(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183076
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】バッグインボックス製造装置及びバッグインボックス製造方法
(51)【国際特許分類】
B65B 43/54 20060101AFI20170814BHJP
B65B 3/02 20060101ALI20170814BHJP
B65B 5/04 20060101ALI20170814BHJP
B65B 7/00 20060101ALI20170814BHJP
B65B 7/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
B65B43/54 A
B65B3/02
B65B5/04
B65B7/00 A
B65B7/02
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-183929(P2013-183929)
(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公開番号】特開2015-51773(P2015-51773A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松田 考世
(72)【発明者】
【氏名】青木 剛
【審査官】
小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−183504(JP,A)
【文献】
特開平05−213392(JP,A)
【文献】
特開2012−116568(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0242122(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/54
B65B 3/02
B65B 5/04
B65B 7/00
B65B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一斗缶用充填機を用いて、フレキシブルバッグに液状内容物を充填した後、段ボールに収納してバッグインボックスを製造する装置であって、
リテーナーと、フレキシブルバッグセット手段と、充填機と、段ボール製函手段と、フレキシブルバッグ移し替え手段と、段ボール封緘手段と、空リテーナー回収手段と、を備えており、
前記リテーナーは、プラスチック製あるいは金属製のものであり、開放された天面と、底面と、4つの側面からなり、4つの側面の内一面が、部分開放されており、部分的に壁面が形成されており、開放された側面と対向する側面の上端の一部にはフレキシブルバッグのスパウト部を保持する手段であるスパウトホルダー部を降下させるための開放部が設けられ、更に底面にフレキシブルバッグのスパウトを下方から押さえ込む固定台座を上昇させるための挿入口が設けられており、
リテーナーは、充填前に予め空のフレキシブルバッグをセットするもので、
フレキシブルバッグセット手段は、空のフレキシブルバッグを前記リテーナーにセットするもので、 且つ、フレキシブルバッグがスパウトホルダー部にセットされる位置は一斗缶の内容物注出口の位置となり、
充填機は、前記リテーナーにセットされたフレキシブルバッグに液状内容物を充填する、前記一斗缶用充填機を転用してなる充填機であって、
段ボール製函手段は前記液状内容物が充填されたフレキシブルバッグを収納する段ボールを製函するもので、
フレキシブルバッグ移し替え手段は、液状内容物が充填されたフレキシブルバッグをリテーナーから前記製函された段ボールに移し替えるもので、
段ボール封緘手段は、前記液状内容物が充填されたフレキシブルバッグを収納した段ボールを封緘するもので、
空リテーナー回収手段は、前記液状内容物が充填されたフレキシブルバッグが段ボールに移し替えられ空になったリテーナーを回収するもので、
前記リテーナーは、上下に稼動可能でスパウトを保持するスパウトホルダー部と、固定台座を備え、固定台座でスパウト部を下方から押さえてスパウトにキャップを打栓することを特徴とするバッグインボックス製造装置。
【請求項2】
前記リテーナーは循環して使用されることを特徴とする請求項1に記載のバッグインボックス製造装置。
【請求項3】
前記充填機は一斗缶用ロータリー式充填機であることを特徴とする請求項1または2に記載のバッグインボックス製造装置。
【請求項4】
前記充填機は一斗缶用縦型充填機であることを特徴とする請求項1または2に記載のバッグインボックス製造装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のバッグインボックス製造装置を用いてバッグインボックスを製造することを特徴とするバッグインボックス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状内容物を充填したフレキシブルバッグを収納段ボールに収納してバッグインボックスを製造する装置及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は従来のバッグインボックスの製造装置の構成の一例を示す図である。
図1に示されるバッグインボックスの製造装置は充填ラインが1列のものである。連続する長尺状のバッグ1が矢印2で示される搬送方向に搬送され、充填部3で所定の液状内容物が充填され、充填部3より延設されたコンベア4と、該コンベア4の矢印5で示される搬送方向の先端部に配置されたバッグシューター6と、該バッグシューター6の下側に、前記コンベア4に対して直交方向に、段ボール7を矢印8の方向に供給するコンベア9を備えているものである。尚、充填機に供給されるバッグのキャップが施封されていないスパウト10は、符号11で示すように充填後キャップが施封される場合の他に、元々キャップが付いた状態で充填機に供給され充填機内でキャップを離脱し、充填、再打栓される場合がある。
【0003】
長尺状の連続するバッグ1を前記充填部3に供給し、該充填部3にて、連続するバッグ1のスパウト10(キャップ11を取り外したもの)からバッグ1内に所定の液状内容物を充填した後、充填された連続するバッグ1を、カッティング部12で各1個ずつのバッグ1aとしてカッティングし、コンベア4の駆動ロール4aで矢印5の方向にシューター6まで搬送して、段ボール7を供給するコンベア9のロール9a(又はベルト)によって、段ボール7をシューター6の下側に供給して、1個の段ボール7内に該バッグ1aを1個ずつ収納するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−116568号公報
【特許文献2】特開2013−43646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バッグインボックスの製造装置では高速製造が要求される。
図1に示される充填ラインが1列のバッグインボックスの製造装置では、1個のバッグインボックスの充填時間によって製造時間が決定されるため、高速でバッグインボックスを製造することは困難であった。
【0006】
図2は
図1とは別のバッグインボックスの製造装置の構成の一例を示す図であって、バッグインボックスの製造速度を速めた装置であって、例えば3列の充填ラインを備えたものである。
【0007】
図2に示すバッグインボックスの製造装置の場合は、充填部3の数と同数のシューター6と段ボール7の供給ラインとを必要とするため、装置が複雑になり、多大の設備費や設置スペースが必要となる。
【0008】
また、上記のような複数ラインの充填部を備えた装置としては、
図3に示すように、バッグ1a、1bを搬送する2列のコンベア4−1、4−2を備え、1箇所の段ボール供給位置にてバッグ1a、1bを収納出来るようにした装置がある。
【0009】
この装置は連続する複数列の長尺状のバッグ1−1、1−2内に、各列毎に所定の液状内容物を充填するための2個の充填部3−1、3−2と、各充填部より延設された各コンベア4−1、4−2と、該各々コンベアの搬送方向5−1、5−2の先端部の間を、前記コンベア4−1、4−2に対して直交する方向に往復移動する移送手段13(スライドテーブルユニット、ベルトコンベア、ロールコンベアなど)と、コンベア4−1、4−2に対して該移送手段13の反対側に配置されたバッグシューター6と、該バッグシューター6の下側に、前記コンベア4−1及びコンベア4−2に対して直交方向に段ボール7を供給するコンベア9を備えたものがある。
【0010】
この装置の場合は、移送手段13の機構が複雑になり、またその移送往復に要する時間は、2列のコンベア4−1、4−2の間隔を移動するだけの時間を必要とする。
【0011】
更に
図3とは別の高速で充填する装置としては、
図4に示すような充填部が回転式となっているロータリー式充填機がある。
図4に示されるロータリー式充填機は、容器供給部21において容器22を矢印23で示す方向に搬送して充填ユニット24に供給する。充填部25の充填ユニット24(
図4の場合は8個の充填ユニットがある)は矢印26の方向に連続回転しながら、供給された容器に液状内容物を充填する。充填の終わった容器27は容器回収部28において矢印29で示される方向に搬送され回収される。
【0012】
また、上記ロータリー式充填機とは別の
図5に示すような縦型充填機がある。
図5に示される縦型充填機は、容器供給部161において容器162を矢印53で示す方向に搬送して充填部165に供給する。充填部165の充填ユニット164(
図5の場合は3個(3ヘッド)の充填ユニットがある)は、供給された容器に液状内容物を充填する。充填の終わった容器167は容器回収部168において矢印59で示される方向に搬送され回収される。このような縦型充填機では、同時に複数の容器162を容器供給部161で供給し、それと同数の充填ユニットで充填することによって高速充填を可能にしている。
【0013】
一般的に、
図4、
図5に示されるロータリー式充填機や縦型充填機は、
図1〜
図3に示す充填機と比較して高速で充填することが出来るが、充填される容器として缶、ペットボトル、紙容器といった自立可能なある程度の剛性を有する容器を対象とするものであって、
図6に示されるフレキシブルバッグのような柔軟な容器の場合は、上記充填機は使用されていない。
【0014】
使用されていない理由として、上記ロータリー式充填機や縦型充填機に空のフレキシブルバッグをセットすること、及び充填後に搬出して段ボールに回収することは、特にバッグが大型のフレキシブルバッグの場合には位置合わせ等が難しかったことが問題となっていた。
【0015】
上記フレキシブルバッグは、
図6(a)及び(b)の側面図に示すようなものであって、フレキシブルバッグ31のバッグ本体は、柔軟なプラスチックフィルム製の包材を袋状にしたものであり、シール部31aによって袋状にしたバッグ本体の上部の一部開口部に、液状内容物注入出用のスパウト32を接続し、キャップ32aによって施封されている。
【0016】
そしてバッグを段ボール投入時の状態は、上記
図6(a)のように立方体形状のもの、あるいは
図6(b)のように偏平形状のもの等がある。
【0017】
一般的に、バッグインボックス型の液状包装における段ボール34内に収納される上記バッグ31の姿勢については、前記キャップ32a部分が常に上側を向き、シール部31
aが水平になって段ボール34内に収納されることが必要であるが、上記フレキシブルバッグ31を上記ロータリー式充填機や縦型充填機で充填した場合においては、充填されたフレキシブルバッグの段ボール34内での姿勢は不揃いになりやすい。
【0018】
上記問題を解決するために、
図7に示すように、充填前にフレキシブルバッグ31を段ボール34に予めセットしておき、フレキシブルバッグ31が収納された段ボール34を上記ロータリー式充填機や縦型充填機に供給して充填することも考えられるが、この場合には液状内容物が段ボール34に付着して汚したり、段ボール34の紙粉異物が液状内容物に混入するといった問題があった。
【0019】
また、上記ロータリー式充填機や縦型充填機によって充填が可能で、しかも液状内容物が段ボールに付着したり、段ボールの紙粉異物が液状内容物に混入するといった上記問題を解決するためのリテーナーが提案されている。
図8に該リテーナーの一例を示す。
図8に示されるリテーナー52はプラスチック製あるいは金属製のものであって、埃を発生しない材料で作製されたもので、空のフレキシブルバッグを内部にセットすることが出来る。
図8に示されるリテーナー52は、開放された天面52aと、底部52bと、4つの側面52c−1、52c−2、52c−3、52c−4からなっている。4つの側面の内52c−4は、部分開放されており、部分的に壁面52c−4aが形成されている。また、開放された側面52c−4と対向する側面即ち、側面52c−2の上端にはフレキシブルバッグを保持するスパウトホルダー部52dが備えられており、スパウトホルダー部52dにフレキシブルバッグが保持された状態で液状内容物が充填される。
【0020】
しかしながら、上記ロータリー式充填機や縦型充填機によって充填された後に行われるキャップ打栓(キャップを取り付けること)の際に、上記の方法ではフレキシブルバッグのスパウト32が垂直に正確に保持されていないために、キャップ打栓が斜めになってしまい正確に行われない。その結果、内容物が洩れてしまうといった問題がある。
【0021】
そこで本発明は、特に大型のフレキシブルバッグに内容物を充填する際に、多大な設備費や設置スペースを必要とせず、高速充填が可能で、しかも液状内容物が外箱に付着したり、外箱の紙粉異物が液状内容物に混入することがなく、規定量の充填が出来、安定したキャップ打栓が出来るバッグインボックス製造装置及びバッグインボックス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の請求項1に係る発明は、
一斗缶用充填機を用いて、フレキシブルバッグに液状内容物を充填した後、段ボールに収納してバッグインボックスを製造する装置であって、
リテーナーと、フレキシブルバッグセット手段と、充填機と、段ボール製函手段と、フレキシブルバッグ移し替え手段と、段ボール封緘手段と、空リテーナー回収手段と、を備えており、
前記リテーナーは、プラスチック製あるいは金属製のものであり、開放された天面と、底面と、4つの側面からなり、4つの側面の内一面が、部分開放されており、部分的に壁面が形成されており、開放された側面と対向する側面の上端の一部にはフレキシブルバッグのスパウト部を保持する手段であるスパウトホルダー部を降下させるための開放部が設けられ、更に底面にフレキシブルバッグのスパウトを下方から押さえ込む固定台座を上昇させるための挿入口が設けられており、
リテーナーは、充填前に予め空のフレキシブルバッグをセットするもので、
フレキシブルバッグセット手段は、空のフレキシブルバッグを前記リテーナーにセットするもので、
且つ、フレキシブルバッグがスパウトホルダー部にセットされる位置は一斗缶の内容物注出口の位置となり、
充填機は、前記リテーナーにセットされたフレキシブルバッグに液状内容物を充填する
、前記一斗缶用充填機を転用してなる充填機であって、
段ボール製函手段は前記液状内容物が充填されたフレキシブルバッグを収納する段ボールを製函するもので、
フレキシブルバッグ移し替え手段は、液状内容物が充填されたフレキシブルバッグをリテーナーから前記製函された段ボールに移し替えるもので、
段ボール封緘手段は、前記液状内容物が充填されたフレキシブルバッグを収納した段ボールを封緘するもので、
空リテーナー回収手段は、前記液状内容物が充填されたフレキシブルバッグが段ボールに移し替えられ空になったリテーナーを回収するもので、
前記リテーナーは、上下に稼動可能でスパウトを保持するスパウトホルダー部と、固定台座を備え、固定台座でスパウト部を下方から押さえてスパウトにキャップを打栓することを特徴とするバッグインボックス製造装置である。
【0023】
本発明の請求項2に係る発明は、前記リテーナーは循環して使用されることを特徴とする請求項1に記載のバッグインボックス製造装置である。
【0024】
本発明の請求項3に係る発明は、前記充填機は一斗缶用ロータリー式充填機であることを特徴とする請求項1または2に記載のバッグインボックス製造装置である。
【0025】
本発明の請求項4に係る発明は、前記充填機は一斗缶用縦型充填機であることを特徴とする請求項1または2に記載のバッグインボックス製造装置である。
【0026】
本発明の請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれかに記載のバッグインボックス製造装置を用いてバッグインボックスを製造することを特徴とするバッグインボックス製造方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるバッグインボックス製造装置によれば、特に大型のフレキシブルバッグに内容物を充填する際に、既存の一斗缶用充填機を用いて充填することが可能で、多大な設備費や設置スペースを必要とせず高速充填することが出来、しかも液状内容物が外箱に付着したり、外箱の紙粉異物が液状内容物に混入することがなく、規定量の充填が出来、また安定したキャップ打栓が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】従来のバッグインボックスの製造装置の構成の一例を示す図。
【
図2】
図1とは別のバッグインボックスの製造装置の構成の一例を示す図。
【
図3】複数ラインの充填部を備えたバッグインボックスの製造装置を示す図。
【
図4】充填部がロータリー式となっているロータリー式充填機を示す図。
【
図6】フレキシブルバッグの側面図。(a)は立方体形状のフレキシブルバッグ。(b)は偏平形状のフレキシブルバッグを示す。
【
図7】充填前にフレキシブルバッグを段ボールに予めセットしたことを示す図。
【
図8】従来提案されていたリテーナーの一例を示す図。
【
図9】本発明のバッグインボックス製造装置の概略構成を示す模式図。
【
図10】本発明のバッグインボックス製造装置に適用されるフレキシブルバッグの一例を示す模式図。
【
図11】本発明に係るリテーナーの一例を示す模式図。
【
図12】空のフレキシブルバッグを本発明に係るリテーナーにセットする場合を示す図。(a)はフレキシブルバッグをリテーナーに供給することを示す図。(b)は空のフレキシブルバッグがスパウトホルダー部に保持されてセットされることを示す図。
【
図13】フレキシブルバッグが本発明に係るスパウトホルダー部に保持されてセットされた状態を説明するための図。(a)はスパウトホルダー部及びスパウトの上面図であって、フレキシブルバッグのスパウトが矢印80の方向に押し込まれることを示す図。(b)はフレキシブルバッグのスパウトがスパウトホルダー部に嵌めこまれることを示す図。
【
図14】フレキシブルバッグのスパウトを本発明に係るスパウトホルダー部に保持する方法の一例を示す図。
【
図15】本発明に係る充填機の充填ノズルが矢印65で示す方向に下降してフレキシブルバッグに液状内容物が充填されることを示す図。
【
図16】本発明に係る固定台座が矢印63の方向に更に上昇してフレキシブルバッグのスパウトを下方から押さえ込むことを示す図。
【
図17】キャップホルダーが矢印64で示す方向に下降しキャップがスパウトに打栓されることを示す図。
【
図18】液状内容物が充填されたフレキシブルバッグが矢印83で示される方向に落下して段ボールに収納されることを示す図。
【
図19】縦型充填機を用いた本発明のバッグインボックス製造装置の概略構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明のバッグインボックス製造装置を実施するための形態を説明する。
【0030】
図9は本発明のバッグインボックス製造装置の概略構成を示す模式図で、充填機がロータリー式充填機の場合を示す図である。バッグインボックス製造装置は、リテーナー142と、フレキシブルバッグセット手段143と、充填機144と、段ボール製函手段148と、フレキシブルバッグ移し替え手段149と、段ボール封緘手段150と、空リテーナー回収手段151と、を備えている。
【0031】
リテーナーは、充填前に予め空のフレキシブルバッグ141がフレキシブルバッグセット手段143によってセットされる充填用の箱である。充填機144はリテーナー142にセットされたフレキシブルバッグに液状内容物を充填する。
図9に示される充填機144の場合は、充填ユニット144aが8個あり、矢印140で示す方向に回転しながら充填を行い、1回転する間に8個のフレキシブルバッグに充填することが出来る。
【0032】
段ボール製函手段148は前記液状内容物が充填されたフレキシブルバッグを収納する段ボールを製函して箱状の段ボール147とする。フレキシブルバッグ移し替え手段149は、液状内容物が充填されたフレキシブルバッグをリテーナーから前記製函された段ボール147に移し替える。段ボール封緘手段150は、前記液状内容物が充填されたフレキシブルバッグを収納した段ボール147を封緘する。
【0033】
空リテーナー回収手段151は、前記液状内容物が充填されたフレキシブルバッグが段ボールに移し替えられ空になったリテーナー142を回収する搬送コンベアである。
【0034】
図10は本発明のバッグインボックス製造装置に適用されるフレキシブルバッグの一例を示す模式図である。フレキシブルバッグ141は、柔軟なプラスチックフィルム製の包材を袋状にしたものであり、バッグ本体141aの上部の一部開口部に、液状内容物注入出用のスパウト141bを接続し、キャップ141cによって施封されている。スパウト141bにはヒンジ141b−1、141b−2、141b−3とスパウト接続部141b−4が設けられている。
【0035】
図11は本発明に係るリテーナー142の一例を示す模式図である。リテーナー142はプラスチック製あるいは金属製のものであって、埃を発生しない材料で作製されたもので、空のフレキシブルバッグを内部にセットすることが出来る。リテーナー142は、開
放された天面142aと、底面142bと、4つの側面142c−1、142c−2、142c−3、142c−4からなっている。4つの側面の内142c−4は、部分開放されており、部分的に壁面142−4aが形成されている。また、開放された側面142c−4と対向する側面即ち、側面142c−2の上端の一部にはフレキシブルバッグのスパウト部を保持する手段であるスパウトホルダー部142dを矢印61で示す方向に下降させるための開放部142c−2aが設けられている。更に底面142bにはフレキシブルバッグのスパウトを下方から押さえ込む固定台座142eを矢印62で示す方向に上昇させるための挿入口142b−1aが設けられている。リテーナー142は一斗缶の外形、大きさを一斗缶と合わせる事によって従来の一斗缶用ロータリー充填機を改造することなしで使用することが出来る。しかしこれに限定されるものではない。
【0036】
図12は空のフレキシブルバッグ141をリテーナー142にセットする場合を示した図で、図示しない帯状に連なったフレキシブルバッグを1個のフレキシブルバッグ141に切り離した後、リテーナー142に供給する(
図12(a))。この場合、フレキシブルバッグ141のスパウト141bにキャップが施封されていた場合にはキャップは離脱される。
【0037】
一方、リテーナー142ではスパウトホルダー部142dが開放部142c−2aで矢印61の方向に下降し、また固定台座142eが挿入口142b−1aで矢印62の方向に上昇する。
【0038】
次に空のフレキシブルバッグ141はリテーナー142にセットされる。リテーナー142に空のフレキシブルバッグ141がセットされる場合は、フレキシブルバッグ141はスパウトホルダー部142dに保持されてセットされる(
図12(b))。
【0039】
充填機に一斗缶充填機を用いる場合は、フレキシブルバッグ141がスパウトホルダー部142dにセットされる位置は一斗缶の内容物注出口の位置となるようにすることによって、一斗缶充填機の改造を行う必要がない。
【0040】
図13はフレキシブルバッグ141がスパウトホルダー部142dに保持されてセットされた状態を説明するための図である。
図13(a)はスパウトホルダー部142d及びスパウト141bの上面図であって、フレキシブルバッグのスパウト141bは矢印80の方向に押し込まれてスパウト141bのスパウト接続部141b−4がスパウトホルダー部142dの凹部142d−1に嵌めこまれる(
図13(b))。この場合スパウトホルダー部142dの凹部の寸法(D1)をスパウト141bのスパウト接続部141b−4の直径(D2)よりもわずかに小さくすることによって保持し易くなる。
【0041】
図14にフレキシブルバッグ141のスパウト141dをスパウトホルダー部142dに保持する方法の一例を示す。フレキシブルバッグ141のスパウト141bのヒンジ141b−2と141b−3間にフレキシブルバッグセット手段であるスパウト押し込み具155を挿入する(
図14(a))。
図14(b)は
図14(a)の矢印81の方向から見た図である。更にスパウト141bのヒンジ141b−2と141b−3間にスパウト押し込み具155を挿入した状態で水平方向に移動してスパウトホルダー部142dの凹部にスパウト141bのスパウト接続部141b−4を押し込む(
図14(c))。このようにして空のフレキシブルバッグ141はリテーナー142にセットされる。
【0042】
このようにして空のフレキシブルバッグ141がリテーナー142にセットされた後、
図15に示すように充填ノズル144bが矢印65で示す方向に下降してフレキシブルバッグ141に液状内容物が充填される。この場合フレキシブルバッグ141は上から吊り下げられた状態であるために、内容物が袋状のバッグ本体141a内に広がり易く、規定量の充填が出来る。
【0043】
充填後は充填ノズル144bが退き、次に
図16に示すように固定台座142eが矢印63の方向に更に上昇してフレキシブルバッグのスパウト141bを下方から押さえ込む。この状態で
図17に示すようにキャップホルダー153が矢印64で示す方向に下降しキャップ154がスパウト141bに打栓される。この場合スパウトホルダー部142dによってスパウト141bが保持され、更に固定台座142eによってスパウト141bが押し込まれているためキャップが斜め打栓されることはなく、キャップの勘合を確実に行うことが出来る。また、固定台座142eがフレキシブルバッグのスパウト141bを下方から押さえ込むことによって、フレキシブルバッグの充填時に用いられるいわゆるエアレスフィルの役目を果たすことが出来るため、スパウト141b直下のエア残りをなくすことが出来る。
【0044】
上記説明では、スパウトホルダー部142d及び固定台座142eは一例であって、これに限定するものではない。
【0045】
このようにして液状内容物の充填とキャップの打栓が行われたフレキシブルバッグはスパウトホルダー部142dで保持されていたスパウトがスパウトホルダー部142dから開放され(例えばセット時とは逆方向にスパウトを移動する手段によって開放され)、スパウトホルダー部142dはリテーナーの上方に上昇し、また固定台座142eが下降してリテーナーの下側に退いた後に、
図9に示す搬出コンベア146によって移し替え装置149に搬送され、更に段ボール147に移し替えられる。
【0046】
液体内容物が充填されたフレキシブルバッグを収納する段ボール147を製函する段ボール製函装置148は一般に用いられている段ボール製函装置を採用することが出来る。
【0047】
移し替え装置149は、搬出されたリテーナーから液状内容物が充填されたフレキシブルバッグを上記製函された段ボールに移し替えて収納する装置であって、開口した段ボール上にリテーナーを搬送した後、段ボール上で
図18に示すようにリテーナーの底部142bが矢印82の方向に回転して開口することによって、液状内容物が充填されたフレキシブルバッグ141が矢印83で示される方向に落下して段ボールに収納される。段ボールへフレキシブルバッグ141を収納する方法は上記の落下する方法に限定するものではない。
【0048】
液状内容物が充填されたフレキシブルバッグが収納された段ボールを封緘する段ボール封緘装置150は、一般的に用いられている封緘装置を採用することが出来る。
【0049】
一方、空になったリテーナー142は回収コンベア151によって、フレキシブルバッグセット装置143に搬送され、その後、再び空のフレキシブルバッグ141がセットされる。このようにリテーナー142は循環して使用される。また、リテーナー142は折りたたみが可能な構造とすることによって、保管場所を抑制することが出来る。
【0050】
上記説明ではロータリー式充填機の場合を例示したが、縦型充填機であっても良い。
図19は縦型充填機を用いたバッグインボックス製造装置の概略構成を示す模式図である。縦型充填機を用いたバッグインボックス製造装置は、リテーナー142と、フレキシブルバッグセット手段143と、充填機55と、段ボール製函手段148と、フレキシブルバッグ移し替え手段149と、段ボール封緘手段150と、空リテーナー回収手段151と、を備えている。
【0051】
縦型充填機を用いたバッグインボックス製造装置の場合は、フレキシブルバッグセット
手段143によってフレキシブルバッグ141がリテーナー142にセットされる。リテーナー142は上記ロータリー式充填機の場合と同様のリテーナーを用いることが出来る。フレキシブルバッグ141がセットされたリテーナー172は、搬入コンベア145によってリテーナー停留部171に搬入される。搬入されたリテーナー172は一旦リテーナー停留部171に留められ、(
図18の場合は)3個のリテーナーが揃った時点で充填部175に搬入コンベア152によって搬入される。その後充填部175の充填ユニット174によって液体内容物が充填される。
【0052】
充填後の各処理手段は、上記ロータリー式充填機の場合と同じ処理手段を用いることが出来る。
【0053】
以上のように本発明のバッグインボックスの製造装置及び製造方法によれば、リテーナーにフレキシブルバッグを正確に保持出来るようにセットすることが出来、更に既存の一斗缶に充填するロータリー式充填機及び縦型充填機を用いて充填することが出来るため、多大な設備費や設置スペースを必要とせず、高速充填が可能で規定量の充填が出来、安定したキャップ打栓が出来る。また、液状内容物が外箱に付着したり、外箱の紙粉異物が液状内容物に混入することを防ぐことが出来る。更にリテーナーは循環して使用出来るといった利点がある。
【符号の説明】
【0054】
1・・・連続する長尺状のバッグ
1−1、1−2・・・連続する複数列の長尺状のバッグ
1a、1b・・・一個にカッティングされたバッグ
2・・・連続する長尺状のバッグが搬送される方向を示す矢印
3・・・充填部
3−1、3−2・・・2個の充填部
4・・・充填部より延設されたコンベア
4−1、72・・・バッグ1a、1bを搬送する2列のコンベア
4a・・・コンベア4の駆動ロール
5・・・コンベア4の先端方向を示す矢印
5−1、5−2・・・コンベア4−1、72の搬送方向を示す矢印
6・・・シューター
7・・・段ボール
8・・・段ボールを供給する方向を示す矢印
9・・・コンベア
9a・・・コンベア9のロール
10・・・キャップが施封されていないスパウト
11・・・キャップが施封されたスパウト
12・・・カッティング部
13・・・往復移動する移送手段
21・・・容器供給部
22・・・容器
23・・・容器22を搬送する方向を示す矢印
24・・・充填ユニット
25・・・充填部
26・・・充填ユニットが回転する方向を示す矢印
27・・・充填の終わった容器
28・・・容器回収部
29・・・充填の終わった容器27が搬送され回収される方向を示す矢印
31・・・フレキシブルバッグ
31a・・・フレキシブルバッグ31のシール部
32・・・スパウト
32a・・・キャップ
34・・・段ボール
52・・・リテーナー
52a・・・開放された天面
52b・・・底部
52c−1、52c−2、52c−3、52c−4・・・4つの側面
52c−4a・・・壁面
52d・・・スパウトホルダー部
61・・・スパウトホルダー部が下降する方向
62・・・固定台座が上昇する方向
63・・・固定台座が更に上昇する方向
64・・・キャップホルダーが下降する方向
65・・・充填ノズルが下降する方向
80・・・フレキシブルバッグのスパウトが押し込まれる方向
81・・・
図14(a)を見る方向
82・・・リテーナーの底部が回転する方向
83・・・液体内容物が充填されたフレキシブルバッグが落下する方向
140・・・充填ユニットの回転方向
141・・・フレキシブルバッグ
141a・・・袋状のバッグ本体
141b・・・スパウト
141b−1、141b−2、141b−3・・・スパウトのヒンジ
141b−4・・・スパウト接続部
141c・・・キャップ
142・・・リテーナー
142−4a・・・壁面
142a・・・開放された天面
142b・・・底面
142b−1a・・・固定台座の挿入口
142c−1、142c−2、142c−3、142c−4・・・リテーナーの側面
142c−2a・・・開放部
142d・・・スパウトホルダー部
142d−1・・・スパウトホルダー部の凹部
142e・・・固定台座
143・・・フレキシブルバッグセット手段
144・・・充填機
144a・・・充填ユニット
144b・・・充填ノズル
146・・・搬出コンベア
147・・・段ボール
148・・・段ボール製函手段
149・・・移し替え装置
150・・・段ボール封緘手段
151・・・空リテーナー回収手段
152・・・搬入コンベア
153・・・キャップホルダー
154・・・キャップ
155・・・スパウト押し込み具
161・・・容器供給部
162・・・容器
165・・・充填部
164・・・充填ユニット
167・・・充填が終わった容器
168・・・容器回収部
171・・・リテーナー停留部
172・・・リテーナー
174・・・充填ユニット
175・・・充填部
D1・・・スパウトホルダー部の凹部の寸法
D2・・・スパウト接続部の直径