(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態に画像形成装置の一例について説明する。
<全体構成>
まず、画像形成装置の全体構成について説明する。
【0015】
図1に示す画像形成装置10は、搬送される連帳紙P1にインクジェット方式で画像を形成する連帳紙インクジェットプリンタである。
【0016】
画像形成装置10は、連帳紙Pに画像を形成する画像形成ユニット30と、画像形成ユニット30に供給する連帳紙P1を収容する前処理ユニット12と、画像形成ユニット30から排出される連帳紙P1を収容する後処理ユニット14と、を有している。
【0017】
また、画像形成装置10の画像形成ユニット30には、制御部20が設けられている。制御部20は、画像形成装置10全体の各種制御を行っている。
【0018】
なお、前処理ユニット12と画像形成ユニット30との間、及び画像形成ユニット30と後処理ユニット14との間に、連帳紙P1の搬送量等を調整するバッファユニットを配置してもよい。
【0019】
連帳紙P1は複数の搬送ロール42及び可動ロール100に巻き掛けられ、画像形成ユニット30の内部に形成された搬送経路50に沿って搬送されるようになっている。また、液滴吐出装置72と乾燥機60との間に可動ロール100が設けられ、これにより連帳紙P1が折り返されている。また、搬送経路50における液滴吐出装置72と乾燥機60との間を折返経路部56とする(折返経路部56は、搬送経路50の一部を構成する)。なお、可動ロール100は、後述するように可動機構150(
図3参照)によって
図1における左右方向(
図2の矢印+X方向と−X方向)に移動可能となっている。
【0020】
画像形成ユニット30の内部には、液滴吐出装置72が設けられている。液滴吐出装置72は、搬送経路50に沿って搬送される連帳紙P1にインク滴(液滴)を吐出するブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の4色それぞれに対応した4つの液滴吐出ヘッド70K、70C、70M、70Yを有している。なお、以降、液滴吐出ヘッド70について、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)を区別する場合は、符号の末尾にK,C,M,Yを付し、特に区別しない場合は、符号の末尾のK,C,M,Yを省略する。
【0021】
液滴吐出装置72を構成する各色の液滴吐出ヘッド70は、搬送経路50の一部を構成する上側の平坦部52と対向して配置されている。また、液滴吐出ヘッド70K、70C、70M、70Yは、この順で連帳紙P1の矢印Kで示す搬送方向に並んで配置されている。
【0022】
各液滴吐出ヘッド70は、連帳紙P1の搬送方向Kに対して直交する方向に延びる長尺状とされている。また、各液滴吐出ヘッド70による画像の形成領域は、連帳紙P1の幅以上となるように設定されている。
【0023】
また、各液滴吐出ヘッド70には、図示していないインクタンクから各色のインクが補充されるように構成されている。なお、本実施形態のインクは、水を主成分とする溶媒に顔料G(
図4参照)を分散させた水性顔料インクが用いられている。また、本実施形態では、高画質化のために、浸透の遅いインクが採用されている。
【0024】
なお、液滴吐出ヘッド70におけるインク滴を吐出する方式は、特に限定されない。サーマル方式や圧電方式等の周知技術を用いることができる。
【0025】
画像形成ユニット30の内部における各液滴吐出ヘッド70の搬送方向Kの下流側(
図10では、液滴吐出ヘッド70の下側)には、後述する乾燥機60が設けられている。
【0026】
前処理ユニット12は、画像形成ユニット30へ供給される連帳紙P1が巻き付けられている供給ロール16を備えており、この供給ロール16は、図示せぬフレーム部材に矢印N方向に回転自在に支持されている。
【0027】
一方、後処理ユニット14は、画像が形成された連帳紙P1を巻き取る巻取ロール18を備えている。そして、この巻取ロール18が、図示していないモータから回転力を受けて矢印N方向に回転することで、連帳紙P1が搬送経路50に沿って搬送されるようになっている。なお、図示していないモータの回転数を変更することで、連帳紙P1の搬送速度が変更可能となっている。また、搬送速度は30m/分以上で200m/分以下である。
【0028】
[画像形成動作]
つぎに、画像形成装置10による連帳紙P1への画像形成工程の概要を説明する。
【0029】
後処理ユニット14の巻取ロール18を回転させることで、連帳紙P1に搬送方向Kの張力が付与され、連帳紙P1が搬送経路50に沿って搬送される。
【0030】
上側の平坦部52を搬送される連帳紙P1に、液滴吐出装置72を構成する各色の液滴吐出ヘッド70が各色のインク滴(液滴)Qを吐出することで連帳紙P1に画像が形成される(
図4(B)を参照)。
【0031】
そして、連帳紙P1が下側の平坦部54を搬送される際に、乾燥機60がインク滴(液滴)の水分を蒸発させて乾燥させ、連帳紙P1に定着させる(
図5(B)を参照)。
【0032】
なお、連帳紙P1の搬送速度が変更可能となっているので、制御部20は、搬送速度に応じて、各液滴吐出ヘッド70が吐出するインク滴の吐出周波数を調整する。
【0033】
また、連帳紙P1の搬送速度は、速い方が画像形成の生産性は向上するが、遅い方が搬送安定性の面で有利であり画質が向上する。よって、使用者が目的に応じて図示していないコントロールパネルを操作して、搬送速度を適宜設定するようになっている
【0034】
[可動機構]
つぎに、搬送経路50の一部を構成する液滴吐出装置72と乾燥機60との間の折返経路部56に設けられ、連帳紙P1が巻き掛けられた可動ロール100を移動させる可動機構150について説明する。
【0035】
なお、可動ロール100が移動する方向を
図2及び
図3(A)に示すように、−X方向(図における左側方向)及び+X方向(図における右側方向)とする。また、+−を区別しない場合は、+−を省略し、X方向と記すことにする。
【0036】
図3に示すように、可動機構150は、可動ロール100、ロール支持部材130、シャフト110、ボールねじ120、及びモータ140(
図3(A))を含んで構成されている。
【0037】
ボールねじ120は、ねじ軸122、ナット124(
図3(B))、及びねじ軸122とナット124との間に設けられた図示していないボールと、を含んで構成され、ねじ軸122の回転運動をナット124の直線運動に変換する部品である。ボールねじ120のねじ軸122は、X方向に沿って配置され、両端部が図示していない筐体等に回転可能に支持されると共に、モータ140によって回転するようになっている。
【0038】
シャフト110は、X方向に沿って配置(ボールねじ120のねじ軸122と平行に配置)され、両端部が図示していない筐体等に固定されている。
【0039】
ロール支持部材130は、長手方向の両端部に、装置上側に突出する上側支持部132A,132Bと、装置下側に突出する下側支持部134A,134B(
図3(B))と、が設けられている。
【0040】
ロール支持部材130の上側支持部132A,132Bには、可動ロール130の回転軸132が回転可能に支持されている。
【0041】
また、
図3(B)に示すように、ロール支持部材130の一方の下側支持部134Aにボールねじ120のねじ軸122が貫通すると共にナット124が固定されている。また、他方の下側支持部134Bに、シャフト110が貫通している。
【0042】
図3(A)に示すモータ140を駆動させ、ボールねじ120のねじ軸122を回転させることで、ナット124(
図3(B))が固定されたロール支持部材130及びこれに回転可能に支持された可動ロール130が−X方向及び+X方向に移動する。
【0043】
また、
図2に示すように、可動ロール130がX方向に移動することで、搬送経路50の一部を構成する液滴吐出装置72と乾燥機60との間の折返経路部56の搬送経路長が変更される。具体的には、可動ロール130を+X方向に移動させると液滴吐出装置72と乾燥機60との間(折返経路部56)の搬送経路長が長くなり、可動ロール130を−X方向に移動させると液滴吐出装置72と乾燥機60との間の搬送経路長が短くなる。
【0044】
なお、
図3(A)に示すモータ140は、制御部20によって制御されている。つまり、制御部20が、液滴吐出装置72と乾燥機60との間(折返経路部56)の搬送経路長の変更制御を行っている。
【0045】
[乾燥機]
つぎに、乾燥機60について説明する。
【0046】
図2に示すように、乾燥機60は、複数の赤外線ヒーター62の輻射加熱により、連帳紙P1に吐出されたインク滴(液滴)の水分を蒸発させて乾燥させる(
図5(B)を参照)。連帳紙P1と赤外線ヒーター62との間はガラス64によって仕切られている。このガラス64は、搬送経路50の一部を構成する下側の平坦部54と対向して配置されている。
【0047】
なお、赤外線ヒーター62は、出力が可変となっている。また、赤外線ヒーター62の出力は制御部20によって制御されている。なお、
図6が赤外線ヒーター62の出力が高い状態を示し、
図7が赤外線ヒーター62の出力が低い状態を示している。
【0048】
また、図示していないファンによって、赤外線ヒーター62が冷却されていると共に、図示していない送風装置によって、インク滴の水分が蒸発することで発生する高湿度の空気を排気している。
【0049】
<作用>
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0050】
(インク滴の連帳紙への浸透状態と画像との関係)
図4(A)〜
図4(C)の各左図は、インク滴Qが連帳紙P1に吐出された直後の状態を模式的に図示している。
図4(A)〜
図4(C)の各右図は、左図の状態から時間が経過し、連帳紙P1にインク滴Qが浸透した状態を模式的に図示している。なお、
図4(A)、
図4(B)、
図4(C)の順番で経過時間(浸透時間)が長い。
【0051】
図4(B)の右図は、乾燥機60(
図2参照)に連帳紙P1のインク滴で乾燥される際のインク滴の連帳紙P1への浸透状態が適正である場合を模式的に図示している。そして、この適正な浸透状態で、乾燥機60で乾燥すると良好な画像が得られる。
【0052】
しかし、
図4(A)に示すように、浸透時間が短く、連帳紙P1への浸透が不十分な浸透状態の場合は、連帳紙P1の表面PAのインク残留が多くなる、つまり表面PAに残るインク中の顔料Gが多くなる。よって、乾燥機60で乾燥しても、顔料Gの連帳紙P1への定着が不十分となるため、顔料Gのオフセットやスマッジが発生しやすい。
【0053】
また、
図4(C)に示すように、浸透時間が長く、連帳紙P1に過剰にインク滴が浸透した浸透状態の場合は、表面PAのインク残留が少なくなる、つまり表面PAに残るインク中の顔料Gが少なくなる。よって、画像の濃度が低下しやすい。
【0054】
(乾燥と画像との関係)
図5(A)〜
図5(C)の各左図は、
図4(B)に示すインク滴が連帳紙P1に適正に浸透した状態から乾燥機60で乾燥させている状態を模式的に図示している。
図5(A)〜
図5(C)の各右図は、左図の状態から時間が経過してインク滴が乾燥した状態を模式的に図示している。なお、
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)の順番で経過時間(乾燥時間)が長い。言い換えると、
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)の順番で乾燥エネルギーが大きくなる。
【0055】
図5(B)に示すように、乾燥機60でのインク滴の乾燥が適切である場合は、良好な画像が得られる。
【0056】
しかし、
図5(A)に示すように、乾燥時間が短い場合(乾燥エネルギーが不十分な場合)は、インク滴の水分の蒸発が不十分であるので未乾燥状態となり、オフセットやスマッジが発生しやすい。
【0057】
また、
図5(C)に示すように、乾燥時間が長い場合(乾燥エネルギーが過剰である場合)は、インク滴の水分が過剰に蒸発することにより、顔料Gが表面PAに多く残る。よって、顔料Gの連帳紙P1への定着が不十分となるため、オフセットやスマッジが発生しやすい。
【0058】
(液滴吐装置から乾燥器までの搬送経路長の変更制御)
図2等に示すように、液滴吐出装置72で連帳紙P1に吐出されたインク滴Q(
図4の左図参照)は、搬送経路50を構成する折返経路部56を搬送される間に連帳紙P1に浸透したのち(
図4参照)、乾燥機60で乾燥される(
図5参照)。
【0059】
本実施形態の画像形成装置10は、連帳紙P1の搬送速度が可変であるので、仮に折返経路部56の搬送経路長が固定されている場合は、搬送速度によって、インク滴が折返経路部56を搬送される時間が変わる。よって、連帳紙P1の搬送速度によってインク滴Qの浸透時間、すなわち浸透状態が変り、浸透が不十分(
図4(A))又は浸透が過剰(
図4(C))となり、顔料Gのオフセットやスマッジ、或いは濃度低下等の画像不良が発生する怖れがある。
【0060】
そこで、本実施形態では、インク滴の浸透時間が予め定められた範囲内におさまるように、すなわち
図4(B)の状態で乾燥機60で乾燥されるように、制御部20が、
図3に示す可動機構150で可動ロール100をX方向に移動し、折返経路部56の搬送経路長を変更している。
【0061】
具体的には、
図6に示すように、連帳紙P1の搬送速度が速いときは、可動ロール100を+X方向に移動させて折返経路部56の搬送経路長を長くし、
図7に示すように、連帳紙P1の搬送速度が遅いときは、可動ロール100を−X方向に移動させて折返経路部56の搬送経路長を短くする。
【0062】
よって、連帳紙P1の搬送速度によることなく、インク滴Qの浸透時間が予め定められた範囲内におさまるようになり、つまり浸透状態が許容範囲内となり、連帳紙P1に吐出されたインク滴Qが乾燥機60で乾燥される際の連帳紙P1へのインク滴Qの浸透状態に起因する画像不良(顔料Gのオフセットやスマッジ、或いは画像濃度の低下)の発生が抑制される。
【0063】
更に、本実施形態では、乾燥機60で連帳紙P1が受ける乾燥エネルギーが予め定められた範囲内となるように、制御部20が乾燥機60の赤外線ヒーター62の出力を制御している。
【0064】
具体的には、
図6に示すように、連帳紙P1の搬送速度が速いときは、乾燥機60の赤外線ヒーター62の出力を上げ、
図7に示すように、連帳紙P1の搬送速度が遅いときは、乾燥機60の赤外線ヒーター62の出力を下げている。なお、
図6及び
図7の赤外線ヒーター62から出ている矢印の大きさが、出力の大小を表している。
【0065】
よって、連帳紙P1の搬送速度によることなく、乾燥機60で連帳紙P1が受ける乾燥エネルギーが予め定められた範囲内となり、インク滴の乾燥状態のばらつきが抑制され、この結果、インク滴の乾燥状態に起因する画像不良の発生が抑制される。
【0066】
[第二実施形態]
本発明の第二実施形態に画像形成装置ついて説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0067】
<全体構成>
図8に示す画像形成装置11は、搬送される枚葉紙(裁断紙)P2にインクジェット方式で画像を形成する枚葉紙インクジェットプリンタである。
【0068】
画像形成装置11は、枚葉紙P2に画像を形成する画像形成ユニット31を有している。なお、画像形成装置11は、画像形成ユニット31に供給する枚葉紙P2を収容する図示されてない前処理ユニットと、画像形成ユニット31から排出される枚葉紙P2を収容する図示されてない後処理ユニットと、を有している。また、画像形成装置11の画像形成ユニット30には、制御部20が設けられている。制御部20は、画像形成装置11全体の各種制御を行っている。
【0069】
枚葉紙P2は、複数の搬送ロール43及び搬送ベルトに200によって、画像形成ユニット31の内部に形成された搬送経路51に沿って搬送されるようになっている。
【0070】
液滴吐出装置72を構成する各色の液滴吐出ヘッド70は、搬送ベルト200の上側の平坦部53と対向して配置されている。また、画像形成ユニット30の内部における各液滴吐出ヘッド70の搬送方向Kの下流側(
図10では、液滴吐出ヘッド70の下側)には、乾燥機60が設けられている。乾燥機60は、搬送ベルト200の下側の平坦部55と対向して配置されている。
【0071】
また、搬送ベルト200は、図示していない吸着手段によって枚葉紙(裁断紙)P2を吸着した状態で、図示しないモータによって回転力を受けて搬送方向である矢印K方向に回転することで、連帳紙Pを搬送する。なお、図示していないモータの回転数を変更することで、搬送ベルト200の回転速度が変更され、これにより搬送ベルト200で搬送される枚葉紙P2の搬送速度が変更可能となっている。
【0072】
[搬送ベルト可動機構]
つぎに、搬送ベルト可動機構について説明する。
【0073】
搬送ベルト200は、複数のロール202、可動ロール204、及び可動ドラム210に巻き掛けられている。可動ロール204及び可動ドラム210は、第一実施形態の可動機構150(
図3参照)と同様のボールねじを用いた機構によってX方向に移動するように構成されている。
【0074】
そして、可動ロール204及び可動ドラム210がX方向に移動することで、搬送経路51の一部を構成する液滴吐出装置72と乾燥機60との間の折返経路部57の搬送経路長が変更されるようになっている。
【0075】
具体的には、可動ドラム210を+X方向に移動し、その分可動ロール204を−X方向に移動することで、液滴吐出装置72と乾燥機60との間の折返経路部57の搬送経路長が長くなり、可動ドラム210を−X方向に移動し、その分可動ロール204を+X方向に移動することで、液滴吐出装置72と乾燥機60との間の折返経路部57の搬送経路長が短くなる
【0076】
なお、可動ロール204及び可動ドラム210は制御部20によって制御されている。つまり、制御部20が、液滴吐出装置72と乾燥機60との間の折返経路部57の搬送経路長の変更制御を行っている。
【0077】
<作用>
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0078】
本実施形態も第一実施形態と同様に、枚葉紙P2へのインク滴の浸透時間が予め定められた範囲内となるように、制御部20が、搬送ベルト200が巻き掛けられている可動ロール204及び可動ドラム210をX方向に移動し、折返経路部57の搬送経路長を変更している。
【0079】
具体的には、搬送速度が速いときは、可動ドラム210を+X方向に移動させて折返経路部27の搬送経路長を長くし、搬送速度が遅いときは、可動ドラム210を−X方向に移動させて折返経路部57の搬送経路長を短くする。
【0080】
よって、枚葉紙P2の搬送速度によることなく、インク滴Qの浸透時間が予め定められた範囲内となる、つまり浸透状態が許容範囲内となり、枚葉紙P2に吐出されたインク滴Qが乾燥機60で乾燥される際の連帳紙P1へのインク滴Qの浸透状態に起因する画像不良(顔料Gのオフセットやスマッジ、或いは画像濃度の低下)の発生が抑制される。
【0081】
また、本実施形態でも第一実施形態と同様に、乾燥機60で枚葉紙P2の乾燥エネルギーが予め定められた範囲内となるように、制御部20が乾燥機60の赤外線ヒーター62の出力を制御している。
【0082】
具体的には枚葉紙P2の搬送速度が速いときは、乾燥機60の個々の赤外線ヒーター62の出力を上げ、枚葉紙P2の搬送速度が遅いときは、乾燥機60の個々の赤外線ヒーター62の出力を下げている。よって、枚葉紙P2の搬送速度によることなく、乾燥エネルギーが予め定められた範囲内となり、インク滴の乾燥状態のばらつきが抑制され、この結果、インク滴の乾燥状態に起因する画像不良の発生が抑制される。
【0083】
<変形例>
つぎに、本実施形態の変形例について説明する。なお、以降の変形例の説明では、第一実施形態の画像形成装置10(
図1、
図2参照)の図を用いているが、第二実施形態の画像形成装置11(
図7参照)でも同様である。
【0084】
(第一変形例)
本実施形態では、連帳紙P1又は枚葉紙P2の搬送速度に応じて、個々の赤外線ヒーター62の出力を調整することで、連帳紙P1又は枚葉紙P2が受ける乾燥エネルギーを予め定められた範囲内としたが、これに限定されない(
図6及び
図7を参照)。
【0085】
例えば、
図9に示す第一変形例のように、連帳紙P1(又は枚葉紙P2)の搬送速度に応じて、赤外線ヒーター62の点灯数を変更することで出力を変更し、連帳紙P1(又は枚葉紙P2)が受ける乾燥エネルギーを予め定められた範囲内となるようにしてもよい。つまり、搬送速度が速い場合は、赤外線ヒーター62の点灯数を多くし、搬送速度が遅い場合は、赤外線ヒーター62の点灯数を少なくする。
【0086】
更に、搬送速度に応じて、赤外線ヒーター62の出力と点灯数との両方を変更して、連帳紙P1又は枚葉紙P2が受ける乾燥エネルギーを予め定められた範囲内となるようにしてもよい。
【0087】
(第二変形例)
本実施形態では、浸透時間が予め定められた範囲内になるように、可動ロール100(
図2、
図3)又は可動ドラム210をX方向に移動し、折返経路部56又は折返経路部57の搬送経路長を変更したが、これに限定されない。
【0088】
例えば、
図10に示す第二変形例のように、連帳紙P1(又は枚葉紙P2)の搬送速度に応じて、乾燥機60の搬送方向上流側の赤外線ヒーター62の点灯開始位置(乾燥開始位置)を変更することで、搬送経路長を変更してもよい。
【0089】
この場合、可動ロール100(又は可動ドラム210)を移動しないで固定された構成とすることができる。
【0090】
なお、可動ロール100(又は可動ドラム210)を移動と赤外線ヒーター62の点灯開始位置(乾燥開始位置)との両方を用いて搬送経路長を変更してもよい。
【0091】
更に、
図10に示すように、連帳紙P1(又は枚葉紙P2)の搬送速度に応じて、赤外線ヒーター62の点灯数を変更して、連帳紙P1(又は枚葉紙P2)が受ける乾燥エネルギーを予め定められた範囲内となるようにしてもよい。
【0092】
また、赤外線ヒーター62の出力を調整することで、連帳紙P1又は枚葉紙P2が受ける乾燥エネルギーを予め定められた範囲内となるようにしてもよい(
図6及び
図7参照)し、また赤外線ヒーター62の出力と赤外線ヒーター62の点灯数との両方を変更して、連帳紙P1又は枚葉紙P2が受ける乾燥エネルギーを予め定められた範囲内となるようにしてもよい。
【0093】
<その他>
上記実施形態及び上記変形例では、浸透時間が予め定められた範囲内になるように(
図4(B)の浸透状態で乾燥機60で乾燥されるように)、記録媒体(連帳紙P1、枚葉紙P2)の搬送速度に応じて、液滴吐装置72から乾燥機60までの搬送経路長を変更したが、これに限定されない。
【0094】
液滴(インク滴)の浸透速度は、記録媒体(連帳紙P1、枚葉紙P2)の浸透特性(種類)によっても変わる。
【0095】
よって、浸透速度が遅い浸透特性(連帳紙P1、枚葉紙P2)の記録媒体の場合は、
図4(A)に示すように、浸透時間が短く浸透が不十分な場合と同様に、連帳紙P1の表面PAのインク残留が多くなり、顔料Gのオフセットやスマッジが発生しやすい。
【0096】
また、浸透速度が速い浸透特性の記録媒体(連帳紙P1、枚葉紙P2)の場合は、
図4(C)に示すように、浸透時間が長く過剰にインク滴が浸透した場合と同様に、表面PAのインク残留が少なくなり、画像の濃度が低下しやすい。
【0097】
したがって、記録媒体(連帳紙P1、枚葉紙P2)の液滴の浸透特性に応じて、液滴吐装置72から乾燥機60までの搬送経路長を変更するようにしてもよい。この場合、記録媒体(連帳紙P1、枚葉紙P2)の種類(浸透特性)に応じた搬送経路長を予め実験等で求め制御部20の記憶手段に記憶させておく。
【0098】
そして、使用者が図示していないコントロールパネルを操作して、記録媒体(連帳紙P1、枚葉紙P2)の種類(浸透特性・浸透速度)を選択し、選択結果に応じて、制御部20が可動ロール100又は可動ドラム210をX方向に移動させて、搬送経路長を変更する。つまり、記録媒体(連帳紙P1、枚葉紙P2)の液滴の浸透速度が遅い場合は搬送経路長を長くし、液滴の浸透速度が速い場合は搬送経路長を短くする。
【0099】
なお、記録媒体(連帳紙P1、枚葉紙P2)の搬送速度と液滴の浸透特性との両方に基づいて搬送経路長を変更してもよい。
【0100】
また、記録媒体の種類による液滴の浸透特性(浸透速度)の例を
図11の表に示す。
【0101】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0102】
例えば、乾燥機60は、複数の赤外線ヒーター62の輻射加熱により、連帳紙P1又は枚用紙P2に吐出されたインク滴(液滴)の水分を蒸発させて乾燥させたが、これに限定されるものではない。インク滴(液滴)の水分を蒸発させて乾燥させる機能を有していれば、どのような構成の乾燥機(乾燥手段)であってもよい。
【0103】
画像形成装置の構成としては、上記実施形態の構成に限られず種々の構成とすることが可能である。更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。