(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突出部の長さは、前記カード挿入排出口から前記カード状媒体が排出された際、前記カード状媒体の長手方向端において、顧客が把持できる所定の領域を確保する長さである、請求項1に記載の媒体処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、スキミング装置(不正磁気読取装置)を異物として検出するセンサを設ける等の従来提案されている磁気データの不正取得防止方法はコストがかかり、また、カード挿入排出時に顧客に違和感を与えるものではないので不正取得に気づき難いという問題があった。
【0007】
仮にスキミング装置が取り付けられた際、カードの挿入排出動作や明細票の排出動作に違和感を生じさせることができれば、顧客がすぐにスキミング装置の取付けに気付くことができ、顧客は所定機関への通報やカードの利用停止手続き等を速やかに行うことができる。
【0008】
また、スキミング装置が取り付けられ得る空間が生じないようにすれば、スキミング装置の取付けを防止することができる。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、不正磁気読取装置の取付けをより確実に防止することが可能な、新規かつ改良された媒体処理装置および自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、取引に応じて所定の処理を行った紙状媒体を排出する紙媒体排出口と、前記紙媒体排出口の下方に設けられ、カード状媒体の挿入排出を行うカード挿入排出口と、前記紙媒体排出口と前記カード挿入排出口とを形成するフレーム上に、前記カード挿入排出口から挿入または排出される前記カード状媒体に貼付された磁気ストライプが通過する位置に
少なくとも対応するよう設けられる突出部と、を備え
、前記突出部は、傾斜する上面と略水平の下面とから形成され、前記突出部の上面は、前記紙媒体排出口から傾斜して排出される紙状媒体の搬送を案内する搬送路の下側ガイド面を直線形状で延長するよう形成され、前記突出部の下面は、前記カード挿入排出口から水平に挿入排出されるカード状媒体の搬送を案内する搬送路の上側ガイドを直線形状で延長するよう形成される、媒体処理装置が提供される。
【0012】
また、前記突出部の長さは、前記カード挿入排出口から前記カード状媒体が排出された際、前記カード状媒体の長手方向端において、顧客が把持できる所定の領域を確保する長さであってもよい。
【0013】
また、前記所定の領域は、前記カード状媒体の長手方向端から略20〜35mmの領域であってもよい。
【0014】
また、前記突出部は、前記紙状媒体の搬送路を形成する上側ガイド面および下側ガイド面よりも顧客側に突出していてもよい。
【0015】
また、前記突出部の幅は、少なくとも前記磁気ストライプの幅以上で形成されてもよい。
【0016】
また、前記突出部の幅は、前記カード挿入排出口の幅以上で形成されてもよい。
【0017】
また、前記突出部は、複数設けられ、複数の前記突出部のうち少なくとも1の突出部が、前記磁気ストライプが通過する位置に対応するよう設けられてもよい。
【0018】
また、前記媒体処理装置は、前記フレーム上に、前記カード挿入排出口の下側であって、前記カード挿入排出口から挿入排出される前記カード状媒体の裏面に貼付された磁気ストライプが通過する位置に対応する位置に設けられる下側突出部をさらに備えてもよい。
【0019】
また、本発明の他の観点によれば、取引に応じて所定の処理を行った紙状媒体を排出する紙媒体排出口と、カード状媒体の挿入排出を行うカード挿入排出口と、前記紙媒体排出口と前記カード挿入排出口とを形成するフレーム上に、前記カード挿入排出口から挿入排出される前記カード状媒体に貼付された磁気ストライプが通過する位置に
少なくとも対応するよう設けられる突出部と、を有する媒体処理装置を備え
、前記突出部は、傾斜する上面と略水平の下面とから形成され、前記突出部の上面は、前記紙媒体排出口から傾斜して排出される紙状媒体の搬送を案内する搬送路の下側ガイド面を直線形状で延長するよう形成され、前記突出部の下面は、前記カード挿入排出口から水平に挿入排出されるカード状媒体の搬送を案内する搬送路の上側ガイドを直線形状で延長するよう形成される、自動取引装置が提供される。
【0020】
また、前記自動取引装置は、表示部と、取引終了後、前記紙状媒体またはカード状媒体の少なくともいずれかを排出する際、正常な排出の確認を顧客に促すための確認画面を前記表示部に表示するよう制御する表示制御部と、をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、不正磁気読取装置の取付けをより確実に防止することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
本発明は、以下本明細書において詳細に説明するような多様な形態で実施され得る。また、各実施形態による媒体処理装置(カード明細票処理装置8)は、
A.取引に応じて所定の処理を行った紙状媒体(明細票28)を排出する紙媒体排出口(明細票排出口3)と、
B.前記紙媒体排出口の下方に設けられ、カード状媒体(磁気カード12)の挿入排出を行うカード挿入排出口(カード挿入排出口4)と、
C.前記紙媒体排出口と前記カード挿入排出口とを形成するフレーム(11)上に、前記カード挿入排出口から挿入排出される前記カード状媒体に貼付された磁気ストライプ(30)が通過する位置に対応するよう設けられる突出部(10)と、を有する。
【0025】
このようなカード明細票処理装置8について、まずカード明細票処理装置8を搭載する自動取引装置1を用いた自動取引システムの概要を説明してから、各実施形態を参照して説明する。
【0026】
<1.自動取引システムの概要>
図1は、本発明の実施形態である自動取引システムの全体構成を示した説明図である。
図1に示したように、自動取引システムは、複数の自動取引装置1、専用網40、および金融機関ホスト50を含む。
【0027】
自動取引装置1は、金融機関の顧客による操作に基づいて金銭の取引を実行する顧客操作型端末である。この自動取引装置1は、金融機関の営業店、コンビニエンスストア、駅構内、ホテル、病院、アミューズメントパーク、飲食店、オフィスビルディングなどの多様な施設に設置される。
【0028】
また、自動取引装置1は、カード挿入排出口4、明細票排出口3、操作表示部7、通帳挿入口2、硬貨入出金口5および紙幣入出金口6を備える。操作表示部7は、顧客による操作の誘導画面を表示する表示部および顧客操作を検出する顧客操作部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、顧客操作部としての機能は例えばタッチパネルにより実現される。
【0029】
なお、
図1においては表示部および顧客操作部の機能が自動取引装置1において一体的に構成される例を示しているが、表示部および顧客操作部の機能は分離して構成されてもよい。
【0030】
通帳挿入口2は顧客の通帳の挿入および排出を行う。
【0031】
カード挿入排出口4は、顧客の磁気カードの挿入および排出を行うための開口部である。また、明細票排出口3は、取引情報が印刷された明細票(レシート)を排出するための開口部である。このカード挿入排出口4と明細票排出口3は、
図1に示したように上下に隣接して設けられるので、顧客は、カード挿入排出口4から排出される磁気カードおよび明細票排出口3から排出されるレシートを一挙動で受け取ることが可能である。
【0032】
紙幣入出金口6は、顧客による紙幣の入金口、および顧客への紙幣の出金口としての機能を有する。硬貨入出金口5は、顧客による硬貨の入金口、および顧客への硬貨の出金口としての機能を有する。
【0033】
専用網40は、金融機関のネットワークであり、例えばIP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)により構成される。金融機関ホスト50は、この専用網40を介して自動取引装置1と通信することができる。
【0034】
金融機関ホスト50は、専用網40を介して自動取引装置1と通信することにより、各種取引を制御する。例えば、金融機関ホスト50は、自動取引装置1を操作する顧客の認証を行ったり、自動取引装置1において顧客により指示された入金や振込などの金銭取引(勘定の取引処理)を実行したりする。また、金融機関ホスト50は、口座番号、暗証番号、氏名、住所、年齢、生年月日、電話番号、職業、家族構成、年収、預金残高などの顧客情報(口座の元帳)を管理する。
【0035】
本発明の実施形態は、上述した自動取引システムに含まれる自動取引装置1に関し、特に、自動取引装置1のカード挿入排出口4付近の構造に関する。以下、自動取引装置1の基本構成を説明した後に、本発明の各実施形態について詳細に説明する。
【0036】
<2.基本構成>
(2−1.自動取引装置1の基本構成)
図2は、本発明の一実施形態による自動取引装置1の基本構成を示した図である。
図2に示したように、本実施形態による自動取引装置1は、主制御部100、ホストPCインタフェース110、操作表示部7、カード明細票処理装置8(媒体処理装置)、紙幣入出金部120、硬貨入出金部130、および記憶部140を有する。
【0037】
主制御部100は、自動取引装置1の各構成を制御し、各種金銭の取引を実行する。具体的には、主制御部100は、カード明細票処理装置8により取得したカード情報に基づいて顧客を特定し、顧客が指定した金銭の取引を実行する。また、取引終了後、主制御部100は、カード明細票処理装置8により、取引情報を印字した明細票を排出したり、取引情報を書き込んだカードを排出するよう制御する。また、主制御部100は、操作表示部7に表示する各種操作画面、確認画面の制御を行う表示制御部としても機能する。
【0038】
ホストPCインタフェース110は、専用網40を介して金融機関ホスト50とデータの送受信を行う。
【0039】
操作表示部7については、
図1を参照して上述したのでここでの説明は省略する。
【0040】
紙幣入出金部120は、紙幣入出金口6から入金/出金する紙幣を管理する機能を有する。また、紙幣入出金部120は、複数の紙幣カセットを有し、金種別に紙幣を格納する。
【0041】
硬貨入出金部130は、硬貨入出金口5から入金/出金する硬貨を管理する機能を有する。硬貨入出金部130は、複数の硬貨カセットを有し、金種別に硬貨を格納する。
【0042】
記憶部140は、主制御部100による各種金銭の取引を実行するためのプログラム等の情報を記憶する。
【0043】
以上、本実施形態による自動取引装置1の基本構成について具体的に説明した。本発明の実施形態は、上述したように、特に自動取引装置1のカード挿入排出口4付近の構造に関する。以下、
図3〜
図4を参照してカード挿入排出口4付近の構造における従来の問題点ついて説明する。
【0044】
(2−2.従来の問題点)
図3は、比較例によるカード明細票処理装置80の概略側面図である。
図3に示すように、カード明細票処理装置80は、カード状媒体である磁気カード12を処理するカード処理装置13と、紙状媒体である明細票28を処理する明細票処理装置18とが上下方向に重ねられたユニットとして構成される。また、カード挿入排出口4と明細票排出口3は、上下方向に近接して配置される。
【0045】
カード処理装置13は、カード挿入排出口4と、フィードローラ14、15、16と、磁気読取部17と、を有する。顧客がカード挿入排出口4に挿入した磁気カード12は、フィードローラ14、15、16により上流に搬送され、磁気読取部17により、磁気カード12に貼付された磁気ストライプ30から磁気データ(カード情報)が読み取られる。また、カード処理装置13は、
図3に示すように略水平方向に磁気カード12の挿入排出を行う搬送路を有する。
【0046】
明細票処理装置18は、連続用紙27が巻回されたロール紙19と、サーマルヘッド20と、プラテン21と、カッタナイフ22と、フィードローラ23〜26と、明細票排出口3と、を有する。なお、ロール紙19は、内部の摩擦や熱により誤って印字されないように、印字面が内側になるように巻回されている。サーマルヘッド20は、プラテン21上に搬送された連続用紙27に所定の取引情報を印字する。カッタナイフ22は、連続用紙27の取引情報が印字された部分を、一枚の紙葉状媒体である明細票28に切断する。フィードローラ23〜26は、明細票28を明細票排出口3に向けて搬送する。
【0047】
なお、明細票処理装置18は、略水平に排出される磁気カード12に対して斜め方向に明細票28を排出する搬送路を有し、明細票28が、カード挿入排出口4から排出された磁気カード12の上に重なるよう排出することができる。これにより、顧客は、一挙動で明細票28と磁気カード12を受け取ることができる。
【0048】
また、
図3に示すように、カード明細票処理装置80には、明細票排出口3とカード挿入排出口4とを形成するフレーム11が設けられる。
【0049】
ここで、
図4に示すように、明細票排出口3から排出される明細票28と、カード挿入排出口4から排出される磁気カード12の間には、空間Sが生じる。このような空間Sには、近年社会問題となっている不正磁気読取装置が設置される恐れがある。磁気カード12は、
図5に示すように、少なくとも一方の面の長手方向に磁気ストライプ30が設けられており、磁気ストライプ30を上面に向けた状態で、カード挿入排出口4に挿入される。
【0050】
図4に示す空間Sに小型の不正磁気読取装置が設置された場合、カード挿入排出口4に挿入される磁気カード12に貼付された磁気ストライプ30から磁気データ(カード情報)が窃取されてしまう。しかしながら、不正磁気読取装置が空間Sに設置されていても、明細票28の排出動作や磁気カード12の挿入排出動作には違和感を与えないので、顧客や係員が、不正磁気読取装置の設置にすぐに気が付くことができないという問題がある。
【0051】
そこで、上記事情を一着眼点にして本実施形態によるカード明細票処理装置(媒体処理装置)を創作するに至った。本実施形態によるカード明細票処理装置は、不正磁気読取装置の取付けをより確実に防止し、仮に不正磁気読取装置が設置されたとしても、カード状媒体の挿入排出動作または紙状媒体の排出動作に違和感を生じさせることが可能である。以下、このような本発明の各実施形態について順次詳細に説明する。
【0052】
<3.各実施形態の詳細な説明>
[3−1.第1の実施形態]
(構成)
図6は、第1の実施形態によるカード明細票処理装置8の正面図である。
図6に示すように、カード明細票処理装置8に設けられるフレーム11は、明細票排出口3とカード挿入排出口4とを形成し、さらに、フレーム11には、カード挿入排出口4から挿入排出される磁気カード12に貼付された磁気ストライプ30が通過する位置に対応するよう突出部10が設けられる。磁気カード12は、
図6に示すように、磁気ストライプ30を上に向けて挿入されるため、突出部10は、カード挿入排出口4の上側(カード挿入排出口4の上方に位置する明細票排出口3との間)に設けられる。
【0053】
また、
図6に示す例では、突出部10の幅は、少なくとも磁気ストライプ30の幅以上で形成される。
【0054】
図7は、第1の実施形態によるカード明細票処理装置8の概略側面図である。
図7に示すカード明細票処理装置8の構造において、
図3に示す構造と同様の構成要素には同一の符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0055】
図7に示すように、フレーム11は、明細票28の搬送を案内する上側ガイド面11aと下側ガイド面11bにより搬送路および明細票排出口3を形成し、磁気カード12の搬送を案内する上側ガイド面11cと下側ガイド面11dにより搬送路およびカード挿入排出口4を形成する。
【0056】
また、
図7に示すように、突出部10は、傾斜する上面10aと略水平の下面10bとから形成され、突出部10の上面10aは、明細票排出口3から傾斜して排出される明細票28の搬送を案内する搬送路の下側ガイド面11bを直線形状で延長するよう形成され、突出部10の下面10bは、カード挿入排出口4から水平に挿入排出される磁気カード12の搬送を案内する搬送路の上側ガイド面11cを直線形状で延長するよう形成される。
【0057】
また、突出部10の長さは、カード挿入排出口4から磁気カード12が排出された際に、磁気カード12の長手方向端において、磁気カード12を明細票28と共に顧客が把持できる所定の領域Lを確保する長さである。所定の領域Lは、例えば磁気カード12の長手方向端から略20〜35mmである。
【0058】
また、突出部10は、
図7に示すように、明細票28の搬送路を形成する上側ガイド面11aおよび下側ガイド面11bよりも顧客側に突出している。
【0059】
(効果)
以上説明したように、第1の実施形態によれば、カード挿入排出口4を形成するフレーム11上に、カード挿入排出口4から挿入排出される磁気カード12に貼付された磁気ストライプ30が通過する位置に対応するよう突出部10を設ける。
【0060】
これにより、
図4に示す空間Sに不正磁気読取装置が取り付けられることを防止し、また、仮に不正磁気読取装置が他の位置に取り付けられたとしても、磁気カード12の挿入排出動作または明細票28の排出動作に違和感を生じさせて、異常状態であることを顧客にすぐに気付かせることができる。
【0061】
不正磁気読取装置が取り付けられた場合の磁気カード12の挿入排出動作または明細票28の排出動作に生じる違和感について、以下
図8を参照して説明する。
図8は、第1の実施形態による突出部10による効果を説明するための図である。
【0062】
図8に示すように、例えば不正磁気読取装置が明細票排出口3の上側であるD1の位置に取り付けられ、下方を通過する磁気カード12の磁気ストライプ30から磁気データを窃取しようとしても、磁気ストライプ30の通過上には突出部10が位置するので、磁気データの窃取を阻止することができる。より具体的には、突出部10は、明細票排出口3を形成する上側ガイド面11aおよび下側ガイド面11bよりも顧客側に突出しているので、明細票排出口3の上側に不正磁気読取装置が取り付けられても、確実に磁気データの窃取を阻止することができる。
【0063】
また、突出部10の先端であるD2の位置に不正磁気読取装置が取り付けられた場合、
図8に示すように、明細票28が正常に排出されなかったり、磁気カード12が正常に挿入・排出できなかったりといった異常が生じる。より具体的には、突出部10の上面10aは、明細票28の搬送を案内する搬送路の下側ガイド面11bを直線形状で延長するよう形成されているので、不正磁気読取装置が突出部10の先端に取り付けられると、明細票の排出が妨害され、異常が生じる。また、明細票の排出を妨害しないために不正磁気読取装置が下側に突出するよう先端部に取り付けたとしても、突出部10の下面10bは、磁気カード12の搬送を案内する搬送路の上側ガイド面11cを直線形状で延長するよう形成されているので、磁気カード12の挿入・排出を妨害することとなり、異常が生じる。
【0064】
また、突出部10の下側であるD3の位置に不正磁気読取装置が取り付けられた場合、
図8に示すように、磁気カード12を正常に挿入・排出できなくなる。
【0065】
このように、
図6および
図7を参照して説明した突出部10を設けることで、不正磁気読取装置の取付けを防止し、また、仮に不正磁気読取装置が取り付けられたとしても、明細票28の排出または磁気カード12の挿入排出に違和感(異常)が生じ、顧客はすぐに不正磁気読取装置の取付けに気付くことができる。
【0066】
(変形例)
以上説明した第1の実施形態による突出部10の幅や個数は一例であって、本実施形態はこれに限定されない。以下、
図9〜
図10を参照して本実施形態の変形例について説明する。
【0067】
図9は、第1の実施形態の第1の変形例による突出部10m1について説明するための正面図である。
図9に示すように、突出部10m1の幅Mは、カード挿入排出口4の幅N以上で形成される。このように、カード挿入排出口4から挿入排出される磁気カード12の全幅を覆うよう突出部10m1を設けてもよい。
【0068】
図10は、第1の実施形態の第2の変形例による突出部10m2について説明するための正面図である。
図10に示すように、突出部10m2がリブ形状で設けられ、複数の突出部10m2のうち少なくとも1の突出部10m2’が、磁気ストライプ30が通過する位置に対応するよう設けられる。
【0069】
このような変形例による突出部10m1、10m2であっても、同様に、不正磁気読取装置が取り付けられることを防止し、また、仮に不正磁気読取装置が他の位置に取り付けられたとしても、磁気カード12の挿入排出動作または明細票28の排出動作に違和感を生じさせて、異常状態であることを顧客にすぐに気付かせることができる。
【0070】
[3−2.第2の実施形態]
次に、第2の実施形態によるカード明細票処理装置8’について説明する。磁気カードには、
図5に示すように表面のみに磁気ストライプ30が設けられるタイプの他、裏面にも磁気ストライプが設けられるタイプが存在する。例えばクレジットカードや国外の金融機関で発行している磁気カードが該当する。そこで、第2の実施形態では、裏面にも磁気ストライプが貼付された磁気カードを取り扱うカード明細票処理装置における不正磁気データ読取防止手段について提案する。
【0071】
(構成)
図11は、第2の実施形態によるカード明細票処理装置8’の正面図である。
図11に示すように、カード明細票処理装置8’に設けられるフレーム11には、第1の実施形態による突出部10の他、カード挿入排出口4の下側であって、カード挿入排出口4から挿入排出される磁気カード12’の裏面に貼付された磁気ストライプ31が通過する位置に対応する位置に、下側突出部33がさらに設けられる。磁気カード12’には、表面に貼付されている磁気ストライプ30と対向する裏側の位置に、第2の磁気ストライプ31が貼付されている。
【0072】
下側突出部33の幅は、
図11に示すように、少なくとも第2の磁気ストライプ31の幅以上で形成されてもよいし、第1の実施形態による第1の変形例と同様に、カード挿入排出口4の幅以上で形成されていてもよい。また、下側突出部33は、第1の実施形態による第2の変形例と同様に、複数設けられていてもよい。
【0073】
図12は、第2の実施形態によるカード明細票処理装置8’の概略側面図である。
図12に示すカード明細票処理装置8’の構造において、
図3に示す構造と同様の構成要素には同一の符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0074】
本実施形態によるカード明細票処理装置8’は、両面に貼付された磁気ストライプ30、31に対応するよう、表面に貼付された磁気ストライプ30から磁気データを読み取る磁気読取部17と、裏面に貼付された磁気ストライプ31から磁気データを読み取る磁気読取部17’とを有する。
【0075】
また、
図12に示すように、下側突出部33は、略水平の上面33aと、下面33bから形成され、下側突出部33の上面33aは、カード挿入排出口4から水平に挿入排出される磁気カード12’の搬送を案内する搬送路の下側ガイド11dを直線形状で延長するよう形成される。
【0076】
また、下側突出部33の長さは、カード挿入排出口4から磁気カード12’が排出された際に、磁気カード12’の長手方向端において、磁気カード12’を明細票28と共に顧客が把持できる所定の領域L’を確保する長さである。所定の領域L’は、例えば磁気カード12’の長手方向端から略20〜35mmである。
【0077】
(効果)
以上説明したように、第2の実施形態によれば、カード挿入排出口4を形成するフレーム11上に、カード挿入排出口4の下側であって、カード挿入排出口4から挿入排出される磁気カード12’の裏面に貼付された磁気ストライプ31が通過する位置に対応する位置に下側突出部33を設ける。
【0078】
これにより、カード挿入排出口4の下側に不正磁気読取装置が取り付けられることを防止し、また、仮に不正磁気読取装置が、下側突出部33の先端に取り付けられたとしても、磁気カード12の挿入排出動作に違和感を生じさせて、異常状態であることを顧客にすぐに気付かせることができる。
【0079】
[3−3.確認画面の表示]
以上、第1、第2の実施形態を用いて具体的に説明した。なお、不正磁気読取装置が取り付けられた場合、上述したように磁気カード12の挿入排出動作または明細票28の排出動作に違和感が生じるが、異常状態であることをより確実に顧客に気付かせるために、正常な排出動作を画面に示してもよい。以下、
図13を参照して説明する。
【0080】
図13は、明細票28および磁気カード12の排出時に表示する確認画面の一例を示す図である。明細票28および磁気カード12の排出時に、主制御部100は、操作表示部7に確認画面70を表示するよう制御する。確認画面70には、正常な排出状態を示した画像72が含まれる。
【0081】
このように、明細票28、磁気カード12の排出時に、正常な排出状態の画像を顧客に提示し、正常な排出状態であるかを確認させることで、顧客は、より確実に異常状態に気付くことができる。
【0082】
<4.まとめ>
以上説明したように、本発明の第1〜第2の実施形態によれば、不正磁気読取装置の取付けをより確実に防止することが可能である。また、仮に不正磁気読取装置が設置されたとしても、カード状媒体の挿入排出動作または紙状媒体の排出動作に違和感を生じさせることが可能である。
【0083】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0084】
また、上述した各実施形態では、金銭の取引を実行する顧客操作型端末に搭載され、磁気カードを取り扱うカード明細票処理装置に適用した例を説明したが、本発明はこれに限定されない。具体的には、例えば乗車券発行処理装置、電子マネーのチャージ装置等、磁気カード他のカード状媒体を取り扱う機能を有する媒体処理装置全般に適用可能である。