【文献】
RN:1159821-25-6,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2009年 6月24日
【文献】
RN:1159821-30-3,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2009年 6月24日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0061】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0062】
本発明のテトラヒドロピラニルピリミジン化合物の製造方法は、塩基の存在下、化学式(1)
【0064】
で示されるテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物(又はその酸塩)と、一般式(2)
【0066】
(式中、R
1及びR
2が結合する炭素原子とA
1が結合する炭素原子との化学結合は単結合又は二重結合を示す。R
1及びR
2の一方はアルコキシ基又は−NR
4R
5を示し、他方は水素原子又はアルコキシ基を示す。R
4及びR
5はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示し、互いに結合して環を形成してもよい。R
1及びR
2が共にアルコキシ基の場合、R
1及びR
2のアルキル基部分は互いに結合して環を形成してもよい。A
1はアルコキシカルボニル基、シアノ基、ホルミル基又は一般式(3a)
【0068】
で示されるイミニウム基を示す。R
6及びR
7はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示し、互いに結合して環を形成してもよい。Y
−はカウンターアニオンを示す。一般式(3a)における波線は結合位置を示す。)
で示される化合物とを反応させることを含む、一般式(4)
【0070】
(式中、Zは、水素原子、アミノ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子を示す。)
で示されるテトラヒドロピラニルピリミジン化合物の製造方法である。
【0071】
一般式(4)で示されるテトラヒドロピラニルピリミジン化合物は、ピリミジン環上の任意の水素原子は置換されていてもよい。その置換基としては、例えば、アルキル基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン基、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、ベンジルエーテル基、ニトロフェニル基、イミダゾール基などが挙げられる。ここで前記置換基の炭素上の任意の水素原子はハロゲンで置換されていてもよい。
一般式(4)で示されるテトラヒドロピラニルピリミジン化合物は、Z以外の置換基を有さないことが好ましい。
【0072】
本発明の製造方法において使用するテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物(又はその酸塩)は化学式(1)で示される。当該化合物は下記反応工程式(1)で示されるように4−シアノテトラヒドロピランを出発原料として製造することができる。すなわち、テトラヒドロピラニルピリミジン化合物の製造方法は、テトラヒドロピラン−4−イミデート化合物(又はその酸塩)とアンモニアとを反応させて、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物を得ることを更に含むことが好ましく、ハロゲン化水素の存在下、4−シアノテトラヒドロピランとアルコールとを反応させてテトラヒドロピラン−4−イミデート化合物を得ること、及び得られたテトラヒドロピラン−4−イミデート化合物(又はその酸塩)とアンモニアとを反応させて、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物を得ることを更に含むことがより好ましい。
化学式(1)で示されるテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物は、その酸塩の形で用いてもよく、遊離塩基及び酸塩の混合物として用いてもよい。酸塩における酸の種類は特に制限されず、無機酸であっても有機酸であってもよい。酸塩における無機酸としては例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等のハロゲン化水素類;過塩素酸、塩素酸などのハロゲンオキソ酸類;硫酸、フルオロスルホン酸などの硫酸類;リン酸、ヘキサフルオロリン酸などのリン酸類;ホウ酸、テトラフルオロホウ酸などのホウ酸類;他にも硝酸、クロム酸、ヘキサフルオロアンチモン酸などが挙げられる。また、有機酸としてはメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸類;酢酸、ギ酸、クエン酸、安息香酸などのカルボン酸類;クレゾール、カテコールなどのフェノール類が挙げられる。中でも好ましくはハロゲン化水素が挙げられる。
なお、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物の製造方法の詳細については後述する。
【0074】
上記テトラヒドロピラニルピリミジン化合物の製造方法は、煩雑な操作をすることなく、高い収率でテトラヒドロピラニルピリミジン化合物を得る、工業的に好適な製造方法である。
本発明のテトラヒドロピラニルピリミジン化合物の製造方法は、化学式(4a)で示される4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物及び一般式(4b)で示される4−ハロゲノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法、化学式(4c)で示される2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法、並びに化学式(4d)で示される4−アミノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法を包含するものである。
【0075】
一般式(4)で示される化合物のうち、Zがヒドロキシ基又はハロゲン原子である4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物及び4−ハロゲノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法について説明する。
本発明の4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法は、塩基の存在下、化学式(1)
【0077】
で示されるテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物(又はその酸塩)と、一般式(2a)
【0079】
(式中、R
11及びR
12はそれぞれ独立にアルキル基を示す。)
で示される3−アルキルアクリル酸エステル及び一般式(2b)
【0081】
(式中、R
12及びR
11は前記と同義であり、2つのR
12は同一又は異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)
で示される3,3−ジアルコキシプロパン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボン酸エステル化合物とを反応させることを含む、化学式(4a)
【0083】
で示される4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法である。
【0084】
また、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法は、テトラヒドロピラン−4−イミデート化合物(又はその酸塩)とアンモニアとを反応させて、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物を得ることを更に含むことが好ましい。
【0085】
また本発明の4−ハロゲノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法は、化学式(4a)
【0087】
で示される4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物とハロゲン化剤とを反応させることを含む、一般式(4b)
【0089】
(式中、Xは、ハロゲン原子を示す。)
で示される4−ハロゲノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法である。
また本発明の4−ハロゲノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法は、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法を含んでいてもよい。すなわち、本発明の4−ハロゲノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法は、下記の反応工程式(2):
【0091】
(式中、X、R
11及びR
12は、それぞれ前記と同義である。)
で示されるように、2つの工程からなることが好ましい。
1つ目の工程では化学式(1)で示されるテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物(又はその酸塩)と一般式(2a)で示される3−アルキルアクリル酸エステル及び一般式(2b)で示される3,3−ジアルコキシプロパン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボン酸エステル化合物とを反応させ、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物を製造する。
2つ目の工程では4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物とハロゲン化剤とを反応させ、4−ハロゲノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物を製造する。
これら2つの工程は順にヒドロキシピリミジン化工程、ハロゲン化工程と称することがある。これら2つの工程について順次説明する。
【0092】
(1)ヒドロキシピリミジン化工程
まず、本発明の製造方法で使用するカルボン酸エステル化合物(3−アルキルアクリル酸エステル及び3,3−ジアルコキシプロパン酸エステル)は、それぞれの一般式(2a)及び(2b)で示される。その一般式(2a)及び(2b)において、R
11及びR
12はそれぞれ独立してアルキル基であるが、例えば、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ブチル基などの炭化水素数1〜4のアルキル基である。なお、3,3−ジアルコキシプロパン酸エステルは、R
12が2つ存在するが、2つのR
12が互いに結合して環を形成していてもよい。
【0093】
一般式(2a)及び(2b)で示されるエステル化合物は等価体であるため混合しても使用することができる。
【0095】
式中、R
11及びR
12はそれぞれ独立にアルキル基を示す。一般式(2b)における2つのR
12は同一又は異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。また、一般式(2a)で示されるエステル化合物は、E体であっても、Z体であっても、E体とZ体の混合物であってもよい。一般式(2a)で示されるエステル化合物がE体とZ体の混合物である場合、その混合比は特に制限されない。一般式(2a)で示されるエステル化合物はE体であることが好ましい。
なお、一般式(2a)中の波線で示される結合は、その幾何異性がE体又はZ体のいずれかに特定されていないことを示す。
【0096】
ヒドロキシピリミジン化工程において使用する前記一般式(2a)及び(2b)で示されるエステル化合物の使用量は、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物1モルに対して、好ましくは1〜3モル、更に好ましくは1〜2モルである。この範囲とすることで、高い反応速度を維持しながら、反応後における反応液からの未反応の原料や副生成物の除去を容易とすることができる。なお、3−アルキルアクリル酸エステルと3,3−ジアルコキシプロパン酸エステルとを併用する場合、3−アルキルアクリル酸エステルと3,3−ジアルコキシプロパン酸エステルとの混合比は特に限定されない。
【0097】
テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物とカルボン酸エステル化合物との反応(ヒドロキシピリミジン化工程)において使用する塩基は、金属アルコキシド、金属水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、アミン類及び含窒素複素環化合物類からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、金属アルコキシド、カルボン酸塩及び炭酸塩からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
塩基は単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0098】
ヒドロキシピリミジン化工程において使用する塩基としては、具体的には、例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどの金属アルコキシド;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのカルボン酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジンなどのアミン類;ピリジンなどの含窒素複素環化合物類が挙げられる。なお、これらの塩基は単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
塩基として、好ましくは金属アルコキシド、カルボン酸塩、炭酸塩又はそれら混合物であり、更に好ましくはナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム又はそれらの混合物である。
【0099】
前記塩基の使用量は、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物1モルに対して、好ましくは1〜2モル、更に好ましくは1〜1.2モルである。なお、塩基は水溶液やアルコールなどの有機溶媒溶液(例えば、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液)として使用しても良い。この範囲とすることで、高い反応速度を維持しながら、反応後における反応液からの塩基の除去を容易とすることができる。
【0100】
ヒドロキシピリミジン化工程は溶媒の存在下で行うことが望ましく、使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されない。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコールなどのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;N,N’−ジメチル尿素などの尿素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類が挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
溶媒として、好ましくはアルコール類、アミド類、尿素類、スルホキシド類又はそれらの混合物である。
【0101】
溶媒を使用する場合、前記溶媒の使用量は、反応の均一性や攪拌性により適宜調節するが、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物1gに対して、好ましくは1〜30ml、更に好ましくは1〜15mlである。この範囲とすることで、良好な攪拌性を維持しながら、反応液の固化等を防ぐことができる。
【0102】
テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物とカルボン酸エステル化合物との反応(ヒドロキシピリミジン化工程)における反応温度は、特に制限されない。反応温度は50〜150℃であることが好ましく、60〜120℃であることがより好ましい。
【0103】
ヒドロキシピリミジン化工程は、例えば、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物、エステル化合物、塩基及び溶媒を混合して、攪拌しながら反応させるなどの方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは50〜150℃、更に好ましくは60〜120℃であり、反応圧力は特に制限されない。この範囲とすることで、高い反応速度を維持しながら、反応による副生成物の発生を抑制することができる。
【0104】
ヒドロキシピリミジン化工程によって4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物が得られる。これは、反応終了後、例えば、中和、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの一般的な方法によって単離・精製されるが、単離・精製を行わずに次のハロゲン化工程を行っても構わない。
【0105】
(2)ハロゲン化工程
まず、本発明の製造方法によって得られる一般式(4b)で示した4−ハロゲノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物において、Xは、ハロゲン原子であり、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0106】
ハロゲン化工程において使用するハロゲン化剤は、具体的には、例えば、塩素、臭素などのハロゲン分子類;塩化チオニル、臭化チオニルなどのハロゲン化チオニル類;塩化オキサリルなどのハロゲン化オキサリル類;オキシ塩化リン、オキシ臭化リンなどのハロゲン化ホスホリル類;塩化スルフリル、臭化スルフリルなどのハロゲン化スルフリル類;トリフェニルホスフィンジクロライド、トリフェニルホスフィンジブロマイドなどのハロゲン化トリフェニルホスフィン類;三塩化リン、五塩化リン、三臭化リンなどのハロゲン化リンが挙げられる。なお、これらのハロゲン化剤は、単独又は2種以上(ハロゲン原子が同一のものに限る)を混合して使用してもよい。
ハロゲン化剤は、好ましくはハロゲン化チオニル類、ハロゲン化ホスホリル類、ハロゲン化スルフリル類、ハロゲン化リン又はそれらの混合物である。さらに、好ましくは、ハロゲン化ホスホリル類が使用される。
【0107】
前記ハロゲン化剤の使用量は、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物1モルに対して、好ましくは1〜30モル、更に好ましくは1〜25モルである。この範囲とすることで、高い反応速度を維持しながら、反応後における反応液からの未反応の原料や副生成物の除去を容易とすることができる。
【0108】
ハロゲン化工程は、溶媒の非存在下および溶媒存在下のどちらで行ってもよい。溶媒存在下で行う際に使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されない。溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;N,N’−ジメチル尿素などの尿素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類が挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
溶媒は、好ましくは、スルホキシド類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、エーテル類又はそれらの混合物である。
【0109】
溶媒を使用する場合、前記溶媒の使用量は、反応の均一性や攪拌性により適宜調節するが、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物1gに対して、好ましくは0〜100ml、更に好ましくは0〜20mlである。この範囲とすることで、良好な攪拌性を維持しながら、反応液の固化を防ぐことができる。
【0110】
4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物とハロゲン化剤との反応(ハロゲン化工程)における反応温度は、特に制限されない。反応温度は50〜150℃であることが好ましく、60〜120℃であることがより好ましい。
【0111】
ハロゲン化工程は、例えば、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物、ハロゲン化剤及び溶媒を混合して、攪拌しながら反応させるなどの方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは50〜150℃、更に好ましくは60〜120℃であり、反応圧力は特に制限されない。この範囲とすることで、高い反応速度を維持しながら、反応による副生成物の発生を抑制することができる。
【0112】
ハロゲン化工程によって4−ハロゲノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物が得られるが、これは、反応終了後、例えば、中和、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの一般的な方法によって単離・精製される。
【0113】
本発明の2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法は、塩基の存在下、化学式(1)
【0114】
【化36】
で示されるテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物(又はその酸塩)と、一般式(2c)
【0118】
で示されるイミニウム基、又は化学式(3b)
【0120】
で示されるホルミル基を示す。Y
−はカウンターアニオンを示す。一般式(2c)及び(3a)におけるR
4、R
5、R
6及びR
7はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示し、R
4及びR
5は互いに結合して環を形成していてもよく、R
6及びR
7は互いに結合して環を形成していてもよい。一般式(3a)及び化学式(3b)における波線は一般式(2c)におけるビニル骨格との結合箇所を示す。)
で示されるビニルアミン化合物とを反応させること含む、化学式(4c)
【0122】
で示される2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法である。
【0123】
2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法は、テトラヒドロピラン−4−イミデート化合物(又はその酸塩)とアンモニアとを反応させて、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物を得ることを更に含むことが好ましい。
【0124】
本発明の2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法は例えば、反応工程式(3)
【0126】
(式中、A、R
4及びR
5は、前記と同義である。)
によって示され、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物(又はその酸塩)とビニルアミン化合物(エナミン化合物)とを反応させることを含む。
【0127】
本発明の製造方法において使用するビニルアミン化合物は、一般式(2c)
【0129】
(式中、A、R
4及びR
5は前記と同義である。)
で示される。一般式(2c)で示されるビニルアミン化合物は、E体であっても、Z体であっても、E体とZ体の混合物であってもよい。一般式(2c)で示されるビニルアミン化合物がE体とZ体の混合物である場合、その混合比は特に制限されない。一般式(2c)で示されるビニルアミン化合物はZ体であることが好ましい。
一般式(2c)において、Aは一般式(3a)
【0131】
(式中、R
6、R
7及びY
−は前記と同義である。)
で示されるイミニウム基、又は化学式(3b)
【0133】
で示されるホルミル基を示す。一般式(3a)及び化学式(3b)における波線は一般式(2c)におけるビニル骨格との結合箇所を示す。
【0134】
一般式(2c)及び(3a)において、R
4〜R
7はそれぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基等の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示すことが好ましい。なお、R
4及びR
5が互いに結合して環を形成していてもよく、R
6及びR
7が互いに結合して環を形成していてもよい。
【0135】
また、Y
−はカウンターアニオンを示す。具体的には、例えば、過塩素酸イオン、塩素酸イオン、過臭素酸イオンなどのハロゲンオキソ酸イオン;塩化物イオン、臭化物イオンなどのハロゲン化物イオン;リン酸二水素イオン、ヘキサフルオロリン酸イオンなどのリン酸イオン;硫酸イオン、硫酸水素イオンなどの硫酸イオン;炭酸イオン、炭酸水素イオンなどの炭酸イオン;四ホウ酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンなどのホウ酸イオン;メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどのスルホン酸イオン;酢酸イオン、シュウ酸イオンなどのカルボン酸イオン;硝酸イオンやクロム酸イオンなどが挙げられ、好ましくはハロゲンオキソ酸イオン、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、ホウ酸イオン、更に好ましくは過塩素酸イオンである。
【0136】
ビニル骨格上の任意の炭素上の水素原子は置換されていてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン基、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、ベンジルエーテル基、ニトロフェニル基、イミダゾール基などが挙げられる。ここで前記置換基の炭素上の任意の水素原子はハロゲンで置換されていてもよい。
一般式(2c)におけるビニル骨格上の炭素原子上の水素原子は置換されていないことが好ましい。
【0137】
本発明の反応によって使用するビニルアミン化合物の使用量は、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物1モルに対して、好ましくは1〜5モル、更に好ましくは1〜3モルである。この範囲とすることで、高い反応速度を維持しながら、反応後における反応液からの未反応の原料や副生成物の除去を容易とすることができる。
【0138】
本発明の製造方法において使用する塩基は、具体的には、例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどの金属アルコキシド;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのカルボン酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジンなどのアミン類;ピリジンなどの含窒素複素環化合物類が挙げられる。なお、これらの塩基は単独又は二種以上を混合して使用してもよい。
塩基は、好ましくは金属アルコキシド、カルボン酸塩、炭酸塩又はそれらの混合物であり、更に好ましくはナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム又はそれらの混合物である。
【0139】
前記塩基の使用量は、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物1モルに対して、好ましくは1〜5モル、更に好ましくは1〜3モルである。なお、塩基は水溶液やアルコールなどの有機溶媒溶液(例えば、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液)として使用してもよい。この範囲とすることで、高い反応速度を維持しながら、反応後における反応液からの塩基の除去を容易とすることができる。
【0140】
本発明の製造方法は、溶媒の存在下で行うことが望ましく、使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されない。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコールなどのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;N,N’−ジメチル尿素などの尿素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類が挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
溶媒は、好ましくは、アルコール類、アミド類又はそれらの混合物である。
【0141】
溶媒を使用する場合、溶媒の使用量は、反応の均一性や攪拌性により適宜調節するが、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物1gに対して、好ましくは1〜30ml、更に好ましくは1〜20mlである。この範囲とすることで、良好な攪拌性を維持しながら、反応液の固化等を防ぐことができる。
【0142】
2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法における反応温度は、特に制限されない。反応温度は50〜200℃であることが好ましく、50〜150℃であることがより好ましい。
【0143】
本発明の製造方法は、例えば、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物、ビニルアミン化合物、塩基及び溶媒を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは50〜200℃、更に好ましくは50〜150℃であり、反応圧力は特に制限されない。この範囲とすることで、高い反応速度を維持しながら、反応による副生成物の発生を抑制することができる。
【0144】
本発明の製造方法によって2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物が得られるが、これは、反応終了後、例えば、中和、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離・精製される。
【0145】
本発明の2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物は化学式(4c)
【0147】
で示される。本化合物は新規化合物である。
【0148】
化学式(4c)で示される2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物のピリミジン環上の任意の水素原子は置換されていてもよい。その置換基としては、例えば、アルキル基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン基、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、ベンジルエーテル基、ニトロフェニル基、イミダゾール基などが挙げられる。ここで前記置換基の炭素上の任意の水素原子はハロゲンで置換されていてもよい。
化学式(4c)で示される2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物のピリミジン環上の水素原子は置換されていないことが好ましい。
【0149】
本発明の4−アミノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法は、塩基の存在下、化学式(1)
【0151】
で示されるテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物(又はその酸塩)と一般式(2d)
【0153】
(式中、R
22はアルキル基を示す。)
で示される3−アルコキシアクリロ二トリル及び一般式(2e)
【0155】
(式中、R
22は前記と同義であるが、2つのR
22は同一又は異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。)
で示される3,3−ジアルコキシプロパンニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種のニトリル化合物とを反応させることを含む、化学式(4d)
【0156】
【化49】
で示される4−アミノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法である。
【0157】
4−アミノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法は、テトラヒドロピラン−4−イミデート化合物(又はその酸塩)とアンモニアとを反応させて、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物を得ることを更に含むことが好ましい。
【0158】
本発明の製造方法で使用するニトリル化合物(3−アルコキシアクリロ二トリル及び3,3−ジアルコキシプロパンニトリル)は、それぞれ前記の一般式(2d)及び(2e)で示される。その一般式(2d)及び(2e)において、R
22はアルキル基であるが、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロプル基、n−プロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ブチル基などの炭素原子数1〜4のアルキル基である。なお、3,3−ジアルコキシプロパンニトリルは、R
22が2つ存在するが、2つのR
22は同一又は異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0159】
一般式(2d)及び(2e)で示されるニトリル化合物は等価体であるため混合物としても使用することができる。
【0161】
式中、R
22はアルキル基を示す。一般式(2e)における2つのR
22は同一又は異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。また、一般式(2d)で示されるニトリル化合物は、E体であっても、Z体であっても、E体とZ体の混合物であってもよい。一般式(2d)で示されるニトリル化合物がE体とZ体の混合物である場合、その混合比は特に制限されない。一般式(2d)で示されるニトリル化合物はE体であることが好ましい。
【0162】
前記ニトリル化合物の使用量は、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物1モルに対して、好ましくは1〜2モル、更に好ましくは1〜1.2モルである。この範囲とすることで、高い反応速度を維持しながら、反応後における反応液からの未反応の原料や副生成物の除去を容易とすることができる。なお、3−アルコキシアクリロ二トリルと3,3−ジアルコキシプロパンニトリルとを併用する場合、3−アルコキシアクリロ二トリルと3,3−ジアルコキシプロパンニトリルとの混合比は特に限定されない。
【0163】
本発明の製造方法において使用する塩基は、具体的には、例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどの金属アルコキシド;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのカルボン酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジンなどのアミン類;ピリジンなどの含窒素複素環化合物類;が挙げられる。なお、これらの塩基は単独又は二種以上を混合して使用してもよい。
塩基は、好ましくは、金属アルコキシド、カルボン酸塩、炭酸塩又はそれらの混合物であり、更に好ましくはナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム又はそれらの混合物である。
【0164】
前記塩基の使用量は、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物1モルに対して、好ましくは1〜2モル、更に好ましくは1〜1.2モルである。なお、塩基は水溶液やアルコールなどの有機溶媒溶液(例えば、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液)として使用しても良い。この範囲とすることで、高い反応速度を維持しながら、反応後における反応液からの塩基の除去を容易とすることができる。
【0165】
本発明の製造方法は、溶媒の存在下で行うことが望ましく、使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されない。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコールなどのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;N,N’−ジメチル尿素などの尿素類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用してもよい。
溶媒は、好ましくは、アルコール類、アミド類、尿素類又はそれらの混合物である。
【0166】
溶媒を使用する場合、溶媒の使用量は、反応の均一性や攪拌性により適宜調節するが、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物1gに対して、好ましくは1〜20ml、更に好ましくは1〜5mlである。この範囲とすることで、良好な攪拌性を維持しながら、反応液の固化等を防ぐことができる。
【0167】
4−アミノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物の製造方法における反応温度は、特に制限されない。反応温度は60〜120℃であることが好ましく、70〜100℃であることがより好ましい。
【0168】
本発明の製造方法は、例えば、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物、ニトリル化合物、塩基及び溶媒を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは60〜120℃、更に好ましくは70〜100℃であり、反応圧力は特に制限されない。この範囲とすることで、高い反応速度を維持しながら、反応による副生成物の発生を抑制することができる。
【0169】
本発明の製造方法によって4−アミノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン化合物が得られるが、これは、反応終了後、例えば、中和、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離・精製される。
【0170】
本発明のテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジンの製造方法は、一般式(5)
【0171】
【化51】
(式中、R
31は炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。)
で示されるテトラヒドロピラン−4−イミデート化合物(又はその酸塩)とアンモニアとを反応させること(アミジン化工程)を含む、化学式(1)
【化52】
で示されるテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物(又はその酸塩)の製造方法である。
【0172】
テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジンの製造方法は、更に4−シアノテトラヒドロピランとアルコールとを反応させることにより、アミジン化工程の出発原料であるテトラヒドロピラン−4−イミデート化合物を得ること(イミデート化工程)を含んでいることが好ましい。すなわち、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物の製造方法は、下記反応工程式(1)で示されるように4−シアノテトラヒドロピランを出発原料とすることができる。
【0174】
式中、R
31はアルキル基を示し、R
31は炭素原子数1〜8のアルキル基であることが好ましい。
以下、(A)イミデート化工程、(B)アミジン化工程に分けて順次説明する。
【0175】
(A)イミデート化工程
本発明におけるイミデート化工程とは、ハロゲン化水素の存在下、化学式(6)
【0177】
で示される4−シアノテトラヒドロピランと一般式(7)
【0179】
で示されるアルコールとを反応させることにより、一般式(5)
【0181】
(式中、R
31はアルキル基を示し、炭素原子数1〜8のアルキル基であることが好ましい。)
で示されるテトラヒドロピラン−4−イミデート化合物(又はその酸塩)を製造する工程である。
【0182】
イミデート化工程において使用する4−シアノテトラヒドロピランは、公知の方法(例えば、特開2010−83872号記載の方法など)によって製造できる。
【0183】
イミデート化工程において使用するアルコールは、一般式(7)
【0185】
(式中、R
31はアルキル基を示し、炭素原子数1〜8のアルキル基であることが好ましい。)
で示される化合物であるが、その一般式(7)において、R
31は炭素原子数1〜8のアルキル基であることが好ましい。R
31で示されるアルキル基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。R
31で示されるアルキル基は、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基の炭素数1〜4のアルキル基である。なお、これらのアルキル基は、各種異性体を含む。
【0186】
イミデート化工程において使用するハロゲン化水素としては、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素が挙げられる。ハロゲン化水素は、好ましくは塩化水素である。なお、ハロゲン化水素は、例えば、塩化水素・メタノール溶液などのハロゲン化水素の溶媒溶液として使用してもよい。
【0187】
ハロゲン化水素の使用量は、4−シアノテトラヒドロピラン1モルに対して、好ましくは1〜100モル、更に好ましくは2〜10モルである。
【0188】
イミデート化工程においては、アルコール以外の溶媒の存在下で行うことが望ましく、使用する有機溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独又は2種以上を混合して使用してもよいが、生成するテトラヒドロピラン−4−イミデート化合物が水で分解されやすいため、溶媒中の水分量は少ない方が望ましい。
溶媒は、好ましくはハロゲン化脂肪族炭化水素類又はそれらの混合物であり、更に好ましくは塩化メチレン、ジクロロエタン又はそれらの混合物である。
【0189】
溶媒を使用する場合、溶媒の使用量は、反応の均一性や攪拌性により適宜調節するが、4−シアノテトラヒドロピラン1gに対して、好ましくは1〜20ml、更に好ましくは1〜5mlである。
【0190】
イミデート化工程の反応温度は特に制限されない。反応温度は、好ましくは0〜50℃であり、更に好ましくは20〜30℃である。
【0191】
イミデート化工程は、例えば、
(1)4−シアノテトラヒドロピラン、アルコール及び溶媒を混合して、ハロゲン化水素ガスを導入しつつ、攪拌しながら反応させる等の方法、
(2)4−シアノテトラヒドロピラン、アルコール及びハロゲン化水素の溶媒溶液を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法、
によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは0〜50℃、更に好ましくは20〜30℃であり、反応圧力は特に制限されない。
【0192】
なお、ハロゲン化水素ガスを導入する方法としては、例えば、ガス導入管より混合液内にガスをバブリングしながら行うのが望ましいが、予めハロゲン化水素を反応容器内に加圧充填(導入)しておいてもよい。
【0193】
イミデート化工程によって得られるテトラヒドロピラン−4−イミデート化合物は、得られた反応液を特に中和することなく、好適には抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの一般的な方法により、より安定なハロゲン化水素酸塩として単離・生成し取得する。
なお、特に精製することなく、次のアミジン化工程に使用してもよい。
【0194】
(B)アミジン化工程
本発明におけるアミジン化工程とは、先のイミデート化工程で得られたテトラヒドロピラン−4−イミデート化合物とアンモニアとを反応させることによって、化学式(1)
【0196】
で示されるテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物を製造する工程である。
【0197】
アミジン化工程において使用するテトラヒドロピラン−4−イミデート化合物は、より安定なハロゲン化水素酸塩として使用するのが好ましい。
【0198】
アミジン化工程において使用するアンモニアとしては、例えば、アンモニアガス、アンモニア水、アンモニア・メタノール溶液などのアンモニアの溶媒溶液でもよいが、好ましくはアンモニアガスである。
【0199】
アンモニアの使用量は、テトラヒドロピラン−4−イミデート化合物1モルに対して、過剰量であればよいが、好ましくは1〜100モル、更に好ましくは2〜10モルである。
【0200】
アミジン化工程は、溶媒の存在下で行うことが望ましく、使用する有機溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどのアルコール類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
溶媒は、好ましくは水、アルコール類又はそれらの混合物であり、更に好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール又はそれらの混合物である。
【0201】
溶媒を使用する場合、溶媒の使用量は、反応の均一性や攪拌性により適宜調節するが、テトラヒドロピラン−4−イミデート化合物1gに対して、好ましくは1〜20ml、更に好ましくは1〜5mlである。
【0202】
アミジン化工程の反応温度は特に制限されない。反応温度は、好ましくは0〜50℃であり、更に好ましくは20〜30℃である。
【0203】
アミジン化工程は、例えば、テトラヒドロピラン−4−イミデート化合物及び溶媒を混合して、攪拌しながらアンモニアと反応させる等の方法によって行われる。なお、アンモニアがガス状の場合には、例えば、ガス導入管より混合液内にガスをバブリングしながら行うのが望ましい。その際の反応温度は、好ましくは0〜50℃、更に好ましくは20〜30℃であり、反応圧力は特に制限されないが、ガス状のアンモニアを導入する場合には、適宜圧力の調整を行う。
【0204】
アミジン化工程によって得られるテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物は、より安定な酸塩として取得するのが望ましく、通常はアミジン化工程の出発原料であるテトラヒドロピラン−4−イミデート化合物のハロゲン化水素酸塩のハロゲン化水素塩のまま取得することができる。反応液中で遊離のテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物となっている場合には、更にハロゲン化水素を導入して、より安定な酸塩として取得するのが望ましい。
【0205】
アミジン化工程によってテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン化合物(又はその酸塩)が得られるが、これは、反応終了後、中和、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離・精製される。
【実施例】
【0206】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0207】
[目的物の分析方法]
以下に示す反応生成物の生成量は、単離した場合を除き、高速液体クロマトグラフィー(UV検出器)の面積百分率の測定により決定した。測定条件は以下のとおりである。
装置:島津製作所製
カラム:Waters X−Bridge ODS(Φ4.6mm × 150mm,
5μm)
UV検出器:220nm
カラム温度:30℃
流速:0.5mL/min
溶離液:10mM ギ酸アンモニウム水溶液(NH
3水溶液でpH9.5に調製)/ MeOH=4/1(体積比)
【0208】
以下に記載した面積百分率とは本分析法により測定したものである。また、面積百分率は溶液中の各化合物のモル含有率に相当するものとする。
【0209】
実施例1(R
31=メチル基;メチルテトラヒドロピラン−4−イミデート塩酸塩の合成)
攪拌装置、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた内容積1Lのガラス製フラスコに、4−シアノテトラヒドロピラン100.06g(900.3mmol)、メタノール28.83g(899.8mmol)及び塩化メチレン327gを加え、塩化水素ガスを吹き込みつつ、攪拌させながら0〜7℃で7時間反応させた。
反応終了後、反応液を濃縮し、tert−ブチルメチルエーテル421gを加え、3〜10℃で1時間撹拌させた。得られた結晶を濾過し、濾物を乾燥させてメチルテトラヒドロピラン−4−イミデート塩酸塩157.68gを得た(単離収率;98%)。
【0210】
実施例2(R
31=n−ブチル基;n−ブチルテトラヒドロピラン−4−イミデート塩酸塩の合成)
攪拌装置、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた内容積50mlのガラス製フラスコに、4−シアノテトラヒドロピラン5.03g(45.3mmol)、n−ブチルアルコール3.35g(45.2mmol)及び塩化メチレン25gを加え、塩化水素ガスを吹き込みつつ、攪拌させながら0〜2℃で7時間反応させた。
反応終了後、反応液を濃縮し、tert−ブチルメチルエーテル25gを加え、室温で2時間撹拌させた。得られた結晶を濾過し、濾物を乾燥させてn−ブチルテトラヒドロピラン−4−イミデート塩酸塩8.44gを得た(単離収率;84%)。
【0211】
実施例3(R
31=メチル基;テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩の合成)
攪拌装置、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた内容積500mlのガラス製フラスコに、メチルテトラヒドロピラン−4−イミデート45.0g(234mmol)、メタノール180g及び19.1質量%アンモニア・メタノール溶液114.59gを加え、攪拌させながら20〜30℃で6時間反応させた。
反応終了後、反応液を濃縮し、濃縮液に種晶(テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩の結晶)及びtert−ブチルメチルエーテル135.0gを加え、20〜30℃で1時間撹拌させた。得られた結晶を濾過し、濾物を乾燥させてテトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩39.84gを得た(単離収率;97%)。
【0212】
実施例4(R
31=メチル基;テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩の合成)
攪拌装置、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた内容積1Lのガラス製フラスコに、4−シアノテトラヒドロピラン5.01g(45.1mmol)、メタノール1.50g(46.8mmol)及び塩化メチレン33.5gを加え、塩化水素ガスを吹き込みつつ、攪拌させながら0〜5℃で反応させた。反応終了後、反応液に窒素をバブリングして得られたスラリーを得た。
次いで、別の攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積300mlのガラス製フラスコに、トリエチルアミン6.90g(68.2mmol)、19.1質量%アンモニア・メタノール溶液4.10g、メタノール6.20gを混合した後、先に得られたスラリーを加えて0〜5℃で2時間反応させた。
反応終了後、得られた反応液を分析したところ、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジンの存在を確認した。
【0213】
実施例5(4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
【化59】
【0214】
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積10mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩0.500g(3.04mmol)、メタノール2ml、ナトリウムメトキシド0.645g(28%メタノール溶液、3.3mmol)及び3−メトキシアクリル酸メチル0.423g(3.64mmol)を加え、攪拌させながら還流下(55℃〜65℃)で7.5時間反応させた。
反応終了後、反応液を減圧下で濃縮した。得られた濃縮液をカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンが0.28g生成していた(単離収率;51%)。
なお、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの物性値は、以下の通りであった。
【0215】
1H−NMR(δ(ppm)、DMSO−d
6);1.67〜1.75(4H,m),2.70〜2.81(1H,m),3.26〜3.39(2H,m),3.87〜3.93(2H,m),6.16(1H,d,J=6.6),7.85(1H,d,J=6.6),12.4(1H,brs)
MS(EI)m/z;180(M
+)
MS(CI)m/z;181(MH
+)
【0216】
実施例6(4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積25mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩1.00g(6.07mmol)、ジメチルスルホキシド10ml、炭酸カリウム0.924g(6.68mmol)及び3−メトキシアクリル酸メチル1.41g(12.1mmol)を加え、攪拌させながら120℃で2時間反応させた。
反応終了後、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンが1.00g生成していた(反応収率;91%)。
【0217】
実施例7(4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積25mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩2.02g(12.3mmol)、イソプロピルアルコール20ml、トリエチルアミン1.24g(12.3mmol)及び3−メトキシアクリル酸メチル1.71g(14.7mmol)を加え、攪拌させながら還流下(75℃〜83℃)で3時間反応させた。
反応終了後、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンが0.285g生成していた(反応収率;13%)。
【0218】
実施例8(4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積25mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩1.00g(6.07mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド10ml、炭酸カリウム0.923g(6.68mmol)及び3−メトキシアクリル酸メチル1.41g(12.1mmol)を加え、攪拌させながら120℃で2時間反応させた。
反応終了後、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンが0.420g生成していた(反応収率;38%)。
【0219】
実施例9(4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積25mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩1.00g(6.07mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド10ml、酢酸ナトリウム0.548g(6.68mmol)及び3−メトキシアクリル酸メチル1.41g(12.1mmol)を加え、攪拌させながら120℃で2時間反応させた。
反応終了後、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンが0.866g生成していた(反応収率;79%)。
【0220】
実施例10(4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積25mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩1.00g(6.07mmol)、ジメチルスルホキシド10ml、酢酸ナトリウム0.548g(6.68mmol)及び3−メトキシアクリル酸メチル1.41g(12.1mmol)を加え、攪拌させながら120℃で2時間反応させた。
反応終了後、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンが0.961g生成していた(反応収率;88%)。
【0221】
実施例11(4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
攪拌装置、温度計、及び還流冷却器を備えた内容積25mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩1.00g(6.07mmol)、n−ブチルアルコール10ml、炭酸カリウム0.924g(6.68mmol)及び3−メトキシアクリル酸メチル1.41g(12.1mmol)を加え、攪拌させながら還流下(110℃〜117℃)で2時間反応させた。
反応終了後、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンが0.583g生成していた(反応収率;53%)。
【0222】
実施例12(4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積25mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩1.00g(6.07mmol)、n−ブチルアルコール10ml、酢酸ナトリウム0.548g(6.68mmol)及び3−メトキシアクリル酸メチル1.41g(12.1mmol)を加え、攪拌させながら還流下(110℃〜117℃)で2時間反応させた。
反応終了後、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンが0.353g生成していた(反応収率;32%)。
【0223】
実施例13(4−クロロ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
【化60】
【0224】
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積10mlのガラス製フラスコに、4−ヒドロキシ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン100.6mg(0.558mmol)、オキシ塩化リン1.0ml(1.8g、11mmol)を加え、攪拌させながら還流下(100℃〜107℃)で3時間反応させた。
反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水10ml中に注いだ。更に、酢酸エチル20mlで2回抽出し、有機層を濃縮した。得られた濃縮液をカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−クロロ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン95.3mgを得た(単離収率;86%)。
なお、4−クロロ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの物性値は以下の通りであった。
【0225】
1H−NMR(δ(ppm)、CDCL
3);1.93〜2.06(4H,m),3.06〜3.16(1H,m),3.49〜3.58(2H,m),4.05〜4.11(2H,m),7.20(1H,d,J=5.3),8.56(1H,d,J=5.3)
MS(EI)m/z;198(M
+)
MS(CI)m/z;199(MH
+)
【0226】
実施例14(2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
【0227】
【化61】
【0228】
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積50mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩1.00g(6.07mmol)、メタノール16ml、ナトリウムメトキシド656mg(12.1mmol)及びN−(3−(ジメチルアミノ)アリリデン)−N−メチルメタンアミニウム過塩素酸塩1.72g(7.59mmol)を加え、攪拌しながら還流下(55℃〜65℃)で6時間反応させた。
反応終了後、反応液を減圧下で濃縮させた後、水10mlを加え、前記水溶液を酢酸エチル20mlで3回抽出し、有機層を濃縮した。得られた濃縮液をカラムクロマトグラフィーにより精製し、淡黄色油状物271mgを得た(単離収率;27%)。
なお、得られた淡黄色油状物は以下の物性値を示し、新規な化合物2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンであることが確認された。
【0229】
1H−NMR(δ(ppm)、CDCL
3):1.94〜2.08(4H,m),3.08〜3.18(1H,m),3.53〜3.61(2H,m),4.07〜4.12(2H,m),7.15(1H,t,J=4.9Hz),8.70(2H,d,J=4.9Hz)
MS(EI)m/z;164(M
+)
MS(CI)m/z;165(MH
+)
【0230】
実施例15(2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積50mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩1.00g(6.07mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド10ml、酢酸ナトリウム548mg(6.68mmol)及びN−(3−(ジメチルアミノ)アリリデン)−N−メチルメタンアミニウム過塩素酸塩2.07g(9.13mmol)を加え、攪拌しながら100℃で1時間、120℃で3時間反応させた。反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンが面積百分率で4.4%生成していた。
【0231】
実施例16(2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
【0232】
【化62】
【0233】
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積50mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩500mg(3.04mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド5ml、炭酸カリウム420mg(3.04mmol)及び3−(ジメチルアミノ)アクリルアルデヒド602mg(6.07mmol)を加え、攪拌しながら111℃から117℃で4時間反応させた。
反応終了後、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンが面積百分率で3.0%生成していた。また、面積百分率より計算した反応選択率は94%であった。
【0234】
実施例17(4−アミノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
【0235】
【化63】
【0236】
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積25mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩0.5g(3.04mmol)、メタノール1.1ml、28重量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.68ml(3.34mmol)及び3−メトキシアクリロニトリル0.30g(3.65mmol)を加え、攪拌させながら70℃で9時間反応させた。
反応終了後、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、4−アミノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンが反応収率70%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)で得られた。
【0237】
実施例18(4−アミノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積25mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラン−4−カルボキシアミジン塩酸塩329mg(2.00mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド1ml、酢酸ナトリウム180mg(2.20mmol)及び3−メトキシアクリロニトリル166mg(2.00mmol)を加え、攪拌させながら95℃で3.5時間反応させた。
反応終了後、反応液に酢酸エチル10mlを加えて濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた濃縮液をカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−アミノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジン96.7mgを得た(単離収率;27%)。
なお、4−アミノ−2−(4−テトラヒドロピラニル)ピリミジンの物性値は、以下の通りであった。
【0238】
1H−NMR(δ(ppm)、DMSO−d
6):1.69〜1.76(4H,m),2.6〜2.76(1H,m),3.34〜3.43(2H,m),3.86〜3.92(2H,m),6.23(1H,d,J=5.8Hz),6.69(2H,brs),7.99(1H,d,J=5.8Hz)
MS(EI)m/z;179(M
+)
MS(CI)m/z;180(MH
+)