(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガス供給部が前記サイクロン分離器内に供給する前記調整ガスは、前記流動媒体を流動層化させるために前記ガス化炉に投入されるガス、前記ガス化ガス、二酸化炭素、および、不活性ガスの群から選択される1または複数であることを特徴とする請求項1に記載のガス化ガス生成システム。
流動媒体を流動層化するガス化炉において、投入されたガス化原料が、該流動媒体が有する熱によってガス化されることで生成されたガス化ガスと、固体である該ガス化原料とが混合された混合物が導入口を通じて導入され、該混合物を旋回させることにより、該導入口における該混合物の流速に基づいて定まる粒径以上の固体と、該流速に基づいて定まる粒径未満の固体である飛散粒子および該ガス化ガスとに分離し、分離された該飛散粒子および該ガス化ガスを送出するサイクロン分離器の運転方法であって、
前記ガス化炉への前記ガス化原料の投入量と、該ガス化炉で生成された前記ガス化ガスの組成とに基づいて、該ガス化ガスの流量を推定し、
前記推定した流量に基づいて前記導入口における前記混合物の流速を導出し、
前記導出した流速が予め定められた閾値未満である場合に、前記導入口を通じて前記サイクロン分離器内に、前記ガス化炉から送出される前記ガス化ガスとは異なる調整ガスを供給することを特徴とするサイクロン分離器の運転方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、サイクロン分離器の捕集効率は、常に一定とはならない。具体的に説明すると、サイクロン分離器は、導入口を通じて導入された、固体と気体の混合物を旋回させることにより、遠心力を発生させ、当該遠心力によって、導入口における混合物の流速に基づいて定まる粒径以上の固体を分離する装置である。サイクロン分離器における、混合物に含まれる固体を分離できる効率(分離効率)は、導入される混合物の流速に依存する。すなわち、導入される混合物の流速が高い程、サイクロン分離器による固体(飛散粒子)の分離効率(捕集効率)は高いということになる。
【0006】
サイクロン分離器の設計は、ガス化炉が全負荷運転(定格運転、通常運転)している際のガス化ガスの流量(流速)に基づいて行われる。したがって、ガス化炉が部分負荷運転する際(起動処理する際や、停止処理する際を含む)には、生成されるガス化ガスが少なくなり(ガス化ガスの流量が少なくなり)、それに伴い、サイクロン分離器へ導入されるガス化ガスの流速が低くなり、全負荷運転時と比較して、サイクロン分離器による飛散粒子の捕集効率が低下してしまうおそれがあった。
【0007】
そこで本発明は、このような課題に鑑み、ガス化炉が部分負荷運転している場合であっても、サイクロン分離器による飛散粒子の捕集効率の低下を防止することが可能なガス化ガス生成システム、および、サイクロン分離器の運転方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のガス化ガス生成システムは、流動媒体を流動層化するとともに、投入されたガス化原料を流動媒体が有する熱でガス化させてガス化ガスを生成するガス化炉と、気体であるガス化ガスと固体であるガス化原料とが混合された混合物が導入口を通じて導入され、混合物を旋回させることにより、導入口における混合物の流速に基づいて定まる粒径以上の固体と、流速に基づいて定まる粒径未満の固体である飛散粒子およびガス化ガスとに分離し、分離された飛散粒子およびガス化ガスを送出するサイクロン分離器と、導入口を通じてサイクロン分離器内に、ガス化炉から送出されるガス化ガスとは異なる調整ガスを供給するガス供給部と、
ガス化炉へのガス化原料の投入量と、ガス化炉で生成されたガス化ガスの組成とに基づいて、ガス化ガスの流量を推定し、推定した流量に基づいて導入口における混合物の流速を導出し、導出した流速が予め定められた閾値未満である場合に、ガス供給部を制御して、サイクロン分離器内に調整ガスを供給させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、ガス供給部がサイクロン分離器内に供給する調整ガスは、流動媒体を流動層化させるためにガス化炉に投入されるガス、ガス化ガス、二酸化炭素、および、不活性ガスの群から選択される1または複数であるとしてもよい。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のサイクロン分離器の運転方法は、流動媒体を流動層化するガス化炉において、投入されたガス化原料が、流動媒体が有する熱によってガス化されることで生成されたガス化ガスと、固体であるガス化原料とが混合された混合物が導入口を通じて導入され、混合物を旋回させることにより、導入口における混合物の流速に基づいて定まる粒径以上の固体と、流速に基づいて定まる粒径未満の固体である飛散粒子およびガス化ガスとに分離し、分離された飛散粒子およびガス化ガスを送出するサイクロン分離器の運転方法であって、ガス化炉へのガス化原料の投入量と、ガス化炉で生成されたガス化ガスの組成とに基づいて、ガス化ガスの流量を推定し、推定した流量に基づいて導入口における混合物の流速を導出し、導出した流速が予め定められた閾値未満である場合に、導入口を通じてサイクロン分離器内に、ガス化炉から送出されるガス化ガスとは異なる調整ガスを供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ガス化炉が部分負荷運転している場合であっても、サイクロン分離器による飛散粒子の捕集効率の低下を防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
(第1の実施形態:ガス化ガス生成システム100)
図1は、第1の実施形態にかかるガス化ガス生成システム100を説明するための図である。
図1中、気体、固体といった物質の流れを実線の矢印で示し、信号の流れを破線の矢印で示す。
【0018】
図1に示すように、ガス化ガス生成システム100では、全体として、粒径が300μm程度の硅砂(珪砂)等の砂で構成される流動媒体を熱媒体として循環させている。具体的には、まず、流動媒体は、燃焼炉110で1000℃程度に加熱され、燃焼排ガスとともに媒体分離器120(サイクロン分離器)に導入される。媒体分離器120においては、高温の流動媒体と燃焼排ガスとが分離され、当該分離された高温の流動媒体が、入口ループシール130を通じてガス化炉140に導入される。そして、ガス化炉140に導入された流動媒体は、ガス化炉140の底面に設けられた風箱142から導入されるガス化剤(水蒸気、窒素、不活性ガス等)によって流動層化された後、出口ループシール150を通じて燃焼炉110に戻される。
【0019】
また、媒体分離器120によって分離された燃焼排ガスは、熱交換器122(例えば、ボイラ)で熱回収され、灰集塵機124によって飛散粒子が取り除かれた後、大気に放出される。
【0020】
一方、ガス化炉140には、石炭やバイオマス、タイヤチップ等のガス化原料(固体)が投入され、ガス化炉140は、流動媒体が有する熱でガス化原料をガス化させガス化ガスを生成する。ガス化炉140は、例えば、気泡流動層(バブリング流動層)ガス化炉であり、ガス化原料は、例えば、褐炭等の低品位燃料である。また、本実施形態では、ガス化炉140に水蒸気を供給することにより、ガス化原料を700℃〜900℃でガス化させてガス化ガスを生成する(水蒸気ガス化)。
【0021】
そして、ガス化炉140で生成されたガス化ガスは、サイクロン分離器200において、飛散粒子(ガス化原料、流動媒体)が取り除かれ、ガス化ガス精製装置300でタール、スラッジ等の不純物が除去されて精製される。
【0022】
上述したように、ガス化炉140で生成されたガス化ガスは、サイクロン分離器200によって飛散粒子(固体)が取り除かれるが、ガス化炉140の運転状況によっては、飛散粒子の除去が十分に遂行されない、つまり、飛散粒子の捕集効率が低下する場合がある。
【0023】
具体的に説明すると、サイクロン分離器200の設計は、ガス化炉140が全負荷運転(定格運転、通常運転)している際のガス化ガスの流量(流速)に基づいて行われる。したがって、ガス化炉140が部分負荷運転する際(起動処理する際や、停止処理する際を含む)には、生成されるガス化ガスの量が少なくなるため、ガス化ガスの流量が少なくなり、サイクロン分離器200へ導入されるガス化ガスの流速が低くなり、全負荷運転時と比較して、サイクロン分離器200による飛散粒子の捕集効率が低下してしまうおそれがあった。
【0024】
図2は、サイクロン分離器200へ導入されるガスの流量(相対値)と、捕集効率(%)と、飛散粒子量(相対値)とを説明するための図である。
図2中、捕集効率を実線で示し、飛散粒子量を破線で示す。
図2に示すように、定格運転時から部分負荷運転時のサイクロン分離器200に導入されるガスの流量の減少に伴い、捕集効率は緩やかに減少するが、飛散粒子量は著しく増加することが分かる。
【0025】
飛散粒子は、ガス化ガス精製装置300を構成する改質炉において溶融スラグとなり廃棄される。このため、ガス化ガス精製装置300へ送出される飛散粒子が想定以上に増加すると、すなわち、飛散粒子としてのガス化原料が想定以上に増加すると、改質炉において廃棄されるガス化原料の量が増加し、ガス化炉140に投入されたガス化原料に対するガス化ガスの生成量(ガス化効率)が低下してしまう。
【0026】
そこで、本実施形態のガス化ガス生成システム100は、ガス化炉140の運転状況に拘わらず、飛散粒子を十分に回収することが可能な機構を備える。以下、ガス化炉140の運転状況に拘わらず、飛散粒子を十分に回収することが可能な機構を、サイクロン分離器200の構成と併せて説明する。
【0027】
(飛散粒子を十分に回収することが可能な機構、および、サイクロン分離器200)
図1に戻って説明すると、サイクロン分離器200は、本体210と、導入口212と、落下口214と、排気口216とを含んで構成される。本体210には、導入管144、導入口212を通じて、ガス化炉140で生成されたガス化ガス(気体)とともに、未ガス化のガス化原料(固体)および流動媒体(固体)が導入される。
【0028】
サイクロン分離器200は、導入口212を通じて導入された混合物(ガス化ガス(気体)、ガス化原料(固体)、流動媒体(固体))を旋回させることにより、導入口212における混合物の流速に基づいて定まる粒径以上の固体と、流速に基づいて定まる粒径未満の固体である飛散粒子およびガス化ガスとに分離する。そして、分離された固体は、落下口214を通じてガス化炉140に落下して返送され、飛散粒子およびガス化ガスは、排気口216を通じてガス化ガス精製装置300に送出される。
【0029】
上述したように、導入管144を通じてサイクロン分離器200に導入されるガス化ガスには飛散粒子が含まれ、当該飛散粒子の大部分はガス化原料である。したがって、サイクロン分離器200を設計する際には、まず、大部分の飛散粒子が落下口214へ分離され、ガス化炉140に再度返送されるように、分離効率(捕集効率)を設定する。そして、全負荷運転(定格運転、通常運転)時における、導入される混合物の流量、すなわち、全負荷運転時にガス化炉140において生成されるガス化ガスの量で、設計した分離効率を満たすように、サイクロン分離器200に導入される混合物の流速が決定され、かかる混合物の流速となるようにサイクロン分離器200の形状(例えば、導入口212の口径)が設計されることとなる。
【0030】
したがって、ガス化炉140が部分負荷運転する際(起動処理する際や、停止処理する際を含む)には、ガス化ガスの生成量が少なくなるため、サイクロン分離器200へ導入されるガス化ガスの流速が低くなり、全負荷運転時と比較して、サイクロン分離器200による飛散粒子の捕集効率が低下してしまう。
【0031】
そこで、ガス化ガス生成システム100では、導入口212を通じて、サイクロン分離器200内に調整ガスを供給するガス供給部250を備える。ここで、調整ガスは、ガス化炉140から送出され導入管144を通ってサイクロン分離器200に導入されるガス化ガスとは異なるガスである。ガス供給部250は、導入管144と調整ガス供給源Gとを接続する接続管252と、接続管252に設けられた流量調整弁254とを含んで構成される。
【0032】
このように、ガス供給部250が導入口212を通じて、サイクロン分離器200内に調整ガスを供給する構成により、導入口212を通じてサイクロン分離器200内に導入されるガスの総量を、調整ガスの量とガス化ガスの量を加算した量とすることができ、導入口212におけるガスの流速を上げることが可能となる。
【0033】
したがって、部分負荷運転時であっても、サイクロン分離器200の導入口212における混合物の流速を、全負荷運転時における流速まで上げることができ、サイクロン分離器200の分離効率を維持することが可能となる。これにより、ガス化炉140が部分負荷運転時であっても、ガス化ガス精製装置300へ送出される飛散粒子の量を、全負荷運転時程度まで低減することができる。したがって、ガス化炉140においてガス化されるガス化原料の低減を抑制することができ、ガス化効率の低下を抑制することが可能となる。
【0034】
また、ガス化ガス精製装置300へ送出される飛散粒子の量を、全負荷運転時程度まで低減することができるため、ガス化ガス精製装置300による飛散粒子の処理負荷を低減することができる。
【0035】
ここで、ガス供給部250がサイクロン分離器200に供給する調整ガスは、流動媒体を流動層化させるためにガス化炉140に投入されるガス(ここでは、水蒸気)、ガス化ガス、二酸化炭素、および、不活性ガスの群から選択される1または複数である。かかる構成により、ガス化ガス精製装置300に送出されるガス化ガスの性質が変化してしまう事態を回避することができる。
【0036】
また、本実施形態にかかるガス化ガス生成システム100は、流量調整弁254を制御する制御部270を備える。制御部270は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働してガス化ガス生成システム100全体を管理および制御する。
【0037】
本実施形態において、制御部270は、ガス化炉140へのガス化原料の投入量と、ガス化炉140で生成されたガス化ガスの組成とに基づいて、ガス化ガスの流量を推定し、推定した流量に基づいて導入口212における混合物の流速を導出し、導出した流速が予め定められた閾値S未満である場合に、流量調整弁254の開度を制御して、サイクロン分離器200内に調整ガスを供給させる。
【0038】
制御部270を備える構成により、サイクロン分離器200に導入されるガス化ガスの流速をリアルタイムで推測することができ、遅延なくサイクロン分離器200の分離効率を維持することが可能となる。
【0039】
(サイクロン分離器200の運転方法)
続いて、ガス化ガス生成システム100におけるサイクロン分離器200の運転方法について説明する。
図3は、サイクロン分離器200の運転方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。当該処理は、予め定められた時間(例えば、1分)毎に遂行される。
【0040】
図3に示すように、まず、制御部270は、ガス化炉140へのガス化原料の投入量と、ガス化炉140で生成されたガス化ガスの組成とに基づいて、ガス化ガスの流量を推定する(S410)。そして、推定した流量に基づいて導入口212における混合物の流速(ガス化ガスの流速)を導出する(S412)。
【0041】
続いて、制御部270は、導出した流速が予め定められた閾値S未満であるか否かを判定し(S414)、閾値S未満である場合(S414におけるYES)、流量調整弁254が閉状態であるか否かを判定する(S416)。そして、流量調整弁254が閉状態である場合(S416におけるYES)、制御部270は、流量調整弁254を開いて(S418)、流量調整弁254の開度を調整して、導入口212を通じた、サイクロン分離器200内への調整ガスの供給を遂行させ(S420)、流量推定ステップS410に処理を戻す。また、流量調整弁254が開状態である場合(S416におけるNO)、制御部270は、流量調整弁254の開度を調整して、導入口212を通じた、サイクロン分離器200内への調整ガスの供給を遂行させ、流量推定ステップS410に処理を戻す。
(S420)。
【0042】
一方、導出した流速が閾値S未満でない、すなわち、閾値S以上である場合(S414におけるNO)、制御部270は、流量調整弁254が開状態であるか否かを判定する(S430)。そして、制御部270は、流量調整弁254が開状態である場合(S430におけるYES)、流量調整弁254を閉じて(S432)、流量推定ステップS410に処理を戻す。流量調整弁254が開状態でない、すなわち、閉じられている場合(S430におけるNO)、制御部270は、流量推定ステップS410に処理を戻す。
【0043】
以上説明したように、本実施形態にかかるガス化ガス生成システム100およびサイクロン分離器200の運転方法によれば、ガス化炉140が部分負荷運転している場合であっても、サイクロン分離器200による飛散粒子の捕集効率の低下を防止することが可能となる。
【0044】
(第2の実施形態:ガス化ガス生成システム500)
上述した第1の実施形態において、制御部270は、ガス化炉140へのガス化原料の投入量と、ガス化炉140で生成されたガス化ガスの組成とに基づいて、ガス化ガスの流量を推定している。本実施形態では、ガス化ガスの流量を測定する機構を備えたガス化ガス生成システム500について説明する。
【0045】
図4は、第2の実施形態にかかるガス化ガス生成システム500を説明するための図である。
図4中、気体、固体といった物質の流れを実線の矢印で示し、信号の流れを破線の矢印で示す。
【0046】
図4に示すように、ガス化ガス生成システム500は、燃焼炉110と、媒体分離器120と、熱交換器122と、灰集塵機124と、入口ループシール130と、ガス化炉140と、風箱142と、導入管144と、出口ループシール150と、サイクロン分離器200と、ガス供給部250と、ガス化ガス精製装置300と、流量測定部510と、制御部570とを含んで構成される。なお、上述した第1の実施形態におけるガス化ガス生成システム100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して重複説明を省略し、ここでは、構成の異なる流量測定部510と、制御部570について詳述する。
【0047】
流量測定部510は、ガス化ガス精製装置300を流通するガス化ガスの流量を測定する。流量測定部510は、ガス化ガス精製装置300を構成するいずれの機器、または、いずれの機器間のガス化ガスの流量を測定してもよいが、昇圧器の出口の流量を測定するとよい。昇圧器の上流は、ガス化ガスが負圧であるが、昇圧器の出口は、ガス化ガスが正圧となるため、容易に測定することができる。
【0048】
制御部570は、制御部270と同様に、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働してガス化ガス生成システム500全体を管理および制御する。
【0049】
本実施形態において、制御部570は、流量測定部510によって測定された流量に基づいて導入口212における混合物の流速を導出し、導出した流速が予め定められた閾値S未満である場合に、ガス供給部250(流量調整弁254の開度)を制御して、サイクロン分離器200内に調整ガスを供給させる。
【0050】
流量測定部510および制御部570を備える構成により、サイクロン分離器200に導入されるガス化ガスの流速を導出することができ、サイクロン分離器200の分離効率を維持することが可能となる。
【0051】
(第3の実施形態:ガス化ガス生成システム600)
上述した第1、第2の実施形態において、制御部270、570は、ガス化ガスの流量に基づいてガス供給部250を制御している。本実施形態では、他のトリガに基づいてガス供給部250を制御する構成について説明する。
【0052】
図5は、第3の実施形態にかかるガス化ガス生成システム600を説明するための図である。
図5中、気体、固体といった物質の流れを実線の矢印で示し、信号の流れを破線の矢印で示す。
【0053】
図5に示すように、ガス化ガス生成システム500は、燃焼炉110と、媒体分離器120と、熱交換器122と、灰集塵機124と、入口ループシール130と、ガス化炉140と、風箱142と、導入管144と、出口ループシール150と、サイクロン分離器200と、ガス供給部250と、ガス化ガス精製装置300と、濃度検出部610と、制御部670とを含んで構成される。なお、上述した第1の実施形態におけるガス化ガス生成システム100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して重複説明を省略し、ここでは、構成の異なる濃度検出部610と、制御部670について詳述する。
【0054】
濃度検出部610は、サイクロン分離器200から送出された飛散粒子の濃度を検出する。
【0055】
制御部670は、制御部270と同様に、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働してガス化ガス生成システム600全体を管理および制御する。
【0056】
本実施形態において、制御部670は、濃度検出部610によって検出された濃度が予め定められた閾値以上である場合に、ガス供給部250(流量調整弁254の開度)を制御して、サイクロン分離器200内に調整ガスを供給させる。
【0057】
濃度検出部610および制御部670を備える構成により、サイクロン分離器200から送出される飛散粒子の濃度に基づいてガス供給部250を制御することができ、ガス化炉140の運転状況に拘わらず、ガス化ガス精製装置300へ送出される飛散粒子の量を維持することができる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0059】
例えば、上記実施形態において、ガス供給部250が、サイクロン分離器200の導入口212にガスを供給する構成について説明したが、媒体分離器120の導入口に調整ガスを供給してもよい。
【0060】
また、上記実施形態において、循環流動層方式のガス化炉140を例に挙げて説明したが、ガス化原料をガス化するガス化炉であれば、単なる流動層方式のガス化炉や、流動媒体が自重で鉛直下方向に流下することで移動層を形成する移動層方式のガス化炉であってもよい。