(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
硬化性組成物
以下、本発明の硬化性組成物の構成成分について詳細に説明する。
本発明の硬化性組成物は、(A)成分と(B)成分とを含有するものである。以下、本発明の硬化性組成物の構成成分について詳細に説明する。
【0013】
−(A)重合体−
本発明の硬化性組成物は、下記式(1)で表される基、置換又は非置換の脂環式炭化水素基、及び重合性不飽和基を有する重合体(以下、「特定重合体」とも称する。)を含む。本発明の特定重合体は、露光及びポストベーク工程の際に架橋反応し、塗膜を硬化させる成分である。本発明の硬化性組成物は、特定重合体を含有することにより、現像性に優れ、高い製品歩留まりでカラーフィルタを形成することを可能とし、また驚くべきことに、本発明の硬化性組成物は、画素パターン上に水ムラを発生させないという効果をも奏する。
【0015】
〔式(1)において、R
1は炭素数2〜4のアルカンジイル基を表し、R
2は脂肪族炭化水素基を表し、nは1〜100の整数を表し、*は結合手を表す。但し、nが2以上の場合、複数存在するR
1は同一でも異なっていても良い。〕
【0016】
R
1における炭素数2〜4のアルカンジイル基としては、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基等を挙げることができ、中でも、炭素数2〜3のアルカンジイル基が好ましく、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基がより好ましい。
【0017】
R
2における脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基が好ましく、より具体的には、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基等を挙げることができる。また、アルケニル基としては、炭素数2〜12のアルケニル基が好ましく、具体的には、エテニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−エチル−2−ブテニル基、2−オクテニル基、(4−エテニル)−5−ヘキセニル基、2−デセニル基等が挙げられる。アルキニル基としては、炭素数2〜12のアルキニル基が好ましく、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−エチル-2−ブチニル基、2−オクチニル基、(4−エチニル)−5−ヘキシニル基、2−デシニル基等を挙げることができる。
これらのうち、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。前記アルキル基が直鎖アルキル基の場合、炭素数1〜6の直鎖アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。前記アルキル基が分岐アルキル基の場合、炭素数3〜10の分岐アルキル基が好ましく、2−エチルヘキシル基がより好ましい。
【0018】
nは1〜100の整数を表すが、1〜30の整数が好ましく、1〜15の整数がより好ましく、1〜10の整数が更に好ましく、1〜5の整数が特に好ましい。nが2以上の場合、複数存在するR
1は同一でも異なっていても良く、複数存在するR
1O基は任意の順序で結合していてもよい。複数存在するR
1が異なっている例としては、例えば炭素数2のアルカンジイル基と炭素数3のアルカンジイル基との組合せ、炭素数2のアルカンジイル基と、炭素数3のアルカンジイル基と、炭素数4のアルカンジイル基との組合せを挙げることができる。中でも、エチレン基とプロパン−1,2−ジイル基との組合せ、エチレン基とプロパン−1,3−ジイル基との組合せ、エチレン基と、プロパン−1,2−ジイル基と、ブタン−1,4−ジイル基との組合せ、エチレン基と、プロパン−1,3−ジイル基と、ブタン−1,4−ジイル基との組合せが好ましい。
【0019】
本発明の特定重合体は、式(1)で表される基を側鎖に有することが好ましく、具体的には、下記式(2)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0021】
〔式(2)において、Z
1は、−O−、−CO−、−C(=O)O−(*
1)、−CONH−(*
1)(但し、「*
1」は、R
1と結合する結合手である)又はフェニレン基を示し、R
3は水素原子又はメチル基を示し、R
1、R
2及びnは、式(1)におけるR
1、R
2及びnと同義である。〕
【0022】
式(2)におけるZ
1としては、−C(=O)O−(*
1)、−CONH−(*
1)(但し、「*
1」はR
1と結合する結合手である)が好ましく、−C(=O)O−(*
1)がより好ましい。
【0023】
本発明の特定重合体における、式(2)で表される繰り返し単位の含有割合は、全繰り返し単位中、通常0.1〜80質量%であるが、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、7〜30質量%が更に好ましく、10〜25質量%が特に好ましい。このような態様は、本発明の所望の効果が得られやすいという点で好ましい。
【0024】
本発明の特定重合体が有する脂環式炭化水素基としては、炭素数4〜30の脂環式炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数4〜18、更に好ましくは炭素数4〜12の脂環式炭化水素基である。脂環式炭化水素基には、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基、スピロ炭化水素基、環状テルペン炭化水素基等が包含される。
脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデカニル基、デカヒドロ−2−ナフチル基、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル基、ペンタシクロペンタデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、トリシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基等を挙げることができる。
これらの脂環式炭化水素基は、置換基としてアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボニル基等を有することもできる。前記アルキル基としては、前述と同様のものを挙げることができ、中でも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
これらの脂環式炭化水素基のうち、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基が好ましく、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、トリシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基がより好ましく、これらの基は、置換されていても、非置換でもよい。
【0025】
本発明の特定重合体は、脂環式炭化水素基を側鎖に有することが好ましく、具体的には、下記式(3)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0027】
〔式(3)において、Z
2は、−O−、−CO−、−C(=O)O−(*
2)、−CONH−(*
2)(但し、「*
2」はR
4と結合する結合手である)、又は−O−、−CO−、−C(=O)O−及び−CONH−よりなる群から選ばれる少なくとも1種とアルカンジイル基とを組み合わせてなる基を示し、R
4は置換又は非置換の脂環式炭化水素基を示し、R
5は水素原子又はメチル基を示す。〕
【0028】
Z
2におけるアルカンジイル基としては、前述と同様のものを挙げることができるが、炭素数2〜3のアルカンジイル基が好ましく、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基がより好ましい。
中でもZ
2としては、−C(=O)O−(*
2)、−CONH−(*
2)(但し、「*
2」はR
4と結合する結合手である)、又は−C(=O)O−とアルカンジイル基とを組み合わせてなる基が好ましく、−C(=O)O−(*
2)、又は−C(=O)O−とアルカンジイル基とを組み合わせてなる基がより好ましい。
また、R
4における脂環式炭化水素基としては、前述と同様のものを挙げることができ、好ましい態様も前記において説明したとおりである。
【0029】
本発明の特定重合体における、式(3)で表される繰り返し単位の含有割合は、全繰り返し単位中、通常0.1〜60質量%であるが、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜35質量%、更に好ましくは7〜25質量%である。このような態様は、本発明の所望の効果が得られやすいという点で好ましい。
【0030】
本発明の特定重合体が有する重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基等を挙げることができる。中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、特定重合体は、重合性不飽和基を側鎖に有することが好ましい。
【0031】
本発明の特定重合体のヨウ素価は5〜100g/100gであることが好ましく、より好ましくは10〜80g/100g、更に好ましくは20〜70g/100g、特に好ましくは30〜60g/100gである。ここで、本発明において「ヨウ素価」とは、後掲の方法により測定されるものである。
【0032】
本発明の特定重合体は、式(1)で表される基と、置換又は非置換の脂環式炭化水素基と、重合性不飽和基とを有する重合体である限り特に限定されるものではないが、更にカルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する重合体であることが好ましい。このような態様により、本発明の特定重合体にアルカリ現像性を付与することができる。前記酸性官能基としては、カルボキシル基が好ましい。特定重合体が酸性官能基を有する重合体である場合、その酸価は1〜200mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは30〜170mgKOH/g、更に好ましくは60〜150mgKOH/g、特に好ましくは80〜100mgKOH/gである。ここで、本発明において「酸価」とは、特定重合体溶液の溶媒を除いた不揮発分1gを中和するのに必要なKOHのmg数である。
【0033】
本発明においては、特定重合体として、例えば、
(A−1)(a1)式(1)で表される基を有する重合性不飽和化合物、(a6)置換又は非置換の脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和化合物、及び(a2)水酸基を有する重合性不飽和化合物を含有してなる単量体の共重合体(以下、「前駆共重合体(1)」ということがある。)に、(a3)不飽和イソシアネート化合物を反応させて得られる重合体(以下、「重合体(A−1)」ということがある。)、
(A−2)(a1)式(1)で表される基を有する重合性不飽和化合物、(a6)置換又は非置換の脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和化合物、及び(a4)不飽和カルボン酸を含有してなる単量体の共重合体(以下、「前駆共重合体(2)」ということがある。)に、(a5)オキシラニル基を有する重合性不飽和化合物を反応させて得られる重合体(以下、「重合体(A−2)」ということがある。)、並びに
(A−3)(a1)式(1)で表される基を有する重合性不飽和化合物、(a6)置換又は非置換の脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和化合物、及び(a5)オキシラニル基を有する重合性不飽和化合物を含有してなる単量体の共重合体(以下、「前駆共重合体(3)」ということがある。)に、(a4)不飽和カルボン酸を反応させて得られる重合体(以下、「重合体(A−3)」ということがある。)
よりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0034】
以下、(a1)式(1)で表される基を有する重合性不飽和化合物、(a2)水酸基を有する重合性不飽和化合物、(a3)不飽和イソシアネート化合物、(a4)不飽和カルボン酸、(a5)オキシラニル基を有する重合性不飽和化合物、及び(a6)置換又は非置換の脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和化合物を、それぞれ「化合物(a1)」、「化合物(a2)」、「化合物(a3)」、「化合物(a4)」、「化合物(a5)」、及び「化合物(a6)」ということがある。また、上記化合物(a1)〜(a6)以外の重合性不飽和化合物を以下、「化合物(a7)」ということがある。
【0035】
上記化合物(a1)としては、例えば、下記式(4)で表される化合物を挙げることができる。
【0037】
〔式(4)において、R
1、R
2及びnは、式(1)におけるR
1、R
2及びnと同義であり、R
3は、式(2)におけるR
3と同義である。〕
【0038】
このような式(4)で表される化合物としては、より具体的には、2−エチルヘキシルEO変性アクリレート(n≒2、商品名:アロニックスM−120)、以上、東亞合成株式会社製;
【0039】
ブトキシジエチレングリコールメタクリレート(n≒2、商品名:ライトエステルBC)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒9、商品名:ライトエステル130MA)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒30、商品名:ライトエステル041MA)、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート(n=2、商品名:ライトアクリレートEC−A)、メトキシ−トリエチレングリコールアクリレート(n=3、商品名:ライトアクリレートMTG−A)、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート(n=9、商品名:ライトアクリレート130A)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルメタアクリレート(n=2)、以上、共栄社化学(株)製;
【0040】
メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(n≒9、商品名:ブレンマーAME−400)、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート(n≒4、商品名:ブレンマーALE−200)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒2、商品名:ブレンマーPME−100)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒4、商品名:ブレンマーPME−200)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒9、商品名:ブレンマーPME−400)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒23、商品名:ブレンマーPME−1000)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒90、商品名:ブレンマーPME−4000)、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(R
2がエチレン基(n≒8)と1,3−プロパンジイル基(n≒6)との組合せ、商品名:ブレンマー50POEP−800B)、以上、日本油脂株式会社製;
【0041】
メトキシポリエチレングリコールアクリレート(n≒9、商品名:NKエステルAM−90G)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(n≒13、商品名:NKエステルAM−130G)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒2、商品名:NKエステルM−20G)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒4、商品名:NKエステルM−40G)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒9、商品名:NKエステル M−90G)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒23、商品名:NKエステルM−230G)、以上、新中村化学工業株式会社製;
等が挙げられる。なお、段落〔0038〕〜〔0041〕における「n」は平均重合度を示す。
【0042】
これらの化合物(a1)のうち、末端に炭素数1〜6の直鎖アルキル基を有するポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、末端に炭素数3〜10の分岐アルキル基を有するポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが、所望の効果をより一層得やすい点から好ましく、前記式(4)において、R
1がエチレン基、R
2がメチル基、n=4である化合物;R
1がエチレン基、R
2がメチル基、n=9である化合物;R
1がエチレン基、R
2が2−エチルヘキシル基、n=2である化合物;が特に好ましい。なお、R
3は、水素原子でも、メチル基でもよい。
化合物(a1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0043】
また、化合物(a2)としては、例えば、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシペンチルエステル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸7−ヒドロキシヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチルエステル、(メタ)アクリル酸9−ヒドロキシノニルエステル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシルエステル、(メタ)アクリル酸11−ヒドロキシウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシドデシルエステルの如き(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;
【0044】
(メタ)アクリル酸2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルエステル、(メタ)アクリル酸3−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)プロピルエステル、(メタ)アクリル酸4−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)ブチルエステル、(メタ)アクリル酸5−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸6−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)へキシルエステルの如き(メタ)アクリル酸(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)アルキルエステル;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートの如きポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;
4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、5−ヒドロキシメチルアセナフチレン、5−ヒドロキシアセナフチレン
等を挙げることができる。
メタクリル酸(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)アルキルエステルとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルエステルの混合物の市販品としては、商品名で、PLACCEL FM1D、FM2D(ダイセル化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
【0045】
また、(メタ)アクリル酸2−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−エチルエステル、(メタ)アクリル酸3−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−プロピルエステル、(メタ)アクリル酸4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸5−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸6−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−ヘキシルエステルの如き(メタ)アクリル酸(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−アルキルエステル等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−アルキルエステルとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルエステルの混合物の市販品としては、商品名で、HEMAC1(ダイセル化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
【0046】
さらに、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシ−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシメチル−シクロヘキシルメチルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシエチル−シクロヘキシルエチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルエチルエステル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−オクタヒドロ−4,7−メタノ−インデン−5−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル−オクタヒドロ−4,7−メタノ−インデン−5−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル−オクタヒドロ−4,7−メタノ−インデン−5−イルエチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−アダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシメチル−アダマンタン−1−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシエチル−アダマンタン−1−イルエチルエステルの如き脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;
【0047】
(メタ)アクリル酸1,2−ジヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸1,3−ジヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸3,4−ジヒドロキシブチルエステル、(メタ)アクリル酸3−[3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ]−2−ヒドロキシプロピルエステルの如き(メタ)アクリル酸ポリヒドロキシアルキルエステル
等を挙げることができる。
【0048】
これらのうち上記前駆共重合体(1)の合成に供される化合物(a2)としては、共重合反応性及び化合物(a3)との反応性の点から、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルエステル、(メタ)アクリル酸2−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−エチルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシメチル−シクロヘキシルメチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシメチル−アダマンタン−1−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピルエステル等が好ましい。
化合物(a2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0049】
上記化合物(a3)は、エチレン性不飽和結合とイソシアナト基を有する化合物であり、その具体例としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシフェニルイソシアネート、2−(p−ビニルフェニル)プロパン−2−イルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルイソシアネート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルイソシアネート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルイソシアネート、1,1−〔ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル〕エチルイソシアネート、1,1,1−〔トリス(メタ)アクリロイルオキシメチル〕メチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸2−(2−イソシアネートエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−〔2−(2−イソシアネートエトキシ)エトキシ〕エチル、(メタ)アクリル酸2−[2−〔2−(2−イソシアネートエトキシ)エトキシ〕エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−イソシアネートプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−〔2−(2−イソシアネートプロポキシ)プロポキシ〕エチル等を挙げることができる。
このような化合物(a3)のうち、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの市販品としては、商品名でカレンズAOI(昭和電工株式会社製)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの市販品としては、商品名でカレンズMOI(昭和電工株式会社製)、メタクリル酸2−(2−イソシアネートエトキシ)エチルの市販品としては、商品名でカレンズMOI―EG(昭和電工株式会社製)、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートの市販品としては、商品名でカレンズBEI(昭和電工株式会社製)を挙げることができる。
【0050】
これらの化合物(a3)のうち、化合物(a2)との反応性の点から、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネート、(メタ)メタクリル酸2−(2−イソシアネートエトキシ)エチル、1,1−〔ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル〕エチルイソシアネートが好ましい。
化合物(a3)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0051】
また、化合物(a4)としては、例えば、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸の如き不飽和モノカルボン酸;
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物;
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕の如き2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル;
ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートの如き両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート
等を挙げることができる。
【0052】
これらの化合物(a4)を前駆共重合体(2)の合成に用いる場合には、共重合反応性及び入手が容易である点から、(メタ)アクリル酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
一方、化合物(a4)を前駆共重合体(3)と反応させて重合体(A−3)を合成するために用いる場合には、化合物(a5)との反応性、入手容易性等の点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
化合物(a4)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0053】
また、化合物(a5)としては、例えば、
(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−グリシジルオキシエチル、(メタ)アクリル酸3−グリシジルオキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−グリシジルオキシブチルの如きオキシラニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチルの如きオキシラニル基を有するα−アルキルアクリル酸エステル;
1−ビニル−2,3−エポキシシクロヘキサン、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルの如きオキシラニル基を有するビニル化合物等を挙げることができる。
【0054】
これら化合物(a5)のうち、前駆共重合体(3)の合成に供する場合、及び前駆共重合体(2)と反応させて重合体(A−2)を合成するために用いる場合のいずれにおいても、オキシラニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル2−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸4−グリシジルオキシブチル又は(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルが、所望の効果が得られやすいという点から好ましい。
化合物(a5)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0055】
また、化合物(a6)としては、例えば、
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸−2−(メタ)クリロイロキシエチル(例えば、共栄社化学株式会社製:ライトエステルHO−HH)の如き置換又は非置換のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート(例えば、日立化成工業株式会社製:ファンクリルFA−513AS、又はファンクリルFA−513M)、イソボルニル(メタ)アクリレート(例えば、共栄社化学株式会社製:ライトエステルIB−X)、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート(例えば、日立化成工業株式会社製:ファンクリルFA−511AS)、ジシクロぺンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート(例えば、日立化成工業株式会社製:ファンクリルFA−512AS、又はファンクリルFA−512M)、トリシクロ−[5.2.1.0
2,6]−デカニル(メタ)アクリレート、トリシクロ−[5.2.1.0
2,6]−デカニルオキシエチル(メタ)アクリレートの如き置換又は非置換の橋かけ環炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル
等を挙げることができる。
【0056】
これら化合物(a6)のうち、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロぺンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ−[5.2.1.0
2,6]−デカニル(メタ)アクリレートが好ましい。
化合物(a6)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0057】
また、化合物(a7)は、前駆共重合体(1)〜(3)において共重合することがで
る上記化合物(a1)〜(a6)以外の重合性不飽和化合物であり、その具体例としては、例えば、
マレイミド;
N−フェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(アクリジニル)マレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−クロルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ビニルフェノール、m−ビニルフェノール、p−ビニルフェノール、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテルの如き芳香族ビニル化合物;
アセナフチレン、5−クロロアセナフチレンの如きアセナフチレン類;
インデン、1−メチルインデンの如きインデン類;
【0058】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸アリールエステル;
2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートの如き芳香環構造及びアルキレンオキサイド構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;
アリル(メタ)アクリレート;
【0059】
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルの如きカルボン酸ビニルエステル;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルの如き不飽和エーテル;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンの如きシアン化ビニル化合物;
(メタ)アクリルアミド、α−クロロアクリルアミドの如き不飽和アミド;
1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレンの如き脂肪族共役ジエン;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー
等を挙げることができる。
化合物(a7)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0060】
本発明において、化合物(a7)としては、N−位置換マレイミド、芳香族ビニル化合物、アセナフチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、アリル(メタ)アクリレート、芳香環構造及びアルキレンオキサイド構造を有する(メタ)アクリル酸エステル(但し、化合物(a1)を除く)が好ましく、特にN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、スチレン、α−メチルスチレン、アセナフチレン、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0061】
前駆共重合体(1)における化合物(a1)の共重合割合は、全繰り返し単位中、通常0.1〜80質量%であるが、1〜50が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、7〜30質量%が更に好ましく、10〜25質量%が特に好ましい。前駆共重合体(1)における化合物(a6)の共重合割合は、通常0.1〜60質量%であるが、1〜50質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましく、7〜25質量%が更に好ましい。前駆共重合体(1)における化合物(a2)の共重合割合は、通常5〜70質量%であるが、10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。
前駆共重合体(2)における化合物(a1)の共重合割合は、全繰り返し単位中、通常5〜80質量%であるが、1〜50が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、7〜30質量%が更に好ましく、10〜25質量%が特に好ましい。前駆共重合体(2)における化合物(a6)の共重合割合は、通常0.1〜60質量%であるが、1〜50質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましく、7〜25質量%が更に好ましい。前駆共重合体(2)における化合物(a4)の共重合割合は、通常5〜70質量%であるが、15〜55質量%が好ましく、25〜45質量%がより好ましい。
前駆共重合体(3)における化合物(a1)の共重合割合は、通常5〜80質量%であるが、1〜50が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、7〜30質量%が更に好ましく、10〜25質量%が更に好ましい。前駆共重合体(3)における化合物(a6)の共重合割合は、通常0.1〜60質量%であるが、1〜50質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましく、7〜25質量%が更に好ましい。前駆共重合体(3)における化合物(a5)の共重合割合は、通常5〜80質量%であるが、15〜70質量%が好ましく、25〜60質量%がより好ましい。
【0062】
さらに、前駆共重合体(1)においては、更に化合物(a4)を共重合しアルカリ可溶性を付与してもよく、また前駆共重合体(2)、(3)においては、更に化合物(a2)を共重合してもよい。前駆共重合体(1)における化合物(a4)の共重合割合は、10〜40質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましい。また、前駆共重合体(2)、(3)における化合物(a2)の共重合割合は、それぞれ、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
【0063】
前駆共重合体(1)〜(3)を合成するにあたって化合物(a1)〜(a6)の共重合割合を上記の範囲に設定することにより、重合体(A−1)〜(A−3)がゲル化することなく所望の転化率で合成可能となり、また得られる重合体(A−1)〜(A−3)を含有する硬化性組成物において所望の効果が得られやすいという点から好ましい。
【0064】
重合体(A−1)の合成における前駆共重合体(1)の有する水酸基と化合物(a3)との反応は、前駆共重合体(1)を含有する溶液中において、必要に応じて、触媒及び重合禁止剤の存在下に化合物(a3)を加えて反応させる方法により実施することができる。前駆共重合体(1)を含有する溶液としては、前駆共重合体(1)を合成した際の重合体溶液をそのまま用いてもよく、あるいは前駆共重合体(1)を一旦重合体溶液から分離したうえで改めて溶媒に溶解してもよい。
化合物(a3)の使用量は、前駆共重合体(1)の有する水酸基の合計に対して、好ましくは30〜100モル%であり、より好ましくは45〜100モル%である。このような態様とすることで、重合体溶液や硬化性組成物の保存安定性が良好になり、所望の効果が得やすくなる。
【0065】
重合体(A−2)の合成における前駆共重合体(2)の有するカルボキシル基と化合物(a5)との反応は、前駆共重合体(1)の代わりに前駆共重合体(2)を、また化合物(b3)の代わりに化合物(a5)をそれぞれ用いるほかは、上記重合体(A−1)の合成に準じて行うことができる。化合物(a5)の使用量は、前駆共重合体(2)の有するカルボキシル基の合計に対して、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%である。触媒としては、例えばテトラブチルアンモニウムブロミド、トリエチルアミン等を使用することができる。
重合体(A−2)を合成する際には、未反応のカルボキシル基が残存するよう化合物(a5)の使用量を調整することにより、重合体(A−2)にアルカリ可溶性を付与することもできる。
【0066】
重合体(A−3)の合成における前駆共重合体(3)の有するオキシラニル基と化合物(a4)との反応は、前駆共重合体(1)の代わりに前駆共重合体(3)を、また化合物(a3)の代わりに化合物(a4)をそれぞれ用いるほかは、上記重合体(A−1)の合成に準じて行うことができる。化合物(a4)の使用量は、前駆共重合体(3)の有するオキシラニル基の合計に対して、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%である。触媒としては、重合体(A−2)の合成において使用される触媒と同様のものを使用することができる。
【0067】
重合体(A−3)を合成する際には、前駆共重合体(3)と化合物(a4)との反応により生じた水酸基に対して、更に二塩基酸無水物や四塩基酸二無水物等の多塩基酸無水物を反応させることにより、重合体(A−3)にカルボキシル基を導入してアルカリ可溶性を付与することもできる。
このような多塩基酸無水物としては、例えば、
無水マレイン酸、無水フマル酸、無水シトラコン酸、無水メサコン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ハイミック酸無水物、フタル酸無水物、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物等の二塩基酸の無水物;
シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物等の三塩基酸以上の多塩基酸の一無水物;
シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ノルボルナンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物等の四塩基酸以上の多塩基酸の二無水物
等を挙げることができる。
【0068】
特定重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましくは3,000〜50,000、より好ましくは5,000〜30,000である。
また、特定重合体のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)の比(Mw/Mn)は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4である。Mwを上記範囲内とすることで、未露光部の基板上あるいは遮光層上での地汚れや膜残りの発生を抑制しやすくなる。
【0069】
本発明において、特定重合体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、特定重合体の含有量は、後述する(C)着色剤を含む着色硬化性組成物を構成する場合にあっては、(C)着色剤100重量部に対して、通常、5〜800重量部、好ましくは10〜500重量部である。このような態様とすることで、薄膜にしたときに所望の色濃度を達成しやすくなる。また、後述する(C)着色剤を含まない硬化性組成物を構成する場合にあっては、特定重合体の含有割合は、硬化性組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。ここで、本明細書において「固形分」とは、(B)溶媒以外の成分である。
【0070】
−(B)溶媒−
本発明の硬化性組成物は、(B)溶媒を配合して液状組成物として調製される。
上記溶媒としては、硬化性組成物を構成する(A)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0071】
このような溶媒としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0072】
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類;
【0073】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0074】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。
【0075】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、乳酸アルキルエステル類、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、他のエーテル類、ケトン類、ジアセテート類、アルコキシカルボン酸エステル類、他のエステル類が好ましく、特にプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
本発明において、溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。混合して使用する場合は、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類と(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類との組合せ、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とアルコキシカルボン酸エステル類との組合せが好ましい。
【0076】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、硬化性組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましい。このような態様とすることにより、塗布性、安定性の良好な硬化性組成物を得ることができ、また後述する(C)着色剤を含む着色硬化性組成物を調製する場合には、分散性、安定性の良好な着色硬化性組成物を得ることができる。
【0077】
−(C)着色剤−
本発明の硬化性組成物には、更に(C)着色剤を含有せしめることができる。これにより、例えば、カラーフィルタの着色層を形成するための着色硬化性組成物とすることができる。ここで、「着色層」とは、カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス等を意味する。着色剤としては着色性を有する限り特に限定されることなく使用することが可能であり、硬化性組成物の用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。本発明の硬化性組成物をカラーフィルタの着色層の形成に用いる場合、カラーフィルタには高い色純度、輝度、コントラスト等が求められることから、着色剤として顔料及び染料から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0078】
上記顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれでもよく、有機顔料の好ましい具体例としては、カラーインデックス(C.I.)名でC.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー80、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントバイオレット23等を挙げることができる。無機顔料の好ましい具体例としては、カーボンブラック、チタンブラック等を挙げることができる。
【0079】
顔料としてはレーキ顔料も好ましく、具体的には、トリアリールメタン系染料やキサンテン系染料をイソポリ酸やヘテロポリサン酸でレーキ化したものを挙げることができる。トリアリールメタン系レーキ顔料は、例えば、特開2011−186043号公報等に開示されている。キサンテン系レーキ顔料は、例えば、特開2010−191304号公報等に開示されている。
【0080】
また、上記染料としては、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、シアニン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料等が好ましい。より具体的には、特開2010−32999号公報、特開2010−254964号公報、特開2011−138094号公報、国際公開第10/123071号パンフレット、特開2011−116803号公報、特開2011−117995号公報、特開2011−133844号公報、特開2011−174987号公報等に記載の有機染料を挙げることができる。
本発明において顔料及び染料は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0081】
本発明においては、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用することができる。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0082】
本発明において着色剤として顔料を使用する場合、所望により、分散剤、分散助剤と共に使用することができる。上記分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の適宜の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等を挙げることができる。
【0083】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)等、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)等、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)等、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等を、それぞれ挙げることができる。
【0084】
また、上記顔料誘導体としては、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0085】
(C)着色剤の含有割合は、輝度が高く色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックスを形成する点から、通常、硬化性組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。なお本発明の硬化性組成物は、着色剤濃度が高い場合であっても現像性に優れ、カラーフィルタを高い製品歩留まりで形成することができるという効果を有するが、例えば、その着色剤濃度を30質量%以上、更に35質量%以上、特に40質量%以上とすることが可能である。
【0086】
−(D)重合性化合物−
本発明の硬化性組成物には、更に(D)重合性化合物(但し、上記(A)成分を除く。)を含有せしめることができる。このような態様は、本発明の硬化性組成物の硬化性を高めることができる点で好ましい。
本発明における重合性化合物とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物(但し、上記(A)成分を除く。)をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、重合性化合物としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0087】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0088】
ここで、脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0089】
また、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0090】
また、2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N',N',N'',N''−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0091】
これらの重合性化合物のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N',N',N'',N''−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
本発明において、(D)重合性化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0092】
本発明における(D)重合性化合物の含有量は、(C)着色剤を含む着色硬化性組成物を構成する場合にあっては、(A)特定重合体100質量部に対して、通常5〜500質量部、好ましくは20〜300質量部である。このような態様とすることで、十分な硬化性を得ることが可能であり、また本発明の硬化性組成物にアルカリ現像性を付与した場合に、アルカリ現像性が良好で、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生し難くなる。また、(C)着色剤を含まない硬化性組成物を構成する場合にあっては、(A)特定重合体100質量部に対して、通常10〜1500質量部、好ましくは30〜1000質量部である。
【0093】
−(E)光重合開始剤−
本発明の硬化性組成物には、(E)光重合開始剤を含有せしめることができる。これにより、硬化性組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上記(A)成分、及び任意に添加する(D)重合性化合物の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0094】
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。
【0095】
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。また、これら化合物の群から選ばれる2種以上を混合して使用することも好ましい。
【0096】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0097】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0098】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0099】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0100】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0101】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム系化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製)等を使用することもできる。
【0102】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0103】
本発明において、(E)光重合開始剤の含有量は、(A)特定重合体、並びに任意に添加する(D)重合性化合物及び(F)バインダー樹脂の合計100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。このような態様とすることで、露光により十分硬化させることができ、形成されたパターンが現像時に基板から脱落し難くなる。
【0104】
−(F)バインダー樹脂−
本発明の硬化性組成物には、(F)バインダー樹脂(但し、上記(A)成分を除く。)を含有せしめることができる。これにより、硬化性組成物のアルカリ可溶性、基板への結着性、保存安定性等を高めることができる。バインダー樹脂としては、上記(A)成分に該当しない限り特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」という。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(f1)」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(f2)」という。)との共重合体を挙げることができる。
【0105】
不飽和単量体(f1)としては、前述の化合物(a4)と同様のものを単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0106】
また、不飽和単量体(f2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
【0107】
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
【0108】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(f2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0109】
不飽和単量体(f1)と不飽和単量体(f2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0110】
本発明において、バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0111】
本発明において、(F)バインダー樹脂を使用する場合、その含有量は、(A)特定重合体100質量部に対して0.01〜100質量部、好ましくは0.1〜70質量部である。このような態様は、本発明の所望の効果が得られやすいという点で好ましい。
また、(F)バインダー樹脂と(A)特定重合体の合計含有量は、(C)着色剤を含む着色硬化性組成物を構成する場合にあっては、(C)着色剤100重量部に対して、通常、5〜800重量部、好ましくは10〜500重量部である。さらに、(C)着色剤を含まない硬化性組成物を構成する場合にあっては、(F)バインダー樹脂と(A)特定重合体の含有割合は、硬化性組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。
【0112】
−添加剤−
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0113】
本発明の硬化性組成物を着色硬化性組成物として用いる場合、着色硬化性組成物は適宜の方法により調製することができ、その調製方法としては、例えば、特開2008−58642号公報、特開2010−132874号公報等に開示されている方法を挙げることができる。着色剤として染料と顔料の両方を使用する場合、特開2010−132874号公報に開示されているように、染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液を、別途調製した顔料分散液等と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法を採用することができる。また、染料と、上記(A)成分、並びに必要に応じて使用する他の成分を溶媒に溶解し、得られた溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法を採用してもよい。また、染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液と、上記(A)成分、並びに必要に応じて使用する他の成分を混合・溶解し、得られた溶液を第2のフィルタに通し、更に第2のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第3のフィルタに通すことにより調製する方法も採用することができる。
【0114】
硬化膜及びその形成方法
本発明の硬化膜は、本発明の硬化性組成物を用いて形成されたものである。本発明の硬化膜としては、特に限定されるものではないが、例えば、カラーフィルタを構成する各色画素、ブラックマトリックス、保護膜、スペーサー、絶縁膜等を挙げることができる。以下、これらについて詳細に説明する。
【0115】
カラーフィルタを構成する着色層を形成する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、青色の着色剤を含む本発明の着色硬化性組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、青色の画素パターン(着色硬化膜)が所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0116】
次いで、緑色又は赤色の着色剤を含む各着色硬化性組成物を用い、上記と同様にして、各着色硬化性組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び赤色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0117】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤が分散された硬化性組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。本発明の硬化性組成物は、かかるブラックトリックスの形成にも好適に使用することができる。
【0118】
着色層を形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0119】
硬化性組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0120】
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0121】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
【0122】
画素及びブラックマトリックスから選ばれる少なくとも1種を形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は、190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0123】
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m
2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0124】
アルカリ現像液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0125】
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1.0〜3μmである。
【0126】
また、カラーフィルタを構成する着色層を形成する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、青色の着色剤を含む本発明の熱硬化性組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、青色の画素パターンを形成する。
【0127】
次いで、緑色又は赤色の着色剤を含む各熱硬化性組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び赤色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0128】
なお、隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の熱硬化性組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色の着色剤が分散された硬化性組成物を用いて形成される。
着色層を形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
【0129】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。保護膜やスペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された着色感放射線性組成物が用いられる。本発明の硬化性組成物は、かかる保護膜やスペーサーの形成にも好適に使用することができる。保護膜やスペーサーを形成する際の諸条件は、上記着色層の場合と同様である。
このようにして得られる本発明のカラーフィルタは、輝度及び色純度が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。
【0130】
表示素子
本発明の表示素子は、本発明の硬化膜を具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明の硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造を採ることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることができ、さらに薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極あるいはIZO(酸価インジュウムと酸化亜鉛との混合物)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。なお、後者の構造を採用する場合、ブラックマトリックスやスペーサーは、カラーフィルタを形成した基板側、ITO電極を形成した基板側のどちらに形成されていてもよい。また、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板を構成する層間絶縁膜として、本発明の硬化膜を適用することもできる。
【0131】
本発明の硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0132】
本発明の硬化膜を具備するカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
【0133】
また、本発明の硬化膜を具備する有機EL表示素子は、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造を挙げることができる。
また、本発明の硬化膜を具備する電子ペーパーは、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造を挙げることができる。
【0134】
ドライフィルム
本発明のドライフィルムは、本発明の硬化性組成物を用いて形成されたものである。本発明のドライフィルムは、本発明の硬化性組成物を無色透明なキャリアフィルムに塗布し、それを乾燥することによって得られる。
【0135】
前記無色透明なキャリアフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート等のフィルムを用いることができる。硬化性組成物は、水分によって物性や塗工条件に影響を受けるため、キャリアフィルムは低透湿性の樹脂フィルムであることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン及びポリプロピレン等のフィルムがより好ましい。
【0136】
キャリアフィルムの厚みは、通常15〜100μm、好ましくは15〜75μmの範囲にある。上記範囲の厚みのキャリアフィルムは、塗工性、付着性、ロール性、強靱性、コストなどに優れる。塗工性、付着性、ロール性、強靱性、コスト等を考慮すると、15〜100μm、好ましくは15〜40μmの範囲の厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムがさらに好ましい。
硬化性組成物のキャリアフィルムへの塗布は、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、コンマコーター、カーテンコーター、バーコーターなどの公知の手段を用いて行うことができる。硬化性組成物の乾燥温度は、熱によって硬化性組成物に含まれる成分が反応して不活性化しない程度の温度が望ましい。具体的には180℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である。
【実施例】
【0137】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0138】
<Mw及びMw/Mnの測定>
下記の各合成例で得た重合体のMw及びMnは、下記仕様のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)により測定した。
装置 :GPC−104(昭和電工株式会社製)。
カラム:KD−G、KF−603、KF−602、KF−601を結合して用いた。
移動相:テトラヒドロフラン。
【0139】
<酸価の測定>
下記の各合成例で得た重合体の酸価は、次の方法により測定した。
重合体溶液0.5gを1mgの単位まで精密に秤量し、硝子容器に取り分けた。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートにより50mLに希釈した後、フェノールフタレインを添加し、0.1Nエタノール性水酸化カリウム水溶液で滴定を行い、ピンク色に着色した点を終点とした。同様に空試験を行い、重合体と空試験の0.1Nエタノール性水酸化カリウム水溶液滴下量から酸価(単位:mgKOH/g)を算出した。
【0140】
<ヨウ素価の測定>
下記の各合成例で得た重合体のヨウ素価は、JIS K 0070:1992に規定の方法により測定した。測定値は、樹脂100gに結合するヨウ素の量をg数に換算した値として示した。
【0141】
<特定重合体及びバインダー樹脂の合成>
合成例1
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、シクロヘキサノン194.4質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60質量部、メタクリル酸60質量部、メタクリル酸ブチル30質量部、2−エチルヘキシルEO変性アクリレート(東亞合成株式会社製、M−120)30質量部及びシクロヘキシルメタクリレート18質量部の混合溶液、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテル45.6質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10.8質量部の混合溶液を2時間かけて各々滴下し、この温度を保持して1時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂(1)溶液を得た。得られた樹脂(1)は、Mw=8300、Mn=4500、Mw/Mn=1.84であった。
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、樹脂(1)溶液374.0質量部、テトラブチルアンモニウムブロミド1.91質量部、4−メトキシフェノール0.43質量部を仕込んで空気バブリングした。110℃に加熱して、同温度でメタクリル酸グリシジル56.1質量部(メタクリル酸のモル数に対して68モル%)を15分かけて滴下し、この温度を保持して9時間付加反応を行なった。次に、この溶液を室温まで冷却し、不揮発分が40質量%になるようシクロヘキサノンを加えることにより、樹脂(A−1)溶液を得た。得られた樹脂(A−1)は、Mw=14200、Mn=6800、Mw/Mn=2.09であり、ヨウ素価は43.5g/100gであった。樹脂(A−1)は特定重合体である。
【0142】
合成例2
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、シクロヘキサノン1216質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、シクロヘキサノン160質量部、メタクリル酸ブチル160質量部、2−エチルヘキシルEO変性アクリレート(東亞合成株式会社製、M−120)160質量部、トリシクロ−[5.2.1.0
2,6]−デカニル(メタ)アクリレート120質量部及びメタクリル酸グリシジル480質量部の混合溶液、並びにシクロヘキサノン224質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)56質量部の混合溶液を2時間かけて各々滴下し、この温度を保持して1時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂(2)溶液を得た。得られた樹脂(2)は、Mw=7200、Mn=4000、Mw/Mn=1.80であった。
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、樹脂(2)溶液を966質量部、テトラブチルアンモニウムブロミド6.15質量部、4−メトキシフェノール1.08質量部を仕込んで空気バブリングした。110℃に加熱して、同温度でメタクリル酸109.2質量部(メタクリル酸グリシジルのモル数に対して100モル%)を15分かけて滴下し、樹脂(3)溶液を得た。得られた樹脂(3)は、Mw=9600、Mn=5500、Mw/Mn=1.75であった。
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、樹脂(3)溶液を433質量部、テトラヒドロ無水フタル酸16.0質量部を仕込んで空気バブリング条件下、100℃にて6時間加熱攪拌し、付加反応を行った。次に、この溶液を室温まで冷却し、不揮発分が45質量%になるようシクロヘキサノンを加えることにより、樹脂(A−2)溶液を得た。得られた樹脂(A−2)は、Mw=11300、Mn=6300、Mw/Mn=1.79であり、ヨウ素価は53.6g/100gであった。樹脂(A−2)は特定重合体である。
【0143】
合成例3
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、シクロヘキサノン144質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、シクロヘキサノン48質量部、メタクリル酸28.8質量部、メタクリル酸ブチル18質量部、メタクリル酸メチル18質量部、2−エチルヘキシルEO変性アクリレート(東亞合成株式会社製、M−120)18質量部、シクロヘキシルメタクリレート18質量部及びメタクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピルエステル37.2質量部の混合溶液、並びにシクロヘキサノン48質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.4質量部の混合溶液を2時間かけて各々滴下し、この温度を保持して1時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合を行った。次に、この溶液を室温まで冷却し、不揮発分が33質量%になるようシクロヘキサノンを加えることにより、樹脂(A−3)溶液を得た。得られた樹脂(A−3)は、Mw=10700、Mn=5600、Mw/Mn=1.91であった。樹脂(A−3)は重合性不飽和基を有しないので、特定重合体には該当しない。
【0144】
合成例4
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、樹脂(A−3)溶液の全量を入れて溶液の温度を90℃に昇温させたのち、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製 カレンズMOI)34.3質量部(メタクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピルエステルのモル数に対して95モル%)及び4−メトキシフェノール0.36質量部の混合溶液を空気バブリング条件下、15分かけて滴下し、この温度を保持して1.5時間付加反応を行った。次に、この溶液を室温まで冷却し、不揮発分が36質量%になるようシクロヘキサノンを加えることにより、樹脂(A−4)溶液を得た。得られた樹脂(A−4)は、Mw=12800、Mn=6000、Mw/Mn=2.13であり、ヨウ素価は36.0g/100gであった。樹脂(A−4)は特定重合体である。
【0145】
合成例5
合成例1の樹脂(1)の合成において、2−エチルヘキシルEO変性アクリレート(東亞合成株式会社製、M−120)に代えて末端メチル変性ポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製:ブレンマーPME−200)を用いた以外は、樹脂(1)の合成と同様にして、樹脂(4)溶液を得た。
次に、合成例1の樹脂(A−1)の合成において、樹脂(1)溶液に代えて樹脂(4)を用いた以外は、樹脂(A−1)の合成と同様にして、樹脂(A−5)溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた樹脂(A−5)は、Mw=12300、Mn=6000、Mw/Mn=2.05であり、ヨウ素価は48.5g/100gであった。樹脂(A−5)は特定重合体である。
【0146】
合成例6
合成例2の樹脂(2)の合成において、2−エチルヘキシルEO変性アクリレート(東亞合成株式会社製、M−120)に代えて末端メチル変性ポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製:ブレンマーPME−200)を用いた以外は、樹脂(2)の合成と同様にして、樹脂(5)溶液を得た。得られた樹脂(5)は、Mw=7000、Mn=4100、Mw/Mn=1.71であった。
次に、合成例2の樹脂(3)の合成において、樹脂(2)溶液に代えて樹脂(5)溶液を用いた以外は、樹脂(3)の合成と同様にして、樹脂(6)溶液を得た。得られた樹脂(6)は、Mw=9800、Mn=5600、Mw/Mn=1.75であった。
次いで、合成例2の樹脂(A−2)の合成において、樹脂(3)溶液に代えて樹脂(6)溶液を用いた以外は、樹脂(A−2)の合成と同様にして、樹脂(A−6)溶液(固形分濃度=45質量%)を得た。得られた樹脂(A−6)は、Mw=11300、Mn=5800、Mw/Mn=1.95であり、ヨウ素価は57.6g/100gであった。樹脂(A−6)は特定重合体である。
【0147】
合成例7
合成例3において、2−エチルヘキシルEO変性アクリレート(東亞合成株式会社製、M−120)に代えて末端メチル変性ポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製:ブレンマーPME−200)を用いた以外は、合成例3と同様にして、樹脂(7)溶液を得た。
次いで、合成例4において、樹脂(A−3)溶液に代えて樹脂(7)溶液を用いた以外は、合成例4と同様にして、樹脂(A−7)溶液(固形分濃度=36%)を得た。得られた樹脂(A−7)は、Mw=12600、Mn=6000、Mw/Mn=2.10であり、ヨウ素価は44.0g/100gであった。樹脂(A−7)は特定重合体である。
【0148】
合成例8
合成例3において、シクロヘキシルメタクリレートを用いなかった以外は合成例3と同様にして、樹脂(8)溶液を得た。
次いで、合成例4において、樹脂(A−3)溶液に代えて樹脂(8)溶液を用いた以外は合成例4と同様にして、樹脂(A−8)溶液(固形分濃度=36%)を得た。得られた樹脂(A−8)は、Mw=11000、Mn=5300、Mw/Mn=2.08であり、ヨウ素価は131g/100gであった。樹脂(A−8)は置換又は非置換の脂環式炭化水素基を有しないので、特定重合体には該当しない。
【0149】
合成例9
合成例3において、2−エチルヘキシルEO変性アクリレート(東亞合成株式会社製、M−120)に代えてパラクミルフェノールEO変性アクリレート(東亞合成株式会社製、M−110)を用いた以外は合成例3と同様にして、樹脂(9)溶液(固形分濃度=36%)を得た。
次いで、合成例4において、樹脂(A−3)溶液に代えて樹脂(9)溶液を用いた以外は、合成例4と同様にして、樹脂(A−9)溶液(固形分濃度=36%)を得た。得られた樹脂(A−9)は、Mw=11700、Mn=5800、Mw/Mn=2.02であり、ヨウ素価は124g/100gであった。樹脂(A−9)は式(1)で表される基を有しないので、特定重合体には該当しない。
【0150】
合成例10
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート28質量部、N−フェニルマレイミド12質量部及びこはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部の混合溶液、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を2時間かけて各々滴下し、この温度を保持して1時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂(A−10)溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた樹脂(A−10)は、Mw=10500、Mn=5900、Mw/Mn=1.78であった。なお、樹脂(A−10)は(F)バインダー樹脂に相当する。
【0151】
合成例11
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、シクロヘキサノン1216質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、シクロヘキサノン160質量部、メタクリル酸ブチル160質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルメタアクリレート(共栄社化学株式会社製)160質量部、トリシクロ−[5.2.1.0
2,6]−デカニル(メタ)アクリレート120質量部及びメタクリル酸グリシジル480質量部の混合溶液、並びにシクロヘキサノン224質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)56質量部の混合溶液を2時間かけて各々滴下し、この温度を保持して1時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂(11−1)溶液を得た。得られた樹脂(11−1)は、Mw=6800、Mn=4000、Mw/Mn=1.70であった。
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、樹脂(11−1)溶液を966質量部、テトラブチルアンモニウムブロミド6.15質量部、4−メトキシフェノール1.08質量部を仕込んで空気バブリングした。110℃に加熱して、同温度でメタクリル酸109.2質量部(メタクリル酸グリシジルのモル数に対して100モル%)を15分かけて滴下し、樹脂(11−2)溶液を得た。得られた樹脂(11−2)は、Mw=10000、Mn=5600、Mw/Mn=1.79であった。
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、樹脂(11−2)溶液を433質量部、テトラヒドロ無水フタル酸16.0質量部を仕込んで空気バブリング条件下、100℃にて6時間加熱攪拌し、付加反応を行った。次に、この溶液を室温まで冷却し、不揮発分が45質量%になるようシクロヘキサノンを加えることにより、樹脂(A−11)溶液を得た。得られた樹脂(A−11)は、Mw=13300、Mn=7300、Mw/Mn=1.82であり、ヨウ素価は57.3g/100gであった。樹脂(A−11)は特定重合体である。
【0152】
<硬化性組成物の調製及び評価>
実施例1
赤色顔料分散液の調製
着色剤としてC.I.ピグメントレッド177を5.2質量部、C.I.ピグメントレッド254を7.8質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)を11.5質量部(固形分濃度=40質量%)、樹脂(A−1)溶液を11.0質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート63.0質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル1.5質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して赤色顔料分散液(r−1)を調製した。
【0153】
赤色硬化性組成物の調製
(C)着色剤として赤色顔料分散液(r−1)1240質量部、(A)特定重合体として樹脂(A−1)溶液40質量部、(D)重合性化合物としてペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亞合成株式会社製、アロニックスM−450)50質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)15質量部、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)](BASF社製、商品名IRGACURE OXE02)4.0質量部、フッ素系界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)0.65質量部、及び(B)溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート675質量部、3−メトキシブチルアセテート300質量部を混合して、固形分濃度約15質量%の赤色硬化性組成物(S−1)を調製した。なお、この赤色硬化性組成物(S−1)における着色剤の含有割合は、赤色硬化性組成物の固形分に対して45質量%である。
【0154】
抜け時間の評価
赤色硬化性組成物(S−1)を、表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が形成された直径4インチのソーダガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布したのち、ホットプレートにて90℃で1分間プレベークを行って、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。この基板に対して23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、溶出終了時間(ブレーキングタイム)の計測を行ない、25秒未満を「A」、25秒以上30秒未満を「B」、30秒以上を「C」とした。評価結果を表5に示す。なお、この時間早いほど、現像速度が速く、カラーフィルタ製造のタクトタイムを短縮できるという利点がある。
【0155】
現像液溶解性試験の評価
赤色硬化性組成物(S−1)を、ガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布した基板を5枚用意し、20分間、常温にて静置した。90℃のホットプレートで1分間プレベークを行って、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却した。直径200mmのシャーレに0.04質量%水酸化カリウム水溶液を30g計量し、赤色硬化性組成物(S−1)を塗布した基板5枚をディップ現像し、溶出させた水溶液を50mLのスクリュー瓶へ移した。この溶出液をガラス基板上に垂らし、光学顕微鏡にて不溶物の観察を行い、初期評価で沈殿物が確認されるもの、及び初期評価では沈殿物が確認されず3日後に沈殿物が確認されるものを「×」、初期評価では沈殿物が確認されず3日後に濁りがあるものを「△」、初期評価及び3日後のいずれでも沈殿物が確認されないものを「○」とした。評価結果を表5に示す。この評価が良好であれば、高い製品歩留まりでカラーフィルタを形成することができると言える。
【0156】
水ムラの評価
赤色硬化性組成物(S−1)を、ガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布した後、20分間、常温にて静置した。90℃のホットプレートで1分間プレベークを行って、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、基板上の塗膜に、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を400J/m
2の露光量で露光した。その後、基板上の塗膜に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1.5kgf/cm
2(ノズル径1mm)で、未露光部の塗膜が完全に剥離し更に5秒経過するまで吐出することによりシャワー現像を行った。次いで、超純水をリンス圧1.5kgf/cm
2 (ノズル径1mm)で60秒間吐出することによりリンス処理を行って、200μm×200μmのドットパターンを形成した。
エアブローによりドットパターンが形成された基板表面上の水分を除去した後、光学顕微鏡を用いて、20個のドットパターンを観察した。20個のパターンのうち10個以上のパターンに水ムラが観察される場合を「×」、1〜9個のパターンに水ムラが観察される場合を「△」、水ムラが全く観察されない場合を「○」として評価した。評価結果を表5に示す。
【0157】
パターン欠けの評価
赤色硬化性組成物(S−1)を、ガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布した後、20分間、常温にて静置した。90℃のホットプレートで1分間プレベークを行って、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、基板上の塗膜に、高圧水銀ランプを用い、90μm幅のストライプパターンを有するフォトマスクを介して、露光照度17mW、365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を400J/m
2の露光量で、かつ基板とマスク間距離を350μmへ拡張し、露光した。その後、基板上の塗膜に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1.5kgf/cm
2(ノズル径1mm)で、未露光部の塗膜が完全に剥離し更に30秒経過するまで吐出することによりシャワー現像を行った。次いで、超純水をリンス圧1.5kgf/cm
2 (ノズル径1mm)で60秒間吐出することによりリンス処理を行った後、エアブローによりストライプパターンが形成された基板表面上の水分を除去することにより、90μm幅のストラープパターンを形成した。
光学顕微鏡を用いて、上記ストライプパターン5本を観察した。5本のストライプパターンの中に10個以上の欠けが観察される場合を「×」、1〜9個の欠けが観察される場合を「△」、欠けが全く観察されない場合を「○」として評価した。評価結果を表5に示す。
【0158】
実施例2〜7及び比較例1〜3
実施例1において、重合体溶液、溶媒の種類及び量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、赤色顔料分散液(r−2)〜(r−10)を調製した。
次に、実施例1において、赤色顔料分散液、重合体溶液の種類及び量を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、赤色硬化性組成物(S−2)〜(S−10)を調製した。そして、得られた赤色硬化性組成物(S−2)〜(S−10)について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表5に示す。
【0159】
【表1】
【0160】
なお表1において、各成分は下記の通りである。
R177 :C.I.ピグメントレッド177
R254 :C.I.ピグメントレッド254
LPN21116:BYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)
PGMEA :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME :プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0161】
【表2】
【0162】
なお表2において、各成分は下記の通りである。
D−1:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亞合成株式会社製、アロニックスM−450)
E−1:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
E−2:エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)](BASF社製、商品名IRGACURE OXE02)
G−1:メガファックF−554(DIC株式会社製)
B−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
B−2:3−メトキシブチルアセテート
【0163】
実施例8
緑色顔料分散液の調製
着色剤としてC.I.ピグメントグリーン58を9.1質量部、C.I.ピグメントイエロー138を3.9質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)を11.5質量部(固形分濃度=40質量%)、分散助剤0.20質量部(オオダ化成株式会社製、商品名:α)、樹脂(A−1)溶液を11.0質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート63.0質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル1.5質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して緑色顔料分散液(g−1)を調製した。
【0164】
緑色硬化性組成物の調製
(C)着色剤として緑色顔料分散液(g−1)1190質量部、(A)特定重合体として樹脂(A−1)溶液93質量部、(D)重合性化合物としてペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亞合成株式会社製、アロニックスM−450)50質量部、光重合開始剤としてアデカアークルズNCI−831(株式会社ADEKA社製)10質量部、フッ素系界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)0.65質量部、及び(B)溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート637質量部、3−メトキシブチルアセテート400質量部を混合して、固形分濃度約15質量%の緑色硬化性組成物(S−11)を調製した。なお、この緑色硬化性組成物(S−11)における着色剤の含有割合は、緑色硬化性組成物の固形分に対して43質量%である。
得られた緑色硬化性組成物(S−11)について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表5に示す。
【0165】
実施例9〜14及び比較例4〜6
実施例8において、重合体溶液、溶媒の種類及び量を表3に示すように変更した以外は実施例8と同様にして、緑色顔料分散液(g−2)〜(g−10)を調製した。
次に、実施例8において、緑色顔料分散液、重合体溶液の種類及び量を表4に示すように変更した以外は実施例8と同様にして、緑色硬化性組成物(S−12)〜(S−20)を調製した。そして、得られた緑色硬化性組成物(S−12)〜(S−20)について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表5に示す。
【0166】
【表3】
【0167】
なお表3において、各成分は下記の通りである。
G58 :C.I.ピグメントグリーン58
Y138 :C.I.ピグメントイエロー138
LPN21116:BYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)
PGMEA :プロピレングルコールモノメチルエーテルアセテート
PGME :プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0168】
【表4】
【0169】
なお表4において、各成分は下記の通りである。
D−1:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亞合成株式会社製、アロニックスM−450)
E−3:アデカアークルズNCI−831(株式会社ADEKA社製)
G−1:メガファックF−554(DIC株式会社製)
B−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
B−2:3−メトキシブチルアセテート
【0170】
【表5】
【0171】
<カラーフィルタの製造>
青色硬化性組成物の調製
実施例15
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:6/C.I.ピグメントバイオレット23=95/5混合物を15.0質量部、分散剤としてDisperbyk−2001(ビックケミー(BYK)社製)を2.2質量部(固形分濃度=46質量%)、樹脂(A−4)溶液を8.3質量部、樹脂(A−10)溶液を7.5質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=9/1混合溶媒67.0質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して青色顔料分散液(b−1)を調製した。
次に、(C)着色剤として青色顔料分散液(b−1)980質量部、(A)特定重合体として樹脂(A−4)溶液120質量部、(D)重合性化合物としてペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亞合成株式会社製、アロニックスM−450)60質量部、光重合開始剤としてエタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)](BASF社製、商品名IRGACURE OXE02)10質量部、フッ素系界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)0.65質量部、及び(B)溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート650質量部、3−メトキシブチルアセテート150質量部、3−エトキシプロピオン酸エチル50質量部を混合して、固形分濃度約15質量%の青色硬化性組成物(S−21)を調製した。なお、この青色硬化性組成物(S−21)における着色剤の含有割合は、青色硬化性組成物の固形分に対して39質量%である。
【0172】
保護膜層を備えるパターンの形成
実施例16
(A)特定重合体として樹脂(A−2)溶液を100質量部、(D)重合性化合物としてペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亞合成株式会社製、アロニックスM−450)を200質量部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名エピコート152)を40質量部、密着促進剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを5質量部、界面活性剤としてFTX−218(株式会社ネオス社製)を0.2質量部、及び(B)溶媒としてジエチレングリコールメチルエチルエーテルを混合して、固形分濃度20質量%の保護膜形成用熱硬化性組成物(S−22)を調製した。
次に、実施例2で得られた赤色硬化性組成物(S−2)を、ガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布した後、20分間、常温にて静置した。90℃のホットプレートで1分間プレベークを行って、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、基板上の塗膜に、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を400J/m
2の露光量で露光した。その後、基板上の塗膜に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1.5kgf/cm
2(ノズル径1mm)で、未露光部の塗膜が完全に剥離し更に5秒経過するまで吐出することによりシャワー現像を行った。次いで、超純水をリンス圧1.5kgf/cm
2 (ノズル径1mm)で60秒間吐出することによりリンス処理を行った後、230℃のオーブン中で30分間ポストベークを行って、赤色のストライプ状パターンを形成した。この赤色のストライプ状パターン上には水ムラが発生しなかった。
次いで、同様に操作して、実施例9の緑色硬化性組成物(S−12)を用いて緑色のストライプ状パターンを形成した。さらに、実施例15の青色硬化性組成物(S−21)を用いて青色のストライプ状パターンを形成した。これら緑色のストライプ状パターン及び青色のストライプ状パターン上には水ムラが発生しなかった。このようにして得られたストライプ状着色パターン上に、上記保護膜形成用熱硬化性組成物(S−22)を、スリットアンドスピンコータを用いて塗布した。80℃のホットプレートで2分間プレベークを行って塗膜を形成し、更に180℃のクリーンオーブン内で60分間ポストベークを行うことにより、膜厚1.5μmの保護膜を形成した。得られた基板を基板(1)とする。
【0173】
スペーサーを備えるカラーフィルタの作成
実施例17
(A)特定重合体として樹脂(A−2)溶液を50質量部、(D)重合性化合物としてペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亞合成株式会社製、アロニックスM−450)を200質量部、及び1,9-ノナンジアクリレートを10質量部、光重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン(商品名イルガキュア907、BASF社製)5質量部、アデカアークルズNCI−831(株式会社ADEKA社製)5質量部、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール5質量部及び4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン5質量部、密着促進剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを5質量部、界面活性剤としてFTX−218(株式会社ネオス社製)を0.5質量部、保存安定剤として4−メトキシフェノールを0.5質量部、並びに(B)溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合して、固形分濃度約30質量%のスペーサー形成用硬化性組成物(S−23)を調製した。
次いで、実施例16で得られたストライプ状着色パターン及び保護膜が形成された基板(1)上に、透明導電膜をスパッタリングにより形成した。次に、上記スペーサー形成用硬化性組成物(S−23)を、スリットアンドスピンコータを用いて塗布し、100℃のホットプレート上で3分間プレベークして、膜厚3.5μmの被膜を形成した。得られた被膜に、高圧水銀ランプを用い、10μm角の残しパターンのフォトマスクを介して、500J/m
2の露光量で露光した。その後、0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いて25℃で現像した後、純水で1分間洗浄し、更に180℃のオーブン中で30分間ポストベークすることにより、スペーサーを形成した。このようにして、赤、緑及び青の3色のストライプ状パターンを有するカラーフィルタを製造した。得られたカラーフィルタをCF(1)とする。
【0174】
実施例18
実施例16において、樹脂(A−2)溶液に代えて樹脂(A−4)溶液を用いた以外は実施例16と同様にして、保護膜形成用熱硬化性組成物(S−24)を調製した。
次に、緑色硬化性組成物(S−12)に代えて緑色硬化性組成物(S−17)を用い、保護膜形成用熱硬化性組成物(S−22)に代えて保護膜形成用熱硬化性組成物(S−24)を用いた以外は実施例16と同様にして、保護膜層を備えるパターンを形成した。得られた基板を基板(2)とする。
【0175】
実施例19
実施例17において、樹脂(A−2)溶液に代えて樹脂(A−1)溶液を用いた以外は実施例17と同様にして、スペーサー形成用硬化性組成物(S−25)を調製した。
次に、スペーサー形成用硬化性組成物(S−23)に代えてスペーサー形成用硬化性組成物(S−25)を用い、基板(1)に代えて基板(2)を用いた以外は実施例17と同様にして、カラーフィルタを製造した。得られたカラーフィルタをCF(2)とする。
【0176】
CF(1)及びCF(2)の製造時には、画素パターン上に水ムラが発生しなかったので、効率よくカラーフィルタを製造することができた。
【0177】
次いで、CF(1)又はCF(2)を用いて2つの液晶表示素子を製造した。得られた2つのカラー液晶表示素子は、優れた表示特性と信頼性を示した。
【0178】
<ドライフィルムの製造>
実施例20
(A)特定重合体として樹脂(A−2)溶液265質量部、(D)重合性化合物としてペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亞合成株式会社製、アロニックスM−450)を132質量部、光重合開始剤としてエタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)](BASF社製、商品名IRGACURE OXE02)1質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェノルフォスフィンオキサイド(BASF社製、イルガキュアー819)を3質量部、及び(B)溶媒としてプロリレングリコールモノメチルエーテル/3-メトキシプロピオン酸メチル=1/1の混合溶媒を混合して、固形分濃度約35質量%のドライフィルム形成用硬化性組成物(S−26)を調製した。
得られたドライフィルム形成用硬化性組成物(S−26)をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムにワイヤーバーを用いて膜厚5μmになるように塗布し、100℃のホットプレート上で2分間プレベークした。次いで、上記PETフィルムに形成した被膜を、ラミネーター(ロール温度90℃)を用いてPC(ポリカーボネート)フィルムに転写した。
得られた被膜に、高圧水銀ランプを用い、ストライプパターンのフォトマスクを介して、100J/m
2の露光量で露光した。その後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて25℃で50秒現像した後、純水で1分間洗浄し、続いて500J/m
2の露光量でポスト露光し、更に135℃のオーブン中で90分間ポストベークすることによりドライフィルムを得た。
【0179】
得られたドライフィルムを用いて、特許第4733184号明細書の段落〔0121〕に記載の方法に準じてタッチスクリーンパネル用の保護膜を作成した。この保護膜付きのタッチスクリーンパネルは、優れた密着性、硬度、薬液耐性を示した。