特許第6183016号(P6183016)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6183016センサ情報処理装置、センサ情報処理方法およびセンサ情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183016
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】センサ情報処理装置、センサ情報処理方法およびセンサ情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/04 20060101AFI20170814BHJP
   H04W 4/04 20090101ALI20170814BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20170814BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20170814BHJP
   G08C 15/06 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H04Q9/04
   H04W4/04 190
   H04Q9/00 311K
   H04M11/00 301
   G08C15/06 H
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-144749(P2013-144749)
(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公開番号】特開2015-19223(P2015-19223A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕嗣
(72)【発明者】
【氏名】田中 義三
【審査官】 松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−272403(JP,A)
【文献】 特開2004−274931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B23/00−31/00
G08C13/00−25/04
H03J9/00−9/06
H04B7/24−7/26
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
H04Q9/00−9/16
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサによる計測結果を処理するセンサ情報処理装置であって、
前記センサから受信した無線信号から前記センサによる計測結果を含むセンシング情報を取得するセンシング情報取得部と、
前記センシング情報取得部によって取得された各前記センシング情報に含まれる前記計測結果同士を時間的に対応付ける時間同期部とを備え、
前記センシング情報は、前記センサにおいて前記計測結果が得られた時間を含み、
前記時間同期部は、前記各センシング情報に含まれる前記時間の一部または全部を補正することにより、前記計測結果同士を時間的に対応付け、
前記センシング情報には、前記センサにおいて前記計測結果が得られた相対的な時間を含む前記センシング情報と、前記センサにおいて前記計測結果が得られた時刻を含む前記センシング情報とがあり、
前記時間同期部は、前記相対的な時間から前記時刻への補正、または前記時刻から前記相対的な時間への補正を行なうことにより、前記計測結果同士を時間的に対応付け、
前記時間同期部は、前記センシング情報に含まれる情報に基づいて、前記相対的な時間を含む前記センシング情報および前記時刻を含む前記センシング情報を振り分ける振り分け部を含む、センサ情報処理装置。
【請求項2】
複数のセンサによる計測結果を処理するセンサ情報処理装置におけるセンサ情報処理方法であって、
前記センサから受信した無線信号から前記センサによる計測結果を含むセンシング情報を取得するステップと、
取得した各前記センシング情報に含まれる前記計測結果同士を時間的に対応付けるステップとを含み、
前記センシング情報は、前記センサにおいて前記計測結果が得られた時間を含み、
前記時間的に対応付けるステップにおいては、前記各センシング情報に含まれる前記時間の一部または全部を補正することにより、前記計測結果同士を時間的に対応付け、
前記センシング情報には、前記センサにおいて前記計測結果が得られた相対的な時間を含む前記センシング情報と、前記センサにおいて前記計測結果が得られた時刻を含む前記センシング情報とがあり、
前記時間的に対応付けるステップにおいては、前記相対的な時間から前記時刻への補正、または前記時刻から前記相対的な時間への補正を行なうことにより、前記計測結果同士を時間的に対応付け、
前記時間的に対応付けるステップにおいては、前記センシング情報に含まれる情報に基づいて、前記相対的な時間を含む前記センシング情報および前記時刻を含む前記センシング情報を振り分ける、センサ情報処理方法。
【請求項3】
複数のセンサによる計測結果を処理するセンサ情報処理装置において用いられるセンサ情報処理プログラムであって、コンピュータに、
前記センサから受信した無線信号から前記センサによる計測結果を含むセンシング情報を取得するステップと、
取得した各前記センシング情報に含まれる前記計測結果同士を時間的に対応付けるステップとを実行させるためのプログラムであり、
前記センシング情報は、前記センサにおいて前記計測結果が得られた時間を含み、
前記時間的に対応付けるステップにおいては、前記各センシング情報に含まれる前記時間の一部または全部を補正することにより、前記計測結果同士を時間的に対応付け、
前記センシング情報には、前記センサにおいて前記計測結果が得られた相対的な時間を含む前記センシング情報と、前記センサにおいて前記計測結果が得られた時刻を含む前記センシング情報とがあり、
前記時間的に対応付けるステップにおいては、前記相対的な時間から前記時刻への補正、または前記時刻から前記相対的な時間への補正を行なうことにより、前記計測結果同士を時間的に対応付け、
前記時間的に対応付けるステップにおいては、前記センシング情報に含まれる情報に基づいて、前記相対的な時間を含む前記センシング情報および前記時刻を含む前記センシング情報を振り分ける、センサ情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ情報処理装置、センサ情報処理方法およびセンサ情報処理プログラムに関し、特に、複数のセンサから計測結果が無線伝送されるシステムにおけるセンサ情報処理装置、センサ情報処理方法およびセンサ情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN、LTE、ZigBee(登録商標)およびBluetooth(登録商標)等の通信サービスを利用したシステムとして、M2M(Machine to Machine)システムが知られている。M2Mシステムでは、無線機を搭載した機器同士が人間を介在せずに相互に情報をやり取りすることにより、自動的に機器の制御が行われる。
【0003】
M2Mシステムの一例として、たとえば、特許文献1(特許第4237134号公報)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、無線端末と、当該無線端末との無線通信が可能なゲートウェイノードと、無線端末の位置情報を保持する位置情報記憶装置とを有する移動体通信ネットワークと、上記無線端末からのメッセージ送信先である端末が接続される他のネットワークとがゲートウェイを介して接続されてなるネットワークシステムである。当該ネットワークシステムは、上記無線端末ごとに予め定めた送信先である上記端末のアドレスを保持する端末アドレス保持手段を有する。上記無線端末から上記端末へメッセージを送信する際には、上記ゲートウェイノードは、上記無線端末より無線フレームを受信すると、上記端末アドレス保持手段にアクセスして、無線端末ごとにメッセージの送信先の端末アドレスを特定し、当該特定した送信先の端末宛に上記ゲートウェイを介してメッセージを送信する。上記端末より上記無線端末へメッセージを送信する際には、上記ゲートウェイは、上記位置情報記憶装置にアクセスし、上記無線端末のIDから位置情報を取得し、当該取得した位置情報から該当するゲートウェイノードへメッセージを転送する。当該ゲートウェイノードは、上記無線端末へ上記メッセージを転送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4237134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなM2Mシステムの1つの利用形態として、計測結果を無線伝送することが可能なセンサをたとえば工場の設備または装置に複数取り付け、各センサによる計測結果を収集して工場の設備または装置を監視するシステムが考えられる。
【0006】
しかしながら、このようなシステムでは、各センサから計測結果が無線伝送されることから、電波の伝搬環境等によっては、無線信号の再送が生じる場合があり、また、たとえばCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式を採用する場合、各センサから異なるタイミングで無線信号が送信される。このような場合、各センサにおいて実際に計測が行われたタイミングとデータ収集側の装置における計測結果の受信タイミングとにずれが生じてしまう。
【0007】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、複数のセンサから計測結果が無線伝送されるシステムにおいて、各センサによる計測結果を収集して適切に処理することが可能なセンサ情報処理装置、センサ情報処理方法およびセンサ情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるセンサ情報処理装置は、複数のセンサによる計測結果を処理するセンサ情報処理装置であって、前記センサから受信した無線信号から前記センサによる計測結果を含むセンシング情報を取得するセンシング情報取得部と、前記センシング情報取得部によって取得された各前記センシング情報に含まれる前記計測結果同士を時間的に対応付ける時間同期部とを備える。
【0009】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるセンサ情報処理方法は、複数のセンサによる計測結果を処理するセンサ情報処理装置におけるセンサ情報処理方法であって、前記センサから受信した無線信号から前記センサによる計測結果を含むセンシング情報を取得するステップと、取得した各前記センシング情報に含まれる前記計測結果同士を時間的に対応付けるステップとを含む。
【0010】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるセンサ情報処理プログラムは、複数のセンサによる計測結果を処理するセンサ情報処理装置において用いられるセンサ情報処理プログラムであって、コンピュータに、前記センサから受信した無線信号から前記センサによる計測結果を含むセンシング情報を取得するステップと、取得した各前記センシング情報に含まれる前記計測結果同士を時間的に対応付けるステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のセンサから計測結果が無線伝送されるシステムにおいて、各センサによる計測結果を収集して適切に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理システムにおけるセンサの種類を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理システムにおけるセンサ情報処理装置の構成を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理システムにおけるセンサ情報処理のシーケンスの一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理システムにおけるセンサ情報処理のシーケンスの他の例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理装置におけるセンシング情報の同期処理による効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0014】
(1)本発明の実施形態に係るセンサ情報処理装置は、複数のセンサによる計測結果を処理するセンサ情報処理装置であって、前記センサから受信した無線信号から前記センサによる計測結果を含むセンシング情報を取得するセンシング情報取得部と、前記センシング情報取得部によって取得された各前記センシング情報に含まれる前記計測結果同士を時間的に対応付ける時間同期部とを備える。
【0015】
このように、各センサから無線伝送された計測結果を時間的に対応付ける構成により、各センサによる計測結果の相関性を容易に判断することができるため、監視対象の故障および異常等を正しく検知することができる。また、このような故障および異常等の原因を容易に特定することが可能となる。たとえば、電波の伝搬環境による無線信号の遅延および再送等が生じる場合、各センサから異なるタイミングで無線信号が送信される場合、または消費電力低減等のために計測結果をある程度まとめてバースト的に無線伝送する場合であっても、各センサによる計測結果の相関性を容易に判断することができる。したがって、複数のセンサから計測結果が無線伝送されるシステムにおいて、各センサによる計測結果を収集して適切に処理することができる。
【0016】
(2)好ましくは、前記センシング情報は、前記センサにおいて前記計測結果が得られた時間を含み、前記時間同期部は、前記各センシング情報に含まれる前記時間の一部または全部を補正することにより、前記計測結果同士を時間的に対応付ける。
【0017】
このような構成により、各センサから受信したセンシング情報に含まれる時間を用いて、簡易な処理で、各センサから無線伝送された計測結果を時間的に対応付けることができる。
【0018】
(3)より好ましくは、前記センシング情報には、前記センサにおいて前記計測結果が得られた相対的な時間を含む前記センシング情報と、前記センサにおいて前記計測結果が得られた絶対的な時間を含む前記センシング情報とがあり、前記時間同期部は、前記相対的な時間から前記絶対的な時間への補正、または前記絶対的な時間から前記相対的な時間への補正を行なうことにより、前記計測結果同士を時間的に対応付ける。
【0019】
このような構成により、時計機能を持たないセンサおよび時計機能を持つセンサが混合するシステムにおいて、各センサから無線伝送された計測結果を時間的に対応付けることができる。また、センサにはタイマ機能を搭載すれば十分であり、センサに時計機能を搭載する必要が無くなることから、センサを小型化し、省電力化し、また、低コスト化することができる。
【0020】
(4)本発明の実施形態に係るセンサ情報処理方法は、複数のセンサによる計測結果を処理するセンサ情報処理装置におけるセンサ情報処理方法であって、前記センサから受信した無線信号から前記センサによる計測結果を含むセンシング情報を取得するステップと、取得した各前記センシング情報に含まれる前記計測結果同士を時間的に対応付けるステップとを含む。
【0021】
このように、各センサから無線伝送された計測結果を時間的に対応付ける構成により、各センサによる計測結果の相関性を容易に判断することができるため、監視対象の故障および異常等を正しく検知することができる。また、このような故障および異常等の原因を容易に特定することが可能となる。たとえば、電波の伝搬環境による無線信号の遅延および再送等が生じる場合、各センサから異なるタイミングで無線信号が送信される場合、または消費電力低減等のために計測結果をある程度まとめてバースト的に無線伝送する場合であっても、各センサによる計測結果の相関性を容易に判断することができる。したがって、複数のセンサから計測結果が無線伝送されるシステムにおいて、各センサによる計測結果を収集して適切に処理することができる。
【0022】
(5)本発明の実施形態に係るセンサ情報処理プログラムは、複数のセンサによる計測結果を処理するセンサ情報処理装置において用いられるセンサ情報処理プログラムであって、コンピュータに、前記センサから受信した無線信号から前記センサによる計測結果を含むセンシング情報を取得するステップと、取得した各前記センシング情報に含まれる前記計測結果同士を時間的に対応付けるステップとを実行させるためのプログラムである。
【0023】
このように、各センサから無線伝送された計測結果を時間的に対応付ける構成により、各センサによる計測結果の相関性を容易に判断することができるため、監視対象の故障および異常等を正しく検知することができる。また、このような故障および異常等の原因を容易に特定することが可能となる。たとえば、電波の伝搬環境による無線信号の遅延および再送等が生じる場合、各センサから異なるタイミングで無線信号が送信される場合、または消費電力低減等のために計測結果をある程度まとめてバースト的に無線伝送する場合であっても、各センサによる計測結果の相関性を容易に判断することができる。したがって、複数のセンサから計測結果が無線伝送されるシステムにおいて、各センサによる計測結果を収集して適切に処理することができる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0025】
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理システムの構成を示す図である。
【0026】
図1を参照して、センサ情報処理システム301は、複数のセンサ202と、ゲートウェイ101と、監視用PC151とを備える。
【0027】
ワイヤレスノードに相当するセンサ202は、たとえば工場内の設備または装置に取り付けられる。センサ202は、温度、加速度、音および周波数等の各種特性を計測し、計測結果を示すセンシング情報を含む無線信号をゲートウェイ101へ送信する。
【0028】
ゲートウェイ101は、各センサ202から無線信号を受信し、受信した無線信号に含まれるセンシング情報をネットワーク191経由で監視用PC151へ送信する。ゲートウェイ101は、たとえばタブレットまたはPCである。なお、センサ情報処理システム301は、複数のゲートウェイ101を備える構成であってもよい。
【0029】
監視用PC151は、たとえば工場の遠隔地に位置する事務所に設けられており、ゲートウェイ101から受信したセンシング情報に基づいて、工場内の設備または装置の監視処理、たとえば、監視用データの作成を行なう。ユーザは、監視用PC151によって作成された監視用データを用いて、工場における、設備または装置の稼働状況の監視、設備または装置の異常監視、製造条件の管理、および不良品の検出等を行なうことができる。
【0030】
センサ202およびゲートウェイ101間の無線伝送には、無線LAN、LTE、ZigBee(登録商標)およびBluetooth(登録商標)等の各種方式が利用可能である。また、ネットワーク191は、有線のネットワークであってもよいし、無線のネットワークであってもよい。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理システムにおけるセンサの種類を示す図である。
【0032】
図2を参照して、センサ情報処理システム301は、センサ202の種類として、たとえば、センサ202Aと、センサ202Bとを備える。センサ202Aは、タイマ機能を有しており、相対的な時間すなわちタイマの値を含むセンシング情報を作成する。センサ202Bは、時計機能を有しており、絶対的な時間すなわち時計の値を含むセンシング情報を作成する。
【0033】
通常、タイマ機能を有するセンサ202Aの方が、時計機能を有するセンサ202Bよりも安価である。
【0034】
しかしながら、センサ202Aの計測結果とセンサ202Bの計測結果とを時間的な観点をも含めて比較する場合、たとえばゲートウェイ101においてセンサ202Aの計測結果の相対的な時間を絶対的な時間に補正する必要がある。一方、センサ202Bの計測結果については、ゲートウェイ101等において時間を補正する必要性は低い。
【0035】
図3は、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理システムにおけるセンサ情報処理装置の構成を示す図である。
【0036】
図3を参照して、センサ情報処理装置251は、受信部11と、センシング情報取得部12と、時間同期部13と、監視処理部14とを備える。時間同期部13は、振り分け部21と、時間補正部22と、保持部23と、同期処理部24とを含む。
【0037】
センサ情報処理装置251は、複数のセンサ202による計測結果を処理する。より詳細には、受信部11は、各センサ202からセンシング情報を含む無線信号を受信し、受信した無線信号をたとえばベースバンド信号に周波数変換し、かつデジタル信号に変換してセンシング情報取得部12へ出力する。
【0038】
センシング情報取得部12は、センサ202から受信した無線信号から当該センサ202による計測結果を含むセンシング情報を取得する。より詳細には、センシング情報取得部12は、受信部11から受けたデジタル信号からセンサ202による計測結果を取得する、すなわち当該デジタル信号からセンシング情報を抽出し、時間同期部13における振り分け部21へ出力する。
【0039】
時間同期部13は、各センサ202からのセンシング情報に含まれる計測結果同士を時間的に対応付ける処理を行なう。
【0040】
たとえば、センシング情報は、前述のように、センサ202において計測結果が得られた時間を含む。時間同期部13は、各センシング情報に含まれる上記時間の一部または全部を補正することにより、計測結果同士を時間的に対応付ける。
【0041】
より詳細には、たとえば、前述のように、センシング情報には、センサ202において計測結果が得られた相対的な時間を含むセンシング情報と、センサ202において計測結果が得られた絶対的な時間を含むセンシング情報とがある。
【0042】
時間同期部13は、相対的な時間から絶対的な時間への補正を行なうことにより、計測結果同士を時間的に対応付ける。
【0043】
具体的には、時間同期部13において、振り分け部21は、センシング情報取得部12から受けたセンシング情報のうち、センサ202Aから受信したセンシング情報すなわち相対的な時間を含むセンシング情報を時間補正部22へ出力し、センサ202Bから受信したセンシング情報すなわち絶対的な時間を含むセンシング情報を保持部23へ出力する。たとえば、振り分け部21は、センサ情報処理システム301における各センサ202の識別情報とタイマ機能および時計機能等の時間機能との対応関係を予め保持しており、センサ202からのセンシング情報に含まれる識別情報を参照することにより、このようなセンシング情報の振り分けを行なう。あるいは、たとえば、振り分け部21は、センサ202からのセンシング情報に含まれる、時間機能の種別を示すフラグを参照することにより、このようなセンシング情報の振り分けを行なう。
【0044】
時間補正部22は、振り分け部21から受けたセンシング情報に含まれる相対的な時間すなわちタイマの値を絶対的な時間すなわち時刻に補正し、補正後のセンシング情報を保持部23へ出力する。
【0045】
同期処理部24は、保持部23において保持されている複数のセンシング情報を読み出し、各センシング情報に含まれる時間を用いて、各センシング情報に含まれる計測結果同士を時間的に対応付ける。そして、同期処理部24は、時間的に対応付けた各センサ202の計測結果を監視処理部14へ出力する。
【0046】
監視処理部14は、同期処理部24から受けた計測結果に基づいて、監視用データの作成等の監視処理を行なう。
【0047】
なお、時間同期部13は、絶対的な時間から相対的な時間への補正を行なうことにより、計測結果同士を時間的に対応付ける構成であってもよい。
【0048】
また、監視処理部14は、工場内の設備または装置の故障および異常等を自動的に検知する構成であってもよい。
【0049】
センサ情報処理装置251は、たとえばゲートウェイ101および監視用PC151によって構成される。たとえば、ゲートウェイ101は、受信部11を備え、監視用PC151は、監視処理部14を備える。また、センシング情報取得部12、時間同期部13および監視処理部14は、ゲートウェイ101および監視用PC151のいずれか一方に設けられてもよいし、あるいは、ゲートウェイ101に一部のユニットが設けられ、監視用PC151に他のユニットが設けられてもよい。また、ゲートウェイ101および監視用PC151が一体化されてもよい。
【0050】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理システムによる情報配信について図面を用いて説明する。
【0051】
センサ情報処理システム301における上記複数の装置は、以下のシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これらのプログラムは、外部からインストールすることができる。
【0052】
図4は、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理システムにおけるセンサ情報処理のシーケンスの一例を示す図である。図4は、センサ情報処理システム301がセンサ202Aおよび202Bを備え、ゲートウェイ101が時間補正を行なう場合を示している。
【0053】
図4を参照して、まず、センサ202B、ゲートウェイ101および監視用PC151は、NTP(Network Time Protocol)等を用いて同期処理を行い、各々の有する時計の時刻を一致させる。なお、NTPを用いる場合、各装置がセンサ情報処理システム301外のサーバに時刻を問い合わせてもよいし、たとえば監視用PC151がこのようなサーバの機能を有していてもよい(ステップS1)。
【0054】
次に、ゲートウェイ101は、センサ202Aのタイマを起動するためのタイマ起動要求をセンサ202Aへ送信する。ゲートウェイ101は、このタイマ起動要求を送信した時刻を記憶しておく(ステップS2)。
【0055】
次に、センサ202Aは、ゲートウェイ101からタイマ起動要求を受信すると、自己のタイマの動作を開始する(ステップS3)。
【0056】
次に、センサ202Aは、たとえば対象装置の計測を行い、計測結果である計測データを取得する(ステップS4)。
【0057】
次に、センサ202Aは、取得した計測データにタイマのタイムスタンプすなわち相対時間を付加したセンシング情報を作成し(ステップS5)、作成したセンシング情報を含む無線信号をゲートウェイ101へ送信する(ステップS6)。
【0058】
次に、ゲートウェイ101は、記憶しておいた時刻を用いて、センサ202Aから受信したセンシング情報に含まれる相対時間のタイムスタンプを絶対時間のタイムスタンプに補正し(ステップS7)、補正後のセンシング情報を監視用PC151へ送信する(ステップS8)。
【0059】
一方、センサ202Bは、たとえば対象装置の計測を行い、計測結果である計測データを取得する(ステップS9)。
【0060】
次に、センサ202Aは、取得した計測データに時計のタイムスタンプすなわち絶対時間を付加したセンシング情報を作成し(ステップS10)、作成したセンシング情報を含む無線信号をゲートウェイ101へ送信する(ステップS11)。
【0061】
次に、ゲートウェイ101は、センサ202Bから受信したセンシング情報を監視用PC151へ送信する(ステップS12)。
【0062】
次に、監視用PC151は、センシング情報の同期処理、すなわち各センシング情報に含まれるタイムスタンプを用いて、各センシング情報に含まれる計測結果同士を時間的に対応付ける(ステップS13)。
【0063】
次に、監視用PC151は、時間的に対応付けた各計測結果に基づいて、監視用データの作成等の監視処理を行なう(ステップS14)。
【0064】
図5は、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理システムにおけるセンサ情報処理のシーケンスの他の例を示す図である。図5は、センサ情報処理システム301がセンサ202Aおよび202Bを備え、監視用PC151が時間補正を行なう場合を示している。
【0065】
図5を参照して、まず、センサ202Bおよび監視用PC151は、NTP(Network Time Protocol)等を用いて同期処理を行い、各々の有する時計の時刻を一致させる。なお、NTPを用いる場合、各装置がセンサ情報処理システム301外のサーバに時刻を問い合わせてもよいし、たとえば監視用PC151がこのようなサーバの機能を有していてもよい(ステップS21)。
【0066】
次に、監視用PC151は、センサ202Aのタイマを起動するためのタイマ起動要求をゲートウェイ101経由でセンサ202Aへ送信する。監視用PC151は、このタイマ起動要求を送信した時刻を記憶しておく(ステップS22)。
【0067】
次に、センサ202Aは、ゲートウェイ101からタイマ起動要求を受信すると、自己のタイマの動作を開始する(ステップS23)。
【0068】
次に、センサ202Aは、たとえば対象装置の計測を行い、計測結果である計測データを取得する(ステップS24)。
【0069】
次に、センサ202Aは、取得した計測データにタイマのタイムスタンプすなわち相対時間を付加したセンシング情報を作成し(ステップS25)、作成したセンシング情報を含む無線信号をゲートウェイ101へ送信する(ステップS26)。
【0070】
次に、ゲートウェイ101は、センサ202Aから受信したセンシング情報を監視用PC151へ送信する(ステップS27)。
【0071】
次に、監視用PC151は、記憶しておいた時刻を用いて、ゲートウェイ101から受信したセンシング情報に含まれる相対時間のタイムスタンプを絶対時間のタイムスタンプに補正する(ステップS28)。
【0072】
一方、センサ202Bは、たとえば対象装置の計測を行い、計測結果である計測データを取得する(ステップS29)。
【0073】
次に、センサ202Aは、取得した計測データに時計のタイムスタンプすなわち絶対時間を付加したセンシング情報を作成し(ステップS30)、作成したセンシング情報を含む無線信号をゲートウェイ101へ送信する(ステップS31)。
【0074】
次に、ゲートウェイ101は、センサ202Bから受信したセンシング情報を監視用PC151へ送信する(ステップS32)。
【0075】
次に、監視用PC151は、センシング情報の同期処理、すなわち各センシング情報に含まれるタイムスタンプを用いて、各センシング情報に含まれる計測結果同士を時間的に対応付ける(ステップS33)。
【0076】
次に、監視用PC151は、時間的に対応付けた各計測結果に基づいて、監視用データの作成等の監視処理を行なう(ステップS34)。
【0077】
図5に示すシーケンスでは、図4に示すシーケンスと比べて、ゲートウェイ101によるセンサ202Bおよび監視用PC151との同期処理が不要になる。
【0078】
図6は、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理装置におけるセンシング情報の同期処理による効果を説明するための図である。
【0079】
通常、各センサ202のセンシング情報から設備または装置等のイベントすなわち故障および異常等を検知するためには、センシング情報の時間同期が必要である。
【0080】
図6を参照して、たとえば、ある設備または装置における、周波数の時間変化および温度の時間変化の計測結果が得られた場合、双方の計測結果の時間同期がとれていないと、各計測結果の相関性が分からない。すなわち、あるタイミングでどのような周波数および温度が計測されたかが不明であることから、設備または装置等の故障および異常等を正しく検知することが困難となってしまう。
【0081】
これに対して、センサ情報処理装置251では、各センシング情報に含まれる時間を用いて、各センサ202の計測結果を時間的に対応付ける構成により、たとえば周波数の時間変化における時間t1,t2が、温度の時間変化における時間t11,t12とそれぞれ対応していることが分かる。これにより、周波数および温度の急激な変化に相関性があることを容易に判断することができ、設備または装置等の故障および異常等を正しく検知することができる。また、このような故障および異常等の原因を容易に特定することが可能となる。
【0082】
ところで、計測結果を無線伝送することが可能なセンサをたとえば工場の設備または装置に複数取り付け、各センサによる計測結果を収集して工場の設備または装置を監視するシステムでは、各センサから計測結果が無線伝送されることから、電波の伝搬環境等によっては、無線信号の再送が生じる場合があり、また、たとえばCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式を採用する場合、各センサから異なるタイミングで無線信号が送信される。このような場合、各センサにおいて実際に計測が行われたタイミングとデータ収集側の装置における計測結果の受信タイミングとにずれが生じてしまう。
【0083】
これに対して、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理装置では、センシング情報取得部12は、センサ202から受信した無線信号から当該センサ202による計測結果を含むセンシング情報を取得する。そして、時間同期部13は、各センサ202のセンシング情報に含まれる計測結果同士を時間的に対応付ける。
【0084】
このように、各センサ202から無線伝送された計測結果を時間的に対応付ける構成により、各センサ202による計測結果の相関性を容易に判断することができるため、監視対象の故障および異常等を正しく検知することができる。また、このような故障および異常等の原因を容易に特定することが可能となる。
【0085】
たとえば、電波の伝搬環境による無線信号の遅延および再送等が生じる場合、各センサから異なるタイミングで無線信号が送信される場合、または消費電力低減等のために計測結果をある程度まとめてバースト的に無線伝送する場合であっても、各センサ202による計測結果の相関性を容易に判断することができる。
【0086】
したがって、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理装置では、複数のセンサから計測結果が無線伝送されるシステムにおいて、各センサによる計測結果を収集して適切に処理することができる。
【0087】
また、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理装置では、センシング情報は、センサ202において計測結果が得られた時間を含む。時間同期部13は、各センシング情報に含まれる上記時間の一部または全部を補正することにより、計測結果同士を時間的に対応付ける。
【0088】
このような構成により、各センサ202から受信したセンシング情報に含まれる時間を用いて、簡易な処理で、各センサ202から無線伝送された計測結果を時間的に対応付けることができる。
【0089】
また、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理装置では、センシング情報には、センサ202において計測結果が得られた相対的な時間を含むセンシング情報と、センサ202において計測結果が得られた絶対的な時間を含むセンシング情報とがある。時間同期部13は、相対的な時間から絶対的な時間への補正、または絶対的な時間から相対的な時間への補正を行なうことにより、計測結果同士を時間的に対応付ける。
【0090】
このような構成により、時計機能を持たないセンサ202および時計機能を持つセンサ202が混合するシステムにおいて、各センサ202から無線伝送された計測結果を時間的に対応付けることができる。また、センサ202にはタイマ機能を搭載すれば十分であり、センサ202に時計機能を搭載する必要が無くなることから、センサ202を小型化し、省電力化し、また、低コスト化することができる。
【0091】
なお、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理装置では、時間同期部13は、周波数および温度等の異なる種類のセンサによる計測結果同士を時間的に対応付ける構成であるとしたが、これに限定するものではない。時間同期部13は、たとえば異なる装置または設備に取り付けられた温度センサ等、同じ種類の複数のセンサによる計測結果同士を時間的に対応付ける構成であってもよい。
【0092】
また、本発明の実施の形態に係るセンサ情報処理システムの監視対象は、工場内の設備または装置に限らず、各種インフラであってもよい。
【0093】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0094】
11 受信部
12 センシング情報取得部
13 時間同期部
14 監視処理部
21 振り分け部
22 時間補正部
23 保持部
24 同期処理部
101 ゲートウェイ
151 監視用PC
191 ネットワーク
202,202A,202B センサ
301 センサ情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6