アシストタンク40Aの内部に蒸気が供給されて、第1アシストタンク40Aからボイラ10への給水が準備された給水準備状態となる。
この第2F工程では、第2給水弁74Bが開放された状態が維持された状態で、第2蒸気供給弁72Bが開放され、第2ドレン供給弁71B及び第2連通弁73Bが閉鎖された状態は維持されている。この状態では、第2E工程と同様に、第2アシストタンク40Bからボイラ10への給水は継続される。そして、第2アシストタンク40Bに収容されるドレンの水位は低下していく。
【0089】
一方、この第2F工程では、第1給水弁74Aが閉鎖された状態が維持された状態で、第1蒸気供給弁72Aが開放されて第1アシストタンク40Aに蒸気が供給される。また、第1ドレン供給弁71A及び第1連通弁73Aが閉鎖された状態は維持される。これにより、第1給水弁74Aが閉鎖された状態で、第1アシストタンク40Aの内部にボイラ10からの蒸気が供給される。また、第1アシストタンク40Aの内部に供給された蒸気は、第1給水弁74Aが閉鎖されているため、第1給水ラインL7Aにおける第1給水弁74Aよりも下流側に流れ出ない状態となる。これにより、第1アシストタンク40Aは、内部の圧力が上昇されると共にボイラ10への給水が準備された給水準備状態となる。この給水準備状態においては、第1アシストタンク40Aの内部の圧力とボイラ10の圧力との差が所定の値(例えば、0.2MPa)よりも小さくなった状態で維持されている。
【0090】
第2G工程では、第2アシストタンク40Bの水位が低下して、第2アシストタンク40Bからボイラ10への給水が停止される。また、第1アシストタンク40Aからボイラ10への給水が開始され、第2アシストタンク40Bには、バッファタンク30からドレンが供給される。
この第2G工程では、第2アシストタンク40Bの水位が所定の第2水位まで低下すると、第2水位センサSBにより第2水位を下回ったことが検知される。第2水位センサSBにより第2水位を下回ったことが検知されると、制御部9は、第2蒸気供給弁72Bを閉鎖する。すると、第2アシストタンク40Bへの蒸気の供給が停止され、第2アシストタンク40Bの内部の圧力が低下する。そして、第2アシストタンク40Bの内部の圧力とボイラ10の圧力との圧力差が所定の値(例えば、0.2MPa)を超えると、第2アシストタンク40Bからボイラ10への蒸気の供給は停止される。
【0091】
また、第2G工程では、制御部9は、第2蒸気供給弁72Bを閉鎖した後、又は第2蒸気供給弁72Bを閉鎖すると同時に、第2連通弁73B及び第2ドレン供給弁71Bを開放する。すると、第2アシストタンク40Bの内部空間とバッファタンク30の内部空間とが連通することで、第2アシストタンク40Bの内部の高圧の蒸気がバッファタンク30に流れ、第2アシストタンク40Bの内部の圧力とバッファタンク30の内部の圧力とが同一になる。これにより、バッファタンク30と第2アシストタンク40Bとの高低差によって、第2アシストタンク40Bには、バッファタンク30からドレンが供給される。
【0092】
尚、本実施形態では、第2アシストタンクドレン供給ラインL3Bには逆止弁82Bが配置されている。そのため、第2連通弁73B及び第2ドレン供給弁71Bを同時に開放した場合であっても、第2アシストタンクドレン供給ラインL3Bからバッファタンク30へのドレンの逆流を防げる。
【0093】
一方、第2G工程では、第2アシストタンク40Bの第2水位センサSBにより第2水位を下回ったことが検知されると、制御部9は、第1蒸気供給弁72Aが開放された状態で、第1給水弁74Aを開放する。ここで、第2F工程において第1アシストタンク40Aが給水準備状態となっており、第1アシストタンク40Aの内部の圧力とボイラ10の圧力との差が所定の値(例えば、0.2MPa)よりも小さくなった状態で維持されている。そのため、ドレンポンプ60の駆動力により、第1アシストタンク40Aからボイラ10へ給水を開始するタイミングのタイムラグが低減された状態で、第1アシストタンク40Aからボイラ10へのドレンの供給が開始される。尚、この状態では、第1ドレン供給弁71A及び第1連通弁73Aは、閉鎖されてた状態が維持されている。
【0094】
このように、第2G工程においては、第1アシストタンク40Aの内部の圧力が上昇された状態で、第1給水弁74Aを開放した。これにより、第1アシストタンク40Aの内部の圧力とボイラ10の圧力との差が所定の値(例えば、0.2MPa)よりも小さくなった状態から第1給水弁74Aが開放されることで、第1アシストタンク40Aからボイラ10へ給水を開始するタイミングのタイムラグを低減できる。
【0095】
ボイラ10への給水が続いている間は、上記第2A工程〜第2G工程が繰り返される。
【0096】
第2実施形態のドレン回収システム1Aによれば、以下のような効果を奏する。
(4)ドレン回収システム1Aを、第1給水ラインL7Aを開閉する第1給水弁74Aと、第2給水ラインL7Bを開閉する第2給水弁74Bと、を含んで構成した。これにより、第1アシストタンク40A又は第2アシストタンク40Bからボイラ10へ給水を開始する前に、第1給水弁74A又は第2給水弁74Bを閉鎖して、第1給水弁74A及び第2給水弁74Bよりも上流側の第1アシストタンク40A又は第2アシストタンク40Bの内部に蒸気を供給することができる。よって、第1アシストタンク40A又は第2アシストタンク40Bからボイラ10へ給水を開始する際から、第1アシストタンク40A又は第2アシストタンク40Bの内部の圧力を高くできる。従って、第1アシストタンク40A又は第2アシストタンク40Bからボイラ10へ給水を開始するタイミングのタイムラグを低減できる。
【0097】
以上、本発明のドレン回収システムの好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、アシストタンク蒸気供給ラインL4及び第2蒸気供給ラインL5の上流側を、蒸気ヘッダ12に接続したが、これに限らない。即ち、アシストタンク蒸気供給ラインL4及び第2蒸気供給ラインL5の上流側を、複数の缶体のいずれかの缶体に接続してもよい。
【0098】
また、本実施形態では、ドレン回収システム1を、第2蒸気供給ラインL5及び圧力調整弁84を含んで構成したが、これに限らない。即ち、ドレン回収システムを、第2蒸気供給ラインL5及び圧力調整弁84を含むことなく構成してもよい。