(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183104
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20170814BHJP
A47K 13/24 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
E03D9/08 B
A47K13/24
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-200798(P2013-200798)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-67979(P2015-67979A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】福本 治彦
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−226004(JP,A)
【文献】
特開2009−086747(JP,A)
【文献】
特開2001−337183(JP,A)
【文献】
特開平11−219237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00− 9/16
A47K 13/00−17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコンの動作速度を定めるクロック信号を切り替えるクロック部と、
少なくとも温水又は便座サーミスタの信号を処理するアナログ入力回路部と、
少なくとも人体の有無を判断する信号を処理する第1デジタル入出力回路部と、
少なくとも便座又は便蓋の開閉操作する信号を処理する第2デジタル入出力回路部と、
前記アナログ入力回路部への電源供給及び遮断を行う第1遮断回路部と、
前記第2デジタル入出力回路部への電源供給及び遮断を行う第2遮断回路部と、
前記第1及び第2遮断回路部、前記アナログ入力回路部、前記第1及び第2デジタル入出力回路部を制御し、電源部より電源が供給されるマイコン部と、
を備え、
前記クロック部は、前記アナログ入力回路部を監視する必要がない場合は第2のクロックにより前記マイコン部を低速動作させ、
前記アナログ入力回路部を監視する必要がある場合は前記マイコン部を第1のクロックにより通常動作させ、
前記第2のクロックにより前記マイコン部を低速動作させる場合においては、前記第1、第2遮断回路部により、前記アナログ入力回路部及び前記第2デジタル入出力回路部への電源供給を遮断することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
マイコンの動作速度を定めるクロック信号を切り替えるクロック部と、
少なくとも温水又は便座サーミスタの信号を処理するアナログ入力回路部と、
少なくとも人体の有無を判断する信号を処理する第1デジタル入出力回路部と、
少なくとも便座又は便蓋の開閉操作する信号を処理する第2デジタル入出力回路部と、
前記アナログ入力回路部への電源供給及び遮断を行う第1遮断回路部と、
前記第2デジタル入出力回路部への電源供給及び遮断を行う第2遮断回路部と、
前記第1及び第2遮断回路部、前記アナログ入力回路部、前記第1及び第2デジタル入出力回路部を制御し、電源部より電源が供給されるマイコン部と、
前記アナログ入力回路部の異常を前記マイコン部を介さずハード的に検出して制御回路をロックするラッチ保護回路部と、
ラッチ保護回路部への電源供給及び遮断を行う第3遮断回路部と、
を備え、
前記アナログ入力回路部への電源供給を遮断する時は、前記第3遮断回路部をオフした後に前記第1遮断回路部をオフし、
アナログ入力回路部への電源供給時は、前記第1遮断回路部をオンした後に前記第3遮断回路部をオンすることを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関し、特にマイコンの動作速度を定めるクロック信号を低速に切り替える手段を有する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイコンを組み込んだ制御装置において、その制御装置が待機状態にあるとき、マイコンの動作速度を定めるクロック信号を低速に切り替える手段を設け、制御装置の消費電力を低減する手段がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−219237
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マイコンの動作速度を切り替える特許文献1の構成のような場合、より低速な動作(例えば32.768kHzのサブクロック動作)においては、マイコンが制御できる機能が限られてしまう。そのため、例えば温水洗浄便座の場合、人体の有無を判断したり便座又は便蓋の開閉操作する信号を処理したりするデジタル入出力回路の入力制御は可能であるが、温水又は便座サーミスタの信号を処理するアナログ入力回路の入力制御は不可能となる場合がある。これにより、製品待機状態において前記サーミスタを監視する必要がある場合は、単純にマイコンの動作速度を低速に切り替えることができないという課題がある。
本発明では、製品待機状態において、前記アナログ入力回路を監視する必要がない場合はマイコンを低速動作させ、前記アナログ入力回路を監視する必要がある場合はマイコンを通常動作させ、マイコンを低速動作させる場合においては前記アナログ入力回路及び前記デジタル入出力回路への電源供給を遮断することで製品の消費電力を一層低減することを可能にした制御装置を提供する。
また、サーミスタで検知した高温異常や断線異常を、ソフトを介さずにハード的に検出して制御回路をロックするラッチ保護回路を設けている場合においては、前記アナログ入力回路への電源供給遮断時に異常判定しないよう、前記アナログ入力回路への電源供給タイミング及び遮断タイミングに特徴を持たせた制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明の態様によれば、マイコンの動作速度を定めるクロック信号を切り替えるクロック部と、少なくとも温水又は便座サーミスタの信号を処理するアナログ入力回路部と、少なくとも人体の有無を判断する信号を処理する第1デジタル入出力回路部と、少なくとも便座又は便蓋の開閉操作する信号を処理する第2デジタル入出力回路部と、前記アナログ入力回路部への電源供給及び遮断を行う第1遮断回路部と、前記第2デジタル入出力回路部への電源供給及び遮断を行う第2遮断回路部と、前記第1及び第2遮断回路部、前記アナログ入力回路部、前記第1及び第2デジタル入出力回路部を制御し、電源部より電源が供給されるマイコン部と、を備え、前記クロック部は、前記アナログ入力回路部を監視する必要がない場合は第2のクロックにより前記マイコン部を低速動作させ、前記アナログ入力回路
部を監視する必要がある場合は前記マイコン部を第1のクロックにより通常動作させ、前記第2のクロックにより前記マイコン部を低速動作させる場合においては、
前記第1、第2遮断回路
部により、前記アナログ入力回路部及び前記第2デジタル入出力回路部への電源供給を遮断(オフ)することを特徴とする。
【0006】
第2の発明の態様によれば、マイコンの動作速度を定めるクロック信号を切り替えるクロック部と、少なくとも温水又は便座サーミスタの信号を処理するアナログ入力回路部と、少なくとも人体の有無を判断する信号を処理する第1デジタル入出力回路部と、少なくとも便座又は便蓋の開閉操作する信号を処理する第2デジタル入出力回路部と、前記アナログ入力回路部への電源供給及び遮断を行う第1遮断回路部と、前記第2デジタル入出力回路部への電源供給及び遮断を行う第2遮断回路部と、前記第1及び第2遮断回路部、前記アナログ入力回路部、前記第1及び第2デジタル入出力回路部を制御し、電源部より電源が供給されるマイコン部と、前記アナログ入力回路部の異常を前記マイコン部を介さずハード的に検出して制御回路をロックするラッチ保護回路部と、ラッチ保護回路部への電源供給及び遮断を行う第3遮断回路部と、を備え、前記アナログ入力回路部への電源供給を遮断する時は、前記第3遮断回路
部をオフした後に前記第1遮断回路
部をオフし、アナログ入力回路部への電源供給時は、前記第1遮断回路
部をオンした後に前記第3遮断回路
部をオンすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アナログ入力回路をもつ制御装置においてもマイコンを低速動作に切り替えることができ、かつ、低速動作時はアナログ入力回路部、デジタル入出力回路部の電源供給を遮断することで、製品待機状態において消費電力を削減した制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の発明の形態を説明するブロック図である。
【
図2】第2の発明の形態を説明するブロック図である。
【
図3】第1の発明及び第2の発明の形態を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る制御装置の構成を例示するブロック図である。
【0011】
第1の実施形態において、制御装置100は、マイコン部1と、第1のクロック11と、第2のクロック12と、アナログ入力回路部4と、第1デジタル入出力回路部5と、第2デジタル入出力回路部6と、第1遮断回路14と、第2遮断回路26と、を備える。
【0012】
マイコン部1は、電源部より電源が供給されるとともに、第1のクロック11及び第2のクロック12が接続されており、通常は第1のクロック11の発振周波数で動作している。低速動作に切り替えたい場合は、第2のクロック12の発振周波数で動作させることができる。
なお、本実施例においては、第1のクロック11と第2のクロック12とを備えた構成を例示しているが、第1のクロック11と第2のクロック12は、マイコン部1に内臓されているもので構成してもよい。
【0013】
アナログ入力回路部4は、第1遮断回路14を介して電源部より電源が供給される。マイコン部1は、第1遮断回路14をオンした状態で、アナログ入力回路部4からの入力信号41を読み取ることができる。
【0014】
第1デジタル入出力回路部5は、電源部より電源が供給され、マイコン部1は、常に第1デジタル入出力回路部5からの入力信号51を読み取ることができる。また、第1デジタル入出力回路部5に出力信号15を送ることで、第1デジタル入出力回路部5に接続されている製品負荷(図示せず)を動作させることもできる。
【0015】
第2デジタル入出力回路部6は、第2遮断回路26を介して電源部より電源が供給される。マイコン部1は、第2遮断回路26をオンした状態で、第2デジタル入出力回路部6からの入力信号61を読み取ることができる。また、第2遮断回路26をオンした状態で、第2デジタル入出力回路部6に出力信号16を送ることで、第2デジタル入出力回路部6に接続されている製品負荷(図示せず)を動作させることもできる。
【0016】
制御装置100は、製品待機状態などアナログ入力回路部4を監視する必要がない場合は、第2のクロック12によりマイコン部1を通常動作から低速動作に切り替えることができる。
【0017】
マイコン部1が低速動作しているときは、アナログ入力回路部4からの入力信号41、及び第2デジタル入出力回路部6からの入力信号61を読み取る必要はない。そのため、第1遮断回路14及び第2遮断回路26をオフし、アナログ入力回路部4及び第2デジタル入出力回路部6への電源供給を停止させてもよい。
【0018】
図2は、第2の実施形態に係る制御装置の構成を例示するブロック図である。
【0019】
第2の実施形態において、制御装置100は、マイコン部1と、第1のクロック11と、第2のクロック12と、アナログ入力回路部4と、第1デジタル入出力回路部5と、第2デジタル入出力回路部6と、ラッチ保護回路部7と、第1遮断回路14と、第2遮断回路26と、第3遮断回路37を備える。
【0020】
マイコン部1は、電源部より電源が供給されるとともに、第1のクロック11及び第2のクロック12が接続されており、通常は、第1のクロック11の発振周波数で動作している。低速動作に切り替えたい場合は、第2のクロック12の発振周波数で動作させることができる。
なお、本実施例においては、第1のクロック11と第2のクロック12とを備えた構成を例示しているが、第1のクロック11と第2のクロック12は、マイコン部1に内臓されているもので構成してもよい。
【0021】
アナログ入力回路部4は、第1遮断回路14を介して電源部より電源が供給される。マイコン部1は、第1遮断回路14をオンした状態で、アナログ入力回路部4からの入力信号41を読み取ることができる。
【0022】
第1デジタル入出力回路部5は、電源部より電源が供給され、マイコン部1は、常に第1デジタル入出力回路部5からの入力信号51を読み取ることができる。また、第1デジタル入出力回路部5に出力信号15を送ることで、第1デジタル入出力回路部5に接続されている製品負荷(図示せず)を動作させることもできる。
【0023】
第2デジタル入出力回路部6は、第2遮断回路26を介して電源部より電源が供給される。マイコン部1は、第2遮断回路26をオンした状態で、第2デジタル入出力回路部6からの入力信号61を読み取ることができる。また、第2遮断回路26をオンした状態で、第2デジタル入出力回路部6に出力信号16を送ることで、第2デジタル入出力回路部6に接続されている製品負荷(図示せず)を動作させることもできる。
【0024】
ラッチ保護回路部7は、第3遮断回路37を介して電源部より電源が供給される。マイコン部1が第3遮断回路37をオンした状態であるとき、アナログ入力回路部4からの入力信号47が異常であれば、ラッチ保護回路部7が動作し、アナログ入力回路部4からの入力信号41を監視しながら制御している製品負荷(図示せず)を動作停止させる。
【0025】
制御装置100は、製品待機状態などアナログ入力回路部4を監視する必要がない場合は、第2のクロック12によりマイコン部1を通常動作から低速動作に切り替える。
【0026】
マイコン部1が低速動作しているときは、アナログ入力回路部4からの入力信号41、及び第2デジタル入出力回路部6からの入力信号61を読み取る必要はない。そのため、第1遮断回路14及び第2遮断回路26をオフし、アナログ入力回路部4及び第2デジタル入出力回路部6への電源供給を停止させてもよい。
【0027】
なお、第1遮断回路14をオフした場合は、アナログ入力回路部4からラッチ保護回路部7への入力信号47が消失し、ラッチ保護回路部7が動作してしまう。そのため、ラッチ保護回路部7が動作しないよう、第1遮断回路14をオフする場合は、第3遮断回路37もオフしておく必要がある。
また、第1遮断回路14及び第3遮断回路37をオン、オフするタイミングとしては、第3遮断回路37をオフした後に第1遮断回路14をオフし、第1遮断回路14をオンした後に第3遮断回路37をオンする必要がある。
【0028】
図3は、第1の発明及び第2の発明の形態を説明するタイムチャートである。
図3(a)は、第1遮断回路14のオン、オフのタイミングを表している。
図3(b)は、第3遮断回路37のオン、オフのタイミングを表している。
図3(c)は、第2遮断回路26のオン、オフのタイミングを表している。
第1のクロックによりマイコンが通常動作している場合は、第1、第2、第3遮断回路をオンし、第2のクロックによりマイコンを低速動作させる場合は、第1、第2、第3遮断回路をオフする。なお、第1、第2のクロックの切り替えのタイミングは任意としてよい。
また、第1遮断回路14及び第3遮断回路37をオン、オフするタイミングとしては、第3遮断回路37をオフした後に第1遮断回路14をオフし、第1遮断回路14をオンした後に第3遮断回路37をオンする。なお、第2遮断回路26のオン、オフのタイミングは任意としてよい。
【符号の説明】
【0029】
1…マイコン部
4…アナログ入力回路部
5…第1デジタル入出力回路部6…第2デジタル入出力回路部
7…ラッチ保護回路部
11…第1のクロック(通常速度動作)
12…第2のクロック(低速速度動作)
14…第1遮断回路
26…第2遮断回路
37…第3遮断回路
100…制御装置