特許第6182979号(P6182979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182979
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ヒートポンプ給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 4/02 20060101AFI20170814BHJP
   F24H 9/02 20060101ALI20170814BHJP
   F24H 9/20 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   F24H4/02 F
   F24H9/02 301A
   F24H9/20 E
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-110744(P2013-110744)
(22)【出願日】2013年5月27日
(65)【公開番号】特開2014-228248(P2014-228248A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中塚 悠介
(72)【発明者】
【氏名】堀 紀弘
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−000510(JP,A)
【文献】 特開2011−064384(JP,A)
【文献】 実開昭53−048452(JP,U)
【文献】 特開昭60−062566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 4/02
F24H 9/02
F24H 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と湯水加熱用熱交換器と膨張手段と蒸発熱交換器とを冷媒回路で接続したヒートポンプ式熱源機と、貯湯槽とを備えたヒートポンプ給湯装置であって、蒸発熱交換器に対して外気を導入するための送風装置を備えたヒートポンプ給湯装置において、
前記ヒートポンプ式熱源機は、前記蒸発熱交換器が配置される送風室と、前記圧縮機が配置され且つ隔壁により送風室から仕切られた機械室とを有し、
前記送風装置は誘引通風方式の送風装置であって、前記誘引通風のための空気流を生成する送風機は前記機械室に配置されたことを特徴とするヒートポンプ給湯装置。
【請求項2】
前記誘引通風方式の送風装置は複数の送風口を有し、
前記各送風口の形状は略長方形であることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒートポンプ給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、圧縮機と湯水加熱用熱交換器と膨張手段と蒸発熱交換器とを冷媒回路で接続して外装ケース内に収容してなるヒートポンプ式熱源機と、温水を貯留する貯湯タンクと、を備えたヒートポンプ給湯装置が実用に供されている。このヒートポンプ給湯装置においては、前記ヒートポンプ式熱源機は、その蒸発熱交換器に対して外気を導入する送風ファンも装備されている。この送風ファンとして、通常、プロペラファン(1種の軸流ファン)が採用されている。
【0003】
ヒートポンプ給湯装置において、冷媒回路に封入された冷媒を利用して給湯加熱運転が行われる。この給湯加熱運転では、夜間割引の安価な電力を利用して、圧縮機と送風ファンが駆動され、蒸発熱交換器において外気から熱を吸収し、貯湯タンク内の湯水を循環させて凝縮器により冷媒と湯水との間で熱交換が行われて湯水が加熱され、その加熱された湯水を貯湯タンクに貯留しておき、蛇口や風呂などの所望の給湯先に給湯する
【0004】
ヒートポンプ熱源機の外装ケース内は、送風室と機械室とに隔壁でもって区画され、送風室内の背面側と側面側には平面視L形の蒸発熱交換器が配置され、送風室の内部には送風ファンとこの送風ファンの外周を覆う導風用シュラウドが配置され、外装ケースの前面カバーには送風ファンに対応する円形の送風口が形成されている。
送風ファンが駆動されている状態では、外気が蒸発熱交換器を通って送風室内へ導入されて送風口から排出され、外気と蒸発熱交換器との間で熱交換がなされる。
【0005】
一方、特許文献1に記載の誘引通風方式のファン組立体(タワーファン)は、縦長の長円形のノズルと、この下部に連結された円筒形のベースとを有する。ノズルは、縦長の長円形に形成され、このノズルの内周面の後端近傍部には、1〜2mm程度の隙間からなるスリット状の長円形状の吹出し口が形成されている。円筒形のベース内には、ターボファンが組み込まれており、高速回転するターボファンにより発生した高速の空気流をノズル内の内部通路に導入し、スリット状の吹出し口から前方向きに噴出させ、その空気流によりノズルの内側の中心開口(送風口)に外気を誘引通風させて前方へ向って流れる安定した空気流を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−40620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ヒートポンプ式熱源機において、COP(動作係数)を高めるため外気から吸収する熱量を増すためには、送風ファンの回転数を高めて風量を増加させることが有効である。
しかし、送風ファンの回転数を高めると送風ファンとその付近で発生する騒音レベルが高くなるという問題がある。そこで、送風ファンのプロペラ径を大きくすることが考えられるが、この場合ヒートポンプ式熱源機が大型化してしまう。
プロペラファンからなる送風ファンでは、送風口が円形になるため、この円形の外側に対応する部分である送風室の上下左右の4隅部分に送風に殆ど寄与しないデッドスペースが発生してしまうため、ヒートポンプ式熱源機の小型化を図ることは容易ではない。
【0008】
本発明の目的は、ヒートポンプ給湯装置のヒートポンプ式熱源機の小型化を図りながら送風装置の送風能力を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1のヒートポンプ給湯装置は、圧縮機と湯水加熱用熱交換器と膨張手段と蒸発熱交換器とを冷媒回路で接続したヒートポンプ式熱源機と、貯湯槽とを備えたヒートポンプ給湯装置であって、蒸発熱交換器に対して外気を導入するための送風装置を備えたヒートポンプ給湯装置において、前記ヒートポンプ式熱源機は、前記蒸発熱交換器が配置される送風室と、前記圧縮機が配置され且つ隔壁により送風室から仕切られた機械室とを有し、前記送風装置は、誘引通風方式の送風装置であって、前記誘引通風のための空気流を生成する送風機は前記機械室に配置されたことを特徴としている。
【0010】
請求項2のヒートポンプ給湯装置は、請求項1の発明において、前記誘引通風方式の送風装置は複数の送風口を有し、前記各送風口の形状は略長方形であることを特徴としている。
【0011】
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、ヒートポンプ式熱源機と、貯湯槽とを備えたヒートポンプ給湯装置であって、蒸発熱交換器に対して外気を導入するための送風装置を備えたヒートポンプ給湯装置において、前記送風装置は誘引通風方式の送風装置であるため、送風口の全体の形状を矩形状に設定して送風口面積を拡大することができるため、ヒートポンプ式熱源機の送風能力を高め、COPを高めることができる。しかも、送風室内にデッドスペースがなく、送風室の全域に送風が流れるように構成することができるため、ヒートポンプ式熱源機の小型化を図ることができる。また、ファンガードが不要になるので、部品点数を少なくすることができる。
また、前記ヒートポンプ式熱源機は、前記蒸発熱交換器が配置される送風室と、前記圧縮機が配置され且つ隔壁により送風室から仕切られた機械室とを有し、前記誘引通風のための空気流を生成する送風機は前記機械室に配置されたため、圧縮機からの放熱で温められた機械室内の空気を送風機に吸入して蒸発熱交換器に供給することができるため機械室内の排熱を有効利用することができる。また、機械室の周囲の壁部には圧縮機で発生する騒音を遮音するための遮音部材が設けられているため、送風機とその周辺で発生して外部へ伝播する騒音の騒音レベルを下げることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、前記誘引通風方式の送風装置は複数の送風口を有し、前記各送風口の形状は略長方形であるため、複数の送風口を並べて長方形状領域に配置することができるため、ヒートポンプ式熱源機の送風室の全域に空気流を形成可能となるように送風口全体の面積を拡大することができる。
【0014】
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1に係るヒートポンプ式熱源機を備えたヒートポンプ給湯装置の概略構成図である。
図2】ヒートポンプ式熱源機の斜視図である。
図3】ヒートポンプ式熱源機の要部の斜視図である。
図4】ヒートポンプ式熱源機の要部の拡大斜視である。
図5】ヒートポンプ式熱源機の内部構造の平面図である。
図6】実施例2に係るヒートポンプ式熱源機の斜視図である。
図7図6のヒートポンプ式熱源機の内部構造の要部平面図である。
図8】実施例3に係るヒートポンプ式熱源機の斜視図である。
図9図8のヒートポンプ式熱源機の要部斜視図である。
図10】実施例4に係るヒートポンプ式熱源機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
先ず、ヒートポンプ給湯装置1の全体構成について説明する。
図1に示すように、ヒートポンプ給湯装置1は、温水を貯留する大容量の貯湯タンク12を備えた貯湯タンクユニット2、ヒートポンプ回路を有するヒートポンプ式熱源機3、貯湯タンクユニット2とヒートポンプ式熱源機3との間に湯水を循環させる温水循環用配管9a,9bを含む配管系(弁類やポンプを含む)などを備えている。
【0018】
次に、貯湯タンクユニット2について簡単に説明する。
図1に示すように、貯湯タンクユニット2は、縦長筒状の外周面を有する貯湯タンク12、各種の配管6,7,8,9a,9b,10、主制御ユニット11、外装ケース14などを備えている。貯湯タンク12は、ヒートポンプ式熱源機3で加熱された高温の温水を貯留するものであり、耐腐食性に優れたステンレス製の板材で構成されている。
【0019】
貯湯タンク12の下端部には、水道管などの給水用配管7と温水循環用配管9aに接続される下部配管8が接続されている。貯湯タンク12の外面側を覆う保温材13は、例えば、発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレンなどの樹脂を発泡成形した発泡断熱材で構成されている。
【0020】
貯湯タンク12の上端部には、温水循環用配管9bと出湯用配管6に接続される上部配管10が接続されている。上部配管10には開閉弁17が設けられている。通常は開閉弁17が開弁されていて、温水循環用配管9bから上部配管10を通って戻された高温の温水(例えば、80〜90℃)を貯湯タンク12内に貯留することができ、給湯時には貯湯タンク12内の高温の温水を上部配管10に供給することができる。
【0021】
貯湯タンク12には、複数の温度センサ12a〜12dが高さ方向所定間隔おきの位置に配置されている。温度センサ12a〜12dは主制御ユニット11に接続されており、温度センサ12a〜12dの温度検出信号が主制御ユニット11に供給される。
【0022】
外装ケース14は、薄鋼板製の箱状に形成され、主制御ユニット11、貯湯タンク12、配管類6,7,8,10、温水循環用配管9a,9bの大部分、液送ポンプ16、開閉弁17、混合弁27、複数の温度センサ28〜30などを収容している。
【0023】
次に、ヒートポンプ式熱源機3について説明する。
図1図2に示すように、ヒートポンプ式熱源機3は、蒸発熱交換器18(外気熱吸収用熱交換器)と、圧縮機20と、凝縮器としての湯水加熱用熱交換器21と、高圧の冷媒を急膨張させて温度と圧力を下げる膨張弁22とを有し、これら機器18,20,21,22が冷媒配管23を介して接続されヒートポンプ回路を構成し、冷媒配管23に収容された冷媒を利用して給湯加熱運転を行う。
【0024】
ヒートポンプ式熱源機3は、さらに蒸発熱交換器用の送風装置19と、主制御ユニット11に接続され且つヒートポンプ式熱源機3を制御する補助制御ユニット24と、これらを収納する外装ケース25などを備えている。
図2図3に示すように、外装ケース25は、薄鋼板製の箱状に形成され、左右1対の側板35,36と、前板37と、後板38と、天板40と、底板41とを備えている。
【0025】
外装ケース25内には、鉛直な隔壁42と水平な横仕切り板(図示略)とが設けられ、夫々が薄鋼板製のものである。隔壁42は、外装ケース25内を蒸発熱交換器18や送風装置19の送風機50以外の部分が配置された左側の送風室31と、送風装置19の送風機50や圧縮機20や膨張弁22等が配置された右側の機械室32とに区画している。
【0026】
右側板36には、下側が膨出した形状の配管カバー45が取り付けられ、この配管カバー45により温水循環用配管9a,9bの内部配管部分と外部配管部分を接続する配管接続部が覆われている。前板37には、外装ケース25内の送風室31内へ空気を導入する矩形状開口部37aが形成されている。
【0027】
蒸発熱交換器18は、冷媒配管23に含まれる蒸発通路部18aを有し、この蒸発通路部18aは複数のフィンを有し、この蒸発熱交換器18において、蒸発通路部18aを流れる冷媒と外気との間で熱交換され、冷媒は外気から吸熱して気化する。
蒸発熱交換器18は、送風室31内に前後に間隔を空けて平行に配置された2つの第1,第2蒸発熱交換器18A,18Bで構成されている。誘引通風方式の送風装置19を採用する関係上、送風室31内に2つの第1,第2蒸発熱交換器18A,18Bを前後に並べて配置することが可能になった。
【0028】
湯水加熱用熱交換器21は、横仕切り板(図示略)の上面側に配置されている。湯水加熱用熱交換器21は、熱交換器通路部21aと冷媒配管23の一部となる内部通路21bとを有する銅製の二重管で構成されている。この湯水加熱用熱交換器21において、内部通路21bを流れる冷媒と温水循環用配管9aから熱交換器通路部21aに供給される湯水との間で熱交換され、湯水は加熱され冷媒は冷却され液化する。
【0029】
圧縮機20は、気相状態の冷媒を断熱圧縮して温度上昇させる公知の密閉型圧縮機である。膨張弁22は液相状態の冷媒を断熱膨張させ温度低下させる。この膨張弁22は絞り量が可変な制御弁からなる。尚、膨張弁22の代わりに絞り量が一定の膨張弁を採用しても良い。
【0030】
次に、送風装置19について詳しく説明する。
図2図5に示すように、送風装置19は誘引通風方式の送風装置である。送風装置 19は、機械室32に配置され且つ機械室32内の空気を吸入して加圧する送風機50と、この送風機50で加圧された空気流を導くダクト52と、ダクト52に立設された複数の誘引通風ノズル53などを備えている。
【0031】
送風機50は、機械室32の前部に隔壁42に隣接する状態に配設されている。この送風機50は、例えばシロッコファン(図示略)からなるファン本体部50aと、駆動モ―タ(図示略)と吸入通路を含む吸入部50bとを有する。但し、送風機50としては、シロッコファン以外のターボファンやクロスフローファンやその他のファンを用いてもよい。
【0032】
前記ダクト52は、送風機50から吐出される空気を導くもので、合成樹脂又は金属材料製の矩形断面の閉断面部材で形成され、矩形状開口部37aの下端に上端を揃えた状態で送風室31の前端部分に配設されている。
【0033】
複数の誘引通風ノズル53として、本実施例では例えば5つの誘引通風ノズル53がダクト52に立設されている。誘引通風ノズル53は例えば合成樹脂製の中空部材54で構成され、この中空部材54の内部の内部空気通路54aの下端がダクト52内の空気通路 52aに連通されている。
【0034】
誘引通風ノズル53は、縦に細長いほぼ長方形状の送風口53aを形成する縦長のアーチ形状に構成されている。中空部材54の断面は前後方向に細長い偏平な台形であり、送風口53aは後方(送風室31内)に向って左右幅が拡大している。中空部材54の送風口53a側の内面の前端寄り部位には、1〜2mm程度の隙間からなる高速空気流形成用のスリット54bが、連続的又は間欠的に形成されている。スリット54bから噴出する高速空気流の方向は、送風口53aの中心側へ指向するように前後方向に対して数度傾斜している。
【0035】
中空部材54の内部の前端側部分には、内部空気通路54a内の空気流をスリット54b側へ方向変換させるためのディフューザ54cが上下方向に適当間隔おきに形成されている。本実施例の場合、誘引通風ノズル53とそれに隣接する誘引通風ノズル53との間には隙間55が形成され、また、左端側の誘引通風ノズル53の左側にも同様の隙間56が形成され、右端側の誘引通風ノズル53の右側にも同様の隙間57が形成されている。但し、上記の隙間55〜57は省略してもよい。
【0036】
送風機50を駆動すると、送風機50の吸入部50bの後面側から機械室32内の温かい空気が吸入され、送風機50で加圧された空気流はダクト52を介して複数の誘引通風ノズル53へ流れ、複数の誘引通風ノズル53のスリット54bから後方へ向けて高速空気流となって噴出して、その高速空気流が送風口53a内を流れる際の負圧により外気が誘引されて送風室31内の全域に後方へ流れる安定した空気流が発生し、その空気流が第1,第2蒸発熱交換器18A,18Bで冷媒と熱交換して低温の空気となり、その後外装ケース25の後面板38に形成された排気口(図示略)から外部へ排出される。尚、隙間55〜57にも誘引通風の空気流と連動して空気流が発生する。
【0037】
ヒートポンプ式熱源機3において、圧縮機20により高圧に圧縮された加熱状態の冷媒は、湯水加熱用熱交換器21に送られ、液送ポンプ16の駆動により貯湯タンク12の下端部から下部配管8と温水循環用配管9aを経て熱交換器通路部21aに流入した温水又は水と熱交換してその温水又は水を暖め、加熱された温水が温水循環用配管9b、上部配管10を通って貯湯タンクユニット2の貯湯タンク12に貯留され、ヒートポンプ式熱源機3を経由する加熱動作を繰り返すことで貯湯タンク12に高温の温水が貯留される。
【0038】
主制御ユニット11は、ユーザーが操作可能な操作リモコン39との間でデータ通信可能であり、操作リモコン39のスイッチ操作により目標給湯温度が設定されると、その目標給湯温度データが操作リモコン39から主制御ユニット11に送信される。主制御ユニット11は、給湯加熱運転時には、目標給湯温度データ及び温度センサ12a〜12dからの温度検知データに基づいて、ヒートポンプ式熱源機3で温水を加熱する加熱温度を決定し、補助制御ユニット24にその加熱温度を指示する。
【0039】
ユーザーが給湯操作を行なうと、貯湯タンク12に貯留された温水が出湯用配管6に流れ、その温水と給水用配管7から供給される水道水とが混合弁27で混合され、所定の温度となって蛇口などの給湯栓4に給湯される。混合弁27の上流部、下流部、給水用配管7の途中部には、夫々、温水温度又は入水温度を検知するための温度センサ28〜30が設けられ、これら温度センサ28〜30の検出信号が主制御ユニット11に供給されている。主制御ユニット11は、これら温度センサ28〜30で検知された温度検知データに基づいて、混合弁27を制御して温水と水の混合比を調節することで給湯する温水の温度を調整して給湯する。
【0040】
補助制御ユニット24は、主制御ユニット11との間でデータ通信可能であり、主制御ユニット11からの指令に従ってヒートポンプ式熱源機3の各種機器(送風機モータ、圧縮機20など)の駆動制御を行う。湯水加熱用熱交換器21の出口側部分において、温水循環用配管9bには温水温度を検知するための温度センサ26が設けられ、その検出信号が主制御ユニット11に供給され、補助制御ユニット24は、指令温度と温度検知データを主制御ユニット11から受けて、温水の加熱温度が指令された温度となるように、ヒートポンプ式熱源機3を作動させる。
【0041】
以上のヒートポンプ給湯装置1の作用、効果について説明する。
前記送風装置19は誘引通風方式の送風装置であり、複数の送風口53aの各々はほぼ長方形状であるため、複数の送風口53aを並べて、送風室31の前面の矩形開口37aの全域を送風口とすることができる。このように、送風口面積を拡大することができるため、ヒートポンプ式熱源機3の送風能力を高め、COPを高めることができる。しかも、送風室31内にデッドスペースがなく、送風室31の全域に空気が流れるように構成することができるため、ヒートポンプ式熱源機3の小型化を図ることができる。
【0042】
送風室31内に第1,第2蒸発熱交換器18A,18Bを前後に間隔を空けて平行に配置するため、蒸発熱交換器18の構造を簡単化できるうえ、熱交換性能を高めることもできる。
【0043】
ヒートポンプ式熱源機3は、蒸発熱交換器18が配置される送風室31と、圧縮機20 が配置され且つ隔壁42により送風室31から仕切られた機械室32とを有し、送風機50は周囲が薄鋼板で覆われ且つ遮音部材で遮音性を高めた機械室32に配置されるため、送風機50と周辺で発生して外部へ伝播する騒音の騒音レベルを格段に下げることができる。しかも、機械室32内の空気は圧縮機20からの放熱により温められており、この温かい空気を送風機50に吸入して蒸発熱交換器18へ供給するため、蒸発熱交換器18における吸熱性能を高めることもできる。
【実施例2】
【0044】
実施例2に係るヒートポンプ式熱源機3Aについて説明する。
但し、前記ヒートポンプ式熱源機3と同様の構成に同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0045】
図6図7に示すように、本実施例の送風装置19Aにおいては、縦向きのストレート状の複数(例えば6本)の中空部材60がダクト52に立設され、これら複数の中空部材60でもって誘引通風ノズルが構成され、これら複数の中空部材60の間に縦長の長方形状の複数の送風口61が形成され、左端側の中空部材60の左側にも送風口61が形成され、右端側の中空部材60の右側にも送風口61が形成されている。こうして、複数の送風口61が、前面板47の矩形状開口部37aの全域を占める大面積の送風口として形成されている。
【0046】
中空部材60は、薄鋼板製の偏平溝形部材62と、薄鋼板製のスリット形成部材63とで、前後に細長の偏平な台形断面に形成されている。中空部材60の内部には内部空気通路60dが形成されている。偏平溝形部材62は、左右1対の側面板62aとこれら側面板の後端を塞ぐ後面板62bとを一体形成したもので、左右の側面板62a間の間隔は後方(送風室31側)に向って拡大している。左右の側面板62aの前端部分にはスリット形成部62cが形成され、1対のスリット形成部62cの間隔は前方に向って僅かに減少している。
【0047】
スリット形成部材63は、左右1対の側面板63aとこれら側面板63aの前端を塞ぐ前面板63bとを一体形成したもので、1対の側面板63a間の間隔は後方に向って僅かに拡大している。スリット形成部材63の1対の側面板63aが1対のスリット形成部62cに接近状に外嵌されて、側面板63aとスリット形成部62cとの間に1〜2mm程度の隙間からなるスリット64が形成され、側面板63aとスリット形成部62cとが上下方向適当間隔おきの部位においてスポット的に接合されている。
【0048】
中空部材60の内部には、複数のディフューザ(図示略)が上下方向に適当間隔おきの部位に形成されている。中空部材60の下端部は、ダクト52Aの上面に接合され、内部空気通路60dがダクト52A内の空気通路に連通されている。
【0049】
実施例1の送風装置19と同様に、送風機50から加圧空気がダクト52A内へ供給され、その加圧空気がダクト52A内を通って中空部材60内の内部空気通路60dへ供給され、スリット64から高速空気流として後方向きに噴出させることで、送風口61に誘引通風を発生させ、送風室31内に後方へ流れる安定した空気流が形成される。
この送風装置19Aにおいては、簡単な構造の偏平溝形部材6と、簡単な構造のスリット形成部材63とで中空部材60を形成するため、誘引通風方式の送風装置19Aの製作コストを低減することができる。この送風装置19Aのその他の作用、効果は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0050】
実施例3に係るヒートポンプ式熱源機3Bについて説明する。
但し、前記ヒートポンプ式熱源機3と同様の構成に同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0051】
図8図9に示すように、本実施例の送風装置19Bでは、横向きのストレート状の複数(例えば、6本)の中空部材60Bが上下に間隔を空けて配設され、これら中空部材60Bの右端部が送風室31内に立設された縦向きダクト52Bに接合され、これら中空部材60Bの左端部は連結板65に接合されている。
これら複数の中空部材60Bでもって誘引通風ノズルが構成され、これら複数の中空部材60Bの間に横長長方形状の複数の送風口61Bが形成され、上端側の中空部材60Bの上側にも送風口61Bが形成され、下端側の中空部材60Bの下側にも送風口61Bが形成されている。こうして、複数の送風口61Bが前面板37の矩形状開口部37aの全域を占める大面積の送風口として形成されている。
【0052】
この中空部材60Bは、実施例2の中空部材60と同様の構造のものであるので、その構造についての説明は省略する。送風機50から縦向きダクト52B内へ供給された加圧空気が中空部材60Bの上下両面に形成されたスリット64から高速空気流として噴出し、送風口61Bに誘引通風を発生させるため、送風室31内の全域には、後方へ向う安定した空気流が発生する。
【実施例4】
【0053】
実施例4に係るヒートポンプ式熱源機3Cについて説明する。
但し、前記ヒートポンプ式熱源機3,3Bと同様の構成に同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0054】
図10に示すように、このヒートポンプ式熱源機3Cの送風装置19Cにおいては、送風室31の前面側には実施例3と同様の横向き姿勢の複数(例えば6本)の中空部材60Bと、実施例3の送風装置19Bの縦向きダクト52Bと同様の縦向きダクトが配設されている。前記天板40の左端から約2/3部分には矩形状開口部40aが形成され、矩形状開口部40aに臨むように複数(例えば3本)の中空部材60Cが送風室31の天井側部分に配設され、天板40にも送風室内へ誘引通風する複数の送風口61Cが形成されている。但し、このヒートポンプ式熱源機3Cの場合、前記湯水加熱用熱交換器は天板の下面側以外の場所に配置するものとする。
【0055】
前記天井側の複数の中空部材60Cは、中空部材60Bと同構造のものであり、これら複数の中空部材60Cの右端部は、実施例3の縦向きダクト52Bと同様の縦向きダクトから延びて天板40の下側に前後向きに配設された横向きダクト(図示略)に接合され、複数の中空部材60Cの左端部は連結板(図示略)に接合されている。
天板40の矩形開口部40aの全域にも複数の送風口61Cを形成するため、送風口 の面積を大幅に拡大することができるため、送風装置19Cの送風量を増大させ、蒸発熱交換器18の吸熱性能を大幅に増強することができる。
【0056】
以上説明した実施例を部分的に変更する例について説明する。
(1)前記の実施例では、複数の誘引通風ノズル53を送風室31の前面側に配置した例として説明したが、前記ヒートポンプ式熱源機3,3A〜3Cの前後左右の方向は説明の便宜上の方向に過ぎず、ヒートポンプ式熱源機を住宅の軒下等に設置する場合に、前面板37(複数の誘引通風ノズル側の面)を住宅の壁面に対向させて設置する場合もある。
【0057】
(2)誘引通風ノズルの断面形状や構造は、前記実施例のものに限定されるものではなく、種々の断面形状や構造に構成することができる。
(3)実施例4の矩形状開口部40aを送風口としてではなく排気口とし、蒸発熱交換器 18を通過した空気をその排気口から排気するように構成してもよい。但し、この場合、排気口の下側に送風室31を部分的に仕切る水平な仕切板を設けるものとする。
(4)その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0058】
1 ヒートポンプ給湯装置
3,3A〜3C ヒートポンプ式熱源機
18 蒸発熱交換器
19,19A〜19C 送風装置
20 圧縮機
21 湯水加熱用熱交換器
22 膨張弁(膨張手段)
23 冷媒配管
31 送風室
32 機械室
42 隔壁
50 送風機
53 誘引通風ノズル
53a 送風口
54 中空部材
60,60B,60C 中空部材
61,61B,61C 送風口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10