特許第6183005号(P6183005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183005
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】歩行型耕耘機
(51)【国際特許分類】
   A01B 13/02 20060101AFI20170814BHJP
   A01B 33/12 20060101ALI20170814BHJP
   A01B 39/14 20060101ALI20170814BHJP
   A01B 49/04 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   A01B13/02 A
   A01B33/12 B
   A01B39/14
   A01B49/04
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-136687(P2013-136687)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-8679(P2015-8679A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中川 秀明
(72)【発明者】
【氏名】勝野 志郎
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−109962(JP,A)
【文献】 特開2011−139639(JP,A)
【文献】 特開2004−215568(JP,A)
【文献】 特開2010−166849(JP,A)
【文献】 特開2006−020562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 3/00−49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の走行車輪の前側に耕耘爪を備える歩行型耕耘機において、
耕耘爪の上方を耕耘カバーで覆い、
走行車輪と耕耘爪にそれぞれ伝動する伝動ケースを左右の走行車輪間の左右中央部に設け、
走行車輪と耕耘爪の間に平板状の畝立板を設け、
畝立板は伝動ケースの左右両側部にそれぞれ設け、左右の畝立板の左右内側には、左右対称形状の内盛用の畝成形部をそれぞれ形成し、
左右の畝立板はそれぞれ耕耘カバーの後部に取り付け、左右の畝立板を連結部材で連結して横軸芯に回動する構成とし、畝立作業時の姿勢、又は耕耘作業時の姿勢に切換可能に構成し
伝動ケースの後方に、畝立板で成形した畝の上面を均す畝均し体を設け、畝均し体は伝動ケースに取り付けると共に、横軸心に回動する構成とし、畝立作業時の姿勢、又は耕耘作業時の姿勢に切換可能に構成し、
畝均し体は、円弧上に形成する剛性の均し体と、多数の切れ目を形成する弾性部材と、剛性の均し体を支持する均し体支持フレームを備え、畝均し体回動軸により横軸芯回りに回動自在に構成し、
畝立作業時には、畝立板と畝均し体を垂下する姿勢とし、
耕耘作業時には、畝立板を伝動ケースの下端部より上位置にあって、畝立板の正面側が下方に対向すべく前後方向に延びる姿勢で位置固定すると共に、畝均し体を上方に回動させて位置固定する構成とすることを特徴とする歩行型耕耘機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車輪の前に耕耘爪を設けるいわゆるフロントロータリ型の歩行型耕耘機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には走行車輪と耕耘爪との間に畝立板(培土板)を設けるフロントロータリ型の歩行型耕耘機に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−166849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1における培土板は走行車体の左右外側に畝を形成するいわゆる外盛用の歩行型耕耘機である。本願発明は、走行車輪の前方に耕耘爪を設けるいわゆるフロントロータリ型の歩行型耕耘機において、走行車輪の左右内側に畝を形成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するために次のような技術的手段を講ずる。
請求項1記載の発明は、左右一対の走行車輪の前側に耕耘爪を備える歩行型耕耘機において、
耕耘爪の上方を耕耘カバーで覆い、
走行車輪と耕耘爪にそれぞれ伝動する伝動ケースを左右の走行車輪間の左右中央部に設け、
走行車輪と耕耘爪の間に平板状の畝立板を設け、
畝立板は伝動ケースの左右両側部にそれぞれ設け、左右の畝立板の左右内側には、左右対称形状の内盛用の畝成形部をそれぞれ形成し、
左右の畝立板はそれぞれ耕耘カバーの後部に取り付け、左右の畝立板を連結部材で連結して横軸芯に回動する構成とし、畝立作業時の姿勢、又は耕耘作業時の姿勢に切換可能に構成し
伝動ケースの後方に、畝立板で成形した畝の上面を均す畝均し体を設け、畝均し体は伝動ケースに取り付けると共に、横軸心に回動する構成とし、畝立作業時の姿勢、又は耕耘作業時の姿勢に切換可能に構成し、
畝均し体は、円弧上に形成する剛性の均し体と、多数の切れ目を形成する弾性部材と、剛性の均し体を支持する均し体支持フレームを備え、畝均し体回動軸により横軸芯回りに回動自在に構成し、
畝立作業時には、畝立板と畝均し体を垂下する姿勢とし、
耕耘作業時には、畝立板を伝動ケースの下端部より上位置にあって、畝立板の正面側が下方に対向すべく前後方向に延びる姿勢で位置固定すると共に、畝均し体を上方に回動させて位置固定する構成とすることを特徴とする。
【0006】
【0007】
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明により、走行車輪(4)の前方に耕耘爪(5)を設ける歩行型耕耘機において、走行車輪(4)の左右内側に畝(U)を形成することができる。また、畝(U)を形成しない耕耘作業を行うことができる。また、畝立板(11)を伝動ケース(7)を挟んで左右分割構成にすることで、畝(U)を形成しない耕耘作業時に、畝立板(11)を伝動ケース(7)に当接しないで畝立作用をしない高さ位置まであげることができる。
【0009】
また、左右の畝立板を一体に回動動作させることができる。
また、畝立板で形成した畝の上面をきれいに均すことができる。
また、畝立作業時には、左畝立板(11L)と右畝立板(11R)の間が伝動ケース(7)により離間されており、伝動ケース(7)が形成される畝(U)の上面に当接するため、伝動ケース(7)の後方の畝均し体(22)で畝(U)の上面を均し、畝(U)の形状を良好にし、畝均し体(22)の均し体(24)が畝(U)の上面に沿って前進すると共に、弾性部材(23)が畝(U)の上面で均し作用により後方に向かって折れ曲がることで、均し体(24)で畝(U)の上面を均した後にさらに均し作用がなされることにより、良好な内盛の畝(U)が形成される
耕耘爪(5)で耕耘され、耕耘された土が後方に送られて盛り上がる土が畝立板(11)により整地作用がなされる
また、耕耘作業機には、耕耘爪(5)で耕耘され、耕耘された土が後方に送られて盛り上がる土が畝立板(11)により整地作用がなされることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】歩行型耕耘機の側面図
図2】背面から見た畝立板を示す図
図3】側面から見た畝立板の動作を示す図
図4】背面から見た畝立板を示す図
図5】歩行型耕耘機の側面図
図6】背面から見た畝均し体を示す図
図7】歩行型耕耘機の平面図
図8】畝立板による整地作用を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態の歩行型耕耘機について、以下説明する。
エンジン1及び燃料タンク2を機体フレーム3に搭載し、左右一対の走行車輪4を設け、走行車輪4の前方には多数の耕耘爪5からなり、耕耘軸5aにより回転する耕耘部Kを設け、耕耘部Kの上方を耕耘カバー6で覆う。エンジン1の動力を走行車輪4及び耕耘爪5へ伝動する伝動装置(図示せず)を、伝動ケース7に内装し、伝動ケース7は走行車輪4間の左右中央ぶに設けている。走行車輪4に伝動する側の伝動ケース7の下端部7aは走行車輪4の車軸30よりも低い位置にあり、後端部7bは走行車輪4の車軸30よりも後方位置にある。伝動ケース7の後部から斜め後方向に操作ハンドル8が延びる構成とし、操作ハンドル8に沿うように変速レバー31を設けている。耕耘爪5の前方には案内輪9を設け、案内輪9は上下高さ調節機構10により上下高さ位置を調節する構成である。
【0012】
伝動ケース7の左右両側にそれぞれ平板状の左畝立板11Lと右畝立板11Rを設け、左畝立板11Lと右畝立板11Rを左右方向に延びる連結フレーム12で連結する。そして、左畝立板11L及び右畝立板11Rは、耕耘カバー6の後部に取り付ける畝立板取付ブラケット13(左ブラケット13L及び右ブラケット13R)を介してそれぞれ取り付け、左ヒンジ14L及び右ヒンジ14Rにより横軸心回りに一体となって回動自在に構成する。左畝立板11L及び右畝立板11Rは、耕耘カバー6から垂下した状態で、耕耘爪5と走行車輪4の車軸30との間に位置する。左畝立板11Lと右畝立板11Rは左右内側にそれぞれいわゆる内盛用の畝成形部Sを形成し、左右対称形状としている。
【0013】
本実施の形態の畝成形部Sは背面視で円弧状に形成することで、楕円形状の畝Uを形成する。以下、左畝立板11Lと右畝立板11Rの総称を畝立板11と呼ぶ。
左畝立板11Lには回動操作具16の一端を操作具取付プレート32を介して取り付け、回動操作具16の他端を回動ブラケット17に取り付ける。回動ブラケット17は畝立板回動軸18に対して回動する構成とし、回動ブラケット17には畝立板11の位置固定用のピン19を取り付けている。畝立板回動軸18は機体フレーム3に取り付ける機体ブラケット20に取り付ける。機体ブラケット20にはピン19を挿入する位置決め用の孔21を形成する。位置決め用の孔21は畝立作業用の孔21aと耕耘作業用の孔21bを設けている。
【0014】
伝動ケース7の後方には畝立板11で形成した畝Uの上面を均す畝均し体22を設ける。畝均し体22は多数の切れ目23aを形成する弾性部材23と、円弧状に形成する剛性の均し体24と、均し体24を支持する均し体支持フレーム25を備え、均し体支持フレーム25を伝動ケース7に固定する均し体取り付けブラケット26に取り付ける構成である。均し体支持フレーム25は均し体取り付けブラケット26に対し、畝均し体回動軸28により横軸芯回りに回動自在に構成し、フック27により、畝均し体22を上方に回動した姿勢で位置固定可能に構成している。
【0015】
次に畝立作業と耕耘作業について説明する。
畝立作業時には、機体ブラケット20の畝立作業用の孔21aにピン22を挿入して畝立板11を垂下する姿勢とし、かつ、畝均し体22を垂下する姿勢とする。そして、エンジン1を駆動し、走行車輪4と耕耘爪5を駆動して耕耘作業を開始する。耕耘爪5で耕耘され、耕耘された土が後方に送られて盛り上がる土を、畝立板11の畝形成部Sで畝Uを形成する。畝Uは走行車輪4間に形成されるいわゆる内盛りの畝Uである。本実施の形態では、左畝立板11Lと右畝立板11Rの間が伝動ケース7により離間されており、伝動ケース7が形成される畝Uの上面に当接するため、伝動ケース7の後方の畝均し体22で畝Uの上面を均し、畝Uの形状を良好にする。畝均し体22は均し体24が畝Uの上面に沿って前進すると共に、弾性部材23が畝Uの上面で均し作用により後方に向かって折れ曲がることで、均し体24で畝Uの上面を均した後にさらに均し作用がなされる。以上により良好な内盛の畝Uが形成される。
【0016】
耕耘作業時には、回動操作具16を把持し、畝立板11を上方へ回動させ、機体ブラケット20の耕耘作業用の孔21bにピン22を挿入する。すると、左右の畝立板11は伝動ケース7の下端部7aより上の位置にあって、前後方向に延びる姿勢、すなわち畝立板11の正面側が下方に対向する位置で位置固定され、畝立板11の下端部が後端部となって車輪4の車軸30の下方に接近する位置となる。また、均し体支持フレーム25を把持して畝均し体22を上方に回動させ、フック27で引っ掛けて位置固定する。エンジン1を駆動し、走行車輪4と耕耘爪5を駆動して耕耘作業を開始する。耕耘爪5で耕耘され、耕耘された土が後方に送られて盛り上がる土が畝立取付ブラケット13及び畝立板11により整地作用がなされる。
【0017】
畝立板11による整地作用について詳述する。
回動操作具16を畝立板11に取り付ける操作具取付プレート32に長孔33を形成することで、図8に示すように畝立板11が上下方向に揺動可能に構成している。そのため、畝立板11が土の作用に追従し、整地作用がなされる。左ヒンジ14L及び右ヒンジ14Rが車軸30の軸芯位置より若干上方に位置し、畝立板11の下端部(後端部)が車軸30より若干下位置にあるため、耕耘作業時の畝立板11は後下がり姿勢となっている。そのため、耕耘爪5により後方に送られた土が順次下方に案内されて整地される。畝均し体22は退避姿勢となっているため、整地面には作用しない。以上により、良好な耕耘整地面にすることができる。
【0018】
以下、本実施の形態の変形例について説明する。
本実施の形態の畝立板11は耕耘カバー6に畝立板取付ブラケット13を介して取り付けられる構成であるが、耕耘カバー6を車軸30の高さ位置まで延長して畝立板11を取り付けても良い。
【0019】
また、本実施の形態の畝形成部Sは円弧状に形成し、楕円形状の畝Uを形成するが、台形の畝を形成する形状に形成しても良い。
【符号の説明】
【0020】
4 走行車輪
5 耕耘爪
6 耕耘カバー
7 伝動ケース
11 畝立板
12 連結部材(連結フレーム)
16 操作具
22 畝均し体
23 弾性部材
24剛性の)均し体
25 均し体支持フレーム
28 畝均し体回動軸
S 畝成形部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8