(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、通常の輸液治療時には、上述のように薬液を点滴筒内で液滴として落下させるようにするのであるが、何らかの原因によって薬液が点滴筒内で連続して糸を引くようにして流下する、いわゆるフリーフローが起こることがある。フリーフローが起こると薬液の投与量が規定以上に増加してしまうので、素早く検出して報知することが望まれる。
【0007】
しかしながら、点滴筒内で薬液が糸を引くように流下している状態では、受光素子から出力される信号電圧に時間的な変化が殆ど生じず、略一定電圧の信号となる。このフリーフロー時の信号電圧と、何らかの基準となる電圧とを比較してその差に基づいてフリーフローであるか否かを判定することが考えられるが、どのようにして判定するかが問題となる。すなわち、点滴筒の周囲の明るさが例えば日差しの影響や、時間の経過(朝、昼、夜)等によって明るくなれば、受光素子の信号電圧が上昇し、反対に、暗くなれば下降する。このように液滴の検出に関わらず上下する信号電圧をある基準と比較したとしても、それがフリーフローであるか否かは正確に判定することができないし、基準電圧を設定すること自体が困難である。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、点滴筒の周囲の明るさが変化しても、点滴筒内で起こるフリーフローを検出することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、上下に離れた受光素子によって得た信号と、それらの受光素子が受けるのと同じように外部光の影響を受ける場所に設けた受光素子によって得た信号を比較する構成とした。
【0010】
第1の発明は、
点滴筒内を落下する液滴を検出する液滴検出装置において、
上記点滴筒に光を照射する投光素子と、
上記投光素子から照射された光を受ける第1受光素子、第2受光素子及び第3受光素子と、
上記第1受光素子、上記第2受光素子及び上記第3受光素子から出力された信号を処理する信号処理部とを備え、
上記第1受光素子及び上記第2受光素子は、液滴の落下によって上記投光素子から受ける光の強度に変化がある所において、互いに上下方向に離れて配置され、
上記第3受光素子は、上記第1受光素子の設置場所と同等に外部光の影響を受ける場所で、かつ、液滴の落下によって上記投光素子から受ける光の強度に変化がない所に配置され、
上記信号処理部は、上記第1受光素子及び上記第3受光素子から出力された信号が入力される第1差動増幅器と、該第1差動増幅器から出力された特定期間における信号から中央値を求める処理を行う第1フィルタと、上記第1受光素子及び上記第2受光素子から出力された特定期間における信号から中央値を求める処理を行う第2フィルタと、上記第1フィルタによる処理で得られた中央値と上記第2フィルタによる処理で得られた中央値との差が所定以上になったときに上記点滴筒内でフリーフローが起こっていると判定する判定部とを有していることを特徴とするものである。
【0011】
上記特定期間とは、
図12に示すように、サンプリング周期をΔtとした時、滴下中の期間の信号におけるサンプリング数(2個;S1,S2)が、滴下していない期間におけるサンプリング数(3個;S3,S4,S5)以下となるために必要な時間を意味する。
【0012】
この構成によれば、例えば第1受光素子を第2受光素子の上方に配置した場合には、点滴筒内で液滴が落下すると、投光素子から照射された光が液滴により遮断されたことが第1受光素子で検出された後、第2受光素子で検出されることになり、これが繰り返されるので、連続する信号が出力される。この出力される信号を、上記特定期間収集し、第2フィルタによって処理することで当該信号の中央値が得られる。
【0013】
また、点滴筒内で液滴が落下すると、投光素子から照射された光が液滴により遮断されたことが第1受光素子で検出されて第1受光素子の出力信号が変化する一方、第3受光素子では検出されないので第3受光素子の出力信号は変化しない。第1差動増幅器では、後述するように、第1受光素子の信号電圧と第3受光素子の信号電圧との差異を求める。そして、この信号は第1フィルタによって処理されて中央値が得られる。ここで、既述した第1フィルタとは、いわゆる信号の連続したサンプリングの中で、奇数回のサンプリングした値において最大値、最小値の除外を繰り返し、中央値を求められるような手段であれば、特に限定されず、ハード的な構成で最大値、最小値を除外することにより、中央値を求めるようなものでもよいし、ソフト的に中央値を求めるものであってもよい。
【0014】
また、上記のように取得される信号の中央値は、既述したように特定期間に収集された値によって得られることが前提である。第1フィルタから出力される信号が、フリーフローが起こっているか否かを判定する際の信号となる。
【0015】
そして、判定部は、第1フィルタによる処理で得られた中央値と第2フィルタによる処理で得られた中央値との差が所定以上になったときに点滴筒内でフリーフローが起こっていると判定する。
【0016】
このとき、例えば、点滴筒の周囲の明るさが変化した場合を想定すると、第1、第3受光素子は同等に外光の影響を受けることになるので、点滴筒の周囲の明るさが変化したとしても、第1、第3受光素子の信号電圧が同じように上下するだけであり、第1フィルタから出力される信号電圧と、第2フィルタによる処理で得られた中央値との相対差は維持されることになる。
【0017】
第2の発明は、第1の発明において、
上記信号処理部は、上記第1受光素子及び上記第2受光素子から出力された信号が入力される第2差動増幅器を有し、上記第2フィルタは、上記第2差動増幅器から出力された特定期間における信号から中央値を求める処理を行うことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、第1受光素子及び第2受光素子の信号にノイズが含まれている場合には、そのノイズを含んだ信号が第2差動増幅器に入力されることになる。このとき、第1受光素子及び第2受光素子は同一の点滴筒に取り付けられていて両者がそれほど離れていないので、第1受光素子及び第2受光素子には殆ど同じノイズが入ってくる。よって、第2差動増幅器において第1受光素子のノイズから第2受光素子のノイズが差し引かれて殆どなくなるので、ノイズの影響を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明によれば、第1受光素子及び第3受光素子によって得たフリーフローの判定に用いる信号と、点滴筒の上下方向に離れた第1受光素子及び第2受光素子によって得た信号とを比較してそれらの差が所定以上になったときに点滴筒内でフリーフローが起こっていると判定することができる。これにより、点滴筒の周囲の明るさが変化しても、点滴筒内で起こるフリーフローを検出することができる。
【0020】
第2の発明によれば、ノイズの影響を抑制して液滴を正確に検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る液滴検出装置1の使用状態を説明する図である。液滴検出装置1は、輸液セット100が有する点滴筒101に取り付けられ、点滴筒101内を落下する液滴の状態を検出するためのものである。輸液セット100は、点滴筒101の他に、薬液が収容された薬液容器102と、薬液容器102から点滴筒101まで延びる上流側チューブ103と、点滴筒101から穿刺針104まで延びる下流側チューブ105とを備えている。下流側チューブ105の中途部には輸液ポンプ106が設けられ、この輸液ポンプ106によって薬液が所定の流量で患者に投与されるようになっている。
【0024】
上記点滴筒101は、従来周知のものであり、透光性を有する部材(例えば無色透明な部材)で構成されている。すなわち、点滴筒101内の上部で液滴が成長していき、
図6に示すように成長した液滴が所定の大きさになった時点で下方へ落下して点滴筒101の下部に溜まって患者に投与される。点滴筒101における下部は薬液貯留部101aであり、薬液貯留部101aよりも上側は、液滴が通過する液滴通過場所である。
【0025】
図2や
図3に示すように、液滴検出装置1は、投光素子2と、上側第1受光素子(本発明の第1受光素子に相当)3と、上側第2受光素子(本発明の第3受光素子に相当)4と、下側受光素子(本発明の第2受光素子に相当)5と、制御装置6とを有しており、
図1に示す信号線108を介して輸液ポンプ106に接続されている。投光素子2は、例えばLEDのような発光素子等で構成することができる。投光素子2は、点滴筒101の液滴通過場所に対して点滴筒101の外部から内部へ向けて光を照射するとともに、液滴通過場所以外の場所として点滴筒101の外部にも光を照射するように構成されたものである。投光素子2から照射された光は、点滴筒101の液滴通過場所の上側から下側の所定範囲に亘る。
【0026】
投光素子2は、単数のLEDで構成してもよいし、例えば複数のLEDで構成することもできる。単数のLEDで構成する場合には、光の放射範囲を広くし、液滴の検出可能範囲を広く確保しておくのが好ましい。液滴の検出可能範囲を広くしておくことで、例えば点滴筒101が何らかの影響で傾いた場合、その傾いた状態の点滴筒101内で液滴が鉛直に落下しても有効に検出することが可能になる。
【0027】
一方、複数のLEDで構成する場合には、投光素子2全体としての照射範囲はLEDの数でカバーするようにする。これにより、広い範囲を精度よく検出することが可能になる。また、投光素子2から照射する光は、可視光であっても、赤外光であってもよい。この実施形態では、投光素子2は3つのLEDで構成しており、これらLEDを水平方向に並べている。
【0028】
上側第1受光素子3、上側第2受光素子4及び下側受光素子5は、受光した光の強さが強ければ強いほど出力信号の電圧が高くなるように構成された周知のものである。上側第1受光素子3は、点滴筒101の液滴通過場所の上側において、投光素子2と対向する位置に配置されており、投光素子2から照射されて点滴筒101の液滴通過場所を透過した光を受光するものである。
【0029】
上側第2受光素子4は、上側第1受光素子3の設置場所と同等に外部光の影響を受ける場所で、かつ、液滴が落下しても投光素子2から受ける光の強度の変化がない所に配置されている。上側第1受光素子3の設置場所と同等の明るさの所とは、上側第1受光素子3が設置されている所の光の強さと、上側第2受光素子4が設置されている所の光の強さとが全く同じ所を含むのはもちろんのこと、若干相違していても、上側第1受光素子3及び上側第2受光素子4の光検出誤差の範囲内にあるような微小な相違も含まれる。つまり、上側第2受光素子4の設置場所は、上側第1受光素子3の設置場所と実質的に同じ外部光の明るさとなる場所である。
【0030】
また、液滴が落下しても投光素子2から受ける光の強度の変化がない所とは、液滴が落下しても、そのことによる上側第2受光素子4の受光強度が全く変化しない所を含むのはもちろんのこと、若干変化しても、上側第2受光素子4の光検出誤差の範囲内にあるような微小な変化も含まれる。つまり、上側第2受光素子4の設置場所は、液滴が落下しても投光素子2から受ける光の強度の変化が実質的にない所である。
【0031】
この実施形態では、
図4に示すように、上側第1受光素子3は、投光素子2と共に点滴筒101を挟むように配置する一方、上側第2受光素子4は、投光素子2から点滴筒101の外側に向けて照射された光を受光するように、点滴筒101の外面から離れて配置している。
【0032】
上側第1受光素子3と上側第2受光素子4とは、略同じ高さに配置してもよいし、互いに異なる高さに配置してもよい。
【0033】
下側受光素子5は、点滴筒101の液滴通過場所の下側、即ち、上側第1受光素子3から下方へ離れ、かつ、例えば投光素子2から点滴筒101の周方向に離れて、投光素子2に対向する位置に配置されており、投光素子2から照射されて点滴筒101の液滴通過場所を透過した光を受光するものである。つまり、下側受光素子5及び上側第1受光素子3は、液滴の落下によって投光素子2から受ける光の強度に変化がある所において、互いに上下方向に離れて配置されている。
【0034】
制御装置6は、上側第1受光素子3、上側第2受光素子4及び下側受光素子5から出力された信号が入力されるようになっている。すなわち、
図2に示すように制御装置6は、上側第1受光素子3、上側第2受光素子4及び下側受光素子5から出力された信号を処理する信号処理部10を有している。信号処理部10は、第1差動増幅器11と第2差動増幅器12と第1フィルタ13と第2フィルタ14と判定部15とを有している。
【0035】
図3に示すように、第1差動増幅器11には、上側第1受光素子3及び上側第2受光素子4から出力された信号が入力される。第1差動増幅器11は、上側第2受光素子4の信号から上側第1受光素子3の信号を差し引いて一定の増幅率で増幅する。尚、第1差動増幅器11は、上側第1受光素子3の信号から上側第2受光素子4の信号を差し引くように構成されたものであってもよい。
【0036】
また、第2差動増幅器12は、上側第1受光素子3及び下側受光素子5から出力された信号が入力される。第2差動増幅器12は、上側第1受光素子3の信号から下側受光素子5の信号を差し引いて一定の増幅率で増幅する。
【0037】
第1フィルタ13は、第1差動増幅器11から出力された特定期間における信号から中央値を求める処理を行うものであり、詳細は後述する。上記と同様に、第2フィルタ14は、第2差動増幅器12から出力された特定期間における信号から中央値を求める処理を行うものであり、詳細は後述する。
【0038】
点滴筒101内で液滴A(
図4、
図6に示す)が落下した場合、液滴Aは投光素子2と上側第1受光素子3との間を通過した後、投光素子2と下側受光素子5との間を通過する。
図6(a)に示すように点滴筒101内で液滴Aが投光素子2と上側第1受光素子3との間を通過する前は、第2差動増幅器12から出力される信号が、
図5にaで示す領域のように、上側第1受光素子3の信号から下側受光素子5の信号を差し引いた値を所定の増幅率で増幅した大きさとなる。
【0039】
点滴筒101内で液滴Aが通過する間は、まず、
図6(b)に示すように液滴Aが投光素子2と上側第1受光素子3との間を通過することになり、この瞬間に投光素子2からの光が遮られて上側第1受光素子3から出力される信号電圧が瞬間的に低下する。これにより、
図5に矢印bで示すように、第2差動増幅器12から出力される信号は低下する。次いで液滴Aが
図6(c)に示すように上側第1受光素子と下側受光素子5との間を落下している場合には、液滴Aが投光素子2の光を遮らないので、第2差動増幅器12から出力される信号は
図5のaの領域と同じになる(
図5に矢印cで示す)。
【0040】
その後、
図6(d)に示すように、液滴Aが投光素子2と下側受光素子5との間を通過する。この瞬間に投光素子2からの光が遮られて下側受光素子5から出力される信号電圧が瞬間的に低下する。これにより、
図5に矢印dで示すように、第2差動増幅器12から出力される信号は上昇する。従って、第2差動増幅器12から出力される信号電圧、即ち、上側第1受光素子3及び下側受光素子5から出力される信号電圧は、液滴の落下が繰り返される度に上下に変動し、連続した信号となる。
【0041】
信号処理部10は、第2差動増幅器12から出力された信号電圧が所定の滴落判定範囲を越えた場合に液滴の落下があったと判定するように構成されている。滴落判定範囲とは、一般に液滴の落下が起こった場合に第2差動増幅器12から出力される信号電圧の変動よりも狭い範囲で、かつ、ノイズ等によって変動する小さな信号電圧よりも広い範囲であり、
図5において上側の破線と下側の破線とで示す範囲である。
【0042】
制御装置6は、信号処理部10によって液滴の落下があったと判定した場合には、外部に報知するように構成されている。例えば、LED等の発光体や音声を発する装置等を制御装置6に接続しておき、信号処理部10が液滴の落下があったと判定した場合に、発光体を発光させたり、音声を発生させたりする。
【0043】
図7は、第2差動増幅器12から出力される信号電圧の実際の波形を示した図であり、第2差動増幅器12から出力される信号電圧は、滴落の有無を示す信号であるため、滴落信号というものとする。滴落信号は、
図5に拡大して模式的に示すように、液滴通過前の信号と液滴通過中の信号との繰り返しで構成されており、液滴の落下が無くなると、液滴通過前の信号のみで平坦な形状となる。
【0044】
上記第2フィルタ14は、周知の信号処理フィルタを用いて構成することができ、この実施形態では、滴落信号のうち、液滴通過中の信号を除去し、液滴通過前(
図5のa、eの領域)の信号電圧を連続させる処理を行う。これにより、フィルタ処理後の滴落信号には、
図5の符号b、dで示すような明確なピークが無くなり、
図8に示すような平坦に近い信号となる。
【0045】
また、点滴筒101内で液滴Aが落下した場合、液滴Aは、投光素子2と上側第1受光素子3との間を通過することになる一方、投光素子2と上側第2受光素子4との間は通過しない。従って、液滴Aが投光素子2と上側第1受光素子3とを通過する瞬間に、投光素子2からの光が遮られて上側第1受光素子3から出力される信号電圧が瞬間的に低下するが、上側第2受光素子4から出力される信号電圧は変化しない。
【0046】
第1差動増幅器11から出力される信号は、
図9に拡大して模式的に示すような波形が繰り返されることになる。第1フィルタ13は、周知の信号処理フィルタを用いて構成することができ、この実施形態では、
図9に示す信号波形のうち、液滴通過中の信号(下に凸となった領域)を除去し、液滴通過前(平坦の領域)の信号電圧を連続させる処理を行う。これにより、フィルタ処理後の信号には、明確なピークが無くなる。この第1フィルタ13から出力される信号(即ち、フリーフロー信号)は、
図10に中央値のみが示されるように、フリーフローが発生した際の変化を除けば、平坦に近い形状となる。
【0047】
信号処理部10の判定部15は、第1フィルタ13による処理で得られた信号(フリーフロー信号)と、第2フィルタ14による処理で得られた信号(フィルタ処理後の滴落信号)との電圧差に基づいて点滴筒101内でフリーフローが起こっているか否かを判定するように構成されている。
図10に示すように、第2フィルタ14による処理で得られたフィルタ処理後の滴落信号の波形も平坦に近い形状となる。第1フィルタ13による処理で得られた信号は、フリーフローの有無を確認できるフリーフロー信号である。
図10に示すように、滴落している状態では、第2フィルタ14で処理されて得られた信号電圧値(即ち、フィルタ処理後の滴落信号)と、第1フィルタ13で処理されて得られた信号電圧値(フリーフロー信号)とを比較した場合、差異は小さいが、フリーフローが発生した場合には、両者(フィルタ処理後の滴落信号とフリーフロー信号)との電圧差は顕著となる。
【0048】
フリーフローが発生した場合に、何故フィルタ処理後の滴落信号とフリーフロー信号の電圧差が顕著となるかは、以下のような作用機構で説明することができる。即ち、正常に液が滴落している際には、上側第1受光素子3と下側受光素子5から出力されるのは、液滴による非遮断時の受光による信号電圧がメインである。つまり、フィルタ処理後の滴落信号の電圧値は、非遮断時のものとなる。一方、滴落の影響を受けない上側第2受光素子4も、液滴による非遮断時の受光による信号電圧となるため、上側第1受光素子3から出力される信号電圧と、上側第2受光素子4から出力される信号電圧を差動増幅し、その中央値を求めるフリーフロー信号電圧値と前記フィルタ処理後の滴落信号電圧値は差異が小さい。
【0049】
ところが、フリーフローが発生すると、糸を引くように薬液が流下するため、上側第1受光素子3と下側受光素子5はいずれも、遮断時の受光による信号電圧がメインとなるのに対し、上側第2受光素子4は非遮断の受光による信号電圧であるので、上側第1受光素子3と上側第2受光素子4とから出力される信号電圧の差が大きくなる。従って、フリーフロー信号の電圧値は、フリーフローが発生すると、滴落時とフリーフロー発生時の信号電圧の差異の少ない(フィルタ処理後の)滴落信号の電圧値との差が顕著となる。
【0050】
このフリーフロー信号とフィルタ処理後の滴落信号との電圧差を継続して検出し、電圧差が所定未満の場合には液滴が正常に落下していると判定する一方、電圧差が所定以上となったときにはフリーフローが起こっていると判定する。所定の電圧差とは、フィルタ処理後の滴落信号がノイズ等によって変動した際に、誤ってフリーフローと判定してしまわないようにノイズレベルよりも大きな値となっている。
【0051】
また、制御装置6は、液滴を検出した場合や、フリーフローを検出した場合に輸液ポンプ106に信号を出力するように構成することができる。例えば、制御装置6からの信号を得た輸液ポンプ106は、単位時間当たりの液滴の落下数が正常範囲にあるか否かを判定して正常範囲を逸脱した場合に警報を発し、また、フリーフローが起こった場合に警報を発するように構成することができる。
【0052】
次に、上記のように構成された液滴検出装置1の使用要領について説明する。まず、液滴検出装置1の投光素子2、上側第1受光素子3、上側第2受光素子4及び下側受光素子5を
図3及び
図4に示すように点滴筒101に取り付ける。
【0053】
点滴筒101内で液滴が落下すると、上側第1受光素子3及び下側受光素子5から出力される信号が変化し、これら信号が第2差動増幅器12に入力される。第2差動増幅器12では、上側第1受光素子3の信号から下側受光素子5の信号を差し引く。このとき、上側第1受光素子3及び下側受光素子5の信号にはノイズが含まれていることがあるが、上側第1受光素子3及び下側受光素子5は同一の点滴筒101に取り付けられていて両者がそれほど離れていないので、上側第1受光素子3及び下側受光素子5には殆ど同じノイズが入ってくる。よって、第2差動増幅器12において上側第1受光素子3のノイズから下側受光素子5のノイズが差し引かれて殆ど目立たなくなる。このようにして得られた信号を一定の増幅率で増幅するようにしているので、ノイズの影響を抑制することが可能になり、
図7に示すように液滴の落下を明確に把握することのできる滴落信号を得ることができる。
【0054】
また、信号処理部10の第2フィルタ14は、第2差動増幅器12から出力される信号を処理して
図10に示すフィルタ処理後の滴落信号を得る。一方、第1フィルタ13は、第1差動増幅器11から出力される信号を処理してフリーフロー信号を得る。
【0055】
図11に示すように点滴筒101内で薬液が連続して糸を引くように流れるフリーフローが起こることがある。フリーフローが起こった場合には、上側第1受光素子3と下側受光素子5とが同時に連続して薬液を検出することになるので、
図10に示すようにフリーフロー信号の電圧は、フリーフローの発生を起点として、液滴が正常に落下している状態と比べて異なる電圧となる。判定部15は、フィルタ処理後の滴落信号と、フリーフロー信号の電圧を比較し、その差が所定以上であれば、フリーフローが発生していると判定する。このとき、例えば、点滴筒101の周囲の明るさが変化した場合を想定すると、上側第1受光素子3、上側第2受光素子4及び下側受光素子5は同じ点滴筒101に設けられるものなので、点滴筒101の周囲の明るさが変化したとしても、滴落が継続していれば、上側第1受光素子3、上側第2受光素子4及び下側受光素子5の信号電圧が同じように上下するだけであり、フリーフロー信号の電圧と、フィルタ処理後の滴落信号の電圧との相対差は維持されることになる。
【0056】
以上説明したように、この実施形態に係る液滴検出装置1によれば、上側第1受光素子3及び上側第2受光素子4によって、それぞれ特有の波形の信号を得て、さらに、上側第1受光素子3と下側受光素子5から出力された信号をフィルタ処理して中央値を得て、フリーフロー信号の電圧とフィルタ処理後の滴落信号の電圧との差が所定以上になったときに点滴筒101内でフリーフローが起こっていると判定することができる。これにより、点滴筒101の周囲の明るさが変化しても、点滴筒101内で起こるフリーフローを検出することができる。
【0057】
また、上側第1受光素子3及び下側受光素子5を上下方向に離して配置し、上側第1受光素子3及び下側受光素子5から出力された信号を第2差動増幅器12に入力するようにしたので、ノイズの影響を抑制して液滴を正確に検出することができる。
【0058】
尚、上記実施形態では、投光素子2が1つの場合について説明したが、これに限らず、投光素子2は複数設けてもよい。
【0059】
また、上記第1フィルタ13及び第2フィルタ14は、ハードウェアで構成することもできるし、ソフトウェアで構成することもできる。
【0060】
また、上側第1受光素子3、上側第2受光素子4及び下側受光素子5は、単数の受光素子で構成してもよいし、複数の受光素子で構成してもよい。
【0061】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。