(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の第1の態様及び第2の態様に係る発光素子の製造方法、本開示の発光素子、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の第1の態様に係る発光素子の製造方法、)
3.実施例2(本開示の第2の態様に係る発光素子の製造方法、本開示の発光素子)
4.実施例3(実施例1及び実施例2の変形)、その他
【0013】
[本開示の第1の態様及び第2の態様に係る発光素子の製造方法、本開示の発光素子、全般に関する説明]
本開示の第1の態様若しくは第2の態様に係る発光素子の製造方法にあっては、前記工程(e)における第1化合物半導体層の第1面及び第1光反射層あるいは凸部の露出を、化学的/機械的研磨法(CMP法)に基づき行う形態とすることができる。尚、先ず、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液、アンモニア溶液+過酸化水素水、硫酸溶液+過酸化水素水、塩酸溶液+過酸化水素水、リン酸溶液+過酸化水素水等を用いたウェットエッチング法や、ドライエッチング法、レーザを用いたリフトオフ法、機械研磨法等によって、あるいは、これらの組合せによって、発光素子製造用基板の除去を行い、あるいは、発光素子製造用基板の厚さを薄くし、次いで、化学的/機械的研磨法を実行することで、第1化合物半導体層の第1面等を露出させる。
【0014】
上記の好ましい形態を含む本開示の第2の態様に係る発光素子の製造方法にあっては、前記工程(f)において第1化合物半導体層の第1面上に第1電極を形成する前に、第1電極を形成すべき第1化合物半導体層の第1面の部分をエッチングする形態とすることができる。そして、この場合、前記工程(f)における、凸部の除去、第1光反射層の形成、第1化合物半導体層のエッチング、第1電極の形成の手順として、以下の手順を挙げることができる。
(f−1)凸部の除去、第1光反射層の形成、第1化合物半導体層のエッチング、第1電極の形成
(f−2)凸部の除去、第1化合物半導体層のエッチング、第1光反射層の形成、第1電極の形成
(f−3)凸部の除去、第1化合物半導体層のエッチング、第1電極の形成、第1光反射層の形成
(f−4)第1化合物半導体層のエッチング、凸部の除去、第1光反射層の形成、第1電極の形成
(f−5)第1化合物半導体層のエッチング、凸部の除去、第1電極の形成、第1光反射層の形成
(f−6)第1化合物半導体層のエッチング、第1電極の形成、凸部の除去、第1光反射層の形成
【0015】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の第1の態様若しくは第2の態様に係る発光素子の製造方法にあっては、第1電極を形成すべき第1化合物半導体層の第1面の部分を、反応性イオンエッチング法(RIE法)に基づきエッチングする形態とすることができる。但し、反応性イオンエッチング法の代わりに、反応性イオンビームエッチング(RIBE)法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)エッチング法、イオンビームエッチング法等とすることもできる。エッチング用ガスとして、CF
4等のフッ素系ガス、Cl
2、CCl
4、SiCl
4等の塩素系ガス、HI等のヨウ素系ガスを挙げることができ、これらのエッチング用ガスを単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
【0016】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の第2の態様に係る発光素子の製造方法において、前記工程(a)において形成される凸部は、頂面が底面よりも小さい形態とすることができる。
【0017】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の第1の態様若しくは第2の態様に係る発光素子の製造方法又は本開示の発光素子にあっては、第1光反射層の面積重心点を通る第1光反射層に対する法線上に、第2光反射層の面積重心点は存在しない形態とすることができる。
【0018】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の第1の態様若しくは第2の態様に係る発光素子の製造方法又は本開示の発光素子にあっては、第1光反射層の面積重心点を通る第1光反射層に対する法線上に、活性層の面積重心点は存在しない形態とすることができる。
【0019】
第1光反射層や凸部が形成された発光素子製造用基板上に、第1化合物半導体層を、ELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)法等の横方向にエピタキシャル成長させる方法を用いて、横方向成長により形成したとき、第1光反射層や凸部の縁部から第1光反射層や凸部の中心部に向かってエピタキシャル成長する第1化合物半導体層が会合すると、会合部分に結晶欠陥が多く発生する場合がある。この結晶欠陥が多く存在する会合部分が素子領域(後述する)の中心部に位置すると、発光素子の特性に悪影響が生じる虞がある。第1光反射層の面積重心点を通る第1光反射層に対する法線上に第2光反射層の面積重心点が存在しない形態、第1光反射層の面積重心点を通る第1光反射層に対する法線上に活性層の面積重心点が存在しない形態とすることで、発光素子の特性への悪影響の発生を確実に抑制することができる。
【0020】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の第1の態様若しくは第2の態様に係る発光素子の製造方法又は本開示の発光素子において、第1光反射層と第1電極とは接している構成とすることができる。あるいは又、第1光反射層と第1電極とは離間しており、即ち、オフセットを有しており、離間距離は1mm以内である構成とすることができる。そして、この場合、本開示の第2の態様に係る発光素子の製造方法又は本開示の発光素子にあっては、第1光反射層と第1電極との間に第1化合物半導体層の突起部分が存在する構成とすることができる。第1光反射層内に位置する素子領域(後述する)と第1電極とが離れると、電流は、第1化合物半導体層中を長い距離、流れることになる。それ故、この電流経路において生ずる電気抵抗を低く抑えるために、離間距離は1mm以内であることが好ましい。
【0021】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様若しくは第2の態様に係る発光素子の製造方法又は本開示の発光素子において、第1光反射層から第2光反射層まで距離は、0.15μm以上、50μm以下であることが好ましい。
【0022】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様若しくは第2の態様に係る発光素子の製造方法又は本開示の発光素子にあっては、活性層において生成した光は、第1光反射層を介して外部に出射される形態とすることができる。そして、この場合、第1化合物半導体層の第1面と接する第1光反射層の部分(第2光反射層と対向する第1光反射層の部分)の面積をS
1、第2化合物半導体層の第2面に対向する第2光反射層の部分(第1光反射層と対向する第2光反射層の部分)の面積をS
2としたとき、
S
1>S
2
を満足することが望ましい。
【0023】
また、第1光反射層の面積重心点を通る第1光反射層に対する法線上に第2光反射層の面積重心点が存在しない形態、第1光反射層の面積重心点を通る第1光反射層に対する法線上に活性層の面積重心点が存在しない形態において、第1化合物半導体層の第1面と接する第1光反射層の部分(第2光反射層と対向する第1光反射層の部分)であって、素子領域(後述する)を構成する部分の面積をS
3、第2化合物半導体層の第2面に対向する第2光反射層の部分(第1光反射層と対向する第2光反射層の部分)であって、素子領域を構成する部分の面積をS
4としたとき、
S
3>S
4
を満足することが望ましい。
【0024】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の発光素子において、第2光反射層は支持基板に固定されている形態とすることができる。
【0025】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様若しくは第2の態様に係る発光素子の製造方法において、第1光反射層と接する第1化合物半導体層の第1面の部分(凹部の底面)の表面粗さRaの値は3×10
-9m以下であり、第1電極が形成される第1化合物半導体層の第1面の部分の表面粗さRaの値は、第1光反射層と接する第1化合物半導体層の第1面の部分(凹部の底面)の表面粗さRaの値を超える形態とすることができる。尚、表面粗さRaは、JIS B−610:2001に規定されている。表面粗さRaは、具体的には、AFMや断面TEMに基づく観察に基づき測定することができる。
【0026】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様若しくは第2の態様に係る発光素子の製造方法において、第1光反射層と接する第1化合物半導体層の第1面の部分(凹部の底面)の接触抵抗値をR
1、第1電極が形成される第1化合物半導体層の第1面の部分の接触抵抗値をR
2としたとき、
R
2/R
1≦1
を満足することが望ましい。
【0027】
第1化合物半導体層の第1面における第1光反射層と第1電極の配置状態として、上述したとおり、第1光反射層と第1電極とが接している状態を挙げることができるし、あるいは又、第1光反射層と第1電極とが離間している状態を挙げることができるし、場合によっては、第1光反射層の縁部の上にまで第1電極が形成されている状態、第1電極の縁部の上にまで第1光反射層が形成されている状態を挙げることもできる。ここで、第1電極の縁部の上にまで第1光反射層が形成されている状態とする場合、第1電極は、レーザ発振の基本モード光を出来る限り吸収しないように、或る程度の大きさの開口部を有する必要がある。開口部の大きさは、基本モードの波長や横方向(第1化合物半導体層の面内方向)の光閉じ込め構造によって変化するので、限定するものではないが、おおよそ発振波長λの数倍のオーダーであることが好ましい。
【0028】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様若しくは第2の態様に係る発光素子の製造方法又は本開示の発光素子において、第1電極は金属又は合金から成る形態とすることができるし、第2電極は透明導電性材料から成る形態とすることができる。第2電極を透明導電性材料から構成することで、電流を横方向(第2化合物半導体層の面内方向)に広げることができ、効率良く、素子領域(次に述べる)に電流を供給することができる。第2電極は第2化合物半導体層の第2面上に形成されており、第2光反射層は第2電極上に形成されていることが好ましい。
【0029】
ここで、「素子領域」とは、狭窄された電流が注入される領域、あるいは又、屈折率差等により光が閉じ込められる領域、あるいは又、第1光反射層と第2光反射層で挟まれた領域の内、レーザ発振が生じる領域、あるいは又、第1光反射層と第2光反射層で挟まれた領域の内、実際にレーザ発振に寄与する領域を指す。
【0030】
発光素子は、上述したとおり、第1化合物半導体層の頂面から第1光反射層を介して光を出射する面発光レーザ素子(垂直共振器レーザ、VCSEL)から成る構成とすることができるし、あるいは又、第2化合物半導体層の頂面から第2光反射層を介して光を出射する面発光レーザ素子から成る構成とすることもできる。
【0031】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の発光素子、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様若しくは第2の態様に係る発光素子の製造方法(以下、これらを総称して、単に、『本開示』と呼ぶ場合がある)において、積層構造体は、具体的には、AlGaInN系化合物半導体から成る構成とすることができる。ここで、AlGaInN系化合物半導体として、より具体的には、GaN、AlGaN、GaInN、AlGaInNを挙げることができる。更には、これらの化合物半導体に、所望に応じて、ホウ素(B)原子やタリウム(Tl)原子、ヒ素(As)原子、リン(P)原子、アンチモン(Sb)原子が含まれていてもよい。活性層は、量子井戸構造を有することが望ましい。具体的には、単一量子井戸構造(QW構造)を有していてもよいし、多重量子井戸構造(MQW構造)を有していてもよい。量子井戸構造を有する活性層は、井戸層及び障壁層が、少なくとも1層、積層された構造を有するが、(井戸層を構成する化合物半導体,障壁層を構成する化合物半導体)の組合せとして、(In
yGa
(1-y)N,GaN)、(In
yGa
(1-y)N,In
zGa
(1-z)N)[但し、y>z]、(In
yGa
(1-y)N,AlGaN)を例示することができる。第1化合物半導体層を第1導電型(例えば、n型)の化合物半導体から構成し、第2化合物半導体層を第1導電型とは異なる第2導電型(例えば、p型)の化合物半導体から構成することができる。第1化合物半導体層、第2化合物半導体層は、第1クラッド層、第2クラッド層とも呼ばれる。第2電極と第2化合物半導体層との間に、電流狭窄構造が形成されていることが好ましい。第1化合物半導体層、第2化合物半導体層は、単一構造の層であってもよいし、多層構造の層であってもよいし、超格子構造の層であってもよい。更には、組成傾斜層、濃度傾斜層を備えた層とすることもできる。
【0032】
電流狭窄構造を得るためには、第2電極と第2化合物半導体層との間に絶縁材料(例えば、SiO
2やSiN、Al
2O
3)から成る電流狭窄層を形成してもよいし、あるいは又、第2化合物半導体層をRIE法等によりエッチングしてメサ構造を形成してもよいし、あるいは又、積層された第2化合物半導体層の一部の層を横方向から部分的に酸化して電流狭窄領域を形成してもよいし、第2化合物半導体層に不純物をイオン注入して導電性が低下した領域を形成してもよいし、あるいは、これらを、適宜、組み合わせてもよい。但し、第2電極は、電流狭窄により電流が流れる第2化合物半導体層の部分と電気的に接続されている必要がある。
【0033】
発光素子製造用基板として、GaN基板、サファイア基板、GaAs基板、SiC基板、アルミナ基板、ZnS基板、ZnO基板、AlN基板、LiMgO基板、LiGaO
2基板、MgAl
2O
4基板、InP基板、Si基板、これらの基板の表面(主面)に下地層やバッファ層が形成されたものを挙げることができる。GaN系化合物半導体層を基板に形成する場合、GaN基板の使用が欠陥密度の少ないことから好ましい。GaN基板は成長面によって、極性/無極性/半極性と特性が変わることが知られているが、GaN基板のいずれの主面も化合物半導体層の形成に使用することができる。また、これらの基板の主面に関して、結晶構造(例えば、立方晶型や六方晶型等)によっては、所謂A面、B面、C面、R面、M面、N面、S面等の名称で呼ばれる結晶方位面、あるいは、これらを特定方向にオフさせた面等を用いることもできる。発光素子を構成する各種の化合物半導体層の形成方法として、有機金属化学的気相成長法(MOCVD法,MOVPE法)や分子線エピタキシー法(MBE法)、ハロゲンが輸送あるいは反応に寄与するハイドライド気相成長法等を挙げることができる。
【0034】
ここで、MOCVD法における有機ガリウム源ガスとして、トリメチルガリウム(TMG)ガスやトリエチルガリウム(TEG)ガスを挙げることができるし、窒素源ガスとして、アンモニアガスやヒドラジンガスを挙げることができる。n型の導電型を有するGaN系化合物半導体層の形成においては、例えば、n型不純物(n型ドーパント)としてケイ素(Si)を添加すればよいし、p型の導電型を有するGaN系化合物半導体層の形成においては、例えば、p型不純物(p型ドーパント)としてマグネシウム(Mg)を添加すればよい。GaN系化合物半導体層の構成原子としてアルミニウム(Al)あるいはインジウム(In)が含まれる場合、Al源としてトリメチルアルミニウム(TMA)ガスを用いればよいし、In源としてトリメチルインジウム(TMI)ガスを用いればよい。更には、Si源としてモノシランガス(SiH
4ガス)を用いればよいし、Mg源としてシクロペンタジエニルマグネシウムガスやメチルシクロペンタジエニルマグネシウム、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp
2Mg)を用いればよい。尚、n型不純物(n型ドーパント)として、Si以外に、Ge、Se、Sn、C、Te、S、O、Pd、Poを挙げることができるし、p型不純物(p型ドーパント)として、Mg以外に、Zn、Cd、Be、Ca、Ba、C、Hg、Srを挙げることができる。
【0035】
支持基板は、例えば、発光素子製造用基板として例示した各種の基板から構成すればよいし、あるいは又、AlN等から成る絶縁性基板、Si、SiC、Ge等から成る半導体基板、金属製基板や合金製基板から構成することもできるが、導電性を有する基板を用いることが好ましく、あるいは又、機械的特性、弾性変形、塑性変形性、放熱性等の観点から金属製基板や合金製基板を用いることが好ましい。支持基板の厚さとして、例えば、0.05mm乃至0.5mmを例示することができる。第2光反射層の支持基板への固定方法として、半田接合法、常温接合法、粘着テープを用いた接合法、ワックス接合を用いた接合法等、既知の方法を用いることができるが、導電性の確保という観点からは半田接合法あるいは常温接合法を採用することが望ましい。例えば導電性基板であるシリコン半導体基板を支持基板として使用する場合、熱膨張係数の違いによる反りを抑制するために、400゜C以下の低温で接合可能な方法を採用することが望ましい。支持基板としてGaN基板を使用する場合、接合温度が400゜C以上であってもよい。
【0036】
第1電極は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、Ti(チタン)、バナジウム(V)、タングステン(W)、クロム(Cr)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、錫(Sn)及びインジウム(In)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属(合金を含む)を含む、単層構成又は多層構成を有することが望ましく、具体的には、例えば、Ti/Au、Ti/Al、Ti/Al/Au、Ti/Pt/Au、Ni/Au、Ni/Au/Pt、Ni/Pt、Pd/Pt、Ag/Pdを例示することができる。尚、多層構成における「/」の前の層ほど、より活性層側に位置する。以下の説明においても同様である。第1電極は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等のPVD法にて成膜することができる。
【0037】
第2電極を構成する透明導電性材料として、インジウム−錫酸化物(ITO,Indium Tin Oxide,SnドープのIn
2O
3、結晶性ITO及びアモルファスITOを含む)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO,Indium Zinc Oxide)、IFO(FドープのIn
2O
3)、酸化錫(SnO
2)、ATO(SbドープのSnO
2)、FTO(FドープのSnO
2)、酸化亜鉛(ZnO、AlドープのZnOやBドープのZnOを含む)を例示することができる。あるいは又、第2電極として、ガリウム酸化物、チタン酸化物、ニオブ酸化物、ニッケル酸化物等を母層とする透明導電膜を挙げることができる。但し、第2電極を構成する材料として、第2光反射層と第2電極との配置状態に依存するが、透明導電性材料に限定するものではなく、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、金(Au)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)等の金属を用いることもできる。第2電極は、これらの材料の少なくとも1種類から構成すればよい。第2電極は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等のPVD法にて成膜することができる。
【0038】
第1電極や第2電極上に、外部の電極あるいは回路と電気的に接続するために、パッド電極を設けてもよい。パッド電極は、Ti(チタン)、アルミニウム(Al)、Pt(白金)、Au(金)、Ni(ニッケル)、Pd(パラジウム)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属を含む、単層構成又は多層構成を有することが望ましい。あるいは又、パッド電極を、Ti/Pt/Auの多層構成、Ti/Auの多層構成、Ti/Pd/Auの多層構
成、Ti/Ni/Auの多層構成、Ti/Ni/Au/Cr/Auの多層構成に例示される多層構成とすることもできる。第1電極をAg層あるいはAg/Pd層から構成する場合、第1電極の表面に、例えば、Ni/TiW/Pd/TiW/Niから成るカバーメタル層を形成し、カバーメタル層の上に、例えば、Ti/Ni/Auの多層構成あるいはTi/Ni/Au/Cr/Auの多層構成から成るパッド電極を形成することが好ましい。
【0039】
光反射層(分布ブラッグ反射鏡層、Distributed Bragg Reflector 層、DBR層)は、例えば、半導体多層膜や誘電体多層膜から構成される。誘電体材料としては、例えば、Si、Mg、Al、Hf、Nb、Zr、Sc、Ta、Ga、Zn、Y、B、Ti等の酸化物、窒化物(例えば、AlN、AlGaN、GaN、BN等)、又は、フッ化物等を挙げることができる。具体的には、SiO
2、TiO
2、Nb
2O
5、ZrO
2、Ta
2O
5、ZnO、Al
2O
3、HfO
2、AlN等を例示することができる。そして、これらの誘電体材料の内、屈折率が異なる誘電体材料から成る2種類以上の誘電体膜を交互に積層することにより、光反射層を得ることができる。例えば、SiO
2/SiN、SiO
2/Nb
2O
5、SiO
2/ZrO
2、SiO
2/AlN等の多層膜が好ましい。所望の反射率を得るために、各誘電体膜を構成する材料、膜厚、積層数等を、適宜、選択すればよい。各誘電体膜の厚さは、用いる材料等により、適宜、調整することができ、発振波長λ、用いる材料の発振波長λでの屈折率nによって決定される。具体的には、λ/(4n)の奇数倍とすることが好ましい。例えば、発振波長λが410nmの発光素子において、光反射層をSiO
2/Nb
2O
5から構成する場合、40nm乃至70nm程度を例示することができる。積層数は、2以上、好ましくは5乃至20程度を例示することができる。光反射層全体の厚さとして、例えば、0.6μm乃至1.7μm程度を例示することができる。
【0040】
あるいは又、第1光反射層は、少なくともN(窒素)原子を含んだ誘電体膜を備えていることが望ましく、更には、このN原子を含んだ誘電体膜は、誘電体多層膜の最上層であることが一層望ましい。あるいは又、第1光反射層は、少なくともN(窒素)原子を含んだ誘電体材料層によって被覆されていることが望ましい。あるいは又、第1光反射層の表面に対して窒化処理を施すことで、第1光反射層の表面を、少なくともN(窒素)原子を含んだ層(以下、便宜上、『表面層』と呼ぶ)とすることが望ましい。少なくともN原子を含んだ誘電体膜あるいは誘電体材料層、表面層の厚さは、λ/(4n)の奇数倍とすることが好ましい。少なくともN原子を含んだ誘電体膜あるいは誘電体材料層を構成する材料として、具体的には、SiN
y、SiO
xN
yを挙げることができる。このように、少なくともN原子を含んだ誘電体膜あるいは誘電体材料層、表面層を形成することで、第1光反射層を覆う化合物半導体層を形成したとき、第1光反射層を覆う化合物半導体層の結晶軸と発光素子製造用基板の結晶軸のずれを改善することが可能となり、共振器となる積層構造体の品質を高めることが可能となる。
【0041】
光反射層は、素子領域を覆う限り、大きさ及び形状は特に限定されない。素子領域、第1光反射層、第2光反射層、電流狭窄層に設けられた開口の平面形状として、同様に、具体的には、円形、楕円形、矩形、多角形(三角形、四角形、六角形等)を挙げることができる。また、第1電極の平面形状として環状を挙げることができる。素子領域、第1光反射層、第2光反射層、流狭窄層に設けられた開口の平面形状、環状の第1電極の内側環部の平面形状、更には、後述する凸部の平面形状は、相似形であることが望ましい。円形の場合、直径2μm乃至70μm程度であることが好ましい。
【0042】
光反射層は、周知の方法に基づき形成することができ、具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、ECRプラズマスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法等のPVD法;各種CVD法;スプレー法、スピンコート法、ディップ法等の塗布法;これらの方法の2種以上を組み合わせる方法;これらの方法と、全体又は部分的な前処理、不活性ガス(Ar、He、Xe等)又はプラズマの照射、酸素ガスやオゾンガス、プラズマの照射、酸化処理(熱処理)、露光処理のいずれか1種以上とを組み合わせる方法等を挙げることができる。
【0043】
凸部(選択成長用マスク層)を構成する材料として、SiO
2、SiN、SiONといった半導体酸化物あるいは半導体窒化物;Nb
2O
5、Ta
2O
5、ZrO
2、AlN、Al
2O
3;Ti、W、Ni、Au、Ptといった金属や高融点金属、あるいは、これらの金属を適切な組成で調整した合金(例えば、TiW、TiWCr、TiWNi、NiCr、TiNiCr、又は、これら合金とAu、あるいは、これら合金とPtとの合金等);高融点金属(合金)酸化物;高融点金属(合金)窒化物;これらの異なる材料や金属、合金、合金酸化物、合金窒化物を組み合わせた多層構造(例えば、下から、酸化シリコン層、窒化シリコン層の積層構造);レジスト材料を例示することができる。凸部の形成方法として、スパッタリング法等の物理的気相成長法(PVD法)や化学的気相成長法(CVD法)、塗布法と、リソグラフィ技術やエッチング技術との組合せを挙げることができる。また、凸部の除去は、凸部を構成する材料に依存して、ウェットエッチング法を採用してもよいし、ドライエッチング法を採用してもよいし、アッシング技術を用いてもよい。凸部は、帯状等の1次元的配置であってもよいし、点在し、あるいは、散在する曲線形状(円形、楕円形等)や曲線の組合せ、曲線と線分の組合せ、多角形形状(三角形、四角形、六角形等)を有する2次元的配置であってもよい。
【0044】
また、積層構造体の側面や露出面を絶縁膜で被覆してもよい。絶縁膜の形成は、周知の方法に基づき行うことができる。絶縁膜を構成する材料の屈折率は、積層構造体を構成する材料の屈折率よりも小さいことが好ましい。絶縁膜を構成する材料として、SiO
2を含むSiO
X系材料、SiN
Y系材料、SiO
XN
Y系材料、Ta
2O
5、ZrO
2、AlN、Al
2O
3、Ga
2O
3を例示することができるし、あるいは又、ポリイミド樹脂等の有機材料を挙げることもできる。絶縁膜の形成方法として、例えば真空蒸着法やスパッタリング法といったPVD法、あるいは、CVD法を挙げることができるし、塗布法に基づき形成することもできる。
【実施例1】
【0045】
実施例1は、本開示の第1の態様に係る発光素子の製造方法に関する。
【0046】
模式的な一部端面図を
図1Aに示す実施例1の発光素子の製造方法によって得られる発光素子、あるいは又、後述する実施例2〜実施例3の発光素子は、
(A)GaN系化合物半導体から成り、第1面21a、及び、第1面21aと対向する第2面21bを有する第1化合物半導体層21、
GaN系化合物半導体から成り、第1化合物半導体層21の第2面21bと接する活性層(発光層)23、及び、
GaN系化合物半導体から成り、第1面22a、及び、第1面22aと対向する第2面22bを有し、第1面22aが活性層23と接する第2化合物半導体層22、
が積層されて成る積層構造体20、
(B)第1電極31、及び、第1光反射層41、並びに、
(C)第2化合物半導体層22の第2面22b上に形成された第2電極32及び多層膜から成る第2光反射層42、
を備えている。
【0047】
そして、実施例1、あるいは又、後述する実施例2〜実施例3の発光素子において、第1電極31は、少なくとも第1化合物半導体層21の第1面21a上に形成されており、多層膜から成る第1光反射層41は、第1化合物半導体層21の第1面21a上に形成されている。
【0048】
実施例1、あるいは又、後述する実施例2〜実施例3の発光素子は、具体的には、第1化合物半導体層21の頂面から第1光反射層41を介して光を出射する面発光レーザ素子(垂直共振器レーザ、VCSEL)から成る。
【0049】
実施例1、あるいは又、後述する実施例2〜実施例3の発光素子においては、第2電極32と第2化合物半導体層22との間に、SiO
2といった絶縁材料から成る電流狭窄層24が形成されている。電流狭窄層24には円形の開口24Aが形成されており、この開口24Aの底部に第2化合物半導体層22が露出している。第2電極32は、第2化合物半導体層22の第2面22b上から電流狭窄層24上に亙り形成されており、第2光反射層42は第2電極32上に形成されている。更には、第2電極32の縁部の上には、外部の電極あるいは回路と電気的に接続するためのパッド電極33が接続されている。実施例1、あるいは又、後述する実施例2の発光素子において、素子領域の平面形状は円形であり、第1光反射層41、第2光反射層42、電流狭窄層24に設けられた開口24Aの平面形状も円形である。一方、第1電極31の平面形状は環状(リング状)である。尚、第1光反射層41及び第2光反射層42は多層構造を有するが、図面の簡素化のため、1層で表している。また、電流狭窄層24の形成は、必須ではない。
【0050】
実施例1の発光素子にあっては、第1光反射層41と第1電極31とは離間しており、即ち、オフセットを有しており、離間距離は1mm以内、具体的には、例えば、平均0.05mmである。
【0051】
実施例1、あるいは又、後述する実施例2〜実施例3の発光素子において、第2光反射層42は、金(Au)層あるいは錫(Sn)を含む半田層から成る接合層25を介して、シリコン半導体基板から構成された支持基板26に半田接合法に基づき固定されている。
【0052】
そして、実施例1、あるいは又、後述する実施例2〜実施例3の発光素子にあっては、活性層23において生成した光は、第1光反射層41を介して外部に出射される。第1化合物半導体層21の第1面21aと接する第1光反射層41の部分(第2光反射層42と対向する第1光反射層41の部分)の面積をS
1、第2化合物半導体層22の第2面に対向する第2光反射層42の部分(第1光反射層41と対向する第2光反射層42の部分)の面積をS
2としたとき、
S
1>S
2
を満足する。また、第1光反射層41から第2光反射層42まで距離は、0.15μm以上、50μm以下であり、具体的には、例えば、10μmである。
【0053】
第1化合物半導体層21はn−GaN層から成り、活性層23はIn
0.04Ga
0.96N層(障壁層)とIn
0.16Ga
0.84N層(井戸層)とが積層された5重の多重量子井戸構から成り、第2化合物半導体層22はp−GaN層から成る。また、第1電極31はTi/Pt/Auから成り、第2電極32は、透明導電性材料、具体的には、ITOから成り、パッド電極33はTi/Pd/
Auから成り、第1光反射層41及び第2光反射層42は、SiN層とSiO
2層の積層構造(誘電体膜の積層総数:20層)から成る。
【0054】
以下、積層構造体等の模式的な一部端面図である
図3A、
図3B、
図3C、
図4A、
図4B、
図5A及び
図5Bを参照して、実施例1の発光素子の製造方法を説明する。
【0055】
[工程−100]
先ず、発光素子製造用基板11上に、多層膜から成り、凸形状を有する第1光反射層41を形成する。具体的には、GaN基板から成る発光素子製造用基板11上に、周知の方法に基づき、多層膜から成り、パターニングされた第1光反射層41を形成する。こうして、
図3Aに示す構造を得ることができる。第1光反射層41の形状は円盤状である。但し、第1光反射層41の形状はこれに限定するものではない。
【0056】
[工程−110]
次に、第1光反射層41を含む発光素子製造用基板11上に、
GaN系化合物半導体から成り、第1面21a、及び、第1面21aと対向する第2面21bを有する第1化合物半導体層21、
GaN系化合物半導体から成り、第1化合物半導体層21の第2面21bと接する活性層23、及び、
GaN系化合物半導体から成り、第1面22a、及び、第1面22aと対向する第2面22bを有し、第1面22aが活性層23と接する第2化合物半導体層22、
が積層されて成る積層構造体20を形成する。具体的には、ELO法等の横方向にエピタキシャル成長させる方法を用いて、横方向成長により、n−GaNから成る第1化合物半導体層21を形成し、更に、その上に、エピタキシャル成長法に基づき、活性層23、第2化合物半導体層22を形成することで、積層構造体20を得ることができる。次いで、第2化合物半導体層22の第2面22b上に、周知の方法に基づき、開口24Aを有する電流狭窄層24を形成する(
図3B参照)。
【0057】
[工程−120]
その後、第2化合物半導体層22の第2面22b上に第2電極32及び多層膜から成る第2光反射層42を形成する。具体的には、例えば、リフトオフ法に基づき、第2化合物半導体層22の第2面22bの上から電流狭窄層24の上に亙り、第2電極32を形成し、更に、第2電極32の上から電流狭窄層24の上に亙り、周知の方法に基づきパッド電極33を形成する。こうして、
図3Cに示す構造を得ることができる。その後、第2電極32の上からパッド電極33の上に亙り、周知の方法に基づき第2光反射層42を形成する。こうして、
図4Aに示す構造を得ることができる。
【0058】
[工程−130]
その後、第2光反射層42を、接合層25を介して支持基板26に固定する。こうして、
図4Bに示す構造を得ることができる。
【0059】
[工程−140]
次いで、発光素子製造用基板11を除去して、第1化合物半導体層21の第1面21a及び第1光反射層41を露出させる。具体的には、先ず、機械研磨法に基づき、発光素子製造用基板11の厚さを薄くし、次いで、CMP法に基づき、発光素子製造用基板11の残部を除去する。こうして、第1化合物半導体層21の第1面21a及び第1光反射層41を露出させ、
図5Aに示す構造を得ることができる。
【0060】
[工程−150]
その後、第1化合物半導体層21の第1面21aをエッチングする。具体的には、露出した第1化合物半導体層21の第1面21aを、RIE法に基づきエッチングする(
図5B参照)。これによって、第1化合物半導体層21の第1面21aに粗面領域21Aが形成される。
【0061】
[工程−160]
次に、少なくともエッチングされた第1化合物半導体層21の第1面21a上に第1電極31を形成する。具体的には、エッチングされた第1化合物半導体層21の第1面21aの上に(粗面領域21Aの上に)、周知の方法に基づき第1電極31を形成する。こうして、
図1Aに示す構造を有する実施例1の発光素子を得ることができる。
【0062】
ここで、第1光反射層41と第1化合物半導体層21の第1面21aとの界面における第1化合物半導体層21の面(以下、便宜上、『平坦面21B』と呼ぶ)の表面粗さRaの値は3×10
-9m以下であり、粗面領域21Aの表面粗さRaの値は平坦面21Bの表面粗さRaの値を超える。具体的には、平坦面21Bの表面粗さRaの値は0.2nmであり、粗面領域21Aの表面粗さRaの値は3.1nmであった。
【0063】
また、平坦面21Bにおける接触抵抗値をR
1、粗面領域21Aにおける接触抵抗値をR
2としたとき、
R
2/R
1≦1
を満足する。具体的には、平坦面21BにおけるIVカーブはショットキー型であり、粗面領域21AにおけるIVカーブはオーミック型であった。
【0064】
[工程−170]
その後、所謂素子分離を行うことで発光素子を分離し、積層構造体の側面や露出面を、例えば、SiO
2から成る絶縁膜で被覆する。その後、第1電極31やパッド電極33を外部の回路等に接続するために端子等を周知の方法に基づき形成し、パッケージや封止することで、実施例1の発光素子を完成させる。
【0065】
実施例1の発光素子の製造方法にあっては、第1光反射層が形成されている状態で発光素子製造用基板を除去する。それ故、第1光反射層が、発光素子製造用基板の除去時に一種のストッパーとして機能する結果、発光素子製造用基板面内における発光素子製造用基板の除去バラツキ、更には、第1化合物半導体層の厚さバラツキの発生を抑制することができ、共振器の長さの均一化を図ることができる結果、得られる発光素子の特性の安定化を達成することができる。しかも、第1光反射層と第1化合物半導体層との界面における第1化合物半導体層の面(平坦面)は平坦であるが故に、平坦面での光の散乱を最小限に抑えることができる。更には、第1電極は粗面領域に形成されているので、第1化合物半導体層と第1電極との間の接触抵抗の上昇を抑制することができる。
【0066】
以上に説明し、
図1Aに示した発光素子の例では、第1電極31の端部は第1光反射層41から離間している。一方、
図1Bに示す発光素子の例では、第1電極31の端部は第1光反射層41と接している。
【0067】
また、
図2に示す発光素子の例では、第1電極31の端部は、第1光反射層41の縁部の上に亙り形成されている。第1電極31が第1光反射層41の縁部の上まで延在している場合、第1電極31には、レーザ発振の基本モード光を出来る限り吸収しないような開口部31A、例えば、直径5μm乃至50μmの開口部31Aが形成されている。以下の説明においても同様である。あるいは又、粗面領域21Aにおける第1面21aが、平坦面21Bよりも下方に位置する構造とすることもできる。
【実施例2】
【0068】
実施例2は、本開示の第2の態様に係る発光素子の製造方法、及び、本開示の発光素子に関する。実施例2の発光素子の模式的な一部端面図を
図6Aに示すが、実施例2の発光素子の構成、構造は、第1光反射層41、第1電極31及びこれらの周辺の構成、構造が若干異なる点を除き、実質的に、実施例1の発光素子の構成、構造と同様である。それ故、実施例2の発光素子にあっては、第1光反射層41、第1電極31及びこれらの周辺の構成、構造を、専ら説明する。
【0069】
模式的な一部端面図を
図6Aに示す実施例2の発光素子にあっては、第1化合物半導体層21の第1面21aには、側面21Eが順テーパーの凹部21Cが形成されている。即ち、この凹部21Cは、活性層側に位置する底面21Dが、第1化合物半導体層21の第1面21aに位置する開口部21Fよりも小さい。そして、第1光反射層41は少なくとも凹部21Cに形成されており、第1電極31は少なくとも第1化合物半導体層21の第1面21a上に形成されている。第1電極31の端部は第1光反射層41から離間している。
【0070】
以下、積層構造体等の模式的な一部端面図である
図13A、
図13B、
図13C、
図14A、
図14B、
図15A、
図15B、
図16を参照して、実施例2の発光素子の製造方法を説明する。
【0071】
[工程−200]
先ず、発光素子製造用基板11上に、第1化合物半導体層21を構成する材料とは異なる材料から成る凸部(選択成長用マスク層)51を形成する。具体的には、GaN基板から成る発光素子製造用基板11上に、例えばエッチバック法等の周知の方法に基づき、SiO
2から成り、パターニングされた凸部51を形成する。凸部51の頂面51Aは凸部51の底面51Bよりも小さい。こうして、
図13Aに示す構造を得ることができる。凸部51の形状は切頭円錐状である。但し、凸部51の形状は、これに限定するものではない。
【0072】
[工程−210]
次に、凸部51を含む発光素子製造用基板11上に、
GaN系化合物半導体から成り、第1面21a、及び、第1面21aと対向する第2面
21bを有する第1化合物半導体層21、
GaN系化合物半導体から成り、第1化合物半導体層21の第2面21bと接する活性層23、及び、
GaN系化合物半導体から成り、第1面22a、及び、第1面22aと対向する第2面22bを有し、第1面22aが活性層23と接する第2化合物半導体層22、
が積層されて成る積層構造体20を形成する。具体的には、ELO法等の横方向にエピタキシャル成長させる方法を用いて、横方向成長により、n−GaNから成る第1化合物半導体層21を形成し、更に、その上に、エピタキシャル成長法に基づき、活性層23、第2化合物半導体層22を形成することで、積層構造体20を得ることができる。次いで、第2化合物半導体層22の第2面22b上に、周知の方法に基づき、開口24Aを有する電流狭窄層24を形成する(
図13B参照)。
【0073】
[工程−220]
その後、第2化合物半導体層22の第2面22b上に第2電極32及び多層膜から成る第2光反射層42を形成する。具体的には、例えば、リフトオフ法に基づき、第2化合物半導体層22の第2面22bの上から電流狭窄層24の上に亙り、第2電極32を形成し、更に、第2電極32の上から電流狭窄層24の上に亙り、周知の方法に基づきパッド電極33を形成する。こうして、
図13Cに示す構造を得ることができる。その後、第2電極32の上からパッド電極33の上に亙り、周知の方法に基づき第2光反射層42を形成する。こうして、
図14Aに示す構造を得ることができる。
【0074】
[工程−230]
その後、第2光反射層42を、接合層25を介して支持基板26に固定する。こうして、
図14Bに示す構造を得ることができる。
【0075】
[工程−240]
次いで、発光素子製造用基板11を除去して、第1化合物半導体層21の第1面21a及び凸部51を露出させる。具体的には、先ず、機械研磨法に基づき、発光素子製造用基板11の厚さを薄くし、次いで、CMP法に基づき、発光素子製造用基板11の残部を除去する。こうして、第1化合物半導体層21の第1面21a及び凸部51を露出させ、
図15Aに示す構造を得ることができる。
【0076】
[工程−250]
その後、凸部51を除去し、少なくとも凸部51が除去された第1化合物半導体層21の第1面21aの部分の上に多層膜から成る第1光反射層41を形成し、第1電極31を形成すべき第1化合物半導体層21の第1面21aの部分の上に第1電極31を形成する。
【0077】
具体的には、凸部51の除去、第1光反射層41の形成、第1電極31の形成を、この順序で行う。即ち、先ず、周知の方法に基づき、SiO
2から成る凸部51を除去する。こうして、
図15Bに示す構造を得ることができる。第1化合物半導体層21の第1面21aには側面21Eが順テーパーの凹部21Cが形成される。即ち、この凹部21Cは、活性層側に位置する底面21Dが、第1化合物半導体層21の第1面21aに位置する開口部21Fよりも小さい。次いで、少なくとも凹部21C内に第1光反射層41を形成する。具体的には、凹部21C内から発光素子製造用基板11の第1面21a上に亙り、周知の方法に基づき、多層膜から成り、パターニングされた第1光反射層41を形成する。こうして、
図16に示す構造を得ることができる。第1光反射層41は、凹部21Cの内部から第1化合物半導体層21の第1面21aの上に亙り形成されている。第1光反射層41の外形形状は円形である。その後、第1電極31を形成すべき第1化合物半導体層21の第1面21aの部分の上に、周知の方法に基づき第1電極31を形成する。こうして、
図6Aに示す構造を有する実施例2の発光素子を得ることができる。
【0078】
[工程−260]
その後、所謂素子分離を行うことで発光素子を分離し、積層構造体の側面や露出面を、例えば、SiO
2から成る絶縁膜で被覆する。その後、第1電極31やパッド電極33を外部の回路等に接続するために端子等を周知の方法に基づき形成し、パッケージや封止することで、実施例2の発光素子を完成させる。
【0079】
実施例2の発光素子の製造方法にあっては、凸部(選択成長用のマスク層)が形成されている状態で発光素子製造用基板を除去する。それ故、凸部が、発光素子製造用基板の除去時に一種のストッパーとして機能する結果、発光素子製造用基板面内における発光素子製造用基板の除去バラツキ、更には、第1化合物半導体層の厚さバラツキの発生を抑制することができる結果、共振器の長さの均一化を図ることができ、得られる発光素子の特性の安定化を達成することができる。
【0080】
以上に説明し、
図6Aに示した発光素子の例では、第1電極31の端部は第1光反射層41から離間している。一方、
図6Bに示す発光素子の例では、第1電極31の端部は第1光反射層41と接している。また、
図7Aに示す発光素子の例では、第1電極31の端部は、第1光反射層41の縁部の上に亙り形成されている。
【0081】
[工程−250]において、第1化合物半導体層21の第1面21aの上に第1電極31を形成する前に、第1電極31を形成すべき第1化合物半導体層21の第1面21aの部分をエッチングしてもよく、この場合、露出した第1化合物半導体層21を、反応性イオンエッチング法に基づきエッチングすればよい。これによって、第1化合物半導体層21の第1面21aに粗面領域21Aが形成される。そして、少なくともエッチングされた第1化合物半導体層21の上に第1電極31を形成すればよい。こうして得られた発光素子の模式的な一部端面図を、
図7B、
図8A、
図8Bに示すが、
図7Bに示す発光素子の例にあっては、第1電極31の端部は第1光反射層41から離間している。一方、
図8Aに示す発光素子の例では、第1電極31の端部は第1光反射層41と接している。また、
図8Bに示す発光素子の例では、第1電極31の端部は、第1光反射層41の縁部の上に亙り形成されている。第1電極31は粗面領域21Aに形成されているので、第1化合物半導体層21と第1電極31との間の接触抵抗の上昇を抑制することができる。
【0082】
ここで、第1光反射層41と第1化合物半導体層21の第1面21aとの界面における第1化合物半導体層21の第1面21aの表面粗さRaの値は3×10
-9m以下であり、第1電極31を形成すべき第1化合物半導体層21の第1面21aの表面粗さRaの値は、第1光反射層41と第1化合物半導体層21の第1面21aとの界面における第1化合物半導体層21の第1面21aの表面粗さRaの値を超える。
【0083】
また、第1光反射層41と第1化合物半導体層21の第1面21aとの界面における第1化合物半導体層21の第1面21aの接触抵抗値をR
1、第1電極31を形成すべき第1化合物半導体層21の第1面21aにおける接触抵抗値をR
2としたとき、
R
1/R
2≦1
を満足する。
【0084】
凸部の除去、第1光反射層の形成、第1化合物半導体層のエッチング、第1電極の形成の手順として、上記の手順以外にも、以下の手順とすることができる。
(1)凸部の除去、第1化合物半導体層のエッチング、第1光反射層の形成、第1電極の形成
(2)凸部の除去、第1化合物半導体層のエッチング、第1電極の形成、第1光反射層の形成
(3)第1化合物半導体層のエッチング、凸部の除去、第1光反射層の形成、第1電極の形成
(4)第1化合物半導体層のエッチング、凸部の除去、第1電極の形成、第1光反射層の形成
(5)第1化合物半導体層のエッチング、第1電極の形成、凸部の除去、第1光反射層の形成
【0085】
図7B、
図8A、
図8Bに示した発光素子の例では、第1光反射層41の側面と、第1化合物半導体層21の第1面21aの粗面領域21Aの側面とが一致するように、第1化合物半導体層21の第1面21aをエッチングしたが、
図9A、
図9B、
図10A、
図10Bに示すように、第1光反射層41の側面よりも外側に、第1化合物半導体層21の第1面21aの粗面領域21Aの側面を形成してもよい。
図9A及び
図9Bに示す発光素子の例にあっては、第1電極31の端部は第1光反射層41から離間している。そして、
図9Aに示す発光素子の例では、第1電極31の端部は粗面領域21Aの側面から離間しており、
図9Bに示す発光素子の例では、第1電極31の端部は粗面領域21Aの側面と接している。更には、
図10Aに示す発光素子の例では、第1電極31の端部は第1光反射層41と接している。また、
図10Bに示す発光素子の例では、第1電極31の端部は、第1光反射層41の縁部の上に亙り形成されている。
図9A、
図9B、
図10A、
図10Bに示す発光素子にあっては、第1光反射層41と第1電極31との間に第1化合物半導体層の突起部分21Gが存在する。
【0086】
また、
図11A、
図11B、
図12A及び
図12Bに示す発光素子の例では、第1光反射層41は、第1電極31の上に延在している。そして、
図11Aに示す発光素子の例では、第1電極31は、第1化合物半導体層21の第1面21aに位置する開口部21Fから離間して設けられており、
図11Bに示す発光素子の例では、開口部21Fと接して設けられている。一方、
図12A及び
図12Bに示す発光素子の例では、第1電極31は粗面領域21Aに設けられており、
図12Aに示す発光素子の例では、第1電極31の端部は粗面領域21Aの側面から離間しており、
図12Bに示す発光素子の例では、第1電極31の端部は粗面領域21Aの側面と接している。
【実施例3】
【0087】
前述したとおり、第1光反射層41や凸部51が形成された発光素子製造用基板11の上に、第1化合物半導体層21を、ELO法等の横方向にエピタキシャル成長させる方法を用いて、横方向成長により形成したとき、第1光反射層41や凸部51の縁部から第1光反射層41や凸部51の中心部に向かってエピタキシャル成長する第1化合物半導体層21が会合すると、会合部分に結晶欠陥が多く発生する場合がある。
【0088】
実施例3の発光素子にあっては、また、実施例3の発光素子の製造方法にあっては、
図1Aに示した発光素子の変形例を
図17に示し、
図6Aに示した発光素子の変形例を
図18に示すように、第1光反射層41の面積重心点を通る第1光反射層41に対する法線LN
1上に、第2光反射層42の面積重心点は存在しない。あるいは又、第1光反射層41の面積重心点を通る第1光反射層41に対する法線LN
1上に、活性層23の面積重心点は存在しない。第2光反射層42の面積重心点を通る第2光反射層42に対する法線と、活性層23の面積重心点を通る活性層23に対する法線とは一致しており、この法線を「LN
2」で示す。尚、
図1B、
図2、
図6B、
図7A、
図7B、
図8A、
図8B、
図9A、
図9B、
図10A、
図10B、
図11A、
図11B、
図12A、
図12Bに示した発光素子に対して、実施例3の発光素子の構成、構造を適用することができることは云うまでもない。以上の点を除き、実施例3の発光素子の構成、構造は、実施例1、実施例2の発光素子の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0089】
尚、第1化合物半導体層21の第1面21aと接する第1光反射層41の部分(第2光反射層42と対向する第1光反射層41の部分)であって、素子領域を構成する部分の面積をS
3、第2化合物半導体層22の第2面22bに対向する第2光反射層42の部分(第1光反射層41と対向する第2光反射層42の部分)であって、素子領域を構成する部分の面積をS
4としたとき、
S
3>S
4
を満足する。
【0090】
実施例3にあっては、結晶欠陥が多く存在する会合部分(具体的には、法線LN
1上あるいはその近傍に位置する)が素子領域の中心部に位置することが無くなり、発光素子の特性に悪影響が生じることが無くなり、あるいは又、発光素子の特性への悪影響が少なくなる。
【0091】
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した発光素子の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができるし、実施例の発光素子の製造方法も、適宜、変更することができる。場合によっては、接合層や支持基板を適切に選択することで、第2化合物半導体層の頂面から第2光反射層を介して光を出射する面発光レーザ素子とすることができる。また、[工程−130]までの工程において得られた発光素子を完成品とすることでも、第2化合物半導体層の頂面から第2光反射層を介して光を出射する面発光レーザ素子とすることができる。あるいは又、[工程−160]、[工程−260]において、第1光反射層及び第1電極を形成した後、支持基板を除去することで、第2化合物半導体層の頂面から第2光反射層を介して光を出射する面発光レーザ素子を完成させることもできるし、あるいは又、[工程−160]、[工程−260]の後、第1光反射層を第2の支持基板に固定し、その後、支持基板を除去して第2光反射層を露出させることで、第2化合物半導体層の頂面から第2光反射層を介して光を出射する面発光レーザ素子を完成させることもできる。
【0092】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《発光素子の製造方法・・・第1の態様》
(a)発光素子製造用基板上に、多層膜から成り、凸形状を有する第1光反射層を形成し、次いで、
(b)第1光反射層を含む発光素子製造用基板上に、
GaN系化合物半導体から成り、第1面、及び、第1面と対向する第2面を有する第1化合物半導体層、
GaN系化合物半導体から成り、第1化合物半導体層の第2面と接する活性層、及び、
GaN系化合物半導体から成り、第1面、及び、第1面と対向する第2面を有し、第1面が活性層と接する第2化合物半導体層、
が積層されて成る積層構造体を形成した後、
(c)第2化合物半導体層の第2面上に第2電極及び多層膜から成る第2光反射層を形成し、次いで、
(d)第2光反射層を支持基板に固定した後、
(e)発光素子製造用基板を除去して、第1化合物半導体層の第1面及び第1光反射層を露出させ、次いで、
(f)第1化合物半導体層の第1面をエッチングした後、
(g)少なくともエッチングされた第1化合物半導体層の第1面上に第1電極を形成する、
各工程を備えている発光素子の製造方法。
[A02]前記工程(e)における第1化合物半導体層の第1面及び第1光反射層の露出を、化学的/機械的研磨法に基づき行う[A01]に記載の発光素子の製造方法。
[A03]第1電極を形成すべき第1化合物半導体層の第1面の部分を、反応性イオンエッチング法に基づきエッチングする[A01]又は[A02]に記載の発光素子の製造方法。
[A04]第1光反射層の面積重心点を通る第1光反射層に対する法線上に、第2光反射層の面積重心点は存在しない[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[A05]第1光反射層の面積重心点を通る第1光反射層に対する法線上に、活性層の面積重心点は存在しない[A01]乃至[A04]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[A06]第1光反射層と第1電極とは接している[A01]乃至[A05]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[A07]第1光反射層と第1電極とは離間しており、離間距離は1mm以内である[A01]乃至[A05]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[A08]第1光反射層から第2光反射層まで距離は、0.15μm以上、50μm以下である[A01]乃至[A07]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[A09]活性層において生成した光は、第1光反射層を介して外部に出射される[A01]乃至[A08]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[A10]第1化合物半導体層の第1面と接する第1光反射層の部分の面積をS
1、第2化合物半導体層の第2面に対向する第2光反射層の部分の面積をS
2としたとき、
S
1>S
2
を満足する[A09]に記載の発光素子の製造方法。
[A11]第1光反射層と接する第1化合物半導体層の第1面の部分の表面粗さRaの値は、3×10
-9m以下であり、
第1電極が形成される第1化合物半導体層の第1面の部分の表面粗さRaの値は、第1光反射層と接する第1化合物半導体層の第1面の部分の表面粗さRaの値を超える[A01]乃至[A10]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[A12]第1光反射層と接する第1化合物半導体層の第1面の部分の接触抵抗値をR
1、第1電極が形成される第1化合物半導体層の第1面の部分の接触抵抗値をR
2としたとき、
R
2/R
1≦1
を満足する[A01]乃至[A11]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[A13]第1電極は、金属又は合金から成る[A01]乃至[A12]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[A14]第2電極は、透明導電材料から成る[A01]乃至[A13]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[A15]面発光レーザ素子から成る[A01]乃至
[A14]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[B01]《発光素子の製造方法・・・第2の態様》
(a)発光素子製造用基板上に、第1化合物半導体層を構成する材料とは異なる材料から成る凸部を形成し、次いで、
(b)凸部を含む発光素子製造用基板上に、
GaN系化合物半導体から成り、第1面、及び、第1面と対向する第2面を有する第1化合物半導体層、
GaN系化合物半導体から成り、第1化合物半導体層の第2面と接する活性層、及び、
GaN系化合物半導体から成り、第1面、及び、第1面と対向する第2面を有し、第1面が活性層と接する第2化合物半導体層、
が積層されて成る積層構造体を形成した後、
(c)第2化合物半導体層の第2面上に第2電極及び多層膜から成る第2光反射層を形成し、次いで、
(d)第2光反射層を支持基板に固定した後、
(e)発光素子製造用基板を除去して、第1化合物半導体層の第1面及び凸部を露出させ、次いで、
(f)凸部を除去し、少なくとも凸部が除去された第1化合物半導体層の第1面の部分の上に多層膜から成る第1光反射層を形成し、少なくとも第1電極を形成すべき第1化合物半導体層の第1面の部分の上に第1電極を形成する、
各工程を備えている発光素子の製造方法。
[B02]前記工程(e)における第1化合物半導体層の第1面及び凸部の露出を、化学的/機械的研磨法に基づき行う[B01]に記載の発光素子の製造方法。
[B03]前記工程(f)において第1化合物半導体層の第1面上に第1電極を形成する前に、第1電極を形成すべき第1化合物半導体層の第1面の部分をエッチングする[B01]又は[B02]に記載の発光素子の製造方法。
[B04]第1電極を形成すべき第1化合物半導体層の第1面の部分を、反応性イオンエッチング法に基づきエッチングする[B03]に記載の発光素子の製造方法。
[B05]前記工程(a)において形成される凸部は、頂面が底面よりも小さい[B01]乃至[B04]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[B06]第1光反射層の面積重心点を通る第1光反射層に対する法線上に、第2光反射層の面積重心点は存在しない[B01]乃至[B05]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[B07]第1光反射層の面積重心点を通る第1光反射層に対する法線上に、活性層の面積重心点は存在しない[B01]乃至[B06]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[B08]第1光反射層と第1電極とは接している[B01]乃至[B07]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[B09]第1光反射層と第1電極とは離間しており、離間距離は1mm以内である[B01]乃至[B07]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[B10]第1光反射層と第1電極との間には、第1化合物半導体層の突起部分が存在する[B09]に記載の発光素子の製造方法。
[B11]第1光反射層から第2光反射層まで距離は、0.15μm以上、50μm以下である[B01]乃至[B10]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[B12]活性層において生成した光は、第1光反射層を介して外部に出射される[B01]乃至[B11]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[B13]第1化合物半導体層の第1面と接する第1光反射層の部分の面積をS
1、第2化合物半導体層の第2面に対向する第2光反射層の部分の面積をS
2としたとき、
S
1>S
2
を満足する[B12]に記載の発光素子の製造方法。
[B14]第1光反射層と接する第1化合物半導体層の第1面の部分の表面粗さRaの値は、3×10
-9m以下であり、
第1電極が形成される第1化合物半導体層の第1面の部分の表面粗さRaの値は、第1光反射層と接する第1化合物半導体層の第1面の部分の表面粗さRaの値を超える[B01]乃至[B14]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[B15]第1光反射層と接する第1化合物半導体層の第1面の部分の接触抵抗値をR
1、第1電極が形成される第1化合物半導体層の第1面の部分の接触抵抗値をR
2としたとき、
R
2/R
1≦1
を満足する[B01]乃至[B14]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[B16]第1電極は、金属又は合金から成る[B01]乃至[B15]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[B17]第2電極は、透明導電材料から成る[B01]乃至[B16]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[B18]面発光レーザ素子から成る[B01]乃至
[B17]のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
[C01]《発光素子》
(A)GaN系化合物半導体から成り、第1面、及び、第1面と対向する第2面を有する第1化合物半導体層、
GaN系化合物半導体から成り、第1化合物半導体層の第2面と接する活性層、及び、
GaN系化合物半導体から成り、第1面、及び、第1面と対向する第2面を有し、第1面が活性層と接する第2化合物半導体層、
が積層されて成る積層構造体、
(B)第1電極、及び、第1光反射層、並びに、
(C)第2化合物半導体層の第2面上に形成された第2電極及び多層膜から成る第2光反射層、
を備えており、
第1化合物半導体層の第1面には側面が順テーパーの凹部が形成されており、
第1光反射層は、少なくとも凹部に形成されており、
第1電極は、少なくとも、第1化合物半導体層の第1面上に形成されている発光素子。
[C02]第1光反射層の面積重心点を通る第1光反射層に対する法線上に、第2光反射層の面積重心点は存在しない[C01]に記載の
発光素子。
[C03]第1光反射層の面積重心点を通る第1光反射層に対する法線上に、活性層の面積重心点は存在しない[C01]又は[C02]に記載の
発光素子。
[C04]活性層において生成した光は、第1光反射層を介して外部に出射される[C01]乃至[C03]のいずれか1項に記載の発光素子。
[C05]第1化合物半導体層の第1面と接する第1光反射層の部分の面積をS
1、第2化合物半導体層の第2面に対向する第2光反射層の部分の面積をS
2としたとき、
S
1>S
2
を満足する[C04]に記載の発光素子。
[C06]第1光反射層と接する第1化合物半導体層の第1面の部分の表面粗さRaの値は、3×10
-9m以下であり、
第1電極が形成される第1化合物半導体層の第1面の部分の表面粗さRaの値は、第1光反射層と接する第1化合物半導体層の第1面の部分の表面粗さRaの値を超える[C01]乃至[C05]のいずれか1項に記載の発光素子。
[C07]第1光反射層と接する第1化合物半導体層の第1面の部分の接触抵抗値をR
1、第1電極が形成される第1化合物半導体層の第1面の部分の接触抵抗値をR
2としたとき、
R
2/R
1≦1
を満足する[C01]乃至[C06]のいずれか1項に記載の発光素子。
[C08]第1光反射層と第1電極とは接している[C01]乃至[C07]のいずれか1項に記載の発光素子。
[C09]第1光反射層と第1電極とは離間しており、離間距離は1mm以内である[C01]乃至[C07]のいずれか1項に記載の発光素子。
[C10]第1光反射層と第1電極との間には、第1化合物半導体層の突起部分が存在する[C09]に記載の発光素子。
[C11]第1光反射層から第2光反射層まで距離は、0.15μm以上、50μm以下である[C01]乃至[C10]のいずれか1項に記載の発光素子。
[C12]第2光反射層は支持基板に固定されている[C01]乃至[C11]のいずれか1項に記載の発光素子。
[C13]第1電極は、金属又は合金から成る[C01]乃至[C12]のいずれか1項に記載の発光素子。
[C14]第2電極は、透明導電材料から成る[C01]乃至[C13]のいずれか1項に記載の発光素子。
[C15]面発光レーザ素子から成る[C01]乃至
[C14]のいずれか1項に記載の発光素子。